●移ろい、彷徨う
――何処かの町の裏通り。
黒い衣服に身を包む少女が、人通りが少なく、少女が歩くには危険と思われる夜道を彷徨っている。
求めるは戦い。
――強者との戦い。
(「誰かいるだろう」)
血わき肉踊る戦いを私に与えてくれる強者達が。
自身が満足できるだけの戦いを与えてくれる者達を求めて、少女はただひたすらにその場を歩き続ける。
――まるで、強者がやってくるのを待つかのように。
●黒き闇を孕みし、殺戮の刃
「……約束しただろ。見つけ出すって」
目の下に隈を作り、冷や汗を垂らしながらも微笑しながら呟く北条・優希斗(思索するエクスブレイン・dn0230)。
「ゆ~君……寝ていないの? 顔色悪いけど……?」
南条・愛華(お気楽ダンピール・dn0242)の気遣いに、そんなことより、と返す優希斗。
「先日のシャドウ大戦に介入した時に闇堕ちした、セレスティさんが見つかったんだ!」
「! それじゃあ……」
喜色をあげつつも首を傾げる愛華に優希斗がああ、と頷く。
「とある夜の街を彼女は強者を捜して彷徨っている。皆には、その現場に急行してセレスティさんを助けて欲しい。……最悪の場合は、灼滅を。……その時の罪は、俺も一緒に背負うから」
優希斗の呟きに、愛華と、いつの間にか集まっていた灼滅者達がそれぞれの表情を浮かべて返事を返した。
●強者を求めし殺戮の天使
「セレスティさんのダークネスは、呼称がない。彼女は強者との戦いを求めてある街を彷徨っている様だ。……強者であれば、数は問わないそうだ」
「じゃあ……」
愛華の言葉にああ、と頷く優希斗。
「皆が自分達が強者であることを示すか、或いはセレスティさんと特殊な関係を持つ人間……例えば、セレスティさんが部長の部の部員等がいれば興味を示して戦いを挑んでくるだろう。弱者には、一瞥もくれないみたいだから、人が巻き込まれない程度の人払いをしておけばいい。但し……」
「但し?」
小さく息をつく優希斗に首を傾げる愛華。
「強い。二刀一対の刀を振るい、戦術を駆使し確実に仕留めるスタイルだ。但し、相手が強者だと分かれば、その戦いの決着がつくまで逃げることはない。最も……それだけ自分の腕に自信を持っているんだろう」
「……相当、強いってことなんだね」
愛華の言葉に頷く優希斗。
「恐らく、声をかけての弱体化は望めない。けれども、声をかけなければそもそもセレスティさんの意識を呼び覚ますことができない。……愛華。みんなの声を届けるためのサポートを頼む」
「うん! 分かったよ、ゆ~君!」
優希斗の言葉に、愛華が元気よく返事を返した。
「……あの時、俺はセレスティさん達に頼んだ」
――死なないで。
「セレスティさんにこの約束を守ってもらうためにも、どうか皆、よろしく頼む」
優希斗の見送りに、灼滅者たちはそれぞれの表情を浮かべてその場を立ち去った。
参加者 | |
---|---|
高宮・琥太郎(ロジカライズ・d01463) |
森本・煉夜(斜光の運び手・d02292) |
レイン・ティエラ(氷雪の華・d10887) |
獅子鳳・天摩(ゴーグルガンナー・d25098) |
柊・玲奈(カミサマを喪した少女・d30607) |
白石・明日香(教団広報室長補佐・d31470) |
有城・雄哉(高校生ストリートファイター・d31751) |
荒谷・耀(一耀・d31795) |
●
人気の少ない裏通り。
黒き衣装に身を包み、背に天使の様な白翼を広げた少女が佇む。
強い殺気が周囲を包んだ。
(「そうか」)
それは南条・愛華(お気楽ダンピール・dn0242)達の人払いの結界。
音を断絶する結界を和弥が展開。
「よぉ、セレスティ迎えに来たぜ」
姿を現した者達の先頭に立つは白石・明日香(教団広報室長補佐・d31470)。
「やっほセレスティさん、久しぶりだね。別府湾以来かな?」
手を振り微笑するのは柊・玲奈(カミサマを喪した少女・d30607)。
「セレスティ先輩、お迎えにあがりましたよ」
荒谷・耀(一耀・d31795)の呟き。
それは、かつて海将を灼滅した時に同道した戦友と言う名の強者達。
「キミが皆を守ろうとしてくれたのは、分かっている」
