黒翼卿メイヨールの襲撃、サイキックリベレイター使用、大淫魔サイレーンとの決戦という大事件によって延期されていた、修学旅行の日程が決定しました。
今年の修学旅行は、9月13日から9月16日までの4日間。
この日程で、小学6年生・中学2年生・高校2年生の生徒達が、一斉に旅立つのです。
また、大学1年生が、同じ学部の仲間などと親睦を深める為の親睦旅行も、同じ日程・スケジュールで行われます。
修学旅行の行き先は沖縄です。
沖縄料理を食べ歩いたり、美ら海水族館を観光したり、マリンスポーツや沖縄離島巡りなど、沖縄ならではの楽しみが満載です。
さあ、あなたも、修学旅行で楽しい思い出を作りましょう!
修学旅行一日目。昼食を挟んだ後の体験学習では、琉球ガラス村で、琉球ガラスのアクセサリー作りも体験できる。職人が手作りした、様々な色合い、形の琉球ガラスのパーツ。その中から好きなものを選んで、色んなビーズや紐と組み合わせて。ネックレスやストラップ、ブレスレットやアンクレットなど、自分だけのオリジナルアクセサリーが作れる、人気の体験だ。
作り方も、そう難しくはない。まずはメインとなるガラスパーツ選び。琉球ガラスの特徴のひとつは多彩な色。沖縄の海のような鮮やかな青、真っ赤な夕陽のような赤、豊かな山原を思わせる緑……等々。琉球ガラス特有の気泡が入ったものや、綺麗なグラデーションを描くものもある。形も、シンプルな球形からしずく型、輪型、島ぞうり型、勾玉型まで、色々な形のものがあるようだ。実に様々な色、形のガラスパーツがあるので、きっと貴方の気に入るパーツが見つかるだろう。
メインのガラスパーツを選んだら、次は紐選び。作るアクセサリーに合わせて、紐も様々な色のものが選べる。紐の代わりに、テグスやチェーンを使うこともできるようだ。それが終われば、後は好きなビーズを通して飾りつけるだけ。ビーズもたくさんの種類がある上、ビーズは使い放題! 見本なども見ながら、思い思いのビーズを好きなだけ通して、自分だけの素敵なアクセサリーを完成させよう。
最後の仕上げはスタッフの人がやってくれるし、仕上げに限らず、何か分からないことがあれば、聞けば丁寧に教えてくれる。不器用な人や初心者でも安心。
また、アクセサリーに拘らず、琉球ガラス村では実用的なガラスのコップなども作成できる。大まかには、見本から好きな色を選んで、グラスの型に息を吹き込み、口の形を整えて冷やして完成。こちらもスタッフが手伝ってくれるし、難しい作業は代わりにやってくれたりもするので、経験のない人や不器用さんでも大丈夫だ。
そうしてできたオリジナルアクセサリーやコップは、修学旅行の良い記念や、お土産にもなるだろう。
「よ…………よかったぁ…………修学旅行、今年もちゃんとやるんだ…………」
修学旅行のしおりを握りしめ、大きく安堵のため息をついた桜田・美葉(桜花のエクスブレイン・dn0148)はへなへなと床に崩れ落ちた。修学旅行延期の知らせから、続報もしばらくなかったのは周知の通り。対象学年である美葉としては、今年の修学旅行が無事に行われるのか、ずっと心配していたのだろう。いや、彼女に限らず、多くの生徒達が気にしていたに違いない。こうして修学旅行のお知らせが舞い込んだのは朗報といえる。
安堵感から、しばらく床に座り込んで呆けていた美葉は、同じ修学旅行生達の視線を感じて、慌てて立ち上がった。
「あっ、あ、お、お恥ずかしいところを……す、すみません!」
しおりで顔を半分隠すようにしながら、縮こまる美葉。それからおずおずと、顔を赤らめて、話題を逸らすように話し始めた。
「え、えっと、あの、みんなは……皆さんは、もう、修学旅行でどこ行くか、決めた? ……じゃなくて、決めました、か?」
ボク――私は、これにしようと思って、と彼女はしおりの『琉球ガラスのアクセサリー作り体験』の文字を指さす。
「琉球ガラスって、とっても綺麗なガラスみたいですし……それを使って自分だけのアクセサリーが作れるって素敵だな、って思って」
私みたいな不器用な人でも、スタッフの人が手伝ってくれるみたいだし、大丈夫かな、と微笑んだ後、
「あの、もしよかったら……皆さんも一緒に、どうですか?」
と小首を傾げて誘う。
「お友達とか、クラスやクラブの仲間と一緒に、おしゃべりしながらアクセサリー作るのも楽しいと思うんです。あ、作ったものを交換し合うっていうのも面白いかもしれませんね! アクセサリーとか興味ないって人でも、ガラスのコップなんかも作れるみたいなので……検討してもらえたら嬉しいです」
何にしても、折角の修学旅行。楽しみましょうね、と美葉は笑顔を見せた。
アクセサリーでも、ガラスコップでも。どちらにしても、自分で作ったものは世界に一つだけのオリジナル。
色鮮やかな琉球ガラスで、あなたも。自分だけの煌き、作ってみませんか?
