暗殺武闘大会武闘予選~魔宴を砕く挑戦者

    作者:るう

    ●世界救済タワー内部
    「弱いというのは哀れなものだな」
     何人目かのアムドシアスを踏みつけて粉砕し、男は感慨深そうに独りごちた。最期まで陽気に歌いながら、サイキックエナジーへと還元されて消えていった女は、このちっぽけな世界に満足し、分割存在としての享楽に耽っているように見える。
     こうはなるまい。男――アンブレイカブルは心に誓う。彼にとってはこの予選など、当然突破すべき障害に過ぎぬ。万が一にもこの悪魔のように、ブレイズゲートに囚われる事などあってはならぬのだ。
     先を急ごう。彼は再び歩き出した。例え彼自身が望まなくとも、ゲートは彼を求めるだろう。その誘惑を振り切るためにも……彼は、速やかに全てを終わらせねばならぬのだ。

    ●武蔵坂学園、教室
    「暗殺武闘大会の暗殺予選、お疲れ様。のところ悪いのだけれど……」
     そう灼滅者たちを労った直後、遥神・鳴歌(中学生エクスブレイン・dn0221)はまた新たなビラを灼滅者たちへと見せた。
    「暗殺武闘大会の予選は、暗殺予選だけじゃなかったみたいなのよね。ほら……今度は『武闘予選』って」
     こちらも、やはり『ミスター宍戸』によるプロデュースなのだろう。今回も灼滅者の妨害がある事を前提に、予選通過条件には「灼滅者に灼滅されないこと」が加わっている。
     今回の予選の舞台は『ブレイズゲート』なのだと鳴歌は語った。しかも、灼滅者たちが普段から探索している場所でボスを倒して帰ってくる、という大胆なものだ。
    「なので、今回は一般人の犠牲はない。でも……今なら敵が不利な状態で戦えるはずだわ。次の成果に繋げるためにも、みなさんの力を貸して欲しいのよ」

     灼滅者たちは、事前にどこかを拠点に定め、やって来たダークネスを迎え討つ事になるだろう。それらはすなわち、六六六人衆、アンブレイカブル、羅刹、デモノイドロード。
     が……やって来た全ての予選参加者を灼滅するのは現実的とは言えるまい。
    「それに、あまりに予選通過者が少ないと判れば、ダークネス同士も共闘しないとは限らない、とわたしの占いには出ているわ! ボスへの最短ルートから少し外れた場所に陣取るとか、予選を突破させても問題の少なさそうな弱いダークネスだけを見逃すとか、そういう策も必要になりそうね」
     そう鳴歌は語ったが、エクスブレインが予測できるのはここまでの事だ。
    「ダークネスが、実際どんな順番でやって来るのかは、わたしの占いでは見通せないの。内部構造もエクスブレインには知ることができない……きっと、みなさんの方がよっぽど上手く作戦を立てられると思うわ」
     それから彼女は、期待してる、と付け加えた。


    参加者
    新城・七葉(蒼弦の巫舞・d01835)
    黒鐘・蓮司(グリムリーパー・d02213)
    備傘・鎗輔(極楽本屋・d12663)
    竹尾・登(ムートアントグンター・d13258)
    黒岩・りんご(凛と咲く姫神・d13538)
    迦具土・炎次郎(神の炎と歩む者・d24801)
    黒揚羽・柘榴(魔導の蝶は闇を滅する・d25134)
    水霧・青羽(幸せの青い鳥・d25156)

    ■リプレイ

    ●世界救済タワー3F
     愉しげな歌と共にアムドシアスの姿が消えた後、辺りは再び静けさに包まれた。
     真っ直ぐに続く廊下の右側に、閉じたままの扉が二つ、佇んでいる。黒鐘・蓮司(グリムリーパー・d02213)が後ろを振り返って見れば、左にはもう一枚の閉ざされた扉、そして右に開け放たれたもの……彼らがつい先ほど通って来た道だ。
    (「……そーいや、いましたっけね。こういうトコを好しとする連中」)
     予選参加者でもない住民どもは、早急にバラしてしまうに限る。が、かといって余計な奴らと戦う労力も面倒なので、蓮司は軽く前の仲間を小突き、先に進むように促すのだった。

