運動会2016~割るか割られるか、風船割り合戦

    作者:夏雨

    「食らえ! スタンピングバースト!」
     教室中に風船の破裂する音が響き、運動会の準備を進めていた実行委員ら、暮森・結人(未来と光を結ぶエクスブレイン・dn0226)は振り返る。結人は半ば怒鳴るように言った。
    「邪魔するなら帰れ!」
     ポリ袋に大量に詰め込まれた風船の1つを試し割りした未光は、「サーセン」と言って机に戻った。
     もうじき毎年恒例の運動会が武蔵坂学園で行われる。結人は去年同様、実行委員として準備の手伝いに駆り出されていた。今年行われる『風船割り合戦』の準備のために、風船の結び目に30センチほどの長さのひもを1つずつ縛りつけていく作業が黙々と続けられる。暇そうな未光をつかまえて増員したのはいいが、早速延々と続く地味な作業に飽き始めている。
     未光はあくびを噛み殺しながら、手を休めて再度風船割り合戦のルール説明に目を通す。

    ●運動会競技種目『風船割り合戦』ルール概要
     競技参加者は、風船付きのひも1つを足首に結んでもらいます。自分の風船を守りつつ、相手の風船を踏み割るなど、組連合同士で割られずに残っている風船の数を競う競技です。校庭の限られたフィールドで行います。
     風船に手で触れるのは、ルール違反です。足で踏みつけて割るようにしましょう。無論サイキック、ESPの使用も不可です。
     風船を割られた人は、その1戦が終わるまで競技に復帰できません、一時退場となります。
     サーヴァントの参加も認められていますが、いくつかルールがあります。
     サーヴァントは風船に触れてはいけません。サーヴァントが風船を割った場合無効となります。相手にじゃれつく、体を押える、進行妨害などのサポートは可能です。また、ライドキャリバーに騎乗して参加することはできません。
     風船割り合戦は、1試合5分間の時間制限で勝敗を決めます。初戦は1A梅連合から9I薔薇連合の9チーム入り乱れての競技になります。9チームの内上位5チームが2戦目に進むことができ、2戦目で決勝に進む上位2チームを決めます。優勝チームの中から最も優勝に貢献した参加者を決め、MVPとして表彰します。

     赤、青、緑など大量に用意された色とりどりの風船を改めて眺め、未光は自身の連合のチームカラーを確かめる。

    ●各連合の風船色分け
     1A梅連合:赤
     2B桃連合:ピンク
     3C桜連合:白
     4D椿連合:緑
     5E蓮連合:水色
     6F菊連合:黄色
     7G蘭連合:橙色
     8H百合連合:紫
     9I薔薇連合:青

     2人は作業を続けながら参加する競技について話す。
     「選抜競技、どれに出るんよ?」と結人は未光に尋ねた。
    「ん? もちろん風船割り合戦に出るよ」
     未光は飛び切りの笑顔で言い添えた。結人は未光の一言にイラッとせずにはいられなかった。
    「結人くんたちの努力の結晶を、遠慮なしに割ってあげるよ☆」
    「風船じゃなくて足踏まれろ、お前なんか」


