具現化するコシュマール

    作者:篁みゆ

    ●具現化
    「ん……ううぅ……」
     まだ日は高いが、ベッドに横たわる少年は眠っているようだ。けれども表情は歪み、苦しげに唸っている。
     その少年の身体の上に、半透明の映像が浮かんでいる。その映像の中で少年は、誰に話しかけても口をきいてもらえなくて、孤独に苦しんで隅っこで泣いていた。
     その時、映し出された悪夢がビリビリと引き裂かれて一人の少女が出現した。フリフリの可愛らしいロリータ服を着た少女は、嬉しそうに嗤う。
    「わぁ、実体化できちゃった♪ これで現実世界で私好みの悪夢を作れちゃうの!」
     少女は窓を開けて少年の部屋を出て、ベランダから庭へと飛び降りる。そして家の敷地を出て、あたりを見渡すようにしながら時々目を閉じて何かに聞き入る。
    「聞こえるわ、可愛い可愛い声♪」
     底の厚めの靴で器用にスキップしながら彼女が向かったのは、近くの公園。子どもたちがたくさん遊んでいる。親たちは雑談に興じているようだ。
    「可愛い可愛い声、もっと聞かせて♪ そして大人たちに悪夢を♪」
     少女が放った漆黒の弾丸、そして影が遊んでいる子どもたちを次々に襲っていく。悲鳴と連鎖的な泣き声が公園の喧騒を引き裂いて。母親たちの泣き叫び、パニックになる声が少女の心に心地よく響く。
    「もっと、もっと♪ もっと、もっとなの♪」
     次々と、子供だけを狙って少女は虐殺を続けていった。
     

    「みんな、シャドウ対戦への介入お疲れ様。無事に成功したね」
     灼滅者達を出迎えた神童・瀞真(大学生エクスブレイン・dn0069)は和綴じのノートを開く。
    「今日来てもらったのは、サイキックリベレイターの影響で、デスギガス軍の中でも力の弱いシャドウ達が現実世界に実体化し始めようとしているからだよ」
     実世界に現れたシャドウは現実世界で自由に行動できるという状況に浮かれて、周囲の人間を惨殺したり恐怖を与えるといった行為を行い始めるので、それを阻止してシャドウを灼滅して欲しと瀞真は言った。
    「現れるシャドウは『マリアン』と名乗る、10歳位の少女の姿をしたシャドウだよ。彼女は拓郎君という中学生の少年のソウルボードから現実世界に出てくるよ。時間は午前10時過ぎ、場所は拓郎君の部屋。出現する時間と場所がわかっているから、マリアンが出現するのを待って戦闘を仕掛けることができるよ」
     この日のこの時間、この家には拓郎くんだけのようだ。玄関の鍵は閉まっているが、2階にある拓郎くんの部屋のベランダに面した窓の鍵は開いている。
    「マリアンは悪夢を見ている拓郎君を攻撃はしないようだ。これは、いざと言う時の退路と考えているからだろうね。夢の中に逃げ込まれると灼滅する事ができなくなるので、悪夢を見ている拓郎君からある程度離れた場所で戦闘を仕掛けるのが良いかもしれない」
     マリアンは実体化したあとは拓郎の部屋の窓からベランダに出て、庭へと飛び降りてから家の敷地を出て、公園へと向かうようだ。
    「今回は出現する時間などがわかっているから、その直前にソウルアクセスすれば悪夢の中でシャドウと相対する事もできるよ。ただこの場合、戦闘中にシャドウが実体化してしまうい、眠っている灼滅者の体が一方的に攻撃される危険がある事が予測される」
     その場合ソウルアクセスを中断して灼滅者が目を覚ましても、シャドウが撤退しやすい状態での戦闘となるので、不利になってしまうだろう。
     悪夢の中でうまく立ち回ればシャドウを実体化させずに追い払う事もできるかもしれないが、この場合も灼滅できないので、あまり意味はない。
    「マリアンはフリフリの可愛い服を着ていて、可愛らしい喋り方をするけれど、実体化したシャドウだから弱いとはいえないよ。雑魚でこの強さならば、タロット兵が現実に出てくれば大変な事になるから、タロット兵を倒しておいて正解だね」
     瀞真は告げ、和綴じのノートを閉じる。
    「今後もサイキック・リベレイターの影響で、現実世界に出てくるシャドウが増えてくるだろうね。けれどもこのシャドウ達を順次灼滅していく事で敵勢力の弱体化もできると思うので、できるだけ灼滅していってほしい」
     よろしく頼んだよ、瀞真はそう告げて微笑んだ。


