シャドウ大戦介入～夢と影の合間に

■リプレイ

●闇を奪う
　歓喜のデスギガスの軍勢が、寄せ集めた慈愛のコルネリウスの軍勢を包囲し、殲滅するべく行われている、シャドウ大戦。
　この大戦の勝敗を覆すのは難しいという予想……その上での、次の戦いのために行われる介入策戦、シャドウ大戦介入。
　今、この場に集まりし灼滅者達は、その介入作戦に手を上げた者達。
「うーん……炎獄の楔での闇堕ちから復帰早々にシャドウ大戦か。なかなかにハードスケジュールだね。垓王牙大戦といい、このシャドウ大戦といい、武蔵坂は大戦での負け癖でも付いてしまったのかな？」
　と、軽く皮肉気味に合瀬・鏡花（鏡に映る虚構・d31209）が言うと、それに海川・凛音（小さな鍵・d14050）が。
「負け癖、ですか……確かに、そうかもしれません。とはいえこのシャドウ大戦、思う所はいくつもあります。しかし今はここでデスギガス軍の戦力を削れるように戦いましょう。この先の戦いで、犠牲を少しでも減らすためにっ」
　と拳を握りしめ、決意を呟く凛音、それに卜部・泰孝（大正浪漫・d03626）、栗原・嘉哉（陽炎に幻獣は還る・d08263）らも。
「我、此度は好機の逸脱と見る。大将軍が首級、届きし所にあれど手伸ばせず、故に兵のみ倒すが戦となる。されど成すべき事、決まれば果たすが役割よ」
「ああ。アガメムノンの面を拝んでみたかったけど、まずはタロット兵の数を減らしにいかないとな。それにソウルボード内での戦闘、そんなにやった事ないし……」
（「もしここで……闇墜ちしたらより強力なダークネスになるんだろうか……」）
　勿論、進んで闇堕ちする気は無いが……いざとなれば、その覚悟は出来ている。
　いや、周りの仲間達も、口にはしないが、その覚悟の元、ここを訪れている訳で。
「さて、出来れば全員無事に撤退出来るといいんだけれど……今は余計な事を考えずに、堅実に相手の戦力を削いでいくとしようか。結果に繋げる事が第一だしね。敵の敵は味方……というわけにはいかないのが悩ましいけど、争うばかりが選択肢じゃないしね」
「有無。影との前哨戦だ。冒すべき存在だ。初夢以来の戯れに乾杯を。暗黒に潜み、影の陰から一撃を、未知が好い。初夢作戦に思いを馳せ、戦場に赴く。死と闇に思いを馳せ、未知を望む」
「そうだね。ここは前哨戦で、本番はこの後……ここでダウンなんてしてられない！　絶対にみんなで帰ろう！！」
　長姫・麗羽（シャドウハンター・d02536）、ニアラ・ラヴクラフト（宇宙的恐怖崇拝者・d35780）、流阿武・知信（炎纏いし鉄の盾・d20203）らが言葉を交わしていくと、それを聞きながら影道・惡人（シャドウアクト・d00898）は。
「おお、長姫や卜部がいるたぁ頼もしいぜ。ウチの主力たちじゃねーか。これなら俺もちょっとサボれるかもな」
　何処かやる気なさそうに言う惡人。勿論、手を抜こうというのは言葉のあやなのは、良くつるんでいる二人は理解している訳で。
「惡人殿。気を抜きし者は死あるのみ」
「そうだね。まぁ……大丈夫だと思うけど、宜しくね」
　と二人の言葉に惡人は苦笑し。
「ああ、大丈夫だって。ま、うちらの作戦はタロット兵をぶちのめす作戦だしな。どんな奴が出てくるか楽しみな所だ」
　と不敵な笑みを浮かべ、そして灼滅者達は、戦場へと突撃していくのである。

