魔人生徒会からのお誘い~パンケーキ作って食べ放題

    作者:ライ麦

     それは、とある一言から始まった。
    「甘いものが食べたいな……」
     ――学園のどこかの教室。魔人生徒会の一員と思われる、黒いフードと仮面で顔を隠した人物が発した言葉に、生徒達の視線が集まった。その視線に応えるように、その人物は高く、しかし中性的な声――それしか分からないが――で続ける。
    「甘いもの……パンケーキを仲間同士で作って食べたいな。いや……どれだけ食べれるかやってみたいな」
     と。ソースは、参加者が好きなものを選んでかけられるように何種類も用意して。生クリームも自由にかけ放題にしてみたらどうだろう……と楽しげなアイデアが次々に出てくる。
    「あ、折角だから特製の激辛ソースも用意しようか。良かったらチャレンジしてみてね、ってことで」
     そこまで言い終えた人物は、仮面越しにぐるっと生徒達を見渡して尋ねる。
    「ということでみんなでパンケーキ食べようよ。こういう企画どうかな?」
     その問いに、反対の声を上げる者は誰もいない。かくして、パンケーキ作って食べ放題祭りの幕は上がったのだった。

    「パ、パンケーキ……!」
     『パンケーキを皆で作って食べよう!』という魔人生徒会からのお知らせが貼り出されたその日。密かに(バレバレ?)スイーツ好きの桜田・美葉(桜花のエクスブレイン・dn0148)は掲示板の前で思わず足を止めた。
    「なるほど、パンケーキ作って食べて、己の限界に挑戦するイベントかぁ」
     一緒にいた榛原・七月(廃墟と悪戯・dn0228)も件のチラシを覗き込む。
    「いえ、無理に限界に挑戦しなくてもいいと思いますが……お腹心配ですし」
     突っ込み入れつつ、美葉は改めてチラシに目をやる。
    「でも、楽しそうですよね。パンケーキ作るのも食べるのも! あっ、ソースも好きなの選べるみたいですし! 生クリームも自由にかけられるみたいだし、色々トッピングしてみるのも面白そうですー」
    「特製の激辛ソースもあるのか……すごい、楽しそう」
     激辛ソースの文字に、七月の瞳も輝く。悪戯好きな彼のこと、激辛ソースを使ったくだらない悪戯でも考えているんだろうが、スルーしとけば問題ない。

     ――というわけで。あなたも、パンケーキを心ゆくまで楽しんでみませんか?


    ■リプレイ

     パティシエールを目指し、製菓学部に通っている紗綾は真剣にパンケーキを作る。自分用は、チョコとバナナと生クリームをたっぷり豪奢に盛り付けて。焼きたてのパンケーキにチョコとバニラのアイスを添えて、温度差のある食感を楽しむのもよし。後は友達へのお土産用に、小さなパンケーキにあんこをサンドしたどら焼き風パンケーキサンドを幾つも拵えた。

     杏子は心桜と一緒に、四苦八苦しながらケーキを焼いて。7段に積んだケーキの山の上に、生クリームをたっぷり乗せ、中にも外にも、クリームと苺と桃を並べる。仕上げにカラフルなチョコスプレーをぱらぱらっと振りかけて、最後にピンクのハート型チョコを置けば……白と桃色に彩られた、こっこ先輩をイメージしたパンケーキの出来上がり!
     心桜もお揃いの7段パンケーキ! 生クリームにカスタード、パイナップルとキウイ、マンゴーソースでちょっぴりハワイアン風。仕上げに生クリームで羽を描いたらキョン嬢とねこさんイメージパンケーキの出来上がり♪
    「わあ、こっこ先輩のおいしそうなのっ!」
    「キョン嬢のパンケーキも美味しそうじゃ……わらわからもどうぞ、召し上がってのう」

