「あけましておめでとうございますわ、皆様。今年は酉年、皆様にとって雄飛の一年となりますことを、心からお祈り申し上げます」
と、鷹取・仁鴉(高校生エクスブレイン・dn0144)は恭しく一礼。面を上げた笑顔は、実に晴れやかな物であった。
「さて、シャドウとの決戦を前に、皆様の代表が朱雀門との共闘を求めて交渉に赴きましたことは、皆様ご存知の事かと思います。その結果として、爵位級ヴァンパイアが決戦に合わせ、武蔵坂学園に攻め入る計画を立てていることが判明しましたの。
朱雀門の会長からは、『武蔵坂学園がソウルボード内で決戦を行う』という偽情報を流した上で、先方として朱雀門全軍を率いて攻めるということも。
そして、『朱雀門の軍勢が武蔵坂の奥まで侵攻することを確認』した時点で、爵位級の軍勢が攻めてくる手筈であるようですわ」
黒板に細菌を捕食するマクロファージのような図を描いて、仁鴉は説明を続ける。
「武蔵坂が採るべき選択は3つ。
1つ目は、先鋒である朱雀門全軍を撃退すること。
朱雀門を撃退すれば、爵位級ヴァンパイアは攻めてくることはありません。が、シャドウとの本当の決戦時に介入してくる可能性が高くなりますの。
2つ目は、朱雀門全軍を学園の奥まで侵攻させ、爵位級ヴァンパイアの軍勢を誘い込み、爵位級ヴァンパイアの軍勢をできるだけ多く撃破すること。
これが成功すれば、シャドウとの決戦時に爵位級ヴァンパイアが介入してくるのを防ぐ事ができるでしょう。
最後の3つ目は、朱雀門高校の軍勢を引き入れた後にだまし討ちにし、その後侵攻してくる爵位級ヴァンパイアも撃破すること。
成功すれば最大の戦果を得る事ができますが、かなり危険な賭けになるかもしれません」
仁鴉は資料の束をめくると、3つに増えたマクロファージのうちの2つを消した。
「この年末年始で、皆さんにどの選択肢を選ぶか話し合いと投票をしていただいた結果、武蔵坂学園は『朱雀門高校の提案を受け入れ、爵位級ヴァンパイアを誘き出して灼滅する』作戦を採ることに決定いたしましたわ。
きたるべきシャドウ、デスギガスとの決戦時に、爵位級ヴァンパイアからも襲撃があれば、防ぎきることはおそらく不可能ですの。ですから、この選択は止むを得ない所でしょう。
……ただ、朱雀門高校の魂胆がこちらをだまし討ちにしようというものでしたら、大変な危機に陥りかねません。要警戒、といったところですわね」
「さて、決まったからにはこちらも最大の戦果を挙げるべく、前準備を欠かさず行っておきたいところですわね。この戦いで、数多くの爵位級ヴァンパイアを灼滅する事ができれば、後々の爵位級ヴァンパイアとの決戦でかなり優位に立つ事になるでしょうし、ね。
爵位級ヴァンパイアの有力な敵は、『バーバ・ヤーガ』『殺竜卿ヴラド』『無限婦人エリザベート』『黒の王・朱雀門継人』であるとであると想定されます。これらに配下の吸血鬼や眷属などが従い、軍勢を形成しているようですの。
どのダークネスを作戦目標をにするかは、皆様で話し合い、決定してくださいませ」
これらのヴァンパイアがどのようなものであったか……戦いの記憶を呼び起こす者、紡がれた記録に頼る者と、それぞれ知る方法は様々だ。
「爵位級ヴァンパイアを撃退するには、3~5チーム以上で力を合わせる必要がありますわ。灼滅にまで追い込むには、更に倍以上の戦力が。ですが、優れた作戦があれば、より少ない人数で灼滅に追い込む事が可能になりますの。
