日本最強(?)のラブラブ怪人、現る!

    ●世紀の対決!
    「私達の名は新宿ラブラブ怪人! 私達は二人で一人! つまり、実質的には2倍の戦闘力を持っている事! 故に負けない、絶対に……!」
     左半身が男で、右半身が女の新宿ラブラブ怪人が、濃厚なフェロモンを撒き散らす。
     その影響でまわりにいた一般人達が興奮状態に陥り、ハアハアと息を荒くさせた。
    「だから何っ!? 本当に2倍だと思っているの? そもそも、一人前のパワーなんてなかったわよね? ふたりでようやく一人分よね!? バッカじゃないの!」
     男女が絡み合うような姿をした池袋ラブラブ怪人がフンと鼻で笑って、新宿ラブラブ怪人とは違ったフェロモンを撒き散らす。
     それと同時に、まわりにいた一般人達のリミッターが外れ、ケモノの如く互いを求め合った。
    「ならば、見せてやろう! 私達の力をっ!」
     新宿ラブラブ怪人が叫び声を響かせ、ハート型の衝撃波を飛ばしていく。
    「何度も同じ事を言わせないで! それがその証拠!」
     次の瞬間、池袋ラブラブ怪人が、ハート型の矢を放ち、ハート型の衝撃波ごと、新宿ラブラブ怪人を貫いた。
    「う、うそ……」
     それと同時に新宿ラブラブ怪人が、池袋ラブラブ怪人に吸収され、新たな怪人が誕生するのであった。

    ●エクスブレインからの依頼
    「サイキック・リベレイターの影響で、ガイオウガの力が高まり、イフリートによる事件が発生しているようだね。ただ、今回、皆に対応して欲しいのは、ご当地怪人の事件となる。日本に潜伏している、ご当地幹部、緑の王・アフリカンパンサーは、ガイオウガの体の一部を所持していた為か、ガイオウガの力を奪って利用し、合体ダブルご当地怪人を生み出せるようになったようだ。ガイオウガの力によって生み出される、合体ダブルご当地怪人は、ライバル関係にあったご当地怪人を戦わせ、勝った側に2体分のガイアパワーを集中させる事で、強力な力を得る事ができるらしい。本来、ガイオウガが得られる力をアフリカンパンサーが奪った事で、ガイオウガ勢力の拡大を阻止する事が出来たわけだが、代わりに、ご当地が強くなるのは意味が無いだろう。そこで、合体ダブルご当地怪人の灼滅をお願いしたい」
     少し陰のある少年エクスブレインが、教室ほどの大きさがある部屋に灼滅者達を集め、今回の依頼を説明し始めた。
    「今回灼滅するべき相手である池袋ラブラブ怪人は、新宿ラブラブ怪人と合体して、池袋新宿ラブラブ怪人になって、一般人達を誘惑しているようだ。しかも、催眠状態に陥ってしまうのは、男女。そう言った意味で、今までの怪人よりもヤバイ相手と言えるだろう。その事を踏まえた上で、池袋新宿ラブラブ怪人を灼滅するのが今回の目的だ。ちなみに君達が攻撃を仕掛けるのは、ライバルとの決闘が終わった後、合体ダブルご当地怪人になった直後くらいになるだろう。ただし、合体ダブルご当地怪人は、戦闘力が2倍になっている為、非常に強敵だから、覚悟しておくように。まあ、決闘のダメージが残っている分、戦いやすいんだけどね。もちろん、ライバル同士が戦っている最中に乱入する事も出来るけど、その場合はライバル同士が手を結び、本来以上の力を発揮するから気を付けておくように。しかも、どちらか片方が倒された場合、『自分の力を使ってくれ』とご当地パワーを託して灼滅される為、結果的に合体ダブルご当地怪人と戦うハメになる。一応、双方の怪人をほぼ同時に灼滅できた場合は、合体ダブルご当地怪人が出現しないといメリットはあるけど、その作戦を成功させるのは難しいだろうね」
     そう言ってエクスブレインが、ご当地怪人達のデータを配っていく。
    「まあ、どんな敵であっても、君達なら大丈夫だよね」
     そう言ってエクスブレインが苦笑いを浮かべ、合体ダブルご当地怪人の灼滅を依頼するのであった。


