芸術発表会2016~ぼくたちの輝き

    作者:叶エイジャ

     芸術の秋。
     武蔵坂学園の秋を彩る芸術発表会、その準備が始まろうとしてた。
     部門ごとに芸術のなんたるかを競う芸術発表会は、武蔵坂学園の秋の風物詩でもある。
     灼滅者達にとって、最近は大きな戦いが続き忙しい状況ではあるが、それでも自らの芸術を表現し、芸術の秋を楽しむことを忘れてはならない。

     今年の芸術発表会の部門は『写真』『詩(ポエム)』『人物画』『書道』『総合芸術』の5つ。
     芸術発表会に参加する学生は、これらの芸術を磨き上げ、一つの作品を作りあげるのだ。

     芸術発表会の優秀者を決定する11月25日に向け、学生達はそれぞれの種目ごとに、それぞれの方法で芸術の火花を散らす――。

    ●
    「ゲイジュツ、ハッピョウカイ……」
    「いかがなさいました、ご主人様?」
     募集要項を見て唸る大橋・定時(高校生ご当地ヒーロー・dn0193)を、執事服姿の野々宮・迷宵(高校生エクスブレイン・dn0203)が不思議そうに見る。
    「『写真部門』のコンテスト募集ですか?」
    「ああ、うん。ちょっと悩んでて」
    「スポーツの秋、食欲の秋、読書の秋、そして芸術の秋……悩むのもまた青春、どうか思う存分悩んでください」
    「達観しとるな!? でも突き放さんといて!?」
    「ふふ、そんな執事を演じてみました。……なるほど、これですね」
     迷宵は写真部門の要項を見た。

     (1)提出作品は一作品とする(絵による提出も可)。
     (2)提出者は個人であること。ただし被写体に団体は可とする。
     (3)テーマは「大切なもの」とする。

    「察するにテーマでお悩みですか」
    「そうやねん。『大切なもの』ってなんやろなーって思ったら、何を撮ったらいいか、分からんくなってしまって」
    「青春ですね」
    「そ、そうかな?」
    「青春ですとも。たとえばそう、『俺の大切なものってなんなんだ?』と悩んだ少年は幼なじみの少女のことを思いだす。『そうや俺、ずっとアイツのことが……!』走る少年。夕陽に染まった校舎の中で彼女を探して、そして屋上から彼女の背に大声で叫ぶんです――『名前なんやっけ?』」
    「今さら名前聞く!? 幼なじみちゃうんかい!?」
    「……と、そういうベタベタな展開でなくても、探せばいろいろあるのではないでしょうか? 学園で過ごしている中で気付いたことでも、お気に入りの道具でも、ちょっとシリアスな話にしますと、大きな戦いが続いている今だからこそ、灼滅者として戦い始めたきっかけやその変化を見つめ直してみるというのも、アリかもしれません」
    「戦ってる理由や守りたいもの、とか?」
    「はい……でも、友達やクラブの人と一緒に、どんな写真を撮ろうか相談しながらあちこち回ってみるのも楽しいかもしれませんね」
     むしろその行動自体で楽しむ事の方が、大事かもしれませんねと迷宵は笑った。
    「気軽に、みんなで写真撮って回るのも楽しそうやな~」
    「そうですね。では改めまして、青春らしく悩むとしましょうか」


     秋の芸術発表会に向けて催される『写真部門』では、写真を通して芸術を表す。
     写真コンテストの評価は個人戦となり、この授業で優れた成果をあげた人の芸術が、後日(芸術発表会当日)、PTAの偉いさん相手に発表される予定……というものとなっている。
     とはいえ、この場合は評価と同じかそれ以上に、過程も大事そう。
     どんな気持ちで、どんな環境で、どんな写真を撮ってくるのか。
     それは参加する、あなた次第だ。


    ■リプレイ

    ●
    「部長として、写真部門ができたことはすごく嬉しいわ!」
     光画部は「学園生活を思いっきり楽しむ」がモットーの写真部。
     部長のまぐろにとって、今年新設の写真部門は感慨深い。
    「光画部の真価を発揮するわよ! それじゃあ、頑張りましょう!」
     そして各自で写真を撮るべく部員は散開する。