爵位級ヴァンパイアと配下の吸血鬼戦力を分断できるか否かが、作戦の分水嶺になるかもしれません」
「……以前もこうやって、武蔵坂の防衛戦を行ったことがありましたわね。前回と同じく、今回もこちらが勝利を収めることをお祈りしておりますわ」
参加者 | |
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十七夜・奏(吊るし人・d00869) |
奇白・烏芥(ガラクタ・d01148) |
鹿島・狭霧(漆黒の鋭刃・d01181) |
藤谷・徹也(大学生殺人機械・d01892) |
シェリー・ゲーンズボロ(白銀悠彩・d02452) |
ヴェルグ・エクダル(埋み火・d02760) |
漣・静佳(黒水晶・d10904) |
カーリー・エルミール(元気歌姫・d34266) |
●『協力』
敷地内に侵攻した朱雀門高校によって、武蔵坂学園の校舎は、未だかつてないほどに痛めつけられていた。
「ははははは、愚かな灼滅者め! 惑え、苦しめ!」
というヴァンパイアが、手当たり次第に窓ガラスを割って回り。
「オラオラオラオラァ! どうした小僧、こんなもんでオシマイかぁ?」
と校舎の壁にタイマンを挑む羅刹もいれば。
「ふん、この程度か。人間の被造物とはあっけないものだ」
向こうではデモノイドロードが、水飲み場を奇妙なオブジェクトに変えていたりもした。
これらの蛮行の前に、しかし、人的被害は一切出ていない。
もとより校舎は無人であるということもあるが、これは『朱雀による侵攻の偽装』だからだと、灼滅者たちは判断していた。
「これ、朱雀門側の作戦とか、やつ当たりとか、そういう何かじゃないよね?」
カーリー・エルミール(元気歌姫・d34266)は、あはー、と、目の前の景色を冷や汗付きで眺める。そういう何かじゃないことは自分でも分かっているが、……その、好き勝手にされるのは見ていてあまり気持ちのいいものではない。
カーリーはすこしハラハラした。
朱雀門の監視のために配置された灼滅者は、2チーム16名に上る。
一塊となって朱雀門を出迎えると、その軍勢の中からひとりのダークネスが現れた。
――オオオオォォォォ!
歓声を背に佇むのは、ルイス・フロイスである。
漣・静佳(黒水晶・d10904)らがその応対をしようと前に出る間、他の灼滅者達も監視の目を光らせつつ、同行する有力ダークネスの戦力確認を抜け目なく行っておく。
先に口を開いたのはルイスであった。
「私の提案を受け入れてくれてありがとう。この後は、君達の指示に従えばいいのかな?」
「……はい。以後は、私達の指示に、従ってください」
静佳は言葉を慎重に選び、返答する。鸚鵡返しに言ったのは、警戒の表れ。
(「本人、よね。できれば、替え玉じゃないと、証明してもらいたかったのだけれども」)
静佳には他にも朱雀門の事で個人的に確かめたいこともあったのだが――。
ルイスが言葉を続けた。
「とりあえず、戦闘中であるように示さなければなりませんので、しばらくはこのまま、攻撃を続けさせてもらいましょう」
と、こちらは藤谷・徹也(大学生殺人機械・d01892)が答える。
「戦闘偽装は、作戦の遂行に必要不可欠であるとこちらも認識している。協力させてもらおう」
この『協力』という言葉を、淡々と、アクセントをつけずに話せるのが、徹也という戦闘機械の利点である。
灼滅者達がこれから行おうとしていることは、偽装とはいえ、見ようによっては真っ向からの武力示威に他ならないのだから――!
