運動会2016~借り物カードが囁く運命

    作者:那珂川未来

    ●開幕! 運動会!
     初夏の香り感じられる六月のはじめ。今年の武蔵坂学園の運動会は、6月5日に開催されます。
     キャンパスや学年という垣根を越えて集まる9つの連合!
     力を合わせ優勝を目指し。勝っても負けても、楽しかったと思えるように。正々堂々戦い抜いて、学園の皆で一つの思い出を作り上げていこう!
     
    ●運命走の頂点ともいえる借り物競走
     運動会は、わりと運動能力がものをいう要素が強いものであるけれど。しかし運動音痴であろうとも一位をもぎ取れる、運命走というものが用意されている事も少なくない。
    「エクスブレインの沙汰さんは参加できないのが残念だと思いますが、今年のMUSASHIは、引き続き二天一流ハイパーの名を冠しているだけでなく、更に巌流島verという一味違う何かを漂わせてますよねー……」
    「毎度捻ってくるよねー、ネーミング……っていうかレキちゃんは何に出るか決めた?」
    「今年こそは僕も金ぴかの一等賞シールを頂くため、借り物競走にエントリーしますよっ!」
     気合いたっぷりに、レキ・アヌン(冥府の髭・dn0073)は用紙に名前をカキカキしながらエントリー。運動は得意な方ではない彼女は、足がものを言う競技は華麗に見えないふりをした。
     僕足が遅いですからという、裏事情のほうを見なかったことにしたのは仙景・沙汰(大学生エクスブレイン・dn0101)。
     そんな借り物競走の内容であるが。
     スタート地点から20m先にばらまかれたカードを一枚拾い、そこに書いてあるものを借りてゴールする――どこの運動会でもよくあるような説明文であるけれど。
     ここは武蔵坂。
     単純な借り物で済むはず無かろう!
     ――である。
     たとえば、眼鏡や鉛筆などのオーソドックスなものであったとしても、色や「特定の誰か」のものと書いてあるかもしれない。白衣や、制服、水着等借りて着てね、アクションしながら走ってねなんて言われるかもしれない。
     借り人競争と名打っている学校もある様に、友達のお兄さんだとか、担任の先生等の可能性もあるだろう。
     更に、ビハインドや霊犬などサーヴァントやルーツ、殲術道具など、武蔵坂でしかありえないないようなものかも……。
    「まぁ、俺は灼滅者じゃないから貸す側で応援させてもらうよ。なんかあったら言ってね」
    「はいっ。沙汰さん、ありがとうなのですっ!」
    「今の内からこうきたら誰に程度は考えておいたらいいかもね……例えば好きな人とか書かれていたらどうするの?」
     くすりと、沙汰はちょっとからかう様に言ったから。
    「ふっ。それなら自前で何とかなりますっ!」
    「は? エッ? 自前!?」
     抜かりはありませんよーとふん反り気味のレキと、自前という言葉&ふんぞり返る意味の掴めなさに目を丸くする沙汰と。
    「じゃじゃーん! 心の恋人!」
     と言って、憧れの芸能人的な勢いで取り出す写真集。
    「僕の理想のお方なのですっ♪」
    「あ、そういうこと……」
     ある意味好きな人ではあるよねなんて思いつつ、これは認められるのか定かではないが、まぁ捻りやアイデアが勝敗を分ける可能性があるというのも、この競技の面白いところ。
     学園内探せば出てくるようなものしか書かれていないので、あとは運命の女神の悪戯をどう切り返すか。ちょっと難しい借り物を指定されたとしても、組連合で協力し合って、皆で乗りきっていこう!

     さて――君が選んだ運命のカードは、何を囁く?
     


