暗殺武闘大会暗殺予選~日常に潜む凶刃

    作者:天木一

    「はぁ……毎日残業で嫌になるわ……。この時期は忙しくて堪らないわね」
     スーツ姿の女性が疲れた様子で夜道を歩く。コツコツと響くヒールの音に混じり、ゴロゴロと前方から引き摺る音が混じった。
     女性の前方からやって来るのは大きなキャリーバッグを引き摺るスーツを着た壮年の男性だった。
     少し警戒しながら女性はすれ違う。その時、ピタリと引き摺る音が止まった。振り向く女性、その首にナイフが突き刺さった。
    「いけませんね。こんな時間に女性が一人で歩くだなんて。まるで殺してくださいと言ってるようなものですよ?」
     驚愕に目が見開く女性に話しかけ、男はナイフをぐいっと押し込み、首を切断した。驚いた表情のまま女性の首が落ちる。
    「さて、人目につくまえに処理しなくてはなりませんね」
     キャリーバッグを開いた男は、手早く腕、足、胴とナイフを走らせ女性を小さく解体し、バッグの中へと詰めていく。
    「ふぅ、これでいいですね。では帰るとしますか」
     汗を拭うような素振りをみせ、男はキャリーバッグをコロコロと転がしてその場を立ち去った。
     女性が殺されバッグに詰められるまで僅か数分の出来事。アスファルトに広がる血の跡だけが残された事件の痕跡だった。
     
    「新しい事件が起きるみたいだね。同盟を組んだ六六六人衆とアンブレイカブルが、ミスター宍戸のプロデュースで派手な行動を始めるという情報が入ったんだ」
     集まった灼滅者に向け、能登・誠一郎(大学生エクスブレイン・dn0103)が事件の説明を始める。
    「どうやら日本全国のダークネスに暗殺武闘大会暗殺予選に参加するよう呼びかけているようなんだ。その情報は公開されていて、灼滅者にも妨害役として参加させようとしているみたいなんだよ」
     その為に隠さずこちらにも情報が伝わるようにしているようだ。
    「横浜市で行われる暗殺予選では、横浜市から出る事無く1日1人以上の一般人を殺し続け、1週間生き延びれば予選突破となるルールみたいだね」
     その妨害役として灼滅者を使おうという魂胆のようだ。
    「大会に参加しているダークネスは、こちらに見つからないようにこっそりと殺人を行おうとしているみたいだね」
     多く殺すのが目的ではない。ゲームのクリア条件を満たす為に殺しているに過ぎないのだ。
    「利用されると分かっていても、放っておけばどんどん犠牲者が出てしまうんだよ。だからみんなにはこの妨害役としてダークネスを倒してきて欲しいんだ」
     敵の思惑通りでも、犠牲が出るなら見過ごす訳にもいかない。
    「こんなふざけたゲームを放ってはおけないよ。ゲームが運営出来なくなるくらいダークネスを倒して、ミスター宍戸の企画をぶち壊してしまおうよ!」
     利用されるだけは面白くないからねという誠一郎の言葉に頷き、灼滅者達はどのように敵を探し、倒すかの作戦を練り始めた。


    参加者
    月翅・朔耶(天狼の黒魔女・d00470)
    ヴォルフ・ヴァルト(花守の狼・d01952)
    天峰・結城(全方位戦術師・d02939)
    早田・篠生(ポジキャン・d09543)
    雪乃城・菖蒲(虚無放浪・d11444)
    ベリザリオ・カストロー(罪を犯した断罪者・d16065)
    千重歩・真斗(白昼夢・d29468)
    雲無・夜々(ハートフルハートフル・d29589)

