暗殺武闘大会暗殺予選~暗殺市街

    作者:森下映

     少年は、ただリフティングの練習をしていただけだった。
     しかしその場所が横浜市内の住宅街にある小さな公園であったこと。
     小雨が降り、他には誰もおらず、人目がなかったこと。
     そしてたまたま、ダークネスが通りかかったこと。
     そのせいで、
    「……あ、」
     少年が最後に見たのは、足元に転がるボールが自分の吐き出した血に染まる光景。
     ――ぐしゃり。
     少年は血溜まりに倒れ伏し、二度と起き上がることはなかった。

    「みんな、集まってくれてありがとう。同盟を組んだ六六六人衆とアンブレイカブルが、ミスター宍戸のプロデュースで派手なことを始めたようなんだ」
     須藤・まりん(高校生エクスブレイン・dn0003)が言う。まりんの説明によれば、ミスター宍戸は日本全国のダークネスに対して『暗殺武闘大会暗殺予選』への参加を呼びかけているらしく、その情報は学園でも確認できたとのこと。
    「灼滅者が情報を知ってもかまわないどころか、灼滅者の邪魔まで含めてルール化しているのが、ミスター宍戸だよね……」
     横浜市で行われる暗殺予選では『横浜市から出ることなく』『1日1人以上の一般人を殺した上で』『1週間生き延びれば予選突破』となる。
    「つまりミスター宍戸は、『灼滅者がダークネスの凶行を止めにくること』を予選の障害として設定しているということになるね」
     かといってダークネスに殺される一般市民を見捨てるわけにはいかない。
    「みんなは横浜市に向かって、1体でも多くのダークネスを灼滅してほしい」

     この予選では、ダークネスは灼滅者と戦う必要はない。
    「でも武闘大会に参加するようなダークネスだし、少し煽ってやれば逃げずに戦うものも多いはず。横浜にいるダークネスを全滅させるつもりで頑張って! 頼んだよ!」


    参加者
    花藤・焔(戦神斬姫・d01510)
    橘名・九里(喪失の太刀花・d02006)
    日輪・かなめ(第三代 水鏡流巫式継承者・d02441)
    黒乃・璃羽(ただそこに在る影・d03447)
    空井・玉(リンクス・d03686)
    住矢・慧樹(クロスファイア・d04132)
    深束・葵(ミスメイデン・d11424)
    陽乃下・鳳花(流れ者・d33801)

