●人避けの噂は街を包む
「みんな、集まってくれてありがとう! 早速だけど、みんなにお願いがあるんだ!」
と、須藤・まりんは、集まった灼滅者にまずは挨拶すると、早速。
「最近発生し始めている、ラジオウェーブのラジオ放送が確認されたんだ」
「このラジオウェーブのラジオは、そのラジオ電波によって都市伝説を生みだす。そして、ラジオ放送と同様の事件を発生させるというものなんだ」
「ちなみに放送内容なんだけど……昔、一時期流行っていた口裂け女のラジオ放送だったんだ。神奈川県の川崎市川崎区の臨海部の辺りで噂されている話なんだけど……」
「深夜、周りに人が居ない、街頭の灯も少ない所を歩いていると、背後から肩を叩かれるって話で……振り返ると、マスクをした、20代後半位の女性が『私、キレイ』と聞いてくるんだ」
「キレイって答えると、マスクを外して、裂けた口を見せて、捕まえて食われてしまう。キレイって答え無い場合は、怒って、鈍器の様なモノで殴り掛かってくる、という、所謂都市伝説の類いの話なんだけど……」
「……どうやらラジオウェーブのラジオ放送と、同じ事件が起きようとしているみたいなんだ」
「このラジオウェーブの事件、赤槻・布都乃(悪態憑き・d01959)さんの調査の結果、都市伝説を発生させるラジオ放送を突き止めることが出来たんだ」
「みんなには、このラジオウェーブのもとと思われる、ラジオ電波の影響により、都市伝説が発生する前に、その情報を得ることが出来るようになったんだ! そこでみんなには、このラジオウェーブの事件に対処為て欲しいんだ!」
「今回の都市伝説のポイントとしては、必ず仕掛けられる前に声を掛けられるという事。声を掛けられる人はランダムらしいんだけど、基本的には人数が少ない所を狙ってくるみたい。後は、反応の返し方によって、積極攻勢で来るかも変るみたいだから、その辺りはみんなで相談してみて欲しいんだ!」
そして、まりんは、今回の都市伝説となっている、口裂け女について更に詳しく説明する。
「口裂け女の戦闘能力は、先ほども言った通りなんだけど、主とする戦闘能力は、ストリートファイターに無敵斬艦刀を装備したのと同等みたい。つまり鋼鉄拳の攻撃や、戦艦斬りの叩きつぶす一撃の攻撃が使用可能だね」
「後、『私、キレイでしょう?』と言って、自己回復の能力も持っているみたいだから、意外としぶとく生き残ってくると思う」
「又、彼女の他には戦闘相手という意味では出てこないみたい。つまり戦う相手としては、一人だけ、という事になるよ」
「ちなみに、なんだけど……説明した情報は、全てラジオ放送の情報から類推できた能力なので、可能性は低いと思うけど、この予測を上回る能力を発揮してくる可能性は否定出来ないんだ。その点は、みんなも気をつけて欲しいんだ!」
そして、まりんは纏めるように。
「何にせよ、この様なラジオ放送が次々と都市伝説を産み出し、人々を危険に陥れる可能性がある。そうさせない為にも、みんな、宜しく頼むね!」
と、ぐっと拳を握りしめるのであった。
参加者 | |
---|---|
鏡・剣(喧嘩上等・d00006) |
本田・優太朗(歩む者・d11395) |
蔵座・国臣(病院育ち・d31009) |
辻凪・示天(彼方ノ深淵・d31404) |
クレンド・シュヴァリエ(サクリファイスシールド・d32295) |
神無月・優(唯一願のラファエル・d36383) |
十束・唯織(十の織を唯に束ねる者・d37107) |
神無日・隅也(多くを語らぬ異端者・d37654) |
●夢を見せる電波
ラジオウェーブのラジオ放送による、都市伝説発生事件。
そのラジオ放送こそ、過去に流行った都市伝説の一つ……口裂け女事件が、川崎市川崎区の臨海部で噂されているという話……。
「ラジオによる発生って……嫌らしいな。元を叩かないといつまで経っても現れて、キリが無いぞ?」
「そうだな。色々と都市伝説は発生している様だが、ラジオ電波に乗せられたら、何処までも拡散して行きそうだしな」
とは、クレンド・シュヴァリエ(サクリファイスシールド・d32295)と蔵座・国臣(病院育ち・d31009)の会話。
……地域一括に流されるラジオ放送。
結果として、多くの人がラジオ放送を信じ、そして実際に事件が起きてしまえば……悪夢が拡がるが如く。
だが、今回の都市伝説は最早30年近く前に流行った都市伝説の人一つ、口裂け女。
マスクをした若い女性が『私、キレイ?』と訊ね、キレイと答えたらマスクを外して『……これでも……?』と言うもの。
