学園祭2016~皆で楽しいパーティーを!

    作者:長野聖夜

    ●何気なく開かれた打ち上げパーティー
     7月18日夜。
     多数のクラブ企画や水着コンテストで瞬く間に過ぎた楽しい2日間。
     北条・優希斗(思索するエクスブレイン・dn0230)も、そんな楽しい学園祭の終わった武蔵坂学園を見て回る。
    (「……中々面白かったな」)
     ちょっとだけそんなことを考えながら、行く当てもなくフラフラしていると、ワイワイガヤガヤ、空き教室の片隅で楽しそうな会話が聞こえて来た。
     それは、クラブ企画の盛り上がりの思い出話だったり。
     学園祭だけじゃない。何気ない最近の会話だったり。
     そんな弾んだ感じで、喧騒に満ち満ちている。
    (「ああ、そうか。打ち上げ、か」)
     教室の扉は開放されている。
     出入りは自由、ということだろう。
     折角だし、ということで、優希斗もそこに少しだけ寄っていくことにした。

    ●皆でちょっとしたパーティーを
    「なるほど。ちょっとしたパーティーみたいな感じなんだな」
     教室に入り、ちょっと豪華な飾りつけがされた教室を見て、優希斗が微笑む。
     教室の中心に机を並べて、その上に、各々のクラブで用意した自慢の料理や飲み物が、所狭しと並んでいる。
     其れを飲み食いしながら、皆で仲良く楽しそうに会話をしている。
     その内容は、学園祭のことが中心だったが、中には、最近起きたことや、何気ない日常についてなど、本当に多種多様な話がされていた。
     其れとは別に、「打ち上げだ~!」と、教室の片隅で皆で輪になって踊ったり、其れを見て楽しんでいる人もいる。
     更に、少し離れた所にも机と椅子がセットされている。
     話疲れたり、独りになって休みたい人の為に用意されたテーブルだろう。
    「皆、凄く楽しそうだね。折角だし、俺も少し、楽しんで行こうかな」
     皆で楽しく話をしている輪の中に、そっと優希斗も紛れこんだ。


    ■リプレイ


    「何というか、後夜祭なのにとりさんと鈴音さんはそのまま労働している感じだな」
    「そうかい? まあ俺も、氷上さんとこの別のフレーバーも興味あったからね」
     彩瑠・さくらえが机の料理と飲み物を見て笑うと、【フィニクス】の神鳳・勇弥が一口ケーキとメレンゲを並べながら笑い返す。
    「でも、もうひと働きしてもらおうかな。お任せで創作珈琲にデザートプレートよろしく~♪」
    「私も、アレンジコーヒーで他に飲んでみたいもの色々あるのよね。でも……さくらえ君、飲み過ぎには気を付けてよ」
    「だいじょーぶ、もう飲み過ぎたりはしないもんねぇ☆」
     氷上・鈴音が即席のデザートプレートを作りながらの注意に、にっこりといい笑顔を浮かべるさくらえ。
     隣では、【文月探偵倶楽部】のミカエラ・アプリコットや、文月・咲哉がアイスやケーキ、猫チョコに着ぐるミートボールを、ロジオン・ジュラフスキーが紅茶の入ったポットと人数分のコップを用意。
     ロジオンの会釈に、勇弥が会釈を返していると。
    「神凪さん、カフェで作っていた創作珈琲とお菓子、皆さんにも作って来たんですね。……うわぁ、鈴音さんの所のジェラートもある!」
     天渡・凛が目を輝かせた。
     ――グゥ。
    「僕自身としては、今年の学園祭あまり回れなかったからまだまだ全然飲み&食べたりない位なんだよなー?!」
    「大丈夫、たっぷり用意してあるよ」
     腹の虫を鳴らした、三園・健に笑って勇弥が返した丁度その時。
    「楽しかった、学園祭……最後まで……楽しまなきゃ、ね」
