暗殺武闘大会暗殺予選~潜む狩人たち

    作者:叶エイジャ


     横浜市内。
     その、どこにでもありそうな路地裏を、少年が走っていた。
    「あ、スンマセン」
     バイト帰りのその学生は、前方から現れた人影に軽くぶつかってしまう。
    「別にいいよ」
     そんな返事があった。
    「死んでくれればね♪」
     ――は?
     その言葉に、少年が振り返ろうとした時には、彼の首筋から鮮血がほとばしっている。
     何が起きたかもわからず、少年は絶命した。
     倒れた死体も、そこから流れる血も、路地に広がった影に吸われて飲み込まれていく。
    「楽勝楽勝。今日のノルマたっせー」
     人ひとりの存在がこの世から完全に消え去った路地裏で、六六六人衆が嗤った。


    「横浜市内を舞台に、暗殺武闘大会っていうのが開かれているらしい」
     神崎・ヤマト(高校生エクスブレイン・dn0002)は、そんな前置きから話を始めた。
    「六六六人衆とアンブレイカブルが同盟を組んだってのは、もう知ってるな? 暗殺武闘大会っていうのは、ミスター宍戸が日本全国のダークネスに『プロデュース』したものらしいぜ」
     扱いは「武神大戦に勝るとも劣らない、ダークネスによる武闘大会」というものらしく、日本各地から名をあげたいダークネスが集まってきているようだ。
    「今は予選の段階で、参加を呼び掛けている……問題は、灼滅者も情報を普通に見れるってとこだな。ミスター宍戸は、灼滅者が介入することも含めてルール化しているみたいだ」
     提示されている予選突破の条件は、「横浜市から出る事無く1日1人以上の一般人を殺し、その上で1週間生き延びること」となっている。
     ダークネスにとってあまりにも簡単なこの条件は、灼滅者を予選の障害として設定していると見て、間違いない。
    「利用されているようだが、むざむざ一般市民を見捨てるわけにはいかない。
     お前たちには、横浜市でのダークネス灼滅を頼みたい」
     暗殺予選のルールでは、先述の1日1人以上の殺人や横浜市外に出ないことを上位六六六人衆や密室殺人鬼によるチェックがあるらしく、ごまかしができなくなっているらしい。
     加えて、灼滅者が灼滅しに来たら、頑張って生き延びろとの旨が記載してあるそうだ。
    「予選通過の条件だが、一週間生き残ること以外には、『灼滅者によって予選参加者が二割まで減らされた場合の全生存者』だそうだ」
     ミスター宍戸に利用されるというのは癪だが、とヤマトは呟き、灼滅者たちを送り出した。
    「ダークネスは、灼滅者側と戦う必要性は考えていないだろうが……自分の力に自信を持ってるヤツも多いだろう。少し煽ってやれば、逃げずに戦闘するヤツも多いだろうな」


    参加者
    橘・彩希(殲鈴・d01890)
    雨月・葵(木漏れ日と寄り添う新緑・d03245)
    柳瀬・高明(スパロウホーク・d04232)
    槌屋・透流(ミョルニール・d06177)
    備傘・鎗輔(極楽本屋・d12663)
    霧島・サーニャ(北天のラースタチカ・d14915)
    深草・水鳥(眠り鳥・d20122)
    白石・作楽(櫻帰葬・d21566)