●アクセサリー作り
【Machinery's】の皆と一緒に。木乃葉が選んだのは、水色から濃い青に変化していく海のような勾玉型硝子。それに白い紐で砂浜、赤とオレンジ、黄色のビースで太陽を表現。普段なら桃色系を選ぶ美智も、今回は沖縄の海をイメージして。選んだのは水色から黄緑色へのグラデーションの雫型。気泡入りで、より海を思わせる。ビーズは透明や薄水色系を紐に通して……。
「よし、なかなか爽やかなアンクレットが出来ました♪」
空は青い硝子をベースに、白いビーズを組み合わせ。
「どうだぁ! この沖縄の青空と白い雲をイメージしたイカしたストラップは!」
とドヤ顔。美的センスが壊滅的な空だが、今回は用意されている物しか使えないのが幸いだった。一方、日常的に目隠しをしている望は全て手探り。形だけは悪くならないように指先に神経を集中させて。紐はチェーンにしてストラップに。
「問題は色合いですね。上手く出来ていれば良いのですが……」
自信なさげな望だが、空は
「良くできてるじゃねぇか、目隠ししてるとは思えねぇな」
と褒め、木乃葉も
「良い色合いですね~、本当に見えてないんですか……?」
と感嘆の声を上げる。
和弥が作るのはブレスレット。メインパーツは、イクラ食べたいわーって雑念に引っ張られた結果、オレンジの球型を選択。うん、こないだの臨海学校が悪い。けど、イフリートモチーフって事にしてしまえば案外イケるんじゃないか? 黒紐に黒ビーズ、ちょっとだけ白も散らして。でも返ってきたのは。
(「イクラの……」)
(「……軍艦巻き?」)
陽司と木乃葉の小声。
「……誰だ軍艦巻きカラーって言った奴は。違うし。断じて違うし」
その陽司は、夕陽のように真っ赤な丸形硝子を選び、紐はテグスに。それに赤、オレンジ、黄色等のビーズを通そうとするが。
「あ、あれ……思った通りにいきません! だ、誰か助けてー!」
「ったく仕方ねぇな、見せてみ……ん? あれ、えーと、これどうなってんだ?」
助けに入った空も混乱。そんな二人を美智は、子を見る親のような視線で見守った。
遥は島ぞうり形の青色グラデーションの硝子と、緑の紐を選んで、丸ビーズを6個通す。仕上げはスタッフにお任せ。叶流のメインパーツは深い青色をした、大きめの雫型。ビーズの配色は透明に近い青から濃い青のグラデーションにして、紐はテグスに。通していくだけだから、こういうのが苦手な叶流でも大丈夫。スタッフにも手伝ってもらいながら、素敵なネックレスが完成した。
アリスは想々と一緒に、ミサンガ風のブレスレットを制作。
「……色は……虹色がいいかな……青と紫……白……黄……橙……あれ……虹って……あと何色だっけ?」
「赤と緑もありますよ」
想々がほら、と硝子を指差す。自身は気泡の入った雫型の物を選び、沖縄の海と空の青を織り交ぜ。兎に角バランス良く丁寧に白の紐に通していく。ビーズも薄水で統一。
「あ、このビーズ。雨粒みたいでアリスの虹にぴったりやと思う」
「ほんとだ……雨をビーズで表現するなんて……考えもしなかった……おかげで……かわいくできたの……」
アリスが微笑む。お役に立てたならよかった、と想々も微笑み返した。
シャーリィと智秋は共にブレスレットを制作。シャーリィは青と、緑と。落ち着いた感じの色合いを中心に組む。一つだけ赤系の、明るい色パーツを入れて。
(「ちーちゃんは物静かだけど芯があって強い、大事なお友達ですの!」)
智秋の事を思いながら、バランスを整えて完成!