様々な感情が綯い交ぜになった高宮・琥太郎(ロジカライズ・d01463)の呟きも、闘争心を刺激した。
(「お前と共に武闘遊戯に参加している強者達か」)
「異形となったまやかしの強さで振るう太刀で、欲しかったものは得られるか?」
森本・煉夜(斜光の運び手・d02292)の問い。
「帰ってきて貰わないと困るんだよね、我等が部長さんには。だからさ、満足したらさっさと帰ってきてくれよ?」
「セレスティ、オレ達は一緒に歩めばまだまだ強くなれる。だって、君と一緒に強くなろうとする仲間がこんなにいるんだから。だから君は自分の闇に負けない、オレ達も負けない」
レイン・ティエラ(氷雪の華・d10887)の呟きに頷く獅子鳳・天摩(ゴーグルガンナー・d25098)。
「此処にいる皆さんの顔、覚えていますよね。あの時を繰り返させないために、皆来たんです!」
セレスティの放つ闇に晒され闘争心に呑まれかけながら有城・雄哉(高校生ストリートファイター・d31751)が叫ぶ。
周囲を取り囲む灼滅者達を見て、セレスティは鱶の様な笑み。
「誇るが良い。私に殺されることを。雑魚には興味がないのでな」
死の天使との舞踏が始まる。
●
ドス黒い刺す様な殺気。
ミドガルドが明日香を、レインが琥太郎を庇う。
「琥太郎、後ろは任されたよ!」
「助かるッス!」
雷と嵐の力を秘めた魔槍『フュルフュールの槍』で螺穿槍を繰り出し彼女を見つめる琥太郎。
「最初に会ったのって、いつだっけ」
問いかけながら少し微笑む。
「大人しそうなカンジだったのに、気づけば四天王とか呼ばれちゃってたり」
槍を引く琥太郎と入れ替わりにレインがクルセイドスラッシュ。
「強い人を探してんだろ? ようく知ってるんじゃない? 騎士団で、ふろこんで、オレたちの力はさ」
「だから戦っている、レイン」
ギンがその懐から飛び出し斬魔刀。
被害を最小限に抑えるセレスティに強烈な殺気が迫る。
「そういえばこれはセレスティも好んでいたな。全く……その戦い方、あまりに前のままではないか」
それは彼女の殺気の質を感じ取った煉夜の溜息。
「お前達強者を殺すには、丁度良い」
「私が強者かどうかは微妙だけどねー。まあ、そう簡単に負けたりしないよ」
玲奈がコートを翻しつつ断罪輪を放つ。
法陣が前衛を包み耀が蒼穹を思わせる弓に矢を番え明日香を射る。
「……先輩たちのお陰で、優貴先生も、他の学園の皆も、コルネリウス達も無事に撤退できたそうです。後は……先輩達だけです」
フォルネウス戦だけではない。
その直後の事件でセレスティは一人になり自分の想いを整理する時間を作ってくれた。
更に共にルナへの道を切り開き、自身の結婚をお祝いして貰った。
多くのことがあり、彼女には深く感謝している。
だからこそ。もう、同じ過ちは繰り返さない。
それは、明日香にとっても同じ。
「玲奈にも言ったけどな、もうルナさんの二の舞はごめんなんだよ!」
ダイダロスベルトでセレスティの身を締め上げる。
「そうっすね、白石っち。セレスティ、あのフォルネウス戦を含め、自分の力が届かなかったことに忸怩たる思いを抱えていて、だからこそ強さを求めていた事、オレも何となく分かるっすよ」
帯を振り解いたセレスティを建速守剣で斬り裂く天摩。
僅かに生まれた隙を見逃さず愛華の霧により力を蓄えた雄哉が鋼鉄拳。
それがセレスティの全身を覆っていた殺気を破砕。
「あの時、自分が守れていたら……誰も堕ちずにすんだ。先輩も、後悔し続けてきたんですね」
続けて明日香が不死者殺しクルースニクを死角から振るう。
左の刀で受け流し、右の刀で明日香の鳩尾を一突き。
だが、それはレインが代わりに受け止めた。
急所は辛うじて外したが、油断すれば致命傷になっていただろう。
それが意味することは……。
「狙い手か。ならば俺はこれだな」
自分の周囲に散らしていた雪の華を収束させて自らの傷を癒すレイン。
ギンも自らを浄霊眼で癒しミドガルドもスロットルを全開にした。
「この間、私は皆に闇堕ちから助けてもらった。だから……今度は私の番だよ!」
意気込みながら玲奈がラビリンスアーマーでレインを治療。
