刮目せよ! ウリ科スイーツクラスチェンジ!

    作者:六堂ぱるな

    ●何故相手を吸収しようと思ったのか
     ぬるい風が吹き抜ける富良野市の道の駅の駐車場で、両者の視線は交わり火花を散らす。
    「このヘルシー指向の世にあって高い乳脂肪分を誇るなどと、愚かな。素材を殺す気か」
     つるりと滑らか、口当たりのよい滑らか食感の頭部をもつ当麻でんすけ的すいかゼリー怪人が氷の奔流を放てば。
    「美味いもん食いたけりゃカロリーなんか気にしないんだよ! 素材だって引き立つ!」
     たっぷり空気を含み、きれいに渦を巻いて天へそそり立つ頭部の夕張のメロンソフトクリーム怪人が竜巻で迎撃する。
    「日持ちして衝撃にも強い我だ、安心して逝け!」
    「スイカでも素材は余さず使ってやるから感謝しな!」
     幾度となく激突を繰り返した争いは、互いに保冷ビームを放った瞬間に終わりを告げた。
    「……見事……我が力、受け取れ!」
     崩れ落ちる当麻でんすけ的すいかゼリー怪人の体から抜け出たご当地パワーが夕張のメロンソフトクリーム怪人に吸収され、その姿が異変を起こす。
     二人分の力を得た体格は一回り大きくなり、頭部はソフトクリームの高さを失い――しかしふわりとわだかまり絶妙な弾力を備えた。混じり合う鮮やかな赤とオレンジ色。
    「ここに夕張当麻マリアージュスイーツ怪人、参上ッ!!」
     それムースじゃないんですかねってツッコむ観客すらいない、夏の朝の出来事だった。
     
    ●スイーツの垣根を超えたクラスチェンジ
     自分でも何言ってるかわからんって顔で埜楼・玄乃(高校生エクスブレイン・dn0167)が唸った。
    「すいかとメロンの味が混ざったスイーツ……どちらもウリ科だが、悩むな」
     サイキック・リベレイターによってガイオウガの力が高まり、その力を奪ったアフリカンパンサーによって合体ダブルご当地怪人が生み出されるに至っている。
     この新型怪人はライバル関係にあるご当地怪人を争わせ、勝った側が2体分のガイアパワーを得て成るというものだ。
    「結果としてご当地怪人が強くなったのでは、ガイオウガの力が分散した意味がない。よってこの合体ダブルご当地怪人の灼滅を依頼する」
     場所は夕張市と当麻町の間に位置する、富良野市の道の駅に隣接した駐車場だ。
     営業時間前で客はいないので戦うのに支障はない。
     両怪人が合体することで、ご当地ヒーローのサイキックの他に凍てつく空気や竜巻すら起こす泡立てスキルを披露する。また硬く凍った部分を盾に使い自己回復もするようだ。
    「一応、推奨攻撃タイミングは合体してからとなる。戦いに水を差すと、共通の敵を前にテンションあがってパワーアップしそうだからだ」
     しかも二者を相手取る場合、先に倒された側が『俺の力を使ってくれ』とパワーを託して倒れるという展開からの合体ダブルご当地怪人との戦闘となる。
    「ほぼ同時に倒せれば問題はないし、その場合合体ダブルご当地怪人にはならないので、実際どうするかは諸兄らに一任する」
     合体ダブルご当地怪人となれば普通のご当地怪人よりは強力、合体前ならご当地怪人が二人。どの状態で撃破するかは現場の判断に委ねられることになった。
    「油断せず対応を願いたい。……それにしてもつくづくガイオウガボーンロッドには驚かされる。いずれ敵する時を思えば考えものだ」
     一行に資料を手渡し、説明を終えた玄乃は吐息をついて首を振ったのだった。


    参加者
    東雲・悠(龍魂天志・d10024)
    赤松・鶉(蒼き猛禽・d11006)
    コロナ・トライバル(トイリズム・d15128)
    宮代・庵(中学生神薙使い・d15709)
    シャノン・リュミエール(石英のアルラウネ・d28186)
    富士川・見桜(響き渡る声・d31550)
    フリル・インレアン(小学生人狼・d32564)
    飴宮・凛子(超獣の片割れ・d33606)

