修学旅行2016~西の果て 与那国島で思い出を

    作者:湊ゆうき

     夏の終わりも近づき、いよいよ二学期がやってくる。たくさんの思い出を作った夏休みが終わっても、まだまだ楽しい学園行事が控えている。
     毎年初夏に行われていた修学旅行が、黒翼卿メイヨールの襲撃、サイキックリベレイター使用、大淫魔サイレーンとの決戦という大事件の連続によって延期されていましたが、いよいよ日程が決定。
     今年の修学旅行は、9月13日から9月16日までの4日間。
     この日程で、小学6年生・中学2年生・高校2年生の生徒達が、一斉に旅立ちます。
     また、大学1年生が、同じ学部の仲間などと親睦を深める為の親睦旅行も、例年通り同じ日程・スケジュールで行われます。

     修学旅行の行き先は今年も沖縄。
     個性豊かな沖縄料理を食べ歩いたり、美ら海水族館を観光したり、マリンスポーツや沖縄離島巡りなど、沖縄ならではの楽しみが満載。
     今年もみんなで修学旅行を思い切り楽しみましょう!
     
     修学旅行の3日目は、例年通り自由行動。マリンスポーツを体験したり、離島へ移動して観光することもできる。
     離島の中でも与那国島は、日本最西端の島。台湾まで、わずか111kmという距離で、年に数回、晴れて澄んだ日には台湾の山々を水平線の彼方に望むことができるという。
     島の最東端には、東崎(あがりざき)と呼ばれる岬があり、どこまでも続く水平線と青い空が堪能できる。その近くの広大な牧場では、希少な在来馬であるヨナグニウマが放牧されている。
     そして西崎(いりざき)は、日本最西端にある岬で、大海原を見渡すことの出来る丘の上に日本最西端の碑が立っている。与那国観光協会で記念の証を発行してもらえるので忘れずにもらいたいところだ。
     また、名産であるカジキマグロや車エビ、ここでしか食べられないみやらび貝など、美味しいものもそろっている。
     せっかく沖縄まで来たのだから、西の果て、与那国島を一日かけて観光するのもいいかもしれない。
     
    「修学旅行……大学生も親睦旅行として一緒の日程で行けるんだね」
     配られた修学旅行のしおりを眺めながら、今年大学に進学した橘・創良(大学生エクスブレイン・dn0219)は呟く。
     高校とはまたクラスも別になったので、新しい友達と親睦を深めるのには確かにぴったりかもしれない。
     しおりをめくっていた創良は、あるページに目がとまる。
    「海馬遊び、か……」
     与那国島で日本の在来馬であるヨナグニウマに乗って海で遊べるという。夏期のみ限定で、9月も充分楽しめるようだ。
     学園の仲間達とも何度も乗馬に行った創良なので、今回もみんなで一緒に行ければいいなと思う。
    「ねえ、良かったら自由行動の日は、与那国島に行かない? きっと楽しい思い出がいっぱい作れると思うよ」
     3泊4日の沖縄旅行。秋の沖縄も魅力充分。
     みんなで楽しい思い出を作ろう!


    ■リプレイ

    ●修学旅行三日目
     修学旅行の三日目は、終日自由行動。マリンスポーツを楽しんだり、沖縄本島から足を伸ばし離島を観光することもできる。
     八重山諸島のひとつ、与那国島は日本最西端の島。与那国島ならではのスポットやグルメを生徒達は一日かけて楽しむ予定だ。

    ●ヨナグニウマで海馬遊び
     沖縄でしか出来ないことがしたくて、風宮・壱(ブザービーター・d00909)は与那国島で海馬遊びを体験することに。
    「実は馬に乗るのは初めてです」
     壱の隣で勿忘・みをき(誓言の杭・d00125)が初めての体験に緊張と期待の面持ちで呟く。
    「みをき初めて? 俺は小さい頃――って言っても体験ポニーとかだけど」
     本格的に乗ったわけではないけれど、きっとその経験も今から活きることだろう。
    「動物……特に馬に触れられるという貴重で絶好の機会、楽しみです」
    「ヨナグニウマ、上手く乗れるといいね」
     二人は目配せをしてにっと笑いあう。