逆にキレイ、と答えなければ、惨殺してくるというものでもある。
「口避け女の都市伝説って、前流行った奴だよな?」
「ああ。この発生条件からすると、量産されている様だが……個別に仕掛けてくるのはむしろ好都合だろう」
「そだな。噂話の対処法も調べてみたんだ。ポマードとか、べっこう飴とかが書いてあったからな。一応準備してあるぜ」
「助かる……ま、あんなのと五、六体同時に遭遇したら『キレイ』云々以前の問題だろう、複数の意味でな」
「全くだぜ……」
十束・唯織(十の織を唯に束ねる者・d37107)、辻凪・示天(彼方ノ深淵・d31404)の川、その一方、本田・優太朗(歩む者・d11395)、鏡・剣(喧嘩上等・d00006)、神無月・優(唯一願のラファエル・d36383)らも。
「花がない……キレイとは、自分で言うものでもないと思います」
「んだな。きれいかきれいじゃねえかなんて、どーでもいいこと気にしてんな。つええかそうでねえなら気にすんのにな」
「あぁうん、見た目はまあ、どうでもいいかなって気がするんだけどな」
「まぁ、どんなにキレイでも、僕の祈梨に勝てる訳ないと思ってますけど!」
満面の笑みで自信満々に言う優太朗。
……そんな優太朗の言葉に、神無日・隅也(多くを語らぬ異端者・d37654)が。
「……依頼に出るのは、初めてだが……少しでも、成功に貢献できるよう、努めたい……」
と。
そんな隅也にクレンド、唯織が。
「そう。それなら、期待してるよ?」
「ま、あんまり気負い過ぎんなよ?」
と二人、それぞれ肩を叩き、励まして……そして灼滅者達は、臨海部へと急ぐのであった。
●闇の美しさ
そして、灼滅者達は、臨海部へ到着。
既に深夜の時間帯で、周りを歩く人は、殆ど居ない。
が、一応。
「流石にこんな夜中に人は来ないだろうが、噂に釣られてくる奴もいそうだしなぁ」
と、唯織は呟きつつ、周囲に殺界形成を発動し、一般人を遠ざけていく。
そして……そんな人気の無い所を、灼滅者8人が、二手に分かれて歩き回る。
囮役のメンバーになるのは、剣、優、隅也と、優のビハインド、海里。
『……♪』
「……だから、じゃれつくなワンコ!」
『……;』
ちょっと悲しげな表情をするも、めげない海里……それを見て。
「……本当、可愛い犬みたいな感じだな……」
と隅也の言葉に、優は。
「ああ、だからワンコって呼んでいる」
「そうか……」
納得した様な隅也の言葉……と、深夜の人気の無い所で騒いでいれば、当然……目立つ訳で。
『……フフフ……』
深夜の中、不敵な笑い声を上げて……近づいてくる女。
暗闇の中、その姿を確認することはできないが……程なくして、その目前に姿を現す。
『……ねえ、ワタシ、キレイ……?』
何処か、蠱惑的な口調で問いかけてくる、マスクの女。
そんな女を、離れた所から見ていた唯織。
「口裂け女は初めて見たけど、あんなんなのかよ」
と言いつつ、自分の頬をさする。
……そんな隠れている仲間達に対し、囮の剣は。
「……おう、キレイだぜ……強かったらもっとキレイだろうけどな!!」
と、突如叫び、抗雷撃でBS耐性を付与為ながら、そのまま近接で殴り掛かる。
そして、更に隅也が。
「……かかったな……」
と言いつつ、べっこう飴を投げつける。
それを、見事な形で受け止めると。
『アメ、アメぇぇ……!!』
と、歓喜の悲鳴、嬉しそうに、口に頬張り、嘗め始める。
そして、剣、隅也に続き、他の灼滅者達も口裂け女の元へと迫る。
「さあ……始めようか」
と国臣はライドキャリバーの鉄征に騎乗し、一気に接近。
国臣が口裂け女に殺人注射を注入しつつ、騎乗した鉄征がキャリバー突撃。
クラッシャー効果による高攻撃力で、先ず、大幅にその体力を削ると、続くジャマーの隅也が。
「……くらえ……」
と、グラインドファイアで炎に包みかけると、スナイパーの唯織と、クレンドのビハインド、プリューヌ、ワンコが続く。
唯織の影喰らいに、プリューヌの霊撃、そしてワンコは。
「ワンコ、じゃれついてないで戦う!!」
と優の指示にこくっ、と頷いて、一歩後方からの霊撃を叩き込んで行く。
そして、それに連携して優が前衛陣にイエローサインを付与。
一方、優太朗は。
「回復は任せて下さい」
とメディックポジションに立ち、前衛陣にラビリンスアーマーで盾アップを付与する。
そして、最後に動くはディフェンダーの示天、クレンド。
「……しかし、ポマードは苦手で、べっこう飴が大好きか……」