    ■リプレイ

    ●探索3日目
     横浜市中区は中華街や赤レンガ倉庫と観光地も多く、日頃から人の集まる場所だった。暗殺武闘大会暗殺予選を阻止せんと灼滅者達が参加者の姿を探し初め、1日目は駅周辺を、2日目は住宅街を探して空振り、そうして3日目を迎えようとしていた。
     広く分散しての探索は遭遇時の集合が間に合わないと、すぐに助けに入れる距離で山手周辺を調べ回る。日の光に照らされ瀟洒な洋風の建物が並ぶ山手の辺りは、写真を撮る観光客で賑わっていた。
    「さて、こうも人が多いと見つけるのは大変だね」
     観光客を見渡してヴォルフ・ヴァルト(花守の狼・d01952)が困ったように眉を寄せる。
    「怪しい場所を片っ端から調べていくしかないな。今日は山手の方だったか」
     連日の無駄足に疲れた顔を見せぬように気を張った月翅・朔耶(天狼の黒魔女・d00470)は、それでも地道に探すしかないと人の流れの悪い場所を探す。
    「坂道ばかりだな、歩き回るのも一苦労だ」
     高低差の激しい山道に、雲無・夜々(ハートフルハートフル・d29589)は大きな声で愚痴を吐きながらも、油断なく周囲を警戒する。
     革ジャンにシルバーアクセをじゃらじゃらと下げ、サングラスを掛けて場違いに悪目立ちする天峰・結城(全方位戦術師・d02939)は周囲を威圧するように見渡す。
    「こんな人の多い街で武闘大会とは……必ず阻止しなくてはなりませんね」
     外見に反して真面目な口調で、鋭い視線を向ける。
    「とんでもない企画ですわね、ミスター宍戸……下手なダークネスより厄介ですの」
     ベリザリオ・カストロー(罪を犯した断罪者・d16065)は今回の事件をプロデュースしたミスター宍戸の手腕に、これからの事を考えると頭が痛いと額に手をやった。
    「厄介なおじさんだよね。本当に一般人なのかな……」
     その言葉に同意して千重歩・真斗(白昼夢・d29468)は大きく頷いた。
    「早く見つけて終わらせてしまいますわよ」
     頭を振って髪をなびかせたベリザリオは今日こそ見つけてみせると毅然とした顔で歩き出した。
     古い洋館は店として営業しているものも多く、その雰囲気を楽しむ多くの客で賑わっていた。
    「人通りの多い場所にも死角はあるものです」
    「地図に詳しく載ってない路地も調べてみないといけませんね」
     早田・篠生(ポジキャン・d09543)と雪乃城・菖蒲(虚無放浪・d11444)は人の絶える場所を探して、周辺のマップを見ながら実際の景色と比べていく。