     【なりクラ】は、闇堕ちから帰還した望の無事を祝う会を開催。
    「お帰りなさい、黒絶さん」
     そう声をかけながらシャオは、皆のためにパンケーキを作る。ドライフルーツ入り、ブルーベリーとクリームチーズ……。ココア風味は大人の味。
    「あー、えーと、あれをこうして、あー。デザート系は苦手なんだよ……」
     アトシュはぼやきつつ、シャオに手伝ってもらって豪華に盛り付ける。ケーキリングを使って厚く焼いたパンケーキに、生クリームとチョコソースをかけ、薄く切った苺を添えて。
    「何はともあれお疲れさん。それと……おかえり。無事戻ってきたんだ、俺が腕によりをかけて作ってやるよ」
     蓮が作るのは、マシュマロを溶かして生地に入れ込んだふわふわのマシュマロパンケーキに、薄いパンケーキをミルフィーユのように重ねてチョコや生クリームも一緒に重ねたケーキ。紅音も望のために、スイーツ系のパンケーキから、ごはん系のパンケーキまで幅広く作る。
    「まぁ、望が食べてくれればそれで満足だから」
     葉月は作る方に専念。一方で、ひたすら食べる人もいる。
    「めっちゃ食べるねんっ♪ うまうまーー!」
     エクルは幸せそうに生クリームとチョコレートソースをかけた5段パンケーキを頬張る。黒も美味しそうに生クリームを大量につけ、苺ソースを沢山かけて、際限なく食べ続ける。途中でシャオに、
    「このソース美味しいから食べてみてよ」
     と勧めてみたり。だがそれは激辛ソースがかかったパンケーキ。
    「ふきゅっ!? こ、こりぇ、かりゃ……っ!!」
     シャオ、撃沈。ニヤリと笑い、黒はまた食べ始めた。
     何にしても、本日の主役は望だ。アトシュは三段重ねパンケーキを差し出し、
    「……望、お帰り。本当に……無事でよかった」
     と柔らかい微笑みを浮かべる。恥ずかしかったらしく、その後俯いて後片付けやらなにやら始めてしまったが。紅音もスイーツ系のパンケーキを片端からもぐもぐしながら、
    「……帰ってきてくれてありがとう。改めてこれからも宜しく、望さん」
     と声をかけた。シャオも望用に特別なパンケーキを作る。重ねたパンケーキに生クリームを塗って、苺をリース型に乗せたらできあがり。チョコレートソースで、『くろたちさんおかえりなさい』と書いて。
     皆のパンケーキを前に、望は目隠しを外して呟く。
    「あの……私なんかの為に……ありがとうございます……その……ただいま……」
     顔を赤らめて、目に少し涙を浮かべて。そんな望に、葉月は
    「ん……あーん、とか、私がしたら駄目かしらね……? 2人が良いのならしたいのだけど……」
     と望と、恋人のエクルを気遣いながら尋ねる。勿論、という返事に、葉月は安堵してあーん、と差し出す。
    「美味しいです……」
     小さく呟き、望は
    「その……本当はこんなことを言う資格はないのでしょうけど……私も皆さんと一緒にいたいです……これからも末永くよろしくお願いします……」
     と頭を下げた。
    「こちらこそ、よろしくね。それとお帰りなさい」
     黒は小さく笑う。葉月も、
    「帰って来てくれて有り難う。これからも、宜しく」
     と微笑んで返した。
    「望、おかえり……これからも、一緒にいてくれたら、うれしいな」
     エクルも恋人に柔らかな視線を注いだ。

    「空さん、一緒にパンケーキタワー作りましょう!」
    「いいねぇ、有名店顔負けの立派なのを作ろうじゃネェか」
     美智の提案に乗ったはいいものの、空は料理は『できないわけじゃないが苦手』レベル。
    「う、うーむ、中々上手く行かないな、どうにも大きさが不安定だ……」
     悩む空の傍ら、美智は楽しそうにベリー類+苺ソースの酸味系トッピングと、あずき+抹茶ソースの和風トッピングを施していく。空も一緒になってトッピングしていくが。
    「ちょっと盛り付け過ぎた? ……ま、これも個性的って事で!」
     少し不恰好になってしまったパンケーキタワーを前に、空は言う。
    「俺が派手やって美智がそれを支える……俺達らしいパンケーキになったんじゃネェかな! ……なんてな」
     そうですね、と笑い、美智はパンケーキを差し出す。
    「恋人同士になった今なら堂々とこれが出来ますね。はい、あーん♪」

    「修斗、修斗、ふんわりしたの、作りたい! 10枚はかるく、行ける気がする! から、沢山つくろ!」
     裕也は目を輝かせて、恋人で執事の修斗の袖を引く。
    「ふんわりですか……これとこれを追加すればたしか」
     修斗は考えながら材料を加え、パンケーキを次々焼き上げていった。
    「流石修斗、ふんわりだっ」
     手伝う裕也もその仕上がりににっこり。お互いに違うソースをかけては、一口交換して。
    「ふわっふわで美味しい! へへ、またこうやって一緒に作ってたべたいなーっ」
     限界に挑戦する勢いで食べながら、幸せそうに笑う裕也に修斗は
    「また作りましょうか、次は自宅で……」
     と声をかけた。

