「みんな、きてくれてありがとな」
丹生・蓮二(エングロウスドエッジ・d03879)がいる場所は、今年廃校になり、数ヶ月後の取り壊しも決まっている中学校の中庭。そして、
「早速だけど、これが問題の体育倉庫」
蓮二が示したのは、その通り、体育倉庫。当然もう使われていないのだが、いつの時代にも体育倉庫にはある種のシチュエーションを求めてやってくる輩が後を立たず、その人達が謎の被害にあっているらしいとの情報から都市伝説ではないかと推測。結果、蓮二が場所を突き止めたのだ。その都市伝説とは、
「ざっくりいって、納豆だ」
被害にあった人達は皆、『体育倉庫の中に入ったら納豆が絡みついてきた』と言っている。納豆に負けずに目的を完遂した人もいたことから、納豆に攻撃力はないと考えられるが、
「取り壊しの時に工事の人達が、納豆が絡みついてくるーーーひゃあああーーーとかなるのも何だしな」
ここできっちり灼滅しとこう、と蓮二は言う。
戦闘時にも納豆が絡みついてくることはまず確実だろう。他は不明なものの、
「何となくだけど、この納豆は美味しい気がする。何となくだけど」
参加者 | |
---|---|
高宮・琥太郎(ロジカライズ・d01463) |
巨勢・冬崖(蠁蛆・d01647) |
丹生・蓮二(エングロウスドエッジ・d03879) |
雪椿・鵺白(テレイドスコープ・d10204) |
猪坂・仁恵(贖罪の羊・d10512) |
柴・観月(星惑い・d12748) |
祟部・彦麻呂(快刀乱麻・d14003) |
セレスティ・クリスフィード(闇を祓う白き刃・d17444) |
●
「納豆は……前も何か食べたね、今回は中で食べないだけ楽かも」
と柴・観月(星惑い・d12748)はくるっと振り向き、
「ビハインドあとよろしく。なに? 睨んでも変わらないけど? 俺? 行かないけど?」
ああ危惧されていた主従関係の悪化による、
「大丈夫、クリーニングは用意してるよ? え? そういうことじゃない?」
ストライキからの労使交渉へ突入かという矢先、ずざざーと土下座した男が1人。
「ビハインドちゃん、奈城さん、お願いします!」
「花をバックにイケメンの土下座。絵になるな」
記念に撮影する巨勢・冬崖(蠁蛆・d01647)。ビハインドと奈城は主人はともかく何でアンタのために? という感じで見下ろしている。
「奈城さん達に足がないのが惜しいわね」
と雪椿・鵺白(テレイドスコープ・d10204)。
「ビハインドさんも奈城さんも無理しなくていいんですよ?」
とか言っといて自分も遠慮したいセレスティ・クリスフィード(闇を祓う白き刃・d17444)、
「自分でイケメンって言っていた方が行ってくれる思いますし! 誰とは言いませんが、誰とは!」
ちらちらり。
「ははーん、それヘアピンが個性だと思ってる人ですね?」
買いたてほかほかの炊飯器を抱え、さっさと座っている猪坂・仁恵(贖罪の羊・d10512)。
「ああシャドハンがジョブの……はっ、気付かずにすみません」
祟部・彦麻呂(快刀乱麻・d14003)がセレスティ用の椅子を出す。
「あわわ、ありがとうございます」
するとざざざ、
「よろしくお願いするっス!」
土下座が増えた。
「ざこたくん……」
言いながら冬崖、撮影
「奈城さん、頑張ってくれる?」
主人の為なら当然と頷く奈城と主人への愛には嘘をつけないビハインド。そして、
「納豆って美容と健康と、あとダイエットにも良いと聞いたわ。女子の味方ってやつかしら」
「ははあ、それ納豆なんとかのおかげでしたね」
「ナットウキナーゼっス!」
鵺白と仁恵の会話に土下座2が入ろうとするがまあスルー、
「そのナットウナントカが身体に良い。わかりますよ。ねえルオ?」
「はい? はい」
ルオがよくわからないまま返事。
「わかりますよね、ね」
「! は、はい! いってきます!」
「ルオさん、ファイト。用意はしとくからね」
「はいっ、頑張ってきます!」
学園祭でもらった漫画がお気に入りの為、観月に応援されてちょっとうれしいルオである。