     音を立てて扉が開く。
    「奥のサイキックエナジーには触れないようにね」
     竹尾・登(ムートアントグンター・d13258)はそれだけ言って、部屋の中を物色し調べ始めた。
     何度も見慣れた光景ではあるが、隠れ家にするのは初めてだ。立ち並ぶキャビネット内には潜めるのだろうかと調べていた最中……棚板がべこりと音を立てる!
    (「……しまった!」)
     血相を変えた登……の顔の前に、ぬっと親指が立てられた。
     手から腕、腕から体へと辿ってゆけば、無言で立つ備傘・鎗輔(極楽本屋・d12663)の巨体に辿り着く。恐らくは、音は封じてあるから大丈夫だと言いたいのだろう。
    「それにしても」
     鎗輔は辺りを見回して口を開いた。
    「ダークネスが、たかが一般人の提案を飲んで、囚われる危険を冒してブレイズゲートに来るなんてね」
    「本当ですね」
     爪を見つめて黒岩・りんご(凛と咲く姫神・d13538)は思う。この暗殺武闘大会に、ダークネスは何を求めて命を賭すのだろうか? そして、彼女の中の鬼――『鬼九』は、一体何を欲して参加したのか?
    「お互い、妙な形で関わっちまった身だからなぁ。あーもう、全部宍戸の手の平の上って感じがして気に食わねぇ」
     彼女の複雑な心中を察すれば、水霧・青羽(幸せの青い鳥・d25156)も苦笑いを浮かべるばかりだった。ちらりと、黒揚羽・柘榴(魔導の蝶は闇を滅する・d25134)の方を見る……あの時、青羽のダークネス人格と共に生贄の儀式に臨んでいたのは、彼女の闇、『デモンアイズ』に他ならなかったのだから。
    「お二人もそうでしたね……奇遇というかなんというか……」
    「迷惑をかけた分、ダークネスをいっぱい灼滅しないとねっ!」
     困ったような笑みを浮かべるりんごに、拳を握り、力こぶを作って答える柘榴。
     力強くその意志を露にした瞬間……目つきを険しく変えた迦具土・炎次郎(神の炎と歩む者・d24801)の指先が、彼女の肩を鋭く突く!
     接触テレパスのためとはいえ女の子をつついてしもうて悪いなあ、という気まずさを押し隠して伝えられる……すぐに、そこそこの強さの敵が来るかもしれない、と。
     応じて、一匹の蛇が顔を出す。向こうには、床の仕掛けに気づかなかったらしく、手刀で扉をこじ開けようとしている男。
    (「力は強そうだけど、奇襲はしやすそうなアンブレイカブルだね」)
     蛇は、新城・七葉(蒼弦の巫舞・d01835)の姿に変わる。一般人のいないこの場所ならば、男が扉を破るより早く、ただ叩き潰しておけばいい。
    「灼滅者め、邪魔はさせんぞ」
     ギロリと睨みつける挑戦者。だが七葉の炎の弾丸が、文字通りに戦の口火を切る!
    「それじゃあ、燃やすよ」

