お前もバニーさんにしてやろうか

    作者:空白革命


     『今度は、脱がした後にバニースーツを着せる忍者が出る』。
     草壁・夜雲(中学生サウンドソルジャー・d22308)がそんなことを言って夜の町に飛び出していったのを、仲間たちは公園に出かける我が子のように見送ったという。
     なんでかって、そんな荒唐無稽なやつがいるわけないからだ。
     ダークネスじゃないんだからそこらじゅうに忍者がいるなんて変だし、陽気なアメリカ人がいい加減な忍者知識で噂を広めでもしないかぎりそんな忍者が――。
    「いたんだよ!」
    「いたの!?」
     いたらしいよ!
     
     実体化都市伝説。
     その名もずばり『忍法バニーさんの術』。
     複数人で構成されるその忍者集団は道行く人に襲いかかり、なんでか分からないけど一瞬にして服装をセクシーなバニーガール・コスチュームに変えてしまうという。
     何に配慮したのか知らないがお着替えシーンはフルカットでいつのまにか変わっているという有様だ。
     勿論これは思ったより動きにくいバニーさん衣装によって相手の動きを阻害し、尚且つ食い込みやなんかでじわじわダメージを与えていくという合理的な(合理的な!)攻撃方法である。ちなみにその後目を充血させる勢いでガン見するという攻撃方法をとる。どういうダメージかわからないが、それを受けると誰でもなんでか恥ずかしくなるらしい。
    「こんな忍者、放っておはおけないんだよ。みんな、頑張ってやっつけよう!」


    参加者
    鬼城・蒼香(青にして蒼雷・d00932)
    黒乃・璃羽(キングダム系怪人ハンター・d03447)
    高野・妃那(兎の小夜曲・d09435)
    茂多・静穂(千荊万棘・d17863)
    東雲・蓮華(ホワイトドロップ・d20909)
    草壁・夜雲(中学生サウンドソルジャー・d22308)
    東雲・梔子(狐憑き・d33430)
    ルイセ・オヴェリス(高校生サウンドソルジャー・d35246)

    ■リプレイ


     今宵も美少女たちがエロ漫画みたいな目にあおうとしている。
     水着コンテストの真っ最中だっつーのにここであえてのバニーガールになるってんだから、世の中はどうかしちまっている。
    「それにしても、脱がすだけじゃなくて着せてしまうなんて、手が込んでますね」
    「けど、敵の手口が分かってるなら対策のしようもある。その結論が……」
     鬼城・蒼香(青にして蒼雷・d00932)は頭の後ろで手を組んで胸を反らし。
     ルイセ・オヴェリス(高校生サウンドソルジャー・d35246)は90度前屈みになって膝に手をついた。
     二人とも、見事にバニーガールだった。
    「今のボクらさ!」
    「最初から着てしまえば問題ありませんよね」
    「人それを、本末転倒という」
     後ろでぼそと呟く黒乃・璃羽(キングダム系怪人ハンター・d03447)。
     こんな依頼なのに(もしくはこんな依頼だから)エイティーンと持ってきていないロリ黒乃である。
    「でも……なんでそんなことするんでしょう。意味不明です」
     ウサギのぬいぐるみをぎゅってする高野・妃那(兎の小夜曲・d09435)。
    「……忍者さん、うさぎさん、好き……なのかな」
     ウサギのぬいぐるみをぎゅってする東雲・梔子(狐憑き・d33430)。
     二人はハッとして互いの顔を見合った。
     希少な同類を見つけた顔である。
     さておき。茂多・静穂(千荊万棘・d17863)は自分の身体を庇うような姿勢で震えた。
    「脱がして、あまつさえ着替えさせるなんて……なんて、破廉恥な……」
    「本当です。こんなことだから忍者があやしい目で見られるんですよ」
     東雲・蓮華(ホワイトドロップ・d20909)が目をそらすと、静穂もまた目をそらした。
    「えへへ」
    (笑ってる!?)
     二度見する蓮華。
     そんな美少女たちを背に、美少女の草壁・夜雲(中学生サウンドソルジャー・d22308)は美少女らしく拳を握りしめた。
    「とにかくこんな変態都市伝説は、チンパンジーがにぎったリンゴみたいにしてあげるんだよ!」

