妄想学生寮・オブ・ザ・デッド

    作者:るう

    ●女子寮だと思った? 残念、男子寮でした!
    「あのですね」
     二重の意味で腐臭を漂わせ、その女ノーライフキング(クイーン?)は恨みがましく呟いた。
    「高校の男子寮って言ったら普通、イケメン掴み取りとかそういう感じじゃないですか」
     なのに、何故……と、彼女は秘密の部屋の中でがっくりと膝をつく。
    「なんでここ、不良にしては中途半端な奴とか登校時以外部屋から出ないオタとかそういうのしかいないん? まあそういうカプも嫌いじゃないしむしろ好きなんですけどね? でもお前ら、入寮して一年も経ってんだからちょっとは顔を合わせるくらいしてくれねーとこちとら妄想が捗らないんですよ」
     が、そんな風に腐った日々を過ごしていた時……彼女はふと気づいてしまったのだ。
     ある日、突如湧き上がってきたこのパワー。これってもしかして……萌え?
    「ちっくしょー!! この溢れ出る妄想力で、俺がこの寮を矯正してやるー!!!」

    ●武蔵坂学園の教室になんか変な生き物が現れた!
    「ホモォ」
     謎の白い着ぐるみのコスプレをした野々宮・迷宵(高校生エクスブレイン・dn0203)が鳴いた。彼女の差し出したメモによると、今の鳴き声には次のような意味が込められていたらしい。

     サイキック・リベレイターを照射されたノーライフキングが力を持ち、アパートが迷宮化する事件が起こっている。黒揚羽・柘榴(魔導の蝶は闇を滅する・d25134)は、それらの事件の一つがとある高校が男子学生寮として借り上げていたアパートで起こっている事を突き止めたのだ。
     迷宮の主は、アパートが学生寮になる前から住んでおり忘れ去られていた腐女子ノーライフキング。彼女はこの勢いで迷宮を町全体に広げ、巨大なBLの園を作り上げようとしているので、その前に彼女を灼滅して欲しい。
     ただし、迷宮は寮の住人だった学生たちのゾンビに守られており、まずは彼らを突破せねばならない……とはいえ彼ら全てを撃破せずとも、主である屍王を倒せば彼らも動きを止めるだろう。

    「ホモホモォ」
     続いて次のメモ。

     ダンジョン内部は、豪華な宮殿のように変化している。玄関から入ってすぐのホールにはビロードの絨毯が敷き詰められ、ホールから放射状に並んでいる寮生の部屋にある柔らかなベッドは、いずれも愛し合う二人を心地よく包んでくれる。そして、寝室の壁や床から愛する相手の寝室へと繋がる秘密通路は、秘密の逢瀬を可能にしているのだ。
     また、全ての部屋に、迷宮の主が二人を覗き見るための穴があるはずだ。それらは魔術的模様で隠されているというが……発見さえできれば主の部屋へと直通できる。つまり、探している間にゾンビの妨害さえ受けなければ、ホールからの直行も可能だ、ということ。

    「ホモホモホモ……」
     三枚目には、寮のゾンビと屍王の事が書かれてあった。

     寮生は五名。恋愛に縁がなくリア充を殺したい(ほど愛してる)オタクメガネのアキト、エロゲー好きの(本当は実体験を求めている)デブのコウヘイ、万年補欠サッカー部員(なので丸いもの相手には攻めまくる)シンジ、恋愛に関しては知ったかぶりの(自分より疎い相手をからかって遊ぶのが好きな)ヤンキーのタクミ、ハーフだからモテると豪語する(本当はシンジ一筋の)ニック。ちなみにカッコ内は屍王が勝手につけた設定で、誰の部屋から誰の部屋に繋がるかのヒントになっていそうな気がする。
     そして屍王は……溢れ出る萌えパワーで手当たり次第に暴れるのでヤバい。魔術的な身体強化をしてるためか物理攻撃がヤバい。

