カメラマン達なんかに負けたりしないッ!

    ●都内某所
     ユーリ・ベルトラン(影絵の騎士・d30857)が調査した結果、この地域で都市伝説の発生が確認された。
     都市伝説はヌードの撮影に命を懸けているらしく、隙あらば相手の服を脱がせ、その姿を撮影しまくっているようだ。
     しかも、都市伝説はカメラ小僧達を連れ歩いており、抵抗するような相手に対しては、容赦をしないようである。
     そんな状況をこれ以上、拡大させないため、ユーリがその場に仲間達を集めた。
     都市伝説はカメラのシャッターを切る事で、相手の動きを封じ込める事が出来るだけでなく、催眠下に置いたカメラ小僧を嗾けて、様々な攻撃を仕掛けてくるため、色々な意味で注意が必要だろう。
    「どちらにしても、都市伝説なんかに負ける訳がないとは思いますが……。気を引き締めていきましょう」
     そう言ってユーリが仲間達に協力を求めるのであった。


    参加者
    加奈氏・せりあ(ヴェイジェルズ・d00105)
    墨沢・由希奈(墨染直路・d01252)
    銀・ゆのか(銀屋の若女将・d04387)
    緋薙・桐香(針入り水晶・d06788)
    黒岩・いちご(ないしょのアーティスト・d10643)
    刑部・みさき(蒼星の夜凪を揺蕩うマーメイド・d20440)
    水無月・カティア(仮初のハーフムーン・d30825)
    神御名・詩音(神降ろしの音色・d32515)

    ■リプレイ

    ●都内某所
    「二度あることは三度あると言うけど、またこんな依頼来ちゃった……。いちごくんと一緒なのが救いというか、いちごくんがフラグじゃないのかな、これ……」
     墨沢・由希奈(墨染直路・d01252)は魂の抜けた表情を浮かべながら、仲間達を連れて都市伝説が確認された繁華街にやってきた。
     都市伝説はカメラマン風の男で、カメラ小僧達を引き連れて、欲望の限りを尽くしているようだ。
    「何故、こんな噂を聞いてしまったんでしょうね、私……。色々と危険を感じますが、カティアさんがいらっしゃいますから安心ですね」
     神御名・詩音(神降ろしの音色・d32515)が、苦笑いを浮かべる。
     色々な意味で嫌な予感しかしないものの、水無月・カティア(仮初のハーフムーン・d30825)が一緒のせいか、妙に安心する事が出来た。
    「最近、この手の変態さんな都市伝説、多くありません? 割と率先して関わってしまう私も私だけど……。それ以上に、いちご君が巻き込まれてる事が多いような気が……。そういう体質、なのかしら?」
     銀・ゆのか(銀屋の若女将・d04387)が、不思議そうに首を傾げる。
     次の瞬間、都市伝説がカメラ小僧と一緒に、ザザッと物陰から飛び出してきた。
    「おひょ、おひょひょひょひょ! ……見つけたっ! 見つけたぞおおおおおおおお! も、文字通り、お前達を裸にしてやる! 撮ってやる!」
     都市伝説がカメラを構えて、興奮した様子で鼻息を荒くさせる。
     まわりにいたカメラ小僧達も、興奮した様子でハアハアと息を吐く。
    「……ナニアレ。うん、ナニアレとしか言いようがない。いちごさん、いつもこんな依頼なんだ……」
     そんな中、加奈氏・せりあ(ヴェイジェルズ・d00105)が、何処か遠くを見つめた。
     ある程度の覚悟をしていたつもりだが、どう足掻いてもロクな事にならない事が運命づけられているような感じである。
    (「なんでいちごさん、こういうのばかりなんだろ?」)
     刑部・みさき(蒼星の夜凪を揺蕩うマーメイド・d20440)も、妙に納得した様子で汗を流す。
     前回はパンツを食べたり、被ったり都市伝説で、今回はカメラ小僧の都市伝説……。
     そういった意味でも、運命的なモノを感じずにはいられなかった。
    「多分、私は悪くないと思いますが……また、こんな……。ヌード写真自体は、私も写真部なので興味なくはないですけど………」
     黒岩・いちご(ないしょのアーティスト・d10643)が、乾いた笑いを響かせる。
     どうして、こんな事になってしまったのか分からないが、直接的な原因ではない……はず。
    「いちごさんのためのヌード撮影会なら求められなくてもしますのに……。このあと、します……?」
     緋薙・桐香(針入り水晶・d06788)が思わせぶりな態度で、いちごにすり寄った。
    「い、いや、そういう意味じゃなくて……」
     いちごが激しく首を横に振る。
     その間も都市伝説達はカメラを構え、シャッターチャンスを狙っていた。
    「と、とにかく! 私の裸はまだしも、詩音さんは守らないと!」
     そう言ってカティアが、都市伝説の前に立つ。
     だが、都市伝説は待っていましたとばかりに、カメラを構えて間合いを取るのであった。