    ■リプレイ


     ギィンッ!
     甲高い音を響かせ、坂の上で鋭い刃がぶつかり合う。
    「ウククク。愚かだよォ、お嬢さん」
     ホッケーマスク越しに嗤う六六六人衆が、チェーンソーを起動させた。激しい刃の回転が巻き起こり、受け止めた灼滅者の日本刀を押し込んでいく。
    「くぅ……!」
     霧島・サーニャ(北天のラースタチカ・d14915)は、相手の剛力に全力で抗った。だが飛び散る火花ともども、迫る刃は着実に近づいてくる。
    「この私、坂道の殺人鬼『ボーヒーズ』からよくも……よくも子どもを連れ去ったなぁ!」
    「あんな幼い子を、殺させるわけにはいかないでござる!」
    「うるさい! 殺してやる! 殺してやる!」
    「!」
     チェーンソーが振り切られ、サーニャの利き腕を裂いていった。痛みに呻く間もなく、強烈な蹴りが彼女の身体を蹴り飛ばす。
    「私の子どもォ、可愛くて柔らかい子どもをォ、グチャグチャにしたヵったのにィ!」
     坂の下まで転がり落ちたサーニャは気合いで立ち上がった。ここで倒れれば、この殺人鬼は逃がした子どもを追いかけていくに違いない。
    「あの子の前に、お前が死ねぇ!」
     耳障りな音を響かせ、坂を駆けおりてくるボーヒーズ。その身体を『制約』の魔弾が撃ち抜いた。
    「サーニャさん、無事ですか!」
     サイキックを放った雨月・葵(木漏れ日と寄り添う新緑・d03245)が、今度は縛霊手で殺人鬼を牽制する。
    「子どもは……安全な場所に!」
     深草・水鳥(眠り鳥・d20122)は震える声を必死に歌声に変える。旋律の中のサイキックがチェーンソーによる傷を癒していく。ボーヒーズの黄ばんだマスクから呻き声が漏れる。
    「灼滅者がまだいただと!?」
    「認識不足のようね」
     六六六人衆の狼狽に、橘・彩希(殲鈴・d01890)は鈴を転がすような声で笑った。
    「私たちは――少なくとも私は、誰かを守るより、貴方みたいな人を狩ることを優先しに来ている。始末するのに確実な戦力で動くに決まってるものよ?」
    「ここで終幕だ、坂道の殺人鬼とやら!」
     彩希と連動し、白石・作楽(櫻帰葬・d21566)がダークネスに肉迫する。一対一では余裕のあった六六六人衆も、多人数相手では勝手が違うようだった。チェーンソーを振り回すも作楽がものともせず鬼の巨腕で殴りつけ、彩希がその隙に死角に回り込み、手にしたナイフで斬りつける。
    「ひっ……おのれぇ!」
     軽やかで素早いナイフにマスクの一部を斬られ、ボーヒーズは坂を駆け上がって逃走に移る。
     だが、爆音を響かせ現れたライドキャリバー『ガゼル』がその行く手を阻んだ。
    「逃がさねぇよ」
     ガゼルから降りた柳瀬・高明(スパロウホーク・d04232)が、素早く間合いを詰める。
    「師匠」
    「ああ、頼んだ!」
     槌屋・透流(ミョルニール・d06177)の意を汲んで、高明が炎の蹴りを放つ。避けようとしたダークネスは、その寸前に撃ち込まれた透流のダイダロスベルトに肩を貫かれ、動きを縫われた。
     絶妙のコンビネーションが成立し、坂道の殺人鬼を炎の蹴りが蹴り飛ばす。
     それは、先ほどサーニャがやられた時の再演。ただし今回は結末が違う。
    「これでトドメだね」
    「鎗輔殿に合わせるでござるよ――ジェイソンリスペクトのダークネス、覚悟!」
     備傘・鎗輔(極楽本屋・d12663)が白光に輝く大型のカタールをかかげ、サーニャの雲耀の刃がそれに続く。
     二つの斬撃が、六六六人衆に滅びを与えた。


     暗殺武闘大会――。
     その予選の舞台となった横浜市内では、ダークネスによる一般人殺害が行われている。
     表沙汰にはなっていないが、被害者はかなりの人数になるはずだ。
    「なんで宍戸が絡むとこうも悪趣味になるかな?」
     鎗輔の当然とも言うべき疑問に、高明も普段の陽気さの奥に怒りを見え隠れさせている。
    「チッ、どうしたって人間巻き込みやがって……人の命を使い捨ての道具としか思ってねえのか!」
    「師匠、落ち着いて」
     静かにそう言う透流も、今朝がたの探索で見つかった犠牲者の無念は晴らしたいと感じていた。
    「サーニャさん、先日の負傷は問題ないだろうか?」
     作楽が話題を変えるように問うと、サーニャは「問題ないでござる」とうなずいた。
    「でも、あの時のように間一髪で間に合うのが一名、なんて場合は気をつけないとね」
     彩希の言葉に、葵も悩ましげに同意した。
    「うん。思わぬ負傷を負ってしまう可能性もあるからね……特に、後半になるほど生き残ったダークネスも強かでしぶといってことになるし」
     それでも、できる限りダークネスを確実に発見・灼滅していくしかない。葵としても今回の敵側の方策等に気になることは多いが、一般人を殺害を続けさせるわけにもいかなかった。