●札の使者
　そして……シャドウ大戦の戦場後方。
　灼滅者達の内、このタロット兵襲撃を選んだ仲間達は、１３班。
　とは言え戦場は広く、かなり距離を取らざるを得ない……つまり、救援は望めないだろう。
　まぁ、救援をされるような状況になったら拙い訳で……寧ろ、自分達だけで、タロット兵を複数体倒す事が目的としている訳で。
　……そして、前方でのシャドウ大戦が行われている中、後方に居るタロット兵達は、何処か暇そうな感じが漂っている。
　そんなタロット兵達の内、特に個体で孤立しているタロット兵を見つけると。
「まだここいらは、こいつだけの様だな」
「そうだね。下手に囲まれると不味いしね。出来る限り個々で倒していくしかないかな」
　と惡人に麗羽が頷き、その個体……塔のタロット兵の元へ声を潜めて接近する。
　……そして、息とタイミングを合わせて、灼滅者達は一気にタロット兵に戦闘を挑む。
『っ……？』
　咄嗟にその一撃を躱すタロット兵。
　大きなタワーシールドと、槍の様な物を手に持った、何処か槍騎兵の様な風体を成している。
　そして、対峙してきた灼滅者達を真っ正面に据えながら。
『お前達は……灼滅者か』
「嗚呼。糞が。貴様等の将軍を撲るのは後だ。先ずは面倒な兵士共を潰す。未知とは言い難き、奇妙な武器を魅せよ。端から順に『捕らえ』壊すのだ。往ね。去ね」
「傷付け、命奪うが刀の意義。だが、今の我には躊躇うことなし。必要故、貴殿らに振るわん」
　とニアラ、泰孝が宣言すると共に、嘉哉が獣人型の影を召喚。
　他の仲間達も、次々と戦闘態勢を整えていくと。
「後衛をやるのは久しぶりだけど……やって見せる！」
　と知信は拳を握りしめて、決意し、先ずはヒーリングライトを仲間達に展開する。
　そんな灼滅者達の覚悟を、何処か嘲笑うように、タロット兵は。
『ほう……私を倒そうとでも言うのか？　いいだろう。些か呼ばれずに暇をしていた所だからな。暇つぶしにお前達を殺す！』
　と言いながら、その槍を頭上に掲げる。
　その槍に向けて落ちる、雷鳴と落雷。
　槍に電撃を纏うと共に……その槍を鋭く突き立て、攻撃してくる。
「っ……！」
　と、その一撃をバックステップで躱す麗羽。それに入れ替わるように、凛音がシールドバッシュを先ずは叩き込み、タロット兵に怒りを付与する。
　そして、更に泰孝、ニアラのジャマー二人が雲櫂剣、鏖殺領域を使用し、タロット兵に武器封じ、妨アップを付与する。
　更にスナイパーの惡人、鏡花がオーラキャノンと黒死斬を叩き込んで行くと、更に嘉哉がクラッシャー効果で攻撃力を倍加した上でのレーヴァテインを叩き込んで行く。
　そして、次の刻。
『お前らの実力はその程度かぁ？　ほらほら、もっと気合い入れて見せろ！』
　と、何処か灼滅者達を挑発しながら、その槍で猛プッシュしてくる。
　雷鳴を纏った攻撃は、一撃一撃が強烈で……かなり体力を削る一撃。
　タロット兵の攻撃を、麗羽がカバーリングすると、すぐに、メディックの知信、鏡花の霊犬、モラルがジャッジメントレイと、浄霊眼でのヒールを行い、ダメージの総量を癒していく。
「中々強敵だね。でも……この位では負けないよ」
　と麗羽はタロット兵に言いつつ、反撃のシールドバッシュ。
　凛音が更にグラインドファイアを叩きつけ、炎にその見を包むと更に、泰孝の妖冷弾、ニアラの虚空ギロチンが、タロット兵の武器を狙いすまし攻撃すると、惡人、鏡花がブレイジングバースト、ティアーズリッパーと、更にバッドステータスを追加。
　大量のバッドステータスに苦しみながらも、雷鳴の攻撃を左から、右からと叩き込んで行くタロット兵。
　更に灼滅者達の攻撃は、その巨大なタワーシールドでカバーリングする様にしていく。
　……中々、攻撃力と防御力の高いタロット兵ではあるが、そんなタロット兵の攻撃を知信、モラルが確実に回復しつつ、戦線を維持する様に動く。
　そして。
「おらいくぜぇ！」
　と、惡人がホーミングバレットで大量掃射し、更に鏡花の封縛糸で封鎖。
　泰孝が更に螺旋槍を叩きつけ、嘉哉も影縛り。
　二人の攻撃に加え、更に麗羽、凛音のディフェンダー陣も、交互にシールドバッシュで怒りを付与してダメージを分散させる。
　そんなタロット兵との戦闘……続く事、十数分。
　かなり激しい、一進一退の攻防が続いていくが……８人が協力し、それぞれの立場を踏まえて動く事で、少しずつ、少しずつ優位に進めていく。
　……そして……二十分程が経過。
　流石のタロット兵も、その動きが鈍り始める。そして……そんなタロット兵に、容赦する事無く攻撃を続ける惡人。
『ちっ……ふざけてんじゃねえ！』
　と怒りの声を上げるが、それに惡人は。
「ぁ？　勝ちゃなんでもいいんだよ！」
　と、悪びれる事無く攻撃を熾烈に叩き込んで行く。
　そして……その惡人のオーラキャノンの一撃が……タロット兵を鋭く撃ち抜くと、がくっと崩れ落ちる。
　……そして崩れ落ちたタロット兵。
　どうにか勝利を得ようと槍を手にし、何とか再度立ち上がろうとするが……それに嘉哉が。
「俺達は負けられないんだよ。さあ……そろそろ終わりにしようぜ」
　と言うと共に、その槍に放つレーヴァテイン。
　その一撃が、タロット兵の体力を根こそぎ削り落とすと共に……タロット兵は、其の場から崩れ落ちた。

●危機は逸す
　そして……タロット兵を倒した灼滅者達は、取りあえず息をつく。
　灼滅者達も、長期戦を受けてもうかなり体力が削れており……中々に厳しい状況であるのは間違い無い。
　更に連戦を見越し、周囲を確認するのだが……遠くの方に、タロット兵の集団の影を発見する。
「……あれを倒すのは、流石に難しいですかね……」
　と凛音の言葉に、鏡花、ニアラも。
「そうだね。下手に追撃して、大量のタロット兵にボコ殴りされて殺されたら本末転倒だしね」
「有無。退くべきだ。厄介事が迫る前にな」
　と二人がそれぞれ意見すると、それに知信、麗羽、泰孝も。
「そうだね。そろそろ潮時かも。みんな、逃げよう！」
「ああ……仕方ない……撤退するか。敵の主戦力であるタロット兵は殲滅出来たし、他のチームの皆もタロット兵を倒してくれることだろうしな」
「此度の好機、今後のシャドウとの戦に有利な影響を与えると考える。我等の行いし事は、必ずや優位に働く筈」
　と頷き、そして……惡人が。
「うっし。んじゃ、とんずらすんぞ。ほら、急げ急げってなこった」
　と皆の退避を促し、そして灼滅者達は早々に其の場から離脱していくのであった。
　

作者：幾夜緋琉	重傷：なし 死亡：なし 闇堕ち：なし
種類： 公開：2016年11月16日 難度：やや難 参加：8人 結果：成功！
得票：格好よかった 6／感動した 0／素敵だった 0／キャラが大事にされていた 0
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