●戦のあとに
駆けつけた灼滅者たちを出迎えたのは、いつもどおり落ち着いた様子の神童・瀞真(大学生エクスブレイン・dn0069)だ。
「垓王牙大戦、お疲れさま。結果は敗北だったけど、君達の決死の奮闘によって、ガイオウガも深く傷つき回復に専念している状況のようだよ」
それぞれ席についた灼滅者たちの顔をひとりひとり見渡して、瀞真は再び「お疲れさま」と口にする。その後表情を引き締めて。
「ガイオウガは回復の為に、日本各地の地脈からガイオウガの力を集めようとしている。もし日本中のガイオウガの力が復活したガイオウガの元に統合してしまえば、ガイオウガは最盛期の力を取り戻してしまうだろう……」
そうなってしまえば、どんな悲劇が待っているか、想像に難くない。
「この事態を防ぐため、皆には日本各地の地脈を守るガイオウガの力の化身……強力なイフリートの灼滅をお願いしたい」
強力なイフリートの周囲には、多数のイフリートが守備を固めているようだが、このイフリート達は垓王牙大戦で救出に成功した『協調するガイオウガの意志』の力で戦闘の意志を無くして、無力化する事が可能になっていると瀞真は言う。
「しかしこの意志の力も強力なイフリートには影響を及ぼせない為、強力なイフリートについては、灼滅者の手で撃破する必要があるんだ。また、戦闘の意志を抑えるためにはイフリートの戦意を刺激しないように、少数精鋭で戦いを挑む必要がある為、かなり危険な任務となる」
続けた瀞真は一瞬口を閉じ、そして絞り出すように続けた。
「場合によっては闇堕ちをしなければ灼滅はできないかもしれないが……できれば皆、無事に勝利して帰ってきてほしい」
協力してくれる『協調するガイオウガの意志』は切り離した尾から現れたイフリートたちで、5体ほどがこのチームに協力してくれるという。『協調するガイオウガの意志』は有効的ではあるが、会話をすることはできないようだ。
「今回の戦場は地下の地脈周辺となる。その場所への案内や龍脈への移動は『協調の意志を持つイフリート』が行ってくれるから安心して欲しい。地下空洞での戦いになるが、崩落などの危険はないと思ってくれ」
灼滅者たちを案内した後、協調の意志を持つイフリートたちは取り巻きのイフリートの無力化をすべく力を尽くしてくれるので、灼滅者は全力で強力なイフリートと戦えばよい。
「君達が戦う強力なイフリートは、名を『光焔のネメシス』という。ネメシス――その存在こそが天罰とでも言いたいような名前で皮肉だね。ネメシスは光を混ぜたような炎を纏った、獅子の姿をしたイフリートだよ。立派なたてがみを持ち、その身体は僕達の知っている獅子よりも大きい」
熱気とその存在で威圧するようなネメシスは3メートル近くある巨体に違わぬ圧倒的な体力と、重い一撃を有する強敵だ。相手は1体だが強さはここに集まった灼滅者達の何倍にもなる。
「戦い方をよく考えて臨む必要があるだろう。仲間同士で連携を取れればなおいい」
告げ、瀞真は和綴じのノートを閉じた。そして灼滅者たちを真剣な瞳で見つめる。
「今回の敵は、無傷での勝利は難しい強敵なのは間違いない。でも……この敵に打ち勝たねば、復活したガイオウガを止める事は不可能となるだろうね……だから」
言葉を切り、息を吸い込んで瀞真は次の言葉を発した。
「皆の勝利と無事とを祈っているよ」
それは叶わぬことなのかもしれない。危険な任務なのは彼とてわかっている。けれどもその身では、いくら悔しくもどかしくとも、彼らを信じて祈ることしかできないのであった。
参加者 | |
---|---|
久篠・織兎(糸の輪世継ぎ・d02057) |
姫条・セカイ(黎明の響き・d03014) |
狩野・翡翠(翠の一撃・d03021) |
詩夜・沙月(紅華の守護者・d03124) |
香坂・颯(優しき焔・d10661) |
