知りたがりの輪舞曲

    作者:長野聖夜


    「布都乃さんの調査で判明した、ラジオウェーブによるラジオ放送の新しいものが確認されたよ。放置しておけばラジオウェーブのラジオ電波で生まれた都市伝説によってラジオ放送と同様の事件が発生するだろう。そうなる前に、皆にはこの都市伝説を灼滅して欲しい」
     北条・優希斗(思索するエクスブレイン・dn0230)がそう説明し、その内容をゆっくりと語る。

     ――それはとある場所にある深夜の商店街。
     その商店街の中で、半透明姿の黒服の青年が、ポケットに両手を突っ込んでその場に佇んでいる。
    「知りたい、知りたい、知りたい」
     人の味を。
     人々の心に潜む思いや考えを。
     そして聞きたい。
     そのことについてどう思っているのかを。
     答えてくれなければそれでもいい。
     つまらない内容なら、それでもいい。
     その時は喰えばいい。
     知りたい。
     とにかく知りたい。
     人の心の在り方や、血肉……その全てを。
     沢山、沢山、沢山知りたい。

     ――特に美味そうなのは、トラウマの味、不幸の味、思いの味。
     それを知った上でそいつを喰らえば、それはさぞかし美味だろう。


    「布都乃さんの調査がこの都市伝説を発生させているラジオ放送を突き止めて、ラジオウェーブの者と思われるラジオ電波の影響で都市伝説が発生するより前にその情報を得ることが出来るようになったんだ」
     赤槻・布都乃(悪態憑き・d01959)による調査の結果の概要について語り終えた優希斗が小さく息をつく。
    「とある町にある商店街。そこに現れる都市伝説。その名は『知りたがり』」
     『人』についてあらゆることを知りたがる、都市伝説。
     特に人が心に抱えている『何か』を知るのが何よりも好きなのだと言う。
    「知りたがりは、特に人の心……とりわけトラウマやその人が抱える過去の傷、何を考えているのかについてを知ることを好む傾向がある。だから、彼はまず問いかけてくる。『君は心に何を抱えているの?』と」
     これは、1人1人に聞いてくる。
     人の心の闇に触れ、それを楽しむ。
     人の不幸は蜜の味と言うが、正にその言葉通りだろう。
    「答えに興味を惹かれればこう聞いてくる。『じゃあ、それについて君はどう思うの?』と」
     それに対する答えを聞く。
     考えを聞く。
    「それについて軽く問答をした後、最後に君はそれについてどうするつもりなの? と聞いてくる。その答えに満足し、皆を食おうとしてきたところを狙えば、恐らく彼を灼滅するのは簡単だろう」
     尚、どの場面でもつまらない返答であれば、即座にその者に襲い掛かって来る。
     何故なら、『知りたがり』が次に知りたいのは、人の血肉の味だから。
    「……つまり、自分自身が抱えている過去や想い、そういったものに、知りたがりを通して向き合い答えを出して、それで知りたがりを満足させて灼滅する。それが最善ということになるんだ」
     優希斗の言葉に、灼滅者達は其々の表情で返事を返した。


    「『知りたがり』は物語を知りたがると同時に、問いかけを行い物語を作る『語り部』だ。故に、彼が使ってくるのは七不思議使いのサイキックになるだろうね」
     また、それとは別に人を喰らうために影を放つ。
     それは、影業のサイキックとほぼ同義だ。
    「あくまでもラジオ放送の情報から推測の成り立つ能力だ。可能性は低いと思うが、推測を上回る能力を持つ可能性もある。その点は、念のために考慮に入れておいて欲しい」
     優希斗の言葉に、灼滅者達が其々の表情で返事を返した。
    「……知りたがりは、さほど強くない筈だ。だからと言って対策を怠ると思わぬ怪我をすることになる。……辛いかも知れないが、自分自身の心の闇と向き合って、自分自身についてもう一度見直す機会にすると良いかも知れない。……判断は皆に任せるけれど、どうか気を付けて」
     優希斗の言葉に見送られ、灼滅者達は静かにその場を後にした。