傍らの智秋が選ぶのは、オレンジ・黄色の混ざったものや透明、明るい緑もいくつか。
(「えへへ、リィちゃんの色……なの」)
バランスを見て並べ直し。納得いくものができたら二人で見せあいっこ。
「これはリィちゃんにあげるの。私からの、プレゼント」
手渡す智秋に、シャーリィも自作品を差し出した。
「私も、これ! ちーちゃんに! 一緒の思い出、また増えましたの! ……これからも、一緒に。……大好き!」
瑞樹はシンプルな球体硝子をメインに、小さめのビーズを使ってアンクレットを作る。青系だけ繋いだものと、赤系だけ繋いだ二連仕様で。それぞれ濃淡グラデーションになるように。
友衛は悩みつつ、メインのパーツはハート形に。色合いは透明な中に白い色が入った感じの物。
(「灯した白い炎を封じ込めた心、に見えるだろうか?」)
紐も合わせて白い紐で。そこに深い青と透明なビーズを交互に通していく。
「 ……うん、良い出来だな」
出来に頷き、美葉に視線を向けた。
「桜田はどうだ?」
「それが、色に迷っちゃって……」
美葉は恥ずかしそうに俯く。早めにできた瑞樹が助け舟を出した。
「じゃぁ、宝石言葉から選ぶのはどうかな? 例えば、『愛情、優しさ』なら紅水晶。この色とか、それっぽいと思うけど」
「なるほど! いい色ですね。それにしようかな?」
目を輝かせる美葉に、友衛も安堵して言う。
「修学旅行、無事に来られて本当に良かったな」
「はい!」
笑顔で頷く美葉。その気持ちは悠花も同じだった。
(「どうなるのだろうと思ったけど、修学旅行があって、ホント、よかった」)
そう思いつつ、ブレスレットを作る。紐はテグスに、水色と緑の丸い硝子を交互に通して。最後に少し大きめで綺麗な赤い玉を通して完成。早速、腕につけて太陽にかざしてみる。
(「やっぱり沖縄は海と太陽だよね」)
愛莉が作るのはネックレス。オレンジの雫型のペンダントヘッドに、黄・白・オレンジ系のシンプルなビーズを合わせて。黄と白の紐に通して、結び目と結び目の間にビーズを挟んだりして……。
「できた!」
出来栄えに満足した後、ふと手こずっている美葉が目に留まり。声をかけた。
「よければお手伝い、しましょうか?」
「いいんですか? ありがとうございます!」
顔を輝かせる彼女に手を貸しながら、
「転校して来たばかりで、まだ話せる人が少ないの。これからよろしくね」
と話しかける。
「はい、こちらこそよろしくお願いしますね!」
笑顔で応える美葉。そこに、散耶もやってきた。
「可愛らしい桜のお嬢様、宜しければお隣失礼しても?」
「かわっ……!?」
その言葉に赤くなりつつ、どうぞ、と美葉は席を指す。散耶が悩み選んだのは、紺碧と翡翠の二層を閉じ込めた、泡の様に丸い硝子玉。其処に浮かぶのは幾つもの泡沫。繋ぎ留めるは麻紐。淡い青や緑のさざれ石で彩りを。ビーズのお魚やハイビスカスも添えて。
「桜田様の選んだ硝子も、とても素敵にございますね」
褒める散耶に、美葉は
「いえいえ、手伝ってくれた皆さんのおかげです!」
とはにかむ。彼女の硝子は薄紅の雫型、愛莉にも手伝ってもらいながら、葉っぱ型のビーズを通してネックレスに。完成品を見せ合う約束の下、散耶の掌の上で、涼しげな青い空と海の色のブレスレットが煌いた。
【月虹】の双調は、白い麻の紐を選んでブレスレットを作る。メインパーツは海の蒼の勾玉。両端に白い気泡の玉を添えて。周りには空の水色と夕陽の赤を交互に添えていく。