    ■リプレイ

    ●競技開始!
    「只今より、『風船割り合戦』を開始します。競技参加者は校庭に――」
     参加者の集合を告げるアナウンスが響き渡った。
     それぞれの組連合のために用意された色とりどりの大量の風船。チームごとに色分けされたひも付きの風船を足に結び、参加者たちは競技開始の合図を万全の状態で待ち受けている。
    「それでは……よーい!」
     教員がスターターピストルを構え、9チームがひしめく校庭の競技場の緊張は一層高まる。
     高らかに1発の号砲が鳴り響き、MVPをかけて闘志を燃やす9チーム入り乱れての1戦目が始まった。相手の風船を割ろうと積極的に動く者はあちこちでスタンピングの嵐を起こし、土ぼこりを舞い上げる。風船を割られないよう相手をかわすのも重要だが、より多くの風船を割っておけば勝利に近づける。
     競技開始と同時に、白い風船のひもを片足に結んだ烏丸・鈴音は、すばやく野乃・御伽と夜伽・夜音から距離を取り、後ずさりながら2人に言った。
    「それじゃあ御伽殿、夜音殿。誰が1番多く割るか勝負ですよー」
     鈴音に向かって、御伽はニヤリと笑いかけ、
    「その勝負、乗ったぜ」
     夜音も鈴音の誘いに力強く答える。
    「負けないよぉ、いざ尋常に勝負さん!」
     3人はそれぞれの組連合の勝利を目指し、標的を定めて散っていく。
     四刻・悠花は自身の組連合の青い風船以外を狙い、臆することなく対戦相手が固まっている陣中へと割り込んでいく。風船が地面についている間を減らそうと、悠花は足を高く振り上げて走り、すれ違い様に相手の風船を踏みつける。悠花がそのまま走り抜けた後には風船の割れる音が響き、退場者が続出した。
     サーヴァントとのコンビプレーを駆使し、崇田・來鯉は霊犬のミッキーと共に無防備な相手を狙う。
    「わん、わワン!」
     まず足元にじゃれつくミッキーが男子学生の注意を引き、來鯉は人懐っこい様子のミッキーにうろたえている相手の背後に素早く回り込んだ。
    「わぁあっ!?」
     パンッという破裂音と共に男子の驚く声が響く。相手の緑の風船を割った來鯉は、「やった!」と小躍りしそうな笑顔でミッキーを連れて退散していく。
    「さて……どうしましょうか」
     リフティングの要領で足の甲に黄色の風船を乗せ、地面との接触を避け続けていた古海・真琴。3人に囲まれた状態で風船を守り続けているが、どう打開すべきか頭をひねっていた。ウイングキャットのペンタクルスも真琴の周りを旋回しながら全方位の動きを見張る。
     真琴の風船を狙うことに夢中になり守りがおろそかになっていた1人は、背後から接近した中崎・翔汰にまんまと風船を割られてしまう。真琴も新手の登場に逃げ惑う1人の風船を踏み割り、防衛の成功と共に相手を退場させる。その成果に対し真琴は満足そうな笑顔を浮かべ、同じ6F菊連合の翔汰に礼をのべた。
    「ありがとうございます。助かりました」
     翔汰は自身の足元を気にしながら答えた。
    「ああ、足のひもで転ばないように気をつけないとな」
     真琴は余裕の表情で「そうですね」と言いつつ、足の甲の上で風船をぽんぽんとはね上げながら、
    「けど、心配はご無用です」

     赤い風船のひもを片足に結んだ古室・智以子は、ひとまずむやみに突撃はせず、他のチームの動向を観察していた。サーヴァントとの連携を駆使する者や、日頃の戦闘で磨かれた技術が冴えている実力者に注意を払いつつ、智以子も積極的に動き出す。
    「あわわ……この風船を割ると後で後悔しますよ」
     追い詰めた鈴音の一言を聞いた月白・未光には、ただ往生際の悪い相手に見えた。
     未光は極悪な笑みを浮かべて言った。
    「ふはははは、どう後悔するのか楽しみだ――」
     その直後、未光の靴底は鈴音の風船をまともに踏み締め、確実に圧力を加える。しかし、風船は割れたものの踏んだ瞬間にバランスを崩す未光。「はらー」と呑気な調子で破裂音に驚く鈴音の目の前で、未光はすっ転んで脇腹を強打する。困惑した表情を浮かべる鈴音は、「こういう意味で言ったつもりはなかったのですが」と1人心中でつぶやいた。
     倒れたまま言葉にならない悲痛な声をあげる未光は隙だらけな状態にある。
    「勝負は非情なの」
     そうつぶやく智以子は仕留めるチャンスを逃すまいと未光に迫る。
    「やらせるかっ!」
     智以子の前に、未光と同じ水色の風船を結んでいる志賀野・友衛が立ち塞がった。友衛は智以子の風船を割ろうと立ち向かい、智以子も相手の攻勢に応じる。互いの足で相手を弾いては反撃を繰り返し、互角に渡り合う友衛と智以子。闘争心むき出しの気迫を感じさせる2人にも風船を狙う気配は近づき、囲まれないように互いに攻撃を切り上げた。
     脇腹を押える未光は「ぐをぉぉ……」とうめきながらひとしきり転げ回った後、ゆっくりと起き上がって智以子に向き直る。
    「や、やるなちびっ子……! けどな、5E蓮連を侮るなよ――」
     智以子は去り際に未光の『ちびっ子』という呼び方に反応する。
    「ちびっ子じゃないの! 智以子なの! それと、あなたが言うセリフじゃないのっ」

