運動会2016~激突、組連合対抗800mリレー

    作者:御剣鋼

     6月5日(日)は、武蔵坂学園の運動会!
     今年の運動会も9つの組連合に分かれた、チーム戦になるという。
     此処に。スポーツマンシップにのっとりつつ、激しい戦いの幕が切って落とされようとしていた!
     
    ●組連合対抗800メートルリレー
    「今年もマトモな種目からアレな種目まで、いろいろ揃えてるよな」
     ワタル・ブレイド(中学生魔法使い・dn0008)は何処か気怠げに呟きながらも、運動会の概要が書かれたプリントに、楽しそうに目を通している様子。
     そこに連なる種目は正当派なものから、実にユニークな競技名も混じっていたが、それも武蔵坂学園ならではの特色と思えば、妙に納得できる。
    「まあ、やはり運動会といえばリレーだな」
     ワタルが目を留めた種目は、組連合対抗800メートルリレー。
     同じ組連合の4人一組がチームとなり、1人がトラック1周分の200メートルを走り抜き、次の走者にバトンを繋いで、全800メートルを走り抜く競技だ。
    「シンプルだからこそ応援にも熱が入るし、昨年も白熱していたよー」
    「リレーでは走りの速さだけじゃなくって、チームワークも大切になってきそうだね!」
     当日の意気込みはもちろん、スムーズにバトンが受け渡しできるように、前もって練習しておくのも、勝利への近道になる。
     周りの生徒のアドバイスに耳を傾けながら、ワタルも楽しそうに頷く。
    「スタートダッシュにカーブ、最後の直線にバトンタッチ。どれも一瞬の攻防だからこそ、作戦の練りがいもありそうだ」
     誰が何番目を走り、己がどこで勝負を仕掛けるのか。
     きたる勝負の刻に向けて、ワタルの眼差しが生き生きと輝き出した、その頃……。

    「わたくし、運動が苦手でございますので、応援に回りたく……」
     同時刻、吉祥寺キャンパス。
     申し訳無さそうに告げる里中・清政(高校生エクスブレイン・dn0122)に、周りから参加するだけでも意義があるという、フォローに似た声援が飛び交っていて。
    「走りの速さとか関係ないし、参加した方が良い思い出になるんじゃないかな?」
    「俺も運動苦手で足遅いけどさ、仲間と一緒に走ることは、それだけでも楽しいぜ?」
     同じ組連合の4人なら、男女混合でもクラブのメンバーと一緒でも、大歓迎!
     この機会に気になる子を誘ってみるのも、更なる絆を深めてくれるかも……?
    「そうでございますね。灼滅者様とキャッキャッウフウフする絶好の機会……ゴホン、1つの組連合で何チーム作っても良いとのことですし、わたくしも健闘させて頂きましょう」
    「あー、スポーツマンシップにのっとって、清政君は応援の方が良さそうだな」
    「しくしく」
     チームワークを発揮して走り抜いた思い出と絆は、きっとかけがえのないもの。
     もちろん1位やMVPを取れた場合は、嬉しさと楽しさも2倍3倍だ!
     
     運動会に欠かせない、熱い熱い組連合対抗リレー。
     白熱する800メートルを、かけがえのない仲間と一緒に、走ってみませんか?


    ■リプレイ

    ●戦いの幕開けは十人十色
     晴天のグランドに選手が入場すると、応援で見守る学生からも大きな声援が上がった。
     此処に。組連合対抗800メートルリレーが、まさに始まらんとしていた――!