凜が作るのはネックレス。双調にも手伝ってもらいながら、ライトブルーと白の二本の紐にビーズを通していく。ペンダントトップは星の砂が入った群青色のトンボ玉。青や緑系のクリアビーズを一緒に通して。
「できたっ!」
「私はブレスレットを作ろうかしら」
鈴音は夕焼けを連想した茜色の勾玉をメインに、両脇に透明のビーズを添えて。後は森の緑、海の青、砂浜の白の気泡入りビーズを使い、透明のテグスに通していく。
「陽桜ちゃん、美葉ちゃんのメインパーツは何を使ってるの?」
覗き込む鈴音に、陽桜は悩みつつ。
「あたしは……あ、これがいいなぁ」
と気泡の入った桜色の球形硝子を手に取った。
「美葉ちゃん、見て見て、綺麗な桜色なのです。あたしこれ使ってブレスレット作ろうと思います」
微笑んで見せる陽桜に、美葉も
「わぁ、素敵な色ですね!」
と目を輝かせて。私はこれを、と自作品を見せた。薄紅の雫型硝子に、葉っぱのビーズを通したネックレス。それを見て、陽桜は皆が使ってるパーツを一つずつ入れてみるのもよさそう、と桜色と淡い水色のビーズも通しつつ、皆と同じパーツもうまく繋げていく。
「うん、あたしもバッチリなのです♪」
完成品を身に着け、にっこり笑った。
「深刻なもふもふ(汾陽)不足だ」
スタッフもいるため、汾陽を連れて来れなかった宵月は気を紛らわせるため、アンクレット作り。メインは気泡入りの薄い紫色のリボン型硝子。紐はチェーンにして、ビーズは……。
「……あ、あたしの髪色」
思いついて、薄めの黄色と青を付けていく。
流龍はエメラルドグリーンの勾玉硝子を発見。
「沖縄の海の色にそっくりだね、これをベースにしよう!」
紐は大空の色にあわせて青に。青のビーズから段々夕暮れのオレンジっぽいビーズをはめ込んでいって。
「うん、自分の好きな赤系色も取り入れられてなかなかの出来栄えだ!」
シェラハはビビッドカラーが程よく混ざり合った、ト音記号型の硝子パーツを中心に、サブで同じくビビッドカラー中心の音符型を少々並べていく。紐はテグス。ビーズは全音符を意識して丸いものだけを使い、出来上がるのは、今にも音楽が聞こえてきそうな音符のブレスレット。
「一応アイドルなんだし、音楽っぽいモチーフで決めてみました♪」
一正はガッチガチに緊張しながら、クリムと共にアクセサリー作り。気泡の入った雫状の群青色硝子をメインに、目の細かいチェーンに青と若葉色のビーズを2個ずつ左右対称になるように通す。
クリムはブレスレットみたいなもの。硝子は三日月っぽい形を選んで、色は赤に青に緑、そして紫。
「ふふふ、出来栄えも素晴らしいのはさすが私」
笑みを浮かべるクリムを一正は撮影。
「写真を撮るの? しょーがないデスネー、後で色々奢ってもらいマスヨ」
なんて言いながら、クリムは
「はい、クリムちゃんぷりちー!」
とあざとい可愛さ押し出すポーズ連発。撮りながら、自然と一正の口からは言葉が漏れる。
「ふむ……やはり美人にゃアクセサリーは映えますな」
「もー! 美人だなんて分かりきった事を今更ー!」
照れたクリムは一正を全力バシバシ。
【診療所】の皆でアクセサリー作り。智香は悩みつつ、雫型でグラデーションのかかった緑の硝子に。紐は柔らかい白い革にしてブレスレットとアンクレットで使い分け出来る様に。ビーズは空煌のイメージカラーのオレンジに、シェスティンのイメージカラーのピンクを交互に通す。
