『巨大なカモノハシ怪獣の都市伝説、とてもこわい』
城・漣香(焔心リプルス・d03598)が急にそんなこと言い出さなかったら、こんなことにはならなかったカモしれない。
「カモノハシだあああああああああああ!」
「カモノハシいいいいいいいいい!」
「カモおおおおおおおおおお!」
「ハシいいいいいいですううううううううう!」
「ああもううるっさい!」
耳を塞いでわめく漣香。
彼らはカモノハシ怪獣に追いかけられていた。
何言ってんのかわかんないかもしれないが、見たまんま巨大なカモノハシがなぜか二本足でドカドカ樹木とか倒しながら追いかけてくるのだ。
これを逃げずして、どうするというのかね!
「あいつの能力なんていったっけ!」
「噂じゃカモノハシビームとカモノハシボンバーと……」
「なんですかその予測しづらい攻撃方法!」
「あとカモノハシランナウェイ!」
「なんですかその予測しづらい攻撃方法!」
うわーと言いながらダッシュで逃げる一同。
漣はカメラ(自撮り棒使用)に向かってブイサインした。
「さあ皆で、灼滅しよー! みたいな!」
参加者 | |
---|---|
勿忘・みをき(誓言の杭・d00125) |
朝山・千巻(青水晶の風花・d00396) |
喚島・銘子(空繰車と鋏の狭間・d00652) |
城・漣香(焔心リプルス・d03598) |
生神・カナキ(クロスクロウス・d15063) |
真中・翼(大学生サウンドソルジャー・d24037) |
ミーア・アルバーティ(猫メイドシスターズ・d35455) |
神無月・優(ラファエルの名を冠る者・d36383) |
●カモノハシは発見当初学会からガセネタだと思われていたそうです
『我々は巨大カモノハシ怪獣が生息するというジャングルの奥地へ足を運んだ。そこで探検隊を待ち構えていたものとは……!』
「なーんちゃってその辺の森だけどね! いえーいみんなぴーすぴーす」
じどり棒に横ピースしながらダッシュする城・漣香(焔心リプルス・d03598)。
「適当に言ったら見つけたとかちょーうけるんっすけど! マジで二足歩行で……あっ既読スルーすらされてない!」
スマホをスワイプしながら後ろ走りする生神・カナキ(クロスクロウス・d15063)。
真中・翼(大学生サウンドソルジャー・d24037)はそんな彼らを横目で見た。
「いや、なぜこの状況でそこまで余裕でいられるんだ。巨大なカモノハシが二足歩行で追いかけてきてるんだぞ。恐くないのか」
「そう、これが……」
眼鏡をチャッと外し、神無月・優(ラファエルの名を冠る者・d36383)は振り返った。
なんかスポットライトが下りた。
「現代人」
「そんな台詞のためだけにタメを作るな!」
「では言わせて頂きましょう」
勿忘・みをき(誓言の杭・d00125)がありもしない眼鏡をチャッと外した。
「俺はカモノハシを初めて見ましたが、ジタバタしてる感じがこう……こう……なんていうのか!」
「言えないなら整理してから言え!」
横を走りつつこっちをじーっと見る喚島・銘子(空繰車と鋏の狭間・d00652)。
「……」
「いや、何か言え」
「カモノハシのくちばしは思ったより柔らかいけど、電流や水流を感知するらしいわよ」
「だからって今そんな豆知識を語られても」
「なんかツッコミ忙しそうだね。手伝おっか?」
ほとんどスキップみたいなテンポで走っていた朝山・千巻(青水晶の風花・d00396)が手をぱたぱた振ってきた。
「じゃああっちを頼む」
横の茂みを完全スキップでミーア・アルバーティ(猫メイドシスターズ・d35455)が走っていた。
「カモノハシランナウェイって、自称攻め男子がリバースするととたんに乙女化する少女漫画的なアレですね、わかります!」
「だよねー! わかるー!」
「そこはツッコめ!」
真中翼は今日の役割を理解した。
●カモノハシは非常に珍しい卵から生まれるホ乳類
「さて、いつまでも逃げているわけにはいかないわね」
銘子、ブレーキアンドターン。
クロスグレイブを袖の下から滑り出すと、カモノハシ怪獣めがけて乱射し始めた。
足下で同じように射撃を始める霊犬・杣。
敵を中心に無数の小爆発を起こす。
「カモー!」
「鳴き声『カモー』なんだ!?」
身を乗り出す漣香。その横から身を乗り出すミーア。
「でもカモノハシはカモでもカモのハシくれでもありません」
「うっわすごいどや顔!」
「どーやー」
花澤○菜あたりでアニメ化したい一瞬である。
さておき。
銘子は耳にかかった髪を指でかきあげた。
「私が引きつけるから、側面攻撃よろしくね」
「ハッ、そうでした! マーヤー!」
腕をぶんぶん振ってビハインド・マーヤを呼び出すと、ミーアは高く跳躍した。