    「ワタルは第三走者で宜しくな」
    「おう、足手纏いにはならないつもりだぜ」
     気合いが入ったシューズを履き、軽くウォーミングアップする【仏契(ぶっちぎり)】の椎葉・武流(ファイアフォージャー・d08137)に、代走を頼まれたワタル・ブレイド(中学生魔法使い・dn0008)も楽しそうに頷いてみせて。
    「俺も有り余るパワーを、この大一番で完全燃焼させるぜ」
     好きな戦国武将は上杉謙信だけど、謙信のように易々と塩を送るつもりはない。
     瞳に闘志の炎をメラメラと燃やすペラン・ホルテン(大学生シャドウハンター・d22607)に、小石川・智(たとえ明日が来なくても・d20450)が穏やかに微笑む。
    「僕は先輩から声をかけられたんだけど、なんか出来そうな気がしてきた」
     上手く乗せられた気もするけど、あの子にかっこいいところを見せるチャンスだぞと言われてしまえば、不思議とやる気が湧いてくるもの。
     あとは余計なことを考えないで、練習の成果を信じて精一杯走るだけだ……が。
    「ワタル君、去年のバレンタインでチョコをくれないなんて、寂しかったよ」
    「なんで女子から貰ったチョコを、アンタにやらなきゃいけないんだ」
     そんな余計なことを挟むように声を掛けて来たのは、【灼滅の中継線】のアンカー・バールフリット(彼女募集中・d01153)。 
    「Oh! ワタルとアンカーってそういう関係なの!? 東洋の神秘だネ」
    「断じて違う」
    「心中お察しします……」
    「察しなくていいから、助けてくれ」
     同じくノリノリのローラ・トニック(魔法少女ローライズ・d21365)の後ろでは、立花・奈央(正義を信ずる少女・d18380)が申し訳無さそうにしていたけれど、ワタルを助ける気はないらしい。敵だもんね!
    「勝ちにいくのももちろんだけど、宇宙部のアピールもがんばろうね!」
     一方、クラブ仲間でチームを結成した【武蔵坂学園宇宙部】は、メンバーの組連合がバラバラだったため、点数が関係しないエキストラチームになって参戦。
     背中に宇宙部のエンブレムを入れた上着と、揃いのピンバッジを着け、神泉・希紗(理想を胸に秘めし者・d02012)を中心に円陣を組む。
    「こうなれば入賞抜きで楽しむわよ」
    「烈光さんの分も頑張りましょうねぇ」
     練習ではバトンパスを重視して取り組んできたし、意気込みは他チームにも決して負けてはいない。
     ロケットをイメージして色をつけたバトンをヴィントミューレ・シュトウルム(ジーザスシュラウド・d09689)が高らかに掲げると、船勝宮・亜綾(天然おとぼけミサイル娘・d19718)もバトンを合わせ、第一走者の代走で入ってくれたスノウ・シンコート(大学生シャドウハンター・d24529)も、緊張した面差しで頷く。
    (「あれ、清政さんは……?」)
     ふと、応援席に視線を留めたスノウが首を傾げる。
     応援席にも代走にもいないことに不思議に思った彼の後ろで、不穏な呟きが洩れた。
    「まさか執事を標榜する方が失言をなさるとは思いませんでした」
    「「一体、何があったぁッ!」」
     ぼそっと不穏な言葉を呟いたステラ・バールフリット(氷と炎の魔女・d16005)に、アンカーとワタルの背筋がビクっと震える。
     あの自称執事、稀に失礼極まりない暴言を吐くので、簀巻きにでもされたのだろう。
    「ワタル君、話はここまでにして、あのときつけられなかった決着をつけよう」
    「決着も何もオレは第三走者だ」
     無駄にノリノリなアンカーにワタルが吐いた重い溜息は、声援にかき消されてしまう。
    「が、……頑張ってー! みんな!」
     大声援に気圧されそうになりながらも、マギー・モルト(つめたい欠片・d36344)も腹の底から声を張り上げていて。
     戦闘とは違う真剣な眼差しをみせる選手達に、病院生活が長かったマギーの声援にも自然と熱が籠っていく。
     応援席からも盛り上げてくれる中、第一走者が一斉にスタートラインに着いた。

