●海辺の町
「一体、何がどうなっているの!? ……と言うか、ここは何処? 全然、分からないんだけど……!」
突然、復活してしまった大淫魔サイレーン配下の淫魔は、まったく状況を理解する事が出来ぬまま、海辺の町にいた。
何とか状況を把握するため、仲間達にも連絡を取ろうとしたのだが、まったく連絡を取る事が出来なかった。
しかも、大淫魔サイレーンからの指示も来ていないため、迂闊に行動する事さえ出来ない。
そんな状況下で出来る事と言えば、ハーレムを作る事くらいであった。
拠点として選んだのは、海辺の近くにある洋館。
以前まで、富豪が住んでいたようだが、株で失敗して破産した後は、買い手がつかず廃墟と化していた場所である。
淫魔はここに美少女達を集め、ハーレムを作っているらしく、そこで欲望の限りを尽くしているようだ。
●都内某所
「サイキック・リベレイターを使用した事で、大淫魔サイレーンの配下の動きが活発化しているのが確認されています。皆さんには、復活した大淫魔サイレーン配下の淫魔の灼滅をお願いします。復活した淫魔達は、状況を把握しておらず命令なども出されていない為、淫魔の本能に従って行動しているようです。しかし、より上位の淫魔が復活すれば、その命令に従って軍団を作り上げる可能性があるので、今のうちに灼滅できるだけ灼滅しておく事が重要になるでしょう。また最近、復活したばかりのため、武蔵坂の存在も知らないようです。特に誰かの指示も無く、他の淫魔と連絡が取れていませんが、大淫魔配下である為、命令が来たら、すぐに集まる予定のようです。そのため、遠大な計画は行わないようです」
エクスブレインからの依頼はこうだった。
淫魔は露出度の高い格好で、海辺の町にある洋館をハーレム化して、誘惑した美少女達の一部を強化一般人にした上で、自分の身を守らせているらしい。
強化一般人の数は3人ほどだが、元は罪のない一般人なので、なるべく殺さないで欲しいとの事だった。
「まだ淫魔は状況を理解しておらず、ハーレムを拡げつつ、情報収集に専念しているようです。そう言った意味で、灼滅するなら今がチャンスでしょう」
そう言ってエクスブレインが、灼滅者達に淫魔を依頼した。
参加者 | |
---|---|
姫条・セカイ(黎明の響き・d03014) |
葦原・統弥(黒曜の刃・d21438) |
牧野・春(万里を震わす者・d22965) |
深夜白・樹(心は未だ薄氷の上・d32058) |
ウィルヘルミーナ・アイヴァンホー(白と黒のはざまに揺蕩うもの・d33129) |
雪嶋・義人(雪のような白い餅をこの手に・d36295) |
●海辺の洋館
「……ここが淫魔のアジトのようですね」
葦原・統弥(黒曜の刃・d21438)は仲間達と共に、淫魔が拠点にしている海辺の近くにある洋館にやってきた。
淫魔はこの洋館に美少女達を集め、ハーレムを作っているらしく、欲望の限りを尽くしているようだ。
「活発化したサイレーンの配下の淫魔……ですか。被害者をこれ以上増やさない為にも、ここで灼滅しないとですねっ」
深夜白・樹(心は未だ薄氷の上・d32058)が、自分自身に気合を入れた。
事前に配られた資料を読む限り、淫魔は自分の置かれている状況すら分からず、ハーレムを作って情報収集に徹しているようである。
「まあ、ハーレムは男のロマンですし、とやかく言うつもりは有りませんが、身勝手に誘惑するだけなのはどうかと思いますね」
牧野・春(万里を震わす者・d22965)が、呆れた様子で溜息をつく。
どうやら、淫魔は男には全く興味がないらしく、問答無用で排除対象になっているようだ。
「うう……、何だか緊張しますね。と、とりあえず、深呼吸……。ううっ、やっぱり、ダメです。緊張します……」
大豪院・麗華(大学生神薙使い・dn0029)が、気まずい様子で汗を流す。
何やら嫌な予感しかしないため、本音を言えば帰りたいのだが、そんな事を口に出来るような状況ではなかった。
だからと言って、『ビルシャナ、ヒャッホー! デストロイ!』と言った感じの心境にもならないため、どうしていいのか分からず、あたふたしているようである。
「大豪院さん、今日こそはお互い何のトラブルにも遭わないよう頑張りましょう」