    参加者
    鴻上・巧(氷焔相剋のフェネクス・d02823)
    姫条・セカイ(黎明の響き・d03014)
    嶋田・絹代(どうでもいい謎・d14475)
    赤城・碧(強さを求むその根源は・d23118)
    烈堂・満(赤い赤い赤いアイツ・d23124)
    不破・和正(悪滅断罪エドゲイン・d23309)
    切羽・村正(唯一つ残った刀・d29963)
    七道・大輔(七節儀使い・d33756)

    ■リプレイ

    ●決戦の地へ!
    「おそらく、現場に到着するのは、ご当地怪人が合体した後だな」
     七道・大輔(七節儀使い・d33756)は仲間達と共に、ご当地怪人が決戦の地に選んだ繁華街を目指していた。
     この場所は新宿と池袋の中間地点にあり、両怪人にとっては少なからず因縁のある場所のようだ。
    「それにしても、厄介な奴が二倍とは、はた迷惑ですね。心を弄ぶならば、叩き潰しますか」
     鴻上・巧(氷焔相剋のフェネクス・d02823)が、自分自身に気合を入れる。
     両怪人達が撒き散らすフェロモンによって、繁華街の周辺は薄っすらとピンクの霧が掛かっており、あちこちから男女の甘い声が聞こえていた。
    「……というか、ここってこんなに狂喜乱舞してたっけ?」
     赤城・碧(強さを求むその根源は・d23118)が、気まずい様子で汗を流す。
     両怪人が戦っているせいか、無駄にテンションの高い一般人達が、全裸に近い格好で荒々しく息を吐いていた。
    「まあ、愛にも色々な形があるとは思いますが、それはラブラブじゃなくて、ただの盛ったサル同然だって、プリティビッチな絹代ちゃんは思います!!」
     嶋田・絹代(どうでもいい謎・d14475)が、キッパリと断言をする。
     実際に一般人達は辺りの目も気にせず、サルの如く求め合っており、理性のカケラすら感じられなかった。
    「かなり胸がキツいですが……これで惑わされた殿方達の目も多少は欺けるでしょうか……?」
     そんな中、姫条・セカイ(黎明の響き・d03014)が髪をポニーテールにして鉢巻をした後、1mもの『ましゅまろ』を無理矢理補正下着で潰し、着流し姿で男装すると、警戒した様子で辺りを見回した。
     フェロモンの影響で、一般人達は興奮状態にあるらしく、隙あらば襲い掛かってくるほど、危険な状態になっていた。
     しかも、セカイは大切な事をひとつ見落としていた。
     興奮状態にあるのは、男性達だけでない事を……!
     そのせいか、興奮状態にある女性達が潤んだ瞳でセカイを見つめ、今にも飛び掛かってきそうな勢いであった。
    「実に悪趣味な能力だな。……いや、能力だけじゃなく見た目もだが……」
     切羽・村正(唯一つ残った刀・d29963)がげんなりとした表情を浮かべ、池袋新宿ラブラブ怪人に視線を送る。
     池袋新宿ラブラブ怪人は何人もの男女が絡み合ったような姿をしており、色々な意味でアブノーマルな雰囲気が漂っていた。
    「ちっと、そこ! 初対面でいきなり、その評価は何っ!? そういうのって、オブラートに包むモンでしょ、フツーは! ……って、違う! そうじゃないから! こういうのをセクシーって言うの! この世の中では、ねっ!」
     その途端、池袋新宿ラブラブ怪人が、うっふんとセクシーポーズを決める。
     だが、胸の部分に男の顔が来ているため、とてもセクシーだとは言い難かった。
    「愛とは競い合うものでも奪い取るものでもない。ただ純粋に愛するもの。愛を知らない悲しい怪人よ、正義のパワーで殺すから死ね!」
     すぐさま、不破・和正(悪滅断罪エドゲイン・d23309)が、池袋新宿ラブラブ怪人の前に立つ。
    「あ、愛を知らないですって!? ふざけないで、アタシこそ真の愛の使徒! その証拠を見せてあげるわ」
     池袋新宿ラブラブ怪人がムッとした表情を浮かべ、興奮気味にフェロモンを撒き散らす。
     その影響でまわりにいた一般人達がケモノの如く、その場で愛を育み始めた。
    「烈堂ファイト!」
     それと同時に烈堂・満(赤い赤い赤いアイツ・d23124)が物陰からヌーッと姿を現し、『烈堂ファイト!』の掛け声と共に戦闘を開始するのであった。