    参加者
    神威・天狼(十六夜の道化師・d02510)
    風華・彼方(中学生エクソシスト・d02968)
    聖刀・忍魔(雨が滴る黒き正義・d11863)
    神乃夜・柚羽(睡氷煉・d13017)
    狂舞・刑(その背に背負うは六六零・d18053)
    荒谷・耀(一耀・d31795)
    茶倉・紫月(影縫い・d35017)
    アリス・フラグメント(零れた欠片・d37020)

    ■リプレイ

    ●開幕
      ――これは、強烈な殺気に包まれた夜の商店街で紡がれる物語。

    ●風華・彼方(中学生エクソシスト・d02968)
    「君は、心に何を抱えているの?」
     ポケットに手を突っ込んだ青年の問い。
    「それは、僕の背中についている傷だよ」
    「背中の、傷?」
     背中を指さす彼方。
    「そう、この傷。これは、ね。一緒にいた人達……友達や近所の人達がアンデッドになって襲ってきた時に受けたもの」
    「ふぅん?」
     続きを促す彼。
    「最初は、一人二人だったけど……住んでいた近所の人ほぼ全員がそうなって襲ってきて、それから逃げる時に受けたのが、この傷」
    「どうして、そんなことになったのかな?」
    「正直、あまり覚えてないよ」
    「……本当に? 何も?」
     彼の問いに彼方が何処か遠くを見る表情に。
    「そうだね。ものすごく怖いって感情だけは、ずっと残っている」
    「じゃあ、君はそのことについて、どう思っているの?」
    「……今の僕にはどうしてそうなったのか、その原因が分かっている。だから、今もずっと後悔もしているんだ」
    「どんな風に?」
     軽く瞬きをして彼方を見る彼。
    「時々、自分がいなければってね。もっと早く気付いて、もっと早く離れてればって」
     ――君のせいじゃない、と言ってくれる人もいる。
     でも、周囲がこうなったのは、間違いなく自分のせいだから。
    「僕の方からも一つ聞いていいかな?」
    「なぁに?」
     彼方の問いに、無邪気に笑う彼。
    「どうして君は、そんなに人を知りたいの?」
    「それが僕の本能だから。君は、これからも君のせいだと後悔し続けるのかな?」
    「そうだね。僕はずっとそれを背負って生き続けるよ」
    「そんな君はきっと美味なんだろうな」

    ●聖刀・忍魔(雨が滴る黒き正義・d11863)
    「人を知ると言うことは、触れてはいけない部分に触れると言うことだ」
    「そうかも知れないね」
     機先を制するように呟く忍魔に彼が頷く。
    「でも、聞くよ。君は、どんな不幸を抱えているの?」
    「コイツ……」
     忌々しげに睨みながらも、軽く頭を振る忍魔。
    (「……やはり、話すのは辛いな」)
    「俺の家庭は母が二人いる。人に言うのは複雑だ……」
    「へぇ。お母さんが二人いるのが複雑なんだ」
     相槌の内容に、僅かに眼を瞬く忍魔。
    「だから友達なんて今までいなかった。作れなかった」
    「うん」
    「だが、武蔵坂に来て、漸く一人、友達が出来た。だけど、それを失うのが、俺は怖い……」
    「どうして、怖いのかな?」
     僅かに苛立ちを覚える忍魔だったがそれに答える。
    「今までずっと得られなかった者を、大切な者を漸く得られた。それは俺にとって大切な絆だからだ」
    「そうなんだ。君はその友達との絆をこれからどうしていきたいの?」
     彼の問いかけに、忍魔は逡巡する。
    「俺は……」
     その答えに、知りたがりは笑った。
    「ありがとう。きっと君はさぞかし美味なんだろうね」

