ペントハウスの魔女

    作者:紫村雪乃


     水を割って女が姿をみせた。真紅の液体を滴らせ、プールサイドに立つ。
     女から滴り落ちる液体は異様な匂いを放っていた。鉄錆に似た異臭。血の匂いであった。
    「ああ、気持ちいい」
     鮮血の満ちたプールをちらりと振り返り、輝くような裸身の女は微笑んだ。それから室内に戻る。ベッドには男が寝ていた。先ほど楽しんだ男だ。
     そこは高層マンションのペントハウスであった。持ち主は彼女。名は鬼怒川冴子という。
    「起きて」
     いぎたなく眠りこける男を冴子は揺り起こした。すると男は眠そうに目を開いた。
    「……君か」
     いやらしく男は笑った。すると、彼の眼前に冴子は白々とした日本刀の刃を突き付けた。
    「起きて。そして外のプールに」
     ニタリと冴子は陰惨に嗤った。


    「六六六人衆が事件を起こしています」
     灼滅者を見回し、その若者は口を開いた。穏やかな風貌の若者だ。
     彼の名は紅羽・流希(挑戦者・d10975)。強大な力をもつという自負故に、かつて友と相棒をうしなった過去をもつ殺人鬼であった。
    「六六六人衆の名は鬼怒川冴子。女子大生です。その美貌と魅力的な身体で男を魅了。マンションの自室に誘い込み、殺害、その鮮血でプールを満たしているようなのです」
     マンションそのものが冴子の結界。潜入してもすぐに気取られ、逃亡を許してしまうだろう。まずは囮が入り込み、冴子の相手をし、注意をひきつける必要があった。
    「冴子の武器は日本刀です」
     流希はいった。使う業はおそらく日本刀と殺人鬼のそれだろう。威力は当然灼滅者のそれとは比較にならないだろうが。
    「敵は強大です。けれど被害者の遺族の方達のためにも、必ず倒さなければなりません」
     灼滅者たちを見回し、流希は自身に言い聞かせるように告げた。


    参加者
    ギィ・ラフィット(カラブラン・d01039)
    西院鬼・織久(西院鬼一門・d08504)
    紅羽・流希(挑戦者・d10975)
    備傘・鎗輔(極楽本屋・d12663)
    嶋田・絹代(どうでもいい謎・d14475)
    新月・灯(誰がために・d17537)
    合瀬・鏡花(鏡に映る虚構・d31209)
    ヘイズ・フォルク(青空のツバメ・d31821)

    ■リプレイ


    「ギィ」
     呼び止める声に振り向いたのは金髪碧眼の少年であった。貴族的な顔立ちの美少年である。が、どこか退廃的な雰囲気があった。
     まだ夏を思わせる日差しの下、ギィと呼ばれた少年は声の主に目をむけた。
     それは彼と同じほどの年頃の少女。ストロベリーブラウンの髪を左で結んでいる、やや勝気そうな顔立ちの美少女だ。
     彼女の名は合瀬・鏡花(鏡に映る虚構・d31209)、少年の名はギィ・ラフィット(カラブラン・d01039)といった。共に灼滅者である。
    「何っすか?」
     ギィが問う。すると鏡花は真剣な眼差しをむけて、
    「囮になるのは止めないよ。でも、気を付けてね。相手は相当ヤバそうだし」
     いった。
     ギィのことが心配である。それはダークネスとしての人格が本当の自分であるという鏡花の一族の思想からすれば仮初のものであった。
    「わかってるっすよ」
     ギィは鏡花の花弁のような唇に自身のそれを重ねた。