    ●愛の園の中で……!
    「一心同体といえば聞こえは良いですが…なんと破廉恥な。つ、慎みというものはないのですか!?」
     セカイが視線のやり場に困りながら、恥ずかしそうに視線を逸らす。
    「そんな事を言いつつも、実際には興奮しているヒトもいるようだけど……」
     池袋新宿ラブラブ怪人が思わせぶりな態度で、巧にじーっと視線を送る。
    「こ、これは違う……僕は…………僕が好きなのは……」
     その視線に気づいた巧が言い訳をしながら、サウンドシャッターを使う。
    「あははっ、そんな事を言っても、嘘だって丸わかりよっ! ねぇ、みんな! こいつらを可愛がってあげて!」
     そう言って池袋新宿ラブラブ怪人が、まわりにいた一般人を嗾けた。
    「うへへへへ……それじゃ、可愛がってやらねぇとなぁ」
     汚らしい身なりの男性が、いやらしい笑みを浮かべる。
    「これ以上、やられてたまるか……!」
     その途端、碧が尻をきゅっと締めた。
     それも、そのはず。
     興奮状態の男性には、トラウマしか抱えていない。
     ここで気を抜けば、間違いなくアッーんな事をされ、今まで以上のトラウマを負ってしまうのは確実であった。
    「そうやって、無理に引き合わせても、その場限りだろう。最強には、ほど遠い! そんなことも分からないのからダメなんだ。最強の名が泣くぞ?」
     大輔が呆れた様子で、襲い掛かってきた男性達に当て身を放っていく。
    「……あら、そんな事はないわよ。最初は嫌でもだんだん良くなってくるから。ねぇ、みんな」
     それでも、池袋新宿ラブラブ怪人はまったく悪びれた様子もなく、まわりにいた一般人達に声を掛ける。
    「ええ、お姉さまの言う通りですわ」
     そう言って女性達がとろんとした表情を浮かべ、近くにいたセカイに飛び掛かっていく。
    「きゃあ!」
     そりに驚いたセカイが、悲鳴を上げて尻餅をつく。
     その拍子に補正下着が弾け飛び、たわわな胸があらわになった。
    「あははっ! こんな立派なモノを隠していたなんて……。ほらほら、可愛がってあげなさい」
     池袋新宿ラブラブ怪人が上機嫌な様子で、まわりにいた一般人達を煽る。
    「チッ、こういう奴が一番苦手なんだよなぁ……仕方ねぇ、一気に方つけてやるから覚悟しろよぉ!」
     村正が舌打ちしながら、腕に巻きつけた包帯を使い、レイザースラストを発動させた。
    「ちょっ、ちょっとタイム! 本当に戦う気なの? ここには沢山の一般人がいるのよ? いいの、怪我をさせちゃっても? 正義の味方なんでしょ?」
     池袋新宿ラブラブ怪人が身の危険を感じて、まわりにいた一般人達を盾にする。
     一般人達は催眠状態にあるものの、操られているだけなので、怪我をさせる訳にはいかないだろう。
    「君達の寂しさ、俺が埋めてあげるよ」
     そんな中、和正が男性達に当て身を放ち、女性達を迎え入れようとした。
     だが、女性達は目だけギラギラしており、このままだと色々な意味で、搾り尽くされそうな勢いである。
    「オラァ、さっさと帰れ、オラァ! 明日の仕事に支障みたいな何か出ちゃうんじゃねえの?」
     すぐさま、絹代が王者の風を使い、まわりにいた一般人達を追っ払う。
    「えっ? 嘘っ!? なんで! 何が起こっているの!?」
     それを目の当たりにした池袋新宿ラブラブ怪人が、腰を抜かすほどの勢いで驚いた。
    「ついでにお前達もバラバラにしてやろうか? 二人で一人だろうが絡みあっていようがそして合体しようが、バラバラに解体して切り離せばいいだけの事だろ?」
     そう言って満が爽やか極まりない笑顔で、池袋新宿ラブラブ怪人の逃げ道を塞ぐ。
     その影響で残っていた一般人達も、蜘蛛の子を散らすようにして逃げ出した。