姫条・セカイ(黎明の響き・d03014)が、麗華に対して親近感を抱く。
「え、ええ、今日こそは……と言いたいところですが、何やらフラグを立ててしまったような気が……。単なる気のせいだといいんですが、そう思えないところが、怖いですね……」
麗華が苦笑いを浮かべる。
「……あっ! やっぱり、気のせいじゃなかったんですね。実はわたくしもそんな感じがしていたんですが……」
セカイも同じように、苦笑い。
だが、それが分かっていても、フラグを回避する方法が分からないため、覚悟を決めた方が身のためだろう。
「と、とにかく、姫条先輩を淫魔から守らないと……」
雪嶋・義人(雪のような白い餅をこの手に・d36295)が覚悟を決めた様子で、洋館の中に入っていく。
洋館の中には淫魔達がおり、あられもない姿をした美少女達と相手にして、欲望の限りを尽くしている最中だった。
どうやら、美少女達は催眠状態に陥っているらしく、呆けた表情を浮かべたまま、本能の赴くままに行動をしているようである。
「まあ、思ったよりも見る目はあるようですわね」
ウィルヘルミーナ・アイヴァンホー(白と黒のはざまに揺蕩うもの・d33129)が、含みのある笑みを浮かべた。
「……あら? ひょっとして、お客さん? でも、アタシが嫌いなオスも混ざっているようね。まあ、いいわ。仲間に入れてほしいのなら、こっちにいらっしゃい。ただし、オス共は駄目。死にたくなかったら、黙ってそこで眺めてなさい」
淫魔が思わせぶりな態度で、指をペロリと舐める。
「……サイレーン様に役立とうと行動する考えより本能が勝ってしまうのは大した事がない証拠でしょうか?」
そう言ってウィルヘルミーナが、淫魔に皮肉を言うのであった。
●洋館内
「……あら? 何か勘違いをしているようだけど、アタシにとっては大切な、お仕事よ? 別に遊んでいるわけでも、本能の赴くまま行動しているわけでもないの。強いて言うなら、楽しく仕事をしているだけ。まあ、難しい事なんて考えず、こっちにいらっしゃい。たっぷりと可愛がって、何も考えられなくしてあげるから……」
淫魔が小馬鹿にした様子で、傍にいた美少女の身体に指を這わせていく。
その途端、美少女が『はぁん!』と声を上げ、ビクビクと身体を震わせて、グッタリとした。
「おそらく、私達はあなたが必要な情報を持っています。どうしても、知りたいのであれば、私達を魅了してくださいな」
ウィルヘルミーナが挑発するようにして、淫魔に語り掛けていく。
「あらあら、随分と強気なのね。でも、嘘ね」
淫魔がすべてを悟った様子で、クスクスと笑う。
「だって、本当に何か知っているのなら、こんなところに来ないもの。だって、そうでしょ? アタシは何も知らないんだから……。だから、こんなところに来たって、時間の無駄! それが分かっていながら、来るなんて、実際にはあり得ないでしょ?」
そう言って淫魔がウィルヘルミーナ達の顔色を窺った。
「……と言うか、あなた達は誰? 随分とアタシ達の事について知っているようだけど……」
淫魔が警戒した様子で身構えた。
未だにウィルヘルミーナ達が何者なのか理解していないようだが、それでも危険な存在であると認識したようである。
「ただの人類に向けたボランティア活動をする灼滅者ですよ!」
春が淫魔の前に陣取り、自ら名乗りを上げた。
「何だか、よく分からないけど、まあ……、いいわ。せっかくだから、相手をしてあげる」
淫魔が品定めをするようにして、灼滅者達に視線を送っていく。
「それじゃ、どっちが魅力的なのか、試してみましょうか?」
ウィルヘルミーナも美少女達に流し目を送る。
「あらあら、イイ度胸をしているじゃない。だったら、アタシも遠慮なくやらせてもらうわよ。足腰が立たなくなっても知らないんだから。まあ、そうなってしまったら、何も考える事なんて出来なくなってしまうと思うけど……」
淫魔が艶めかしいダンスを踊り、全身からフェロモンを漂わせた。
「はぅん!? だ、駄目…例え身体は流されても心だけは……んぅっ! あぁっ!」
その途端、セカイがHカップの胸を寄せ、全身を桜色に染める。
「うふふふ、この程度でそんなに感じちゃったら、身体がいくつあっても足りないわよ。ほら、みんなも可愛がってあげて」
