モテないおかめ顔に、現代の良さをアピール!?

    作者:芦原クロ

    『そなたら、わらわを侮辱しておるのか!?』
    「侮辱ってゆーか……だって、なぁ?」
    「うん、ブスだよな」
    『きいいいーっ!』
     着物の袖を噛み、悔しさを露わにする、おかめ顔の女性。
     一般人の男性2人を、センスでばしばしと叩いている。
     仲間たちを連れて、昼間の神社を訪れた春日・葎(インフィニティ・d24821)は、噂が既に都市伝説と化していることを理解する。
    「平安時代のおかめ顔の姫が、現代に紛れ込み一騒動起きる……そんな気がしていたんだ」

    「おかめ顔と云うのは、目は線のように細く長い黒髪で色白、下膨れの顔に鼻は小さくカギ鼻。そしておちょぼ口……平安時代では、美人とされていたんだよ」
     仲間たちに葎が説明していると、センスでばしばし叩かれていた一般人男性2人が、顔を真っ赤にさせて去って行った。
     葎はその様子を疑問に思ったものの、特に触れずにいた。
    『む!? そなたらも、わらわを侮辱しに来たのか!? まったくもって嫌な時代じゃ!』
     ぷりぷりと怒っているおかめ姫は、葎たちに気づくなり、迫って来る。
    「誤解されたままだと悲しいよね。どうだろう、みんな。現代の良さを、伝えてみないかい?」
     一応持って来ていたスイーツを取り出しながら、葎は仲間たちに声を掛けた。


    参加者
    芥川・真琴(日向の微睡・d03339)
    斉藤・春(冬色れみにせんす・d19229)
    春日・葎(インフィニティ・d24821)
    虹古・七星(虹色アストル・d25723)
    久寝・唯世(くすんだ赤・d26619)
    錦・凉衛(朧・d30615)
    鷺宮・蓮杖(原初の絶望・d32124)
    三鑑・冬士朗(宵の漆衣・d33320)

    ■リプレイ


    「生憎俺は人の美醜にゃ疎いんで、皆のように何処がどうって褒めも貶しも出来ねえが、人の美徳ってのは昔から変わらないんじゃねえかい。ふふ、簡単さ。人をそう叩いちゃいけないぜ、って事だ」
     錦・凉衛(朧・d30615)は、おかめに向け、拒絶はしないというように笑みを見せる。
    「醜女なんて……冗談でも言ってはいけないよ。僕、平安時代の美女は結構好きなんだ。姫と逢える事を楽しみにしていたよ」
     ストレートに思ったことを言葉にする、春日・葎(インフィニティ・d24821)。
     純粋な葎の、あまりのまぶしさに、おかめは迫る動きを止め、袖で目元を隠す。
    「はじめましてお姫さま。へー、昔のお姫さまってこんな感じなんだね。ん? バカにしてるとかじゃくて、可愛らしいなぁって」
     久寝・唯世(くすんだ赤・d26619)は挨拶をし、さらりと男前な発言をする。
    「ブスだの何だの、随分とひでェこと言う奴も居るもんだ」
    「今はなんでもかんでも盛って作ってって時代だしねー。姫さんみたいなのが逆に飾らない感じしていいと思うけど」
     三鑑・冬士朗(宵の漆衣・d33320)の言葉に、鷺宮・蓮杖(原初の絶望・d32124)が続く。
    「侮辱しにきたなんてとんでもない。俺たちの話を聞いてくれませんか?」
     おかめに自分のほうから近づき、にこやかに微笑む、虹古・七星(虹色アストル・d25723)。
     七星の言葉で、侮辱しに来たわけでは無いと分かり、おかめは怒りをしずめた。