    「そうだね。……折角だしちょっと寄って行こうか」
     明海・師宣、吉武・智秋が入室し。
    「なんだか、楽しそうだね」
    「咲哉さん、お誘いありがとうございます」
     北条・優希斗と納薙・真珠も入って来た。
    「優希斗さんもいらさいませー!」
    「真珠も来てくれたんだな。ありがとう」
    「何か飲みたいものとかあったら言ってね」
     【フィニクス】の或里・バンリや、居木・久良、真珠を誘った咲哉が出迎え飲み物を渡す。
    「はい、とりさん音頭取って!」
     さくらえの無茶ぶりに、黎明寺・空凛や、壱越・双調の夏休み中の青山への帰省から仙台にやってくる話に目を細めていた勇弥が目を丸くした。
    「いきなりかよ!? え、えっと……皆、学園祭お疲れ様! フィニクスと此処に集った皆の学園祭成功に……乾杯!」
    『かんぱ~い!』
    『う・ど~ん!』
    「それなんすね、やっぱ」
     【文月探偵倶楽部】の乾杯に【星空芸能館】の星野・えりなや、椎那・紗里亜、【フィニクス】の凛達の笑い声が満ちて鈴木・レミが息をついた。


    「打ち上げって……別にクラスで何かやった訳じゃないでしょ?」
    「来年には大学進学だから、みんなで遊べるのも今年で最後になるし。思い出を残したいって思ったんだよ」
     野暮と承知しつつの美波・奏音のツッコミに、椎葉・武流が笑う。
    「でも、学園祭も楽しかったねー! 初季ちゃんや晃くんのラジオ番組とか」
    「ありがとうな」
    「そう言って貰えると頑張った甲斐あったなぁ、と思うんだよね」
     卵月・あるなの笑顔に、烏丸・晃が礼を述べ、天咲・初季が笑う。
    「でも、自分とこの企画で喋り倒してて他はあ~んまり回れなかったんだよね」
     労ってもいいんですよ? とからかう初季。
    「それじゃあ、労いってことで、はい!」
     あるながスイートポテトを手渡す。
    「サツマイモと言えばボクだからね☆ うん、おいしー☆」
    「そう言えば言い出しっぺの武流くん、学園祭ではデートだったそうじゃない? みんなの楽しい話題作りの為にも是非ともその話をじっくり聞かせてくれないかしらー?」
     ぐりぐりと肘で武流を小突く奏音に恥ずかしがりながらも惚気る彼。
    「中二の時にこのクラスに来て以来、ずっとこのクラスだったけど、これで最後だ。思い出も少なくないよな。雪合戦に水合戦、花見に修学旅行もあったか」
    「いろいろあったね……いろいろと……」
     しみじみと話す晃に、初季が不意に顔を赤らめた。
    「ていうか、恥ずかしい過去を蒸し返すのやめて!?」
     何となく話を逸らそうとするが、しんみりした空気が【吉祥寺3-4】組の間を流れていく。
    「こうやってみると、つくづく個性的な面子が揃ったもんだと思う」
    「けど、二度と会えなくなる訳じゃないよね。それにまだ半年以上あるんだからしんみりするのはまだ早いよー?」
     武流の呟きにあるなが返すと、晃もまた頷いた。
    「まあ、まだ半年以上もあるし、その後も会えなくなるわけじゃないしな」
    「なあ、折角だし、皆で記念写真撮らないか?」
     武流の提案に全員が賛成。
    「あっ、丁度いいところに。優希斗くん、すいません、カメラお願いします!」
     通りがかりの彼に初季が願い出て。
    「いいよ」
    「サンキュー、優希斗!」
     武流がカメラを渡して並ぶ【吉祥寺3-4】組の面々。
     彼を中心に奏音がその右隣をキープし、その隣にあるなが、武流の左には晃、初季の順に並んだ。
     ――カシャリ!
