蝋人形デビュタント

    作者:佐和

    「社交界デビューというのは、本来、女王陛下への初拝謁のことを指しますの。
     真っ白に着飾ったデビュタントが、読み上げられた名前と共にレディらしくお辞儀……
     この女王陛下への謁見を済ませて初めてレディとして認められるそうですの」
     そんな説明を始めたシエナ・デヴィアトレ(治療魔で露出狂な大食い娘・d33905)に、灼滅者達は驚いて目を瞬かせる。
     戸惑いの雰囲気を感じてか、シエナはこくりと頷いて見せて。
    「それがここで行われている、という噂があるんですの。
     この場所に打ち捨てられた蝋人形が、毎夜、社交界を行っている、と……」
     都市伝説の話なのだと続けた。
     元々は、朽ちた劇場に多くの蝋人形が放置されていただけだったらしい。
     だが、その蝋人形達がいずれもドレスやスーツに身を包んでおり。
     舞踏会でもしていそうだと、蝋人形の社交界の噂ができた。
     噂は都市伝説となり、古い劇場はその内部を煌びやかな王宮のように変えて。
     さらに年々、蝋人形が増えていると言い出した者がいて。
     社交界に新たな蝋人形がデビュタントとして迎えられている、となって。
     蝋人形によるプレゼンテーション・アト・コートとまで発展したらしい。
    「蝋人形達だけで楽しんでいるのなら、踊ろうが増えようが問題ないですの。
     でももしそこに人が紛れ込んでしまったら……?
     仲間として蝋人形にされてしまうかもしれないですの」
     だからこそ、まだ被害の出ていない今のうちに対処する必要があるとシエナは告げる。
    「蝋人形はかなりの数がいますけれど、社交界なら女王陛下が中心ですの。
     だから、女王の蝋人形を倒せば都市伝説は消えると思いますの」
     女王陛下に一番接近できるのは拝謁の時。
     だが、拝謁は1人ずつ行うため、一度に大勢で近づくことはできない。
     それにレディと認められれば、蝋で固められて人形とされてしまうだろう。
     しかし、それは逆に、蝋人形になれば女王の近くに何人も居る事ができるということ。
     固められてもキュアで回復できるだろうから、あえて蝋人形となり戦力を集める、という作戦も取れるだろう。
     蝋人形にされる危険を冒さないのであれば、デビュタントのお披露目となる舞踏会が拝謁後に行われるので、それを狙う方がいいだろう。
     庇いに入るであろう多くの蝋人形達を越えて最奥へ向かわなければならないが、特に策を弄さずとも全員で戦闘を始めることができる。
    「どう対応するかは皆で考えたらいいですの」
     シエナは無表情に集まった灼滅者達を見渡して。
     ああそれから、と思い出したように付け加える。
    「ドレスの準備は完璧ですの」


    参加者
    コルト・トルターニャ(魔女・d09182)
    彼岸花・深未(石化系男子・d09593)
    フェイ・ユン(侠華・d29900)
    シルヴァン・メルレ(トワイライトは斯くして遊ぶ・d32216)
    蓬野・榛名(陽映り小町・d33560)
    シエナ・デヴィアトレ(治療魔で露出狂な大食い娘・d33905)
    河本・由香里(中学生魔法使い・d36413)
     

