見えそうで見えない……!

    ●栃木県某所
     女性であれば誰でもタダで浸かる事が出来る温泉があった。
     この温泉から見える景色は最高っ!
     場合によっては、料理までタダになるため、一時期繁盛していたらしい。
     だが、実際には村人達が女性客の入浴を覗き、宿泊料金などを代わりに支払っていた事が判明し、途端にクレームが殺到!
     あっという間に廃業してしまったようである。
     しかし、村人達の中には廃墟と化した温泉宿で、ナイスバディの女性を見たという噂が絶えず、都市伝説が生まれてしまったようだ。

    「みんなが待っていたか、どうかは知らんが、お色気だ」
     何となく気まずい雰囲気を漂わせ、神崎・ヤマトが今回の依頼を説明する。

     今回、倒すべき相手は、ナイスバディの都市伝説。
     しかも、美人。振り向いたら、化け物だったというオチはない。
     ただし、大人の事情か、それ以外の理由で、不自然な湯気が辺りには立ち込めている。
     これは見えそうで見えない絶妙なラインで出現し、色々と見えなくしてしまう。
     しかも、毒だ。吸った途端に体が痺れ、言う分後にはあの世逝き。
     その事に気付かず村人達が一人、二人、三人と、覗き穴から女湯を覗いている。
     おそらく、説得したところで退かないだろう。
     それどころか、お前達も見ろ、と誘って来るかも知れない。
     まあ、ここで誘いに乗れば、そのままあの世にレッツゴーだが……。
     都市伝説自体は無駄に胸と尻を揺らして誘惑してくるだけだから、まあ……大丈夫だろう。
     とにかく、頑張ってくれ。


    参加者
    安曇・陵華(暁降ち・d02041)
    ミルフィ・ラヴィット(アリスを護る白兎の騎士・d03802)
    ツェツィーリア・マカロワ(舞い裂くツングースカの銀龍鱗・d03888)
    ハイプ・フィードバック(焔ノ記憶・d04764)
    天月・一葉(自称萌えの探求者見習い二号・d06508)
    阿剛・桜花(打撃物理鈍器系お嬢様・d07132)
    東雲・蔓(求める兎・d07465)
    美作・ナガレ(アナザーモーニング・d08221)