     【ながればし】では、まむしドリンクの味に悶えていた南谷・春陽が高級玉露入りミルクティーを飲む鳩谷・希と、アサイージュースを飲む篠村・希沙に話し掛けている。
    「ぽっぽーくんは、何か印象に残ったのはあった?」
     うん、と頷く希。
    「そういえば、今年は色々作ったんだよね。体験系? 結構楽しかったー。それから……そうだ! 2人とも、水着今年も綺麗だったね。それぞれに個性的で、良く似合っていた」
    「えへへ……祝辞ありがとうございます」
    「ありがとね。……そうそう! 希沙の海辺のお花屋さんっ、超可愛かった! 彼氏さんもメロメロだったんじゃない?」
    「メ、メロメロ……!?」
     春陽にからかわれ頬を染める希沙。
    「春陽先輩は彼氏さんとお揃い! 格好可愛かった!」
    「ありがとっ!」 
     それからお互いのスタイルの話に没頭する。
     一方で、2人で一緒にドリンクを取った智秋と師宣は。
    「水着コンテスト、優勝、おめでとうね……」
    「おかげ様で何とかね」
    「中学校、一番……」
    「出来過ぎな結果だとは思うけど……」
    「でも……うん、凄いな……」
    「……あんまり褒められると、少し照れるな。こっちこそ、色々と付き合って貰ってありがとう。結構、歩き回ったけど、大丈夫? 疲れてない?」
    「疲れて、ないよ。ありがとう、もっと見て回りたかったくらい」
     照れ臭そうな師宣に、智秋が優しく笑い、そのまま修学旅行がどうなるかに話を咲かせた。
    「お疲れ様。今年もクラブ頑張ってたな」
     赤のビキニ姿で飲み物を注いでいた色射・緋頼からグラスを受け取り、労うのは【七天】の御神・白焔。
    「学園祭お疲れ様、乾杯!」
    「かんぱーい、です」
    「乾杯なのですー♪」
     七六音・鞠音、彩町・鈴乃の4人で乾杯。
     緋頼が、ミニスカ巫女服と角や羽でコスプレした綾乃の頭を撫でた。
    「鈴乃、かわいいよ」
    「ふぇ? あ、ありがとうなのです」
     頬を赤らめ、はにかむ鈴乃に微笑む緋頼。
    「一緒に2人で癒しでも与えてみる?」
    「はい。癒しですね。スズノがご奉仕してあげます……♪」
     頷く鈴乃が、緋頼と左右から白焔へと迫る。
    「白焔、あ~ん!」
     緋頼に差し出されたクッキーを食す白焔。
    「スズノからも、はい」
     鈴乃が今度はクッキーを差し出すと。
    「お、鈴乃もくれるのか。有難う」
     クッキーを頂きつつ、軽く鈴乃を自分の方へと抱き寄せる。
     抱き寄せられて巫女服が肌蹴て赤面しつつも演技を続ける鈴乃。
     2人の様子に笑いながら緋頼が鞠音にクッキーを優しく差し出している。
    「わたし、可愛い?」
     鞠音がそんな彼女をじ~っ、と観察。
    「はい、綺麗です」
    「うん、ありがとう」
     頷く鞠音に、緋頼が微笑んだ。
     その後顔を赤らめている鈴乃から離れた白焔へと鞠音が視線を向けて。
    「白焔さんも……楽しんでくださいね?」
     ビキニにエプロンの水着姿で一回クルッと回って、ポーズを決める。
     一瞬見惚れる白焔に、緋頼が密着して上目遣いに問いかけた。
    「水着姿の感想聞きたいな?」
    「今年は随分開放的な感じで、実はかなりドキドキしている。だから、ちょっとだけ取られそうな気がして心配そうになったので」
     さりげなくジュースを口に含み、そのまま口づける白焔。
     不意打ちの口移しを受けながら、微笑む緋頼。
    「大丈夫。わたしは3人のものだからね」
    「なるほど」
    (「これがキャバクラ、ですね」)
     鞠音が微妙な勘違いをしつつ1つ頷く。
    (「次は鞠音さまにですね」)
     鈴乃がそう思い、鞠音へとクッキーを差し出そうとしたら。
    「鈴乃さんも、お疲れ様でした」
     鞠音が鈴乃の顎をくいっ、とあげた。
    「あ……っ。ありがとうなのですよ」
     顔が真っ赤な鈴乃が口移しを待っていると、ポタ、ポタ、と鞠音の唾液が垂れかかる。
    「違いますよ、鞠音」
     緋頼に止められ鞠音が軽く首を傾げた。
    「鞠音と鈴乃は今日も仲良しだな」
     安堵と残念が綯い交ぜな表情の鈴乃に、白焔が微笑んだ。
     【星空芸能館】の羽丘・結衣菜もこんな催しを提案している。
    「折角の打ち上げパーティーだし、輪になって「あ~ん」をみんなでやるわよ!」
    「ふふ。素敵ですね、それ。それじゃあ、皆で輪になってあ~んで食べて貰います」
     えりなが隣のジヴェア・スレイに促すと、ジヴェアがあ~んでパクリと一口。ジヴェアは隣の師走崎・徒にあ~んをさせる。