    ■リプレイ


    「なるほどなるほど。ボク達も高く買われたもんだね」
     陽乃下・鳳花(流れ者・d33801)が言う。
    「要は8割倒すことを期待されてるんだよ。モテる立場は嫌だねー」
     鳳花は、にゃ? と小首を傾げた猫の頭を撫で、
    「ま、悪趣味な企画を立てた奴はもっと嫌だけどさ」
    「本当に。悪趣味な催しですね」
     地理情報を提示し、花藤・焔(戦神斬姫・d01510)が言う。
    「以前の密室事件の拡大版ってところかな」
     我是丸を傍らに、深束・葵(ミスメイデン・d11424)。
    「閉鎖空間での殺し合いなんざなかなかニッチなツボを押さえてるけど、こと現実世界では全て後手に回ってしまうのが痛し痒し。か」
     それを聞き、ぶんぶん丸にまたがって地図にチェックをいれていた住矢・慧樹(クロスファイア・d04132)のペンを握る手に、思わず力がこもる。
    (「一般人を無差別に殺し回るゲームなんて」)
     慧樹のこと、当然こんなゲームには嫌悪感があり、
    「……せめて、1人だけでも必ず倒す!」
     誓えばその手首で、enupur haramの文字盤に現れたトカゲが時刻を告げた。
    「こちらを駒扱いするつもりのようですが、そうは上手くいきません。食い潰してやりましょう」
     焔が言う。昼間は調査に当てる。空井・玉(リンクス・d03686)は、シンプルな黒の機体に青いラインの走るクオリアのエンジンをかけた。
    (「結局の所今回もアレか。要は勝った方が正義だ、と」)
     首元には愛用のゴーグル。黒く染めていたこともある淡い青の髪に縁取られた表情は淡々と変わらない。
    (「ダークネスが人を殺すのは彼らにとって自然な事の筈」)
     人と人でさえ各々考えが違う。種族が違えば尚更だろうと怒りや非難する気はないが、とは言え理解まで。許容までする気もない。
    「捨て置く訳にもいかないな。力尽くでどうにかするしか」
    「悪い子はいねーかー? なのです!」
     もちろん見つけたらノックアウト! 戦闘用に作られた巫女服に身を包み、力強く拳を握る日輪・かなめ(第三代 水鏡流巫式継承者・d02441)。
    「では調査中は、離れ過ぎない様に致しましょう」
     橙色の頸巻布を風に遊ばせ大きめの丸眼鏡をずり上げる。橘名・九里(喪失の太刀花・d02006)。
    「人通りの少なさや、私達の隠れやすさにも気をつけてみます」
     黒乃・璃羽(ただそこに在る影・d03447)が言った。タイトな黒の戦闘装束に溶け込む程黒く長い髪。
    「公園と、地元の人が使う抜け道なんかもよさそうですね」
    「成る程」
     九里は度の入っていないレンズの向こう、首元の布と似て橘の実の色を映す瞳を細めて笑う。
    「うん、こーやって地道に足で稼ぐというのもなかなか斬新!」
     鳳花が言った。
    「これが暗殺予選なんかじゃなければ、ぶらりと良いスポットを探す旅……てな気分で行けるんだけどね」
    「其の通りで御座いますね」
     笑みを崩さず九里が言う。だが下駄の音は期待を鳴らし、口角は嬉しさを滲ませる。
    (「暗殺武闘大会……なら僕も、遠慮無くダークネスを暗殺させて頂きましょう」)
     内心、嘗て故郷の村人達を全滅させた六六六人衆との邂逅を期待するが、
    「……まァ誰にせよ愉しませて頂くだけですが、ね」


    「やっぱり昼間は出くわさなかったなー」
    「予定通りこれからね」
     慧樹と葵が言う。調査結果を元に捜索場所を絞る作業。
    「未解決事件があった場所はいくつか行くことができたけど、断末魔の瞳で見るには発見が遅すぎた事件だったね」
     鳳花が玉の方を見た。玉は頷き、
    「まあ暗殺となると被害者の目に映らない可能性も高いしな」
    「公園はいろいろあったのです」
     かなめが地図を広げる。璃羽は自分の地図と見比べながら、
    「抜け道を描き足していいでしょうか」
    「どうぞなのです」
    「身を隠す事を考えますと、路地は適して居りますね」
     眼鏡をずり上げつつ、九里も覗き込む。
    「聞き込みだとこのあたりは元々治安が悪いそうだ」
     玉が印をつけた。
    「元々犯罪が多い場所なら目立たないと考える可能性はあるな」
    「そうですね……」
     璃羽は改めて地図を眺めている。
    「何か気になることでも?」
     焔がたずねた。
    「いえ、自分が参加者ならどこを狙うかなーと……私ならここですね」
     璃羽が指差した。