     陽桜は以前ネットで調べて作ってみた食事系パンケーキを美葉にお披露目。
    「まずは、クリームチーズと牛乳を混ぜながら温めて、とろみが出たらコンソメで味をつけるの」
     ふむふむ、と興味深そうに眺める美葉に、
    「それからパンケーキを重ねて、このソースと、メープルシロップと、これをのせるのです!」
     と、じゃーんと見せたのはなんと「花かつお」。盛りつけ、
    「騙されたと思って一口どうぞ♪」
     と差し出す。
    「花かつお!? 意外な組み合わせですね……」
     驚き、おそるおそる口にした美葉の瞳がパァっと輝いた。
    「……おいしっ」

    「製菓学部に在籍してるからには、この企画は黙っちゃいられないわ」
     【フィニクス】の鈴音は張り切って様々な種類のパンケーキを拵えていく。まずはシンプルにバターとメープルシロップで。さらに塩キャラメルソースとバニラアイスを乗せて熱さと冷たさのコントラスト。ベリーのコンフィチュールにホイップクリームを添えても美味しい。軽食系はアボカドとエビのサラダと一緒に。エッグスラットをつけて食べるのもお薦め。さらには、サーヴァント用も米粉と豆乳の生地で作ってみせた。
    「氷上さん、流石だなぁ」
     唸る勇弥。彼も負けずに、生地の配合から拘ったスフレ風食感の厚いパンケーキを焼き上げる。
    「わたしは厚焼きに挑戦してみようかな」
     凜は勇弥にも手ほどきしてもらいながら、型に生地を流し込んで待つこと数分。ひっくり返してもう片面も焼いて……。
    「やった、大成功!」
     出来上がりに笑みを浮かべる。さらにもう一つ、薄焼きのパンケーキでクリームとカットフルーツをくるんでオムレット風に。これは二人へ。
    「小さな気泡が出来てしまったのは、大丈夫なんでしょうか?」
     昭乃が勇弥に尋ねる。この程度なら大丈夫、とお墨付きをもらった後は一人で! 焦げ目がちょっとついてしまったのはご愛嬌。
     久良はバターのいい香りがするパンケーキを丁寧に心を込めて焼いていく。優しい味に仕上がりますように。
    「生地はかき混ぜず、掬ったならばぼたりと落とすを繰り返すとグーであります!」
    「へー、かき混ぜないんだ?」
     バンリの解説を聞きながら、さくらえが相槌を打つ。
    「これがふかふかになるのか? ふむ、興味深いな」
     司狼も顎に手を当てて生地を覗き込む。そして作るのは手伝わない。手伝いはビハインドの橘のお仕事。
    「我は出来るのを待っておるぞ!」
     作成風景を前に、空凛は微笑む。そして傍らの双調に、
    「これはおいしいものが頂けそうですね」
     と話しかけた。
    「はい、空凜さん。漂う甘い香りがたまりません」
     双調も相槌を打つ。と、さくらえが不意に腕捲りした。
    「ワタシもやりたくなっちゃった☆ 涼子さんもどうよ?」
     手招きする彼に、
    「……さくら、手伝うからちと待て?」
     勇弥は冷や汗を浮かべる。案の定、さくらえは失敗めいた危険な動きをするも、しっかりフォローをもらっていた。
    「えっと、こんな感じかしら」
     涼子は危なっかしい手つきで生地を混ぜる。途中で勇弥にボウルを押さえて貰えば安心して、何とか焼き終えた。
    「……作り手が多いと失敗しても安心できるわ」
     そう、しみじみ呟いて。
     いよいよお食事タイム。皆にはいっぱい食べてもらわないとね、と久良はウェイターの仕事に徹する。もちろん、サーブ中に笑顔は忘れない。
    「いただきまーす♪ こう、堂々と珈琲飲めるのも幸せだね」
     珈琲解禁祝いの珈琲パンケーキと、珈琲を前に、さくらえは嬉しそうに手を合わせる。
    「王道も美味しい、パンケーキってアイスも合うわ。甘くないパンケーキも新鮮!」
     涼子も仲間達のパンケーキに舌鼓を打つ。自信なさげな昭乃の品も、
    「月宮さんのカリカリパンケーキも美味しいわ」
     と褒めていた。
    「うちのカフェのシロップも用意してきたから、色々と試してみてよ」
     勇弥がオレンジ、桜等の13種を取出し勧める。
    「フィニクスのシロップは大好きです。特に桜のフレーバーが」
     空凜の声に、
    「私はヘーゼルナッツが贔屓です」
     双調も後に続く。もちろん、それらに限らず作ってくれたものは全部食べる所存だ。絆も尻尾を振って鈴音が作ってくれたパンケーキを食べている。その鈴音は、美葉と七月を見つけると声をかけた。
    「はい、美葉ちゃんには桜のエッセンス入りホイップとさくらんぼのコンフィチュール、ミルクアイスを添えて。七月君にはチョコソースと斜めに切ったバナナ、バニラアイスでパフェ風にね」
    「わ、私達の分まで……すごい、ありがとうございます!」
     感激して受け取る美葉に、
    「これはお返ししないとね。はい、どうぞー」
     と自分が焼いたパンケーキを差し出す七月。
    「ありがとうございま……ほげぎゃーー!!」
     それをうっかり口にしてしまったバンリ、絶叫。
    「或里さん、大丈夫かい?!」
     慌てて勇弥が水を差し出し、
    「あれ、バンリさん? ……え、辛いって!?」
     凜は首を強く横に振ってわたしじゃない+食べませんアピール。陰で七月が舌を出していた。