耀の支援を受けた琥太郎が閃光百裂拳。
(「この位殴ってやらなきゃ、気が済まない」)
それは自分達を守るために、勝手に堕ちた彼女への怒りか感謝か。
それとも、傍にいたのに何もできなかった自分への怒りか情けなさか。
「騎士団が活動停止するってなって、オレが行き場がなくってどうしようかって思った時に、一緒にやろうって声かけてくれたり。今回だって、色んな班と連携しようって言い出したのはキミだよ。すげぇ行動力だなって、尊敬してた」
――でも、その結果が『コレ』だと知っていたら。
「オレ、絶対やんなかった。情けないっていうかもしんないけどさ、そんでもオレは見える範囲のヒトの方が大事」
「そうだな、いなくなった部では頼まれて穴埋めをやっているが、部長がいないことには始まらん」
煉夜がバベルブレイカーでセレスティを貫く。
「目指していた戦いの頂はそんな形ではないだろう。異形となったまやかしの強さで振るう太刀で、欲しかったものは得られるか?」
「あの時のことを後悔して堕ちてでも守ろうとした先輩の判断は、だれにも否定させません」
煉夜に続き雄哉の殲術執刀法がその傷を抉る。
「でも、後悔を抱えてきたのは……先輩だけじゃないです」
(「フォルネウス戦と、名古屋の責を背負っているのは、先輩だけじゃない」)
特に、名古屋の責については直接手をかけている分、自分や天摩、玲奈の方が罪が重いとすら思う。
(「いや……それも傲慢か?」)
「そうっすね有城君。きっとオレ達も似たようなものを抱えている」
天摩にとっての後悔と罪の象徴、Oath of Thorns……同じ過ちを繰り返さないという思いを込めて名付けたその靴に星々の力を纏わせ誓いと共に回し蹴り。
「ぐっ……」
苦痛に顔を歪めるセレスティにでも、と呟く天摩。
「オレ達強くなってるっしょ? オレもオレで強くならないといけない理由あるんすよ!」
「力比べ、してみようぜ!」
愛槍『明慧黒曜』に炎を這わせて一刺しする慧樹。
「参るでござる!」
ブレイブがIntentional-Reflectionの先端から氷の弾丸を射出。
セレスティが双刀を振るい傷を癒しバッドステータスを解除。
更に連撃を捌きつつ刺すような殺気を後衛に叩きつけた。
「玲奈さん、大丈夫ですか?!」
「大丈夫だよ、耀ちゃん」
耀の心配にミドガルドに庇われた玲奈が返しながら雄哉にラビリンスアーマー。
「……この位で……!」
殺気に呑まれ荒れ狂う闘争衝動に喘ぎながら雄哉が鋼鉄拳を叩きつけ。
「勝ち取りたければ、戻って自分の手で掴め」
ギンの影から飛び出した煉夜がセレスティの足を斬り裂く。
耀が蒼穹を構え、全てを飲み込む闇を孕む影を纏った。
(「恐らくセレスティ先輩は……」)
自己強化に特化した戦い方なのだろう。
「お前達の力、この程度ではあるまい。底の底まで、見せてもらおうか」
戦術を読まれていることを悟りつつ、セレスティは笑む。
強者との戦いへの愉悦の笑みを。
●
「レインセンパイ。行くっす!」
天摩が黒い灰と煙を収束させギンを回復。
「帰る場所はここにある。だから、帰って来い。ふろこんはあんたがいないと意味ないんだよ!」
天摩に頷きレインがクルセイドスラッシュ。
斬撃を受け止めるセレスティだったが。
「こた!」
「オレは弱いかもしれなけれど。頼りにならないかもしれないけれど。それでも、守りたいモノはあるんだ」
琥太郎がフュルフュールの槍でその身を貫いた。
「皆、セレスティを助けたくてここに来たんだ! 今度こそ帰ろうぜ、皆で!」
「先輩自身を、私の『守れなかった人』には、絶対にしませんから!」
明日香が絶死槍バルドルでセレスティを穿ち、明日香の背から飛び出した耀が影を刃に変じさせ斬り裂く。
ティアーズリッパ―による連撃を受けながらの明日香への刺突をミドガルドが庇う。
(「同じ部で指揮ぶりを見てた事もあるから対人戦が滅法強いのは知ってるっすけどね……!」)
限界が来て消滅したミドガルドに心の中で礼を述べつつ、玲奈の支援を受けた天摩が建速守剣で斬りかかる。
その一撃は刀で受け流されるが、すかさず煉夜と雄哉が同時攻撃。