    ■リプレイ

    ●広間
     廃劇場とは思えないほど、美しく煌びやかに整えられた広間という舞台。
     静かに流れるクラシック音楽に耳を傾けながら、シエナ・デヴィアトレ(治療魔で露出狂な大食い娘・d33905)は息を吐いた。
    「まさか、わたしが社交界デビューをする日が来るとは思わなかったですの」
     見下ろす自身の身体は、ESPで小学生から18歳へと成長を遂げており。
     フリルが多く散りばめられ、ふんわりとした白いドレスが優しく包んでいる。
    「社交界デビュー……なんだかとても良い響きですぅ……!」
     その隣では、彼岸花・深未(石化系男子・d09593)が、ゆったりとしたリボン飾りや長手袋で露出を極力抑えた白いドレスを纏い、赤瞳をキラキラと輝かせていた。
    「ドレス、お似合いですよ。深未くん」
    「ふえぇぇ……ありがとうですぅ」
     河本・由香里(中学生魔法使い・d36413)に褒められて恥ずかしそうに、でも嬉しさも滲ませた照れ笑いを見せる。
     白いイブニングドレス姿の由香里と並んでも違和感のない男の娘です。
     にっこり微笑んだ由香里は、ふと、周囲に視線を流した。
     純白な自分達とは少し距離を置いて、談笑している貴族達。
     時折ちらりとこちらに視線を向けてくるそれは人間ではなかった。
    「本当に蝋人形なのですね……」
    「魔法も超能力もある時代ですもの。蝋人形だって動きますわよ、ね」
     視線を揃えたコルト・トルターニャ(魔女・d09182)が当然と言うように頷いて見せる。
     纏め結い上げた長い黒髪の代わりにふわりと揺れるヴェールが花嫁のようだけれども。
     真っ白なのにどこか魔女を思わせるデザインのドレスが、白の中で不思議に煌めく宝石が、魔法という言葉の響きによく似合っていた。
     くすりと微笑んだ拍子に感じるのは、蝋の独特の香り。
    「蝋人形って、ちょっと怖いのですよね。とても綺麗なのですが……」
     その香りに、遠目にも分かる見た目の違和感に、蓬野・榛名(陽映り小町・d33560)が怯えたように囁き、コルトの影に隠れるように身を寄せる。
     普段はポニーテールにしている艶やかな緑髪は、綺麗に編み込まれていて。
     纏う白いドレスは、デザインはシンプルながらも細やかな刺繍が散りばめられ、見事な植物を描き出していた。
     怯え、戸惑いながらも、潜入の準備は万端だ。
     そんな榛名とは対照的に、楽しさいっぱいなのはフェイ・ユン(侠華・d29900)。
    「へっへー。こういうドレスって1度着てみたかったんだよね!」
     弾む言葉通りわくわくした笑顔で、右へ左へ振り向くように動きながら白いスカートを見下ろす。
     コルセットは大変だし、ドレスはやたらと布を重ねてあるせいで長いし重いし、普段の服装とは全く違う宮廷衣装に驚くばかりだったけれど。
     憧れていた服を着ている今の自分に、フェイは満足そうだった。
     言われて、榛名も刺繍が煌めく純白のドレスを見下ろして。
    「優雅さが足りない、庶民でしかないわたしが、こんなおとぎ話の世界に……
     これも灼滅者の特権、なのでしょうね」
     ならば灼滅者の責務も果たさなければと、キリッと表情を正した。
     深未も、楽しんでばかりはいられないと、事前に勉強した知識を思い出す。
    「でも、社交界って難しいですぅ。
     舞踏会で楽しく踊ってるだけかと思ってたですぅよ」
    「舞踏会は、上流階級が婚約相手を探す場としても使うんでしたっけ?」
    「仲良しで集まって楽しんでるだけではないの?」
     問うシエナに、聞き止めたコルトが首を傾げ、フェイと榛名も興味深そうに近づいた。
     わいわいと知識交換をする皆を由香里はしばし眺めて。
     ふと振り返ると、目に焼き付けた皆の姿を蝋人形達に重ね見る。
    (「失敗したら、あそこに仲間入りかあ……」)
     考える胸中に浮かぶのは、恐怖などではなく、期待や憧れのようだった。
     そうして待つ純白無垢なデビュタント達に、ついに声がかかる。
    「陽の花(フルール・ド・ソレイユ)様」
    「え……あっ、はいっ!」
     呼ばれて振り返ると、先ほどまで閉じていた扉が開き、中から近侍が榛名を見ていた。
     扉の隙間から僅かに見えた謁見の間に、榛名はその時が来たと気を引き締める。
    「では、お先に」
     集まった皆の視線を受けるとふわりと微笑んで。
     ご令嬢らしく、と所作に気を付けながらゆっくりと、榛名は近侍が招き示す扉の先へ1人進み出た。