    ●おなじみの光景
    「ぐああああああああ割れる割れる拙者の頭が結果にコミットするでござるううううううううう!」
     忍者が夜雲アイアンクローで全身をけいれんさせていた。
    「ブラザー!」
    「このひとでなし!」
    「にんじゃごろし!」
     夜雲はぐったりした忍者をポイした。
    「だまりやがれなんだよ!」
    「夜雲さん口調口調」
    「きみたちみたいな忍者がいるから、ボクの依頼履歴が順調に変態ビンゴしていくんだよ! キャッチフレーズの『行けるところまで行ってみたいな』も受け手側の最近意味が変わりつつあるんだよ!」
     腕を振り上げて突撃する夜雲。しゅばっと分散する忍者たち。
    「ええい、貴様もバニーさんにしてくれる! かかれぇい!」
    「うわーっ!」
     雑にニンジャの立ち柄が夜雲の周囲をジグザグに行き交っている絵でも想像して頂きたい。ここに予算をさくつもりはないのだ。
     と、次の瞬間。
    「わあっ、もうバニーさんに……!」
     夜雲ちゃんがあえて胸を反らしてお尻に食い込むバニースーツの裾を引っ張っているさまを想像して頂きたい。ここには予算をさくつもりである。
     素早く取り出した布を腰に巻いてフレアスカートっぽくする夜雲。
     その一方で、蒼香とルイセがダブルバニーガールポーズで迎え撃った。
    「下がっていて夜雲さん、ここは私たちが!」
    「こんばんはみなさん。既にバニーさんのボクたちにこれ以上手は出せない筈」
    「「かかれぇい!」」
    「「わーっ!」」
     立ち絵がアレするシーンをアレして頂きたい(予算削減)。
     でもって、ルイセが半端ねえハイレグにチェンジさせられたルイセが思わず前屈みになってしまう絵をつま先から頭にかけてのなめ映像でご想像頂きたい。
     ついでにサングラスは胸の谷間にひっかかり、バッグのショルダーベルトは方から腰にかけて伸びているせいでいい具合に谷間が強調されていることをしっかり明記しておこう。挿絵用にな!
     一方こちらは蒼香。既にバニーさんBUがあるから今更バニーさんとか、などと思ってもらっては困る。こちとら遊びじゃねえんだ! 
     胸カバーが首にかけたヒモで支えられているのはいいが網タイツみたいにガン透けなせいで縁についたファーでしか隠せていないというこの有様が! 有様がなあ! 文章だけで表現しきれるわけねえだろ!(どこにお金払ったら見れるんですかね!)
     そんな一方で、静穂はやる気満々に忍者へ襲いかかっていた。
     九割戦闘プレなのかなってくらいの真面目さだった。
    「忍者たちは、しっかり止めなくてはいけません!」
     イカロスをウィングしたり縛霊を撃ったり妄を葬鋏したりの大忙しだ。
     なぜ戦闘シーンを削減したのかって。決まってんだろ!
    「ひゃあ!?」
     おおっと静穂が忍者の反撃をうけてバニースーツに! それもきわどいハイレグと今にもめくれそうなバストカバーといういつものタイプだ! それを四方八方からガン見する忍者たち。
    「あ、ああっ……!」
     胸をお尻を押さえる静穂。
    「み、見られてる」
     目を充血させる忍者たちに囲まれ、静穂は目を瞑った。
    「公道でいきなり服を脱がされて、こんなものを着せられて、あまつさえ見つめるだけなんて……こ、こんな……こんなの……」
    「静穂さんしっかり」
    「こんなの最高じゃないですか!」
    「……」
     静穂は解き放たれた。
     光さす空を舞い上がりながらキラキラと笑った。
    「さあどんどん見てください! すみからすみまで、辱めてください!」
    「……」
     真顔ですすーっと離れていく妃那。
     いっぽう。
    「ほう……ただのバニーガールにさせたい人ではなさそうですね」
     璃羽はパチンと指を鳴らすと、忍者たちを指さした。
    「バニー姿に無理矢理させる忍者たち……略して『バニすが』!」
    「璃羽さんそれ前半しか略せてないです」
    「皆さんに言いたいことがあります!」
    「そ、そうです。言ってあげてください」
     妃那が璃羽の後ろに隠れてウサギさんを抱きしめた。そのまた後ろに隠れる蓮華。
     璃羽は満を持して顔アップになると、きわめてシリアスな顔で言った。
    「私のは黒揃えでお願いします!」
    「「ハイヨロコンデェッ!」」