「まさか女子と中学生だけを納豆まみれにして平気なイケメンが存在するなんて……」
「あらてっきりそこの男子も頑張るのかと思っていたわ。まあいいけれど」
彦麻呂と鵺白の言葉が冷気へと変わり、氷柱となって土下座1、2に突き刺さる! 2、土下座の方向をさっと変え、
「蓮二センパイ頑張ってくださいッス!」
「よし」
丹生・蓮二(エングロウスドエッジ・d03879)、立ち上がって2を見おろすと、
「来い」
「エッ」
「理由は聞くんじゃねぇ。黙ってついて来い」
それをきいた仁恵、
「ははーん、さては仕事でまで1人は辛いとかそういう」
「きかないで!」
フルカスタムのカッパと長靴を着込みながら蓮二が言う。
「あ、ビハちゃんと奈城さんも着るならレンタル……いらない? あ、そう」
と、不意に蓮二に引き寄せられるかの如く冬崖が立ち上がった。
「くっ抗えない……これがカンスト力か……」
「エッ」
慄く2。
「の前にこれを」
冬崖、テーブルへ何かをどさー。
「これは……カラシとタレですか?」
セレスティが小さいパックを摘まんで言った。
「その通り。納豆ってよくカラシとタレ付いてくるけどさ、あんまり入れなくね?」
「そう言われればそうね。わたしも醤油だし」
鵺白も瓶と
「今日も持ってきたわ。あとマヨネーズ」
チューブを置く。
「ということでどうせ準備の悪い都市伝説さんの為に! 納豆のタレとカラシを沢山準備してきました! 偉い俺! 褒めろ!」
「わー」
セレスティがぱちぱち手を叩いた。
「さすがですね。どこかの雑魚とはちげーですよ」
「これが真のイケメンと設定だけのイケメンとの違い……」
2へ、仁恵と彦麻呂の言葉が略。
「いやあ、スーパーの特売で買った納豆のパックをひとつひとつ開けた甲斐があったってモンですよ」
180cm超の筋肉男子が。スーパーの特売で。ひとつひとつ。開けた。
「それだけですごく価値がありそうですね!」
セレスティが言う。仁恵も、
「高く売れるかもしれねーですよ。いわゆる、そう。そういう筋に」
「あと大根おろしな。オクラも入れてえが……」
冬崖が言えば、自分持参の具材を出していた彦麻呂、
「かき揚げの材料に持ってきたのがあります、オクラ」
「よっしゃ、俺ァ信じてたぜ!」
「俺も持ってきたよ。卵、ネギ、お醤油。それからシンプルさに味を添えるうまみ調味料。がこちらになります。食器もね。今日の俺はバッチリ用意マン」
観月はテーブルにあれこれ並べ、
「それもこれも美味しい食事と灼滅のためだからね」
あとネタのため。
「なんですか薬味出す流れですか。じゃあこれ出しときますね」
仁恵はバラバラうめぼしの種をテーブルに撒き、
「米と水も持ってきましたよ。ご飯は炊きたてが1番ですからね」
「私は保存容器、ボウル、それから丼ぶり。でよかったでしょうか」
セレスティが置いたボウルに目をとめた彦麻呂、
「それを調理にぜひ……はっ、生意気言ってすいません」
「わわ、どうぞどうぞ使ってください」
「では使わせて頂きます。ルオくんは頑張って下さいね。の前にカセットコンロ出してくれます?」
「あ、はい!」
「扱い雑!」
言いながら2、嬉しそう。そして、
「行くぞ」
蓮二が倉庫の扉に手をかけた。
「引きずらないで下さいッスー!」
右手にタライ、左手に高宮・琥太郎(ロジカライズ・d01463)。
「オレまだ準備がっ、」
「タライならある」
「これか。ほれ」
手が塞がっている蓮二のかわりに、冬崖が琥太郎にタライをかぶせてあげる。
「そうじゃなくて!」
「お、逆か。スマンスマン」
冬崖がタライをひっくりかえしてくれた。
「じゃなくて! カッパとかゴーグルとか、ちゃんと用意してきたんスよー!」
「私は皆様の健闘を祈る次第であります」
セレスティ、メガホンを取り出し、
「ファイトー! ファイトー!」
両開きの扉をバーンとあければ、調査通りの藁納豆。ビハインド達、踏み込んだ者、引きずられた者、各々めがけて納豆が飛んでくる!