    ●ヨーヨー使いの少女
     敵を探し続けもうすぐ夕方となる頃だった。フードを被った10歳ほどの少女が、ヨーヨーで遊びながら道を歩いていた。棒キャンディを舐めチラチラと物色するように周囲を窺う。幾度も戦いを潜り抜けて来た灼滅者達は、その目に宿る殺意に気づいた。
    「……怪しいな、少し後をつけてみるか」
    「そうだね、今度こそ当たりだといいけど」
     いち早く発見した朔耶がそう仲間に呼びかける。ヴォルフが隣に並び、気づかれぬように距離を保って後を追う。他の仲間たちも見失わない程度に離れて観光客のように振る舞い尾行が始まった。
    「んー今日はどれにしようかなー、お姉さんは昨日やったし、今日はお兄さんにしようかなー」
     少女は一人で歩いているスーツ姿の男性の後を追う。男は地元の人間なのだろう、迷いなく歩く足取りで人通りの少ない裏道に入っていく。
    「ふふっおにーさん、いっしょにあっそびっましょー!」
     少女がヨーヨーをビュンビュンと凄まじい速度で振り回しながら近づく。
    「どうやら当たりを引いたようですわね」
     ベリザリオがそこへ割り込み満月のような盾で受け止めた。ヨーヨーとは思えない衝撃が腕に伝わりガードが弾ける。
    「あはっ、おねーちゃんも遊ぶ?」
     戻したヨーヨーを一度上に伸ばして無防備となった頭に叩き込もうとする。
    「ええ、みんなで一緒に遊びましょう」
     その横から結城が刀を振り下ろし、少女の腕を斬りつけた。
    「え? 撮影かなにか?」
    「ほら、今のうちに逃げな、死にたくないならさ」
     突然始まった戦闘音に振り向いて呆然とする男性を、夜々が威圧して追い払う。そしてすぐに戦いへ意識を戻し、マントを広げてベリザリオを覆い傷を癒した。
    「参ります」
     鋭い踏み込みで菖蒲が十文字槍を突き出し、躱そうとした少女の脇腹を横に伸びた刃が抉る。
    「いったーい、もしかしておねーちゃん達は灼滅者なのかな? リルみつかちゃった?」
     困った顔をした少女はキャンディをぽいっと放り、ヨーヨーを縦横に振り回して近づく灼滅者を弾き飛ばす。
    「まあでも、みつかっても倒しちゃえばいいんだよね、まだまだゲームを遊ぶんだから!」
     六六六人衆の少女リルが手元に戻したヨーヨーから放射状に刃が突き出る。そして無邪気な笑みと共に振り回し始めた。
    「殺人を競い合う事はナンセンスですねぇ、好きな時に好きなだけ殺せばよろしいのですよ」
     背後から篠生が交通標識を振り抜き、リルの足に叩きつける。
    「学園の介入は余興のつもりだろうけど、こんな大会そのまま失敗にしてあげるよ」
     体勢を崩したところへ槍を手にした真斗が氷柱を撃ち込み凍らせ、続いて霊犬のコロが銜えた刀で胴を斬りつける。
    「やったなー! 次はこっちの番だよ!」
     リルが電動鋸のようにヨーヨーを回転させて放り投げる。それを霊犬のリキが仲間を庇って受け止めた。
    「遊び気分の奴には負けられないな」
     朔耶が手を向けると指輪から魔弾が放たれ、リルの腹を撃ち抜き浸透する魔力が体の機能を狂わせる。
    「戦いがゲームなんかじゃないって事を教えてあげるよ」
     ロッドを向けヴォルフが雷を撃ち、閃光が逃げる間も与えずに小さな体を貫いた。
    「君のゲームは今日、この場で終わりです」
     その隙に接近した結城が影を纏わせた拳で掬い上げるように腹を殴り、くの字になってリルが吹っ飛んだ。
    「終わんないよ! まだまだいーっぱい楽しむんだからー!」
     リルはヨーヨーを目も止まらぬ速度で振り回し、周囲の塀を電柱を吹き飛ばしながら近づいてくる。
     その攻撃をリキとコロが身を挺して防ぎ、弾き飛ばされながらもヨーヨーの動きを鈍らせた。
    「まだ3日目だ、長々と戦ってもいられん。さっさと終わらせるとしようか」
     夜々が魔力の籠った霧で周囲を包み、仲間の闘争本能を高め狂戦士の如く猛らせる。
    「小さくともやはりダークネス、ここで仕留めます」
     菖蒲が白き剣を抜き、まるで白蛇のように刀身をうねらせて敵の体に巻き付け動きを封じる。
    「さぁさぁ、こんな大会は中止でございますよ!」
     そこへ篠生が赤い標識を振り下ろし、リルの体を地面に叩きつけた。
    「このぉっ!」
     リルは倒れたままヨーヨーを操り篠生の首を狙う。
    「おいたはそこまでですわよ」
     間に入ったベリザリオがそれを蹴り飛ばして防いだ。
    「ヨーヨーで遊んでるだけならよかったんだけどね」
     真斗は槍に緋色のオーラを纏わせて薙ぎ払う。巻き付いた刃を引き剝がして立ち上がろうとしたリルの足を払い、転倒したところへ背中に穂先を突き入れた。
    「ウソ! リルが負けるなんてないよ!」
     逃れようとリルは這うように駆け出そうとする。
    「逃がさないよ」
     ヴォルフがその眼前に銃弾を撃ち込み足を止めさせる。
    「ゲームオーバーだ」
    「……ウソ」
     朔耶の影が伸び、獣のように下から噛みつきリルの体を食い千切った。小さな体が力なく崩れ落ち息絶えた。
    「これで一体灼滅だな、怪我人もいるし今日はいったん休もうか」
     夜々の言葉に仲間たちも賛成し、灼滅者達は次の日の為に休息を取る事にした。