     遠くなるギィの背を見送りつつ、その少女はほっとため息を零した。
    「美貌と魅力的な身体で男を魅了して殺害。その鮮血でプールを満たして泳ぐ六六六人衆ですか」
     少女はいった。艶やかな長い黒髪を背に流した、快活そうな美少女である。名を新月・灯(誰がために・d17537)といった。衣服の胸部が大きく膨らんでいるところからみて、かなりの巨乳の持ち主のようである。
    「まさか、その様な人が居ようとは……」
     紅羽・流希(挑戦者・d10975)という名の少年が呻いた。同じ殺人鬼として、そのようなおぞましい者がいることが信じられないのである。そう、同じ殺人鬼として。
     流希自身もまた殺人鬼であった。それも超絶の力をもった。おそらく単体で彼に敵う人類はいないだろう。
    「うん?」
     流希は目をすがめた。
     人気の少なくなった海岸。そこに立つ女の姿があった。流麗な娘だ。
    「あれか」
     ククク、と西院鬼・織久(西院鬼一門・d08504)という名の少年は嗤った。透けるような白い肌といい、狂的な光をうかべた真紅の瞳といい、どこか不気味な雰囲気のある少年だ。
     その織久にはわかる。女が六六六人衆――鬼怒川冴子であると。なんとなれば彼自身もまた殺人鬼であるから。怨敵の存在は目を閉じていてもわかるのだった。
    「ク、クク……女郎蜘蛛の真似事か、我等が怨敵。人の血潮に肥え太った鬼畜生よ。その血肉、我等を満たす為に頂くとしよう」
    「対殺人鬼任務か」
     織久と同じように不敵に笑ったのは、どこか大人びた雰囲気をもつ少年であった。
     名はヘイズ・フォルク(青空のツバメ・d31821)。理知的な物腰をももってはいるのだが、それでも血が疼く。同じ殺人鬼としての敵愾の血が。
    「腕がなるな……」
     ヘイズの笑みが深くなった。すると、その傍らの男が肩をすくめてみせた。
     十八歳ほどの少年。ややぽっちゃりとしており、銀髪を後頭部で結んでいる。
     その様子に気づいたのか、八人めの灼滅者が口を開いた。こちらも十八歳ほど。真紅の髪と見事な肢体の持ち主であった。
    「どうかしたっすか?」
     何を考えているのか良くわからぬところのある少女――嶋田・絹代(どうでもいい謎・d14475)は少年――備傘・鎗輔(極楽本屋・d12663)にむかって問うた。すると鎗輔はぼんやりと海岸を見渡した。
     そこには少なくなったとはいえ、いまだ何人もの若者の姿がある。その中の男たちのほどんどが冴子に嫌らしい目をむけていた。
    「……人の煩悩につけ込む六六六人衆も許せないが、綺麗な花には棘がある事を知らない男達にも哀れみを感じる」
    「綺麗な花っすか」
     絹代は凄絶に笑った。
    「なら誰も傷つかないように散らしてみようっすかね」
    「そうですね」
     うなずき、流希は鎗輔に目をむけた。すると鎗輔は目をそらせた。
     流希と鎗輔。二人はかつて相棒ともいえる間柄であった。が、その関係は崩れた。共通の友人が死んだことで。彼らをめぐる確執が二人の間に軋轢を生んだのである。
     すでに鎗輔の方は流希を許していた。が、一度亀裂の入った関係を修復することは簡単ではない。
     その時だ。冴子が動いた。近寄るギィに気づいたようである。
     冴子が声をかけた。ギィがうなずく。すぐに二人は歩き出した。


     広々とした寝室にはキングサイズのベッドがあった。
     もつれるように倒れこむと、すぐに二人は衣服を脱ぎ捨てた。ギィは輝くばかりに豊満な冴子の肉体にむしゃぶりついた。肉体中に指と舌をはわせ、存分に冴子を楽しむ。
    「ああん」
     たまらず冴子の口から喘ぎ声がもれた。
    「き、来て。早く」
    「わかったっす」
     ニンマリすると、ギィは身体を重ねた。そして腰を進めた。