「さああとはカモノハシを倒すだけ。ミーアたちに倒せない敵はないですにゃ!」
「実力の見せ所、というわけですか――にいさん!」
ありもしない眼鏡をくいっとやるみをき。
ビハインドのにいさんを呼び出すと、半身の構えでけしかけた。
「さあいこーぜあいぼー! でもって煉!」
漣香が前屈みな姿勢で飛びかかり、ビハインド・煉を背後に召喚。
「オレらの力をっみせる時っすね、カノウ!」
利き手の掌を砲台みたいに構えてにやりと笑うカナキとビハインド・カノウ。
「「おれたちのたたかいは、これからだ!」」
全員が停止し、白い光に包まれる。
小粋なギターイントロから始まり、ワイプ処理した過去の映像と共にスタッフロールが上へと流れていく。
「ってエンディングに入るな! まだ早い!」
スタッフロールを刀でぶった切り、翼が叫んだ。
飛びかかり姿勢のままヒモで吊られていた漣香やミーアたちがじたばたしはじめた。
「えー、なんだよー」
「折角ビハ勢揃いの名カットだったのにー」
「こんなこと滅多に無いですよー」
「絶対クリアファイルになりますって、下敷きにもなりますって!」
「グッズ展開はしない! セル画も売られない!」
「フッ」
優が一旦かけ直した眼鏡をチャッと外した。
『ファー』みたいなパイプオルガンの音と共に白い羽根と綿毛が舞い上がる。
「これが……」
優を中心にぐるりと回るようにカメラが移動し、最後に右目をクローズアップ。
「若さだ」
「そんな台詞のためにタメを作るな!」
「もーちょっと目ー開いててー。まばたきしないでねー」
トイカメラを構えて優の目をクローズアップする千巻。
「本当に撮影してたのか。あとそのカメラだとなめ撮りする意味がないだろ」
カメラを構えたままくるりと振り返る千巻。
「でもやること全部やったよ? もうエンディングでよくない?」
「よくない」
「そっかー」
パシャリとシャッターを下ろす千巻。
漣香が背中をごそごそやった。
「じゃあ戦闘再開しよっか。とりまこのヒモ外――へぶし!?」
「カモオオオオオ!」
カモノハシ怪獣の腕が漣香にクリーンヒットした。
「出たー! カモノハシボンバーだー!」
「ムキムキになったカモノハシがラリアットをしかける技だよねっ、あっやだちぃちゃん名推理!」
カナキと千巻がカメラをパシャーパシャーした。
目や口からビームを乱射するカモノハシ怪獣。連続する小爆発。
「カモカモー!」
「あれはっ」
みをきがありもしない眼鏡をキラリと光らせた。
明後日の方向にカメラをむけているビハインドをチラ見すると、手動でアングルを修正して再開。
「カモノハシビームがどこから出るのか気になっていましたが、まさか目と口両方からとは」
「さっきから城くんだけ集中攻撃されてるけどいいのかしら。城くんがアフロ城くんになってるんだけど」
心配している割には冷静な銘子である。
「大丈夫ですよ! ほらこうすれば!」
ミーアが両手を組んで空を見上げた。
するとアフロウィッグを被った漣香の笑顔が青空に浮かんだ気がした。
胸に手を当てるカナキやみをき。
「無茶、しやがって」
「先輩のことは、忘れません」
カメラでパシャーパシャーする千巻。
悲しげなピアノアレンジで始まった曲と共に、セピアカラーになった漣香の名シーン集が流れ始める。
「ってエンディングにいくな! どれだけ終わらせたいんだ!」
「…………これが」
優がパイプ椅子に座っていた。
スポットライトを浴びていた。
両手を組んだゲンドウスタイルだった。
遠くからの横顔(1カメ)。
下からの口元(2カメ)。
正面アップ(3カメ)。
「青春だ」
「だからそんな台詞のためにタメを作るな! 三度目だぞこのツッコミ!」
「あとオレ死んでないよ!? 生きてるからね!」
銀ラメのプレスリー風衣装を着たアフロ城漣香がサタデーのナイトをフィーバーするポーズでスライドイン。
「ってなんだこの格好!」
「第二期の作画だよ?」
「あるの!? オレの第二期!」
とか言いながら、アフロプレスリー風の顔出し看板を蹴倒した。顔出し看板だったらしい。
「あっ、ごめんちょっと待って」
千巻はポシェットに手を突っ込んでごそごそすると、ピンクい星形のサングラスを取り出した。
「これ忘れてた。つける?」
「いらないよっ!」
ぺいっとたたき落とす漣香。
「そろそろカモノハシたおそ!? もうこれ以上伸ばすと倒すシーンなくなるって!」
「その話なんすけど」
スマホをぽちぽちするカナキがスライドイン。
「今検索したらカモノハシって毒持ってるらしいっす」
眼鏡をかけ直してスマホをスワイプする優がスライドイン。
「ちなみに雄のみが毒を有し、繁殖期には毒の量が増す」