新沢・冬舞(夢綴・d12822) |
唯空・ミユ(藍玉・d18796) |
迦具土・炎次郎(神の炎と歩む者・d24801) |
●対峙
協調の意思を持つイフリート達の先導で、8名の灼滅者達は地脈周辺の地下空洞へとたどり着いた。途中までそれぞれが用意した灯りを利用してきたが、段々とそれを使わずとも視界が確保できるようになってきていた――敵のイフリート達の燃える炎が、地下空洞内で光源と同様の働きをしているからだ。
「無理はしないで下さいね? みんなで帰るのが最高なんですから」
「大丈夫。俺は死ぬ覚悟はあるけど死んでもええやとは思てないでな」
狩野・翡翠(翠の一撃・d03021)の言葉に迦具土・炎次郎(神の炎と歩む者・d24801)が答えると、翡翠は姫条・セカイ(黎明の響き・d03014)にも「帰ったらお祝いしましょうね」と笑いかける。
「安心してな。俺は前衛で守るで。汚らわしい獣に綺麗な姫条さんを触れさせるわけにはいかんでな!」
炎次郎のその言葉に笑いつつ、セカイは翡翠へと頷いてみせた。
と、ネメシスを守るようにいたイフリートたちがこちらの接近に気がついたのだろう、炎が動き始めたところで協調の意思を持つイフリートたちも動き出した。手下のイフリートたちが次々と動きを止める。すると異変を感じたのだろう、イフリート達の奥から咆哮が聞こえた。それは手下たちへの命令だったのかもしれない。だが戦意を無くして無力化させられたイフリートたちは、咆哮の主であるネメシスの命に応じることは出来ないでいた。
隊列を組み武具を纏った灼滅者達が攻撃を仕掛けようとするよりも早く、ネメシスの巨体が手下たちを超えて姿を現した。たてがみを震わせて大きく開かれた口からは大量の炎が吐き出される!
前衛を舐めるように広がった炎は予想していたよりも強く、灼滅者達の身体を痛めつけ蝕む。
「これが、ネメシス……ですか」
チロチロとまだ肌を炎が蝕むのにも構わず、大きな炎獣を見上げた唯空・ミユ(藍玉・d18796)が飛び出す。片腕を異形巨大化させて振り下ろすも、それはやすやすとかわされてしまう。だがそれでもよかったのだ。当たらずともミユの身体には特殊な効果が宿ったのだから。
彼女の動きを追うようにして接敵したのは翡翠。
「敗戦で失った物は大きいです……だからこそ今度は取り逃せません。こちらの義憤を受けて頂きましょう」
異形巨大化させた腕を振り下ろせば、命中率の上がっている彼女の攻撃はネメシスの身体を殴りつけた。
(「阿佐ヶ谷、新宿から始まり名古屋、別府等……」)
一般人の犠牲を思い、この身を対価としてもこれ以上は、と思うセカイは防護の符を炎次郎へと放つ。今朝、水垢離をして祈願したことを忘れてはいない。
――どうか……皆さん「は」無事に帰って来られます様に……。
全員で無事に帰還することがどれだけ儚く微かな希望であるかは想像できていた。だが実際にネメシスを目の前にして更にその希望の薄さを実感する。
「セカイちゃん、手伝うよ~」
告げた久篠・織兎(糸の輪世継ぎ・d02057)は手にした標識を黄色く染め、前衛を回復しつつ防御を高める。敵の初手が前衛すべてを狙ったものであった以上、手を貸したほうが効率がいいと判断したのだ。ウィングキャットのまーまーれーどはリングを光らせ、前衛の傷を癒やすとともに力を与える。
「姫条、頼んだ」
新沢・冬舞(夢綴・d12822)はセカイを帯で包み、その守りを固める。メインの回復手である彼女が倒れては、次善の策を考えてあるとはいえこちらが不利になることは間違いないのだ。
「防護符ありがとな」
セカイに礼を言い、炎次郎は前衛に盾を広げて守りを固める。初期のうちに守りを重ねることで、被ダメージをできるだけ減らしたいのだ。相手が強大だから、特に。霊犬のミナカタは事前の命令どおりにミユの傷を癒やす。
(「先日の戦いで、倒し切れなかった責任は此処でとります」)