シェスティンは夜の様な、深い青の月形硝子をセレクト。紐は、ブレスレットくらいの長さの細い茶の革紐。ビーズは、キラキラした緑と、優しい白を、硝子の左右に、1個ずつ。
空煌が作るのはブレスレット。紐はチェーンを使い、硝子は勾玉型。白、赤、青の3色を交互に。間に黒く小さなビーズを通して硝子同士がぶつからないように。
完成品は皆で見せ合い、感想を共有しあった。
シルヴァンは、夜空を閉じ込めたような瑠璃色の丸い硝子を中心に、銀のテグスに星型とマーブル色のビーズ二種類を通して。星空や宇宙をイメージしたストラップの出来上がり!
傍らの榛名は、ハイビスカスやブーゲンビリアが綺麗だったので、そのイメージをネックレスに。悩みつつも、赤い花型硝子を中心に、ピンクの輪型の物を等間隔に並べて、ビーズを通して……完成! 二人で見せ合う。
「わぁわぁ、とってもかっこいいストラップ!」
「榛名ちゃんのは華やかでカワイーね!」
祝は赤橙から青のグラデになるように、器用にビーズを通してストラップ作成。夜奈は綺麗な海の青の、雫形のメインパーツに淡い青の紐。それに合ったビーズを選んでいく。
「俺はストラップにしよう。硝子は――ああ、赤、がいい」
赤い硝子を手に取る貢を、
「……赤かー。へーふーん」
と、祝は意味深な笑みを浮かべて見る。貢は慌てたように咳払い。
「いや、待て、他意は、他意はない。この雫の中の色が朝焼けじみていて綺麗だったからで」
「うん、判ってる、判ってるよ、いいんじゃないかな」
祝は変わらずニヤニヤ。察した夜奈もにこにこにこ。
「……へー。ふーん、そう。がんばって」
赤くなりながらも、貢は焦茶の紐に、透明のビーズを少なめに……。
「? ……あっ、いや、通すくらいは。通すくらいは俺とて。あっ」
ばらばらと落としたビーズが散らばる。つられたように、夜奈も手が滑りビーズぶちまけフリーズ。
「……おかしい、こんなはず、じゃ」
その惨事に、祝は取り敢えずスマホ構えて写真一枚ぱしゃり。
「……さ、もう一回がんばろ!」
愛奈が選んだ硝子パーツは、鮮やかな青い球形。自らの瞳と同じ色に、どこか不思議な感覚を覚える。綺麗なビーズを適度に通してブレスレットを完成させたら、恋人の分も。
「……何処へ行っても、やる事は変わらないわね」
大切な人に渡したいのは、一夜も同じ。鱗粉みたいなきらきらの入った、藍色と、透明の蝶々型の硝子を探して。白と青の紐を丁寧に四つ編みにして、水色と緑のビーズを端っこにつけたら、その先に硝子をつけてストラップに。元気で笑ってて欲しいなって気持ちを込めて。
(「大好きなあの人へのお土産。気に入ってくれたらいいけど……」)
●グラス作り
工房内はすごく暑い。でも、ライバルで大事なあの子に負けるのだけは絶対に嫌だから。ヒカリは我慢してグラス作りに臨む。グラスは夜空みたいに暗い深い蒼。職人に教わって、型吹きも飲み口の仕上げも何とか自力で全部終わらせる。
「ふふーん、ぼくはやれば何でもできる子だからね! 頑張って作ったんだから、気に入ってもらわなきゃ困るのだよ」
イチが作るのも、夜空のような濃い青のグラス。でも溶けた硝子はマグマを思わせるオレンジ色で。硝子なのに、命を感じる。
作業は職人の話を聞いて真剣に。しかし形を作るのは難しく。手先は割と器用だが、歪な形に。それでも、何かを作るのは命を与える事。適当になんてやらない。いつしか無言になるほど没頭していた。
「……よし、これが今の僕の、精一杯。完成楽しみ」
風花は好きな桃をイメージして、上が桃色で、下にいくにしたがって黄色みを帯びた白になるグラスを作る。形も仄かに丸みを帯びた物。