淫魔が妖艶な笑みを浮かべ、まわりにいた美少女達をけしかけた。
「な、なにをっ……!? ひうっ!?」
これには樹も悲鳴をあげ、必死になって服を押さえる。
しかし、美少女達はお構いなしで、樹の身体にキスを浴びせていく。
「きゃあ!?」
麗華もその巻き添えを食らって、美少女達に襲われ、恥ずかしそうに悲鳴を上げた。
「ひ、姫条先輩、正気に戻って! うっ、うわああ!」
そう言って義人がセカイ達を助けに行こうとしたが、派手にバランスを崩して、胸を掴むようにして倒れ込んだ。
「こ、この手の感触…雪嶋さん!? ご、ごめんなさい。重くないですか?」
セカイがハッとした表情を浮かべ、何とか正気に戻った。
だが、未だに身体がジンジンとしており、ほんのりと身体が熱かった。
「……しばらく眠っていてください」
その間に統弥が美少女達に当て身を放ち、肌を隠すようにして、タオルケットを掛けた。
ウィルヘルミーナも美少女達を天国へと導くと、気絶した彼女達に対して、同じようにタオルケットを掛けるのだった。
●淫魔
「ちょっと! 気絶させるのは、ルール違反じゃないの!? これだから、男は……」
淫魔が統弥を睨んで、ブツブツと愚痴をこぼす。
彼女にとっては予想外の出来事だったため、色々な意味で納得がいかないようである。
「ふふふ……、この程度で動揺するなんて……大した事がありませんわね」
ウィルヘルミーナが含みのある笑みを浮かべ、パッショネイトダンスを使う。
淫魔のまわりには強化一般人達もいたが、骨抜き状態にされてグッタリとしていた。
「……あら? 誤解をしてもらっては困るわ。アタシが本気を出したら、どうなるか教えてあげるわ」
そう言って淫魔がさらに情熱的なダンスを踊っていく。
「か、身体が勝手に……!」
その途端、セカイがほんのり頬を染め、フラフラと淫魔のところに歩いていこうとした。
「ああ、また姫条先輩はふらふらと……。でも、先輩をこれ以上やらせないっ!」
それに気づいた義人が、セカイをギュッと抱きしめ、淫魔をジロリと睨む。
「うふふふふ、いい目をしているじゃない! これであなたが女の子だったら、放っておかなかったんだけど……。でも、それがいつまで持つかしら?」
淫魔が含みのある笑みを浮かべ、セカイ達に投げキッスを送る。
「はぁ……ぁぅ……で、もっ、まけま、せんっ……!」
樹が内股になりながら両足を震わせ、悔しそうに唇を噛み締めた。
「あははは! その顔……、それがいいのよっ! もっと、もっと、アタシに見せて!」
淫魔がウットリとした表情を浮かべ、踊るようにして樹に迫っていく。
「少し、ふざけ過ぎましたね。これですべてを終わらせます」
そう言って春が淫魔にディーヴァズメロディを使う。
「う、嘘……!? い、嫌よ……嫌……」
その影響で淫魔が深い眠りにつくようにして息絶えた。
「これでみんな助ける事が出来ましたね」
統弥がホッとした様子で、美少女達に視線を送る。
もしかすると、催眠状態の時に陥っていた事が、忌まわしい記憶として残っているかも知れないが、それも時間が癒してくれるはずである。
「うう……、やっぱり酷い目に……」
麗華が魂の抜けた表情を浮かべ、その場にぺたんと座り込む。
何とか自分の身を守る事が出来たような気もするが、精神的なダメージが大きいため、しばらく引きずりそうである。
「あの……先ほどは助かりました。ふふっ、凄くかっこ良かったで……」
セカイも我に返って義人にお礼を言おうとしたが、その手に持っているものを見て、表情を強張らせた。
「……あれ? どうしたんですか? このハンカチが何か気に……って、これは姫条先輩の下着!? あ、あの……わざとじゃないんだよーっ!」
義人が慌てた様子で言い訳をしたが、既に手遅れ。
セカイが顔を真っ赤にして平手打ちをすると、その場に泣き崩れるのであった。
作者:ゆうきつかさ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2016年5月24日
難度:普通
参加:6人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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