    ●禁断の宴
    「さぁて、どうしようかなァ! 僕はただ写真が撮りたいだけなんだけど……。無駄な抵抗をするようなら、痛い目に遭ってもらうしかないよねぇ……」
     都市伝説がカメラを構え、ニンマリと笑う。
     まわりにいたカメラ小僧達は、下心全開で薄ら笑い。
     『写真だけで終わらせる訳がないだろ』と言わんばかりに、禍々しい気配を漂わせていた。
    「……えーと、誰ですか。こんな噂してた人……」
     カティアが都市伝説達に、生暖かい視線を送る。
     どんな噂が元になっているのか分からないが、どちらにしても最初の頃は、何の危険性もない些細なモノだったのだろう。
    「ほらほら、そんなに硬くならないで、リラックス、リラックス!」
     都市伝説がハイテンションで、鼻息を荒くさせる。
    「モデルの身としてはヌード撮影会も興味がありますが、事務所を通さない撮影はエヌジ……って人の話を聞いて下さいませ!? それに、私の誇りにかけて、いちごさん以外に裸を見られるわけには……!」
     桐香が嫌悪感をあらわにした。
    「おいおい、カタイ事を言うなよっ! わざわざ僕らは君達を撮るため、ここに来ているんだからさ」
     都市伝説がカメラのシャッターを切りながら、上から目線で語り掛けていく。
     まるで桐香達のためにお膳立てをしたような言い方だが、実際にはたまたま見つけた事を隠して、偉そうにしているだけだろう。
    『こわい』
     みさきが古いスケッチブックに文字を書き、ガタブルと体を震わせる。
    「大丈夫、怖くない。怖くないよぉ! 全然、怖くないから! だから、さあ……服を脱ごう。オジさん達は、キミの味方さ!」
     小太りのカメラ小僧が、犯罪者チックな笑みを浮かべた。
    「まずはカメコの皆さんを、どうにかしないとダメですね。でも、そのためには近付かないと……。うう、乙女として未来の旦那様以外の男性に裸を見せる訳にはいかないんですが……。やれるだけの事はやっておかないと……」
     詩音が自分自身に言い聞かせ、清めの風を発動させる。
     しかし、カメラ小僧達が興奮しているせいで、まったくと言っていいほど効果がなかった。
    「……まったく、素直じゃないな! だったら、ちょっと痛い目に遭って貰わないとね!」
     そう言って都市伝説が、カメラ小僧達に合図を送る。
     それと同時にカメラ小僧達が興奮気味に、次々と飛び掛かってきた。
    「えっ? 何で効果がないんですか~!?」
     ゆのかも信じられない様子で、魂鎮めの風を使ったが、カメラ小僧達には効果なし。
    「ひっ……!?」
     みさきも群がるカメラ小僧達を、スケッチブックでバシバシ叩くが、同じように効果なし。
     しかも、ドM全開で群がるカメラ小僧に、ドン引きのようである。
    「あ、あの……駄目みたいなので……その……隠して下さい。他の方には見られたくないので……!」
     詩音が恥ずかしそうにしながら、逃げるようにしてカティアに抱き着いた。
    「……って、えぇぇ!? ちょ、待っ……あ、当たってます! 当たってますから!」
     カティアが困った様子で、大声を上げる。
     だからと言って、詩音から離れる訳にもいかないため、迂闊に動く事が出来なくなった。
    「あれ? あれれれれ? 君達だけで楽しむのって、おかしくない? 絶対におかしいよね? だったら、僕達も楽しまなきゃ、不公平だと思わない?」
     都市伝説がカメラを構えたまま、ジリジリと距離を縮めていく。
    「……くっ! このままでは……はっ!? いちごさんに隠してもらえばいいのでは? いちごさーん!」
     すぐさま、桐香が半裸に近い格好で、真正面からいちごにギュッと抱き着いた。
    「桐香さん、その格好で抱きついてこないで」
     いちごが顔を真っ赤にしながら両手を伸ばし、桐香の胸をむにゅっと揉んだ。
    「うわあああ、ごめんなさい!」
     これには、いちごも動揺したのか脱兎の如く逃げ出したものの、同じようにカメラ小僧達から逃げてきたみさきとぶつかり、胸をむにゅっ!
     それに驚いたみさきが『えっち』と大書きしたスケッチブックのページで、いちごを迷わずボッコボコ。
    「と、とりあえず、いちごちゃんの視界を隠さないと……」
     そう言って、ゆのかがいちごに目隠しをするため近づいたものの、パニック状態に陥ったいちごは、ゆのかのサラシを掴み取り、彼女を巻き込むようにしてバランスを崩す。
    「うわあああああっ!」
     いちごはそのまま頭から、せりあの股間にダイブ!
    「い、いちごさん、駄目ぇ!」
     せりあが信じられない様子で悲鳴を上げ、いちごの顔を両足で挟む。
     そのせいで、いちごの息がしづらくなり、色々な意味で大変な事になった。
    「うん、分かってたよ、こうなることは……」
     そんな中、由希奈が色々と悟った様子で溜息をもらす。
     ある程度は予想をしていた事だが、思っていた通り……いや、それ以上の事になっていた。
     しかも、都市伝説達がチャンスとばかりに、カメラのシャッターを切りまくる。
    「……と言うか、殴り倒していいですか、もう?」
     次の瞬間、カティアが我慢の限界に達し、まわりにいたカメラ小僧達に手加減攻撃!
     カメラ小僧達は間の抜けた声を上げ、重なり合うようにして倒れていった。