    ●狂舞・刑(その背に背負うは六六零・d18053)
    (「こいつにオレが語れることといえば……あれくらいしかないだろうな」)
     酷く昏い表情で自嘲気味に笑う刑。
     カズミが刑の傍に佇んでいる。
    「君は心に何を抱えているの?」
     少し弾んだ彼の声。
    「オレが抱えているもの、それは、物心ついたころから今に至るまで感じ続ける『空虚』だ」
    「空虚?」
    「ああ、『空虚』だ」
     刑をじっと見つめる知りたがり。
    「君はその正体を知っているの?」
    「……」
     彼の問いに刑は答えられない。
     刑達自身はソレの正体を全く知らない。
     ただ、ぽっかりと心にそれが存在するせいで何をしても、誰といても、心底満足できず、その空虚から逃れるために……。
    「オレは、沢山の人を殺した。その『空虚』を少しの間埋める為に」
     ……それによって膨らむのは、罪悪感。
    「君は僕と近しいかも知れないね。僕は人の全てを知りたくて殺す。君は君の空虚を埋める為に殺す。君はそのことについてどう思っているのかな?」
    「オレはオレを許せないし、罪深い。当時のオレはほんの少しの間だけでも『空虚』から逃れる為に躊躇いなく殺し続けた。少なくとも……妹を殺した時以外は、殺人に躊躇いを感じなかった」
     俯く刑に、相槌を打ち笑う彼。
    「人殺しを続けることに躊躇わなかった君が、妹さんを殺した時だけは躊躇った。とても、とても面白い。……君はその罪深いという想いをどうするつもりなの?」
    「殺しの罪は殺しで償うつもりだ。他者の命を、自分の心を殺して償う」
    「でも、君にとって殺しは君の『空虚』とやらを埋める手段なんでしょ?」
     クスクスと笑う彼を睨みつけながら刑は頷く。
    「ああ。その通りだ。全ては自己満足、自分で自分を救った気分になりたいからそうする。……それがオレの決めたことだ」
    「なるほど。きっと君もさぞかし美味だろうな」

    ●神威・天狼(十六夜の道化師・d02510)
    「君は心に何を抱えているのかな?」
    「知りたがりが楽しめるかどうかわからないけどね」
     笑顔を絶やさぬ天狼に、彼もまた笑みを絶やさない。
    「俺はね、昔家出した。そんな俺を匿って親身に世話してくれたサーカス団の恩人がいたんだ」
    「そうなんだ」
    「と言ってもお世話になり始めたころは上手く感情を出せなかったんだけど」
    「へぇ」
     天狼が軽く肩を竦める。
    「でも、その人達が全部教えてくれた。人との付き合い方や生活に必要なことをね。……まあ、それが仇になって皆をダークネスの事件に巻き込んで『殺して』しまったんだけど」
    「アンデッドにでも狙われた?」
     彼の言葉に天狼が笑顔で返す。
    「そうだね。俺は屍王に当時狙われていたことを知っていた。だから俺がいる限り、皆がどうなるかなんて簡単に予測できたんだ。でも……居心地の良さに感けて、そのことを無視したんだ」
    「それについて君はどう思う?」
     促す彼に天狼は笑顔のまま首を縦に振る。
    「……後悔してないって言ったら嘘になるね。正直に言えば、あの夜の事はあまり思い出したくない。けれども……」
     時折それを悪夢に見ることがある。
     それは、自らの罪の証だろう。
    「戦おうと思わなかったの? 君は、君の力に気付いていたんでしょ?」
    「そうだね。俺には狙われるだけの理由も力もあった。それなのに戦わずに生き延びてしまったんだね。この罪はこれからも一生抱え続けることになると思うよ」
    「そっか。君は、それをどうするつもりなの?」
     彼の言葉に、笑顔のままに天狼が返す。
    「……最期に背中を押されたよ」
     ――自分達の分まで生きろ、後ろは向くな、と。
    「だから、俺はそれに従おうと思ってるよ。……まあ、これが本当に彼らが願ったことなのかなって偶に思うこともあるけどね」
    「なるほど。でも、迷いながらも立ち向かう君はとても美味しそうだね」