     灼滅者たちが横浜市内に来て、今日で四日目になる。
     現在までに遭遇・灼滅したのは、二日前に戦ったボーヒーズのみ。
     ミスター宍戸をはじめとする運営側は、灼滅者たちの動きに気付いていないのか、それとも公式ルールとして放置しているのか、ネット上の情報に更新などは無いように思える。
    「……次は、この周辺を」
     聞き取れないくらい小さな声で水鳥は呟く。目の前には立体駐車場があった。
     息を吸ってプラチナチケットを発動すると、警備員に話しかける。
    「ああ、これはご苦労様です」
    「中へ入るけど、問題ないわね?」
    「ええ、もちろん。ああ、オーナーさんも来てますよ」
    「そう。挨拶しておくわ……はぁ」
     演技を終え、水鳥は気が抜けたのかふにゃーっと元に戻る。
    「けっこう大きな駐車場だから、見落としが無いよう探そう」
     鎗輔が霊犬を高く放り上げる。五階分の高さまで上がって落ちてきた『わんこすけ』をキャッチして、鎗輔は訊いた。
    「オーナーっぽい人はいた?……四階か」
     鳴き声の回数で判断する。
    「すごいやり方だね」
     葵が笑う。ウイングキャットの遥陽が「もしかして、投げる……?」と目で彼に尋ねるが、「大丈夫、投げないよ」と苦笑する。
    「……琥界」
     作楽が見ると、ビハインドは霊犬がキャッチされた形――お姫様だっこがしたかった様子。これには「はいはい、横浜市から出たらね」とお茶を濁す作楽。万一実行されたら、恥ずかしすぎる。
     とはいえ、ここにガゼルも加えた四サーヴァントの協力で、灼滅者の探索方法の幅はかなり広くなっていた。
     まず繁華街周辺で、少人数が入り込みやすい場所等に重点を置いた。
     次に地図情報等を参考にしながら、サーニャが空飛ぶ箒&闇纏いによる上空からの探索も実行。見落としがないように、観光情報や葵のぶらり再発見をも駆使する。これらの捜索方針と方法で、結果的に優れた効率で探索を行えることになった。
     加えて、単独行動や複数の敵との戦闘は避けるようにも留意していた。先の六六六人衆との戦いも、接敵こそ差が出たとはいえ、二人目の到着まで一分前後のタイミングだ。
    「駐車場にオーナー。何しにくるんでござろうか?」
    「さあ」
     一階、二階と異常がないことを確認し、灼滅者たちは三階へ。
     サーニャの疑問に、透流は少しばかり沈黙してから答える。
    「メンテナンスとか、自分の車の整備、とか?」
    「オーナーなら高級車でも置いてそうでござるなあ」
     三階の探索も終わり、四階への傾斜を登る。
    「ふぅ……結構きついわねぇ」
     その途中で呟いた彩希に、高明は手を差し伸べる。
    「キツイなら手を貸すぜ?」
    「まあ。ふふ……ありがたいけど、この一週間の長丁場のことよ?」
     苦笑して「体力がないから」と言う彩希。
     四階にも、異常はなかった。
     というより、誰もいない。
    「オーナー、さんは?」
    「五階に行ったのかな……不自然だけど」
     水鳥と葵の目前には、扉やボンネットの開いた高級車があった。近くには工具箱もあり、今しがたまで誰かが整備中だったようだ。
     おそらくはオーナーのものだろう。
    「人気がないからって、置きっぱなしでどこかへ行くのも怪しいねぇ」
     鎗輔が油断なく周囲を観察した、そのとき――、
    「おい、人の車に何をしてるんだ!」
     怒った声で、五階から男性が降りてきた。真っ赤になって近づいてくる。
    「どういうつもりだ! 警察を呼ぶぞ!?」
    「待って下さい。俺たちは何もしてません」
     代表して高明が言う。男は怒った顔のまま、灼滅者と車との間に割り込んだ。
    「いいから離れろ! 何もしてないだと!?」
     激昂する男は掴みかからんばかりの勢いで。
     だったら放置して行かなければいいのに――灼滅者たちはそう思った。
    「じゃあなんで車が開いているんだ!」
    「――――何?」
     作楽が男の言葉に違和感を覚えた、次の瞬間。
     車の中からの斬撃に、オーナーがバラバラに切り刻まれた。
     斬撃は血風となって真空波を巻き起こし、灼滅者にも見えざる牙をむく。
    「琥界!」
     作楽を庇って琥界が、ほかのサーヴァントも灼滅者たちを守る形で傷を負う。ダメージは前衛にも届いている。
    「あーらら。残念無念、いきなり灼滅者は狩れなかったか」
     破壊された車の中から、一人の男が姿を現れた。


