ポレポレしていってね!

    作者:黒柴好人

     茨城県笠間市。
     ここではポレポレという単語が日常に溶け込んでいた。
     ポレポレとは何か?
     それは笠間市民のみぞ知る禁断の呪文、とされている気がする。
    「稲荷うめぇ!」
    「ゆべしうめぇ!」
     そしてポレポレを知らぬ者が2人。
     くるみが入ったいなり寿司と、某社の偉い人も絶賛する謎の美味さを誇るゆべしを食しながら市内の稲荷神社近くの参道を歩いていた。
    「時に兄弟、先程神社で引いたおみくじの結果、そろそろ教えてくれてもいいじゃないか」
    「……人には知らない方が幸せになれる事もある、という格言を知らないのか?」
    「格言なのか。かくいう俺は大吉だったわけだが」
    「貴様か! 貴様が私の運を!!」
    「落ち着け! 落ち着くんだ! ……ま、まさか兄弟……」
    「ああ、私は凶さ。凶星のもとに集いし凶男なのさ」
    「兄弟……」
    「いやだが気にするものか! この凶の効果をぶっちぎるほど、俺は走る! 走って凶を振りきってやるんだ!!」
    「兄弟! あの夕日に向かって走るんだな!」
    「今日は絶好の曇天日和だけどな!」
     彼らは知らなかった。
     この笠間の地では行き急ぐことをよしとしない者がいるという事を。
    「ポレポレしていってね!」
    「え」
    「え」
     その後2人はポレポレされたという。
    「ポレポレされたという」
     神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)はそう締めくくった。
    「ポレポレされるとは、この2人も不運だったな……」
     ヤマトはそう嘆いた。
    「ポレポレか。俺も経験はないが、さぞポレポレだったろうな」
     ヤマトは天井を仰ぎ見た。
    「ポレポレし過ぎちまったな。これはうっかりだぜ」
     ヤマトは本題に入るようだ。
    「ポレポレ怪人が出た。ご当地怪人だ。ポレポレする事で世界を征服しようとしているんだ。ああ、なんてポレポレなこった……!」
     ヤマトは頭を抱えた。
    「ポレポレ怪人はなんでもいい。とにかく『早い』か『速い』奴をポレポレしてしまう恐るべき怪人だ」
     ヤマトは力説した。
    「ポレポレされた者は……いや、皆まで言うまい。ポレポレなんだからな」
     ヤマトは言葉を濁した。
    「ポレポレ怪人は笠間の大型複合商業施設付近に潜んでいるらしい」
     ヤマトは地図を広げ、目標地点に大きな丸を描いた。
    「ポレポレ怪人は一般的な大人並みの身長で、椰子の木に手足が生えたような格好をしている」
     ヤマトは自分より少し高い位置を指し、その驚異を身をもって示した。
    「ポレポレ怪人は椰子の実を拳につけ、ポレポレとしたパンチを放ってくる。また、遠距離にポレポレルームという相手の動きを制限するポレポレな攻撃を仕掛けてくる。気をつけてくれ」
     ヤマトはポレポレという文字を地図上に相手の戦力情報を書き加えていった。
    「ポレポレ怪人は『笠間五凶星』と呼ばれる配下を引き連れているようだ。その名の通り5人で構成されている」
     ヤマトは五凶星は高確率で死にやすいという方法を付け加えた。
    「ポレポレに関する情報はこれくらいか。戦力としてはそれなりだが、ポレポレされないように十分気を付けてくれ」
     ヤマトは集まった全員に注意を促した。
     一連の説明はこれにて終わる。
     なお、ポレポレに関する一切のツッコミは受け付けないのであしからずご了承いただきたい。


    参加者
    鏡・剣(高校生ストリートファイター・d00006)
    白・理一(空想虚言者・d00213)
    イオノ・アナスタシア(七星皇女・d00380)
    アルヴァレス・シュヴァイツァー(蒼の守護騎士・d02160)
    立湧・辰一(カピタノイーハトーブ・d02312)
    土邑・柊(空薙・d02333)
    鳴神・稜平(レッドフェダーイン・d03236)
    天羽・桔平(悠閑神風・d03549)