    ■リプレイ

    ●秘湯
    「温泉、温泉~。やっぱり、この時期は温泉だよな。……とは言え、管理する者居なくなって枯れてたら、絶望のあまり闇堕ちするやもしれん。いや、冗談だが……」
     軽く冗談を言いながら、安曇・陵華(暁降ち・d02041)が都市伝説の確認された温泉宿にむかう。
     この温泉宿は女性ならば、タダで温泉に浸かる事が出来たため、一時期は賑わっていたらしい。
     だが、実際には温泉を覗く代わりに村人達が金を払っていただけだったため、そのことが問題視されて廃業に追い込まれてしまったようである。
    「温泉に美人が一人、となればやる事は一つ……と思いきや毒霧って。何なんだ、そのホイホイ的なの。ホイホイついてくしかないじゃない。そんな意地悪にはお仕置きが必要かねぇ」
     黒いレザーのビキニ姿で険しい表情を浮かべ、ツェツィーリア・マカロワ(舞い裂くツングースカの銀龍鱗・d03888)が温泉宿のある方向を睨む。
     温泉宿が廃業してから、しばらく経っているものの、男達が覗きに来ていたためか、まっすぐ道が出来ていた。
     恐るべき、煩悩の力。
     どんなに茂みが生い茂ろうとも、その道が途絶える事はないだろう。
    「皆さんの命を救うためです、ここは私も一肌脱ごうじゃありませんか」
     胸元の開いたミニメイド服姿になり、天月・一葉(自称萌えの探求者見習い二号・d06508)が気合を入れた。
     ぼんきゅっぼーんな体格ではないが、ラブフェロモンを使えば、一般人などイチコロである。
     そうしているうちに、温泉を覗く男達の背中が見えてきた。
    「必死こいて穴覗き込んでる大人を見ると、何かこう、蹴りたくならないか? まあ、傷付けちゃいけないのは分かってるが……」
     無性に蹴りたい衝動に駆られつつ、陵華が寸前のところでグッと堪える。
     おそらく、都市伝説の裸体を見ているのだろう。
     壁の穴に目を押し付けるようにして眺めている。
    「さてと……、そろそろ始めましょうか」
     学校指定の水着姿になって違和感を覚えつつ、東雲・蔓(求める兎・d07465)が仲間達に声をかけた。
     どうやら、水着が一回りほど小さかった様子。
     だからと言って着替える余裕がないので、軽く流す事にした。
    「ふふっ、お姉様ったら……素敵なお肌ですわ……♪ あら、貴女様も素敵なプロポーション……わたくしも、洗いがいがございますわ♪」
     すぐさま大胆な水着姿で意味ありげに呟き、ミルフィ・ラヴィット(アリスを護る白兎の騎士・d03802)が男達の興味を引く。
     その声に気付いて男達が振り向くと、そこには草むらの上に敷かれたマットの上で戯れるミルフィ達の姿が……。
    「うわー、目のやり場に困るっ!」
     思わず鼻血を吹きそうになりながら、ハイプ・フィードバック(焔ノ記憶・d04764)が鼻を押さえる。
    「の、覗き魔さん……。こ、こちらですわよ~?」
     恥ずかしそうに頬を染め、阿剛・桜花(打撃物理鈍器系お嬢様・d07132)がミルフィ達の後ろに隠れて手招きをした。
    「ご主人様、宜しければ私達と遊びませんか?」
     そこですかさずラブフェロモンを使い、一葉が男達の心を鷲掴みにする。
     男達も一瞬迷ってしまったようだが、両方を天秤にかけて一葉達を選んだようだ。
    「いやぁ、眼福眼福。シーズン過ぎたってのに、水着が見られるたぁ運が良いぜ。この際だから、たっぷり堪能するか」
     のんびりと一葉達を眺めつつ、美作・ナガレ(アナザーモーニング・d08221)が至福の時を過ごす。
     危うく、依頼の事を忘れそうになってしまったが、だんだん忘れても良いように思えてきた。

    ●一般人
    「ほらほら、村人さんこっち向いて見て?」
     うさ耳を装着した状態で、蔓が桜花と体を絡ませる。
     その途端、男達の鼻が伸び、だらしない表情がずらりと並ぶ。
     念のため、テレパスを使うと煩悩一色。
     ピンク色と言うよりも、欲望が渦巻いているせいで、ドス黒い。
    「ううっ……、恥ずかしいですわ」
     蔓が胸元から牛乳を出すしぐさに思わず赤面しつつ、桜花がその後ろで恥ずかしそうに胸元を隠す。
     男達の視線が怖い。舐めるような、突き刺すような視線が怖すぎる。
     だが、そんな事を考える余裕を奪う勢いで、ミルフィがボディソープを泡立てて体を擦りつけてきた。
    「お、お兄さ~ん、こっち来て? イカン、ヤバイ、ダメだ、恥かしい! 顔が引きつる!」
     激しく首を横に振り、陵華が魂鎮めの風を使う。
     これ以上は無理、限界。……と言うよりも、自分の身がヤバイ。
     幸い男達は夢の世界にダイブしたが、無駄にテンションが上がっている仲間達をどうにかしないと、マズイ。マズ過ぎる。
     そのせいか、ミルフィがどんどん体を擦り付け、そのまま唇を奪う勢いで迫ってきた。
    「こ、こういう場合、どうすれば……」
     ひどく困った様子で、ハイプがオロオロとする。
     そこでナガレが力強い一言。
    「……あいつらの生き様を見守ってやれ」
     やけにクールに、なぜかガッツポーズで。
     しかし、そんな空気を掻き消す勢いで、都市伝説が温泉から現れた。
     怒りで顔を真っ赤にして、大きな胸をゆっさんゆっさん揺らしつつ……。
     おそらく、自分のプライドが傷つけられたせいで、怒り狂っているのだろう。
     温泉から漂う湯気が必死になって彼女の胸や局部を隠している。
    「超! 揺れる! 何がとは言わねぇけど! 俺、今まで生きてて良かったぜ――!!」
     何故か前屈みになりつつ、ナガレがグッと幸せを噛み締めた。
     だが、この状況では動けない。男の事情で動けない。
    「ああ、揺れる、揺れてますね……。負けませんよ、負けませんとも!」
     悔しそうな表情を浮かべ、一葉が都市伝説に対抗するようにして、胸を揺らそうとする。
     しかし、揺れない。揺るぎない事実。
     一生懸命、揺らそうと思えば思うほど、沸々と敗北感が湧き上がってくる。
     ……気にしたら負け。気にしたら負け、と呪文の如く唱えても、気にならない訳がない。
     表面上は笑顔を浮かべていても、心の中では泣いている。
    「それじゃ、嬢ちゃん。そろそろ始めようじゃねえか」
     すぐさまライドキャリバーに飛び乗り、ツェツィーリアが都市伝説に突っ込んで行く。
     それと同時に都市伝説が後ろに飛び退き、逃げるようにして温泉にどぶんと浸かった。