     ダークスーツに日本刀を佩いた男は、嗤いながら奇襲を続ける。
    「車は良いが所有者はイマイチだったな。今はどちらも同じだが」
    「貴様……!」
    「ハハハ、俺の名前も序列も言わなくていいよな? どうせ殺すからな!」
     透流は肉薄してきた六六六人衆にクルセイドソードを叩きつける。しかし勢いは相手にあった。甲高い音がして十字剣が弾き飛ばされる。刀の刃が透流の首筋に迫った。
    「まず一人目!――おや?」
     男が訝しむ。蒼く輝くサイキックソード<Himmelblau>がそれを阻んでいた。
    「なに後輩に手ぇ出してんだ?」
     手にした高明が手首を返し、日本刀を跳ね上げる。男の刀が上方に泳ぎ、刹那、蒼い光が弧を描いた。跳び退った六六六人衆が舌打ちをする。即座に振るわれた刀から真空波が奔り、高明の身体を切り裂いた。
    「おい、一張羅に傷が入ったぞ?」
    「そのまま燃えれば?」
     男の背後から忍び寄り、鎗輔がグラインドファイアを放つ。男は振り返りざま刀身を盾にするが、衝撃と炎は殺せなかった。ダークスーツの一部が焼け焦げていく。
    「高くつくぞ」
    「そっちがね」
     突き出された日本刀と大型カタールがぶつかり合う。膂力に勝ったのはダークネスだ。交差して肩口に突き立った刃を、しかし鎗輔はカタールを手放して掴む。
     男が気づいた時には、鎗輔は至近距離から閃光の拳を連打していた。よろめいた六六六人衆にサーニャのスターゲイザーが突き刺さり、林立する柱の一つに蹴り飛ばす。
    「その命、絶つね」
     すかさず彩希が、笑顔のままナイフを突きこむ。精度より速度を優先させたそれは、しかし男は致命傷に成り得ぬと踏んだのか、防御ではなく反撃に刃を振るった。突き立てたナイフと同数の斬撃が彩希に返ってきて、彼女の服が血で染まり出す。
    「……ほう、斬られても笑顔とは」
    「ええ。だってようやく、貴方みたいな姑息な殺人鬼を狩れるのよ?」
     口の端から血をこぼしながら、彩希は凄絶な笑みを浮かべた。
    「痛みより喜びが勝るわ」
    「面白い。助手席に君の死体を乗せて、ドライブがしたくなってきた」
     ダークネスの手が早まる。彩希もナイフの速度をあげるが、能力では相手が上だった。彩希の負傷が重なっていく。
     ただし、これは一対一の戦いではない。
     作楽から伸びた影が男の足に巻き付き、動きの鈍ったところに琥界が肉弾戦をしかける。連打を受けた男がよろめきつつ笑った。
    「は、羅刹の形骸風情が頑張るな」
    「黙れ、下衆め」
     作楽は蒼き偃月刀から、氷柱の弾丸を放つ。妖冷弾は刀の一閃に砕かれるも、その間に接近した葵の縛霊撃が男を捉え、霊網が動きに制約を加える。
    「今のうちに回復を」
    「は、い……!」
     水鳥の放った符が彩希を癒していく。
     霊犬やウイングキャットを始めとするサーヴァントが回復に回り、盾ともなる彼らに中・後衛がヒールを施す。
     殺意の奔流が駐車場内に吹き荒れようと、斬撃がいかに厳しくとも、灼滅者たちは倒れない。何分戦っても減らぬ彼らに、やがて男が嘆息した。
    「あー、多勢に無勢だったか」
    「……逃がさないよ」
     葵が敵の動きをけん制する。
    「じゃ、押し通るまでだ」
     鞘に刀を納めた男が、殺意をまき散らしながら居合を放つ。
    「負け、ない!」
     巻き起こった真空波に傷を負いながらも、葵の影が男の足に絡みつく。六六六人衆は足の肉ごとその強固な影を断ち切り、駐車場の外へと走った。追いすがる作楽とサーニャが、男との間で斬撃を交錯させ、三者の手傷が増える。
    「貴様は、ここでぶち抜く」
     敵の退路に先んじた透流が、片刃を振りかざした男に立ち向かう。
     斬撃を受けながらも、透流は本命である帯を六六六人衆に射出した。
     そして――。