    「……はじまったようだ」
     携帯電話を耳からはなし、織久は告げた。携帯電話からは小さく女の喘ぎ声がもれてくる。冴子のものだ。
     わざとらしく鏡花が口を尖らせた。嫉妬の表出のようであるが、本気かどうか、この少女の場合は良くわからない。
     灯はエレベーターのボタンを押した。
    「最も価格の高い最上階の部屋に住む、女子大生の六六六人衆。殺した男性のお金で優雅な暮らしをしているのでしょうか?」
    「しかし、鬼怒川冴子のやってることはエリザベート・バートリーとほぼ同じで、まるで六六六人衆ではなくヴァンパイアだね。いや、ある意味で六六六人衆らしいか」
     鏡花は吐き捨てた。
     その時だ。エレベーターのドアが開いた。

     同じ時、非常階段を駆け上がる男があった。
     常人とは思えぬ速度。当然だ。彼は超人なのだから。
     鎗輔。灼滅者であった。
    「先にいって」
     鎗輔が命じると、その足元を駆けていた犬のごときもの――霊犬が足を速めた。


     ギィの上にまたがり、冴子は身悶えした。快楽がその身を灼いている。
     対するギィは戦慄していた。相手が六六六人衆であるから。さらには、冴子が与えてくれる快感のために。あまりの快楽のためにギィともあろう者が我を忘れてしまいそうであった。
     その時だ。冴子がはねとんだ。裸身のまま、寝室の片隅に舞い降りる。一瞬遅れて玄関のドアが吹き飛んだ。
     さらにその一瞬後のことである。疾風と化して廊下を走る男の姿があった。流希だ。
     一語も発さず、流希は襲った。その手の日本刀――堀川国広が照明光をはねて疾る。
     目にもとまらぬ一閃。抜刀術だ。常人ならば剣光すら見とめることは不可能であろう。が――。
     澄んだ金属音を発し、堀川国広ははじきかえされた。冴子の手に現出した日本刀によって。のみならず返す一刀によって流希は袈裟に切り裂かれている。
    「くっ」
     咄嗟に流希は跳び退った。鮮血にまみれて。
     危なかった。一瞬遅れていたら両断されていたところである。流希の卓越した戦闘勘が彼を救ったのであった。
    「何なの、貴方たち」
     血刀をひっさげたまま、冴子が問うた。ちらりと一瞥。それだけで灼滅者たちの動きがとまった。凄愴の殺気に呪縛されたのである。
    「とてもよかったっすよ、冴子」
     ギィが立ち上がった。ニヤリとすると、
    「ただ、六六六人衆を恋人にする気はないんすよ」
    「貴方も仲間だったのね」
     ふふんと冴子は嗤った。淫蕩な笑みだ。
    「貴方もよかったわよ」
     告げた冴子は異変をとらえた。閉鎖空間により音が封じ込められている。灯であった。
     と、ヘイズが顔をしかめた。部屋には香水の匂いが立ち込めているのだが、彼の超感覚はまじる異臭をとらえている。
    「濃厚な血の臭い……こりゃだいぶ殺ってきたって感じだな」
     ヘイズがいった。すると冴子が日本刀で横薙ぎした。無造作にもみえる一閃。が、刃は凄まじい衝撃を生んでいた。
     その攻撃が当たるかどうか確認するよりも先に、冴子は動いていた。一気に横に。ギィを片付ける気だ。
     その眼前を塞いだのは鏡花の霊犬であった。名はモラル。
     冴子は刃で薙いだ。かるく振ったとしか思えぬ一撃。それだけでモラルが消滅した。
    「殲具解放!」
     ギィが襲いかかった。その手には鉄塊ともいうべき巨大で無骨な刀がある。
     空で火花が散った。二つの刃が噛み合う。ギィの無敵斬艦刀――剥守割砕と冴子の日本刀が。
    「あっ」
     ギィが呻いた。とてつもない衝撃に彼の剥守割砕がはねあげられたのだ。空いたギィを冴子が胴斬りした。
     肋骨のみか内蔵まで分断され、ギィが吹き飛んだ。壁に激突し、血をばらまく。床に転がったギィにはすでに意識はなかった。
    「ギィ!」
     鏡花が叫んだ。同時にその手から鞭のように銀光が唸りとんだ。ガラス片をつなぐあわせたような刀身をもつウロボロスブレイドだ。
     のびる刀身を冴子は日本刀ではじいた。が、鞭のようにしなった刀身が日本刀に巻き付いた。
    「逃がさないからね」
    「しつこいのは嫌いよ」
     冴子がニッと笑った。
     その瞬間、二人の男女が動いた。織久と灯だ。
    「クッハハ。その命、この西院鬼がもらいうけるぞ」
     織久が鎗――闇器たる百貌を繰り出した。手首で捻りをくわえられたそれはごうとドリルのように渦を巻いて疾る。さすがに躱しきれぬ冴子の脇腹を百貌がえぐった。
    「くっ」
     冴子が蹴りを放った。爆発したような衝撃に織久の身がはねあがり、天井にぶちあたる。
    「くはっ」
     内蔵をミンチ状に変えた織久の口から鮮血がしぶいた。


