●修学旅行!!
黒翼卿メイヨールの襲撃、サイキックリベレイター使用、大淫魔サイレーンとの決戦という大事件によって延期されていた、修学旅行の日程が決定しました。
今年の修学旅行は、9月13日から9月16日までの4日間。
この日程で、小学6年生・中学2年生・高校2年生の生徒達が、一斉に旅立つのです。
また、大学1年生が、同じ学部の仲間などと親睦を深める為の親睦旅行も、同じ日程・スケジュールで行われます。
修学旅行の行き先は沖縄です。
沖縄料理を食べ歩いたり、美ら海水族館を観光したり、マリンスポーツや沖縄離島巡りなど、沖縄ならではの楽しみが満載です。
さあ、あなたも、修学旅行で楽しい思い出を作りましょう!
●夜の女子会のお誘い
さて、修学旅行二日目は、豪華リゾートホテルでの宿泊となる。それぞれの近況、思い、決意など色々と語り合う良い機会だろう。そうだ、就寝時間が過ぎてからが、修学旅行の本番だ。開放的な南国の夜がそんな気分にさせるのかもしれない。
すなわち、修学旅行では、女子は布団に包まって恋バナをするのがお約束なのだ!
幸いにも、ホテルには大部屋がいくつかある。そのうちの一つを、夜の女子会集合場所とする、と。女子の間で伝言ゲームのように話は広まった。
自分の恋を語るも良し。
友達の話を聞くのも良し。
みんなの話を聞きながら、自分の胸の中で思いを膨らませるも良し。
楽しくドキドキの女子会を開催しちゃいましょう。
「夜の女子会かー♪ ちょっとドキドキだけど、楽しそうだよね♪」
話を聞いた空色・紺子(大学生魔法使い・dn0105)が両手を頬に当てて皆を見た。
「普段はちょっと照れくさい話も、修学旅行の夜には出来ちゃうかも。うん。みんなのお話も、聞かせて欲しいな~!」
ドキドキわくわくの修学旅行の夜。皆でめいっぱい女子会を楽しみましょう♪
●二日目の夜、女子会
楽しい修学旅行では、皆がたっぷりと沖縄を満喫していた。
そして、その夜。
ホテルの大部屋に女子達が集まって、楽しくわいわいとおしゃべりに花を咲かせていた。
「で、皆様最近はいかがですの? 何か進展はありましたの?」
周防・雛(少女グランギニョル・d00356)がきょろきょろと仲間達の顔を見る。
「雨ちゃんと薫さんのかっぷるがあつあつなのです。二人はどこまで行ったのー?」
すると、エステル・アスピヴァーラ(おふとんつむり・d00821)が奏森・雨(カデンツァ・d29037)の頬をぷにぷにとつっついた。
身を寄せてきたエステルに、雨は、視線を泳がせ照れながら下を向き、顔を真っ赤にする。
その様子に、雛もずずいと身を乗り出して力説した。
「サーカス小屋のらぶ成分は雨たちにかかっていますのよ! さぁ! とびきりの甘いお話を! ヒナ達に!」
「さ、最近……? 進展、えと、えと……
この前、薫くんのお誕生日だったから、お祝い、した、よ」
もじもじしながら小声で雨が言う。
すると二人は頷きながらも、更に踏み込んだ話を期待する瞳を雨に向けた。
「あと、もうすぐ、記念日……だから、どこか、お出かけしたいなって」
ふむふむ、それでそれで、と、今だ納得せず二人はその先を促す。雛もエステルも、色々あって、この手の話に飢えているのだ。よよよ、とか言いながら雛は左から雨に詰め寄る。今夜はいろいろ聞きだすのですと、右からはエステルが畳み掛ける。
左右からの攻めに対して、ようやく、『進展』の意味合いに気づき。
「進展……って、こういうことじゃ、なくて……? ……!?」
雨は、頭から煙が出そうなくらいに、更に顔を真っ赤にした。
照れているのを誤魔化すように紅芋タルトを頬張る。
ちなみに、この紅芋タルトを持ってきた鳥居・薫(涙の向こう側にある未来・d27244)は、部屋の外で膝を抱えて一人寂しくお菓子をかじっていた。
「そんな、二人が期待するような話はそんなない……と、思うぞ。多分。うん」
と言う様なことを小声で呟きながら、静かに夜を過ごすのであった。
女顔でもないしタッパもあるからバレないか? と心配していたが、雛たちに施された女装はあっさりと指摘されて、追い出されたのである。ゴメンね、と、紺子が何か物言いたげな笑顔を見せていたのが、印象的だった。
さて、部屋の中では、エステルが雨達の事を羨ましいと唸っていた。
「えすてゆの彼はいまいないのです、むーむー……」
「……? エステル?」