    「お好み焼きなら焼いたことあるとか言ってた私も成長しました。生地にマヨネーズ混ぜるといいとか……あれからよく作ってるので結構うまくなってるよ!」
     得意げに言いながら、やりだすと楽しくなってきて黙々とパンケーキを焼いちゃう郁。
    「へーマヨネーズ入れるんだ? ほんと、手際よくなったねえ」
     修太郎が感心の声を上げる。
    「僕もちょっと焼いてみようかな……トッピングはどうしよう。生クリームは絶対で、あとアイスクリームものせて……」
     呟きながら、グラノーラとキャラメルソースでまずひと皿。次はバターにはちみつ……これだけあるなら重ねて色々挟んでみようか、と修太郎は郁に視線を向ける。彼女は苺やブルーベリーをたくさん乗せていた。
    「あとナッツの蜂蜜漬けって一度試してみたかった。贅沢してる気分!」
     ウキウキと乗せる郁に、修太郎も笑う。
    「ベリーとかナッツとか、椿森さんのはやっぱり女の子らしいよね。あ、どれかひと口交換して?」

    「粉は切るように混ぜるのがコツと聞いた。任せろ、粉だろうがボウルだろうが一刀両断……」
    「しなくていいから! 助手とか大丈夫だから! 食べ専でいてお願い……!」
     初っ端から不穏な【沈黙】。晴汰は円理のボウル一刀両断を必死で阻止した。
     成海が用意した生地は3つ。爽やかな空と海の青、鮮やかなハイビスカスの赤、燦々と輝く太陽の黄をイメージしたウベ、クランベリー、マンゴーを……素手で生絞り! ストファイの迸る本気の前に允も戦意喪失。
    「混ぜはイコ先生、お願いします」
     すっと差し出す成海。イコもカトラリーを並べ、紫陽花を飾りつつ成海に視線は釘付けだった。
    「えと、僭越ながらわたしも成海先輩の助手を務めます、ね? 大丈夫ですムルムル先輩に差し上げる分には一切手出しいたしませんから……!」
    「そんなこと言わず嶌森も本気出してください頼むから」
     晴汰は、生絞りは見て見ぬ振りして形で個性を出す。まずは普通に丸いのを人数分、残りの生地は抜き型に流して焼いて飾りに。イコには星型、円蔵には兎型、允には飛行機型、成海には魚型、円理には蒟蒻もとい、四角型。それらを丸く焼いたパンケーキに乗せて完成!
    「ふふ、喰らえ俺の女子力!」
     允も感心。
    「俺丸く焼く以外の事を考えた事なかったわ」
     言ってる内にどこかから漂う焦げ臭。このまま振り返らず藤平とパンケーキだけ連れ去りたい。
     発生源はやっぱり成海だった。食材にはよく火を通せとの教え通り、こんがり焼き……過ぎたのでブルーハワイ、チリ、マスタードの特製ソースで補正し、皿に盛りつけて完成。
     円理は滾る冒険心に従い激辛ソースたぱー。
    「これぞ血塗られし蒟蒻……意外といけるな」
     そのままイコに見せ付けるように(しかしイコは見てなかった)、円蔵へ激辛あーんを決行。
    「さあもっと(味覚的に)熱くなるといい!」
     円蔵はすかさず成海作のトロピカル……? な逸品をあーん仕返し。
    「ヒヒ、激辛とトロピカルが織り成すハーモニーを堪能あれ」
    「なっ、カウンター?! 熱帯の味が輪になってタップダンスで襲撃してくる……あ、後は任せたぞ允允」
     円理が意識を手放す。
    「此処は中和するため、晴汰さん作の可愛い兎パンケーキをイコさん、甘々な感じであーんして下さいなぁ」
     円蔵のおねだりに、イコも