    ■リプレイ


     さわやかな風と、澄渡る青空。
     そして大地に広がる、大量の青い紙。
     足の早さは二の次の、運要素万歳な借り物競走の幕開けである。
    (「?! みんな、おっきいっ」)
     軒並み170越え。なんか足早そうな人ばかりと当たったなと、杏子はどきどきしながら。
     ピストル音と共に、鋭い瞬発力でカードの一枚を手にし、無言で確認する詞貴と、
    「赤い瞳の女の子、か――」
     ニヤリ笑って、迷いなく走り出す咲哉。よくぞこのお題を振ってくれたと言いたげの顔で。
    「真珠、迎えに来たぜ!」
     一目散に駆け寄り、その手を繋ぐ咲哉。
     一歩後れめくった治胡のお題はやたら細かいものの、俺はそんなにばかじゃねーと、迷うことなくその人のいる場所へ。
    「おーい、仙景。ちっと俺に……って……何故、仙景の片腕をシキが掴んでんだ……」
    「俺の借り人は沙汰だ」
     唖然としている治胡へと証拠のカードを見せつけて。
     お前うっかり読み間違えていないかとまがおで言い放たれては、不安になって再確認。
    「……いややっぱり仙景だ。ほら見ろよー、シ――」
     すでにそこにいないという罠に、ワナワナ治胡さん!
    「仙景は俺のだ!」
     治胡、くわ!
    「勝負に情もへったくれもない」
     詞貴、しれっ。
    「いや、俺は三人でゴールしてもいいのよ?」
     三角関係ってこんなのなのねと明後日な事を考えながら中立的発言でこの場を諌めようとする沙汰を、すごい勢いで引っ張りながら走る詞貴、遠慮は無い。
    「さ、さとり先輩っ、どこーっ?!」
     杏子のほうはというと、高校生の皆様の背の高さにまた驚くばかりで。誰がいるのか全然見えず、オロオロするばかり。
    「キョン、どうしたのですか?」
     切羽詰まった声を聞き取り、理利は人波をかき分け杏子のもとへ。
    「一緒に来てくださいっ」
     繋いだ手から、伝わる熱。
     杏子も理利、前にいる人達に追いつこうと。頑張りどころで必死に足を前へと。
     一試合目から良い勝負。
    「行くぜ、真珠!」
     振り返れば、真珠の笑顔に咲哉の顔を思わず綻ぶ。折角の学内行事、一緒にゴール目指して頑張れたならもっと嬉しいから。
    「そんなに喋って、足が留守になってはしょうもないだろう」
     スタートダッシュの差。テープを切る詞貴は余裕そうな微笑み向けて。
     一番最後にゴールしたっていい。握った手が大きくて、少しどきどきするけど、やっぱり安心する――『姿を見るだけで、嬉しいと思える人』、先輩と一緒に走れたから。
    「えへへ、ご協力、ありがとうなの」
     元気色の杏子の笑顔に。借り物の内容に理利はドキリとしたけど。
    「……お疲れ様、キョンの力になれて良かった」
     同じく、笑顔で応えて。


     二組目のスタート。猟犬のように駆け出す紫炎と、元気よく走り出すフィオル。
     ピストル音から一拍遅れて、慌てて飛び出すシャルロッテ。そんなとこも可愛いなと思いながら。けれどちょーっとトロイところに心配中の律。
     ぴらりめくった紙を見て、若干頬染め食い入る様に見つめているシャルロッテ。何を引いたんだと律が気になっていたら。
    「……ん? なんかこっち来るぞ?」
     すごい一生懸命かつ笑顔で向かってくる姿。
    「しーちゃんがんばって!」
     カードをめくるとゆっくり頭をふった紫炎へと、紅葉はテディさんと一緒に手をパタパタして声援送ったなら。
     真っ直ぐとこちらに向かってくる紫炎、借りものと察して。
    「えーとなになに?」
     お題はなんですかと紅葉は可愛らしく小首傾げたなら。
    「主人……テディと一緒に……」
    「え、紅葉とテディさんですか?」
     いいよーと、にこっと笑って承諾したなら。
     ふわり。地面から浮き上がる感触に、紅葉は小さく驚き漏らす。
     ちょっぴり照れたように、少しぎゅーっと首を抱いて、頑張って、と囁いて。
     よく考えたらお姫様抱っこは初めてかもしれないと紫炎は思う。
     滞りなく借り人見つける選手たちにも、焦らず乱されず。
    「居た、発見っ! 蘭ちゃん、そのリボン貸して! カモン早く!」
     フィオルは大きく手を振りながら、蘭を呼ぶ。
    「あ、借り物競走? このリボンでいいの?」
     お題が何か、そんなのを聞く余裕もない程、まくしたてる様なフィオルのお願いに、解くリボン。
     自身の髪に飾る姿へ、頑張ってねとエール。するとマレフェキア・フィオルの誕生だと、若干おかしいテンションとドヤ顔で言い放ったと思ったら。
    「……あ、ついでだから一緒にいこ! 証明として!」
     むんずと蘭の手を掴み、にっこり顔のフィオル。戸惑い気味でもお構いなしに、引っ張って。
     律の傍まで辿り着き、シャルロッテは息を急いで整えながら、
    「ちょっとついて来てクダサイ」
     大切な人――というお題をいうのは恥ずかしいから、ただいつもの人懐っこい笑顔でお願い。
     それを律が断るわけもない。指先結んで、一緒に張り出す――んだけれど。
    「……てか、先輩大丈夫?」
     何だか足が少しもつれ気味。
    「大丈夫デスヨ」
     そう言うけど、ドキドキしていて息切れそうなシャルロッテ。
     ちょっと遅れ気味なペースに、かくなるうえは! と、姫抱っこを強行する律。
     競技違いマスヨと吃驚なシャルロッテ。けれど、くるりその首に腕をまわして。
    「飛ばすから、捕まってろよ?」
     競技違うとか言われても、一緒にゴールはゴールだから。