    「これがヨナグニウマ……!」
     実際に対面してみて、思った以上に小柄で可愛い姿にみをきも驚く。
    「昔の馬は小柄って本当なんだ」
    「目がつぶらです。猫とはまた違った愛嬌があります」
    「確かに、お腹付近なんかホーフツとさせるものが……」
     みをきの言葉に、壱は留守番しているサーヴァントを思い出し、そっと馬の鼻先に手を添える。
    「はは、ゴメンゴメン。お前はちゃんと引き締まってるもんな」
     重量級のきなこと比べてごめんと謝る壱。みをきもそっと馬のたてがみに手を伸ばし、撫でてみる。温厚なヨナグニウマは気持ちよさそうにしておとなしくしている。
    「今日は一日宜しくお願いします……ね?」
     そうしていざ海へ!
     初めて乗る馬の背中はなかなかバランスを取るのが難しく、両手を使って体重を支えて乗っているみをきに対し、壱は馬のリズムに合わせて堂々とした乗馬姿。
     足元には波打つ白浜。潮風が髪をくすぐりとても心地良い。隣で楽しそうに乗っている壱に笑いかけた途端、馬が足を取られたのか大きく揺れ、慌てて首筋にしがみつく。
     普段はそつのないみをきが慌てる様が珍しくも可笑しく、壱は大きな笑い声を立てる。
    「大丈夫? 少し練習してきたら良かったかな」
     海に入ればまた新しい体験。浮力も手伝い、たゆたうような心地よさ。
    「これは癖になりそうです。帰ったら練習できる場を探しましょう」
     みをきの言葉に壱も同じ考えだったらしく大きく頷く。
    「きっと、また来ようね」

    「このコらがヨナグニウマか。今日はよろしく!」
     住矢・慧樹(クロスファイア・d04132)が首を撫でながら気さくに馬たちに挨拶をする様子を、あまり大きな動物に慣れていない雪片・羽衣(朱音の巫・d03814)が慧樹の背中越しにこわごわ見ていた。
    「小さい馬なのねぇ」
    「大丈夫、触ってみ? おとなしいぞ!」
     そっと手を出すと、手触りの良い毛並み。優しいつぶらな瞳に羽衣の緊張も解け、いざ海へ。
     慧樹が馬に乗り、海の中に分け入っていく。馬たちも慣れたもので気持ちよさそうだ。
    「羽衣、尻尾掴まって泳がせて貰おうぜ」
    「しっぽ!? しっぽにぎって怒らないかしら……」
     こわごわと手を差し出し、馬のしっぽをそっと握る。
    「お前泳げないけど、コレで泳いだ気分になれるな」
     にやりと笑う慧樹に羽衣も反撃。
    「って、バタ足ぐらいはできるのよ! しっぽをビート板みたいに掴ませてもらえれば」
     そうしてヨナグニウマが進むと、羽衣もしっぽに引っ張ってもらって楽に泳ぐことができる。
    「尻尾掴んでても暴れたりしないのな、いいコ! あっ馬掻きしてる! かわいい!」
    「え、うい。馬かきみてない!」
     足がつかない海中で泳ぐ馬の様子も微笑ましい。しばらく泳いだら今後は羽衣が背中に乗る番だ。

    「ヨナグニウマさん、かわいいですね……!」
     初めて目にする小柄なヨナグニウマを見て、羽柴・陽桜(ココロアワセ・d01490)は藍色の瞳を輝かせる。
    「初めて見たけど、本当に小さくて可愛いね」
     陽桜の横で橘・創良(大学生エクスブレイン・dn0219)もつぶらで愛らしい瞳を覗き込む。
    「んと、一緒に遊ばせてくださいね?」
     触っていいか確認してから陽桜はそっと馬を撫でては言葉をかける。
    「創良さんは乗馬、上手でした……よね? 今回もお馬さんに乗るのです?」
    「もちろん乗りたいと思ってるよ」
     創良が応えると、陽桜はぱあっと顔を輝かせる。
    「あたしは、その後ろからしっぽに捕まって泳いでみたいのです」
    「それもいいね」
     いざ海へ繰り出し、ラッシュガードやマリンシューズを着用した陽桜は準備ばっちり。
    「小柄だからこそ、ヨナグニウマは海で遊ぶのにちょうどいいんだね」
     海に入っていき、そのことを実感した創良が楽しそうに呟く。
    「陽桜さんはどう?」
     しっぽに掴まって気持ちよさそうに泳いでいる陽桜も笑顔で応える。
    「お馬さんに引っ張ってもらう形で泳ぐのってかなり楽しいです……っ♪」
     近くでは日輪・八(汝は人狼なりや・d27509)が同じように海馬遊びを満喫していた。
    「しっぽに掴まって泳ぐのも楽しそう!」
     陽桜の様子を見て、今度は泳ぎに挑戦するようだ。
     そして久瀬・雛菊(蒼穹のシーアクオン・d21285)もウィングキャットのイカスミを抱えてヨナグニウマの背に揺られながら海中散歩。
    「雛菊さん、上手だね」
     気持ちよさそうに歩いていた雛菊は創良の言葉に気づくと笑顔で手を上げる。そしてしっぽに掴まって泳いでいる他の参加者を見て、それもありだと思い出す。
    「イカスミちゃんどないしたん?」
     もぞもぞと動き出したイカスミは器用に馬のおしりへ移動。
    「って、ちょっ……イカスミちゃんが馬の尻尾に捕まってじゃれとる」
     しっぽをビート板がわりに、後ろ足で犬かきまでしている。……猫だけど。
     とりあえず回収するべきなのか、なんとなくこのまま見ていたいような、とっさの判断に迷う雛菊だった。
    「陽桜さんも乗ってみる?」
     せっかくだからと創良が今度は陽桜を馬の背に乗せ、交代する。
     晴天の中、澄み切った海と爽やかな風が心地良く、楽しい時間が過ぎていく。
    「ありがとう!」
     しばらく楽しんだ後、海から上がったヨナグニウマに感謝の気持ちを込め、八は優しくその首を撫でるのだった。