「……起きろ、起こせ、ユリ!」
奇白・烏芥(ガラクタ・d01148)とがいち早く行動した。
烏芥の振るう怪談蝋燭の青白い炎が、誰もいないスペースに無邪気な和人形達の幻影を浮かび上がらせる。和人形達は和気あいあいと踊ると、しかしすぐに消えた。
「……ええ、そうでしたね。……これは虚偽、空言、ならば夢幻のごとくに」
百鬼夜行の消失した間隙に、ルイスの傍らにいたヴァンパイアがニヤリと笑って武器腕を叩き込む。次はこちらから、と、しばらくの間、空間への攻撃の応酬が続いた。
把握できた朱雀門側の戦力は、非常に強大なものであると言わざるを得ない。
有力なダークネスだけを挙げても『ルイス・フロイス、ロード・クロム、鞍馬天狗、うずめ様』の4名が参戦している。それらの配下として、朱雀門の吸血鬼、デモノイドロードとデモノイド、天狗に似た外見の羅刹、刺青羅刹などが揃っており、――もしも裏切りが発生したとしたら、到底この人数で抑えきれる戦力ではない。
おそらくだが、今攻めてきている爵位級ヴァンパイアと比べても、その3割程度の勢力はあるのではないだろうか。とすれば、仮に9名の闇堕ち灼滅者が全て味方となったしても、どうしようも無い。
それを利で繋ぐのだ。様々な意味で、武蔵坂学園としても十全に力を発揮せねばならないだろう。
まずは、朱雀門の軍勢を最適な地点へと案内することからだ。
●『提案』
「……しかし」
十七夜・奏(吊るし人・d00869)は教室の窓から飛び降りると、間髪入れずに隣の校舎へと飛び移る。破れた窓枠に足をかけて、心中で溜息をついた。
「……怠ける隙も無いとは、難儀なものです」
「えー? サボんないよう、だってガッコーぶっ壊せるなんてレアだしー?」
そちらでも別のダークネス達が、矢鱈に偽装の破壊活動に勤しんでいる。
これはこれで想定の範囲内であるので、奏は女子生徒風の刺青羅刹の絡みを無視して、別の場所に移動した。
彼らはルイスの統制下にはあるものの、有力なダークネスが手勢を引き連れて別行動を取らないかどうか、その行動を把握しておく必要がある。
ルイスからも目を離せないことを含めると、灼滅者達は手分けしての監視をしなければならなかった。
それがあまりにも忙しいため、戦闘行動はほぼ朱雀門側任せとなる。
例えば、前線を突破してきた爵位級の軍勢を、掃討して撃破することなども。
「――あの黒馬、ヴラド遊撃竜騎兵か。生かして返すな、デモノイドどもッ!」
「ヴォオオオアアアア!」
屋上から見下ろす男性デモノイドロードが指し示す地点を、校舎から一斉に飛び出したデモノイド達が量で圧し潰した。そこには確かに、デモノイドロードの言う通り黒馬に乗ったダークネスがいたようだが、もはや跡形もない。
「フン、功を焦るからそうなる。……それで? 共闘というのは、私の聞き違いだったか?」
「今のは必要なかっただろうが。オーバーキルだ、見りゃあわかる」
デモノイドロードが皮肉げに話しかけてくるのを、ヴェルグ・エクダル(埋み火・d02760)は腕を組んで流す。忙しすぎてそんな暇がなかったというのが正確な所だが。
「ま、正直あまり気は進まねえが、その時が来たら守ってやるよ」
「守る。守る! 嬉しいねえ、灼滅者に守られるなんて、ハハ、まさに語り種だ!」
ヴェルグはそう笑うデモノイドロードの表情を見据え、正面から堂々と探る。自信に満ち溢れ、何かを隠す様子もなく、つまりただ自分との会話を余得として楽しんでいるようだった。
複雑な気分である。
ルイスの周囲は、その重要性から常に複数の灼滅者達が詰めていた。
朱雀門監視班が最も恐れることは彼の裏切りであるため、雰囲気はかなり張り詰めたものとなる。
とはいえある意味では、今のルイスは学園の客人でもあるのだ。シェリー・ゲーンズボロ(白銀悠彩・d02452)はせめてものもてなしにと、どこからか座布団つきの椅子を調達してきたが、結局誰にも使われずじまいであった。