    ●神乃夜・柚羽(睡氷煉・d13017)
    「私が抱えてるもの。強いて言うなら、溝でしょうか」
    「溝?」
     柚羽の言葉に首を傾げる彼。
    「よく言いますよね。人は希望があるから生きていけるって」
    「うん」
     ですが、と続ける柚羽。
    「私は希望があっても、期待をしないんです」
    「どうしてかな?」
    「それはですね、私がある事件で勝手に希望を持ったことがあるんです。でも、その希望は壊れてしまいました」
     まだ大丈夫と希望を持ったガイオウガとの戦の敗北。
     その事実が柚羽を落胆させた。
     その結果が……その後のガイオウガの化身との戦いの自分の最後。
    「まあ、勝手に期待しただけなので自業自得ですけどね」
    「初めから期待しなければ、傷つかない。そういうこと?」
    「そうですね。そうやって最初から諦めて、みたされなかった時の落胆から身を守っています。……もう、落胆したくないんですよね。みたされないのはキライだから」
    「みたされないのがキライ。その気持ちは僕にもよく分かる。じゃあ、何も期待せず、みたされないのを嫌う君はこれからどうするつもりかな?」
     柚羽が訥々と語る。
    「みたされない。匣の隙間は埋まらない。埋まらないならば、要らない。そんな匣は邪魔になる。邪魔ならば、きえてなくなれ。欲しくても手に入らないなら、最初から無かったことにしてしまえばいい」
    「フムフム」
    「……完全に落胆する前に壊せばいいだけです。希望があると言う『希望』を壊されたくないから、壊すのですよ。それが、私の答えです」
     それは、狂気の沙汰かも知れない。
     けれども、この想いがあるからこそ、柚羽はまだ柚羽でいられる。
    「もし君がみたされなかったらその時君はどうなるのか? とても、とても楽しみだ。でも、その時が来る前に僕は君を食うだろうな」

    ●茶倉・紫月(影縫い・d35017)
    「俺は一人に対して、かなりの独占欲を持っていると思うね」
    「へぇ……」
    「ぶっちゃけ、俺、お前に今結構嫉妬しているんだぜ?」
    「僕に?!」
     驚く彼を見据える紫月。
    「一回俺から離れたから、もう離れていかないように縛り付けておきたいと思える位に手放したくないヒトがいるんだよ」
     ――最も、本当にそんな風に彼女……ゆーさんを籠の鳥にしたら、それを壊して脱走しそうではあるが。
     そんな確信が、紫月にはある。
    「そのヒトが俺には話さないことをお前には話す。それだけでも心が疼く。そのヒトが他に何かを向けているだけで嫉妬する位結構酷い」
    「君はそう思う君をどう思っているのかな?」
    「独占したい、手放したくないって思うのは、また失うことが怖いから……なんだろうな」
    「失う?」
    「そうだ。心が痛いんだよ、失くすと。もうそんな思いは御免だ。嫉妬はきっとこっちを見てっていう裏返しなんだな」
    「なるほど。じゃあ君は、これからどうするの?」
     彼の問いかけにアーチを仰ぐ紫月。
    「掴み続けるだけだな。こういうレンアイ感情はどうしようもないモノだ。否定、拒絶されようとも離さなきゃいい。壊れそうだったら抱き込めばいい」
    「君が狂っていると僕が思える程の独占欲を持つ君は、きっと凄く美味いんだろうな」

    ●荒谷・耀(一耀・d31795)
     耀の表情に浮かぶは悔恨。
    「……何者かに襲われて瀕死で帰って来たお養父様を救えなかった。力をつけて、自信がついて……過信して。その果てに、仲の良かった先輩を喪って。それでも尚、相手の実力を見誤って死者を招いて」
    「随分と自虐的だね」
    「……お養父様を救えなかったことも、ルナ先輩を救えなかったことも、ガイオウガとの前哨戦の私の失敗で死者を出してしまったことも、全部私のせいだから……」
     消え入る様に呟く耀。
    「もっと自分が力を持てば、過信に足元を掬われない様用心すれば。慢心しないで甘く見なければと思っていた。でも……」
    「でも?」
    「とあるシャドウが。私が……不幸を呼び寄せてる、って……」
     震えながら呟く。
    「……そう言われたこと、君はどう思っているのかな?」
    「……占い師気取りの戯言だ、って、頭では理解してるの。でも、わたし……『本当かも』って、思っちゃった。心が、認めて、一度屈服しちゃった」
    「それはそれで、美味しそうだね」
    「……あなたは、最低ね」
     きっ、と睨みつける耀を嗤う彼。
    「でも、君が本当に怖いのはそれじゃないでしょ? 僕にはそんな風に見えるな」
    「……私は怖い。……いつか、世界一大切な彼も……私のせいで、死ぬんじゃないかって」
     ――今、自分に唯一存在する心の拠り所。
     もし、その人が死んでしまえば……きっと自分はコワレテシマウ。
    「他人を大切にして苦しんで死んだら自分のせいだと泣き喚く。そんな絶望を抱える君は僕にとっては御馳走だ。君はこれからどうするつもりなの?」
     彼の問いかけに、耀は静かに目を瞑り逡巡する。
     脳裏に過るは、自身に課した、他人の『死』への責任。
    「……私は、『妄言』だって言ってくれた、彼を信じる」
    「信じる、ね」
     納得する彼に頷く耀。
    「そう。信じて、これからも歩き続ける。だって、信じないのは……それはそれで、彼を不幸にすることだから」
    「アハハッ! なんて真直ぐなんだろうね、君は! 早速一口食べて君の味を確かめたくなってきたよ!」