    ●第一の挑戦者
     バチバチと爆ぜる銃弾が、男の血潮を真っ赤に燃やす。それでも男は爆炎の嵐を、何事もなかったかのように突き抜けんとした。
    「灼滅者風情に……用はない!」
     闘気を纏った鋼鉄の拳。けれど、七葉がその鋼を貫いた事を、認めぬは当の男のみ。
    「火を生み給ひて 御保止を所焼坐しき……」
     炎次郎の結界が燃え上がり、男の行く手を妨げた。結界を力任せに殴りつけ、足を僅かに止めたのみで突撃を継続する男の……一瞬の躊躇をりんごは逃さない。
     左の腕を袖より抜いて。胸のさらしもはち切れよとばかりに、その腕を膨らせ鬼と化す!
    「止まるものか!」
     男は叫んだ。もっとも彼の勢いは、当初とは比べるべくもないのだが。
    「迎え撃て、ダルマ仮面!」
     気弾を溜めながらの登の声に、愛機は男の動きを完全に止めた。凹んだボディを痛々しげに眺めたのも一瞬のこと、いざ、先輩にして友たる鎗輔と共に、早急に一人目を撃破せん!
    「予選突破は俺のものだ!」
    「きっと、戦いの果てにあるものはよっぽど凄いものなんだろうね……興味ないけど」
     鎗輔、男を蹴り燃やす。男は暴れて闇雲に、とにかく一番倒しやすそうな相手への攻撃を続けたが……一本調子の攻撃が、サーヴァント五体に青羽を加えた壁を抜けるわけもなく。
    「確かに重い攻撃だな。でも……悪魔だった時と違って、俺らは利用しあうんじゃなくて協力しあえるんだ」
     青羽の腕に柘榴のダイダロスベルトが巻きついて、男の殺意を和らげた。たとえ今一度仕掛けてこられようとも、敵の拳は今よりもさらに勢いを減ずるだけだろう。
    「これが、灼滅者の連携だよっ!」
    「知った事か!」
     男はそう気炎を吐いた。その単純すぎる思考回路は、蓮司の闇をざわめかせるにも至らない。
    「後は、削いで抉ってバラして、サッサと殺っちまいましょー」
     気だるげで無表情なナイフの一撃は……それ以上に、男に対して無慈悲だった。

    ●次なる戦いに備え
     初戦は、快調な滑り出し。けれどもその後の運命の女神は……決して、灼滅者たちの都合のいいようにばかり微笑んではいなかった。
    (「アレも、出て行くほどの相手には見られへんなあ」)
     部屋の中に、何の思慮もなさそうにずかずかと入り込んできた羅刹を一目見て、炎次郎は二連続で外れかと溜め息を吐く。
    (「前のロードより見込みなさそうっすね」)
     蓮司も面白くなさそうに。目的に知能が伴わないチンピラ羅刹は、不用意に部屋の奥のサイキックエナジーに触れ、どこからともなく現れたゲート住人らを相手に、灼滅者たちの隠れたキャビネットの中にまで響く音で無駄な戦いを始めたところだ。
    (「こんな早くからの消耗は、得策ではないはずなのですけれど」)
     そんな事すら解らぬ相手に発見されなくてよかったと、りんごは胸を撫で下ろしていた。全体としては有利に進んだ最初の戦いではあるが、少しばかり回復に重きを置きすぎて、時間は想定よりも過ぎている。その分増えたサーヴァントの疲弊を、放っておけばいつか死ぬような相手に増やすのは得策じゃない。
    (「でも、心霊手術の時間を取れたのが不幸中の幸いだね」)
     登には、ほぼ戦闘前の万全の状態に戻った青羽の姿が、随分と頼もしいように見えた。次の戦いも、その次も、七葉と同じように蛇になり、揃って隙間に身を潜めた青羽と柘榴は、その紡いだ信頼を、必ずや形にしてくれる事だろう……きっと鎗輔が登にそうするように。
     もう一度、他者をいたぶる快楽に囚われた別のデモノイドロードが通りかかって、無益な虐殺を愉しんでから去ってゆく。
     それから少し時間が経った頃……不意に、恐るべき『圧』がタワーを震わせるのだった。