雛が心配そうにその顔を覗き込む。
「うー、ひなちゃんが一緒なのです、だからこのままいたいのです、あーうー」
「そうね、ヒナにはエステルがいましたものね、寂しくありませんわよね」
えぐえぐと涙をためるエステルを、雛はぎゅっと抱き寄せた。よしよしと頭を撫でて、ゆっくりと語りかける。
「大丈夫よエステル、ヒナはどこにも行かないわ。ずーっと一緒だから、そんなに悲しいお顔をなさらないで?」
こくりと頷くエステル。
そんな二人の様子を楽しそうに、そして、ちょっぴり羨ましそうに、雨が見つめていた。
八幡町キャンパス高校2年6組のメンバーは、パジャマを着て集まっていた。就寝時間を過ぎてからの女子会に、怒られないか心配しながらもわくわくしているのも事実だ。
「神坂さんは風の噂で撫桐くんと一緒に住んでるとか……いないとか」
鴛水・紫鳥(ミットライトリーべ・d14920)が枕越しに神坂・鈴音(魔弾の射手は追い風を受ける・d01042)を窺い見た。
「ちょっとごたごたがあったのと、以前にもしものことがあったらに万全のバックアップを整えるといってた約束を果たしてくれてるの」
鈴音はパジャマの猫耳フードを被り直しながら答える。
「ぼ、ぼでいーがーど……?」
「娑婆蔵うそつかない」
ふぅん、と、パジャマに赤マント姿の村山・一途(硝子細工のような・d04649)が頷く。
「あ、神坂さんってそうなんだ? 知らなかったな。撫桐くんとはあんまりそういう話しないんだよね」
「撫桐と神坂ってそういう。
でもなんだ、ストロベリ感とは別次元なの……?」
鳥辺野・祝(架空線・d23681)が小首を傾げる。けれど、そゆのもいいなあとも思った。
「鴛水さんだってアルコさんとどうなんですか?」
今度は、鈴音が鴛水に問いかける。
皆が一斉に鴛水を見た。
「鴛水っちとアルコっちの馴れ初めとか付き合うきっかけとかデート内容にハチャメチャ興味あるっす!」
ぶっちゃけ、と。彩・彩花(モノクロシャドウ・d03533)が身を乗り出す。お似合いだし可愛いしー、いつの間にーって感じっだし! ぜひぜひこの機会に聞きたいと!
「あっ馴れ初めも気になる……! 聞きたい!」
祝も加わり、三方面からぐいぐいと圧力がかかった。
「私ですか? えへへ……内緒ですっ!」
「黙秘はだめですよー、ほらちょっとだけちょっとだけっ」
鈴音がうりうりとその先を促す。
「彩の参考になるかも知れないし、ほらほらクラスメイトを助けると思って」
枕を抱えてごろごろぐいぐいと祝も迫った。
「わ、わ、待っ」
「というかー、男子といい感じに付き合う方法ってどうすればいいんすかねー」
彩花のぼやきが聞こえる。
「きょ、距離感? かな?」
それでそれで、と。皆の視線に負けて紫鳥は枕を抱え込んだ。
「と、図書館もカフェもお出かけも行きましたけれどっ」
ふんふん、と。期待を込めた視線が更に集まる。
「え、えぅと……にゃっ、にゃーっ!」
あっ。紫鳥がちょっと鳴きましたけれども。
誰ともなしに、笑顔がこぼれる。
「そうなんだ。結構デートとかしてるんだね。お幸せにね」
一途の声に、そう言えば、と。祝が一途を見た。
「村山がどんな恋をするのかも気になる」
「村山さんの場合ってこういつのまにか実はあのひととつきあってます、とかいわれても納得していまそう。するっと溶け込んでそうです」
鈴音が言うと、皆も一途へ視線を送る。
「んー……。私は多分、人を好きになったことがないだけだよ。恋に恋するのだって楽じゃないよね」
ほほーと。皆が声を上げた。
「村山さんは距離感の取り方が独特ですよね。
人を好きになるって、とっても難しい事だと思いますもの」
枕を抱え、紫鳥が言う。どうやら戻ってきたようだ。
今度は一途が祝を見る。
「鳥辺野さんはいい感じの相手とかいるの? ……いるの?」
「……村山なんで二回訊くの。特には!」
「じっさい、本当のところ、鳥辺野さんはどうなんですかっ!」
畳み掛けるように、紫鳥もごろごろと側へ転がっていった。
うーん、と、祝が首を捻る。
「理想が高いからなあ、叶う気もあんまりしない」
「はー、出会いほしいっすねー……」
彩花は更に何かぼやいていた。そう言えば、男子といいかんじに付き合う方法がどうとか。
「いい付き合いをする方法? お互いに油断なく不意打ちしかけあうといいです」
きりっと表情を引き締め、鈴音が言った。