    ■リプレイ

    ●ポレポレ
    「ポレポレ……まさか噂の……」
     鏡・剣(高校生ストリートファイター・d00006)は息を呑んだ。
    「これが、笠間市の力、か……」
    「この空気、予想以上ですね。これ以上ポレポレ被害を出させる訳にはいきません……」
     剣の言葉に同調するように頷き、緊張の面持ちで意志を固めるアルヴァレス・シュヴァイツァー(蒼の守護騎士・d02160)。
    「人にはポレポレが必要な時もありますが、それを強要しては本当のポレポレとは言えません」
    「全くその通りだな」
    「間違ったポレポレを正しましょう……!」
    「そうだ、それでいい。さあ、俺をポレポレできるもんならしてみろ!!」
     果たして彼らとポレポレの運命は!
     その答えは、ポレポレの向こう側に。
    (「この流れで『ポレポレって何?』とは聞けないよねぇ……?」)
     少年漫画の広告カットのように今にも飛び出しそうな2人を遠目に、白・理一(空想虚言者・d00213)は思う。
    「ポレポレさんのポレポレって何だ……?」
    「それはおれも気になってた。ポレポレって……何なんだよ?」
     独り言のようにのんびりと呟く天羽・桔平(悠閑神風・d03549)に鳴神・稜平(レッドフェダーイン・d03236)がやや憤った様子で同調する。
    「悪い意味じゃなさそうだけど……ぬー……」
     桔平は眉根を寄せていたが、
    「まいっかー♪」
    「いいのか!?」
     それも束の間。突然ぱあっと朗らかな顔になっていた。
    「くそっ、気になって仕方がねえのはおれだけか!? それとも知らない方が幸せなのか?」
    「まぁまぁ。お互い気にしないようにしようかぁ」
    「う……。まあいいか。気にしたら負けだとか天の声が聞こえた気がするし」
     理一に肩をポンポンされ、稜平は嘆息しながら諦めたような表情になっていた。
    「お、何か盛り上がってるな。おーい、例のモノ買ってきたぞー」
    「買いすぎたかもしらんけどなー」
     そこへ、幾つかの袋を下げた立湧・辰一(カピタノイーハトーブ・d02312)と土邑・柊(空薙・d02333)が仲間たちのもとへと戻ってきた。
    「ありがとうございます。広げるの、手伝いますね」
     下ろされた袋をひとつ持ち、近くのベンチへと運ぶイオノ・アナスタシア(七星皇女・d00380)。
    「よっ、と」
    「おお、これが」
     包みを開けた中身は――。
    「「「いなり寿司!!」」」
     笠間といえばいなり寿司。
     神社の参道近くにはいなり寿司を提供する店が軒を連ね、参拝者や観光客の目や舌を楽しませている。
    「この稲荷寿司を早食いしておびき寄せるんよねー?」
    「ああ。ちなみに早食いもヒーローの資質の一つだ」
     辰一はメガネの位置を直し、語る。
    「それはまたなんでなんー?」
    「ゆっくり食べてちゃ、いざって時に間に合わないからな。よく見るだろう? ヒーローが敵の急襲に気付き、食べかけていたものを一気に詰め込むシーンを」
    「ヒーローは大変やねんなー」
     しかしそれはあくまでもヒーローの緊急対処法であり、真似はしないように。
     辰一との約束だ。
    「どこ見て何言ってんだ? 辰一」
    「いや、気にするな」
    「さて、そろそろいただきましょうか」
     準備を整えていたイオノの言葉に、一行はそれぞれの定位置に着いた。
    「待ってましたー。早食いとか大食いには自信があるんよー?」
    「へぇ。ホントはゆっくり味わって喰いたかったけど、まあしょうがねえよなあ!」
    「いざ――」
    「「「いただきますッ!!」」」
     辰一、柊、稜平の3人はその腕を振るい、眼前のいなり寿司に喰い掛かった。
    「この油揚げ……甘い! 良い感じに甘いがしかし米の味を妨害しているという訳でもなくその甘い主張はするりと解け、しかしながら全体の調和を執っている!?」
    「見よ! この箸さばき、この咀嚼速度、この嚥下速度をー!」
    「んー……蕎麦入りもなかなかだけど……もぐぐ……胡桃も……捨てがたいな……むしゃむしゃ」
     辰一が高速で食しながら味を品評し、柊の食事速度は頬を常に膨らませながらのファステストフォワード……まさに早送り映像でお送りしているかの如くであり、稜平は同時に複数種類のいなりを攻略していく烈火の攻めで叩き込む。
     見よ! いなり寿司がひとつ、またひとつと我々の識る世界から姿を消して行く!
    「早食いってこんな壮絶なモノだったのかよ……」
     周囲の警戒にあたっている剣は思わず息を呑んだ。同時にアルヴァレスは確信する。
    「しかしこの速度ならきっと現れるでしょうね」
    「だな。これで出て来なかったら……あ?」
     ふと剣が早食い3人衆の隣に視線を動かすと、
    「いろんな具が入ってんだねー……うん、おいしー♪」
    「わあ、軍艦巻きみたいになっているいなりずしもあるんですねー」
    「イオノちゃんの鶏そぼろが乗ってるの、ひとつもらっていいかなー?」
    「はい、いいですよ! 私も桔平さんの、もらっちゃいますね」
     桔平とイオノがいなり寿司を食べている。
     食べているのだが、とてもまったりしている。
    「ピクニックか? 大丈夫なのかよ」
    「ふふ、それはどうでしょう」
    「ありゃどう見ても……それともアルヴァレス、お前……」
     アルヴァレスは「まあ見ていて下さい」と不敵な笑みを浮かべた。
     自分は早食いは得意ではないからと応援する理一の声が響く中、3人衆の動きは更に加速していく。
     作戦は順調。
     に思われたが事件は起きてしまう。
    「まだだ……むぐ、まだおれは食える! ポレポレを忘れられる早さを! もぐう」
     手近にあったいなり寿司を完食した稜平は腕を伸ばす。
     伸ばした先は、
    「もっといなり寿司を!」
    「あっ」
     左隣のイオノの領域だった。
    「それは――」
     それは。
    「それはわたしのおいなりさんです!」
    「「「ぶふぅッ!!」」」
     イオノのおいなりさん。
     いやまて。彼女は何も妙な事を言っていない。確かにそれはイオノのおいなりさんであり、ああ、うん。やっぱりその言い方だと、ね。
    「うゆ、どうかしましたか?」
    「いや……」
    「な、何でも……げふぉあ!」
     何か問題があると感じたならば、その者は年長者であるか或いは心が汚れているか、だ。
    「これが彼女の奥義、高速噴出誘発発言なんですよ!」
    「!?」
     アルヴァレス、この事を予見していたというのか!
    「ってお前、今思いついただけじゃねぇのか?」
    「さて? 少なくとも、作戦は成功したようですよ」
    「……そうみてぇだな」
     気配を察知したのか剣は口の端を吊り上げ、スレイヤーカードを取り出した。
     そう、奴が現れたのだ。
    「ポレポレしていってね!」