    「海で乗馬なんて最初は半信半疑だったけど、なんかすごいね。馬ってすごい……格好良い!」
    「馬なのに海の中歩くんだよね、知ってる乗馬じゃない……!」
     先に海で馬に乗って遊んでいる姿を見て神谷・蒼空(揺り籠から墓場まで・d14588)が興奮気味に言えば、雨森・珈薫(ビタービターチョコレィト・d17456)も初めての体験に大きく頷く。
    「蒼空っ、一緒の馬乗らない?」
     あとで交代ね、と言い合い、まずは珈薫が先に馬の背に揺られる。
    「それなら私はひなこと同じ馬に乗ろう」
     仲良し四人組で来ていたので、楠原・センリ(廻る歯車・d21130)は星倉・妃奈子(ニセモノ灰かぶり・d29128)にそう提案する。
    「ええ、よろしくねセンリ」
    「そうだなあ……どちらが先に乗るかはジャンケンで決めようか」
     結果、センリが負け、妃奈子が先に乗ることに。
    「それじゃお言葉に甘えてお先に」
     二頭は砂浜をゆったり進み、いよいよ海へ。蒼空とセンリはヨナグニウマのしっぽを掴んで泳ぐことに。
    「……尻尾つかんじゃってるけど、痛くないかな?」
     蒼空の心配をよそに、おとなしい馬たちは悠然と海を泳いでいく。
     馬が思った以上に小柄で小さいため、少々不安を覚えていた妃奈子に、同じく少し怖がっていた珈薫が目配せ。けれど、おそるおそる後ろを振り向けば、馬のしっぽに掴まり波に揺られ気持ちよさそうな二人が。
     冷たくて心地良く感じる水温。美しい海にセンリは目を細める。
     珈薫も妃奈子も徐々に慣れると楽しめる余裕が生まれる。たくましい馬の背に揺られて海をゆくのはとても気持ちいい。充分楽しむと、それぞれ交代。
    「景色が全然違うね!」
     馬のしっぽに掴まって泳ぐのと、馬の背に揺られるのでは目線の高さも揺れも全く違う。怖いかと思っていた蒼空だが、新鮮な目線からの海に感動。
    「センリちゃん、すごいね綺麗だね……!」
    「そうだな、すごく綺麗だ……」
     同じように驚きと感動を体験していたのだろう。センリは頷き微笑む。きっと同じ景色を見ている者にしか共有できない感覚なのだ。
     珈薫と妃奈子は馬のしっぽに掴まり、ゆったりと泳ぎを楽しむ。すいすいと力を使わず泳げるのがなんとも気持ちいい。
    「ひなちゃん手、繋ごうー?」
     珈薫が笑顔で手を差し出す。ちょっと気恥ずかしかった妃奈子だが、それでもとても嬉しくて、そっと片手を差し出す。
     馬も息を合わせたように、どちらかが行きすぎることもなく、四人は一緒に海馬遊びを楽しんだのだった。