    「おかめちゃんだー……このもちもち感は普通の人にはそうそう出せないよねー……」
     芥川・真琴(日向の微睡・d03339)はおかめに駆け寄り、おかめのもっちりした頬を触って堪能。
    「触っても怒らなそうならオレもまこまこと一緒に触るー。触らせてくれたらちゃんとお礼も言うー」
     真琴の隣で待機している、斉藤・春(冬色れみにせんす・d19229)。
    『な、なにをするのじゃ!?』
     センスでばしばしと真琴を叩き、巻き添えを食らってしまう春と、ナノナノのウララ。
    (「もう成人してるのに何やってんだろう」)
     唐突に素に戻り、恥ずかしさで顔を覆う、真琴。
    「恥ずかしがってる人へのキュアは、速攻でなく様子見してからやるな」
     冬士朗はニヤリと笑み、冗談半分に告げる。
    「あーはずかしいはずかしい」
     無表情で呟く春とは対照的に、顔を真っ赤にして猛スピードで飛び回っている、ウララ。
     ウララの愛らしさに、おかめは思わずセンスを引っ込めた。
    「あ、お姫さんすっごくキレイな黒髪。白い肌が一層映えてるし、うらやましい。いいなー。見て見て、俺なんてくすんだ灰色に直らない癖っ毛だよー?」
     その隙を見逃さず、蓮杖はおかめを褒め始める。
    『灰色の髪など初めて見るが、瞳の色の美しさで調和しておるな。くせっけとやらは分からぬが、個性豊かな髪型じゃのう。そこの娘も美しい髪の色じゃ』
     見たままに蓮杖と唯世を心の底から褒める、おかめ。
    「ねぇねぇ一緒にあそぼーよ。ぼくたちキミのこと、もっと知りたいんだ」
     知りたいと言いつつも、唯世は無表情だ。
     唯世の真意が読めず、首を縦に振ろうとしない疑心暗鬼のおかめ。
    「おかめちゃんレアリティ高いよー……」
    「オレももちもちしてそーなほっぺは好きだな、もち肌ー」
     恥ずかしい気持ちが治った真琴と春が、揃っておかめのもち肌を褒める。
    「絵巻物に出てくる女性はとても肌が綺麗だし所作も優美だよね」
     葎が頷き、おかめに向け、やわらかく微笑む。
    「姫さんの素朴な感じ、俺は十分に可愛らしいと思うけどねぇ」
    「ほら、絹のような白い肌に水も滴るばかりの黒い髪、すげー綺麗! そもそも、外見なんかで判断する輩の言葉なんて気にとめる必要はないですよ♪」
     冬士朗も褒め始め、七星が敬語を用いて明るく声を掛ける。
    「ガン盛りしてるJKのすっぴん見た事ある? あれ一種のホラーだよね」
     この流れに乗っておけば良いだろうと、蓮杖もあざとく、現代語をあえて交える。
    『じぇいけい? ほらあ? なにを言っておるのか分からぬっ』
     おかめに関心を抱かせたものの、センスでばしばし叩かれる、蓮杖。
    「あ……近づきすぎちゃった、はずかし……」
     蓮杖は赤面する顔を両手で挟み、純情そうな言動と表情を見せる。
     だが容赦なく、冬士朗を盾にする蓮杖。
     叩かれた冬士朗は、それまで浮かべていた笑顔をひきつらせてしまう。
    「あー、えーっと……」
     基本的に良く喋る冬士朗だが、恥ずかしくなってしまい、歯切れも悪く上手く喋れない。
    「期待通りに恥ずかしい気持ちになってくれた、冬士朗さんー」
     直ぐに治して貰った蓮杖は、無表情で拍手をする。