    ●第1走者〜栄冠を目指して
     ピストルの音が鳴り響いた瞬間、講義終了のチャイムと同時に駆け出すが如く、スタートダッシュで先頭をもぎ取ったのは【仏契(ぶっちぎり)】のペラン。
    「いつもどおりにいくぜ」
     一朝事あらば見敵必殺、一発必中。
     大学生としても灼滅者としても日々鍛錬を積み重ね、有り余るパワーを燃焼して飛ばすペランのすぐ横では、【灼滅の中継線】のステラが激しい先頭争いを繰り広げながらも、インコースをキープ。
    (「最後の直線が勝負ですね」)
     美容と健康も兼ねて、運動会のためにスタイルアップも重視した運動を重ねてきたのだ。瞬発力には自信がある方だ。
     巨乳がいないから冷静に走れますとか、不純な動機なんて、全然ないからね!
    (「これでも日々ちゃんと鍛えていますから」)
     可愛い【武蔵坂学園宇宙部】の女の子達のためにも、スノウも負けられない。
     最終カーブの直前に差し掛かり、依然トップを走るのは、ペラン。
     その後ろをステラが続き、少し差が開いていたものの、スノウが喰らい付いていく。
    (「おっと……!」)
     カーブでは速度が速いほど外に膨らんでしまい、バランスも不安定になりやすい。
     全力ダッシュでカーブに入ったペランが、勢い余って転びそうになった時だった。
     カーブを抜けた最後の直線で、インコースからステラが勝負を仕掛けたのは――!
    「この勝負、頂きます」
     一気に加速するステラにペランも対抗しようとするけれど、序盤から飛ばし続けていたのもあり、徐々に失速してしまう。
     ゴール直前で先頭に躍り出たステラは、第二走者の奈央がしっかり掴めるように意識しながら、バトンを託した。
    「すまない、あとは任せた」
     ほぼタッチの差で食い込んだペランも教科書を渡す要領で、智にバトンを手渡す。
     しっかり繋がれたバトンを握りしめ、智は力強く駆け出した。
    「お願いします」
     少し遅れてスノウが伸ばしたバトンをバトンパスを重要視していた亜綾も、無駄のない動作でしっかり受け取った。

    ●第2走者〜想いと共に
    (「……見ててくださいね、ステラさん」)
     初めての運動会の選抜競技は、否が応にも気合が入るもの。
     ステラからトップでバトンを受け取った【灼滅の中継線】の奈央は、そのまま得意な走りで引き離しに掛かる。
     だが、身体能力に自信があっても、慢心は禁物だ。
     すぐ後ろを追う【仏契(ぶっちぎり)】の智の走りにも迷いはなく、いつ逆転されてもおかしくない状況でもあった。
    (「このリレーで優勝したら、僕のことを気にしてくれるかな」)
     ふと、智の脳裏に気になる子の顔が鮮明に過る。
     この200メートルを駆け抜け、ゴールの先にあの子がいると思うと、自然と力が湧いて来て、体も軽く感じられてきて。
    「宇宙部をアピールするためにがんばるのですぅ」
     3位でバトンを受け取った【武蔵坂学園宇宙部】の亜綾も、手を大きく前へと振り、背中のエンブレムを披露するように、応援席の前を走り抜けた。
    「絶対勝つよ」
     奈央に喰らいつく智の走りは力強かったけれど、中々距離を詰めることができない。
     追われるプレッシャーはあったものの、それよりも強い想いが奈央にもあったからだ。
    (「ステラさん、学園の皆さん……私も、頑張ります」)
     奈央の脳裏を過るのは、依頼や授業の合間に皆で取り組んだ、練習の日々。
     自分がここにいるのは、道を踏み外す寸前に助けてくれた、学園の皆のおかげだ……。
    (「だからこそ、ハレの舞台で活躍する姿を見せたいです」)
     その想いを救って貰った体で示すように、奈央は最後の50メートルを全力疾走する。
    「どっちの応援……ええっと……ど、どっちもがんばれっ!」
     皆、大事な学園の仲間。
     だからこそ、誰かの「負け」を願うことが心苦しかったマギーは組連合関係無く、全力で駆ける選手達に等しく声援を送り、同じ組連合の亜綾には一際大きい「頑張ってー!」の声を張り上げて。
    「奈央、こっちだヨ!」
     第三走者のローラが視界に入った奈央は順位を落とすことなく繋ぐべく、力を振り絞り最後まで走り抜ける。
     そして、トップを維持したまま、ローラへと無難にバトンを繋いだ。
    「ワタル君、後は任せたよ!」
    「おう、任せてくれ」
     少し遅れて最後まで走り抜いた智も、ほぼ同時にワタルに声を掛けて、バトンを繋ぐ。
    「ラストスパート、いきますよぉ」
     大声援の中、宇宙部をアピールするように走っていた亜綾も、最後のカーブを曲がる。
     そして、第三走者のヴィントミューレにバトンを託すべく、感覚を研ぎすませた。