    ●ポレポレポレ
     笠間五凶星は全滅した。
     ……。
     申し訳ない。順序を立てて説明しなければならないのだが、それもまかり通らなかったようだ。
     まずポレポレ怪人と共に5人の配下が現れた。灼滅者たちがちょっと殴ったらその全てがすべからく爆発四散した。
    (「敵ながら不憫な扱いだよねぇ……」)
     倒すべき敵と理解していても、理一は彼らに同情を禁じ得なかった。
    「開戦数秒で全滅とか馬鹿なの? 死ぬの? もっとワタシのようにポレポレしていけばいいのに?」
     そして合成音声のような、妙に無抑揚で単調な喋り方をするポレポレ怪人も愕然としていた。
    「最近の怪人に付随して出てくるザコ敵すら、もっと歯ごたえがあるぞ。というか名乗らせろ」
    「そんなコト言われてモー」
     辰一はポレポレ怪人を鋭く睨みつけている。
    「そもそもポレポレが調べた意味なら岩手の詩に謳われていたり、某宣言で話題になったりしたわけだが。それでもなお、岩手の人間を前にポレポレを語るとは片腹痛いというものだ」
    「エ?」
    「むしろこっちが本家だと言いたい位だ!」
    「エー」
     いかん、このままでは岩手VS茨城の戦いになってしまう!
    「くっそ、ますます何なんだよ、ポレポレ!」
     稜平も平常心を失いかけている!
    「んー。それじゃあ、こうするのはどうかなぁ」