    「うっせェ、良いから早くキュアしろください!」
     照れ隠しで、ほぼ逆ギレ状態の冬士朗が、回復を要求する。
    「はは、こんなに一遍に口説かれちゃ、姫君も吃驚だな」
    『口説っ? は、はしたない!』
     おかめは、笑っている凉衛をセンスで叩く。
     凉衛の表情に変わったところは無く、いつも通り余裕の態度だ。
     けれど、無口になってしまった。
     まったく喋らなくなり、お茶を飲んでいる、凉衛。
     キレイと褒めてくれた七星までも、センスでばしばしと叩く、おかめ。
    「別に何も恥ずかしくねぇから! 待って、待って!」
     七星は恥ずかしくなっているのを誤魔化すのに必死で、口数が多くなってしまっている。
    「姫、貴女の噂を耳にしてからずっとお逢いしたかった。姿を見た事も無いのにこの瞬間を待ち焦がれていたんだ」
     仲間がセンスで叩かれていても、葎は気持ちを伝えずにはいられない。
     平安時代の和歌まで詠み、恋しい気持ちを紡ぐ葎。
     センスで、ばしばしと叩かれてしまう葎。
    「僕は何て気障な事を!? は、恥ずかしい……」
     赤面した葎は、自分の口元を手で覆い隠す。
    「そんなにぷりぷり怒ってないでさ」
     冬士朗がにこやかな笑みを浮かべ、おかめをなだめようとする。
    「昔と今とじゃ色々変わってるトコもあるしな。姫さんが警戒するのも分かるよ。でもさ、現代ってのもそんなに捨てたモンじゃないんだぜ。例えばさ、皆で遊べるカードゲーム。姫さんの時代にはまだ広まってなかったろ?」
     優しい口調で話し掛け、冬士朗はトランプを取り出して見せた。
    「ね、姫さん。気晴らしに少し俺たちと遊んでみない?」
    「古き良きもの、俺も大好きです。でもせっかくだから、色んなものを貴方に知って貰いたい。今日は一緒に現代の遊びをして楽しみませんか?」
     冬士朗の言葉に続き、恥ずかしさを治して貰った七星が、改めておかめに話し掛ける。
    「ふふ、良い子だ」
     センスをしまったおかめに微笑む、凉衛。
    「姫さん含め、初心者さんもいる事だしな。神経衰弱やババ抜き辺りなら、ルールも分かり易いかね」
     持って来た菓子を食べつつ、冬士朗が簡単なゲームをあげる。
    「そうだな。とりあえず最初はみんなで神経衰弱!」
     七星が明るく、カードをシャッフルする。
    「説明とかは他のひとに任せてたいきたいきー。神経衰弱するの? ババ抜きは? どれもオレつよいよー、絶対お姫さまにもまーけない」
     恥ずかしくなった仲間を一生懸命回復しているウララを、愛くるしいとばかりに見ていたおかめだったが、春の声を聞くと眼差しを春に移す。
    『現代の遊びは、強者弱者が関わるのじゃな』
    「ぼくもあんまりトランプしたことないけど。カンタンなあそび方位なら知ってるかなぁ」
    「ああ知ってる。姫君様、こいつは数字だ。これは一、これは二を意味する」
     唯世がのんびりと言い、凉衛は得意げに初歩的な事を教えるが、遊びのルールはまったく知らない凉衛だった。
    「姫、僕たちの今様の遊戯です。遊び方をご説明しましょう」
    「初めてのひとにもわかるよーに、どれ、ぼくがひとつお手本を見せよう。……おや?」
     葎が丁寧に教え、手本をつとめる唯世は最初からミスをし、首を傾げていた。