    「「わーっ!」」
     悲鳴が単調なのは仕様である。あと忍者のアクションシーンが手抜きなのも仕様である。こんなところに文字数さいてる場合じゃねえんだ。
     かくして現われた璃羽バニー。
     要素を三つの言葉で表現してみよう。
     『垂れ耳』『ホットパンツ』『透けキャミ』。
     ふふ、慌てるなよ兄弟たち。たとえ挿絵がなくても脳内に焼き付けてみせるさ。今この瞬間だけわき上がれ文章力!
     黒乃璃羽と言えば上から下まで真っ黒だけどニーハイとミニスカのせいで太ももだけはチラ見えするというバランス感である。これをただひん剥いてさあエロいでしょなどとは大統領が許しても我らが揺るさん。
     まず着目して欲しいのはニーハイから黒ジーンズによるホットパンツまでの僅かな素肌エリアである。勿論ホットパンツのお尻にはウサギしっぽのようなファーがついている。
     次に着目すべきはキャミソールと黒い長手袋で一見全身を覆ったような黒装束である。
     肩口は露出しているが自慢の長い黒髪によって隠れていて、これではいつもの黒装束。しかしながらキャミソールの生地は非常に薄く素肌がきっちり透けて見えているという仕様。つまり、脱がせず透かすことこそ黒乃ファンのとるべき選択であり――あっ尺が!
     尺の都合で進めるが、璃羽がもろに食らったことで後ろに隠れていた筈の妃那や蓮華までバニーさんになってしまっていた。
    「り、璃羽さん! せめて胸とか隠してください! 女性としての恥じらいはもつべきですよ! 私が言うとか、よっぽどですよ!」
    「またまた」
    「『私がそれ以上すごい』みたいな言い方しないでくださいっ」
     ウサギのぬいぐるみで上半身を隠すようにしつつ後じさりする妃那。そんな妃那がふと横目で見た蓮華が、すごいことになっていた。
     よく考えたらバニーさんくらい罰ゲームで経験してるから平気じゃないかなと思っていた蓮華の姿はほぼほぼビキニ。胸を押しつけるくらいのサイズなせいでいつこぼれ落ちてもおかしくない有様で、蓮華はずっとその場にうずくまっていた。
     というのも、実はパンツ部分が犯罪かなってくらいの食い込みを見せているせいである。残念ながらこちらは挿絵申請いただけません。脳内でお楽しみ頂きたい。あと夜雲ちゃんのパフォに『ヒモパンをはいてきます』って書いてあるのも脳内でお楽しみ頂きたい。
    「うう……なんでいつもこんな目に……」
    「……」
     この人の依頼履歴も変態ビンゴがキマってんなと思ったが、あえて口には出すまい。
    「縁、雫……敵を、倒して」
     なんだかんだで妃那たちを盾にしてバニーさん化から逃れていた梔子が七不思議を解き放った。
     夏休み中に濡れたシャツのお姉さんを見たという小学生の一言により男子たちのスタン○バイミーが始まるという噂の濡れT女とそのそばでキュウリ喰いながらじっとりとこっちを見てるビキニカッパという、一回説明されただけじゃよく分からない人たちが忍者に襲いかかった。詳しいことは梔子ちゃんの依頼履歴から調べて欲しい。調べた上で『濡れTじゃないじゃん』と言ってももう遅い。この子の履歴変態コンプリートやんと言ってももう手遅れである。
     さておき。
    「「グワアアアアア!」」
     すごく雑な感じでぽんぽこ蹴散らされていく忍者たち。
    「今のうちに回復します。早く終わらせてちゃんと服着ましょうね!」
     妃那はそう言って、ギターを構えた。
     ぽろろんってやった。
     次の瞬間、味方のバニースーツが粉みじんに破れて飛び散った。
    「「…………」」
    「ん……」
     『ギター弾いたらみんな全裸になった』なんて状況、どうリアクションしていいのかわかんない妃那である。(静穂がよけい興奮してるからよけい反応しづらかった)
     だがこれに過剰反応したのは他ならぬ忍者たちであった。
    「いかん! バニーさんはバニースーツを着ていて初めてバニーさん! 全裸など言語道断だぞ!」
    「ひどい裏切りだ! こんな屈辱は初めてだぞ!」
    「脱いでんじゃねえぞ! ふざけんな!」
    「ひいっ!」
     蒼香たちは『脱いだら本気で怒られた』というかつてない経験にどん引きした。
    「い、いま何か着せますから。えっとえっと服はロッカーに入れてきたから……あっ!」
     蒼香はベルトを取り出した。
     それを身体に三本くらい巻いた。