雄哉の手刀がセレスティを斬り裂き、煉夜の尖列のドグマスパイクがその身を穿つ。
「しかし、日本刀を持っているが使い方が完全に槍とか鞭剣じゃないか。これは帰ったら言ってやらないとな」
「まあ、流石は我らが部長さんって感じだけど」
煉夜にレインが苦笑を零しつつ、集気法でギンを回復。
「皆で帰れたら、まずはお説教からだね」
琥太郎が影を纏った拳を放つ。
やむなく回復するセレスティ。
――それは、漸く生まれた僅かな隙。
「セレスティ先輩! 貴女を迎えに来た皆さんの声を聞いてください!」
耀が夜影に鬼の形を取らせて喰らわせつつの叫びに応じ。
「セレス―、早く戻ってくるっすよー! セレスがそっちにいたんじゃ一緒にライブハウス出られないじゃないっすか! 自分らにセレスの背中、預けてほしいんすよー!」
優子が声をかけていた。
あの戦いの時、違う戦場にいたから、守れなかった。
そんな後悔はもうしたくない。
「早く戻ってきたら先輩方が奢ってくれる筈っす! もしくは早く戻らないとセレスの奢りになります、はい。自分がいっぱい食べちゃうっすよー、諭吉さんに羽生えるっすよーいいんすかー?」
答えず刀を伸ばし雄哉を狙うが、宥氣の帯が軌道を僅かに逸らす。
「セレスティさん! こんなところで油うってる場合じゃないでしょ! 私達との絆を忘れたの!? そう、ラーメンで培った絆!」
帯で締めあげながらのブリジットの説得。
「早く元に戻ってレインさんにラーメン奢ってもらわなきゃ! 一緒に帰ろう!」
「……俺のなの?!」
突っ込みつつレインが祭霊光で雄哉を癒す。
「ふっ……拙者、さほどの付き合いはないでゴザルが……それでも、拙者が闇堕ちした際にもご助力頂いた恩があるでゴザル。最強の敵は常に己の中にあり、と言うデース。お主がお主の敵に打ち勝たん事を、セレスティ」
「……セレスティらしいとは思ったんだよね。誰かのために、自分が犠牲になるとか」
ウルスラの祈りと慧樹の呟き。
「あの時の恩は、何年たっても忘れない。クラブに誘ってくれたのもセレスティだ。嬉しかったし、そのお陰で今も楽しく過ごさせて貰ってる。だから……帰って来いよ!」
「セレスティさんは、ずっと私の憧れでした。戦闘でもお強いだけじゃなくて……少しドジっ子な姿も、ほのぼのして。部に誘って頂けて、お話頂けるようになってとても嬉しかったです。これからも私の憧れなんです。だから、戻ってきてください……!」
桜の必死の訴え。
ミツキの想いを込めた囁きが続く。
「セレスティ、あのね。私、あまり強くない、し、いっぱい足手まとい、かもだけど。けど、あのクラブにいるの、とっても楽しい、の。堕ちた、のもきっと、セレスティが決めたコト、だから、必要だったんだ、って、思う。でも、ごめんなさい。いくらセレスティが決めたコト、でも、私受け入れてあげられない、から。だから、一緒に、帰ろ? ふろこん、はセレスティがいる、からふろこんなんだ、よ」
「彩歌さん、一緒に!」
翡翠がAlie noirで彼女の刀を絡めとり。
煉夜が黒死斬で斬り裂き彩歌が勿忘草の絆―朧月夜―で、もう片方の刀を絡めとった。
「セレス、早く戻ってきてくれないとルナ、やせっぽちになっちゃいそうなんですけれど。あなたが見つけて、私が飼うことになった猫」
「……ルナさん、か」
猫の名前と理解しつつも、胸をざわめかせつつ玲奈が怨京鬼を掲げセイクリッドウインド。
訥々と語る彩歌。
「そのくせ私には全然なつかないで、セレスにばっかりなつくんだから。セレスが帰ってこないのが不安なのかな」
「……」
セレスティが双刀で旋風を起こす。
琥太郎を庇いギンが消滅。
「ご飯もあまり食べなくなっちゃったので、早く帰って来るように」
「そうだ! 早く帰って来い、セレスティ!」
天摩の影から明日香が飛び出し黒死斬。
彩歌の言葉は続く。
「それに私はセレスがダークネスにいいようにされたままじゃないって、信じてます」
「あそこのメンツ、きっと皆そう」
琥太郎が頷き閃光百裂拳。
「セレスの優しいところもいっぱい知ってますけれど、それ以上に強いところだって知ってますから」
彩歌に同意するように耀がティアーズリッパ―。