    ●待機
    「やっと呼ばれ始めたみたいだね」
     仲間を広間の外からこっそり隠れ見ていたシルヴァン・メルレ(トワイライトは斯くして遊ぶ・d32216)は、榛名の姿を隠すように閉じられた扉を見て頷いた。
     白いドレスに身を包んだ仲間は、今は5人。
     それを囲むのは、遠目に取り巻く貴族風蝋人形40体と、点在する兵士蝋人形10体。
     完全に敵地真っ只中です。
     謁見の間を戦場として、広間の50体を隔絶した状態を作り出せば戦闘は楽だろう。
     シルヴァンも深未のようにドレスを纏えば、謁見が叶ったのだろうから。
     それでもシルヴァンは、謁見が終わり舞踏会が始まるのを待つことにしていた。
    「皆、綺麗で楽しそうだし」
     せっかくだからと皆で楽しめるタイミングを選んで。
     シルヴァン自身もタキシード姿できっちり決めて。
     広間にいる皆と同じように笑顔でその時を待つ。
     でも。
     賑やかで華やかな広間と、静かで薄暗い物陰。
     楽し気に談笑する仲間達と、何を話しても独り言になる自分。
     ふと右を見ると、フェイのビハインド・无名が、ムッキムキな腕を組み無言で佇み。
     左を見れば、シエナのライドキャリバー・ヴァグノジャルムが、怪しく薔薇の絡んだ車体で赤い3つ目をぼうっと光らせていた。
    「…………」
     シルヴァンは再び、明るい広間へと視線を戻して。
    「早く舞踏会始まらないかなー……」
     ぽつり、と呟いた。

    ●拝謁
     謁見の間と化した部屋で、杖を手に深く椅子に腰かけた蝋人形が微笑む。
     見つめるその先では、シエナがゆるりと膝を折り、優雅なお辞儀を披露していた。
     蝋人形が大仰に頷いたのを気配で察し、シエナは顔を上げぬまま礼を告げる。
    「はじめまして、女王閣下。お目にかかれて光栄ですの」
     かつてお父様から教わった作法を頑張って思い出しながらの所作ではあったのだが、女王には気に入られたらしく。
     女王に耳打ちされた近侍がシエナに移動の指示を出す。
     示された場所には、ドレスの裾をふわりと持ち上げた榛名が蝋人形となり固まっていて。
     その対となるポーズを取らされたシエナの身体も、気づけば蝋人形と化していた。
     並ぶ2体に、女王が満足そうに笑みを浮かべる。
     視線を感じながらも、固められたシエナにはもはや指先すらも動かせない。
     敵地で行動の自由を奪われたこの状況に、シエナは。
    (「あぁ……蝋人形のわたしを見られちゃってますの……」)
     ……悦んでました。
     次いで拝謁の間に入った由香里は、すぐに蝋人形にされた仲間に気付き。
    (「わあ。素敵」)
     こちらも危機感を持つどころか楽しそうに笑みを浮かべました。
    (「私もあんな風に……」)
     それを見止めたのか、女王はじっと由香里の動きを目で追って。
     片膝を曲げてお辞儀をしたその瞬間、由香里は蝋人形となる。
     蝋人形3体が並べられたのを見てから、女王は次をと近侍に合図を出した。
    「はじめまして。えっと……お目にかかれて光栄です」
     進み出たフェイは、本で勉強した成果をと頑張ってお辞儀をする。
     でも、慣れない所作や言葉遣いに、ぎこちなさは否めなくて。
     大丈夫かな、と顔を上げると女王の笑顔が見えた。
     ほっとしたのも束の間、フェイは自分の足が動かなくなっていることに気付く。
     見下ろした身体は、足元からじわりと蝋に覆われていった。
    (「うわぁ。本当に蝋人形になっちゃった」)
     驚くうちに完成してしまった自分に、フェイは、驚愕や恐怖だけではなく、何だか少しわくわくするような変な気分も感じてさらに驚きを深めていたりする。
     続いて通されたのは、コルト。
     女王に向き合い、お辞儀をしながら、周囲の蝋人形達にもちらりと視線が向く。
     品の良い豪華さに威厳を持つ女王蝋人形。
     清潔感と適度な装飾をその傍らに添える近侍蝋人形。
     そして、純白のデビュタント蝋人形。
     石化と氷を愛するコルトは、その美しさに見とれ、心を奪われた。
     しかし、自分もゆっくりと蝋人形へ変わっていくのを感じると、その表情は恐れへと変わっていく。
    (「人が人でないものに変わっていくなんて、慣れるわけないじゃない……!」)
     胸中で上げた悲鳴は誰にも聞かれることなく固まっていった。
     最後となった深未は、恥ずかしそうに歩を進め、女王の前で一礼する。
     だが、顔を上げた時、深未は5体の近侍蝋人形に取り囲まれていた。
     男と見抜かれたかと青くなる深未。
     だが、動揺が走ったのは近侍達にもだった。
     女王が席を立ち、近侍を制すると、深未へと近づいてきたのだ。
     そして微笑んだ女王は手を伸ばし、深未を優しく抱き寄せる。
     事態が飲み込めずどうしたらいいのかと必死に考える深未は、その身がじわじわ変えられていることに気付かないまま、蝋人形となっていった。