星形サングラスをかけたみをきがスマホを凝視しながらスライドイン。
「あと……あの……ごめんなさい特にないです」
「無理してコンボに入ってこなくてもいいのよ?」
心配そうにサングラスを外してあげる銘子である。
さておき。
「つまり毒があるんですね! カモノハシ!」
ミーアはネコのポーズをとると、目の中に星マークをキランとさせた。
「毒を抜くには、萌効果! 習得したばかりの技を使うときですにゃ! ミーアシスターズ!」
同じポーズをしたミーア。と、煉とカノウと勿忘んちのにいさんと杣が同じポーズで背後にスライドインしてきた。
「よりによってなぜそのメンバーで」
「杣、無理しちゃって……」
「にいさん! にいさん!?」
「はいみなさんごいっしょにー?」
ミーアは両手でハートを作ると、みぎへひだりへふわふわさせた。
「はい、もーえもーえきゅん☆」
ウィンクと共にぴょこんとはねる星。
お星様はゆーっくり浮いてカモノハシへ接触。
したとたん、超爆発を起こした。
「カモオオオオオオオオオオ!?」
「萌え強えええええええええ!!」
「そう、これが……」
一輪のバラをくわえた優が現われた。
地面いっぱいの白い鳩が飛び立った。
綿毛が舞った。
バラが散った。
沈黙する優。鎮目する翼。
「…………」
「いや、何か言え!」
「すまんが特に言うことが無い」
「ならなぜ演出した」
「あっ」
思い出したように目を見開く優。
それまでなんだかんだかけていた眼鏡を豪快に外すと、天空に投げ放った。
「『さあ、美しく散らそうか!』」
一瞬で完全武装すると、優はマジックミサイルやらジャッジメントレイやらオーラキャノンやらを大量に乱射し始めた。
「あっ、こいつトドメの見せ場を奪う気だぞ!」
「そうはさせません!」
「コンボっす! コンボ技っすよ!」
「そこまで焦るようなことか?」
「ほらもう一回もえもえきゅん! ちがうそうじゃないですにゃ!」
「んー? そろそろラッシュかけるかんじ?」
「みたいね。行きましょ」
オープニングテーマ的な何かが流れる中、銘子はカモノハシめがけてダッシュ。
豪快なジャンプからの回し蹴りが腹部に炸裂。激しい衝撃で前屈みになったカモノハシに、杣たちが援護射撃を開始。
ぐねぐねとよろめくカモノハシ。
そこへ、オーラのボールを持ったカナキが出現。
中指と薬指と親指を差し込み、ゆったりと歩きながらリズミカルに振りかぶり、ボーリングのフォームで投擲。
「せっ!」
「カモォ!?」
足に直撃したカモノハシは今度こそ倒れそうになり、手足をばたばたし始める。
が、両足は影の縄によって縛られていた。思い切り転倒するカモノハシ。
二本指をピッと上げるみをき。
「今です」
「っしゃあ!」
漣香がライフルをじゃきっと構えて好き放題に乱射……しようとした途端上から降ってきた千巻に踏みつけられた。
「とう!」
「へぶし!?」
千巻はオモチャの指輪に宝石型のキャンディがついたやつをぺろりと舐めると、キャンディ部分を引っこ抜いた。
「トドメモーションいただき! てい!」
振りかぶってキャンディを投擲。激しく爆発したキャンディにカモノハシは目をばってんにした。
眼鏡をかけおなおす優。
「フ、やったか」
「カモオオオオオオオ!」
「ほらそんなこと言うから!」
「うわわどうしましょう! カモノハシランナウェイが来ますよ!」
ミーアはマーヤシスターズ(よく考えたらシスター要素がミーアしかいない)に振り付け指導をしながらわたわたした。
そこへ。
「斬――ッ!」
カモノハシが一瞬にして上下に分割された。
「カモオオオオオオオオ!」
断末魔と共に消滅していくカモノハシ怪獣。
一拍遅れて着地した翼が、刀をジャキンと鞘に収めた。
そして腰の辺りで小さく拳を握ると。
「よし」
ちゃっかりいいところを持って行く翼であった。
かくして!
都市伝説『カモノハシ怪獣』を倒した灼滅者たち!
彼らは世界の平和を守るべく、次なる戦場へ……っていうモノローグの途中で銘子がくるりと振り返った。
「ねえ、ところでカモノハシランナウェイってなんだったの?」
「「そういえば!!」」
作者:空白革命 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2016年5月20日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 2/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 3
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