    「お、ラッキー、頂きます♪ ……んむ、美味いなー、今日は特別美味しい!」
     嬉しそうな徒に、談笑していた獅子凰・天摩が微笑したのに頷きつつ、徒が隣の結衣菜にあ~んを要求。
    「あ、次は私がされる番? それじゃあ、頂こうかしら……あ~ん!」
     美味しそうに食べながら、フフフ、と笑う。
    「なんか、こうしていると恋人同士みたいよねー」
     冗談めかして言うと、隣にいた夢前・柚澄がそっと思いを馳せた。
    (「ファルケさんが隣だったらなぁ……」)
    (「すまねぇ、柚澄。この埋め合わせは近い内に必ず、な」)
     給仕の為に後夜祭に参加した、メイド服姿のファルケ・リフライヤが心の裡で謝罪。
    「ほら、ファルケさんも一緒にやりましょう!」
     そんなファルケをえりなが呼ぶ。
    「ファルケさんも参加してきなよ」
     優希斗と給仕を交代し、ファルケは柚澄と結衣菜の間に座らされた。
    「はい、あ~ん」
    「じゃあ、あ~ん」
     結衣菜から食べさせてもらった後、ファルケが隣の柚澄に。
    「ほら、柚澄。あ~ん」
    「ボ、ボクの番ですか? あ、あ~ん……」
     嬉しそうに頬を紅色に染めながらファルケから頂く柚澄。
    「じゃあボクは、紗里亜お姉ちゃんですね。はい、あ~ん」
    「それじゃ、そのプリンを……はうっ!」
     紗里亜の望み通りプリンを運んだ柚澄であったが、うっかりそれをキャッチし損ねて、紗里亜の鼻の頭にプリンが乗っかった。
     生温かな笑いが辺りを包む中、紗里亜も照れ隠しなのか誤魔化しつつ、「ふふふっ♪」と楽しそうに笑い、それから隣のえりなを見る。
     そこではた、と気づくえりな。
    「え? という事は自分も?」
     一人頬を赤らめるえりなに紗里亜がニコニコしながら食べ物を差し出す。
    「ではでは、はいどうぞ、あ~ん♪」
    「……あ~ん」
     そんな彼女を皆が楽しそうに見ているのに気が付き、頬が火照って両手で頬を覆うえりな。
    「皆、なんでそんなに堂々とできたんですか! なんか私の方がダメみたい……」
     穏やかな笑いが【星空芸能館】の間を包むのを、優希斗が微笑んで見ていると。
     トントン、と天摩に肩を叩かれた。
    「北条っち。ちょっといいっすか?」
    「天摩先輩。ええ、いいですよ」
     皆がつまんだサンドイッチと飲み物を持ち、彼と一緒に輪を離れる。
    「ありがとね、いつも一緒に戦ってくれて」
    「えっ?」
     不意に礼を言われ、首を傾げた。
    「君には君の戦いがある。それは、オレ達よりある意味重たいものかもしれない。色々背負わせてしまって、ゴメン」
    「天摩先輩が謝る事じゃないですよ。背負うと決めたのは、俺ですから」
    「ならば、前を向いてこうやって歩いていくっすよ、オレ達は。そうしないとね、有城っち」
    「えっ? ……あっ、北条先輩、獅子凰先輩……」
     サンドイッチを持ってきた主で、輪から離れて皆が楽しんでいるのを見て楽しんでいた有城・雄哉が少し驚いた様子で、彼等を見た。
    「その……北条先輩、僕の事情でご心配おかけして、すみませんでした」
    「気にしないで。俺が勝手に心配してただけだから」
    「有城っち、もう大丈夫っすか?」
     天摩の問いに、雄哉が軽く首肯する。
    「もう、大丈夫です……多分ですけど」
    「そうっすか。でも、また一人で責任を背負いこむのは駄目っすよ、有城っち?」
     軽く目配せする彼に雄哉がそっと自分の胸に手を当てる。
    「想いを胸に、少しずつ。自分自身の、闇と共に。今は、そう決めています。でも、今日はちょっと疲れました……沢山の人と、話したから」
    「そうっすか」
     そのまま机に突っ伏して眠ってしまう雄哉に、天摩達が微笑を零した丁度その時。
    「優希斗さん、私達や皆さんと一緒に、がんばれ がんばる 武蔵坂歌いませんか?」
     えりなに呼ばれ、優希斗が天摩達を見ると、彼が軽く目を瞑った。
    「俺は有城っちといるっすよ」
    「それじゃあ、天摩先輩、雄哉さん、また」
     そのまま会釈をして立ち去る彼に天摩が軽く手を振った。


     ――がんばれ がんばる 武蔵坂!
    「あ、合唱も始まったね~」
     ミカエラが紗里亜達の合唱に気が付いて手を振り【文月探偵倶楽部】の面々を見渡す。
    「うちでも何かやりたいよね~?」
     と、ミカエラが提案したその矢先。
    『にゃふふふふ、かかって来い着ぐるミンジャー共よ。このシロネコ・ブルーが相手だぜ!』
     ――ファイト ファイト ファイトオー!