「そうだな。噂話なのに、趣味嗜好や苦手な物がハッキリしているって不思議だな。べっこう飴も好きなんだな」
と言っていると……べっこう飴を嘗め終わった様である。
でも、生まれた隙をついて、示天、クレンドがソーサルガーダーで盾アップを付与し、防御力を高めていく。
そして……一通り行動が終了し、次の刻。
べっこう飴をなめ終わった口裂け女は、ふふ、と笑顔を浮かべて……接近し、その拳で攻撃を嗾けてくる。
女性ながら、やはり都市伝説というのもあり、一撃一撃はかなり重い。
それらの攻撃を、示天、クレンド二人が前に立ち、カバーリング。
そして、口裂け女の攻撃を耐えきれば、灼滅者達が一斉に反撃。
続けてジャマーの隅也が。
「……隙だらけだ……」
と封縛糸で動きを封じると、プリューヌ、ワンコが霊障波で連携、更に唯織りがレイザースラストを続け、放つ。
そして、メディックの優は再度イエローサインでBS耐性を仲間につけつつ、優太朗はラビリンスアーマーでの盾アップで、前衛陣をしっかりと補助していく。
そして、国臣、鉄征がライフブリンガーと機銃掃射で周囲を撃ち抜き、その退路を塞ぐと、剣は鋼鉄拳、示天が雲櫂剣、クレンドがスターゲイザーで猛攻、体力を削っていく。
……そして、そんな口裂け女との戦闘、続く事十数分。
口裂け女自体、かなり反撃してくるのだが……示天、クレンド二人がカバーリングする事と、優太朗が回復に傾注する事で、決して倒れさせない。
そして、クラッシャーの国臣と鉄征、ディフェンダーの剣二人が攻撃に傾注する事で、みるみる内に体力を削る。
そして……。
『……グゥウ……』
と、許容量を超えて、其の場に体勢を崩す口裂け女。
そんな口裂け女に、接近すると共に。
「……これで、終わりだ」
と示天が接近、雲櫂剣で肩口を斬りつけると……剣が。
「おら、どうした、でかい口なのは見た目だけか、おらぁああ!!」
と獰猛な笑みを浮かべて、渾身の閃光百列拳をその身に叩きつけ……口裂け女は、そのまま悲鳴を上げて、崩れ墜ちるのであった。
●夢は夢のままで
……そして、口裂け女の姿が、煙の様に消え失せた後。
「……ふぅ、終わりましたね」
と、軽く汗を拭い、微笑む優太朗。
……そんな微笑みとは逆に、軽く唇を噛みしめるのは、隅也。
「当たっても、中々ダメージが与えられず……自分自身の技量不足をここまで感じた事はありません。申し訳無い」
と頭を下げる隅也。
「大丈夫大丈夫。な、十分頑張ってくれたと思うよ? なぁ、国臣」
「ああ。最初の内は、みんな自分の実力に自信が持てないものだからな」
と励ましの言葉を書けるクレンド、国臣、と……それに海里が。
『……? ……??』
と、尻尾をぶんぶんと振って、優に近づく海里。じーっ、とその顔を伺うように見上げてくると。
「ああ……頑張った頑張った」
と、ぶっきらぼうに頭をわしわしと撫でる優、それに更に尻尾を振って喜ぶ海里。
……ともあれ、無事に都市伝説を倒した事に、安堵と共に周りを見渡す優。
「しかし……都市伝説で『そういうもの』として語られた結果故、仕方ないとは言えるけど、妄執と言うのは……哀しくもあるね。誰しも拘りがあるのはあるし、それ自体は悪い事では無いんだけど」
そんな優の言葉に、国臣が。
「ああ。基本的には昔流行った口裂け女の噂と同じようだが……仔細調べたら、多少は違いが出てくるかもしれんな。それを比べれば、ラジオウェーブの発信源となったものが判るかもしれん」
と言う国臣に、示天は。
「……そうだな。既に姿形は無くなってしまったが、壊した痕跡を元に調べれば、多少なりとも何かは判るかもしれないだろう」
「ああ」
と、頷き合う二人……その一方、唯織は。
「んー……んじゃ、その辺りは任せていいか? 夜中に動いたからな。腹減った。もし腹減ってる奴がいたら、家で夜食作るが食べに来るか?」
「おー、いーじゃねーの。俺もちっと腹減ったしな」
剣が笑い、そして周りの仲間達も頷いて……パッパと片付けをさっさと行い……その場を後にするのであった。
作者:幾夜緋琉 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2017年3月11日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 2
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