「凄ぇ量だな」
冬崖、着ていた服を脱ぎ捨てた。美しきラガーマンの筋肉に。荒々しき因縁の刺青に。納豆は無情に絡みつき、蹂躙する。
「やぶさかでは……ない」
肩の上にタライをのせ、片手で髪をかきあげれば、白い粘りがパアと散った。それを見て仁恵、
「凄い……冬崖の肌がみるみる滑やかに……納豆パワ……」
「中まで入ってくるし!」
蓮二も着ていた服ごとカッパを脱ぎ、外へ放り投げる。
「服は汚したくないんで……あ」
が、地面へ。土ついたよ。
「ご飯はもう炊けるわよ」
鵺白が言う。セレスティは、
「わーい納豆食べ放題ですね! そんなに頻繁に食べるわけではないですけど好きなのですよ」
「私は特別好きでも嫌いでもないんですけど、」
彦麻呂はオクラを湯通し、
「日持ちするので、1人暮らしの食卓には嬉しい気もしますね。納豆ばかりだと寂しい気持ちになりますけど。ルオくん、まな板と包丁は」
「はい、今いきます!」
ルオとビハインド達が先に出てきた。鵺白は、
「奈城さん納豆まみれね……ネバネバはあとで洗いましょうね」
「クリーニングしちゃいますよ!」
セレスティがはりきってクリーニング。観月は納豆を回収するだけのお仕事。
「奈城さんも食べるかしら?」
頷いた奈城の分も椅子を用意。
「ひ、ひどい目にあったっス……」
「こんだけありゃあ足りんだろ」
琥太郎と冬崖も戻る。蓮二は地面を見つめ、
「……この落ちてる服もクリーニングしてもらっていいかな……」
「はい、よろこんでー!」
よく働くよセレスティ。仁恵は茶碗にご飯をよそうと、
「れんじー、さっさとチンして下さい!」
「はい……」
蓮二、仁恵の要望通りに電磁波出しつつ、
「このタライの納豆もらっていいかしら?」
「もちろん!」
鵺白にはいい笑顔。
「ははーん」
「なんですか!」
「いえ別に。おや皆料理とかしてんですか?」
仁恵が電磁波納豆を混ぜながら言う。
「納豆ご飯も良いんですけど」
彦麻呂は納豆とタレをねりねり、
「お腹いっぱいになりそうなのと、普段から食べてて面白みがないので……」
そしてニッコリ明後日の方を見ると、
「ここに刻んだ青ネギをそこそこ、オクラをまぁまぁ、桜えびをそれなりにいれます。その後、様子をみながら衣を加えていきましょう」
「それ誰にいってんスか?! で、オレもチヂミ作るッスよ!」
セレスティに雑にクリーニングしてもらった琥太郎、元気に納豆とニラ、卵、小麦粉を混ぜ混ぜ。
「料理作れるの凄いです!」
セレスティが褒めれば、琥太郎今日1番の笑顔で、
「まぁ父子家庭なんで料理は慣れてるっていうか……タレはポン酢と食べるラー油を適当にあれこれ、あれ?」
「納豆2パック分ってこれくらいでしょうか」
既にセレスティは納豆ご飯の準備に夢中。蓮二は、
「俺はひきわり納豆たくさんで納豆スパゲティ……ところでひきわり納豆ってあんの?」
あるわけない。ルオがまな板と包丁を差し出した。
「ははぁ、納豆はそのまま頂くのがやはり一番じゃねーですか? 醤油をかければ大豆×大豆の100万パワー……あ、誰か納豆かけてくださいね。ご飯よそって待ってますからね」
「これくらいか?」
座して動かぬ仁恵の前の茶碗に、むき身の上半身も眩しい冬崖がタライから直接納豆をざー。蓮二は仁恵に、
「言ったね? じゃスパゲティいらないね?」
「いりますよ当たり前じゃねーですか。ねえ〜鵺白?」
「ええ、ぜひ」
納豆にマヨネーズぶしゅるしながら鵺白が言う。
「はい」
蓮二、調理に戻る。
「程よく熱した油に、混ぜ合わせた生地をおたまで入れます。……入れました!」
「だから誰に言ってんスか!」
彦麻呂と琥太郎も調理中。
「卵、ネギ、そして冬崖さんのタレを入れればほらできあがり。いえーい」
観月は自分用納豆ご飯を作成、
「あれ、鵺白さん卵は?」
「卵かけるとお腹膨れちゃうから、味濃くして納豆を沢山食べようと思って」
ぶしゅるとマヨネーズが足された。
「私は卵もかけますよ! お葱をいれて、カツオだしも忘れずに。シンプルですけどこれが良いのです!」
「俺も卵とネギに、大根おろしとオクラも入れましょうね〜♪」
フンフンと鼻歌しつつ冬崖も作成。
「にえも卵はかけるタイプです。さ、いただきましょう……オイシイ!!」
「美味しいです!!」
セレスティも言い、
「うん、おいしい」
「うまい!」
観月と冬崖も言う。仁恵はゆっくり咀嚼し、