    ●都市伝説
    「ハッハッハッ! 君達のおかげで、イイ写真が撮れたよ。まあ、カメラ小僧君達は酷い目に遭ってしまったケド、自業自得だから仕方がないよね。それじゃ、僕はここで……帰るね」
     そう言って都市伝説が満足した様子で帰ろうとする。
    「ちょっと待ってください。何か忘れていませんか?」
     それに気づいた詩音が胸元を隠して、都市伝説にアイアンクロー。
    「えっ? 何の事かな? 写真もバッチリ撮ったし、後は帰るだけなんだけど……」
     都市伝説が愛想笑いを浮かべ、激しく視線を泳がせた。
     本当は何が言いたいのか分かっているようだが、自分の口からその言葉を発するつもりはないようだ。
    「あっ! ひょっとして、裸を撮ってほしいのかい? だったら、その手が邪魔だから、今すぐ退けてくれないよなぁ」
     都市伝説が素早くカメラを構え、いやらしい笑みを浮かべる。
    「ダメです! これは私のです!!」
     すぐさま、カティアが都市伝説にガブリッ!
     何やら、とんでもない事を口走ってしまったような気もするが、ここで気にしたら負けである。
    「ウギャアアアアアアアアアアアアアア! 痛いっ! 痛いっ! やめてくれえええええええ!」
     そのため、都市伝説がその場から飛びのくようにして逃げていく。
    「い、今なんて……」
     そんな中、詩音がキョトン。
     何やら気になる言葉が聞こえたため、改めて本人の口からハッキリと聞きたくなった。
    「な、なんでもありません!」
     しかし、カティアは恥ずかしい気持ちの方が勝っていたため、もう一度口にはしたくない様子。
     それでも、詩音は興味津々の様子で、カティアに視線を送っている。
    「おいおい、僕の前でイチャイチャするな。……と言うか、僕も仲間に入れろおおおおおおおおおお!」
     都市伝説が不満げな表情を浮かべ、ふたりに迫っていく。
    「邪な願望はフィルムごと、滅(め)です!」
     次の瞬間、ゆのかが神薙刃を放ち、カメラごと都市伝説にトドメをさす。
    「カ、カメラがああああああああああああ」
     都市伝説はカメラが壊れた精神的なショックと、肉体的なダメージを受けたショックで、断末魔を響かせて消滅した。
    『怖かった……』
     その途端、みさきがスケッチブックを抱えて、ぺたんと座り込む。
     おそらく、都市伝説が消滅した事によって、緊張の糸が切れたのだろう。
    「色々とごめんなさい」
     そんな空気を察したのか、いちごが申し訳なさそうに土下座をする。
     別にわざとやった訳ではないのだが、この状況では謝らずにはいられない。
    「まあ、体質みたいなものだから、仕方ないとは思うけど……」
     由希奈がいちごの凄まじいラッキースケベ体質に溜息をつく。
     こればかりは自分で直そうと思って直せるものでもないため、仕方がない事なのかも知れない。
    「確かに、不可抗力だしね。とりあえず、早く忘れて」
     せりあも死んだ魚のような目で口を開く。
     いまいち納得する事が出来ないものの、ここで怒ったところで、起こってしまった事実は変えられない。
    「とりあえず、カティアさん。カメラ小僧達の血を吸ってくださいません? 全ての記憶を夢幻のごとくに……! 早く、早く!」
     そう言って桐香が気絶したカメラ小僧に視線を送り、カティアを急かすのであった。

    作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年10月8日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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