    ●都市伝説
    「さっきの奴らが起きて、こっちに来られても困るし、念のためにやっておくか」
     男達を横目で見つつ、陵華が殺界形成を使う。
     その間も都市伝説が胸や尻をぽよんぽよん。
     男性陣がそれに合わせて視線が忙しく動いている。
    「そう言えば、俺……。女子の胸って、触った事ねぇんだよな……。よっしゃ、都市伝説の触り心地を確かめてやるぜ――!!」
     素早い身のこなしで間合いを詰め、ナガレが都市伝説の胸を揉もうとした。
     だが、都市伝説がそれを避けて、避けて、避けまくる!
    「オラオラァ! さぁ、もっと踊ろうぜー、嬢ちゃん!」
     腰や胸を揺らすのに合わせ、ツェツィーリアがガトリング連射した。
     そのため、都市伝説が悲鳴を上げ、逃げるようにして飛び跳ねる。
    「この……大人しくしてろっ!」
     イライラとした表情を浮かべ、ハイプが影縛りで都市伝説の動きを封じ込めた。
     その途端、何故か胸や尻を強調させる感じで縛ってしまい、攻撃を仕掛けたハイプの方が『うぉ!?』と悲鳴を上げる。
    「これで眠ったら、好きにやっちゃいなさ~い……なーんてね?」
     軽く冗談を言いながら、蔓がディーヴァズメロディを使う。
     次の瞬間、都市伝説が深い眠りにつき、スヤスヤと寝息を立てた。
    「私だって……、それなりに大きいですわよっ!!」
     胸に対する対抗心を叫びつつ、桜花が都市伝説めがけて、ロケットスマッシュを叩き込む。
     その一撃を食らって都市伝説が断末魔を響かせ、跡形もなく消滅した。
    「……任務完了っと!」
     高笑いを響かせながら、ツェツィーリアがガトリングガンを空に向け、フィナーレとばかりに乱射をする。
     その間に陵華が事前に準備してきたポスターを、覗き穴から丁度見える位置に貼っておく。
     それは黒光りするボディービルダーの写真。
     おそらく、これを見れば男達の心もポッキリ折れてしまうだろう。
    「温泉、温泉! しっかり堪能して帰りたいですね~!」
     男性もいるため水着姿になり、一葉が温泉にちゃぷんと浸かる。
    「なんで戦闘が終わったのに死亡フラグが立ったままなんだ……!」
     未だにモヤモヤとした気持ちが晴れず、ハイプが水着姿で自らの頭を抱えた。
    「なぁ、誰か胸を揉ませてくんねぇ? もう辛抱たまらん!」
     その横でナガレが荒々しく息を吐く。
     不安の原因はこれか、と理解するハイプ。
     とうとう我慢の限界を超え、ナガレが女性陣に飛び掛かる。
     その途端……、股間に激痛が走った。
     一体、何が起こったのか分からない。
     それを理解する前に、飛ぶ意識。
     命中したのは、ミルフィが投げた洗面器。
    「サービスタイムは終了ですわっ……!」
     洗面器を放り投げた後、ミルフィが優しくニコッと笑う。
     そして、ナガレの意識は深い深い闇の中へと堕ちていった。

    作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2012年10月17日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 4/素敵だった 7/キャラが大事にされていた 0
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