     学校の組連合にわかれたレースと名打っているはず、なのに。何故に見知った顔、しかも特定の集団(クラブ仲間)ばかりが白線に並んでいるのか――。
    「全力全開、運動会楽しむぞーっ!!」
    「クラブの皆には負けられないわ」
    「勝てるように全力でがんばるぜ!」
     そんな偶然も、ただの組みわけの結果程度にしか考えておらぬようで、準備運動に余念がない歌音と朗らかに笑うアメリアと気合い入れるアトシュのお隣でそうですねと相槌打つ美智は、灼滅者と女の勘で何か嫌な予感しかしないのでポケットに水鉄砲を仕込んでおく。
     位置についてーの号令から続く、高らかなピストル音。鋭い早さを見せつけながら、いの一番にカードをめくったのは空。
    「さてさて借り物は……お! 『ゴーグル』か! こいつはラッキー」
    「空さーん、一緒に来てくださ……ん? 空さんもゴーグルですか?」
     同じお題引くなんてこれは矢張り運命と二人が感動した矢先。
    「ゴーグルと書いておりますの!」
     空様、拝借願えますかしらと一切邪気のない残暑と二人の目が合う。
    「借り物は……ゴーグルっすか……」
     二人の後方にて、陽司が意味深なイントネーションで呟いている。
    「ふふふ……ゴーグルですね」
     そして木乃葉の目が、あざとく光っておられた。
    「皆様全員「空さんのゴーグル」が借り物のようですね?」
     しかも燐が笑顔で、余分な一言をさも覆しようもない真実みたいに、その唇から解き放たれた。

     ――何故に皆、示し合せたようにゴーグルを引く?