    ●舞踏会
     仲間達の姿が見えなくなってしばし。
     広間を寂しく見張っていたシルヴァンの耳に騒めきが届いた。
     蝋人形達が視線を集める先に現れたのは、女王と1体の近侍。
     そしてその後に続くように、4体の近侍が台を押してゆっくりと現れる。
     台の上には6体の蝋人形が飾られていた。
     微笑む榛名は、細やかな刺繍を披露するかのように右手でドレスの裾を広げ。
     シエナもフリルの重なりを華やかに、左手で裾を持ち上げて、対称的に並ぶ。
     その前で由香里が恭しくお辞儀を見せ、3体揃いのデビュタントとなっていた。
     そして、フェイは自身を見下ろして驚愕の表情を見せ。
     恐怖に覆われたコルトと、困惑を浮かべる深未と共に並ぶ。
     感情を引き出され留められた、リアルな蝋人形。
     笑顔で揃った3体もだが、その表情がとても綺麗で、シルヴァンは目を奪われる。
     だが、それで作戦を忘れることはない。
     无名に頷き、ヴァグノジャルムの車体を軽く叩いて、シルヴァンは広間へと飛び込んだ。
    (「あっ、シルヴァンさん!」)
     気づいた榛名が胸中で歓声を上げる。
     名を呼びぶんぶんと手を振りたいところだったが、蝋人形とされた身体は指先どころか髪の1房さえも動くことはなく。
     ぴくりとも動かない榛名を見て、シルヴァンも察する。
    「榛名ちゃんドレス姿もカワイーね!」
     陽気に言いながら、きっといつもの動ける榛名なら手を振っていただろうと思い浮かべて手を振り返し。
    「今キュアするから、存分に社交場楽しもうなー」
     放たれた霊力は浄化の光となって、メディックのシエナを蝋から解き放つ。
    「そっちよろしくー」
    「任されたですの」
     手を掲げたシルヴァンにこくりと頷くと、シエナはリュジスモンヴィエルの弦から回復の響きを奏で上げた。
     前衛のフェイが、榛名が、由香里が、次々と元に戻り動きを取り戻して。
     けれども、由香里だけは固まったまま動かなかった。
     心配したフェイが、その肩を揺すりながら癒しのオーラを向ける。
    「大丈夫?」
    「はっ! 心まで蝋人形になるところでした!」
     そんな一幕もありながら、前衛陣が戦線に加わり。
     遅れて、中衛であったコルトと深未も解放され、動き出す。
    「人形は人形らしく、動かなければ美しいのに……!」
     むすっとした顔でコルトが放った冷気は、迫り来る貴族を数体纏めて凍り付かせた。
    「動けなくなってきたでしょう?
     良いわ。素敵。そのまま固まってしまいなさい!」
     氷像と化した蝋人形は、満足気に笑うコルトの前で、急激な冷却により崩れ倒れていく。
     フェイが展開した祭壇が兵士の数を一気に半減させ。
     榛名が翼のように広げ、広範囲に射出した帯がさらに数を減らしていく。
     貴族達に合流を阻まれているシルヴァンも、ヴァグノジャルムの機銃や顔を晒す无名と共に、羽の意匠と弦を揺らして撃ち放った矢で次々と蝋人形を倒していった。
     とはいえ、元の数があまりにも多い相手。
     幾つもの攻撃が灼滅者達へと向けられた。
    「社交界でドレスを破くなんてマナー違反ですの」