    「自然の中で撮りたいですね」
     いちごは被写体の由希奈とともに公園へ。
    「ねぇ、何で私をモデルにしようと思ったの?」
     いちごの希望に精一杯応えつつ、由希奈はふとした疑問を問う。
    「今回のテーマは『大切なもの』。一番大切な恋人を撮りたいって思っただけですよ」
    「も、もう、そんないいものじゃないよっ」
    「照れて赤面する姿、いただきます♪」
     恥じらう恋人に、いちごがにこりとシャッターを切る。
    「……芸術といえば、ヌードとか撮ってみたくはありますけど」
     健全な青年芸術家、いちごが呟く。
    「ヌード?」
    「え。あ、その、聞こえちゃいました!?」
     目を丸くする由希奈に、失言したと慌てる。由希奈は赤いまま目を伏せた。
    「それは……後で、ね?」
     ナ ン ダ ツ テ!
    「い、いい写真は撮れたので、戻りましょう!」
     心の中で男のサガが暴発する前に、いちごは回れ右をした。

     マサムネの思う「大切なもの」はたくさんある。
     大切な友達、可愛い妹、育ててもらったじっちゃに、ばっちゃ。部長さんや部員。
     そして片思いの、愛するあの子!
     いつ誰が闇堕ちしたり死んだりするかわからない世の中だからこそ、マサムネは日常を大事にしていきたい。
    「よし、行くか。あの子のトコへ!」
     何気ない平和な日常を撮るべく、マサムネは歩いていった。
     その頃、咲哉は学内を歩いて気ままに撮影中。用意したデジカメは真珠に。
    「上手く撮れるでしょうか?」
    「気持ちが大事だよ」
     たどたどしいそのレンズの先には何が見えるのだろう?
     楽しみだ。
    「屋上に行こうか」
     撮影を手伝ったり、階段で猫達と遊んだりしながら、暖かな陽だまりのある屋上へ。
     陽だまりには、遊んでいた猫たちも寝そべってきて。ピクニック気分でおやつを分け合う
     賑やかで穏やかな、そんな時間。
     ふと、振り向いた彼女の自然な笑顔が眩しくて。
     護りたいと、咲哉は思わずシャッターを切った。
    ●
    「けっこう楽しいもんやねぇ」
     千鳥の手には簡易カメラ。撮影技術はないが、それでもファインダーから覗く景色は楽しい。
     いつもの日常。食事の風景や登校の様子。発表会に向けて絵画や書道に向かい合う友人たち。そして自分と同じくカメラを手に被写体を探す姿を撮っていく。
     それは相手も同じらしく、
    「千鳥ちゃん激写だよ!」
    「ゲキシャ!」
     ウサギとファムは、その後も互いに撮り合った。
    「あ、ダメだよ! 自然がイチバン。ポーズ取っちゃ、ダメ!」
    「にひひ、カワイク決めっ、もいいよね」
     霊犬ランクマを頭に乗せて笑うウサギ。指摘したファムも撮られる段にはちゃっかりポーズ。
    「いえーい、ピース!」
    「おーい、クラブ棟に行きやしょう」
     娑婆蔵が手を振って、二人に呼びかける。
    「OK! 事務所の日常をこのD・D・Cで激写するよ!」
    「アタシも! 事務所で喧嘩してるとことか!」
    「過激すぎるものは撮影御法度でござんすよ?」
     苦笑しつつ、娑婆蔵は空を仰ぎ見る。
     ――三下気分で早四年、あっしを支えて下さる方々の有り難い事よ。
     無明の闇から文字通りぶん殴られ、喝を入れられて目が醒めた。
     危うくコケそうになって鮮烈になった『つながり』を思い、娑婆蔵は笑みを浮かべた。
    「であれば……ありきたりやもしれやせんが、こいつが『大切なもの』に他なりやせん」
     撫桐組事務所のクラブ棟と、集う部員達――娑婆蔵はそれを広角で撮影するつもりだった。
     闇堕ちについて考えるのは、彼だけではない。
    「…………」
     律が向かったのは、義妹の部屋。
     鍵のかけられてない部屋は、入れば微かに、涼やかな匂いがする。
     きっと女の子らしい部屋だと、律は思う。
     広くはない室内は、柔らかい色彩があり、綺麗に整頓されている。
     編みかけの編物が入ったバスケットに、千代紙の栞が挟まれた文庫本。
     クッションの凹みは、義妹がここに居た、証。
     きっと……。
     律はそのままの部屋を、窓からの光とのバランスを考えながら、シャッターを切る。
    『その君だけがいない世界』
     名付けた写真の部屋に、大切な義妹が戻って来る事を信じて。