「神坂はさっきからなんで戦場の心得みたいになってるの」
静かに祝が突っ込む。
話はまだまだ尽きないようだ。
「いやー、みんな楽しそうだね♪」
女子会のようすを見ながら、紺子がニコニコと頷いた。
「そうね。こんな遅くまで起きているのも楽しいのよね」
須藤・遥(読書通・d01797)が辺りを見回して頷く。
「須藤さんも、来てくれてありがとう! まだまだ女子会はこれからだぜー!」
紺子は懐から菓子を取り出し遥に勧めた。
礼をいい、いくつか受け取る。
大部屋では、布団に包まりながら、まったく眠らない女子達が更に楽しげに話を弾ませていく。
「彼氏は居ないんだよねぇ、皆。ねね、蒼空とひなちゃんは好きな人いないの?」
皆で布団に転がって、それだけでも何だかとても楽しい。雨森・珈薫(ビタービターチョコレィト・d17456)は一緒に参加してきた三人を見た。
恋の話、ね、と星倉・妃奈子(ニセモノ灰かぶり・d29128)が呟いた。こうして枕を並べて話すのは何だかとても新鮮だ。
「蒼空にそういう話がないのは、不思議な気もするわね」
「私? 私は特に……。ひなちゃんは?」
神谷・蒼空(揺り籠から墓場まで・d14588)は首を傾げながら妃奈子に話を振ってみる。
「残念ながら、私はまったく」
くすりと笑って、妃奈子は否定する。ないものはないのだから仕方がない。
そして、珈薫、妃奈子、蒼空は顔を見合わせてから楠原・センリ(廻る歯車・d21130)を見る。
「ねね、センリは噂の年下くんどーなの?」
「そういえば、センリの片思いの話、私は詳細を知らないのよね」
「センリちゃん! 他にどこか出かけたり、なかったの? 進展は?」
三人がぐいぐい身を乗り出してセンリに詰め寄る。
「なっ……何でそんなにぐいぐい来るんだ!?」
話を振られ、センリは慌てたように顔を上げた。
「だって気になるんだもん。こういう時こそ、盛り上がっちゃうんだよね!」
蒼空が言うと、二人はうんうんと頷く。
「その……遊園地に出かけたりはしたが、そんなに進展と言えるものは……」
もごもごと話すセンリを見て、妃奈子は何だかとても微笑ましい気持ちになった。
「遊園地! 進展してるんじゃないの、それ」
珈薫が言うと、センリは枕に顔を沈めてごにょごにょと小さく言う。
「確かに私は好意を抱いてはいるが、相手が此方をどう思うかは自由だし……付き合いたいと思うのも、烏滸がましい気がしてな……」
そんな様子を三人が笑顔で見守る。
「今日はこの位にしといてあげよう。でも進展あったら直ぐに教えてよ?」
珈薫は枕に埋もれたセンリの後頭部に語りかけた。慌てるセンリの様子がとても可愛かったと思う。
「そ、それより! 皆はどうなんだ!」
このままでは、羞恥のあまりしんでしまう。センリは必死に顔を上げ、周りの皆を見た。
「折角だから何かあるなら、これを機に吐いてしまえばいい。楽になるぞ」
センリは必死にそう主張した。矛先をそらそうと必死だ。
「そういえば、ちょこちゃんも好きな人とか居ないのー?」
蒼空が珈薫を見た。
「何かないの?」
妃奈子も援護射撃をするように珈薫へ視線を向ける。
「私はあったらすっごい喋るんだけどなぁ、今居ないんだよね」
珈薫はあっさり首を振る。
「蒼空、こないだからたまに会ってる人居ない?」
逆に、ニヤリと笑って蒼空を見た。
「私は……まだ、好きとかじゃないしね!」
うーん、と、蒼空が首を振る。
ああ、夜の時間が足りない。もっともっと、この時間が続けばいいのに。
それに、皆のいろいろな表情を見ることが出来て、悪くない。
そんな風に感じながら、布団でのトークは続く。
「恋バナ、最近はお話しできるようなネタはありませんねえ」
椎那・紗里亜(言の葉の森・d02051)が星空芸能館の面々を見回した。
妹分の柚澄ちゃんやお友達の心桜さん、くるみさん達、彼氏持ちの子たちからはいつも当てられっぱなしなのだが。
「ねー」
と、星野・えりな(スターライトエンジェル・d02158)に同意を求める。
「え、そ、そうですね。皆、羨ましいですよね」
「最近、柚澄ちゃんのクラブちょっといずらいもん……♪」
榊・くるみ(がんばる女の子・d02009)もうんうんと頷いてみせる。皆に乗っかって、ちょこっといじめてみたり。
(「マハルさんのことはナイショかな……」)
こっそり心の中で思う。