    「ポレポレしていってね!」
    「出やがったな、ポレポレ怪人!」
    「我、草卒ならず、成すべきことを成すのみ――カピタノ・イーハトーブ。銀河を越えて笠間に見参!」
     灼滅者たちの前に現れたのは椰子の木を単純に擬人化したような文字通りの怪人だった。
    「現代人は急ぎすぎていると思うでしょう? ならばポレポレを強要するコトはむしろ正義! 人間どもに永遠のポレポレをもたらすのは正義!」
    「だからポレポレしろって? ……うーん、お断りするよぉ!」
     怪人の言い分にノーを叩き付ける理一。
     いや、彼だけではない。ここにいる全員が強制的ポレポレを否定するものである!
    「……だからって最初からやり直す必要ってあったのですかねー」
    「俺もどうかと思う。つか早く殴らせろよ」
     イオノと剣は小さく息を吐いた。
     五凶星? そんなものはいなかった。いなかったんや!
    「うわぁ、みんなはやいねー♪」
    「?」
     そんな茶番の中、一行の背後からのんびりした声が聞こえてきた。
    「え、あ、まさか……桔平……」
    「うん、食べ物はよく噛んでゆっくり食べないとねー」
     声の主である桔平はそう言ってお茶を一口。ふう、と幸せそうな息が漏れる。
    「まだ食べていたんですか!?」
    「よく噛みすぎだろ!」
     桔平の顎は丈夫そうだった。
    「なんというポレポレ。ポレポレし過ぎでしょう? とワタシが言いたくなるほどに」
    「褒めてんのか、それ」
    「アナタならわかるでしょう? 世界にはポレポレが必要で、全人類がポレポレするのは必定だと!」
    「ぬーっ、ポレポレの無理強いはよくないぞー!」
    「エー」
     桔平は両手を上げて拒絶の構えを見せた。
    「紅桔梗、天の羽とともに参上~☆」
     そしてその流れで武装を整える。
    「凶なんていうならおみくじで凶でも引いてろ!!」
     剣が奇襲とばかりに跳躍。空中で更なる跳躍を行い、ポレポレ怪人の頭上から鋼鉄拳を叩き込む。
     ポレポレしていて反応はできず、バランスを崩してしまう怪人に容赦なく拳を放つ。そして放つ!
    「オラッ、どうした! ポレポレしてて俺のジャブが見切れねぇのか!?」
    「ぐぬぬ……」
     今までおあずけを食らっていたようなものだ。それが開放された時の反動ときたら……。
    「悠、行くで?」
     柊は彼のサーヴァントである霊犬の悠に優しく合図を送る。
     悠も柊を見上げ、頼もしくこくりと頷きを返した。
     程なく左右に分散した柊と悠。慌てる怪人に悠が飛び掛かり、注意を引く。
    「この攻撃を避けれるもんなら避けとーみ?」
     そしてその反対側から影を伸ばし、怪人を一息に飲み込んだ。
    「ナイス援護なー、悠」
    「ポレポレが……ポレポレが足りない!」
     そう叫びながら辰一にパンチを打つ怪人。
     その軌道は妙にポレポレしているが、
    「っつ、妙に重いな」
     防御を固めるまでの時間的余裕は十分だが、しかし衝撃は体の芯まで響いてくる。
    「ならば。当たれ……当たれ、河北一山百文拳!」
     コンビネーションを加えながらのトラウナックルで打ち抜く!
     拳には拳を、というアレだ。
    「こんなのさっさと終わらせて、早く家に帰りたいなぁ……」
    「ポレポレすればすぐにでも帰れるというのに?」
    「え」
     理一の独り言をポレっと拾った怪人は両腕を広げ、ずいずいと迫ってきた。
    「ういひひひ。ほぉ~れ、ポレポレルゥーム」
    「え……ちょ、やだ! こっち来ないでぇ?!」
    「来ないでと言われて行かないのは逆に失礼だと思へぶう!」
     神薙刃でバッサリとやられる怪人であった。
    「あー……だから来ないでって言ったのにぃ」
     若干涙目ながらもしてやった理一。
    「ぬぐぐ、ならば少女を襲うまで! 怪人といえば何故か子供を襲う不文律があるでしょう?」
    「確かに!」
     納得の辰一。
     律儀な怪人はポレポレルームを使いイオノを襲撃するが。
    「遊園地のアトラクションよりかは楽しめるですね」
    「エ」
     あっさりと回避。
    「うゆ、みなさんは大丈夫ですかー? 痛いの痛いの飛んでけですよー」
    「エ」
     その上苦労して与えたダメージも治癒されてしまう始末。
    「倒す前に聞いてやる。ポレポレって何だ!?」
     チェーンソー剣を唸らせ、稜平が怪人の前に立つ。
    「スワヒリ語でゆ――」
    「スワヒリだかリハビリだか知らねえけど、ここは日本だ! おととい来やがれポレポレヤロー!」
    「聞いておいて聞いてくれなほげー」
     反ポレポレ、超速攻撃の稜平だった。
    「ポレポレさんポレポレさん」
    「ぬ、ぐ……ア、アナタはポレポレ期待の星」
    「やっぱり僕はポレポレさんにはなれないよ。ごめんねー?」
    「イエイエこちらこそって、エ、どうしてワタシ持ち上げられて――」
     のほほんとしながらもご当地ダイナミックをしっかりと決める桔平。
     そこへ歩み寄ったのは穏やかな顔をしたアルヴァレス。
    「いやあ。ここはポレポレっと見逃してく」
    「これは食べられなかったお稲荷さんの分……!」
     一閃。
    「これは雨に降られた分……!」
     一閃。
    「これは早々に合流できなかった分……!」
    「エ」
    「すみません、恨みがある訳じゃありません。唯の八つ当りです。これは二時間待たされた分……!」
    「あの」
    「そしてこれは、何も貰えなかった分だ……!」
    「よくわからないけどゴメンナサイギャアアアアス!!」
     チェーンソーを力のまま振り、叩きつけ、叩きつけ、押し込んだ。
     わあ、とてもみせられないこうけいになっちゃった。
    「ふぅ……何がとは言いませんが少しスッとしました」
     いなり寿司の油で濡れた指をぺろりと舐め、アルヴァレスは笑った。
     笑って、いたんだ……。