    (「まさしく逢魔が時ってヤツだな」)
     慧樹はぶんぶん丸と待機している。
    (「せめて1人でもやっつけたいケド……!」)
     帰宅ラッシュが終わった時間帯。璃羽の推薦はカップルが集まることで有名な公園。しかも路地を通らないと行くことができない。
     但し皆物陰頼り以外に身を隠す算段はなく、一目みれば判別できる灼滅者の囮は役目は果たさない。その為路地の入り口側は避けざるを得ず、公園側で待機する。やってきたカップルはいたが異様な雰囲気に長居する者はいなかった。
     と、
    「♪」
     路地へ誰かが踏み込んだ。 
    「いるかないるかな〜♪ オレえにぴったりのカップルちゃん♪」
     軽薄な顔がランプに照らされるより早く、
    「『Release』――行くよクオリア」
     クオリアに騎乗した玉に、
    「我是丸」
    「ぶんぶん丸! 頼む!」
     ライドキャリバー達が向かう。男は足を止め、
    「あれえ灼滅者かよ。なんだっけルールにあったような? 物覚え悪いんだよねえオレえ」
     どうやらルールを理解していないらしい。
    「とりま関係はあったか? 行っとくかあー」
     逃げるどころかこちらへダッシュ、ぶんぶん丸と我是丸を妙に柔らかい身体の動きで軽々と避けた。が、
    「轢いて潰す」
    「うわーお!」
     クオリアの突撃はまともに喰らう。その間に玉はクオリアから飛び降り、荊の文様が刻まれた朱の碑、Auge Apocrypha Phaseを構えるが、男の姿は予想した場所にはなかった。
    「いって〜」
     男は、CGのような滑らかさで地面上をくねるように抜けてくる。
    「いっきますよー!」
    「お?」
     男の上、ひらめく緋袴と、『風の車輪』。
    「水鏡流……雨龍鵬ぉぉぉ!!」
    「うっわ!」
     其は旋風を繰りて地を駆ける、かなめが男の顔面へ垂直落下、蹴り潰した。だが、
    「はっ!」
    「おっしいー」
     男は潰れた顔を片手で押さえたまま、察しすぐに飛び退いたかなめに笑ってみせる。男は瞬時にもう片方の手で手刀を放っていたのだ。かなめの巫女服の表面が一文字に切れており、青紫に泡立っている。
    「みなさん注意なのです! 毒なのです!」
    「ご名答〜」
    「それにさっきの動き……」
    「ぷ、そんな見つめられたら照れちゃうなーオレえ〜あ、じゃあ特別に何て呼ばれてるか教えちゃうね! えっとねー」
    「さては毒蛇なのです!」
    「やっべ! オレえの名前しってんの?!」
    「びっくりするほどありがちなのです!」
    「ひゃー運命的じゃんやばいじゃん、つきあっちゃう? オレえとリア充しちゃう?」
    「お断りなのです!」
    「エー。だってオレえカップルの片っぽだけもう片っぽが見てる前でぶっころしてやんのが好きなんよね。でも君らそういう感じじゃないしー」
     毒蛇は、毒に染まった人差し指をかなめに向け、
    「それなら君とリア充してー、君をぶっころしたらいいかなって。あれえ、そしたらオレえ今までの奴らみたいに泣き叫んだりしなきゃダメー?」
     ぐにゃりと身体を折り曲げ笑い出した。
    「気い狂っちゃった奴とかいたよなー。うわなんか楽しみだよオレえー」
    「変態で何よりです」
     浮かべた光輪へ、這い登らせた影をじっとりと宿らせながら璃羽が言う。
    「あっ! 思い出した!」
     毒蛇が突然上体を起こす。
    「オレえ君らに捕まっちゃいけないんじゃん!」
    「その上バカだったかー」
     鳳花は呆れたように言いながら、エアシューズを走らせ、回り込んだ。
    「だいたいこんな大会に参加する時点で程度が知れますね」
    「あーのーねーカワイコチャンたちいー? オレえはねー」