    参加者
    ミリア・シェルテッド(キジトラ猫・d01735)
    各務・樹(カンパニュラ・d02313)
    鴻上・巧(氷焔相剋のフェネクス・d02823)
    新堂・辰人(影刃の魔法つかい・d07100)
    無常・拓馬(カンパニュラ・d10401)
    灰色・ウサギ(グレイバック・d20519)
    牧瀬・麻耶(月下無為・d21627)
    庄治・メアリー(耳はどこかに置いてきた・d33846)

    ■リプレイ

    ●小さなフリフリレディ
     陽が高いとはいえ肌に触れる風は格段に冷たさを増していて、冬模様が濃くなっていることを感じさせる。灼滅者達は時間を確認しつつ、戦場にすると決めた空き地へと集っていた。
     拓郎の家の庭では近すぎる、かといって公園ではマリアンの凶行が心配だと判断し、両者の道中にある空き地でマリアンを足止めすることにしたのだ。
    「……はわ、事前に下見とかした方がいいでしょうか」
     当初公園に向かうつもりだったミリア・シェルテッド(キジトラ猫・d01735)は空き地で戦うと聞いて、ダンボールに入ったままメジャーを伸ばして戦うスペースを測っているようだ。ダンボールに入っているのは人見知りゆえだという。
    「抑圧から解放されるとやりたい放題になるのは人もダークネスも変わらないもんなんだねぇ。逃がさないでここで終わってもらうよ」
     半ば呆れたように呟いたあと強い意志を覗かせたのは庄治・メアリー(耳はどこかに置いてきた・d33846)。ここでマリアンを逃したら公園で楽しく遊ぶ子どもたちが犠牲になり、子を傷つけられた母親も含めた悪夢の光景が実現されてしまう。
    「そうっすね。早速はしゃいでくれちゃってまぁ……夢の中に引き篭もってれば良いものを。まぁ、出てきた以上は仕方ない、逃がさず帰さず、さっさと片しちまいましょ」
     答えたのは牧瀬・麻耶(月下無為・d21627)だ。今にも聞こえてきそうなご機嫌な足音を警戒しつつ、この空き地で決着をつける気持ちは同じ。
    (「そんなに強くはないらしいけど実体化したシャドウと戦うのは初めてだし気は抜けないわね。ひとつずつ、片をつけていくわ」)
     ふたりの会話を耳に挟みながら、心中で若干の不安に似た何かを感じた各務・樹(カンパニュラ・d02313)は、自分に言い聞かせるように心の中で告げて。樹の隣に立つ無常・拓馬(カンパニュラ・d10401)も、シャドウの実体化へと思いを馳せる。
    (「シャドウが具現化し始めたか、思ったより早かったな。ここで一匹でも多く潰して戦力を削らなくちゃね」)
     似た思考になるのは二人が夫婦だからだろうか。
    「とうとう現実空間にでてきましたか。遠慮なしに倒せる相手でよかったと言っておきましょうかね……」
    「そうだね。実体化したシャドウと相対するのか……ソウルボード内で撃退させる依頼ばかりだったから、割と新鮮かな。状況も掃討に変わって来てるんだね」
     鴻上・巧(氷焔相剋のフェネクス・d02823)と新堂・辰人(影刃の魔法つかい・d07100)が言葉を交わす。やはり実体化したシャドウとは戦った経験のある者のほうが少ないのだろう、相手はそう強くないシャドウだとはいえ実体化したシャドウだ。どんな戦況になるのか予想がつかぬという不安に似た困惑も多少はある。
    (「シャドウ大戦介入に参加した身としては、こうやって出てきたシャドウをほっとけないよ」)
    「タロット兵を撃破したウサギちゃんの腕前、見せたげる!」
     思わず口に出てしまった灰色・ウサギ(グレイバック・d20519)の言葉に、場の強張ったような緊張が少しばかり薄れる。相手がどう出てきても灼滅するのが目的だ。それは変わらないのだ。
     空き地内と空き地付近の物陰の二手に分かれて待機する灼滅者たち。
     と、厚い靴底が地面をリズミカルに叩く音と楽しそうな声が聞こえる――マリアンが近づいてきているようだ。灼滅者達の緊張も最高潮に達していった。