     血の海と化した室内に清澄な歌声が流れた。澱んだ空気が払い清められていく。灯の歌声だ。
    「う、うう」
     織久が身を起こした。潰された内蔵が分子レベルで修復されていく。
    「ふうん」
     冴子がじろりと織久を一瞥した。
    「他人の血をごちゃまぜにしたもんなんて浴びて汚いとは思わないんすかねぇ?」
     嘲弄するかのような声がとんだ。絹代だ。嘲笑いつつ、彼女は続けた。
    「そっかぁ! お前自身ゲロみてぇなクソ女だからそういうの気にならないんだ! 納得だわ! ゲロはさっさと処理しなきゃダメっすよね。うんうん。そら死ね!」
    「いってくれるわね」
     冴子が容易く巻き付いたウロボロスブレイドの刀身を払いのけた。刹那である。下方から噴出した漆黒の刃が冴子を切り裂いた。
    「なっ」
     血の花を散らし、冴子が跳び退った。彼女の目は床を這う絹代の影が刃と変じたことを見とめている。
    「まだだ」
     どん、と。床を軋ませてヘイズが踏み込んだ。同時に渾身の一撃を唐竹に叩き込む。得物は妖刀。銘は雷華禍月だ。
     体勢を崩していた冴子であるが、それでもヘイズの一刀を受け止めた。受け止め得たのは六六六人衆なればこそだ。
     噛み合う刃をはさんで二つの目が向き合った。ヘイズと冴子の。からみあうのは真っ黒な殺気の光波であった。
    「お互い殺人鬼、どちらかが死ぬまで付き合ってもらおうか!」
    「六六六人衆をなめないでほしいわね」
     ニンマリすると冴子は跳んで離れた。同時にヘイズも。さらに二人は同時に刃を薙ぎ下ろした。
     床に降り立った時、ヘイズはがくりと膝を折った。袈裟に斬られている。かなりの深手だ。
     が、冴子も無傷ではなかった。肩から乳房にかけてざっくりと血の筋がはしっている。
    「ぬうっ」
     冴子の凄艶な顔が憤怒でゆがんだ。六六六人衆となって以来、これほどの傷を負ったことはない。
    「バラバラの肉片にしてあげるわ」
     冴子がダッシュした。一瞬で肉薄。刃を灯に叩き込む。さしもの灯も対処が遅れた。サイキック発動――間に合わない。
     豪風をまいて刃が両断した。灯を――いや、横から飛んだ霊犬を。鎗輔の霊犬であった。
    「古書ビーム」
     叫ぶ鎗輔の声。飛来する本のページ一枚は空で破壊光線と変じ、冴子めがけて疾った。
    「くっ」
     振り向きざま、冴子が日本刀で薙いだ。
     しぶく黄金光。日本刀の刃が古書ビームを斬り散らしたのだ。
    「なんて化物だ」
     この場合、流希は笑った。
    「だからこそ仕留めてみせるぜ」


