新潟県は上越市、谷浜と呼ばれる海水浴場は遠浅の海。潮騒の音は絶え間ない。
淫魔は夜の浜辺で復活した。
ゆっくりと体を起こすときょろきょろと辺りを見回して、口に手を当てて何かを考え込み始めた。
なぜ復活できたのだろう。
他の仲間はどうしているんだろう。
サイレーン様は?
サイレーン様からのご命令も賜れないということは……。
パニックになりそうな心を落ち着かせるために深く呼吸をしていると、ふと後ろの旅館街の方から音がして、思わず目をやった。
若い男が建物から出てきた。白い服に長い前掛け。どうやら板前のようだ。ポケットから取りだした缶コーヒーを小気味のいい音を立てて開けた。
淫魔はその音に自分の足音を乗せて彼に近づくと、困ったように、しかし、安堵の表情を見せてふわりと笑んだ。
「あの、わたし、どこにも行くところが無くて。ここの旅館で住み込みで働きたいんですけど……」
板前は小さく眉をひそめた。
「って言われても、俺はただの板前で、親方で無いと決められないというか――」
「お願いです。わたしに居場所をくださいませんか?」
瞳を潤ませて彼の言葉をさえぎりつつ抱きついて、もう一度請うてみれば、彼の手から缶コーヒーが滑り落ちてコンクリートの地面に茶色の水溜りを作った。
わたしは、大淫魔サイレーンの配下の淫魔。
とりあえずこの浜辺の町で、サイレーン様のお声を待つことにしよう。
「先日は大きな決断、お疲れ様だったな」
浅間・千星(星導のエクスブレイン・dn0233)は教室を見渡して灼滅者をねぎらう。
「サイキック・リベレイターを使用したことによって、大淫魔サイレーンの配下の動きが活発化しているのが確認されている」
復活した淫魔たちは自分のおかれた状況を把握できておらず命令も下されていないため、その土地で淫魔の本能に従って行動している。
「これから上位の淫魔が復活しだしたら、その命令に従って集まり勢力を作り上げる恐れがある。皆にはサイレーンの配下の淫魔の灼滅をお願いしたい」
そう告げた千星は、右手のうさぎのパペットをぱくぱくっと操った。
淫魔の名はシア。人間に紛れ込むため、小湊・潮愛(こみなと・しあ)を名乗っている。
彼女は現在、新潟県上越市の谷浜海水浴場近くの旅館で住み込みで働きながらその時を待っている。
「その旅館に女将がいたらよかったのだけど、不幸にも男所帯の旅館だったらしい。簡単に淫魔を受け入れてしまったようだ」
呟く千星。
「だが、不幸中の幸いか、この淫魔は武蔵坂学園の存在を知らないし、現在は他の淫魔とつながりは無く孤立状態。しかも、この旅館の人間を操って事件を起こすという考えも無さそうだ」
淫魔は夜になると、自分が復活した浜辺にやってきて、海を見ることを日課にしているという。
「ただの散歩なんだか、命令待ちなのか分からんが。そのときを狙って叩けば、簡単に灼滅することが出来ると思われる」
また、戦闘になるとサウンドソルジャーと怪談蝋燭と同様のサイキックを使用する。
「そしてもうひとつ、この淫魔は篭絡した一般人を強化一般人としていない」
ただ、戦闘の気配で篭絡された一般人が戦場に近づくことも考慮してほしいと千星は告げ。
「この淫魔一人が大淫魔サイレーンの戦力となる。なので最良の未来を紡ぐ一歩を皆に託したい」
よろしく頼む。と、千星は自信満々に笑んだ。
参加者 | |
---|---|
近江谷・由衛(貝砂の器・d02564) |
姫条・セカイ(黎明の響き・d03014) |
空井・玉(リンクス・d03686) |
エアン・エルフォード(ウィンダミア・d14788) |
葉新・百花(お昼ね羽根まくら・d14789) |
山田・透流(自称雷神の生まれ変わり・d17836) |