キッとネメシスを睨みつけ、詩夜・沙月(紅華の守護者・d03124)は帯を射出する。
(「協力してくださっているイフリートの方々に報いる為、今此処で、必ず倒します」)
しかしそれはギリギリのところで避けられてしまった。だが攻撃をするたびに精度が上がるはず。次以降が期待できる。
(「僕も今まで学園には長く居たけど、これだけの敵を前にするのは初めてだね。それでも、皆で無事に帰るため、頑張らないとね」)
勝てる勝てないと悩む前に、まずは強い想いを持つこと。香坂・颯(優しき焔・d10661)はネメシスとの距離を詰めると、白光の斬撃を与えた。ビハインドの香坂綾は彼と合わせるようにして衝撃波を放つ。
「グルル……グァァァァァァォォォォォォォォォォォォォ!!!」
空洞を震わすほどの大音声。耳を塞いでもなお耳朶を打つそれが、後衛を傷つける。
だが灼滅者達は狼狽えない。事前に決めた優先順位に従って回復を行い、そして守りを固め、攻撃をする――戦いはまだ始まったばかりだ。
●大炎壁
序盤はこちらの攻撃が当たらないことが多く、その上相手の攻撃は列攻撃ですら重く感じる。単体で狙われた者が大きな傷を負うのは想像に難くなかった。優先順位を決めて護りを固めると同時に回復を行ってきたが、その優先順位を守ることで単純な回復の手が足りずに回復役のセカイやサーヴァント達以外が回復を行うこともあった。回復と回復を兼ねた護り固め――どちらかを優先すれば、どちらかを諦めなくてはならない。その上、こちらの攻撃が当たらないことがしばしばあるとあっては、ネメシスの体力はそれほど減らせないまま、こちらばかり癒せぬ傷が増えていく。
だがしかし、極端に不利になっているわけではなかった。盾役が極力庇うように心がけたことと、命中率の高い翡翠が確実に攻撃を当てていること。ほぼ確実に翡翠がネメシスを蝕むんでいること、そして予定していた者の護りを固め終えた冬舞が攻撃に移ったことで、ネメシスへの侵食が深まったからだ。
「ウオォォォォォォォォ!」
ネメシスが攻撃の手を緩めて裂帛の気合で叫んだことがその証拠。
「みなさん、今です!」
後方でいち早くその動作を察知したセカイが叫ぶ。これを好機と、灼滅者達は一気に攻撃を仕掛けていく。
だが攻撃の機会を一度失った代わりに、ネメシスはいくばくかの体力の回復と穢れの浄化に成功した。癒せぬダメージは蓄積しているはずだが、こちらの攻撃が当たらない確率もほぼ元に戻ってしまった。その上、仲間を庇うことを意識してきた盾役の癒せぬダメージはかなり蓄積しているはずだ。
それでも、盾役の彼らは仲間たちを庇うことをやめない。自ら志願した役目だ、傷が深くなることも覚悟している。
「ガウッ!」
ネメシスは鋭い爪の一撃からビハインドの綾を庇った颯に目をつけたようだった。執拗に前衛を狙い、綾に爪を振り下ろそうとしては颯に庇われる。まるで何かを試しているようだったが、そこに深い意味があるかどうかはわからない。雑魚敵のように一撃で蹴散らせないことに苛ついているのだろうか――ついにその巨体で颯めがけて突進してきた。
間に合わない――他の盾役がそう感じた中、綾だけが颯の前に身を差し出そうとした。だが颯はそんな綾を突き飛ばす……ネメシスの爪がキラリと光って見えたのだ。体当たりではなく鋭爪撃だと判断してとっさに綾を遠ざけた――研ぎ澄まされた鋭い爪が、重い一撃となって颯の腹から胸にかけて上向きに抉る。
「ぐ、あっ……」
痛みと衝撃と。口の中に鉄錆のような味の液体が満ち、たまらず吐き出した。地面に落ちた身体を起こそうにも、おかしい、指一本動かない。
「香坂!」
誰かが呼んでいる。早く返事をしなくては――そう思ったところで颯の意識は途絶えた。
「後ろに投げる! 気ぃつけてな!」