     おいまてこれぜったいだれかのいんぼう――という顔付きで戦慄抱く空へと、じりじり迫りつつ。
    「これは、合法的にゴーグルを奪う、いや、借りるチャンス!」
     今の今まで謎とされていたそのゴーグルの向こう側ですもの、そりゃあアメリアの目が、得物を狙う猛禽の如くキラン☆ となるのを止められはせんよ。
     ものどもかかれーと高らかに号令を響かせ、獣の如く飛びかかるアトシュとアメリア。
     我先にと逃げるゴーグルを追いかけ、飛びかかるものがいるならば。それを阻止しようとする者もいるわけで。
    「うおー、空様、お覚悟を!」
     徒党組んで飛び出したはずの残暑が、瞬く間に翻り。その持ち前の目力と、自称お嬢様らしい凛々しさと正義感をフル動員して無駄な争いを阻止しようと!
    「やめるのですわみなさ」
     両手広げ高らかに言い切る間もなく。
    「そいつをよこせ~!!」
     カーン!
    「まー!?」
     背中追う木乃葉に吹っ飛ばされ敢え無くコースアウト!
    「や、やられましたわ美智様。……空様……どうか、生き残って……がくっ」
    「残暑さんの犠牲は無駄にはしない! 空さんの素顔は恋人である私だけが許される不可侵領域――!」
     やはり女の勘は正しかったのですと、恋人の素顔を守るため。美智は退場も辞さない構えで必死に阻止!
     じーん。
     感動を禁じえない空。
    「わ、私はゴールよりも空さんが大事ですので……」
     ぽっ。
     赤面の美智。
     そんなリア充オーラがそこはかとなく漂い始めた瞬間、悶々と辺りを包む不穏な空気。
    「RBーーーーーー!!!!」
    「爆……爆……爆破ーーーーー!!」
     アトシュと木乃葉、阿修羅のごとき猛々しいオーラを背負いこみ吠え猛る。
    「HAHAHA、全員巻き込まれようが知らんな! クラブの奴は大半がリア充だからな! 全く問題ない! 爆発しろーーーー!」
     問答無用なアトシュが巻き起こす乱闘の中、漁夫の利を狙う者さえいる。
    「駄目だ空のゴーグルにはとんでもない曰くがー!」
     誰か止めろーと突如鬼気迫る叫びをあげる陽司。
    「え? ゴーグル空兄から外すと危険な事が起こるのか!? それじゃあ空兄からゴーグルとっちゃダメじゃん!!」
     何故か納得しながら歌音が不穏な二人を投げ飛ばす!
     その隙に。
    「いただき!」
     ゴーグルを奪う陽司。
     そうかお前が軍師か。お前が孔明なのか。飛んできた新聞紙を顔面に張り付かせながら、文句を叫ぶ空。
     ふっ、勝った――。
     ゴール前で、ほくそ笑む陽司――だったのですが。
    「ゴーグルを持っているものが必ず通る道は只一つですからね」
     そう。それはゴール。ゴーグルがゴール前に必ずやってくることは間違いないから。攻撃を掻い潜りながら待ち構え、死角より奪い取る燐が、華麗にゴールテープを切ったとさ。


    「ホルン……よくある管楽器ですね。けれどどんとこいです」
     綾奈のお題はメーカー指定等注文多いが、わりと平凡。何がきたら何処へ行くか当たりはすでに付けているから。迷わず吹奏楽部のもとへ。
    「えっと……携帯音楽プレイヤーでありますですね」
     きょろり。音楽好きの当てなら、朋恵は両手に余る程知っているから。目についた人から純に尋ねるつもりで、応援席へとダッシュ!
    「レキちゃん、今、手、空いてる? 一緒に走ってもらってもいーい?」
    「勿論だよっ」
     陽桜のお題は大好きな友達。レキと仲良く手を繋いで走る。
     そんな様を恨めしげに見送りながら、青いカードを手に、菫は絶体絶命の危機に瀕していた。
     彼女のお題。
     ひんにゅう。
     自前では屈辱的、他人には失礼すぎる、一体どないせぇと?
    「……あ、沙汰さん! 音楽プレイヤー持ってないですか、ですっ」
     手を降りながら、朋恵ぱたぱたと駆け寄って。沙汰はすぐにプレイヤーを朋恵へと手渡しながら。
    「頑張れ、朋恵ちゃん」
    「ありがとうございますです!」
     無事借り終えた朋恵を見て焦りを覚えながら、何やら特殊な借り物指定に、頭の中ぐるぐるしている樹里。
    「……白い炎の、灯篭……?」
     去年は友衛と相討ちに終わった水鉄砲、今年こそは決着をと挑んだというのに。友衛はもうゴールへ向かってる。しかも今更ながら思い当たる持ち主は友衛で。一つだけ運がいいとしたら、借り物はゴールの方だという事。
    「……志賀野先輩、大人しく、借りられて欲しいん、だよ……!」
    「え、私を!? しかし困った。実は私もまだなんだ……長剣銃というものなんだが……」
     見せあうお題、二人はくすり。
     だって借り物は、互いに持ち合うものだから。
    「追いあげますよ」
     手加減なしですと、ホルン抱え迫る綾奈。
    「わ、レキちゃん、後ろの人早そうかもっ。んと、走るの苦手なら、ひおがレキちゃんおんぶする!」
     くぐっと頼もしく言ってのける陽桜。
    「ふわ、むしろ重くて走れなくなっちゃう!」
     陽桜ちゃんの為に頑張ると、息巻くレキ。ダッシュダッシュと、二人息を切らながらも全速力!
     皆が着々とゴールを目指すというのに、未だ貧乳の呪いに悩まされた菫が、これでどうだーと突きあげるそれ。
    「ナノー!?」
     よくわからぬまま貸しだされ、ひんにゅうであることをしらしめられたのは、ナノナノの白豚。ある意味まないた!
    「何だったら返さなくても構わないぜ」
     ニヤリ笑う蒼騎。
     栄えあるビリを獲得してしまった菫はといいますと。ぜいぜい肩揺らしつつ、
    「…………これを入れた人、絶対に見つけ出してボコしてやる…………」
     ぎらーん。
     ひんにゅうの恨み、恐るべし。