    「実家の茶屋で出してる和パフェなんてもんも有るんですよ。和を現代風にアレンジするのも素敵ですよ」
     七星はおかめに馴染みがありそうな抹茶や、餡とクリームの相性などを力説している。
     更に、カードゲームの順番はおかめの前になるようにし、おかめが楽しく遊べるよう、ヒントを与える形で、わざと違う数字をめくっている七星。
    「拮抗状態のハラハラってのも楽しんで貰いたくてさ。一方的な勝負より、そっちの方が面白いだろ?」
     冬士朗もわざと違う数字をめくったりし、手加減をしている。
     2人とも、なんとも良い気性だ。
    「おかめちゃんはさー……なんでこんなとこ来ちゃったのー……?」
    『わらわも来たくて来たわけではないのじゃ。よく分からぬ』
     真琴はカードをめくりながら、おかめと言葉を交わしている。
    「時代を超えて貴女とお逢いできて嬉しい。これも宿世の契りだったのかな?」
     平安時代の思想である、前世からの約束という意味を、さらりと口にする葎。
    「お姫さまはこういうお菓子知ってるかな? 甘いものといっしょに食べるとおいしいよ。それともこっちの方がなじみあるのかな? ない?」
     唯世は、スナック菓子やせんべいを取り出す。
    「オレは味が変わる飴玉あげる、科学の神秘。飴玉ならトランプをしながらでも食べれるし」
     春も飴を取り出し、おかめに渡す。
    「雛祭り……ひいな遊びの時期が迫っていますから、逢瀬に感謝して、この甘味を献上させていただきたい。桃の花を模ったケーキです。マカロンやシュークリームもありますよ。花のかんばせの貴女に」
     おかめに気づかれぬよう手加減しながら遊んでいた葎が、美味しそうな物を差し出す。
    「おっと、かぐわしの姫君への貢ぎ物まで出てきやがった。俺にはその恩恵は無いのかい」
     トランプに興味を抱いていた凉衛が、お菓子にも意識を向ける。
     おかめに甘く優しい仲間たちの雰囲気に笑みを自然と零し、さり気なく自分の分も求める凉衛。
    「姫君様、ほら、これも美味いぜ」
     未知の食べ物におかめが戸惑っているのを察し、凉衛は一口食べて安全性を伝える。
     おかめの友人のような感覚で、ともに現代の良さを楽しんでいる、凉衛。
     本当に現代人なのかと、おかめが問えば、凉衛は意味深に人差し指を立て、ミステリアスな笑みを浮かべて誤魔化す。
    「お姫さまばっかりお菓子いっぱいもらってずるーい。りつりつ、オレにもちょーだい」
    「ふふ、勿論春くんにも」
     口を開ける春に、嬉しそうにそっとあーんをする、葎。
    「おかめちゃんは違う時代に行ってみたいとか思ったのー……?」
     数回目の神経衰弱をしながら、真琴が問う。
     おかめが首を横に振るのを見て、真琴はぼんやりとした表情のまま、言葉を繋げる。
    「そう言えばおかめちゃん、お名前なんて言うのー……?」
    『そのおかめちゃんという呼び方で構わぬ』
     今更な質問だが、おかめは特に怒りもしない。
     神経衰弱が終わり、仲間の要望でババ抜きが始まる。
    「こいつを最初から捨てちまおう。ほうら、これで俺の勝ちだろう?」
     ルールを教わったものの理解出来ず、適当に理不尽なマイルールを発動する凉衛。
     当然、仲間たちからダメ出しを食らい、やり直すことになる。
    「お腹空いた」
     蓮杖は神経衰弱の頃からずっと観戦し、仲間たちが持って来たお菓子を食べている。
    (「楽しくて表情も緩んでしまうな」)
     ババを引いては表情に表わす者や、逆に表わさない者を見て、葎は嬉しそうだ。
    「これはババじゃないよ。あれ、お姫さま信じてくれないの?」
     手札を一枚だけ出し、心理戦に持ち込む、春。
    『ずるいぞ、そなた。美形と愛らしさを兼ね備えておる癖に……』
     おかめは文句を言いながらも、ババを引く。
    「お姫さまは心まできれいなんだねー」
     春は褒めるが、おかめは悔しそうだ。
    「ねぇねぇお姫さん、これおいしいよ。お口開けて? はい、あーん」
    『あーんとは、一体なんじゃ? そこの2人もしておったが、現代の食べ方なのか?』
     おかめは蓮杖に問い、春と葎を閉じたセンスで指し示す。
    「どう説明するかね」
    「体験してみよう」
     冬士朗が考え込んでいると、唯世がおかめの口元にスナック菓子を持ってゆく。
     唯世を見て、女性同士なら良いと思ったのか、受け入れる。
    『ふむ。親しみが湧いて来た。現代も、悪くないものじゃな』
     おかめは満足げに言い、そして急に倒れた。
     どうやら眠ってしまったようだ。
     春が手加減攻撃をしてみるが、起きない。
     続いた葎も同じ攻撃をし、唯世は派手な一撃を食らわせる。
    「本当は乱暴したくねぇけど、許して下さいね……!」
    「これは君が見た変わった夢。目が覚めればまた、いつも通りの世界に戻るから。だから、おやすみなさい。よいゆめを……」
     シールドで殴る七星と、影の触手で攻撃する真琴。
    「俺の土産もお気に召してくれりゃいいんだがね」
     不思議な形状の魔法の矢を飛ばす、凉衛。
    「みんなが頑張ってるならいいかなって……俺、スイーツ食べるのにいそがしいから」
     蓮杖は甘い物を頬張り、もぐもぐしている。
     裁きの光条を放つ冬士朗に叱られ、しぶしぶ最後の攻撃をする蓮杖。
     都市伝説のおかめは眠ったまま、消滅した。


    「……楽しかったよー……」
    「おかめ姫様! 一緒に遊べて、すげー楽しかったですよ!」
     都市伝説が消えた場所に向け、言葉を投げる真琴と七星。
    「中々楽しかったぜ」
     凉衛は笑みを浮かべる。
    「りつくんほんとなんていうか……すごい、さすがだ」
     葎の成長ぶりに感心している、唯世。
    「恥ずかしがる俺もかわいかったでしょ?」
    「あざとい……」
     しれっと言う蓮杖に、ぽつりと感想を零す冬士朗。
    「逢えてよかった、心から。もしも奇跡が起こったら、今度は姫の時代にお邪魔したいな……なんて」
    「でも、オレがいる今の方が素敵だよね」
     隣に並び、頭を撫でてくれる春に、葎は笑顔で頷いた。

    作者:芦原クロ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2017年2月13日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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