花見は皆で楽しんでこそ

    作者:三ノ木咲紀

     教室に集まった集まった灼滅者達を前に、くるみは旧式のラジオを抱き締めた。
    「春休みやのに集まって貰うて、おおきに。……ラジオウェーブのラジオ情報を確認したんや。このまんまやと、ラジオウェーブのラジオ電波で生まれた都市伝説が、おんなじ事件を起こしてまう。皆には、この事件の阻止をお願いしたいんや」
     ラジオ放送が語ったのは、ある新人サラリーマンの物語。
     満開の桜が美しい公園で、新人サラリーマンの桜井青年が花見の場所取りをしていた。
     花見の人気スポットで、早いうちから場所取りをしなければ良い場所を確保できない。
     四月初旬の土曜日。
     うっかりミスでチームに迷惑をかけてばかりいた桜井青年は、汚名返上名誉挽回とばかりに張り切って花見の準備を進めていた。
    「お弁当良し、飲み物良し、お菓子良し、ゲーム良し。場所も良いところ取れたし、後は皆を待つばかりだな!」
     腕時計に目を落とした桜井青年は、開始時間が三十分すぎていることに気付いて眉をひそめた。
    「皆遅いなぁ。報連相がなってないって、いつも言うくせに」
     不安そうに周囲を見渡した桜井青年は、大きなため息をついた。
     今朝は寝坊してしまい、うっかりスマホを自宅に置き忘れてしまったのだ。
     気付いたのは、場所取りを始めた後。自宅まで一時間はかかり、この場を離れてしまうとおそらく場所は別の誰かに取られてしまう。
     公衆電話を探そうにも、スマホの登録に慣れてしまっていて、同僚の電話番号なんて分からない。
    「おーい、皆遅いぞー! 弁当食べちゃうぞー!」
     体育座りで待ち続ける桜井青年は、気づかなかった。
     皆に連絡したのは、四月第一日曜日――つまり翌日だったことに。
     その後二時間待ち続けた桜井青年は、一人大荒れに荒れて周囲に当たり散らしてしまうことに。
     桜井青年の、いろんな気持ちが色々混ざった怨念がその場に残り、都市伝説と化してしまうことに。
     二時間後。
     返り支度を始めた花見客が、絶望した桜井青年に襲われて、桜吹雪ならぬ血吹雪と化すのだった。


    「……この事件は、まだ阻止することができるんや。ラジオウェーブのラジオ電波の影響で生まれる前に知れたんは、ホンマに良かったわ。赤槻・布都乃(悪態憑き・d01959)はんの調査のおかげやね」
     事件が起こるのは、郊外にある花見スポットの公園。
     満開の桜の下、絶好の花見日和に起こる。
     そのまま灼滅してしまってもいいが、せっかくなので一緒に花見を楽しむと、桜井青年も弱体化する。
     お弁当もお菓子も揃っていて、言えば桜井青年は分けてくれる。
     もちろん、自作のお弁当やお菓子を持ち込むことも可能。
     体育座りでしょげている桜井青年に話しかければ、孤独死しそうだった青年は喜んで迎え入れてくれる。
     二時間後、花見をしてもしなくても桜井青年は「チームの皆が来てくれなかった」ということで凶行に走ろうとする。
     周囲は花見客でごった返している。
     被害を広げないためには、他の花見客を避難誘導するか、桜井青年をどこかに誘導する等の対策が必要となる。
    「では僕は、花見客の避難を手伝いましょう。桜井さんをどこかに誘導する時には、そのお手伝いを」
    「頼むで! ついでにお花見も楽しんできはったらええで」
     葵の腕を軽く叩いたくるみは、桜井青年の戦闘力について説明を続けた。
     桜井青年のポジションはクラッシャー。
     七不思議使いに似たサイキックを使う。
     花見をせずに戦闘を仕掛ける場合、二時間放置した後暴れ出す寸前に介入することとなる。
     花見をしてもしなくても、エクスブレインの予知ではないため、威力やサイキックが異なる場合がある。
    「連絡ミスが原因や、いうても、一人で花見は切ないわ。せっかくやったら、皆も満開の桜を楽しんできはったらええと思うで!」
     くるみはにかっと笑うと、親指を立てた。