     ……つまり?
    「よ、よくわからないけど、とにかく屍王を灼滅すればいいって事だよねっ!」
     はい。柘榴さん大正解です。


    参加者
    アリス・バークリー(ホワイトウィッシュ・d00814)
    芥川・真琴(日向の微睡・d03339)
    卜部・泰孝(大正浪漫・d03626)
    ムウ・ヴェステンボルク(闇夜の銀閃・d07627)
    灰慈・バール(慈雨と嵐の物語・d26901)
    夢幻・天魔(千の設定を持つ男・d27392)
    黒木・闇霧(心消滅・d36305)
    神無月・優(唯一願のラファエル・d36383)

    ■リプレイ

    ●腐れし愛の巣
     厳かに、玄関の扉が開かれた。明るいシャンデリアが照らしだす、きらびやかな空間に広がる香りは、美しく爽やかな薔薇のもの……。
    「臭っ……うぇぇぇっ!?」
     ……ではなく濃厚な腐臭。灰慈・バール(慈雨と嵐の物語・d26901)が悶絶しながら悲鳴を上げた。
     ホールの中央で身体を重ね合うのは、大量の皮下脂肪から腐汁を滴らすデブゾンビと、めんどくさそうな仕草でその上にのしかかる金髪ゾンビ。
     まあ知ってた。芥川・真琴(日向の微睡・d03339)がぼそりと呟いた。
    「……業が深いって、こういうこと言うんだろうなー……」
    「べ、別の意味で業の深い臭いだよ!? どうしてこんなになるまで放って置いたんだ!」
     バールのデモノイドの嗅覚は、確かに腐女屍王の業を捉え。けれども濃密すぎるその匂いは……彼女がどこに潜んでいるかまでは語らない。
     何故、こんな悪趣味な屍王とばかり出遭うのかと、アリス・バークリー(ホワイトウィッシュ・d00814)は溜め息を吐いた。闇の人格に囚われて、なお失われる事なき腐女子の性よ。
     どうにか、無理矢理に意識を任務へと持ってゆく。
    「真っ当な屍王は既に狩り尽くされた後なのかしら? とにかく、濃厚な『業』が漂っているって事は、屍王が近くにいるのだけは間違いないわけね……Slayer Card, Awaken!」
    「Let's rock!」
     ムウ・ヴェステンボルク(闇夜の銀閃・d07627)も揃って力を放ち、巨刀を掲げて勝利を誓った。愛の形は人それぞれなれど、今、目の前で繰り広げられている光景は愛にあらず、愛を冒涜する邪悪に他ならぬ!
     突き刺さる真白き裁きの光。少し遅れ、呪われし仮初の生を打ち砕く膂力!
     が……それらは、十分な効果を及ぼさなかった。
     ぐっ、と(本人的には恐らく)爽やかに指を立て、臭い汁を撒き散らすコウヘイゾンビ。タクミゾンビも心なし、コウヘイゾンビを見直した感を醸し出す。
    「腐っておる……互いに果てるが早すぎたと云うのか」
     卜部・泰孝(大正浪漫・d03626)の口調はいつも通りに聞こえたが、顔を覆っている包帯がぺらり、外れそうになっていた。
     ……アカン、アレなビジュアルを想像力でカバーしてもなお、見ているだけで今まで溜め込んだ悟りが物凄い勢いで揮発してゆく。
    「斯くなる上は、殺生も致し方無し」
    「ククク……このような下劣な妄想に傾倒するとは、雑魚め……。折角のダンジョン、いくらでも幻想に染める事ができるだろうにな……」
     夢幻・天魔(千の設定を持つ男・d27392)だけは平常運転だった。互いに手と手を取りあい戦うゾンビ神聖隊を喰らわんと、漆黒の十字架が封印を解かれ、黙示録の獣が背徳の宮殿を駆ける!
    「……正直、まことさんにはついていけない世界だなーって思いました」
     ただ思う真琴。腐女屍王も厨二病も、関わらずに済むならそれに越した事はない。とりあえず、こんな状況でも眠たげに降りかかる火の粉を払ってる黒木・闇霧(心消滅・d36305)に倣い、暖かな優しい力で傷つく仲間たちを守り、癒す仕事に専念していると……。
     最初に斃れたコウヘイに引き続きタクミも、神無月・優(唯一願のラファエル・d36383)のビハインド『海里』の止めによって安らかに眠るのだった。