    ■リプレイ

    ●高みを目指す二人
     朝7時現在で気温29度、陽光を遮るもののない道の駅の駐車場。
     なかなかの気温だが、一行にすれば湿気の少なさが比較にならないわけで。
    「クソ暑い本州から離脱できたばかりか、スイカゼリーとメロンソフトが食べ放題とか大サービスにも程があるよな! ビバ北海道ー!」
    「夏の北海道! 思ったより暑い?! ゼリーもソフトクリームも今食べたい気持ちなんだけど! 進化キャンセルしてボクにくれないかな!?」
     『-Feather-』界隈では有名なライバル同士、東雲・悠(龍魂天志・d10024)とコロナ・トライバル(トイリズム・d15128)があまりにも正直なスタートを切った。
    「「なんだと?!」
     戦いを中断し顔を見合わせた当麻でんすけ的すいかゼリー怪人と夕張のメロンソフトクリーム怪人が、それぞれのスイーツを一行にずいと出す。
    「これより先はどちらが残るか運命しか知らぬこと」
    「今のうちに存分に味わっておくんだな。さて、続きだぜ!」
     怪人二人、そのまま戦闘を続行。ずり落ちる眼鏡をくいと上げて宮代・庵(中学生神薙使い・d15709)が唸った。
    「ただでさえ厄介なご当地怪人さんがさらにパワーアップしては大事に関わりますね……。今後の作戦に支障が出ないようにさっさと灼滅決定です」
    「庵さん、すいかゼリーも召しあがります?」
    「それはもうありがたく。はんぶんこしましょう」
     ほぼ果肉食感のすいかゼリーを指し出す赤松・鶉(蒼き猛禽・d11006)と庵がメロンソフトクリームを交換する横で、溶け始めたソフトクリームを持ったフリル・インレアン(小学生人狼・d32564)が複雑な表情を浮かべた。
    「ダブル合体ご当地怪人さんはこれで2回目なのですが、炎天下のなか合体が終わるのを待つのもお約束になりつつありそうですね」
    「暑いから熱中症には気を付けないと……それに合体した分敵は強くなってるだろうし、気を引き締めていかないとね」
     殴りあう怪人二人を眺めて、富士川・見桜(響き渡る声・d31550)がとりあえずドリンクを取り出した。
    「せっかく涼しげで美味しそうな夏のスイーツが台無しですね」
     両方食べ比べたシャノン・リュミエール(石英のアルラウネ・d28186)には溜息しか出てこない。鶉も困ったように首を傾げた。
    「すいかとメロン……どちらが心地よい味わいか、まったくもって悩むところですが」
    「合体マリアージュ怪人だなんて、なんて美味しそ……じゃない、食べたい……じゃなくて、恐ろしいことをするのかしら!」
     一応ぎりぎりで取り繕った感のある飴宮・凛子(超獣の片割れ・d33606)であるが、すいかゼリーとマイスプーン握って言っちゃ全面的に台無しである。
     もとより撃破は合体後。一行はスイーツ食べながらの待機だ。