    「――危ない戦いだったね」
     戦闘を終えた立体駐車場で、鎗輔は集気法による回復を行う。
    「勝てて、良かった……」
     そう言った水鳥自身はまだ軽い被害で済んだが、六六六人衆の奇襲により、ほとんどのメンバーの負傷は心霊手術が必要なレベルになってしまっていた。
    「透流さん、最後は頑張ったと思うが、闇堕ちから戻ったばかりだ。無茶は年長者に任せておくんだ」
     作楽は、透流に傷跡が残ってないか確認しながらヒールをかけていく。
     最後の敵の一撃が、透流に大きなダメージを残していたのだ。
    「うん……」
     透流としては気遣ってくれてるのが分かるので、返事は歯切れ悪いものになる。
    「そうよ。無茶な戦い方はほどほどに、ね」
     彩希が微笑むが、作楽と透流は微妙な顔。サーニャが言った。
    「彩希さんは、無茶よりも無謀だったかも?」
    「そ、そうだったかしら……」
     最年長者が言葉を詰まらせ、女子たちの軽い笑いが起こる。
    「殺伐とした戦闘を和ませる女子たちの笑い……悪くない痛っ!」
     それを見ていた高明は、葵の手当てに苦鳴をあげた。
    「あ、ごめん……それより、今の状況だと連戦はきついかもしれないね」
     葵の見たところ、メンバーは定めた撤退条件こそ満たしてないが、かなり際どい状態だ。
    「同感だよ。強い敵と会ったら、最悪撤退するしかないかな」
     鎗輔の言った内容は、翌日、現実のものとなった。

    『恨みますぅ、祟りますぅ』
     灼滅者の弱っている状況を見透かし、別の六六六人衆が不意打ちを仕掛けてきたのだ。
    『妾は藁・ワラハ。灼滅者は殺しますぅ、鏖しますぅ~!』
     ダークネスが手にした藁人形をちぎるたび、灼滅者の同じ個所が不可視の攻撃を受け、負傷が増えていく。
    「昨日の奴より強いか……これ以上は無理だ」
     サーヴァントが倒れ、戦闘不能者が出てきた時点で敗北は決定となった。鎗輔は殿を務めながら後退していく。
    『撤退ですぅ? また来たら末代まで呪いますぅ!』
     死に装束にロウソク鉢巻の女の声を聞きつつ、灼滅者たちは横浜市を後にするしかなかった。

    作者:叶エイジャ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年11月24日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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