    「わたしにもくださいな!」
     と返す。あーんと交わせば、滴るシロップよりも甘く蕩ける笑顔。みんな仲良しの光景に心もほこほこ。
    「あれっ皆割と平然と食ってね? マジかよこれが愛の力か……」
     愕然と呟く允に、成海が迫る。
    「あら、九井先輩達のラブラブっぷりに妬けちゃった? ならば私が食べさせてあげましょう」
     そして三切れ纏めて突撃。
    「えっナルさんあの、わ~三色トロピカル~食べるの勿体なーい! せめて一枚ず」
     言いかけた言葉は断末魔に消えた。晴汰の心は熱帯どころか寒帯に。そんな彼にも円蔵の魔の手が迫る。
    「晴汰さんにもあーんとトロピカルな幸せお裾分けですよぉ!」
    「いやいや、色んなあーん見てたらもうお腹いっぱい! なので先輩お裾分けとかどうぞお気になさらず……!」

     【夢の里】の二人は大きなホットプレートで巨大パンケーキ作りに挑戦! 一番の難関はひっくり返す時。失敗は許されない! 二人で力を合わせて……。
    「「せーのっ!」」
     ひっくり返して見えたのは綺麗な焼き色。
    「……上手くいったのですーっ! やったー!」
    「やったね♪ 成功♪」
     顔を見合わせて笑い合い、ハイタッチを交わす。焼きあがった後はクリームや果物を綺麗に飾って頂きます!
    「甘くて美味しい!」
     感激して頬を押さえる聖也に、カーリーは
    「はい♪ あ~ん♪」
     と大きな塊で差し出す。例え彼が食べきれなくても自分が食べる所存。巨大パンケーキもカーリーの食べ方だとあっという間になくなってしまいそうだ。

     ひよりは何枚も高く重ねたパンケーキに、蕩けるバターと琥珀色のメープルシロップをかけていく。小さい頃に読んだ絵本みたいに。
     春もパンケーキタワー! 二人が焼いたパンケーキふかっふかって重ねて、キャラメルシロップ掛けて、チョコとバニラのアイス乗っけて。
    「苺はひよりちゃん、ブルーベリーは春。こんがりローストしたナッツはナツマで、わたしはー……」
     悩む紗奈にひよりが助け舟を出す。
    「さなちゃんなら……ミントの葉とか、キウイとか似合いそう」
    「うんっ、キウイにする!」
     紗奈はにっこり。パンケーキの上でもみんな並んで仲良し。
    「さなー、オレの皿にチョコソースでナツマ描いて」
     春のリクエストにも笑顔で応じる。クリームは夏の雲みたいにもくもくおっきく! 見てたらなんだか。
    「またピクニック行きたくなっちゃった。夏休みまだかなぁ」
     呟く紗奈に、春が言う。
    「そういやもうすぐ夏休みかー。取り敢えず駄菓子屋は通うじゃん? ピクニックで川遊びとか!」
     紗奈は頷きながら、チョコソースの川にアラザンを散らす。天の川みたいに。
    「みんなで星を見に行くのもいいな」
    「星って山とか? ひよ姉はどこ行きたい?」
    「わたしは、海とか行きたいな。みんなで遊びに行こうね」
     ひよりもにっこり。皆でパンケーキをわけっこしながら、楽しい話は尽きない。

    作者:ライ麦 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年6月15日
    難度:簡単
    参加:40人
    結果:成功!
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