    「このちんまいロバもどきが馬じゃと!? こんな威厳のなさで大丈夫かね?」
     誇り高き白狼の末裔である茅ヶ崎・悠(誇り高き白狼及び保の旦那・d28799)は、ヨナグニウマを前にして思わずそう漏らす。実際、体高は悠の身長よりも低いのである。
    「おとなしゅうて、優しそうなお馬さんやねぇ」
     対して八千草・保(星望藍夜・d26173)は小柄で優しげな目をしている馬の首をそっと撫でてはそう評する。
    「仕方ない、乗ってやるのじゃ」
     悠はそう言いながらひらりと背に跨ると、驚嘆の声を上げる。
    「お、おお!? なんじゃ、これ。思いの外ウマウマしておるぞ!?」
     見た目こそ小柄ながら、以前乗ったことがある馬と乗り心地は変わらない。機嫌を良くした悠は保を急かす。
    「海じゃよ、海! ほれ、はよう、はよう!」
     保も別の馬に乗り、大急ぎで馬を走らせる悠を追って海へ。海に反射する陽射しも眩しいが、きらきらと瞳を輝かす恋人はもっと眩しい存在だ。
     遠くまで見渡せるほど澄んだ海水の色。さざめく波音も心地良い。
    「ここが楽園かな……?」
     保がそう思ってしまうほど、全てが煌めき心地良い。
    「前に乗ったときより、ずっと上達してるんちがう」
     以前は景色を見る余裕もなかった悠が、今は楽しそうに幸せそうな笑顔を見せているのが嬉しくて、保は笑いかける。
    「威厳溢れる白狼たるもの当然じゃ」
     二人での時間をめいっぱい楽しみたいから。悠の言葉の裏にはそんな気持ちが隠れている。
     恋人と過ごせるこんな安らかな時間。お互いに自分は幸せ者だと思いながら、大切な時間を心ゆくまでのんびり過ごすのだった。

    ●西の果て 最後の夕日
    「一番端っこ、到着です」
     日本最西端である西崎に到着し、夢前・柚澄(淡歌する儚さ消える恋心・d06835)は確認するように思わず呟いた。
    「へぇ、ここが西の果てねぇ」
     日本最西端の碑や灯台がある岬は断崖絶壁の上にある。大海原を眺めていたファルケ・リフライヤ(爆走する音痴な歌声銀河特急便・d03954)は、思わず吸い込まれてしまいかねない大自然を前に、落ちないようにそっと柚澄を抱き寄せる。
    「こんだけ広いと歌ってみたら、さぞ遠くまで響きそうだ」
     一曲歌ってみようかと思いつつ、ここは抑えておくことにしたファルケ。本人に自覚はないが極度の音痴である彼の歌は西の果てで響くことはなかった。
    「展望台から見る夕日が凄い綺麗らしいです」
     柚澄がそう語りかけ、日本で一番最後に沈む夕日を見るため展望台に移動する二人。時刻はちょうど夕暮れ時。群青色と茜色の二色のグラデーションが空に現れ、美しい。
    「夕日をバックに写真、上手く撮れるかな?」
    「よし、バッチリ決めようぜ」
     沈みゆく夕日を背景に自撮りでぱしゃり。黄昏時の暗がりを利用して、柚澄はこっそりファルケの頬にキスをした。

    「へーっ、ここが日本の一番西なんだー……!」
     西崎に到着した八は、最西端に来たという事実に感慨深げに呟く。
    「すっごい景色ーっ! こんなの見た事ないやー!」
     西崎からは与那国島に住む人々の様子も、深い青の美しい海も、遙か彼方まで続く水平線も一度に見ることができる。
    「折角だから、記念撮影も……あっ、創良さーん! 一緒に写真どうですかーっ?」
     声をかけられた創良は笑顔で応じる。
    「せっかくだから、日本最西端の碑とも一緒に撮っておきたいよね」
     まずはカメラマンとして八と碑を記念にぱしゃり。あとは周りの人に頼んで二人一緒に写真を撮ってもらう。
    「日本最西端の証も帰りにもらっていこうね」
     創良の提案に八も大きく頷いた。

    「夕暮れの風がすずしーい」
     この時間を狙って西崎に来た羽衣と慧樹。手を繋ぎ一緒に遊歩道を歩いて岬までやってきた。
    「これ、これを絶対一緒に見たかったんだ」
     思わず繋いだ手に力を込め、慧樹は興奮気味に言葉を紡ぐ。
    「日本で見られる今日最後の夕日……!」
     夕日は日本全国で見られるけれど、最後に沈む夕日を大切な人と一緒に見る機会はとてもかけがえなくて。
     楽しさと嬉しさが込み上げ、一緒にいられることの幸せさに羽衣の胸はぽかぽかと温かくなる。
    「あの先は台湾だ。俺たち二人で、日本の果てに到達したぞ!」
    「わたしたちはここだよ!」
     最西端の地で、二人は手を繋いだまま元気よく両手を挙げてジャンプする。
     夕日が作り出す二人の影は、どこまでも長く伸びていった。