居木・久良(ロケットハート・d18214) |
白石・作楽(櫻帰葬・d21566) |
●
夕日もすっかり西に落ち、あたりはすっかり夜の色。
寄せては返す波の音の向こうには、満天の星と佐渡の明かりが遠くに見える。あとは灯台の光がこちらを照らしたり、あちらに灯をたなびかせたりしていた。
灼滅者が海岸についたころには、その姿はもうすでにあった。
手にするのは柔らかな蝋燭の明かり。その月明かりに照らされて青白く輝く髪に、華奢ではあるが豊満な身体。妖艶な姿に、その愁いを帯びた横顔が麗しく、纏う浴衣は淫らに着崩されている。
海岸にいるのはこの女性だけ。灼滅者はこの女性を狙いのシアだと確信づけた。
「海を毎日見にいくことに、いったいなんの意味があるんだろう? 普通に考えたら、一昔前の少女漫画みたいでロマンチックなんだけど……」
山田・透流(自称雷神の生まれ変わり・d17836)は、夜の海と同化しそうな後姿をみつめた。
美しい女性が物憂げに夜の海を見ている。
普通だったらどんなに平和的だったろう。
実際は、大淫魔の命令を待っているダークネス……。
そう、この事件が、淫魔を倒すことが自分たちが紡ぎだす未来の第一歩。
できるだけ多くの存在が仲良く暮らせる未来のため。
居木・久良(ロケットハート・d18214)の心は、この静寂と比例して高鳴っている。
「いつも通り、為すべき事を為そう」
つぶやいたのは空井・玉(リンクス・d03686)。
たとえ相手が今は害がないダークネスだとしても、成果のため、従来通り自分の仕事を粛々と。
ローズブラウンの髪を潮風に揺らしながら、葉新・百花(お昼ね羽根まくら・d14789)はそっとサウンドシャッターを展開させると、
「こんばんは」
近江谷・由衛(貝砂の器・d02564)は気だるげにゆるりと彼女の隣に歩み寄ると、小さく挨拶をした。
「……夜に一人で出歩くのは危ないわよ」
「そうね。でも、こうしている時間が大切なのよ」
大人びた笑みを浮かべる。
「もしかして、だれかをまってるとか?」
由衛の問いにシアは微かに目を丸くした。だけどまた微笑みを浮かべ。
「そうね」
と遠くの空を眺め始めた。
こう近くで彼女を見ると大きな脅威になる存在ではないと感じる。だけど、忠誠心は強そう。
いつでも戦闘態勢に入れるように位置について由衛はシアを見据えた。
姫条・セカイ(黎明の響き・d03014)は故郷を思う歌を波に乗せていた。その歌を止めてシアの隣に立ち、同じように空を見上げる。
「何を……御覧になっているのですか?」
「故郷。かしらね」
比喩表現なのだろう、そう言うとシアはふっと自嘲して見せた。その横顔を眺めるセカイの心中は穏やかではない。
彼女は篭絡している人々を配下にしていないし、事件も起こしてはいない。
少なくとも今現在において無害であり、話せば分かり合えるとすら感じてしまう。
とはいえ今は無害の淫魔・シアも、先の名古屋を惨状に陥れた者と同じダークネスであることに変わりはない……。
まだ何もしていない。でも、これからするかもしれない。
だから、そうなる前に叩き潰す。
事件を起こしていないダークネスを灼滅することに疑問を感じるのは確かだ。
だけど、何を善として、何を悪とするか……。立場が違えばそれも変わってくるから。
エアン・エルフォード(ウィンダミア・d14788)は恋人である百花を少し後ろに連れて、シアに近づく。
自分達が灼滅者だとすぐに気付くだろうか……。
切り出すにはこの声掛けしかない。
「こんばんは、サイレーンからの連絡は何かあったかな?」
いままで穏やかだったシアが表情を一変、振り返ったその表情はひどく驚いている。
「なぜ、サイレーン様のお名前を知っているの……」
こんな若者が、人間が、なぜ……!