    (「僕の大切なもの……」)
     徒が考えながら訪れたのは、クラブ『星空芸能館』の一室。
     グランドピアノに瀟洒なテーブルセットが置かれたリビングは、いつも笑い声と音楽に包まれていた。
    「見つけて、迎えに行くから」
     厳しい戦いの末、今も闇と戦い続けている仲間に、徒は誓いを立てる。
     皆が笑って、お茶を飲んだり楽しく歌が響く時間を、
    「必ず……取り戻す!」
     誰も欠けていない幸せな日常、皆が笑っている風景。
     それを思い描きながら、シャッターを切る。
     ここが『帰るべき場所』だ、と。

    ●
    「くらえ恋人パンチ!」
     ぺしん。
     男の史明から女の朔之助へ、ビンタが炸裂した。
    「痛い!」
    「盗撮ダメ絶対! データ消す!」
    「無理、譲れない!」
    「なんで!?」
     右から左へ、左から右へ。二人はカメラを奪取・死守するため自宅前で争う。
     生まれた時から、お隣同士な二人。
     朔之助にとって、どこに行くにもこの場所から始まっていた。
     窓越しに史明と話したこともあった。
     そんな、色んな思い出が詰まった大事な場所。
     だから、家の前を撮ろうとして――そこに史明が現れたのだ。
    「自然体だったし、チャンスだ……ってな?」
    「てな、じゃない」
     しかし史明としても芸術発表会のためと言われれば、受け入れざるを得ない。
    「でも、僕らの家と僕を撮るなら、朔もそこに居ないと完璧じゃないんじゃない?」
     二人揃ってこそでしょ、とブーイング。
    「それに、このまま争って、家族たちに絡まれたい?」
    「ぐ……」
     朔之助はその脅しに屈した。
     その後、道行く人に撮ってもらった写真には、二つの家に二人の人物。
     朔之助は緊張しながらも、照れた表情で史明とともに笑顔を浮かべている。
    ●
     陽桜は、持参したたくさんの写真を並べる。
     父、母、兄、親戚の兄二人にクラスメイト。仲良しだった四人組。
     そして自分が最近撮影した四季折々の景色。
     それら一つ一つに、思い出がある。
     写真の一部は「もう戻れない」ものだ。
    「でも、あたしの中の、あたしを作っているものたち」
     その、すべて。
     自分で壊し、手放してしまったものもあるけれど。
     これからも「あたし」として歩んでいくために大切なもの。
     霊犬のあまおとが興味深げに見てくるのを制しながら、
     陽桜は広げた写真の一つ一つ、そして霊犬の顔も映るように、一眼レフにおさめた。

    「僕と一緒に、夜間飛行に行かないかい」
     浮かんだ箒に腰かけて、マハルは手を差し伸べる。
     くるみはその手を取った。
    「うん、よろしくです♪」
     街の夜景を収めるべく、二人は夜空を飛翔した。
     眼下に灯る輝きは、まるで地上の星空で。その一つ一つが人々の生きる輝きでもあった。
    「綺麗……」
    「ねえ、くるみ」
     空に漂いながら、マハルはその光を見て言った。
    「僕達ががんばって守ってきたこの街。これこそが、大切な宝物だと思うんだよ」
    「うん……どこを撮るか悩んじゃうね」
     夜景に笑顔を見せて喜ぶくるみに、マハルは微笑の中に愛しさを浮かべる。
     ――僕の、大切なもの。
    「きゃっ!?」
     スーパームーンに照らされたくるみの横顔――シャッターの音がしたあとは、その表情が『不意打ちはずるい!』と変化する。
     こっそりマハルを撮ろうとして、先ほどの言葉と夜景を思い出す。
     ――ボクたちの街を守り続けてくれた、マハルさん……。
     瞳に映ったその光景を残したくて、くるみはそっと微笑んでシャッターを押した。
     Dear Hero――そう、名付けて。