    ●池袋新宿ラブラブ怪人
    「なんで、みんな帰っちゃうの!? 信じられない!」
     池袋新宿ラブラブ怪人が悔しそうな表情を浮かべ、プンスカと怒り出す。
     あまりにも予想外の事が起こり過ぎたせいで、イライラが止まらなくなっているようである。
    「まあ、野郎どもがいなくなったんだったら、こっちのモンだ!」
     碧が何処かホッとした様子で、池袋新宿ラブラブ怪人に攻撃を仕掛けていく。
    「もう怒ったんだから! 絶対に……許さない!」
     池袋新宿ラブラブ怪人が殺気立った様子で、衝撃波を纏ったハート型の矢を放つ。
    「大丈夫、大丈夫! 当たらなければいいわけだしね」
     それに気づいた絹代が余裕な態度で、池袋新宿ラブラブ怪人の死角に回り込む。
    「……ちょっ! ちょっと、そんな事をしたら、攻撃が……!」
     池袋新宿ラブラブ怪人があたふたとした様子で悲鳴をあげる。
    「罪を刻め」
     その間に巧が一気に間合いを詰め、トラウナックルを炸裂させた。
    「や、やめて! 痛いっ! 痛いっ! 痛いよおおお! もうヤダ、ヤダ! ヤダァ!」
     その途端、池袋新宿ラブラブ怪人が完全に戦意を喪失させ、半ばパニックに陥りながら、再び衝撃波を纏ったハート型の矢を放つ。
     しかし、きちんと狙いを定めていなかったため、誰にも当たる事なく、明後日の方向に飛んでいく。
    「……痛いのは嫌か? まあ、どっちしても、解体するがなっ!」
     それと同時に満が境目の部分を切り裂くようにして、ジグザグラッシュを炸裂させる。
    「いやあああああああああああああ」
     その一撃を食らった池袋新宿ラブラブ怪人が断末魔を響かせ、肉の塊と化しながら爆発四散した。
    「うう……、また酷い目に……」
     セカイがたわわな胸を隠しながら、その場にぺたんと座り込む。
     何とか最悪の事態は避ける事が出来たものの、危うく百合の花園に導かれるところだったようである。
    「それにしても……、ハードな戦いだったぜ」
     そんな中、和正が妙にやつれた様子で、乾いた笑いを響かせた。
     何とか襲い掛かってきた相手の期待に応えていたものの、立っている事が出来ないほど、足腰にダメージが来ているようである。
    「……たくっ! もうこんなとこにいられっかぁ!! 現場の後処理はまかせた!」
     村正が仲間達に背を向け、一目散に退散した。
     『これ以上、面倒事はゴメンだ! 関わりたくない』と言わんばかりの雰囲気だ。
    「もしかすると、少し方法を間違ったのかもな。もう少し違う方法でなら、ヒーローにもなれたかもしれないのに……。そして、もし都市伝説だったなら、吸収してもよかったかも知れない」
     そう言って大輔が何処か遠くを見つめるのであった。

    作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年9月7日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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