颯を庇えなかったことへの負い目もあるのだろう、倒れた彼に一番に近づいた炎次郎が颯を抱えて叫ぶ。戦闘不能に陥った者はとどめをさされるのを防ぐために後方へ投げ飛ばすことになっていた。
今は颯の心配をしている余裕はない。仲間たちが攻撃や回復に手を割く中、炎次郎は無事を祈って颯の身体を後方へと投げた。
「どうしても、負けるわけにはいかないのです」
ミユの帯がネメシスの身体へと突き刺さった。けれどもその巨体はびくともしない。
灼滅者の目には、まるで炎を纏った大きな壁のように見える――。
●崩壊
颯に倣って仲間をかばい続けていた綾が消滅してしまった。織兎がまーまれーどを盾役につけている間に、ネメシスの大音声が後衛を連続して狙った。するとどうしても回復役に負担がかかってしまう。
「回復お願いします!」
このままでは危ない、そう判断したのだろう翡翠が苦渋の表情で回復を要請した。本来ならば他の者を優先してもらうところだが、大音声を連発されてはまずい状態なのだ。
「ミナカタ!」
炎次郎の指示に従い、ミナカタが翡翠を癒やす。そのおかげでネメシスからの強大なプレッシャーから解放された翡翠は、ネメシスの動きを鈍らせるべく攻撃を与えていく。
「危ない~!」
普段はマイペースの織兎だが、流石に庇う時は素早く。体当たりでミユを狙ったネメシスとの間にぎりぎり滑り込んで、全身でその衝撃を受ける。
「っ……流石に重いね~」
織兎も出来る限り仲間たちを庇ってきた。回復も十分に受けていたが、癒やしきれないダメージの蓄積をここにきて強く感じた。先程の体当たり、ともすれば庇ったはずのミユを背中で押し潰すようにして倒れてしまいそうになったからだ。なんとか踏ん張って耐えたが、次は危ないかもしれないと少しだけ思う。
「回復しますから、大丈夫ですよ」
そんな中で笑顔を絶やさないセカイの声掛けと治療は、力をくれる。傷を負っても治してくれる人がいれば大丈夫、だから盾となれるのだ。
(「また結構攻撃入るようになったのに、全然弱ってるように見えないんだよね~」)
ネメシスを見据え、地を蹴った織兎の蹴撃が決まる。合わせるように接敵したミユ、それを追うように冬舞が死角へと入り込んでいった。それでもまだ、奴はふらつきもしない。沙月や翡翠、炎次郎からの攻撃を受けてもそれは同じで。
(「とにかく守る!」)
最初から持っていた思いを強く再確認して、織兎はネメシスの動きに注意を払った。奴が距離を詰めてくる。狙っているのは自分か? それとも右隣にいる沙月か? いや、ミユだ! ネメシスの小さな動きを捉えられたのは、偶然か、はたまた守るという強い想いのおかげか。織兎はネメシスが左隣のミユへと爪を振り上げるより早く、彼女の前へと立っていた。
「ぐぅっ……」
斬り裂かれる痛みと強い衝撃。足に力が入らなかった。そのまま倒れたはずなのに思っていたほど痛くないな、そう感じたところで織兎の意識は途切れた。
「今助ける」
織兎はミユの腕の中へと倒れ込んだ。なんとか膝をつく形で彼の身体を受け止めたミユに、冬舞が駆け寄る。
「投げるぞ」
「はい」
冬舞が織兎を投げている間、ミユは風の刃でネメシスを狙った。もうこれ以上被害は出したくない、そう思って。
しかしネメシスはなかなか弱った様子を見せない、それが灼滅者達の心に小さな不安を浮かばせている。それでも、引くわけにはいかない。
何度目かの後衛への大音声――セカイへのそれを庇ったのは炎次郎だった。これまでにも何度も、戦闘前に約束したとおりにセカイだけでなく仲間たちを守ってきた彼は、振り向いてセカイの無事を確認して笑んだ後、そのまま膝から崩れ落ちた。
「迦具土さん!」
セカイと同時に翡翠も彼の名を叫ぶ。ミナカタが不安げに前衛へと進み出たが、炎次郎の意識はない。
「投げる! 攻撃を緩めるな!」
冬舞が炎次郎に駆け寄りつつ、檄を飛ばす。まだだ。まだ戦えるはずだ。
●光明?