エアンの展開した殺界形成が音もなく、緊張感を増すかの如く張り巡らされる。
「一般人を配下にしなかった理由は大淫魔の指示がないからか?」
ランプを片手に、もう片方の手でなびく髪を抑えて尋ねるのは白石・作楽(櫻帰葬・d21566)。後ろにはビハインドの琥界がゆらり、下げ髪を揺らしていた。
「貴殿が内陸の繁華街に出ずに、海に固執している以上、海に関わるのだろうとは理解しているが……、大淫魔サイレーンとはどういったダークネスなんだ?」
作楽のランプに明々と照らされたシアは歯をきしませていた。
質問を無視し、いまだ押し黙っている理由。それは、目の前の八人が何者か理解できないことにある。
普通の人間が大淫魔サイレーンの存在を察知できるはずがない。
この子たちはいったい、何者なの……。
動揺する中、シアの脳裏に一つの可能性が浮かび上がる。
サイレーンを知っていて、自分の行動も把握されているとしたら――。その存在が今まさに自分と対峙していても合点が行く。
「まさか、灼滅者……!」
しかも群れで行動するほど、数が多いなんて……!
「わたくし達はおそらく貴女が知りたい今の状況についての情報を持っています」
冷や汗を一筋、砂に落としたシアの前に、セカイが歩み寄る。
ダークネスを灼滅すべきだという使命も、仲間の意見も勿論理解している。
でも、それでも……それは本当にあの小さなエクスブレインの言う、自分たちが目指す『最良の未来』なのだろうか?
それは賭けのような交渉だ。
「その代わりにサイレーンの事について教えて戴けませんか?」
「会って間もないあなたたちを信頼しろっていうの? わたしが信頼を寄せているのは、ただ一人!」
「旅館の人間をまだ操ってはいないようだね……。それは、どうしてだろう?」
彼らを巻き込みたくなかったのか。それとも、いつでも出来ると思っていたのか。
エアンが尋ねると、セカイが乞う。
「サイレーンの命があれば無辜の人々も犠牲にしますか? ……それよりも、今の様な静かな暮らしを続けていったりはできませんか?」
話せばわかってくれる相手なのではないだろうか。だけど、セカイの微かな期待は、シアの嘲笑によって打ち消される。
「サイレーン様のご命令なくとも、篭絡した人間を弄び殺すことなんて、容易いことよ」
やはり大淫魔サイレーンへの忠誠心は強い。この様子だとサイレーンの情報も漏らさないだろう。
……灼滅するしかないでしょうね。
由衛はいつでも愛用の大鎌を武装するできるよう、ふらりと右手に力を籠める。
「俺は居木・久良」
久良は名乗る。この後、どうするのかを訪ねようと考えていたけど、この様子だと、きたる未来は見えていた。
この淫魔は、いずれきっと旅館の人たちを、この集落の人たちを……。
「悪いけど、あなたのしたいようにさせるわけにはいけないんだよね」
その手に表れたのは、ロケットハンマー『モーニング・グロウ』。
「……あなたたちの目的は、何?」
鬼気迫る表情のシア。現代の情勢を知らない彼女の驚き狼狽える様は実に愉快。
透流は目を細めて、目前の淫魔を見下し冷笑を浮かべる。
「我が物顔で世界を支配してきたダークネスめ。いま、その支配があなたたちが間引きし続けてきた灼滅者によって覆されようとしているのはいったいどんな気分だ?」
「……殺す! お前ら灼滅者を一匹残らず駆除してやる!!」
日本海の潮騒より激しく。
髪を振り乱し正体を顕したシア。黒々とした翼と角は月明かりを反射して顕れる。そしてその手に握られた荒々しく燃える蝋燭が、戦いの火蓋を切ったのだった。
●
鬼気迫る表情のシアが歌うのは、呪いの歌。神秘の歌声は透流を惑わし始める。
その旋律を打ち消さんと、セカイは天上の歌声で呪い歌を吹き消してみせた。