     一斉に灼滅者たちが襲いかかった。流希の大鎌――蝙蝠の嘆きが黒き疾風と化して一閃。すると冴子が日本刀で受け止めた。疾風よりも迅い冴子の刀速をなんと表現してよいものか。
    「背ががら空きっすよ」
     ギィが叫んだ瞬間、空に赤きオーラの逆十字が現出。冴子の背を切り裂いた。
    「チイィ」
     背後も見ずに、後ろ殴りに冴子は日本刀を振った。生じた剣風は迫撃砲並みの破壊力を備えてギィに激突。ギィを吹き飛ばした。
    「おとなしくしてなさい。生きていれば後で可愛がってあげるわ」
    「可愛がるのは私たちの方だよ」
     赤き眼光は冴子の左斜め後方。すなわち死角だ。鏡花であった。
     その名のごとき鏡面のように研ぎ澄まされたクルセイドソードが逆袈裟に薙ぎ上げられた。
     噴き上がる剣光はまさに閃光。が、それは空しく流れすぎた。冴子が躱してのけたのだ。
    「ふふん。生憎だけど六六六人衆に死角はないの」
     後ろ殴りの勢いを利用し、冴子は回転。鏡花を切り裂いた。
    「ククク。ならば正面から貫くのみ」
     織久は百貌を突き出した。再び捻りをくわえる。が、かるく冴子は躱した。のみならず前に。間合いに織久をとらえると、日本刀を迅雷の速度で突き出した。
    「本当の刺突をみせてあげるわ」
     冴子の日本刀が織久の胸を貫いた。
     刹那である。織久の目が赤光を放った。
    「罠か」
     冴子がそう思った時は遅かった。槍を手放した織久の拳が怒涛のように冴子を襲う。さすがに避けも躱しもならず、冴子が吹き飛んだ。
     いや、織久も吹き飛んだ。手首のみの動きで冴子が胸から横薙ぎしたのだ。床に崩折れた織久の身体の半分以上が切断されていた。
    「西院鬼くん!」
     悲鳴に似た灯の叫びが響いた。が、動揺は一瞬。彼女はすぐに歌いだした。天使の歌声は現実に干渉、魔法的に修復をはじめる。
    「禍月、この場にあるありったけの血を糧としろ!」
     ヘイズが妖刀をたばしらせた。刃が血をまとわせて疾る。
     が、冴子はニヤリと笑った。空で身をひねりつつ、斬撃。
    「あっ」
     愕然たる呻きは、しかし冴子の口から発せられた。彼女の日本刀がとまっている。鎗輔の放つ凄まじい熱量によって。オーラキャノンだ。
    「こういう使い方もできるんだよ」
    「もらった」
     ヘイズの妖刀が冴子の日本刀をはじいた。白光をちらし、日本刀が空にはねる。
    「血の代償は血で、命の代償は命で贖われる。例外なんてどこにもないさ。もちろん斬ったらそんだけ斬られるぞ? あれ? おかしい?」
     首をひねる絹代の姿は空にあった。そしてウロボロスブレイド――マッド・デイモンを冴子の頭蓋めがけて振り下ろした。


     流希は外に出た。とろりとした鮮血で満ちたプールがある。立ち込める血臭で吐き気がしそうであった。
     流希は瞑目した。ここで亡くなった者たちの冥福を祈って。
    「……しかし惜しいことをしたっす」
     流希の背後。ため息がこぼれた。ギィだ。
    「何が惜しいんだい?」
    「冴子のことっすよ。あんな良い肉体の女は滅多にいないっすよ。それを灼滅してしまうなんて――」
     ギィは声を途切れさせた。声の主が誰だか気づいたのだ。ぼきぼきと指をならす鏡花の顔には恐い笑みがういていた。

    作者:紫村雪乃 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年9月19日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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