くるみは、実は恋人が大学1年なので一緒に修学旅行にきてたりするのだが。しかも、天体観測デートの約束をしているのだが。とてもみんなには言えない。
(「ごめんね柚澄ちゃん……。後でファルケさんへのお土産話にしてください♪」)
心の中で手を合わせた。
「くるみお姉ちゃん、いづらいってどう言う……」
視線が集まると、夢前・柚澄(淡歌する儚さ消える恋心・d06835)は布団を被って逃げ込んだ。モゾモゾと、布団が蠢いている。
「皆、どこまで進んでるのかなー?」
くすくすと紗里亜が笑う。
「えへへー」
望月・心桜(桜舞・d02434)はにこやかに答えた。らぶらぶ組である。
「ぼ、ボクの話はいつもクラブでしているからパスで、パスっ! それよりもやっぱりえりなお姉ちゃんが気になります……」
柚澄が再び布団から顔をのぞかせた。アイドルどうこうを抜きにして、知りたいのだけれども。
じっとえりなの顔を見た。
「私なんてその……機会というか何にもないと言うか……言ってて悲しい」
それに答えるように、えりなは深々とため息をついてみせる。
「それはさておき」
と、突然紗里亜が振り向いた。
皆も同時に同じ方向を向く。
「ん?」
その先に、ふらふらとお菓子を抱え移動する紺子が居た。
「紺子さんは、どんな殿方がお好みなんです?」
「え、私?!」
急に話を振られ、紺子が一歩後ずさる。
「そうそう、大事なのは紺子さんの話です!」
気づけば、えりなが側面に回りこんでいた。紺子は行き場を失い、反対側へそろりと逃げようと試みる。
「紺子お姉ちゃんも気になります」
しかし、あっと気づいた時には、そこに柚澄が居た。いつのまに布団から抜け出したというのか。紺子は退路を失い、助けて欲しいと心桜へ救いを求めた。
心桜はにこりと笑い、こう言う。
「わらわも紺子先輩のことが気になるのじゃ!」
大学生っていう大人の階段昇った紺子先輩に、何か甘い話があるに違いない……! と、純粋でキラキラ輝く瞳が物語っていた。
「ええ?!」
「今まで気になった男性は居ます? 告白されるならどんな場所がいいですか?」
さあさあと、紗里亜が更に身を乗り出した。
「う、うーん。どうだろうねえ。えっと」
「気になる人とか好意を持ってくれてる人とか居るんじゃないです?」
隣からは、ペットボトルをマイクにしてえりながぐいぐいと笑顔で迫ってくる。
まさに逃げ場なしっ!!
こうなれば、後はもうこれしかない!!
紺子は張り付いた笑顔のままで布団にダイブした。
「紺子さ~ん、寝かせませんよ~♪」
えりなが笑う。
「ええーっ。あ、そう言えば、私、何にもなかったんだった!!」
紺子はようやく気づいたように、がばりと起き上がった。
「と言いますと?」
「紗里亜さんや、聞いておくれ。私、本当にまったく何もないんだよねー。自分でも一瞬何か隠していることがあるかもしれないと焦ったけど、本当に何も無かった」
逆に驚きだと、紺子の目から光が消える。
「ねえねえ、そう言う皆の好みの人は?!」
紺子はぐるりと皆の顔を見た。
「私の好みは……、
優しくて、私を引っ張ってくれるような人だといいんですけど……」
紗里亜が口元に手を当ててもごもごとそう言う。
「え? 望み高すぎ!?」
周りを見て、紗里亜はがーんと何やらショックを受けたようだ。大丈夫だよ、誰も何も言っていないよ?
「わらわの好みのタイプ? ウサミミとメイド服が似合う殿方じゃのう」
心桜は遠い目をしてそんなことを呟いた。
「あ、そうだ。柚澄ちゃんは彼氏と一緒に旅行ですけど……、
どうですかどうですか? 旅行中に何かありそうですか!?」
えりなが言うと、再び視線が柚澄に集まる。やはり皆も気になることだし。
「あ、明日があるのでもう寝ますっ!」
しかし柚澄は素早く布団を被り、逃げた。
そんな様子を、皆が優しげに見守る。
ああ、楽しい夜だ。眠るのがもったいない、良い夜だ。
修学旅行二日目の夜、女子会の部屋からはずっと楽しげな笑い声が漏れ聞こえていた。
作者:陵かなめ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2016年9月14日
難度:簡単
参加:19人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 5
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