「……正体を顕したな、ダークネス」
体勢を整えた透流はまっすぐにシアを見据えた。握られた拳には雷が宿る。砂地を蹴ってその懐へ飛び込むと、アッパーカットがその端正な顎に入る。
「Release」
小さくつぶやいて武装した玉の足元には、月明かりにもくっきり映える己の影。
『3-1=』は光源を無視してシアを絡めとると、玉の隣に現れたのはライドキャリバーのクオリア。
ブオンとひとふかし、大きな音を上げてエンジンを鳴らすと、玉が颯爽と騎乗する。
「行くよクオリア、轢いて潰す」
その声に呼応したクオリアのタイヤが砂地を掻き乱して急発進し、繊細な淫魔をはねとばした。
「くっ……」
落下寸前でひと羽ばたきして体勢を立て直したシアを取り囲んだのは、
「次、行くよ」
と、声を上げたエアンが放出させたどす黒い霧。
この戦いは学園の、灼滅者の新たな一歩。どういう結果を生むのか、見ておきたい。
自分がその第一歩になる。エアンの業は制度を増す。
自分が望む『多くの命が仲良く暮らす世界』のためなら、この命もかけられる。倒すべく相手は倒す。その覚悟もある。
黒い霧をはらうかの如く速さでシアの目前まで飛んだのは、久良。
しなやかに力強く、蒸気を上げて唸るハンマーを思い切り振りかぶってシアを殴り飛ばした。
相手には翼がある。
「一期は夢よ、ただ狂え」
着陸軌道を読み取った作楽は小さくつぶやくと、一瞬にして大きく膨れ上がらせた腕を軽々持ち上げながら、目標地点まで駆けた。
そして拍子を合わせて強靭な力でシアを殴り飛ばすと、琥界は宙を飛ばされるシアに向けて霊障波を飛ばす。
「阿修羅が一撃、如何だ?」
辛うじて砂地に転げる寸前に体勢を立て直し、膝をついたシアを一瞥。
「……っ」
シアは灼滅者を鬼の形相で睨み付けた。
その隙にと、百花のウィングキャットであるリアンはひと鳴き、しっぽのリングを光らせて透流の回復しきれなかったに図を回復させると、
「ひとの未来の為に……再びの眠りを」
百花はそっと伸ばした影にシアを飲み込ませた。
「これから、自分が何をするかも解っていないから……せめて長引かせずに、終わらせたいと思います」
それが人類のため。
そしてシアのためでもあると思う。
先ほどの気だるげな様子から打って変わって、真剣なまなざしの由衛。
少しでもサイレーンの手がかりが得られればいいとは思っていたが、その望みも薄い。
足元に力を籠めると、轟轟と燃える炎を纏った蹴りをシアに放った。
炎を振り払いながらシアは歌う。清らかな響きは彼女の傷を癒していった。
「灼滅者……! お前らみたいな羽虫を、サイレーン様の元には行かせないっ!」
金切り声は激しく痛々しく、潮騒の音をも凌駕した。
●
戦いの主導権は、常に灼滅者が握っていた。
8人の連携も非の打ちどころがなく、シアに一片の隙も与えない。
盾役のサーバントは積極的に仲間や主を庇い、回復の連携も密にする。
「……害虫共がっ……! 消えなさい!!」
シアの蝋燭の炎がゆらりと揺らめくと、大輪の薔薇を花開かせた。その炎はエアンに飛び火するが、
「えあんさん、大丈夫っ?」
ありったけの癒しの力と想いを込めて。
百花がとリアンがエアンの傷を癒す。
「ありがとう、もも。リアンも」
心配そうに眉を下げる恋人を安心させるように笑んで、エアンはシアに向き直る。構えた標識を赤く染めると彼女の目前まで跳んで、思い切り殴りつけた。
エアンの癒しきれなかった傷を回復されて、セカイはやるせない思いを抱く。
今は無害だと信じていたシア。
それでも、大淫魔サイレーンの命令なくとも人々を弄ぶと宣ったこの淫魔を……。
自分たちは、灼滅しなければならない。
害虫とは心外ね。
思うけど、あえて口にはしない。由衛は伸ばした指先に意識を集中させると、現れるのは光の魔法陣。さらに陣から飛んでいくのは光の矢。