    ●レッツ探索
    「じゃれつくな。ホモと間違われるだろう」
     まるで褒めてと言うように主の腕に絡みつく海里を振り払った後、優は慌てて天井に目を遣った。
    「天井裏から覗くってのは小説で見たな。絵画の目に隠しカメラをつけてってトリックもあるけど……」
     今、彼にはやらねばならない事がある。それは、今もどこかから覗いているかもしれぬ腐女屍王の興味が、自分と海里に向くのだけは避ける事。
     が、そのために邪険にしたのが逆効果である事を、彼はまだ知らない。いや他の灼滅者も知らないし、知りたいとすら思わない。
    「……なら、まことさんも天井をー……」
     優の目線を追うように、真琴も天井を見上げてみた。屍王が楽な姿勢で覗き見たければ、天井裏で爬行姿勢になっているに違いない。
     一面の幾何学模様が目をちかちかさせる。所々、シャンデリアの金具や染みがパターンを乱すが、天井に、真琴がふと想像してしまったようなホモォな印があるわけじゃない。あったらあったで困ってたけど。
    「『らしい』ポスターやら何やらから覗き見て、こっそりと混ざっている気分にでも浸っているのかと思ったんだが……そういうのは個人の部屋の中だけかな?」
     バールもまた腕を組みつつ思案中。アリスの探してみた寮規則の掲示などもない。もっとも腐った脳味噌と同じ発想ができなかった事は、アリスとしてはむしろほっとする事実ではあるけれど。
     ふあぁ、と闇霧が大きく欠伸した。個人の部屋なら部屋全体を見渡せる隅に覗き穴があるのだろうけれど、ホールの隅ってどの辺り? まあ、たとえその推理が当たっていてホールの隅が判ったとして、彼女自身(専ら少年風の格好を好み、今も少年にしか見えないが、性別だけでいえば女の子だ)覗き穴が見つけられる気はしないのだけど。
    「地道な作業なのです」
     もう一度欠伸して辺りをぶらついていると、何やら壁際で作業するムウが見て取れた。壁に耳を当てて軽く叩いてを繰り返す様子は本格的な隠し扉探索スタイルではあるが……如何せん、気が長すぎる。
    「ククク……常識に囚われていては見つかるまい。ダンジョンに時空の歪みなど付きものだというに」
     ここへきて天魔、まさかの正論。泰孝も思わず驚愕し、包帯を巻き直した後に質問をぶつけざるを得なかった。
    「然らばその慧眼、屍王の居所を如何に見ん?」
    「この俺の『魔眼』の前に、『覗き穴』如き一目瞭然だ」
     はい天魔の正論タイム終了。再び解けかける泰孝の包帯……その時!
     海里が……ひときわ強く、何かを伝えるように優の腕にしがみつく!

    ●リア充死すべし!
     響く、鈍い衝撃音。突如扉を開けて現れて、闇霧に無警戒の代償を与えたのはメガネのゾンビ。その頬は腐り落ちていたものの、泰孝の心の眼をして見れば、その顔には憎悪と狂気の愛が入り混じる、激しく熱き情動が浮かぶ!
     直視すれば地獄、妄想で補えど地獄。思わずふらついた泰孝を押しのけて、天魔の、無意味に装飾満載の十字架が敵を打った。
    「ほう……貴様がアキトか。よくもこの俺の僕を傷つけてくれた」
    「僕はしもべではないのです」
     軽口を叩く闇霧。それは、まだ十分に戦えるという証拠。
     ならOK。アリスの白が貫いて、ムウの巨刀が敵を薙ぎ払う! それでも、アキトゾンビは特に優と海里に敵意を燃やしていたが……。
    「ごめんねー……まことさん、腐に理解はあるつもりだけど萌えられないからー」
    「さっ、そういうわけで眠って貰おうか」
     真琴とバールの妨害を受けて、やはりただの死体に戻るのだった。
     そして……今、主を失ったばかりの部屋が、その口を開けている……。