    ●強大なる力
     静かに佇む全身は、不可砕の赤銅に色を染め、鋼を越えて金剛石。険しき視線はそのものが、弱者を竦ませる呪縛となす。
     これが鍛錬の極致の一つである事は、素人目にも疑いようあるまい。もしもこの男から目を背け、みすみす先に向かわせたのなら、本選にて血の雨が降るのは必定。そしてその敵は今まさに、灼滅者たちの隠れる部屋になど目もくれず、正しき部屋の扉に手をかけんとす!
    (「これは、逃がすわけにはいかない相手かな」)
     再び七葉は変身を解いた。前と同じように武器を構えた瞬間……男の右手は回しかけたノブを放棄して、無造作に七葉への直線を描く!
    (「疾い……」)
     青羽がもう一つ後ろのキャビネットに隠れていれば、軋むのは七葉の頭蓋骨であったやもしれぬ。だが、今、敵の握力を支えているのは、青羽の腕の骨だった。
    「……つーか、この暗殺武闘大会って何が目的なんだよ」
     そんな減らず口を封じるために、男の空いた左手が伸びる。けれど、その行く手を妨げるのは、赤黒く輝く五芒星!
     舞い込んだ呪符の周囲に展開されてバチバチと激しく明滅する魔法陣に弾かれて、男の指先は空を切った。邪魔のやって来た部屋へと目を遣れば、黒揚羽蝶の羽を背に広げ、キャビネットの上に仁王立つ、怒りを露にした戦闘魔術師の姿!
    「たった一人でボク達に勝てるだなんて、思わないほうがいいよっ!」
    「それとも、アンブレイカブルが数で攻めるのは卑怯とでも言うのかな?」
     登だって。ダルマ仮面も鎗輔もいる限り、彼は強敵なんかに負けやしない。そんな闘志が白く立ち昇り、弾けたように一路、男を目指す。
    「下らぬ。言葉のみならず、自ら証明してこそ『強さ』というもの」
     短く語った男が無造作に投げつけた青羽の体を、鎗輔は掴んで気弾から逸らした。その反動を勢いに変えて、彼は登の気弾を追うように、分厚い本をも断ち切る鉞を男へと叩きつける!
    「けれど、効いた……とは簡単には言わせてくれないみたいだね」
    「次は、誰だ?」
     鎗輔を無視し、男は部屋を見渡した。その横合いを、七葉の至近よりの銃弾が襲う。
    「大会で優勝すると何か貰えるの?」
    「尋問は、相手に膝をつかせてからするものだ」
     男が筋を盛り上がらせれば、灼滅弾は排出される。でも、ならば膝をつくまで浴びせればいい。
     炎次郎の霊犬『ミナカタ』が、男が主の張った結界を破るついでに殴られた。けれども処刑人の報復の剣は、この男にはありえぬはずの一瞬の気の遅れを突いて、拳にみなぎりし力を萎えさせる!
    「……いい感じのタイミングでしたかね。こっから気ぃ引き締めて殺りましょーか」
     いつの間にか男の後ろにいた蓮司の指先で、一度、ガンナイフが回転した。
    「よう、あそこからそこまで回り込めたものや」
     自然、炎次郎の口許は綻んでゆく。いかに鉄壁のアンブレイカブルとはいえど、『鉄壁』は『無敵』にはなりえない……でも。
    「互いに互いを庇いあい、数にものを言わせて我が道を往く。成る程、実に理に適う」
     男はそう頷いた直後、建物全体を揺るがすかの如く、獣のような咆哮を上げた。
    「だが……そのような児戯は、このタワーに巣食う分割存在どもと同じ浅ましさであると知れッッ!!」