    ●フリフリレディはご機嫌斜め
    「可愛い可愛い声♪ もっともっと聞きたいの♪ だからお願い聞か……っ……」
     厚底靴でのスキップと歌声が途切れる。足を止めたマリアンは自分の横腹を見て信じられないといった顔を一瞬見せて。そして、自分の横腹を刺した帯を引き抜く樹に視線を移した。辰人が殺界形成を、巧がサウンドシャッターを展開したので、これでマリアンの気さえ引ければ――。
    「何なの! 私今、とってもご機嫌だったのよ!? それをっ……」
     刺された部分の服は穴が空いてしまった。そして不愉快な痛み。空き地の入り口で樹を始めとした灼滅者たちと向き合うマリアンは、訴える。
     だが、こっちにはそれを聞いてやる義理はない。
    「面白い恰好してるけど、ハロウィンはもう終わったのでお菓子はないんだよね」
     どすっ……マリアンの目が樹に向いている間に背後に寄った拓馬が、容赦なく槍でその腰のあたりを貫いた。
    「っ……許さないわっ!」
     厚底靴の重さを感じさせぬ身軽な動きでマリアンは樹との距離を詰める。そして影を纏った武器で彼女を思い切り殴りつけた。
    「はわ、コマーシャルでもコスメでも、シャドウの悪行は許せません……特に隠れての悪行なんて……」
     ミリアは瀞真の告げた『コシュマール』が覚えられなかったらしい。それはともかく顕現させた炎の翼で前衛の傷を癒やす。
    「サイキック多段斬りぃ!」
     マリアンを包囲するように空き地の入口側から、ウサギが『虹の刃』で斬りかかる! 霊犬のランクマも、後を追うように斬魔刀で斬りかかった。
    「破れたお洋服のほうが似合っているわよ?」
     挑発するように告げ、メアリーは帯を射出する。その帯がスカートのフリルを貫いて、マリアンの太ももへと突き刺さった。
    「私をいじめるなんて嫌いっ!」
     くるり、来た方向へ向き直ったマリアンだったが、すでに包囲されていて。
    「折角出てきたんス。そう急がず遊んでいきなよ、オチビさん」
     振り向いた先、気だるげに告げた麻耶の槍がマリアンを穿つ。ウイングキャットのヨタロウがばしっとパンチを決めた。
    「アーガトラム」
     巧の右腕が異形巨大化する。銀の腕で容赦なくマリアンを叩いた。その間に辰人が霧を発生させてまず前衛の守りを固める。
    「やだやだやだ、もうやめてよっ!!」
     駄々をこねるように繰り出される影が鋭い刃となってミリアを狙う。しかしそれは彼女に届く前に巧によって阻まれた。それもまた、マリアンの怒りに油を注ぐことになる。だが、外見が少女でも、灼滅者達は攻撃の手を緩めることはなかった。