    ●脱出! BL部屋
     アキトの部屋には一面に、ニックの写真が貼りつけられていた。
     しかも、赤い文字でいろいろ書き込みされてるヤンデレ系。
    「あの……探した場所に何も見つからなかったんで、もう帰ってもいいですかね?」
     泰孝の包帯がだばだばズレた。ああうん、口調まで崩れるのも仕方ない。
    「けれど、ここに覗き穴があれば屍王は自分が見つめられる気分に……」
    「ククク……この写真からならば、ベッドの様子も確認できるに違いない」
     げんなりしながら調べるバールと、何故かノーダメージな天魔。が……ここの壁でもガチなダンジョン探索スタイルを崩さないムウや、部屋の角の辺りをじっと見つめている闇霧と同様、功を奏する様子は見られない……そんな時。
    「ビンゴ。本棚の裏が隠し通路だったわ」
     そう言って、アリスは通路の先を覗き込んだ。

     先は、破廉恥な二次元ポスターだらけの部屋。主、コウヘイは今はいない。
     ここでも天井をじっと見る真琴。それから……ふと気づき。
    「どの部屋の天井にも染みがあるねー……」
    「行ってこい。褒めてやる」
     すぐさま海里をけしかける優。喜び勇んだ海里がその染みに触れると……彼は、急に姿を消した。

    ●オタクの嗜み
     それは、暗く寂しい部屋だった。
     その隅で、真琴が想像したのと寸分違わぬ姿勢で覗き穴に食いついているのは、自虐的なまでにみすぼらしい、全ての元凶たる腐敗の女王。
    「コウヘイきゅんとタクミきゅんとアキトきゅんの事は許してやるよ……ニックきゅんとシンジきゅんは、これで誰にも邪魔されないカプになったんだし、皆、愛の中で果てたんだから……尊い」
     そして……そのくすんだ黄色の瞳が、ぎろりと優と海里を睨み。
    「ただしその代わり……そこのデレデレ×ツンデレカプを置いてってくれればな……。あっ愛し合う二人はここで今まで通り生活しててくれればいいんで。ゾンビにしなくてもいい感じそうだし」
    「あの失礼ですが日本語でOK」
     泰孝の包帯がどんどん解けてゆく。だが屍王も、普段が普段のお前にだけは言われたくなかろうて。
    「ククク……仮初の愛などでは、この、かつて異世界にて百階層のダンジョンを攻略した伝説の勇者を倒す事などできん……」
     唐突に、天魔の鎧が金ピカに変化した。
     微妙に話が噛み合ってるのが怖い。まことさんもう相手したくない。燃やしていい? ねえ、とっとと屍王燃やして終わらせていい?
    「いいと思うのです。僕も、早く終わらせて帰って寝るのです」
     闇霧のナイフが本性を表す。敵が屍王に変わっても……なすべき事は変わらない……が!
    「ふんぬ!」
     腐女屍王のゆるゆるの肉体が、あの虫を思わせる素早さでカサカサと動いた!
     キモい! ヤバい! そして……。
    「ホモーーーォ!!!」
     萌えへの耽溺を邪魔された怒りが、謎の気弾となって闇霧を襲う!
     壁まで吹き飛ばされてめり込んだ闇霧。が……彼女はまだ眠らない。調査の合間に心霊手術をしておいてよかたと安堵してから、アリスは自らの白き魔力を、ありったけ屍王へと叩き込む。
    「他人を妄想の玩具にするのは自由だけど、実際に人形にして意のままにするなんて、人の尊厳を冒涜する行為ね。そういうのは、大嫌いだわ」
     だが屍王は開き直って。
    「へん! こちとら不幸せそうな男子を幸せにしてやってるんですよ!」
    「他人を幸せに……だと!?」
     バールの形相に蒼き憤怒が宿り、鎚を屍王よ部屋ごと砕けよとばかりに振り下ろした。
    「越えてはならない一線を越えておいて、言う事がそれか! お前のは悪趣味な覗きだろうに!」
    「は?? だからカプの邪魔にならないように、天井の染みになって見守るだけにしてるんですけど?」
     それがこの奇妙な覗き穴の正体か、と、ムウはようやく合点がいった。が……だからこそムウには許せない事がある。
    「ああ、そうだ。他者に自分の価値観を押しつける事なく、自らの趣味を楽しむ。それが趣味人(オタク)の嗜みだろう」
     自分が密かに妄想の対象にされたいとは決して思わぬが、そうでなければどうこう言うつもりはムウにはない。
    「が……ダンジョン化やゾンビ化もそうだが、お前のやっている事は何だ? 口では『見守るだけ』と言いながら、実際は自分の価値観を押しつける事そのものだ」
    「ぐっ……!」
     言葉に詰まった腐女屍王を、ムウの怒りが打ちつける。
    「それを解っていないお前は……いろいろとやり直してこい!!」