     歌を背景に一瞬で着ぐるみを着替え悪役っぽく笑う文月・直哉に触発され、周防・雛がいそいそとポーズを取る。
    「ウィ、マルチーズ・ピンク見参! ですのよ!」
    「実際に着ぐるミンジャーやっていた身としましては、乗りませんとね。ということでライオン・ネイビー推参でございます!」
     雛に続いてロジオンが名乗り。
     ――がんばれ がんばる 武蔵坂! 
     ミカエラが歌声に合わせてヒマワリの着ぐるみを着た両手をバタバタ。
    「ヒマワリイエロー! 見参!」
    「イフリート・オレンジ、見参! だよー!」
    「ドッグ・ホワイト見参です!」
     名乗りを上げる垰田・毬衣と志穂崎・藍を見て頷く咲哉。
    「それじゃあ、俺はこれかね」
     ビジネススーツ姿の黒猫着ぐるみにメガネをかける。
    「クロネコ・スーツ、推参。さあ、ビジネスの話をしようか?」
     そんな咲哉を真珠が応援。
     えりな達の歌声に合わせて各々決めポーズを取る着ぐるミンジャー。
    「優希斗も一緒にやろ? んっとね、これ!」
     えりなに呼ばれていた優希斗に声を掛けて雀の着ぐるみを取り出すミカエラ。
    「ブラウンイエロー! ねっ、似合うと思うよ?」
    「こういうのは、乗ってみると中々楽しいものでしてよ」
     ――ファイト ファイトオー!
     雛と歌に背を押され、あれよ、あれよと言う間に雀の着ぐるみを着せられる。
    「じゃ、じゃあ……ブラウンイエロー!」
     そんな彼に笑いながら、真珠へと視線を移す咲哉。
    「真珠も何か着てみるか? こっちの、巫女衣装を着た白猫なんてどうだろう?」
     勧められた衣装を着る真珠の愛らしさに、ちょっと胸をドキドキさせ、顔を赤らめる咲哉。
    「おやおや、咲哉さん、顔真っ赤っすよ?」
     からかう様に笑うレミ。
     ――皆集って 賑やかに
     ――全力尽くして 勝利を目指す
    『にゃふふ、流石だな着ぐるミンジャー。だが、その中に我が同志がいるとは思うまい』
     歌をBGMとした戦いの中で直哉が悪役めいた笑いを浮かべた。
    「同志だと……?!」
     唸る咲哉を押しのけ、藍が直哉の隣に立つ。
    「実は、寝返ったら御馳走してくれるって。ごめんなさい」
    『にゃふふ、よくぞ戻ったドッグ・ホワイト。さあ、かつての同志をお前たちに倒せるかな?』
     直哉の笑みに、じりじりと後退する着ぐるミンジャーズ。
     ……その時。
     ――みんな がーんーばーれー!!
     歌に合わせてレミが直哉の背後を取った。
    「目を覚ますっすよ、シロネコ・ブルー。ふふ、ふふふ……」
    「な……なに?!」
     直哉が其方を向いた瞬間、レミがトン、と彼をその場に押し倒す。
     ――ファイト ファイトオー!
     ミカエラがロジオン達に目配せをして毬衣と直哉をまとめて胴上げ。
    「執筆された方は、本当にお疲れ様でした」
     笑顔で告げる藍と一緒にレミ達も口々に労いながら毬衣達を胴上げしている。
     その胴上げを、歌い終わったえりな達も楽しそうに見ていた。
    「来年は、部門優勝ですよ♪」
     3位入賞組が、特別賞の自分達の歌に合わせて踊りも兼ねた遊びを披露してくれたことを心底喜んだ紗里亜が笑い、そうだね、と柚澄が頷く。
    「来年も楽しい学園祭を送れるといいね!」
     ジヴェアが、笑顔で皆にそう告げた時。
     ――パン、パン、パン!
     窓の外で花火が上がった。
    「ん、花火、綺麗ですね」
     窓際の席にいたジンザ・オールドマンが談笑していた静堀・澄に語り掛ける。
    「ふふっ、思いがけず、特等席を取っちゃいましたね」
     澄の微笑にジンザが頷き、少しだけ体を震わせた。
    「スミマセン……すっかり身体が冷えてしまいまして。もうちょっとそばに寄って貰えると、有り難いです」
     澄が頷きそのまま寄り添う。
    「綺麗……私、一生忘れません」
     澄の頬を染めたそれにジンザが微笑んだ。

    作者:長野聖夜 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年8月2日
    難度:簡単
    参加:42人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 2
     あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
     シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
    ページトップへ