「笑顔の影でいっぱい努力して、常に前に進んでいくのが私の知っているセレス。そんなあなたが立ち止まったままは、ありえないじゃないですか!」
「この場に来ている方以外にも、多くの方が待っているんだろう。皆、心配しているんじゃないか?」
和弥がセレスティの魂を斬り裂く。
それは彼が団長を務める『風の団』暗黙の掟。
――闇堕ちした方は、説得(物理)で連れ戻す。
揺らぐセレスティに雄哉が鋼鉄の拳で正拳突き。
「誰かを守りたいのは、僕だって同じ。もう……失うのは嫌なんだ!」
罪と責を一人で抱え込み、背負って壊れて、足掻いてもがいて。
そうして這ってでも進もうと漸く前を向けた。
「セレスティさんには二つの顔を見てしまうんですよ」
雄哉の一撃を受けよろけるセレスティに紫姫が囁く。
「冷静に戦う凛々しい姿。可愛らしく愛らしく過ごしている姿。私は、どちらのセレスティさんも好きです」
レインの斬撃によろめく彼女へと玲奈がジャッジメントレイ。
「セレスティさん、沢山の人が貴女のことを待っているんだよ? 皆を守るためには強くないといけない。貴女は何のために強者と戦いたいのかな? 自己満足だけでそうしているなら、守るべきものがある私達には絶対に勝てないよ!」
玲奈の指摘に頷く紫姫。
「そうです。私は……ただ、戦うことだけを目的とする今の貴女は認めたくない。私が好きな貴女は柔らかく微笑む、笑顔を忘れない。そんな素敵な人だから。セレスティさんなら、『そこ』から出てくる手段もちゃんと考えているんですよね? その手伝いをしますから、しっかりと目を覚ましてください」
「彩歌、紫姫……」
呻く彼女に接近しガンナイフの引金を引くは彦麻呂。
「私はさ、ぶっちゃけセレスティちゃんのプライベートはよく知らない。でも、殴り合える友達として言えることがある。……セレスティちゃんさぁ、ダークネスになって、勘鈍ったんじゃない? セレスティちゃんを心配しない人がいないわけないじゃない。ここに集まった皆が、何よりの証拠」
離脱する彦麻呂と入れ替わりに琥太郎がトラウナックル。
「一緒に帰ろう」
反撃とばかりに突きを放つセレスティから天摩が彼を庇い魂を凌駕。
「そろそろ満足してくれよ!」
レインが黒薔薇の形を象った影……PRICKLEでセレスティを飲み込み。
「ここだな」
煉夜が七不思議奇憚を語りあげ。
「セレスティ、君を必ず助けるっす! さっきまでの自分を超えていくために!」
天摩がスターゲイザーを叩きつけ。
「セレスティ先輩! 帰りましょう! 皆さんが待っている……武蔵坂学園に!」
耀が夜影にその身を食らわせ。
「一緒に帰ろうか。セレスティさん」
玲奈がご当地ダイナミックで地面に叩きつけ。
「帰るぞ! セレスティ!」
明日香が炎を纏った回し蹴りを放ち。
「必ず助けます!」
雄哉が殲術執刀法で斬り裂いた。
――そして。
「これで……終わりだ」
琥太郎がレイン、煉夜と同時に攻撃。
槍にその身を穿たれ、袈裟懸けにその身を斬り裂かれ、その胸を杭で貫かれて。
セレスティはその場に頽れた。
●
「セレスー!」
疲労で立っているのがやっとの煉夜達の代わりに、優子達ふろこんの団員が彼女の体を受け止める。
意識こそ失っているが、救えたという確信はあった。
「良かったっすね、荒谷っち」
「……はい!」
天摩の微笑に、目尻に涙を滲ませながら耀が頷く。
「お帰りなさいだね、セレスティさん」
玲奈が優しく微笑んだ。
雄哉がそっと輪を抜ける。
「……良かった……」
安堵と共に限界が来て、意識を失った時。
「有城は無理し過ぎなんだよ」
何時の間にか現れた明日香が雄哉を抱え上げ。
何食わぬ顔で耀達に合流し、その場を後にした。
――セレスティ・クリスフィード……救出。
作者:長野聖夜 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2016年11月30日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 3
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