     せっかくのフリルの端を切り裂かれたシエナは、奏でる曲を攻撃へと変えて。
     コルトも白い魔女服を乱す相手を睨みつけ、槍を振るい返す。
    「あーもう! この服動きづらいなぁ!」
     そんな中でフェイは自らドレスの裾をびりびり破いて。
     動きやすくなったところで、回し蹴りが貴族を数体薙ぎ倒した。
     そんな乱戦の最中、由香里と深未は一気に女王へと向かい、鋏が魔法弾が放たれていく。
     援護しようと広げた榛名の帯が近侍を纏めて倒し。
     だがそこに隙を見たと、兵士の剣が襲い掛かる。
     気づき振り返った榛名の目前で、剣は振り下ろされ。
     その胸から鏃を生やしてぐらりと倒れた。
     驚き立ち尽くす榛名は、矢を放った直後の体勢で微笑むシルヴァンにやっと気づく。
    「流石の王子様っぷりなのですー」
     銀色の瞳を輝かせて褒め称える榛名だが、すぐにぐっと手を握って見せて。
    「でも、榛名、お嬢様ではなくご当地ヒーローなので!」
     守られてばかりではないと蓬餅ビームを撃ち放った。
     そして、数が多いだけの蝋人形はあっさりと倒れ、ついに女王だけが広間に残る。
    「オレと踊ろ、女王サマ」
     シルヴァンの赤い逆十字がそのドレスを切り裂き。
     振り下ろされた杖をフェイが受け止め動きを止めると无名の霊撃が放たれる。
     回復の手を向けるシエナの傍らからヴァグノジャルムが駆け出し突撃し。
     再び榛名の蓬餅ビームが撃ち出された。
    「儚く消え去る定めなら、今一度私の物になりなさい!」
     コルトは指輪をはめた手をかざし、女王を石化の呪いで包み込む。
     じわり、と彫像へと変わっていく美しい姿をうっとりと眺めたところで。
     深未の魔法弾と由香里のオーラが女王を撃ち砕いた。

    ●廃劇場
     そして広間は寂れた廃劇場へと戻る。
    「おつかれさまでしたですぅ!」
     暗い場に深未の声が明るく響き、終わりを告げた。
     シルヴァンは榛名をダンスに誘い、楽しそうにステップが刻まれて。
    「ところで私、どうでしたの? 蝋人形の姿……その……」
    「とっても綺麗でしたよ。撮れなかったのが残念なくらいに」
     恥ずかしそうに問うコルトに、カメラを手ににっこりと由香里が答えれば、その頬はさらに赤く染まる。
     楽しそうな皆の表情を眺めた深未は、ふと、その中に満足感もあることに気付いて不思議そうに首を傾げたが。
    (「そういうボクも……ですぅ♪」)
     思い当って深未は満足そうに笑った。
    「色々と変な体験だったなぁ……」
     フェイはドレスに拝謁にと思い出しながら苦笑して。
     その隣でシエナが、あ、と声を上げ、破れたドレスを摘み上げた。
    「……貸衣装だという事を忘れてましたの」
     

    作者:佐和 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年12月18日
    難度:普通
    参加:7人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 4
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