    「サーニャ殿はいざ尋常に勝負じゃ」
     同じクラスで点数がどうとか、この際なしで。
    「その勝負、受けて立とう!」
     ルティカへと快く返すサーニャ。
     女性同士の爽やかな勝負の隣で、揚々とカードを物色する刑と、借り物は帽子だったらどうしようとハラハラなフリル。
     鋭くスタートを切った刑が鮮やかにめくるなり、
    「成程味噌ラーメン……味噌ラーメン!?」
     一瞬自分が何って言ったのか分からなくなるくらい斜め上のブツに、思考停止する刑。
    「つまりお米かー!」
     くわっ!
     まるで天啓の如く閃いたかのようなサーニャの声。ルティカと借り物のお題が「和テイスト」で被ったものだから、いかに和を感じられる物品を、早く手にしてゴールするかという勝負の真っただ中。
     いや米じゃなくて麺っすよねという、お題を知らぬ故、地味に噛み合っていないツッコミを繰り出す程度には、まだ刑は動揺中。
    「私のお題は……ナノナノですね」
     帽子じゃなくてホッとしながら、フリルはきょろりと辺りを見回したなら。その四文字を聞きつけた蒼騎が物騒な笑み浮かべつつ、ナノナノの白豚を鷲掴み。
    「コイツの事は煮るなり焼くなり好きにしてくれ」
    「ナ、ナノー!?」
     逃げたら焼き豚にするまで言われ、ショックのあまり泣く白豚。構う事無く振りかぶる蒼騎!
    「あ、ありがとうございま――はわ?」
     キャッチしようとしたら、風に帽子を飛ばされたフリルは。飛び出す狼耳のほうが気になって、慌てて追いかけるのは自分の帽子! 白豚、このまま星になってしまうのかー!?
    「ふむ? なんじゃ?」
     ルティカが父兄席から借りた和傘の上、謎の飛来物。回せば転がるものだから、落さぬようゴールへと。
     まさかナノナノが転がっているなんて思いもしない。
    「カップめんであろうと、味噌ラーメンは味噌ラーメンっすよ……」
     用務員さんの非常食の一つを借りて無事ゴールした刑。
     梅おにぎりを手に、一位ゴールで得意げのサーニャ。ルティカは負けて苦笑しつつも悪い気はなく。
    「ルティカ殿が借りたのは――和傘でござるか」
    「なかなかの和テイストじゃろ」
     くるり回して、大和撫子っぽく淑やかにポーズを決めるルティカ。
     そんな時、放送でMVPの名が高らかに。ルティカはくるり、目を煌めかせながら。
    「おおー、サーニャ殿がMVPじゃ!」
    「ルティカ殿、やったでござる! ルティカ殿と一緒に競った故のMVPでござるよ」
     切磋琢磨ってこういう事を云うのでござるなと、サーニャは思いながら。
     勝っても負けても、楽しめればそれが運動会。共に戦った仲間たちと、健闘を称え合った。

    作者:那珂川未来 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年6月5日
    難度:簡単
    参加:31人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 7
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