    ●2戦目
     1戦目の制限時間終了後、審判役が集計を取り始める。9チームの中から上位チームが2戦目へと進むことができるのだが、各10人で編成されたチームはなかなかの接戦を見せた。半数からそれ以上の風船を守った6チームの内、4チームが同点となり、計6チームが2戦目に進む結果となった。
     1A梅連合、2B桃連合、3C桜連合、5E蓮連合、6F菊連合、9I薔薇連合の面々が見事1戦目を制した。
    「ふふ、みんな2戦目まで来ましたね」
     2戦目を始める態勢を整えながら、結島・静菜は森沢・心太、來鯉と顔を見合わせて言った。『梁山泊』の面々は誰ひとり欠けることなく、それぞれの組連合の風船を守り抜いた。
     引き続き対決の構えを見せ、心太はわくわくした表情で言った。
    「ますます頑張らないといけないね。決勝進出は譲らないよ」
    「僕もミッキーも遠慮しないからねっ!」
     來鯉も心太たちと正々堂々と勝負することを約束し合う。
     準備を終えた6チームは、再び2戦目開始の合図と共に競技を再開する。
     乱戦となった1回戦とは異なり、ある程度人数が絞られた競技場。自由に動き回れる余地ができ、智以子は確実に相手の風船を割ろうと行動方針を定める。6チームの中でも強敵と見ている相手には特に注意を払った。
     特に際立った行動を見せるのは、2B桃連合の戒道・蒼騎。泣き喚くナノナノの白豚を赤い首輪と鎖でつなぎ、ヨーヨーのように振り回しながら相手チームに狙いをつける。
    「まだまだいくぜ! 特訓の成果を見せやがれ!」
    「ナノォォオオオォオ!」
     1戦目でも活躍を見せていた蒼騎と白豚。ナノナノに対する鬼のような仕打ちに震えあがっていた悠花だが、
    (「可哀想ですが、うまく利用できるかもしれませんね……」)
     こっそりと蒼騎の動向を観察していた。

    「どうしたよ? 風船ならここにあるぜ。割られたい奴からかかってこいよ」
     自信たっぷりの御伽の挑発に応じ、白、青、水色の風船の3人がじりじりと距離を縮め始める。その3人の背後へそっと忍び寄った夜音は、無防備な水色の風船を思い切り踏みつけた。御伽は「ちょっ、横取りかよ」と言いながらも、隙を逃さずに青い風船を踏み割る。更に夜音は白い風船を狙いに1歩踏み出すが、背後から近づく気配に慌てて身を翻す。同じく白い風船を持つ鈴音の強襲に対し、御伽もすばやく距離を取る。
    「おいおい、油断ならねえなぁ」
     そう言って苦笑する御伽に対し、鈴音はへらへらと笑いながら、
    「さあさあ、お2人も邪魔をしに来ても良いのですよー?」
     御伽と夜音のそばを行ったり来たりする。
     その時、鈴音たちの方へと投げ飛ばされた白い物体が接近してくる。泣き叫ぶ白豚に気づき、3人は接触を避けようと動く。
     「ふえぇ……!?」と驚いた夜音は、慌てて避けた拍子に尻もちをつく。その瞬間、白豚の飛ぶ方向を狙っていた悠花は、夜音の赤い風船を一撃で踏み割った。
     悠花の奇襲に巻き込まれぬようなんとか風船を守る鈴音は、
    「おっと、夜音殿……!」
     尻もちをついたままの夜音を気にかける。
     2戦目まで粘っていた夜音だったが、がっかりした様子でつぶやいた。
    「うぅ、風船さん割られちゃった……」
     参加者の間を走り抜けていく悠花を見送り、御伽は「惜しかったな」と夜音に手を差し伸べた。