    ●
    「写真、悩むよな」
    「そうですね……」
     清十郎と雪緒は言いつつも、すでに方針は決まっていた
     ――これは雪緒の写真を提出するしかっ!
     ――被写体は清十郎しか居ないのです!
     仲の良さは折り紙付きである。
    「問題は提出が一点、か」
    「どんな構図にするか悩むですね」
    「数年がかりで撮り溜めた『可愛い雪緒メモリアル』で圧倒出来ないっ!」
    「!? そそそれはずっと貯蔵品にしてくださいです!?」
    「……そうだな、そもそも俺が楽しむ用だし!」
     雪緒には恥ずかしすぎる発言だ。
    「清十郎がカメラを構えて私を撮ろうとしている構図はどうでしょう? 大切なものに写し写されるみたいな……!」
    「面白いね! 対になる感じで俺もそうしてみようかな」
     内容も決まり早速、砂糖菓子より甘そうな住居にて撮影会を行う。
     できあがった作品に、二人は笑みを浮かべた。
    「今の雪緒の、最高に可愛い姿が撮れたよ!」
    「ふふ、清十郎の写真は宝物なのです」
     清十郎はまたメモリアルが増えたと。雪緒もまた嬉しそうな表情で。
     対になった作品を前に、二人はそっと互いに寄り添った。