    ●第3走者〜反撃の狼煙
    「バトンは……烈光さんではなかったわね」
     点数に絡まなくてもチームで走ることに意義がある、これを示すのも一つの道。
     テイクオーバーゾーンに亜綾が入ったことを確認した【武蔵坂学園宇宙部】のヴィントミューレは直ぐに走り始め、振り返らずに腕だけをまっすぐ後ろに伸ばす。
     顔と体は前を向けたまま、亜綾からも練習通りのタイミングでバトンを受け取ったヴィントミューレは、無駄のない動きで一気に加速した。
    (「とにかく200メートル走って、バトンをアンカーに渡せばいいんだよネ?」)
     ダンスは出来るけれど、200メートルを全力疾走なんて【灼滅の中継線】のローラには無謀にも思えて。
     そんなの上手くいくとは思えない。けれど、そのまさかが手の届く所にあった……。
     そして、それ以上に超やる気でメニュー考えてくれた上に、トップでバトンを繋いでくれた奈央の想いに応えたいと、ローラは必死にトップを走る。
     その時だった。後方から一際大きな歓声と声援が湧いたのは――!
    「ちょ、ヤベエ!」
     絶妙なバトンパスに加え、インコースをキープしたヴィントミューレは、2位を走る【仏契(ぶっちぎり)】のワタルまで、ぐんぐん距離を狭めていて。
    「ワタルさん正念場です、頑張ってください」
     プレッシャーを受けたワタルに、すかさずスノウが大きく4D椿の旗を振り上げる。
     気合いが入った応援と声援を受けたワタルも、応えてみせようと前へ前へと走り出す。
    (「後は、アンカーにこのバトンを繋げるだけだネ」)
     きっと、この道のりの先にも、共に走る仲間が待っているから。
     ローラは心の中で練習の日々を追憶しながら、トップで最終カーブを曲がり切る。
     そして、最終走者のアンカーと眼が合った瞬間、最後の力を振り絞り、走り抜けた。
    「ワタル、もう少しだ!」
     トップでバトンを受け取った【灼滅の中継線】のアンカーを横目で見送った武流は、ワタルが走り終える少し前に駆け出すイメージで、ギアをあげていて。
     その手から練習通りにしっかりバトンを受け取ると、一気に加速する。
    (「かなり距離を狭めることができたわね」)
     ここまで詰めれば、最終走者の希紗が巻き返すことも可能な範囲だ。
     ヴィントミューレはペース配分に気をつけながら、ラストスパートを掛け抜ける。
     希紗の負担を少しでも減らして、皆で繋げたバトンを託すために――!
    「あとは任せたわ」
     テイクオーバーゾーンに差し掛かったヴィントミューレの合図を受け、希紗は前を見据えたまま腕だけを後ろに伸ばす。
    「了解、全力で走りぬくよ!」
     練習通りに互いの呼吸を合わせるや否や、滑るようにバトンが受け継がれていく。
     一気に点火、加速する希紗の背を見送ったヴィントミューレは、1人安堵を洩らした。
    「もう少しで2位を追い抜くことが出来たわね」
     だが、ヴィントミューレの快走がチームに大きく貢献したのは事実。
     そのタイムは、第一走者から第三走者の中では一番の最速と言う、区間賞ともいうべき好タイムだった。