    ●一進一退
     心太は守るだけでなく、積極的に相手の間合いへと攻め入る。日頃から駆使している体術を取り入れ、流れるような体捌きを見せつける。組み伏せるようにして相手の態勢を崩し、順調に他チームの風船の数を減らしていく。9I薔薇連合の決勝進出を脅かす心太の猛進を止めようと、來鯉とミッキーは動き出した。
     心太の目の前に躍り出たミッキーは、吠えて注意を引きつけようとする。しかし、心太はミッキーには一切構わず、背後へ回り込もうとした來鯉の姿を追う。來鯉は構わずに踏み込んでいくが、心太に捕まりそうになると寸でのところで引き返した。ミッキーも果敢に前に出て來鯉の風船を守ろうとする。
    「流石、サーヴァントとの連携は厄介ですね」
     そう言いつつもミッキーの陽道を読んでいた心太に向って、
    「くそー、やっぱりバレちゃうか」
     來鯉は悔しそうな表情を見せる。
    「私との勝負も忘れないでくださいね!」
     静菜はそう言って心太の風船目がけて飛びかかった。心太は両足で飛び乗るような構えを見せた静菜にもいち早く反応し、後方へと体を滑らせる。
     互いに組手を始めるような構えを見せ、静菜と向き合う心太は言った。
    「静菜さん、恋人でも容赦はしませんよ!」
    「望むところです、しんちゃん! では私も、手加減なしでいいですね?」
     挑戦的な笑みを浮かべる静菜に対し、心太は間髪入れずに足元を崩しにかかる。心太の足払いを静菜は飛び跳ねて避けるが、その瞬間心太に手首をつかまれる。静菜はつかまれた腕をひねり、逆に心太の態勢を崩して動きを封じようと動く。しかし、心太もそう簡単にはつかまらず、一進一退の攻防が続く。

    「お姉さん。俺の風船狙ってみない?」
     未光の頭の中のシナリオでは、相手の女子から華麗に逃げ切り、「もーいじわるー☆」とか言われてきゃっきゃウフフな展開になる予定であった。
    「いつでもかかってきていいよー♪ 手加減してあげるからさ――」
     未光と対峙していた椎那・紗里亜は、未光の右肩をがっちりとつかみ、つかんだ肩を軸に体を回転させて瞬時に背後に回り込む。振り返る間もなく、紗里亜は機敏な動きで未光の風船を踏み割った。
     あっさりと風船を割られた未光の間の抜けた表情を見て、
    「あれ? 本当に手加減してくれたんですね」
     紗里亜はまぶしい笑顔を残して去っていった。
     同じ組連合の不動峰・明と協力し合い、紗里亜は得意の中国拳法を基本とする動きで相手を翻弄する。紗里亜と背中合わせに行動する明は堅固な守りを見せ、風船に近づく者はもれなく反撃を食らう。明はひたすら守備に徹し、焦って突撃してくる相手を確実に仕留めていく。
    「さすが不動峰さん! 頼もしいです」
     紗里亜は明の無駄のない動きに感嘆する。明は真剣な面持ちで紗里亜の言葉に答えた。
    「まだまだこれからだ、油断せずにいこう」
     2戦目の残り時間も後半を過ぎた状況で2B桃連合がトップを維持し、決勝進出に王手をかけている。蒼騎によって繰り返し投げ飛ばされる白豚の妨害もあり、差をつけられている他の組連合は焦り出す。
     蒼騎の妨害を阻止するため、自ら前に出て投げ飛ばされた白豚をキャッチした者がいた。
    「この子は、返すよ!」
     友衛はつかまえた白豚を容赦なく蒼騎へと投げ返した。まっすぐに飛んでくる白豚を見た蒼騎は、瞬時に次の行動を見極める。蒼騎にかわされた白豚は地面を転がり、蒼騎は向かってくる友衛を見据え回避行動に専念した。
    「夜音の仇を取らせてもらうぜ」
     他の組連合と点差がきっ抗する中、御伽は悠花に勝負を挑む。
    「こちらも決勝がかかっていますので――」
     悠花も御伽の風船に向かってじりじりと足を滑らせ、
    「やらせはしませんっ!」
     決勝進出のかかる1点を奪いに立ち向かう。体を張って割られるのを防ぐ度にぶつかり合い、風船は何度も互いの足先をかする。全力の抵抗によりうまく体重を乗せ切れず、どちらが先に割れるかは見通しづらい。
     悠花は味方が周囲にいない状況に気づき、包囲網から抜け出そうと動く。御伽は退こうとする悠花の背後へと滑り込み、勝負を決した。