    「これで」
    「全然良くないけどね」
     ついでに巻いて貰ったルイセが真顔で言った。
     あとちゃんと挿絵用に明記しておくが、サングラスや鞄のヒモは相変わらずの位置にキープされている。
     あとバニーの時はわかんなかったが携帯がタイツに挟まっていたので、今は胸のベルトに挟み込んでいる。
     うん分かってる。今着信来いって言うんだろ。けど世の中そんな美味いはなしはないんだよ(着信こい着信こい着信こい着信こい着信こい着信こい)。
    「わっ、ひゃ! マナーモードにしてたスマホがっ、んんんっ……!」
     ベルトを外すわけにもいかないし携帯を抜いたらベルトごと落ちるからって身をぷるぷるさせながら耐えるルイセ。
     一方で、璃羽(全裸)はデジカメの撮影画像を確認しながら振り向いた。
    「皆さん、全裸くらいで戦闘不能にはなりませんよ」
    「もっともそうなこと言ってるけど全然賛同できませんからねそれ! あと隠してください、せめて!」
     ウサギちゃんで胸を隠し、腕をぶんぶんする妃那。
    「皆さん、私気づきました……!」
     話を遮って叫ぶ静穂。
     再び着せられたバニースーツの上から静穂みたいな人専用のベルトを巻き付け、ぎりぎりと締め上げながら呼吸を荒くしていた。
    「この服装、上から拘束するとすごくイイです!」
    「いらないですその情報」
    「ご一緒にいかがですか!」
    「いらないですその勧誘」
    「えっと……」
     それまで後ろに下がっていた蓮華が、今度は前にでて忍者たちへと身構えた。
     いつのまにかバニースーツも着せられている。
     忍者たちも脱げたならまた着せればいいという発想らしい。
    「回復、お願いします! 恥ずかしいけど……倒しちゃえば、すぐですから!」
    「う、うん……ミルク、おねがい」
     梔子は可愛い名前のついた七不思議を解き放った。
     七不思議っていうかスライムだった。
    「ひゃあああああああっ!」
     スライムが蓮華のバニースーツをがんがん溶かし始めた。
    「スライム先生!?」
    「スライム先生だと!?」
    「スライム先生が今日もやってくれた!」
     なぜか沸き立つ忍者たち。
    「ゆうき先生のせいで梔子さんがエロの権化みたいになってる」
    「今日それに追い打ちをかけるとこですけど」
    「こ、こうなったらヤケです!」
     蓮華は涙目になりながら胸元をかくしつつ、忍者を片っ端から殴り倒していった。
     その横で、スライムでいい具合にスーツの溶けた夜雲が忍者をげしげし蹴り倒していく。
    「き、きっついのが……やっと収まったんだよ……」
     食い込みを指でなおして、もっぺん身構える。
    「ええいこうなったら最後に貴様だけでも」
    「くどいんだよっ!」
     夜雲ローリングソバットが炸裂。
     忍者はペギュンとかいいながら吹っ飛び、都合良くあった壁に頭から刺さって脱力した。
    「くう……もっと、バニーさんを……ふやし、たかった……」
    「ねえ」
     そんな忍者に歩み寄る梔子。
    「一緒に、いこ……?」
    「ハッ!?」
     壁から頭を抜いて振り返る忍者。
     手をさしのべた梔子の中に、忍者は吸い込まれていった。
     今日またひとつ、梔子ちゃんのエロステータスが上がってしまった。

    「変態は、この手で握りつぶしたんだよ……」
     夜の町に背を向け、歩き出す夜雲たち。
     こうして都市伝説『バニーにする忍者』は灼滅(吸収)された。
     だが忘れるなかれ。
     人々が噂をする限り、都市伝説は生まれ、実体化するかもしれないということを。
     あと、ロッカーに服をあずけて来たからそこまで全裸かやや溶けバニーの二択だということを!

    作者:空白革命 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年7月18日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 2/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 2
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