    ●さらば腐女屍よ
    「なんてこったい……俺は、腐女子として……あるまじき行ないを……!」
    「動きを止めた……か」
     愕然と膝をつく腐女屍王。決して警戒を怠らぬ目つきで、バールは彼女の墓碑となる鉄碑を振り上げた。
     屍王が、このまま素直に灼滅されたりはすまい。事実、彼女は自身の中で何かを歪めたらしく、何かに打たれた表情で立ち上がる。
    「いや違う……地雷カプは全て粛清し自らの手で推しカプを二次創作するそれが正しい腐女子道ってやつだ! 俺は創作に生きるぜだからお前らもカプになれビーム!」
    「ここが正念場だ! 踏み止まれ!!」
     神々しい×印から放たれるビームの嵐を、鉄碑にて叩き落して仲間を守るバール。防ぎきれなかった一部がアリスを貫くも……無論、アリスの灼滅の意志を挫く事はない。
    「骨の髄まで腐りきった貴腐人ね。生憎……貴女が何をどう言い換えようと、その罪の代償は支払って貰うわ」
    「ぎゃーっ!? ほ、ほら、そこのカプさんからも何か!」
     ねえほら聞いた? カプって言われたよ! とばかりに海里が尻尾を振っている。
    「だからワンコ、そういう誤解を招く事はやめろ! じゃれてないで戦う!」
     しょげた海里が攻撃に移るより早く、屍王は盛大に鼻血らしき汁を噴いた。
    「どうやら腐王め、この俺の放った『逃れ得ぬ死の運命』に囚われたようだな……」
     シリアス展開が終わった瞬間に妄言を吐く天魔。何が「次は貴様ごときには勿体ないが究極奥義を見せてやろう」だよ。「真の幻想の前にひれ伏すがいい」だよ。泰孝の影がこんなに薄くなるとかよっぽどの緊急事態ですよ!?
    「つまり、腕だけ包帯の貴様が攻めで、そっちの全身包帯が受けってわけですね! ならいい加減、俺じゃなくて受けを押し倒せよ……! あとそっちで欠伸してるショタ! お姉さんが眠気覚ましにいい事教えたげるからこっち来なさい! 来なけりゃ俺が押し倒す!」
     新たな萌えの発見に発奮し、大暴れする屍王。灼滅者たちにフルボッコにされつつも辛うじて闇霧を優しく萌えで包み込む……つまりは気絶させる事には成功するが、いまだ闇霧が女の子である事は気づいてない。
     もう、いろいろと見てらんない。屍王をどうにか押さえつけながら真琴は、自分の望む暖かな世界を生み出す力を、もっと激しく燃え上がらせて、苛烈な熱量で彼女を黙らせる事に決定した。
    「熱い語りの続きは夢の中でどうぞー……だから、お休みなさい。よい夢を」

    ●戻りゆくアパート
    「恐るべき末法の館也りし事よ……南無阿弥陀仏」
     しっかりと包帯を巻き直し、キャラを取り戻した泰孝の念仏が響く。
     屍王の作り出した偽りの愛の証拠を全て処分し終えると、アリスは振り返った。
     これ以上、腐女屍王の犠牲者が増える心配はない……そして、五人の魂がこれ以上冒涜される心配も。
     それに幸い、闇霧の傷もしばらくしたら目を覚ました程度で済んでいる。
    「実に下らぬ輩だったな……」
     そんな天魔の呟きは、ようやく真琴にも理解ができる。今、彼女が望むのは、五人が暖かな眠りに包まれている事だ。
     腐汁まみれの服を喪服に着替え、五人と、屍王の冥福も祈るムウ。赤の他人に興味を持たない性質の優も、黙祷だけは犠牲者に捧げる。

     かくして、腐女屍王との戦いは終わった。が……バールはこの先を思うのだ。
    「戦いの終わりは、いつ来るんだろうな」
     答えは……彼ら自身で見つけるしかない。

    作者:るう 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2017年3月13日
    難度:やや難
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 3/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 6
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