    ●最終走者〜仲間と共に
     トップで最終走者にバトンを繋いだのは【灼滅の中継線】。
     けれど、ローラと息があわなかったアンカーは、危うくバトンを落としかけてしまう。
    (「思わぬ時間ロスだな」)
     アンカーは涼しい顔で皆が繋いでくれたバトンをしっかり握ると、視線を上げ、ただ前だけを見据えて加速する。
     これで上位チームの差はほんの僅か。最後までどこが勝つのかわからない、デットヒートになるのは避けられなくなった。
    (「総合陸上競技部副部長として、ハンパな走りは出来ないからな」)
     あとは、己が死力を尽くすのみ――!
     そのすぐ後ろを【仏契(ぶっちぎり)】の武流が追い掛ける。
     武流が勝負を仕掛けるのはカーブ。練習ではトラックでのコーナリングを意識した走り込みを行っているだけあって、先頭を走るアンカーを着実に追い詰めていて。
    「今日のわたしは月を目指すロケットだよ!」
     無駄の無いバトンパスからロケットダッシュを決めた希紗もぐんぐん加速し、更に距離を狭めていて。
     先頭を走るアンカーを後続がプレッシャーを掛け続ける中、応援する声が一際大きくグラウンドに鳴り響く。
     ――残り100メートル。
     最終カーブで仕掛けたのは、武流だ。
    「勝負!」
     武流は速度を落とさないまま、全力疾走で最終カーブに入る。
     誰もが外に膨らむかと思いきや、鋭い踏み込みでインコースに食い込むと、勢いを乗せたまま、最後の直線に差し掛かった。
    「わたしも負けないよ!」
     ――残り50メートル。
     その直線状のバトルフィールドは小細工無しの、全力疾走勝負!
     最終カーブを曲がった希紗もゴールを見据えて、ロケットの如く一気に加速する。
     アンカーも全速力で駆け抜けようとするけれど、2人の勢いは止まらない!
     勢い付いた武流がアンカーに並び、ロケットの如く怒濤の追い上げを見せた希紗も、ついに先頭に並んだ瞬間だった。
     最終走者の3人は、ほぼ前のめりになる形でゴールに飛び込み、そして――!
    「や、やったーー!!」
     1位をもぎ取ったのは、紙一重の差で最後まで逃げ切ってみせた【灼滅の中継線】。
     一息置く間もなく武流が転がりこみ、希紗がヘッドスライディングの勢いでゴールテープを切ると、ゴールの向こうで手に汗を握りしめていたメンバーが駆け寄り、割れんばかりの拍手で3人を包み込んだのだった。

    ●分かち合う栄冠
    「本当にお疲れ様!」
    「ありがとう、私が走っていた時にも聞こえました」
     対抗リレーの優勝を果たした【灼滅の中継線】が喜びの歓声を上げる中、走り終えた選手達にもタオルと飲み物を配っていたマギーに、スノウも労いの言葉を掛けていて。
     勝敗は決まり、残るはMVPの発表を待つだけ、だが――。
    「ええっと……どうしたのかな?」
    「少し遅いですね」
     顔を見合わせる、マギーとスノウ。
     どうやら、走りの面だけでは絞ることができず、審議に時間が掛かっているようだ。
     未だ興奮が冷めない中、ついにMVP走者が発表された――!
    「MVPは……【仏契(ぶっちぎり)】の武流様でございます!」
     何故かボロボロになっていた清政がマイクを通した声に、大きな歓声が湧く。
     武流を中心に【仏契(ぶっちぎり)】のメンバーが健闘を讃える中、もう一つ――。
    「また、エキストラチームではございますが、【武蔵坂学園宇宙部】の皆様の素晴らしいアピールと快走にも、惜しみない拍手をお願い致します!」
     割れんばかりの拍手と青空の下、心地良いハイタッチが鳴り響く。
    「……来年は、わたしも競技に参加してみようかな……」
     想いを乗せたバトンは勝利を紡ぐだけでなく、ほんの少しの勇気にもなって。
     互いの健闘を讃えるように惜しみない拍手が鳴り止まぬ中、マギーは柔らかく瞳を細め、晴天に輝く空を見上げたのだった。

    作者:御剣鋼 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年6月5日
    難度:簡単
    参加:12人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 1
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