「こういう風に手作り体験を出来るのは素敵ですね」
「飲み口を……何とかお星様の形っぽく……してみたいです」
【星空芸能館】の皆と一緒にグラス作りするえりな。形を整えるのは慎重に慎重に……。
「ちょっとぶさいくさんになっちゃったけど、これも味……でしょうか?」
徒は赤い硝子で、湯呑みくらいの大きさのグラスを。陸上で鍛えた肺活量なら型吹きも楽勝だけど、細かい作業はあまり得意じゃなくて。
「……とほほ、凸凹だ。まあ、これも味ということで……」
と、えりなも似たような事を言っているのに気づき。思わず吹き出す。
ジヴェアは二つ。ワイングラスに近い形状で、上から泡のあるレモンイエローと薄い瑠璃色のグラデーションになるものと、ビールジョッキに似た、表面が多角形状になるもの。色は上から紫、気泡入りの無色、緑のグラデーション。職人の指導を受けつつ、自分のイメージに近づける。
ファルケが目指すのはペアグラス。黄色と緑色を微妙に重ねて。それは自分と彼女の髪の色。デザインは職人と相談しつつ。発送先も二つに分けてもらう。出来上がったら、その彼女の様子を見に。
「さーて、どんなのが出来ているのだか」
様子を見に来たファルケに、柚澄は嬉しそうに自作品を見せる。黄緑色の雫型硝子をチェーンで繋いで、ビーズも少し通したイヤリング。
「えへへ、ほら、ファルケさん、黄緑色です」
朋萌とマヤは、サンプルを見て、気に入った同じデザインのコップを一緒に作る。沖縄の海を連想させる青い泡グラス。マヤはそこに、花柄の模様を入れて、オリジナリティーを出してみる。
「うーん、少し難しいですね。でも、やり甲斐があって楽しいです♪」
一方の朋萌は、マヤや職人の助けを借りつつも、できたのは少し歪んだ形のもの。でも、自分で作った思い出の品だから満足。
「送っていただけるのが楽しみですね」
璃依は奈那の好きな桜色グラスをチョイス。模様は可愛いデフォルメされたシーサー。奈那は、飲み口の透明色に近い水色から、深い深い海の底の色に変わる、光が差し込むようなグラデーション色のグラス。そこに浮かぶのは涼やかな白色の桜。いざ、すぅ……と大きく息を吸い込み、膨らませようとするけど思うようにできず。
「あ、あれ? 思う以上に難しいですね」
もう一度! と膨らませると丁度いい大きさになって。
「わ、膨らむときは一気になんですね。璃依ちゃんはどうですか?」
と親友を見る。璃依は親友のために、と張り切りすぎて吹きすぎてしまい、中々上手くいっていない様子。
「な、なんでだー!?」
焦れば焦るほど上手くいかず。最終的には奈那や職人に手伝ってもらい、苦戦しつつも何とかやり遂げた。
「よし、ナナ、修学旅行のお土産だ☆」
と満面の笑みを浮かべて。冷やす時間があるので、発送は後日になるけれど。奈那も出来上がったものは璃依へプレゼントするつもりだ。澄んでいて、深く、綺麗な璃依の瞳と同じ色のグラスを。
作者:ライ麦 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2016年9月13日
難度:簡単
参加:48人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 7/キャラが大事にされていた 2
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