「粒がしっかりしている分、歯にダイレクトに伝わる触感が大豆の甘さとあいまって最高に合いますね。卵でさらにまろまろ、超うめーですよ」
「やったー! できたー!」
彦麻呂がバンザイ。
「納豆のかき揚げできました! さっそく味見を……サクサク、熱っ……おいしい!」
「美味しそう!」
セレスティがキラキラすれば彦麻呂
「あ、お先にすみません、今もっていきます」
「あわわ、お気になさらず」
「オレも食べたいッス!」
チヂミを焼きながら琥太郎も言う。が、
「今揚げてるヤツ、揚がったら自分で取って」
「雑!」
「納豆スパゲティもできました。のでお持ちしました」
蓮二、スパゲティを置くと、
「次! 納豆ご飯!」
納豆を混ぜ始めた。
「納豆は400回以上混ぜる事で栄養価が上がり、ネバネバ力も高まるのだ! って誰かからきいた!」
そしておもむろにご飯をよそい、
「蓮二くん、納豆の上にご飯のせるの」
「うん、そう」
観月にニッコリ答えて、いただきます。
「美味しい!!!」
「チヂミもできたッスよ!」
琥太郎がチヂミを持ってきて、
「あ、そうそう食べるラー油」
の瓶も置く。
「辛そうで辛くないとか言いつつちょっと辛いとか言ってくるふざけたヤツッスが、納豆との相性最高なんスよね……!」
琥太郎うっとり目を閉じ、
「納豆のタレいれて、スプーン1杯のコイツを投下、ぐりぐり混ぜてご飯にON。辛いの苦手じゃなければ、絶対! 絶対1回試す価値あるッスから! 是非!」
「確かにうめーですね」
「辛いのもいいね」
仁恵と観月もぐもぐ、
「もうこれ空です」
セレスティは瓶をのぞきこむ。冬崖は、
「高宮もう1瓶あるか?」
「もう食べてた!」
「こたくん、どこ?」
「彦チャン勝手に荷物漁らないで!」
「そういや、納豆に砂糖入れるとめっちゃ粘るんだってな」
こた風納豆を食べながら冬崖が言う。
「口の中が辛くなったことだし」
冬崖、納豆に砂糖をいれて混ぜる。粘る。
「お、すげぇ粘るな。はい、じゃ誰か試して」
粘らせるだけ粘らせて置いた。混ぜるだけで満足したらしい。
「誰か試してっていってるよ」
観月はすっと視線を送り、
「いってますよ」
仁恵エコー。
「いってます!」
セレスティ、メガホン。
「……」
彦麻呂、見ただけ。
「そうか食べるか」
冬崖、琥太郎の前においてあげる。
「いやオレ何も言ってな……いただきます」
愛に負けた琥太郎、北の大地の味を噛み締め、
「甘いっス!」
「平凡。やり直し」
「なんで!」
仁恵にコメントのやり直しを要求されながらも、完食。
「そろそろご飯でお腹いっぱいになりそう……」
鵺白が箸を置いた。
「これならパンも持ってきてピザ風にすれば良かったわ」
「フッ」
それをきいた冬崖、
「準備してますよ! ドーン!」
とトースターを置いた。
「ズバリ、納豆トースト! まずマヨネーズ!」
塗る。
「チーズ!」
のせる。
「納豆!」
のせる。
「焼く!」
焼く。
「美味い!」
「「「うまい!」」」
全員でコールアンドレスポンス。
「でもマヨネーズの取りすぎも良くないわよね……」
えっ今更とは言わず、そっとスパゲティを鵺白の前に置く蓮二イケメン。
「この納豆、戒道さんにも食べさせてあげたかったな……」
トーストをかじりながら彦麻呂が呟く。それをきいてルオ、冷凍用にどうぞとラベル付小分け容器とペンを出した。仁恵はペンのキャップをきゅぽん、
「戒道さん……」
名前をかく。と、
「あっ」
突如丼から顔を上げる琥太郎。
「誰も何も言ってくれてないッスけど! チヂミどうだった? おいしかった?! ねえおいしかった!?」
もう全部ない。ということはそういうことだろう。愛。
イケメンが花をバックに納豆飯、も冬崖がしっかり撮影。集合写真も撮って、食べ物大事に。ご飯粒も残さず、
「ごっそさん」
「「「ごっそさん!」」」
全員で締め。灼滅も頑張り、最終的に蓮二が凄く格好よかった1日だった。
作者:森下映 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2016年10月19日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 6/感動した 3/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 2
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