    「逃げずに戦って下さいな」
     わざと大きく立てた下駄の音に、毒蛇が振り向く。
    「僕に、貴方の歪む顔を見せて頂きたく」
     草臥れた紺飛白の着物の袖の片方は、異形化した腕を孕み。その指で眼鏡を押し上げながら九里は試すように毒蛇を見返した。
    「へえ」
     毒蛇はヒュウと口笛を吹き、
    「アンタマジで灼滅者? てか変態?」
    「それはお前だ」
     玉が今度は確実に手ずから改造した朱のモノリスで狙いをつける。さらに、
    「俺も相手してやるぜっ!」
     明慧黒曜を徐々に速く回転させながら間合いを詰める慧樹。
    「逃げんなよ!」
    「やだなータゼーにブゼー?」
     毒蛇がボリボリ潰れた顔を掻くと肉片が落ちた。
    「よし! 1人ぶっころして諦めてもらおう!」
    「なんの! 燃えますね!」
     鎌首をもたげた蛇そのものの構えをとった毒蛇に対し、怯まず神器を携え、自分もスタンスを前後広めにとるかなめ。
    「そ? じゃー遠慮なく、」
    「させるかっ!」
     慧樹が回転する槍ごと毒蛇へ突っ込む。身体を捻り避けようとした毒蛇だが、焔の放った黒いバンテージが背中を、白銀に揺らめく帯が腹を、同時に貫いた。
     猿神纏う帯衣は見る者全てを穢れなき夢に誘う……というが、
    「愚者でも夢を見るのかのぅ」
     薄紅の唇で葵が言う。そして一瞬の隙、懐へ入り込んでいた九里が毒蛇の半身へ鬼の腕を振り下ろした。グシャリと骨が潰れた音ごと毒蛇は、慧樹の槍の回転に巻き込まれる。
    「っわー、さすがに、っ、ハラ立つわー」
     回転する槍を介して睨み合う慧樹と毒蛇。
    「1人ぶっころせばあとは見逃してやるっていったんよオレえ!!」
    「くっ!」
     毒蛇が噴き出した毒の霧を耐える慧樹。前衛の数の多さに威力はそれ程ではなく、またライドキャリバー達が庇いに飛び込んだため、毒を受けた攻撃手は璃羽のみ。その璃羽も手の甲が毒で変色しているのをチラと見たが、それだけ直ぐに毒蛇に向かって駆け出した。そこへ鳳花はブレードで併走、
    「行くよ!」
     細身で小柄な身体を空中で存分にしならせ、妨害を受けない位置から帯の群れを向かわせる。猫も尻尾のリングをぴかと光らせた。
    「他人のルールでしか動けない弱い人は大人しく倒されて下さい」
     白い帯が少しずつ外れ、黒揚羽試作改の姿に戻りつつ、璃羽が言う。
    「は、オレえが簡単に捕まるかよ」
     毒蛇はぐに、と上半身から身体を真横に折り曲げた。
    「さて、どうでしょう」
     表情を変えず璃羽が言う。瞬間流れ出す聖歌。
    「忘れてもらっちゃ困るね」
    「! う、」
     玉の十字架から撃ち込まれた光の砲弾に毒蛇が凍りついた。直後黒に染まりきった璃羽の光輪がバキリと氷を砕き散らし、氷の破片に交じり血と毒が飛ビ散る。と、毒蛇は目をつり上げ、
    「てめ誰の前でも腰くねらしてんじゃねえよ! オレえ馬鹿にしてんのかこの毒蛇女!」
    「……類友ってやつ?」
     笑いをこらえる鳳花。
    「わりに可愛いトラウマでしたね」
     璃羽が言った。未練がましく怒る毒蛇へ、かなめは双掌構え強大な神気をため、
    「水鏡流が発勁の奥義!! 天地神明ッ!」
    「ガ!」
     其は神明を宿して邪を祓う。叩き込まれた気に毒蛇は真後ろへのけぞり、口から血と毒を吐き上げる。そして、
    「っざけんな、 ……!」
     かなめへ手を伸ばそうとした途端、体内で起きた気の爆発に、今度は赤紫の液体は地面へ溜まった。
    「くっそ……消えうせろおおお!」
     叫び声を上げ、毒蛇はいくらか回復した顔で睨みつけた。
    「そうこなくては」
     眼鏡をずり上げた九里の首元、橘花布が獲物を狙い、浮き上がった。