    ●
     恭輔とリィザは、校内を散策していた。
    「リィザは絵で?」
    「はい。描くの好きなので……恭輔くんは?」
    「俺は絵は描けないし、写真かなあ」
     そうして話す時間も、リィザには大切なものだった。恋人繋ぎで歩きながら、撮影場所を探す。
     でも結局、着いたのはいつものクラス。
     じき賑やかになる、誰もいない早朝の教室。
     出会った場所。
     ――私の、大切な場所。
     リィザの手が、白地に影の猫を描いていく。
     続いて黒い狼。食いしん坊の竜、天井裏の怪盗。照れ屋さんに寂しがり屋さん、素直になれない黒髪の少女や、その傍らの透明な少年を描く。
    (「そして大勢のはちゃめちゃなクラスメイトにからかわれて笑う、私とあなた」)
    「へえ、リィザの席からはこんな風に見えているんだね……皆が今ここにいるみたいだ」
     見守っていた恭輔が微笑む。
     やがて、登校したクラスメイトに騒がしくなる。
     ――みんな相変わらず、個性的だ。
     明日がどうなるかわからないからこそ、恭輔には、この一秒一秒が大切なものだと思える。
     やがて談笑するリィザの横顔を中心に捉え、クラス全体が入るように写真を撮った。
    ●
    「あれ、みんなも?」
     作品を持ってきた千鳥は、展示用の部屋でクスリと笑った。
    「やっぱり、どれか一個やと勿体無いもんなぁ」
    「そうだね。テーマから思いつくのってイロイロありすぎてさ。いっそ思い切って一つにまとめちゃいました、なーんて♪」
     梟がニッと笑って、彼の作品を示す。
     青空の屋上。よく昼寝をする木陰。大好きな人といられる夕方の部室。
     他にも笑いあう生徒や、今回の発表会で同じように奔走する生徒。
     自分の好きな『青春』を愛用の一眼レフで撮ったものだ。
     それらをグラデーションを揃え、『YOUTH』の文字をモザイクアートで作り上げている。
     題は『青春~2016~』。
    「この学園でできた思い出や場所。一緒に青春を謳歌する全てがオレの大切なものだよ!」
    「俺も、こういう形でしか表現できねぇと思った」
     多岐の作品は、中央に商店街の真正面を据え、外側にいくほど円型にぼやけた風に商店街や、路地、人の写真が並んでいる。
     ピンボケの空や路地を敷き詰めて、全体で更に大きな一枚の風景写真としているのだ。
    「撮る時は、百景の中の一景を切り取るのを信条にしてる。なんだか表の世界と俺たちの世界を表わしてる気がしてな」
     作品名は「日常」だ。
    「人の視覚に似てるかな。すごい」
     こういう撮り方もあるのか、と真心は感心した。
    「私は所属クラブの一軒屋の写真を拡大して土台に、その上に色々貼りつけたよ」
     真心は、学園に来てから仲間と遊んだこと、過ごした時間を想い、写真に撮った。そのどれもが、大切過ぎて選べなかった。
     真心自身は映ってないが、それでも満足そうに微笑んでいる。
    「いっぱい撮れて良かったかな。皆と過ごした日々は忘れられない」
    「ふふ、うちと一緒やね真心ちゃん」
     千鳥はコルクボードに撮ってきた写真を詰め込み、一つの作品にしていた。
    「タイトルは『日々』や……全部は無理やけど、詰めるだけ詰め込んだんや!」
    「これ、授業中の写真か?」
     多岐がそのうちの一つを指差す。授業風景――にしては変だ。
    「う。こっそり撮って、バレて叱られたん」
    「それも青春だね」
     梟が笑った。
    「ウサギちゃんもいいかな?」
     ウサギがそこへ加わる。中央に置いたカワイイ自撮り写真を置き、全体として遠目からは虹色に見えるように写真を配置した作品だった。
    「名付けて虹色の思い出、かな! ウチにとっては、ここでの時間ぜーんぶが大事な宝物だから」
    「これだけ揃うと、展示でもう一つ工夫できそうだな」
     やってみようぜと、多岐が笑みを浮かべた。
    「あの、私たちもいいですか?」
     写真を手にした悠花と、燈が入ってくる。
    「いいとも。どんな写真を撮ったんだ?」
    「私は、やっぱり今年一番の思い出と言ったら修学旅行です。特に青の洞窟で撮った写真は、記念でしたから」
     悠花に続いて、燈が「惚気ていいのか?」と笑う。
    「被写体の女の子、アルルって七つ下の恋人だ。天使みたいに可愛いんだぜ?」
     色々な姿を持っていて、中でも一番お気に入りなのがハーピィだという。
     燈は偶々の経緯で、そんな彼女の写真を撮った。
    「少しぼんやりしてるけど、夜景で大きな翼が、天使みたいに見えるだろ? 俺はこの写真を見ると、傍でずっと、見守ってくれているんだろうなって気持ちになる」
     照れくさそうに、燈は締めくくった。
    「この写真を見るみんなも、自分を見守ってくれてる存在をイメージできたらいいな」
     その時、外から声が聞こえた。
    ●
    「写真部門のみんな、記念の集合写真を撮らない?」
     まぐろは光画部のメンバーの撮影風景を撮った後、そう呼びかけた。
    「みんな真剣に取り組んでいて素敵だし、いい機会だもの」
     写真仲間は、みんなで楽しく過ごすのが一番だ。
    「おっ、まぐろっち部長はみんなで集合写真? いいないいな、そゆの!」
     マサムネも集まってきた人の中に加わる。
    「みんなで! はい! いい笑顔!」
     オートタイマーで、その場の全員が映る。
    「これが、私の作品よ!」
     まぐろが大切な仲間との証に、微笑んだ。

    ●
     選考会議は難航した。
    「みなさん工夫してきましたね。規定は一作品、というものでしたが」
    「はい、一枚で一作品と解釈しない方も多く。各自の感性や技巧を発揮したかと」
    「撮った人の心在り、撮られた対象への見方在り、悩みますな」
     最優秀作品を決める話は、あーだこーだ割れた挙句、
    「何があったのか、フフ、この作品は気になってしまいますね」
     それは朔之助、そして史明の映った写真。

     2016年、武蔵坂学園芸術発表会『写真部門』
     栄冠は、朔之助に授けられた。
     決め手は、ほんのり残るビンタの跡だ。

    作者:叶エイジャ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年11月25日
    難度:簡単
    参加:25人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 8
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