    ●推しをなくした怪人
     観客のついた道の駅駐車場での戦いは佳境を迎えていた。
    「いけー! やれー! 倒せー!」
    「変身ヒーローさんの変身シーンを待つ怪人さんの気分です」
     コロナの声援を受けて怪人たちの衝突が激しさを増し、メロンソフトクリームを食べ終えたフリルが呟いた。今日はそれほど暑くないし、冷たいデザートだからいいけれど。
    「……あの2体の怪人も生き残るために必死なんだろうね」
     競い合っているのに手を組まなきゃならないくらい追い込まれてたんだろうと思うと、状況はいまいち笑えない見桜である。
    「それぞれ美味しかったけど、これから生まれる新しいスイーツも捨てがたいよねえ。なんとしても賞味しないと!」
     もはや怪人そのものを食べかねない凛子、女子の本懐は美味しいスイーツを食べることなり。モチベーションの高さでは怪人を凌ぐ。
     やがて一行の前で、メロンソフトクリーム怪人がすいかゼリー怪人を打ち倒した。
    「おお、これが……新たな力!」
     なにやら一人で感動しはじめた怪人の気を、まずは鶉が引く。
    「あ、新感覚スイーツはいただけますか? せっかくですしね、一通り頂きたく」
    「よかろう、存分に味わうといい!」
     どこかから紙のカップを取り出した怪人が、少し重めのムースを注いで一行に手渡し始めた。おかげで難なく包囲がとれる。
     マーブル調に混ざったスイカとメロンの味はわりと調和していたが、片方がゼリーであったこと、急激な温度低下のせいか一部凍り、舌触りは滑らかとは言い難い。
    「なんだろう、どっちも美味しいはずなんだけど。やっぱりシンプルイズベストなんじゃないかな。私は一途な方が好きかな」
    「とりあえず混ぜればいいという発想は色々駄目かと」
     見桜とシャノンの感想に、怪人が頭のムースが吹き飛びそうな勢いで頭を振った。
    「我らの全てを賭けたこの統一に、なんだと?」
    「お二人のライバル関係は美しいと思いますが、北海道スイーツなのに乗りが暑苦しいです」
    「暑苦しい?!」
     シャノンの駄目出しに怪人がのけぞった。眼鏡をくいくい上げながら庵が叫ぶ。
    「強さのためとはいえ合体して、合体前とは違ったご当地品を推すようになるとは、貴方のご当地愛とはその程度だったのですね!」
    「ち、違う。俺は……おのれ!」
    「絶対不可能ですが、仮にここでわたしたちに勝っても、それでは世界征服は無理そうですのでさっさと灼滅されてください!」
    「さぁ、試合開始ですわ!」
     一瞬の輝きで鶉の身体を青いリングコスチュームが覆った。愛用の槍を構えた悠の身体が地を蹴るや、軽々と宙を舞った。怪人の頭上をとって一気に降下。
    「よーし、コロナ! 今日も元気にいがみ合……仲良く頑張るぞ!」
    「うーん気のせいかなー棒読みに聞こえるんだけど!」
     跳び退ったコロナが交通標識を掲げて仲間に加護をかけると同時、悠の槍は彼女に追いすがる怪人を深々と抉った。足が止まった瞬間に、鶉のドロップキックが胸にきまって怪人が吹っ飛ぶ。
    「この技は員皆の得意技ですね!」
    「ぐおっ?!」
    「お二人は今日もとっても仲良しさんですね」
     微笑ましげに笑ったシャノンの姿が異形化した。肢体を水晶が浸食し獣のような口のある植物が半身から幾つも現れる。操る魔杖は唸りをあげ、怪人の鳩尾に食い込むと体内で魔力を爆発させた。
    「げはっ!」