     日の落ちた路地、持参の照明2つと公園側から漏れる明かりを頼りに戦闘は続いていた。
     自分をかばった我是丸が、毒に蝕まれ溶けるように消滅し、葵は僅か目を細める。だが動きは止めることなく、黄金色に煌めく回転砲、猿神鑼息で狙いをつけた。
     発せられた轟音、稲妻の如し。柔軟性を駆使して避け、相殺しようと試みる毒蛇だが、連射される弾丸に次々撃ち抜かれる。
    「斬り潰します」
     続き焔が、緋色の巨大な刀身を毒蛇の上に振りかざした。しかし既に毒蛇は地面を這い抜け、焔の足元から逆に狙いをつける。
    「危ない!」
     ぶんぶん丸に騎乗した慧樹が飛び込んだ。慧樹の片足が深く斬り込まれ、血と毒が弾ける。しかし耐えてこそ盾役とばかり、慧樹は槍の妖気から作り出した氷弾を毒蛇へ落とした。
     焔はその間にバックステップ、璃羽が影に毒蛇を飲み込ませ、再び毒蛇女を出現させた所で、改めてイクス・アーヴェントを振り下ろす。
    「ギャア!」
     半身裂けるほどの一刀を受け、毒蛇は回復のタイミングをはかる。
     分かり合えていなければ連携は難しい。勝負を決めるチャンスを幾度か逃すが、逆にそれをカバーするだけの速攻が戦線を支える。
     クオリアに跳ね飛ばされた毒蛇の身体へかませるように、玉が十字架で殴りつけると同時、
    「隙有りィ!!」
     かなめが異形化させた腕を振り上げた。
    「必殺!徹甲爆砕拳ッ! ……なのですッ!」
     ぐしゃりと再び顔が潰れた。消えた視界を逃すはずのない狂刃が1人、呪い紡いだ漆黒の鋼糸を、遊ぶようにふわり、毒蛇の身体にかける。
    「は、こんなもの、」
     毒蛇が糸から身体を抜こうと動いた。が、後ろ、
    「えーいっ!」
     回復は十分、鳳花がブレードと揃いの白い縛霊手で毒蛇の頭を殴りつけ、がしりと掴む。片目で毒蛇が見たものは、外側へ向けて僅か動かされた両手の指。締め付けられた糸に斬り裂かれ、自分の身体から飛び散った血と毒。服と眼鏡に飛び散ったそれを拭おうともしない九里。灼滅者達は着実に毒蛇を追い詰めていく。
     猫がリングを光らせ、鳳花が帯を飛ばした。帯が解けるが早いか全身から炎を噴き出し、槍へ宿した慧樹は、
    「真っ黒に焼き付くしてやるぜっ!」
     ぶんぶん丸に足を止めさせ、毒蛇へ炎を叩きつけた。
    「あ、ぐ、……!」
     深手と炎によろめく毒蛇の内側に残った魂さえも、月刻まれた刀身に破壊され。、毒蛇はばたりと倒れ、玉は銀の剣を静かに納める。
    「参加者の中で、もっと強い人を知ってますか」
     見下ろしながら璃羽が言う。
    「教えてくれたら見逃してあげます」
    「強いって、げっほ、オレえより、っ、そんな奴、いんの、がはっ、」
    「序列も知らないんでしょうか。まあ馬鹿じゃ仕方ないですね」
    「はあ、なにいっ、」
    「さようなら」
     胴体を切断する一撃。
    「予選敗退ですねェ……御休みなさいませ」
     霧散していく毒蛇へ、九里が大袈裟に会釈した。
    「10分休んで次だね。怪我手当するよ」
     鳳花が言う。周辺を警戒しつつ休憩をとり、灼滅者達は次の捜索へ向かった。


    「時間切れですね」
     九里が言った。予選期間が終わったのだ。
     初日から毒蛇が現れた通り場所の選定は良かったといえる。だが余りにも彼らは目立ち過ぎていた。ルールを理解している敵だったら初日も逃していたかもしれない。璃羽の考えていた通り、日が経つにつれ隠密性の高い暗殺になっていった一方で、捜索方法は甘かった。
     1人は灼滅できた。が、慧樹の表情は厳しい。各々思いを胸に、横浜を後にした。

    作者:森下映 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年11月24日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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