    ●死闘の果てに
     それが、圧倒的強者の遣り方であった。
     攻撃が分散させられるのなら、全てを弱らせててから刈ればいい。与えた傷がすぐに塞がれるのなら、塞げぬほど深く抉ればいい。
    「その分厚く見える守りこそが、お前たちの弱点であると知れ」
     不運な『ノエル』の頭を鷲掴んだ男。その姿が、りんごには悪夢のようにおぞましく見えた。自己のため平然と他者を踏みにじるダークネスの笑みは、鬼九として人命を喰らう彼女自身を映す鏡か。
     まるで、自分が自分のまま鬼にさせられたような感覚。だとしても、刃には動揺を乗せるまい。一番の怒りにうち震えている者は……本来ならば、自身の分身を目の前で握り潰された、他ならぬ七葉であるべきなのだから。
     けれど、怒りは七葉を支配しなかった。
    「逃がさないよ」
     表情薄く撃ち込まれる弾丸は、激情ゆえの力はなかれど、道を誤る事もない。
    「悪うない戦い方や」
     炎次郎の炎が燃え上がる。七葉が知らぬ情動の力は、困った事に、敵が邪悪であればあるほど彼を突き動かしてくれる。
    「俺は怒りに駆られてるんやない、仲間に足りない分を補ってるだけや」
     出来の悪い冗句はそれでお終い、剥き出しの憎悪が敵を灼く。我流に近い炎の剣技は、男の肌に焦げ目を刻み込む!
    「次!」
     男の怒号! 鎗輔の『わんこすけ』は青羽を守り、一時、その役目から解放された。
    「これじゃ、回復してる暇もない」
     別に好きでもない霊犬のために溜めた古書の香は、仕方なく鎗輔の栞剣を安住の地と定める事にする。すると古本市場のご当地武器は、その埃くさい誇りをもって、男の求道を妨げる。
    「次!!」
     続いて消えた『ブラン』。これには青羽も顔をしかめざるを得ない。
    「いっそ、他の予選参加者ごとここに囚われてくれねぇかな。宍戸ごと」
     他のサーヴァントまで消されたら、次は彼の番だろう。幸い、柘榴の仕事は完璧だ。だからこそ途中で倒れるとすれば、それは心残り以外の何物でも……。
    「じゃあ、ボクも役割、やめよっか」
     柘榴の勝ち誇った声の調子が、青羽の思考を妨げた。友と罪悪感を分かちあい、強大な敵を滅ぼせるのなら、回復しきっても幸運狙いになる回復を続ける意味はない。
    「ここからが本当の短期決戦、ってところかな」
     ロケットハンマーを猛然と振り回す登。ダルマ仮面、ミナカタ、そして青羽……守りの要を失ったとて衰えぬ闘魂が、敵の闘争心と交差した瞬間……。
    「全滅する前にバラせりゃ十分なんだから、まだまだ殺ろうと思えば殺れるっしょー」
     のらりくらりとして見えて、その実、同じところばかりを狙った蓮司のナイフが、ついに男の腹筋を致命的にこじ開ける!
    「が、所詮は鼬の最後っ屁よ!」
    「そうかな……?」
     直後吹き飛ばされた登の顔に浮かぶは、勝利への確信。鎗輔と仲間への強き信頼。
     そんな倒れ際の信頼に値するのなら、りんごは鬼でなく、れっきとした人であるに違いない。
    「皆の想いに応えるため……」
     りんごの『美女桜』が一閃し、金剛の肉体を両断す……。

    ●本当の最後っ屁
     一つの戦いにて倒れる事は、永遠の敗北を意味しない。特に、倒れるか否かの際どい戦いの中で、不運にも倒れただけに過ぎぬなら。
     満身創痍の皆を見回して、炎次郎は苦笑した。
    「半分倒れたらって撤退条件には、一応はなっとらへんやろなあ」
    「……そっすね」
     蓮司の素っ気ない答えの中にも、『たった今倒れている人数』で数えるのが詭弁である事への承知が含まれていた。
     それでも、灼滅者たちは戦いを選ぶ。
    「確かに、俺たち自身には倒せないかもしれない。でも、ブーネだって偶には殺したいだろう」
    「青羽君がまた倒れる覚悟でそう言うのなら、ボクとしてはもちろん大歓迎だよっ!」
     青羽と柘榴がそう主張するのなら、りんごも力を貸さねばならぬ。こんな大会を認めるつもりはないが、鬼九が参加していた以上、最後まで責任を取るのが彼女の務めゆえ。

    「残念……ここまでかぁ! 鎗輔さん、オレの回収は任せるよ」
     新たな敵との戦いのさ中、刺し違えるように倒れた登を担ぎ上げると、鎗輔は力任せに窓の外へと放り投げた。次の敵がどんな奴かは気になるが、これで半分が窓の外。継戦は本当に不可能だ。
     追って、次々に飛び出す灼滅者たち。
    「ん、これで結構相手を削ったかな。このあたりで、お疲れ様」
    「……これが潮時ってヤツですかね。行きましょう」
     七葉、そして蓮司が最後に窓から飛び降りてゆき……後には、遣る瀬ない徒労に見舞われた敵だけが残された。

    作者:るう 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年12月13日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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