    ●むなしきムース
     怪人の放つ冷気はかなりのもので、コロナと庵は何度も仲間を集中して治すことに奔走した。とはいえ、数の差もある。形勢はすぐに傾いた。
    「合体したら強くなるぅ? クックック、西瓜とメロンが混ざってあやふやになった味が進化だって?」
     見桜が輝く光の輪を放ち、怪人に着実に傷を入れる。彼女のガードを受けながらコロナが挑発を続けていた。距離を取ろうとする怪人に追いすがり、畏れをまとったフリルのダイダロスベルトがしたたかに切りつける。足をもつれさせた怪人に、凛子の魂を削った冷たい炎が浴びせられた。
    「くそっ、灼滅者どもめ!」
    「ご当地名物として味の研究、そしてその歴史を無に帰したキミ達がボクに勝てる訳ないのさ!」
    「ならば食べてみるがいい!」
     さっき食べたとか言うヒマもない。思い切り噴射されたムースの直撃を喰らったコロナを見て悠が大爆笑をかました。
    「お前、顔面ムース付いてっぞ!」
    「貴様にもくれてやる!」
     返す刀で今度は悠たち前衛がムースの洗礼を浴びる。
    「ぷぷーっ、当たってやんのー!」
    「やっぱムースはストロベリーが至高だな!」
     思いっきり茶化しにくるコロナを前に悠が一言。即座にコロナも続いた。
    「ブルーベリーの方が好きかな」
    「お前ら鬼か?!」
    「無しじゃ無いけど、やっぱり別々に食べたかったな。スイカもメロンも好きなんだけどね。それにお菓子になる前に食べたかったな? そのままが一番好きかな」
     絶叫する怪人に、見桜が残念そうに感想を告げた。怒ったついでに狙われて、仲間を庇えれば好都合ですらある。一方、鶉がムース噴射を振り払って呟いた。
    「ひんやりするのはこの季節にはありがたいですが、倒れられませんね! って凛子さん、しっかりなさってください?!」
    「この美味しさの中で戦闘不能になるなら本望……!!」
     凛子がムースに埋もれてぴくぴくしていた。鶉に引き起こされても目が回っている。
    「まだまだ、ここからが私たちの手番です。そうですわね?」
     活を入れられた凛子が急にしゃきっとマイスプーンを掲げた。
    「はっ。そうです、まだ食べ足りないもの!」
    「食べ足りないんだ……」
     思わずツッコむフリルの腕が、狼のそれへと変じた。獲物を追うように怪人を追い、一撃が背中を深々と引き裂く。
    「やはり、組合わせるなら相性と息を合わせなければ」
    「いきますよ!」
     仲間とは何度となく依頼や戦争で共闘した。その呼吸を信じ、シャノンが庵と同時に動く。庵の手から迸るダイダロスベルトとシャノンの槍は、完璧な呼吸で怪人を左右から穿った。
    「ぐはあっ!!」
     追ってコロナの放つダイダロスベルトの軌道が怪人を補足した。絡みつかれて切り裂かれた体が泳いで、槍を構えた悠の目の前にまろび出る。
    「いくぜ、これが俺達のとっておきって奴だ!」
     カウンター気味の刺突は螺旋を描き、胸にまともに突き立った……けれど、生きてる。
     ぎゅっとコロナの眉が逆立った。
    「ボクの完璧なサポートを無駄にするなんて! 暑いから早く終わらせたかったのにー!」
    「ちょっ、待て、すぐ仕留めっから!」
    「そちらが氷の盾ならば! 炎の蹴りで溶かし倒してあげますわっ!」
     二人の横をすり抜けるように前へ出た鶉の回し蹴りが炎を噴き上げる。蹴り抜かれて苦鳴をもらす怪人とすれ違うように駆け抜けた見桜の大剣が、横薙ぎに怪人を薙ぎ払った。
     怪人の手からムースのカップが真っ二つになって落ち、続く凛子が振りかぶった交通標識の殴打から逃げられない。もはや立っているのもやっと、炎に包まれ氷に浸食され、怪人の全体攻撃モーションは悠からすれば明白だ。
    「ふっ、スイカとメロンの力はその程度か!」
     かいくぐった槍の穂先に炎が宿って鳩尾を抉る。たたらを踏んだサイドをとり、庵の鬼の腕がしたたか体側を切り裂いた。
    「ところでスイカとメロン以外にお勧めの名産はありますか?」
     若干尋問口調のシャノンに問われ、怪人が弱々しく頷いた。
    「ジンギスカンとか……ラーメンとか」
    「ラーメンはまた今度ですね」
     頷いたシャノンの拳が加速した。重い打撃力を宿した拳が嵐のように怪人を打つ。磨り潰すような連撃の後、怪人はふらふらと後退った。
    「……無念!」
     叫びとともに激しい爆炎が上がる。
     ここに夕張当麻マリアージュスイーツ怪人は果てたのである。