    ●ポレポレポレポレ
     戦いは終わり、
    「ごちそうさまをするまでがお食事です」
     とのイオノのお言葉により、残存いなり寿司を全員で食べ終えて一息。
    「少し暴れ足りないっつーか、最後のアレは……」
    「え、何かありましたっけ? ところでこの後はどうしましょうか」
     剣はアルヴァレスの笑顔に封殺された。
    「そうだな、ガイアチャージを兼ねて観光の続きといくか」
    「神社でおみくじ引くのもいいよねぇ。凶とか引いちゃったらどうしよう!」
     辰一の提案に理一がどことなく嬉しそうに凶を引いた際の状況を脳内シミュレートする。
    「ほんなら一仕事終わった所で、ポレポレーっと美味しいもんでも食べながら行こかー?」
     早食いだけでは足りなかったのか、柊は食べ歩きをも宣言しながら一同に振り返った。
    「……甘いものを食べていなかったな」
    「賛成で、す……うゆ……」
    「おい、どうした?」
     こてん、と稜平に寄りかかるイオノ。
     どうやらお腹がいっぱいになって眠くなってしまったようだ。
    「りょうへいくん、イオノちゃんをおんぶしてあげたらー?」
    「なぁ!? ……チッ、今回だけだからな!」
     桔平の言葉に渋々、なのかはわからないが、悪態をつきつつもイオノ抱えた。
    「じゃ、行くとするか」
    「……結局、ポレポレってなんだったんだろうねー」
    「ポレポレというのは――」
     こうして灼滅者たちは笠間の街を救い、そして楽しむのだった。
     新たな笠間五凶星が生まれ――たかどうかは、また別のお話。

    作者:黒柴好人 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2012年10月16日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 2/感動した 1/素敵だった 6/キャラが大事にされていた 12
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