まーまーれーどとミナカタも、よく盾役を努めてくれた。それでもネメシスの猛攻に耐えきれず、消滅してしまった。だが、まだ灼滅者達は諦めていない。
現に度重なる灼滅者の攻撃で、これまでに数度ネメシスは攻撃の手を止めて咆哮をあげている。だが、盾役がいなくなった分、ダメージはダイレクトに伝わってきて。
くらり、回復を受けたはずなのにミユは一瞬目眩を覚えた。だが槍をその手に握り、ネメシスの下腹部へと抉り刺す。もちろん沙月に冬舞、翡翠も攻撃の手を緩めない。セカイは必死で皆の傷を癒やしていく。誰も彼もが満身創痍だった。
「来ます!」
セカイが声を上げる。ネメシスが攻撃行動に移ったのだ。こちらへと向かってくる。ああ、何度この光景を見ただろう。避けられるなら避けたい――だが、ミユの身体は奴の鋭い爪から逃れることはできなかった。下から引っ掻き上げられた衝撃でミユの身体は宙を飛んだ。そして、どさりと落ちる。痛みよりも動けないことが辛い。ああ、瞼が重い。意識が、途切れる。
「攻撃を続けてくれ!」
明らかに分が悪い、だがここで攻撃の手を緩めるわけにはいかない――冬舞はミユの身体を後方へと投げる。翡翠の振るった異形巨大化した腕が、常以上の深い傷を与えた。
それを見た時、沙月は攻撃の衝撃で大きな壁が揺らいだだけかと思った。だが、局部だけでなく敵の全体を見た時に、ネメシスもまた弱っているのだと確信した。
(「これならば、恐らく――」)
沙月の考えが確かならば。
「今こそ、この身を刃とする時ですか」
「……!!」
その言葉が合図。仲間たちの視線が、集まる。誰かが言葉を発するよりも早く、沙月の様子に変化が起こった。圧倒的な力が、沙月から漏れ出していることに他の者が気が付かないはずはない。
沙月の動きはそれまでと比べ物にならないほど素早い。『雪夜』から繰り出す一撃は、ネメシスに引けをとらないほど重く見える。
「ウガァァァァァァァ!」
現にネメシスが痛みに声を上げたのは、これが初めてだからだ。
「詩夜さん……」
彼女が闇堕ちしたことは明らかだった。セカイの困惑したような悲しげな呟きに、翡翠が武器を握りしめ直す。
「詩夜さんの援護をしましょう」
「勝つぞ」
冬舞は独り言のように呟き、柄を強く握りしめてネメシスの死角を狙う。沙月に比べれば威力は劣るが、ネメシスの動きを鈍らせることは可能なはずだからだ。
闇堕ち時の力はそれまでの10倍ほどだと言われている。沙月は、堕ちればネメシスを灼滅する事が可能だと判断したのだ。現に、すでに蓄積したダメージの有るネメシスは、急に増えた戦力に押されているようにも見える。
堕ちてしまえば近くダークネスとなってしまう。けれども今はまだ、同じ敵の灼滅を目指す仲間だ。3人は出来る限り沙月の補助にまわり、そして。
どすんっ……巨体が倒れることで空洞が揺れた。光に溶けるように炎が消える。
「……ごめんね」
ネメシスにとどめを刺した沙月は、誰にともなく呟いてその場から姿を消した。
作者:篁みゆ |
重傷:久篠・織兎(糸の輪世継ぎ・d02057) 香坂・颯(優しき焔・d10661) 唯空・ミユ(藍玉・d18796) 迦具土・炎次郎(神の炎と歩む者・d24801) 死亡:なし 闇堕ち:詩夜・沙月(紅華護る蒼月花・d03124) |
|
種類:
公開:2016年10月12日
難度:難しい
参加:8人
結果:成功!
|
||
得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
|
||
あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
|
||
シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
|