    ●決勝の行方
     悠花の青い風船が散った数秒後、2戦目の終了を告げる合図が響いた。
     決勝に臨むことができるのは、2B桃連合、6F菊連合の2チーム。厄介な相手が残る結果となった決勝戦。残る人数が変われば相手側の攻め方も変わってくるだろう。
     まず攻撃が集中したのは、妨害、援護の担当として2B桃連合に貢献してきた蒼騎と白豚。蒼騎もただではやられず、全力で黄色の風船を割りにいった。
     残り8人、6人、3人同士と、真っ向勝負から削り合う両チーム。明と紗里亜のどちらかが最後の1人になると思われたが、幾度となく相手の攻撃をかわし切り反撃に転じてきた明は、翔汰の風船を割って6F菊連合を追い詰める。
     2B桃連合の明と紗里亜、6F菊連合の御伽と真琴。睨み合う4人、両チームのどちらが勝利を手にするのか、すでに退場となった参加者も固唾を呑んで競技の模様を見守っている。
     両者共に守るばかりでは決着がつかないのもわかってはいるが、相手の動きを読もうと静かに神経を集中させる。
     2人の間に風船を置くようにして構える明と紗里亜を見て、真琴は打開策をひねり出そうとする。
    (「1対1なら、なんとかなりそうなんですけど……」)
     その真琴の横で御伽はつぶやいた。
    「こうなりゃいちかばちか……」
     ペンタクルスは目の前をゆらゆらと浮遊して、御伽が真琴にそっと耳打ちする姿を隠そうとする。
     わずかな間に意を決し、2人は行動に出る。御伽は明たちの間へと突っ込んでいき、風船を狙う。御伽の足取りを見て明と紗里亜は互いのタイミングを合わせ、2人のキックで挟むようにして御伽の風船を割ってみせた。2人の息があったのを喜ぶ束の間、わずかに表情を緩めた明だったが、油断ならないもう1人の動きに機敏に反応する。真琴は囮役の御伽の協力を得て1対1に持ち込むつもりでいた。隙のない明の動きにより背後を捉えきれない結果に陥るが、もう引き返すことはできない。真琴は正面を切って明に挑んだ。
     1つの破裂音が響き、四散した風船の色は――黄色。ピンクの風船を守り切った明と紗里亜、2B桃連合の勝利が確定した。
    「す、すごいです! やりましたね、不動峰さん!」
     会心の笑顔で両手の平を掲げ、ハイタッチを求める紗里亜に応じる明。
    「うまくいったな、椎那も協力してくれた御陰だな」
     普段のポーカーフェイスもこの時ばかりは笑顔をこぼす。
    「えー、ここでMVPの発表です――」
     実行委員がスピーカーからアナウンスを流す。
    「『風船割り合戦』のMVPは、2B桃連合の不動峰・明さんに決定となりました。おめでとうございます!」
     競技場は一層の歓声と拍手に包まれ、『風船割り合戦』は2B桃連合の勝利により幕を閉じた。

    作者:夏雨 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年6月5日
    難度:簡単
    参加:14人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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