    ●アリス・フラグメント(零れた欠片・d37020)
    「さて、君は僕にどんな心の抱え事を聞かせてくれるのかな?」
    (「心を知り喰らう都市伝説。さて都市伝説にとって、わたしの心は苦いかしょっぱいかそれとも食べるに値しないか。どれでしょうね」)
     そう内心で思い、一つ息をつくアリス。
    「大切な人に事実を話したくても話せない悲しさ切なさでしょうか。決して知られてはいけない秘密です」
     不愛想に淡々と。
     左目を閉じ、右目の片眼鏡が光り、感情は読み取れない。
     ただ……その声音の中に密かに滲む寂しさ。
    「その秘密ってなぁに?」
    「それは……言えません。言ったとして、誰が信じてくれると思いますか?」
    「それじゃあ、君はその悲しさ切なさについてどう思っているの?」
    「……」
     黙すアリス。
     それはまるで答えを言うべきかどうか、迷っているかの様で。
    「……事実を話して抱きしめられたい撫でられたいと思います。ですが、それはできません。わたしは今の世界にとって招かれざる者ですから」
    「招かれざる者ねぇ……。僕は君達灼滅者全てが招かれざる者だと思うけれどね。それが僕から見た灼滅者だから。で、そう思っている君は、これからどうして行きたいの?」
    「事実を飲み込み大切な人を守るために戦います。わたしはその為に来たのですから。そう……遠い場所で笑顔でまた会えるように」
    「涙ぐましい話だね。きっと君も美味なんだろうな。ああ、今日は至福の日だ。御馳走がずらりと目の前に並んでいるのだから」
     知りたがりが、笑い声をあげた。

    ●終焉
    「さて、誰から食べようかな……」
     知りたがりは迷う。
     誰を食べるか迷う。
    「今か……これより、宴を開始する……!」
     刑が叫び素早く殺影器『偏務石』から影の刃を生み出し彼を斬り裂き、それに合わせるようにカズミがその素顔を晒す。
     すかさず耀が黄昏の刃で死角からその身を斬り裂いた。
    「あがっ……!」
     苦し気な彼を柚羽がティアーズリッパ―でその体を斬り裂き。
    「だれにもあげないと思っているヒトの想いを喰った都市伝説。俺は誰にも譲りたくないんだよ」
     呟きながら、紫月がクルセイドスラッシュ。
     蹈鞴を踏む彼に天狼が接近、グラインドファイアでその全身を焼き尽くし。
     彼方が天星弓から彗星の如き疾さの矢を放ち、その身を射抜く。
    「襲うだけとは能がない!」
     忍魔が叫びながら、【鋸引鬼】斬魔を大上段から振り下ろした。
     既に知りたがりは虫の息。
    「あは……アハハッ……! 食われるのは、僕の方か……!」
    「世界は広いですからね。どうでしょう。わたしと一緒にお腹いっぱい知りたがりませんか?」
     消えゆく知りたがりにアリスがそう問いかけた時。
    「そうだね。それなら、一緒に行こうか。……秘密を抱えた七不思議使いさん」
     アリスの開いた澄んだ左目に光が吸い込まれ。

     ――そして。

     物語は終わりを告げた。

    作者:長野聖夜 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2017年3月9日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 10
     あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
     シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
    ページトップへ