そんな中ふと、少しいいだろうか、とルイスが手を挙げた。
「この場所に朱雀門の全軍を配置するのは過剰戦力ですね。爵位級との戦いには参加できませんが、それ以外の拠点防御なども、手伝わせてもらえないだろうか」
「それは……! ごめん、即答はしかねるよ、さすがに」
と、シェリーが難色を示すのも無理はない。
それ以外の拠点防御とは――ルイスがどこまで把握しているかは不明だが――サイキックアブソーバー、エクスブレインやラグナロクといった武蔵坂の重要人物、そして朱雀門瑠架の警護の3か所が該当する。
単純な戦力としてだけ考えるなら、遜色はない。が、これらは武蔵坂にとって、アキレス腱ともなりかねないポイントだ。
もしも朱雀門が裏切ったとしたら? その疑念を払拭する材料は……。
ルイスは続けて提案する。
「勿論、武蔵坂の防衛戦力以上の戦力とはならないようにしますし、指揮は武蔵坂から来ている闇堕ち灼滅者達に取らせます」
「…………」
同席する鹿島・狭霧(漆黒の鋭刃・d01181)も、その内容を熟考していた。
「あなた方がダークネスを信頼しないのは当然の事ですが、ダークネスといえども『相応の理由があれば、約束を破らない』ものですから」
狭霧は悩みながらも、この場で出せる結論を提示する。
「相応の理由があれば、か。うー……、いいでしょう。
結果の確約はできませんが、各拠点にこちらが通信で打診します。席を外しますね」
手近にいた灼滅者と配置を交代すると、狭霧は無線機を用いて、件の3拠点へと通信を飛ばした。
「ネーベル・コマンドより各班へ。目標より拠点防衛戦力の補佐の提案。繰り返す、目標より拠点防衛戦力の補佐の提案あり……」
結局、3箇所とも断った事をルイスに伝えると、次は『武蔵坂学園から来ている闇堕ち灼滅者のうち2人を爵位級との戦いに参加させる』との提案が出てきた。
2人だけならば問題無いということで、こちらは受けることとなる。
●『共闘』
灼滅者達がある程度監視に慣れてきてからは、朱雀門の迎撃部隊に混じって、爵位級の軍勢を迎撃をすることもあった。
「こっち! タトゥーバット来てるよ!」
教室の窓から顔を出した女子生徒ヴァンパイアが叫び、同時に遠距離サイキックで迎撃する。その打ち漏らしに対応したのは、奏と狭霧だった。
「……見覚えのある、あの制服。……いやはや、奇縁ですね」
呟きつつも奏は、校舎の壁を駆け上がり踏み切り、空中のタトゥーバットを2本のナイフで十字に切り裂く。
着地した奏にタトゥーバットが群がってくるところを、狭霧のヴェノムゲイルが一網打尽にした。
「相応の理由があれば、約束を破らない、か。信じていいのかしら、今だけでも」
見上げた窓の女子生徒ヴァンパイアは、親指を立てて教室内に引っ込んでいく。次いでベコベコになった机が降ってくるのは、まあ、仕方のないことだろう。
「――だーから、わかってねーなあカタブツ。会長には護衛なんて必要ねーんだから、お前もこっち来て、偽装と迎撃やらねーか! つか、裏切らねえって!」
「事態の正常な進行のためだ。すまないが、あまり自分の任務を疎かにはできないのでな」
刺青羅刹に誘われている徹也は、しかし己の任務を遂行すべく、それらを丁重に断っている。代わりに烏芥が、名乗りを上げた。
「……仕方ない。……軋む前に油を点すのも、役割です」
頼みを聞く体で、実際には予定通りの行動として、刺青羅刹の監視に向かう烏芥であった。
「うずめ様は、そこですね。デモノイドロードの位置は、誰か、わかりますか?」
静佳は戦場を見回す。遮蔽物が多いため、有力ダークネスをちょくちょく物理的に見失うことがあり――と、そこに通りすがった一匹のデモノイドが、腕を伸ばし上の方に向けた。
「…………」
「ええと、そこに、いるの? ……ありがと、う?」
「…………」
デモノイドはまたのしのしと、どこかへと歩いていく。……と。
ドゴゴゴゴゴゴゴ!