    ●フリフリレディはボロボロに
     さすがに実体化したシャドウなだけあって、マリアンの一撃一撃は重く、深い。しかし幸いなことに、彼女は複数人を同時に攻撃するすべを持っていなかった。狙いは常に誰か一人。となれば盾役は庇う機を伺いやすく、そして癒し手を多く用意したこのメンバー構成ならば傷を負った仲間を手厚く癒やすことができた。
     確かに癒やしきれぬダメージが蓄積するが、それはマリアンの方も同じ。いや、多勢に無勢な分、時間をかければマリアンのほうが分が悪くすらある。
     マリアンが回復に一手使ったのをこれは好機と、樹と拓馬がタイミングを合わせて斬りかかる。マリアンは時々逃げ道を探すように視線を動かしたが、灼滅者達はぐるりとマリアンを囲むように配置していて、逃さないという強い意志を感じる。
    「ふぅん、お子様は都合が悪くなったからって逃げるんだ?」
    「に、逃げなんてしないわ! 私を、お洋服をこんなにしたあなた達を許さないんだからっ!」
    「ならいくよ」
     炎を宿した帯でマリアンを切り裂きながら炎に包むメアリー。
    「風よ、切り刻め!」
     ウサギの喚んだ風がマリアンを切り裂くと、彼女の服の切れ端が花びらのように舞う。ランクマとミリアが次いで傷を癒やし、麻耶が影でマリアンを縛り上げた。
    「良かったじゃないスか、夢の中から出てこれて。まあ、夢の中にいた方が安全だっただろうけど」
    「っ……」
     麻耶の言葉と攻撃に、マリアンの瞳に涙が浮かぶ。普通の人間だったら可愛い少女の涙に同情してしまうかもしれないが、あいにくとここにはそういう人間はいない。
    「守護の刃……汝に罪あり」
     巧の『白水剣【クラウ・ソラス】』の放つ白光の斬撃が、涙ごとマリアンを斬りつける。
    「お前を、切り裂いてやる」
     マリアンと一気に距離を詰めた辰人が、ジグザグに変形した刃を容赦なく彼女の肉へと差し込んだ。
    「私のお気に入りの格好が……」
     ひらりひらりと動きに合わせて舞うようだったフリルは無残にも落ちた花びらのように切り刻まれて、踏みにじられて。涙は痛みと交換に打ち払われた。マリアンはミリアを指して漆黒の弾丸を発現させた。それは常以上の速度と威力を持ってミリアを貫いた! 惜しくも庇うことはできなかった。
    「……いた、……」
     想像していたよりも強い痛みに動揺を隠せないミリア。
    「ミリア先輩、大丈夫っ?」
     とっさの判断でウサギが『虹色のウサギ』でミリアの全身を包み、傷を癒やす。ランクマもウサギと同じようにミリアを癒やした。
    「……はわ……あ、ありがとう、です……」
     隅っこにいる人見知りのミリアには精一杯の絞り出すようなお礼。それでも気持ちが伝われば十分だ。
    「拓馬くん」
    「ああ」
     樹が伴侶の名を呼ぶ。それで十分。否、それすらもいらなかったかもしれない。真っ正面から彼我の距離を詰める樹はロッドを振り下ろし、マリアンを叩く。ロッドの触れた部分から流れ込んだ魔力が、マリアンの身体を蹂躙していく。
    「実体化したシャドウが相手なら、こっちは二人で培ってきた連携が武器だ」
     マリアンの意識が樹に向いている間に、拓馬はマリアンの背後に回っていた。彼女が慌てて振り返るよりも早く、拓馬は非物質化させた刃でマリアンを斬りつけた。
     メアリーが駆けるように助走をつけ、そしてそのままの勢いで炎を纏った蹴撃をマリアンの腹部にめり込ませた。
    「ゴホッ……ガホッ……」
     身体を折るようにして後ずさるマリアン。彼女は囲まれているのだ、もちろんその背後には灼滅者がいる。ふらりと後ずさりつつ近寄ってきたマリアンを、麻耶は容赦なく巨大十字架で打ち据えた。ヨタロウがその後を追う。
    「ぁ……!」
     もはや悲鳴が悲鳴にならないマリアン。
    「赤樺舞い散れ」
     そんな彼女に巧は『炎獣殺し』から氷柱を放った。杭のように突き刺さる氷柱に彼女が盛大に顔をしかめている。
    「癒やしの魔力を……」
     辰人が重ねてミリアを癒やす。ちらりとマリアンを見ると、ふらついてはいるがまだ動けそうだった。
    「……た、ら……みちづ、……に……」
     はっきりと文章になっていない言葉。声もかすれている彼女が繰り出したのは、ウサギを飲み込まんとするほどの大きな影――しかし。
    「させないよ」
     ウサギの前で影を受け止めて代わりに飲み込まれたのはメアリーだ。痛みはあるが、彼がそのまま攻撃を受けるより傷は浅いはずだ。自分を包み込んだ影を破るようにして飛び出したメアリーは、炎を宿した武器で殴り掛かる。
     後を追うように、樹と拓馬が自然な動きなのに不思議と息の合ったコンビネーションを見せ、ウサギと麻耶がマリアンを狙い撃つ。常以上の威力をもってその攻撃は命中し、マリアンがふらついたところへランクマとヨタロウが攻撃を仕掛ける。ミリアは一生懸命メアリーの傷を癒やして。
     今のマリアンはボロボロでフラフラだ。気の毒なほど、その行く末が想像できてしまう。だが、彼女はダークネス。このまま情けをかけて逃しては、無辜の一般人が彼女の作り出そうとしている「悪夢」の犠牲になってしまうことは想像に難くない。
    「このまま畳み掛けよう」
     辰人は回復でなく攻撃を選んだ。剣から発せられた光の刃がマリアンを襲う。
    「キミの前にダレがいるのか。そろそろ理解できてきましたか……?」
     彼我の距離を一気に詰めた巧の、異形化した銀色の腕。膂力を使い思い切り振り下ろされたそれは、マリアンをまるでちっぽけな虫のように押しつぶしながら切り裂いて。
    「わた、しの……あく……む……」
     小さな呟き。決着はついた、それを感じ取っていた灼滅者達の間に広がる沈黙に、その呟きは響く。
    「……」
     巧が腕をどけるとそこにはマリアンの姿はなく、黒い靄のようなものがあるだけだった。
     その靄も、冷たい風によって吹き飛ばされていった。