    ●探索5日目
     連戦を期待した4日目は中華街を中心に回ったが出会う事はなかった。そして今日はオフィス街の本町周辺を探索していた。
    「もう期日も近いですね、残ったのは上手く隠れている相手という事でしょうか」
     菖蒲がすっかり暗くなった周囲を見渡す。もう夜も更け仕事帰りの人が多くなっていた。
    「昨日の中華街ではたっぷり食べてリフレッシュできたし、最後まで頑張らないとね」
     真斗は探索中に食べた食事を思い出し、今日ももう少し頑張ろうと気合を入れる。
     会社帰りの人々が足早に動く中、大通りからずれた細い人気のない路地に、くたびれたスーツ姿の中年男が缶コーヒーを手に、タバコをふかしながら塀にもたれていた。
    「ふ~ん、臭うわね」
     人の中に混じれば埋没してしまいそうな姿。だがベリザリオはそれこそが怪しいと感じて足を止めた。
    「試してみましょうか」
     ベリザリオが目配せすると、仲間たちは頷き隠れる。そして一人で路地に入ったベリザリオが男とすれ違う。何事もなく通り過ぎた、そう思った時だった。男が缶コーヒーを手放すと懐からリボルバー銃を抜き引き金を引いた。プシュッと圧縮した音と共に心臓目がけて放たれた銃弾がベリザリオの腕を貫いた。気配に気づいて体を捻ったのだ。甲高い音が響き缶コーヒーが地面に落ちてアスファルトを濡らす。
    「あぁ、必殺のつもりだったんですがねぇ。あの、もしかしてご同業ですかね?」
     冴えない中年男が目を丸くして銃口を向ける。
    「いいえ、あなたを退治する側ですよ」
     その背後から結城が袈裟斬りに刀を振り下ろす。切っ先がスーツを破って背中を赤く染めた。
    「六六六人衆ではなく灼滅者ですか、見つかるなんてついてない……」
     飛び退きながら銃弾をばら撒く。それをベリザリオが盾を構えて受け止める。だが全ては防ぎ切れずに手足を貫いた。
    「本当に、ここで殺されてしまうなんてついてませんねぇ」
     篠生が標識を横殴りに振り抜き、男の体を塀に叩きつけた。だが男も銃弾を放ち、篠生の腹に鉛玉を喰らわせていた。
    「はぁ、だからこんな人の多い街は嫌だったんですよ。もっと人の少ない場所が好みなんですがねぇ」
     溜息を吐きながらも、男は銃口を篠生の顔に向けて引き金を引く。その銃弾を割り込んだリキが受ける。
    「だったらこんなゲームに参加するべきではなかったな」
     朔耶が影を伸ばして捕らえるように足に噛みつかせる。
    「今さら逃がさないけどね」
     そこへヴォルフが雷を放つ。だが男は銃を撃ち銃弾で雷の軌道を逸らした。
    「おお怖いねぇ、最近の若者は暴力的で嫌になります。はぁ、ついてない」
     男は軽口を叩きながらも足元に銃弾を叩き込んで影を潰し、間合いを開けながら近づかせないように銃を撃つ。
    「私は外道なれば、この役割喜んで承ろう。台本が無い以上好き勝手やるがな」
     夜々がマントを振るうとまるでカーテンのように大きく広がり、弾丸を防ぎながら篠生に巻き付けて出血を塞ぐ。
    「1日中歩いて疲れましたわ、早く終わらせてしまいますわよ」
     ベリザリオが化け物の腕のような縛霊手を振り抜き、鋭い爪で敵を引き裂く。すると霊力が糸のように絡まり敵を絡めとった。
    「ついてないのは、こんなゲームに付き合わされる私達の方です」
     そこへ菖蒲が槍で腹を突き、槍先が背中に突き出た。
    「嫌々はいけませんねぇ、ゲームというのは本気で遊ぶから楽しいんです、命を賭けるとなれば真剣さが違いますからねぇ」
     刺されたまま菖蒲に向けて男が銃を撃つ。槍を手放し菖蒲が避けようとするが、弾丸が足を貫いた。足がもつれ倒れたところへ男は更に弾を撃ち込もうとする。
    「なら本気で灼滅させてもらうよ」
     槍を振るう真斗がその腕に氷柱を当て、銃ごと凍りつかせた。
    「殺しなど特別楽しい事ではありません、ただの作業です」