    ●与那国グルメを召し上がれ
     目の前に並んだ豪華な海鮮料理の数々。
    「ひなちゃん、このお刺身美味しいねー」
     蒼空が与那国島近海でとれたカジキマグロを口に運び幸せ顔。
    「鮮度が良いから尚更なのかしら。本当、絶品ね」
     妃奈子も思わず顔がほころぶのだった。
    「蒼空、こっちの白身のお刺身もオススメよ」
    「わわっ本当、この白身もおいしー!」
     与那国島では車海老もとれるらしく、塩焼きにされた車海老が運ばれていくのが見えた。
    「センリ、あの海老すごくない? お刺身で食べたいなぁ」
     珈薫がそう呟けば、刺身で提供してくれるという。本州では見たことのない魚や食材は珍しいがどれも絶品と舌鼓。
    「みやらび貝は初めて聞く名前だな」
     あわびにも似た天然の一枚貝。バター焼きで美味しくいただく。
    「味付けもとても美味しい」
     飲み物も沖縄らしく、マンゴーやシークヮーサー、グァバ、パッションフルーツのジュースなど南国気分。
    「身も心も満たされて幸せいっぱいだね」
     珈薫の言葉に、センリと妃奈子は楽しい時間はもちろんだけど、素敵な友人達と一緒に来れたことをしみじみ嬉しく思うのだった。蒼空がグラスを持ち上げ、にっこり笑顔で一言。
    「遊んで食べて、最高の修学旅行だねっ!」
     全員でもう一度かんぱーい!

    「ご当地ならではのメニューってとこだな」
     テーブルにずらりと並んだメニューにファルケは満足げに頷く。
    「カジキと車エビ、あとはみやらび貝?」
     ひとつひとつ確かめるように柚澄が指をさす。
    「カジキのお刺身は初めて食べるけど、鮪と違って綺麗なピンク色ですね」
     刺身を口に運び、美味しいと微笑む柚澄。カジキは刺身だけでなく、唐揚げや焼き物などメニューも豊富だ。
    「与那国島観光楽しかったな」
     今日一日を振り返り、楽しかったことをお互いに報告し合う。
    「お、そうだここでも写真撮るか? お土産話にもなるし」
     絶品料理と一緒に記念にぱしゃり。楽しい思い出が増えた今日。でも、これからもずっと二人の時間は続いていく。幸せをかみしめながら、そんなことを思うファルケだった。

    「色んな食べ物がたくさんっ、どれから食べようか迷っちゃうねっ!」
     一日観光を終え、お次はグルメとばかりに八がきらきらとした目で料理を眺める。
    「ほんとどれもコレも目移りするけど……何から食べ……ん? イカスミちゃんも何か食べたいんか?」
     雛菊が与那国島名物を前に悩んでいたところ、イカスミが熱い視線を注いでいることに気づく。
    「成る程……カジキマグロかぁ……」
     新鮮なお刺身やバター焼きなど食べ方もいろいろ。
    「わたしも先ずそれから手を付けようと思ってたし一緒に食べ……」
     今にも食べかからんとしているイカスミに宥めるように雛菊が声をかける。
    「いや……カジキマグロは逃げへんよ」
     一緒に食べよう、と雛菊がイカスミにカジキマグロを差し出す。
    「いただきまーすっ!」
     八も元気に声を出し、美味しい料理に舌鼓。
    「よく遊んだ後は、よく食べる! 滅多に見ない沖縄料理を楽しむのじゃ」
     悠はそう宣言すると食べたことのないような珍しい料理を前に興味津々。
    「珍しい料理やね。これは何やろ?」
     保と二人で新しい美味しさを発見。与那国島産の海の幸や沖縄らしい豆腐料理など、存分に堪能した。

     島の外周を車で走るとわずか1時間30分ほどで一周することができる与那国島。けれど西の果ての南国には、この島にしかない魅力がいっぱい詰まっているのだった。

    作者:湊ゆうき 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年9月15日
    難度:簡単
    参加:15人
    結果:成功!
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