矢は傷つくシアの体を撃つ。
思わず、言葉にならない声を漏らすシア。
久良はガトリングガン『454ウィスラー』を構える。
「できるなら、笑いあいたいんだよねっ」
シアに言うわけでもない、独り言。
自分の最良の未来のために、思いっきりやる。
ガチャンと銃口を相手に向けて放つのは、爆炎の魔力を込めた大量の弾丸の連射。
砂地に体に、炎が纏わりつく。シアは黒い翼をはばたかせて逃れようともがく。
「逃がさない」
琥界の霊撃の後に作楽の体から延びるのは、ダイタロスベルト『紅姫紫縁』。鬼火を連れ立った蒼紫色の帯は、その黒い両翼を貫いた。
「きゃあああああ!!」
苦痛に顔をゆがめて墜落するシア。彼女に迫るのは、クオリアと、クオリアに騎乗した玉。
クオリアは轟音を立てて機銃掃射を放つ。その砂埃の向こうに向けて玉が飛ばすのは、リングスラッシャー『"21.05.12"』の光輪。輪は微かに煙るあちら側で、何かを切り刻む音を立てた。
砂埃が落ち着く。それ以前に透流は『雷光』を構えていた。
「あなたは大淫魔サイレーンの配下。サイレーンからの命令があれば非道なダークネスに成り果てるに決まってる」
命令なくとも、旅館の人たちを弄び殺すと宣言した。
「被害がまだ出ていないいまのうちに倒させてもらう」
シアにはもう、その殴打を避ける翼も体力もない。透流のみつあみが鞭のようになびき――。
砂地に叩き付けられたシアは、最後の力を振り絞って上半身を少し起こすと、灼滅者たちを弱弱しく見渡す。
「……そ、そんな……」
灼滅者ごときに倒されるなんて。この灼滅者は、いっ……。
思案する意識が遠のく。シアの体が光となって消えだしていた。
「シアさん!」
消えゆくシアに駆け寄ったのは、セカイだった。
孤独に消えるのは、あまりにも悲しすぎる……。
消えゆくシアの上半身をその腕で包み込むが、その腕に重さを感じなくなるまで、そんなに時間はかからなかった。
●
「俺たちは、これからどこに行くんだろうね」
灼滅者たちが次々に武装を解いていく。久良も同じように武装を解いて、遠く海を眺めると、
「ダークネスさんを世界の支配者の座から引きずり下ろすための第一歩を踏み出せた音が、確かに聞こえた気がする」
透流は星と同化していく光を見送って、くるりと背を向けた。
作楽は、戦場となった砂浜を広く見渡す。大淫魔サイレーンの手がかりがないか調べてみたが、特にそれらしきものはなく。
「……えあんさん、お疲れさま」
百花が彼の腕に腕を絡ませると、
「ももも、お疲れさま」
エアンは静かに彼女を見つめ。
交わす言葉は、リベレイターが発射された日の空のことや先ほど自分たちが灼滅した淫魔のこと。
そして、自分たちが守っていくこの世界のこと。
不安に揺れた彼女の瞳をみつめ、つぶやく。
「何があっても、君は俺が守るよ」
百花は頷き、微笑みを返した。
サイレーンの戦力となりうる危険因子を消し去ることに成功した。
だけど――。
「わたくしは……優しさという名の身勝手な理想を彼女に押しつけて、現実が見えていなかったのでしょうか……」
遠く彼方を見つめるセカイの自問自答は、潮風に流されていく。
潮騒は、勝利の賛歌にも、鎮魂歌にも聞こえていた。
作者:朝比奈万理 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2016年5月20日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 2/素敵だった 6/キャラが大事にされていた 2
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