    ●少年の夢
    「拓馬くん、大丈夫?」
    「お疲れさま、樹。これで子ども達は守れたね。今日の戦いが無駄にならないよう、デスギガス達もしっかり倒さなくちゃ」
    「そうね」
     樹と拓馬が仲睦まじく互いを労い合う。
    「自分は荒らしちゃった分を片付けてからそのまま帰るっす」
    「僕も手伝うよ」
    「僕も」
     摩耶の言葉に辰人と巧が手伝う意志を見せた。流石に少しばかり綺麗にしておきたい所。
    (「何か痕跡があればいいのですが」)
     巧にはそれを調べたいという気持ちもあった。

    「悪夢って、ソウルアクセスして普通の夢に戻せるんでしょうか……破れた夢って、普通の夢に戻す前に塗ったほうがいいでしょうか?」
     ミリアの呟き。まるで服のほつれ扱いである。
    「そこまでは今回のアタシ達の役目じゃないと思うよ」
     その小さな声を聞きつけたメアリーが、拓郎の家へと向かいながら柔らかく言う。
    「……そう、ですね」
     ミリアも小さく頷いた。できるならば悪夢から解放してあげたいという思いはあったけれど。

    「よし」
     闇纏いをしてウサギは拓郎の家のベランダへと上がった。そして彼が無事に寝ているのを確認し、窓を締める。
    「どうでした?」
    「無事に寝てたよ」
     降りてきたウサギに樹が問う。返ってきた答えに樹と拓馬は微笑みあった。
    「ゆっくりいい夢を!」
     ウサギに倣い、4人はベランダを見上げる。
     いつだって、悪夢よりはいい夢を見たいものなのだ。

    作者:篁みゆ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年11月30日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 0
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