     結城は刀に影を纏わせ横一閃に斬りつける。胴を斬り裂く刃を、男は骨に達する前に銃身で受け止める。そして引き金を引いて結城の脚を撃ち抜いた。銃口が上を向き腹にポイントする。
    「いやはや、自らの命をチップに賭けるなんて、安い命なんですねぇ」
     するりと間合いを詰めた篠生が標識を振り下ろし、男を電柱まで吹き飛ばした。
    「流石にここまで残ってるだけあって手強いね」
     その間にヴォルフはベルトを伸ばし、結城の足に巻き付け傷を塞いだ。
    「だがそれもここまでだ」
     正面から朔耶の放つ魔弾が男の胸を撃ち抜く。
    「いや~、後2日ですからね。最後まで頑張りますよ」
     男は仰け反りながらも朔耶の胸目がけて銃を連射する。そこへリキとコロが庇いに入るが、いつまでも止まらぬ銃撃に消し飛ばされた。
    「いい加減になさい、街の人を毎日殺すゲームなんて止めさせますわ!」
     ベリザリオが盾を広げて突っ込み、被弾しながらも体当たりで吹き飛ばして射撃を止めた。
    「驚いたな、まだ勝てる気でいたのか」
     夜々がマントでベリザリオを包み込み、弾丸に残った弾丸を押し出し治療を施し、見た目には傷一つ残さない。
    「後少しといったところでしょう、連携なんて一人死ねば簡単に崩れるものですからねぇ」
     最もダメージを受けているベリザリオに男が銃口を向ける。
    「私達の連携を破れるかどうか、試してみましょう」
     菖蒲がその腕に蛇のように動く刀身を巻き付け、引き寄せる。
    「無理だと思うけどね」
     そこへ真斗が槍で斬り払い男の腹から血飛沫が上がる。
    「次はこちらですねぇ」
    「ちょっと待っ」
     続けて篠生が間合いを開けようとする男へ魔弾を撃ち込み、魔力が体を麻痺させる。
    「どうしました? 簡単に崩すのでは?」
     結城が指を軽やかに動かし、鋼糸を操って男の全身を切り刻む。
    「待てって言ってるんですよ」
     男が銃を乱射して近づかせまいと弾幕を張る。
    「勝負の最中に待てと言われて待つ馬鹿がいるか」
    「待ったは無しだよ」
     朔耶の影が足首に食らいつき引き倒すと、ヴォルフが雷を落として衝撃に男の体が跳ねる。
    「もうゲームも後半戦だというのに、こんなところで――」
    「お前に明日は無い、ここで終わるんだからな」
     夜々が男を空へと蹴り上げた。
    「灼滅者に負けるとかありえません!」
    「ダークネスの好き勝手にはさせませんわ」
     銃を撃ちまくりながら落下してくる男へ、下からベリザリオが縛霊手の爪を突き刺す。胸に穴を開け、口からごぼりと血が溢れさせながらもがくが、やがて動かなくなった。

    ●撤収
    「これで2体だな」
    「でもこっちもかなり負傷してしまったか」
     仕留めたのを確認して朔耶が息をつくと、ヴォルフが仲間の傷を確認する。
    「心霊手術でも治療しきれないな」
     治療を施した夜々はヒールがもう残っていないと首を振った。
    「ここまでですかね」
     状況を見て結城が作戦終了を提案した。
    「2体倒せたのですから十分おつりが来るでございますよ」
     それに篠生が賛同し他の仲間達も頷いた。
    「それでは今日は宿で休んで明日帰りましょうか」
     もう夜も更けてきた。菖蒲は連日泊まっている宿に向かって歩き出す。
    「戦いがなければちょっとした長期旅行の気分なんだけどね」
     横浜の観光地に詳しくなったと真斗は笑みを浮かべる。
    「今度は遊びで訪れたいですわね」
     ベリザリオはまだまだ賑やかな街を見渡し、その何処かにだろう潜むダークネスに背を向けた。

    作者:天木一 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年11月24日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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