バッファローが爆走するような騒音が、校舎を震わせ始めた。どこからか監視の声が響く。
「出たぞー! あの図体は、バーバ・ヤーガの『鶏の足の小屋』だ!」
「え、鶏の足の小屋? いつも思うけど、名前だけは夢いっぱいだよね、こいつ!」
何かを期待する表情で、カーリーが颯爽と鶏の足の小屋の行く手に立ちふさがった。他にも続々と、朱雀門の迎撃部隊が並び立つ。
「って、知ってたけどー! 牡蠣小屋みたいにフライドチキンで一杯の小屋じゃなくて、チキンレッグの生えた小屋なんだってー! もーっ!」
「ええ……ホントにね……ホント名前負け……ときめきを返して」
「じゃあ、オレらで一斉に潰すか。いっせーの!」
せ! で集中攻撃を受けた鶏の足の小屋は、カーリーの追撃で無事灼滅されるのであった。
「ハハ、見たまえ、また君の言う所のオーバーキルだ。はたして本当に来るのかねえ? 君が、私を、守る瞬間が!」
「……わざわざそれ言いに来たってのかよ、お前。よほど暇なんだな? じゃあ働け」
見下ろす位置にあった教室で、ヴェルグと例のデモノイドロードは皮肉たっぷりの会話を交わす。両者の間にあるべき剣呑さが、若干ながら薄れているように見えるのは、気のせいだろうか――。
(「――いや、気のせいじゃないかもだね、これは」)
と、デモノイドロードの監視についてきたシェリーは、彼らの一部始終を見てそう感じ取っていた。敵の敵は味方、呉越同舟、そんな言葉が頭をよぎる。
用心しておかないといけない。相手はダークネスだ。過剰な慣れ合いは、不利な結果を招くかもしれない。不敵に笑うヴェルグに、こっそりそう伝えようとして。
「……まあ、本当に喧嘩にならないなら、いいけどね」
なんとなく、やめた。
爵位級ヴァンパイアが撤退したという連絡が入ったのは、それからしばらくしてからのことだった。
●『戦果』
「撤退……ようやくか」
これで、武蔵坂にとっての懸念事項が一つ消えたこととなる。油断のない程度に気を緩める灼滅者達だったが、ルイスは違った。
その後も次々と続報がくる。4体の爵位級のうち、灼滅できたのは1体だけという情報を聞くと、ルイスは『当てが外れたような』表情をした。
そして、闇堕ち灼滅者のうちの一人が黒の王に寝返り、朱雀門の裏切りを告げたという報告もあり、こちらには『苦りきった』表情を見せる。
彼はしばらく考え込むと、7人の闇堕ち灼滅者達を呼び集めた。即ち、戒道・蔵乃祐、比良坂・柩、成瀬・樹媛、灰慈・バール、安楽・刻、月夜・玲、そしてエリアル・リッグデルムである。
この場にいないのは、爵位級との戦いに参加していた詩夜・沙月。そして、もう1人は――。
――ルイスは、朱雀門高校の闇堕ち灼滅者達を武蔵坂に引き渡すと告げた。
色めき立つ闇堕ち灼滅者達に、ルイスはこう言い含める。
「今回の戦果により、爵位級の勢力にシャドウ大戦に乗じて武蔵坂を襲う余力は無くなった筈だ。
君達からは武蔵坂学園の情報を貰ったし、武蔵坂との交渉の窓口にもなってもらいました。ですが、これからは、君たちを通さなくても交渉は可能になるでしょう」
つまり、朱雀門にとって、闇堕ち灼滅者に価値はなくなったということである。
いきなりのことに、ルイスに詰め寄るような反応を見せる闇堕ち灼滅者もいたが、この場で彼に攻撃を加えるようなことをするものはいない。
ルイスは話を続ける。
「なにより、武蔵坂学園側に、闇堕ち灼滅者の返還を望む意見があります。ここは、君たちを引き渡すのが朱雀門にとって、もっとも利益があると判断したわけです」
そして最後に、ルイスは闇堕ち灼滅者の一人一人と、じかに向き合い声をかけた。そこにどんな思いが込められていたかは、余人には察することしかできないだろう。
「君達には、今後とも武蔵坂の勝利の為に活躍してほしい。君達の活躍を祈っているよ――」
闇堕ち灼滅者達の拘束を終えたころ、ルイス・フロイスは武蔵坂を去っていくのであった。
作者:君島世界 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2017年1月20日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 7/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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