    ●くいだおれ北海道
     はかなく散った怪人を思い、鶉は思わず嘆息した。
    「ムースは、混ぜるよりそれぞれの良さを味わいたかったところですが……」
     滅びてしまったものは仕方ない。それよりも。
    「さて、おいしいものを味わってから帰りませんか」
     鶉の言葉尻にかぶりつく勢いで悠とコロナが即答した。
    「望むところだ! 海鮮食おうぜ、海鮮!!」
    「海鮮いいね! その勝負受けた!!」
    「何の勝負か謎ですが、ここは内陸ですよ。お夕飯に海鮮はともかく、お昼は美瑛牛とかジンギスカンなどはいかがでしょう? さすが私ですね、このプランニング!」
     眼鏡をクイクイさせる庵が二人にまとめてツッコんだ。出発前からみっちりグルメ情報読み込んでるのでプランは完璧だ。
    「ジンギスカンも外せないよな。ソフトクリームも濃厚ミルクなやつ食いに行こうぜ!」
    「言われるまでもないね!」
    「さんせー! たっぷり夏の冷菓を楽しまなくちゃね!」
    「出来ればスイーツ以外でお願いします」
    「まださくらんぼ狩りができる農園があるみたいだよ。あとブルーベリーとか、メロンとスイカのところとか」
    「……北海道満喫ですね」
     悠、コロナ、凛子のスイーツ食い倒れ上等三人衆にシャノンが訴える横で、見桜がフセンをつけた観光ガイドを開く。あまりの勢いに圧倒されるフリルであった。

     結局、昼食は牧場ど真ん中のオープンテラスでジンギスカンに落ち着いた。羊臭さをまるで感じないラム肉と自家製つけダレのコンボに一行のたうち回る。
    「柔らかい上に美味しいですわね?!」
    「これはなかなか。タレの生姜も効いています」
    「七輪で香ばしさも倍増とかすごいよね!」
    「待てコロナ、それ俺が焼いてた肉?!」
     肉を奪い合うライバルたちをよそに、鶉とシャノンが油断なく己の分を確保しながら肉を焼いていく。隣のテーブルでは庵が眼鏡クイクイしながら豆知識を披露中だ。
    「ラムは脂肪燃焼効率のいいLカルニチンが豊富ですし」
    「それホント?!」
     速攻で食いつく凛子。人見知り気味のフリルが伏し目がちに食べ進める横で、見桜があれこれと取り分けていた。
    「はい、焼けたよ。野菜はもうちょっとかな」
    「ありがとうございます……」

     夕食を海鮮丼に定めた一行はブルーベリー、さくらんぼと果物狩りをしながら新千歳空港へ向かった。途中の道の駅でソフトクリームを堪能するのも忘れない。
    「ふおおおおお! ミルクが濃いぞこのバニラ!!」
    「ふふん、抹茶の美味しさがわからないとは不憫だね!」
    「もったり甘くてかぼちゃの風味濃い! えびすかぼちゃのフレークもかかってるよ!」
     言うまでもなく悠とコロナと凛子である。
     夕方には空港に入って、海鮮の美味しいお店に入店。夕食は牡丹エビ、マグロ、はまち、イカ、鮭、数の子にいくらと玉子、ずわい蟹の爪が乗った海鮮丼だ。
    「ネタの鮮度も酢飯の塩梅も完璧だね」
     満足げに見桜も唸った。果物狩りも堪能して持ち帰りのパックも買ったし、余すところなく北海道を満喫した形である。
    「さすがわたしですね! 数あるお店の中からこのお店をチョイスした炯眼!!」
     永久運動かってぐらい眼鏡をクイクイする庵に頷いたシャノンが鶉に問いかけた。
    「お見事です……クラブの皆さんにも何かお土産を買って帰りますか?」
    「とりあえず味付きジンギスカン肉のパックとはちみつプリンは確保しましたわ」
     ついでにさくらんぼも発送済みだ。部長である鶉に死角はないのである。

     こうして灼滅者たちは学園へと戻っていった。
     だがまだ暑い日々が続く日本のどこかで、今日も灼滅者の使命は生まれつつある――のかもしれない!

    作者:六堂ぱるな 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年8月18日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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