    参加者
    羽柴・陽桜(ねがいうた・d01490)
    久成・杏子(いっぱいがんばるっ・d17363)
    黒嬢・白雛(天翔黒凰シロビナ・d26809)
    秋山・梨乃(理系女子・d33017)
    新堂・柚葉(深緑の魔法つかい・d33727)
    栗須・茉莉(助けてくれた皆様に感謝します・d36201)

    ■リプレイ

     一人しょぼくれて、レジャーシートにのの字を書いていた桜井青年の前に、羽柴・陽桜(ねがいうた・d01490)は視線を合わせてしゃがみ込んだ。
    「こんにちは? 桜の木の下に埋まっちゃいそうな顔なのですよー?」
    「ふえ?」
     慌てて顔を上げた桜井青年に微笑みかける陽桜の隣で、黒嬢・白雛(天翔黒凰シロビナ・d26809)は手にしたコンビニ弁当とタンバリンを掲げた。
    「お花見……ご一緒してよろしいですの?」
    「待っている方が来るまでの間でいいです。一応、お菓子と飲み物を持ってきてます」
     コンビニ袋を見せる栗須・茉莉(助けてくれた皆様に感謝します・d36201)の隣で、新堂・柚葉(深緑の魔法つかい・d33727)は重箱の包まれた風呂敷をレジャーシートの上に置いた。
     微笑む四人の美少女達に、桜井青年は涙を袖口で拭うと大きく頷いた。
    「あ、ど、どうぞどうぞ! 多分そろそろチームの皆が来ると思うけど、皆気のいい人達ばっかりだから……」
     荷物の中からウエットティッシュを取り出した桜井青年は、レジャーシートをさっと拭うと四人に場所を示した。
     優しい笑顔にホッと息を吐いた桜井青年の肩を、久成・杏子(いっぱいがんばるっ・d17363)は軽くつついた。
    「これ、あなたのですか? 落ちてましたよ」
     差し出される最新機種のスマホを前に、桜井青年は慌てた声を上げた。
    「え? あれ? 忘れたと思ったんだけど……。ありがとう。でもこれ、僕の機種じゃないような……」
    「春ですし、機種変更したんじゃないですか?」
     ニコニコと微笑む杏子に、桜井青年は首を傾げた。
    「でも……」
    「それより桜井さんは、どうしてお一人でお花見していたんですか?」
    「あたしも聞きたいです!」
     杏子と陽桜の興味津々な視線に頬を掻いた桜井青年は、その手で頭を掻いた。
    「いや本当はね、会社のチーム皆でのお花見なんだ。僕はいっつも皆に迷惑かけてばっかりだったから、お花見の手配くらいはちゃんとやろうと思ったんだけど……。皆、僕に愛想尽かしちゃったのかなぁ。なんで来てくれないんだろ」
     寂しそうな桜井青年の手に、杏子はスマホを握らせた。
    「スマホがあるんだから、連絡先に電話してみるといいの! きっと何か、行き違いがあったのよ」
    「そう……だね。掛けてみるよ」
     元気づける杏子の声にスマホの住所録を開いた桜井青年は、登録されている十の名前の一つに電話をかけた。

     その頃。
     花見会場から死角になる場所で待機していた秋山・梨乃(理系女子・d33017)は、用意した十個の携帯の一つが鳴るのを確認した。
     ボイスチェンジャーを起動させ、電話を受ける。
    『あ、角谷さんですか。桜井です。今日のお花見なんですが……』
    「何を言っているのだ。花見は明日だぞ」
     梨乃の声に、沈黙することしばし。やがて受話器から、桜井青年の裏返ったような声が聞こえてきた。
    『……あああ! そ、そういえば……! 僕はなんてミスを!』
    「まあ、頑張って準備してくれたみたいだから、今日は友達でも誘って、そのまま花見をすればどうだ」
     優しい梨乃の声に謝りながら頷く桜井青年の電話を切った梨乃は、思わず苦笑いを零した。
    「日付の確認を怠った上に、連絡手段まで忘れてる時点で社会人失格だと思うが……」
    「まあまあ。お蔭でお花見を楽しめますし」
     梨乃と共に待機していた桜井・夕月は、用意していた大量の料理と飲み物を掲げて楽しそうに微笑んだ。
     夕月の隣で重箱を持っていた葵は、満開の桜を見上げて微笑んだ。
    「そうですよ。こんないい場所、なかなか取れませんし」
    「一般人の避難誘導は、お任せください」
     避難経路を確認する双海・忍に頷いた梨乃は、切れた電話を仕舞った。
    「悪い人では無さそうだし、後味の悪い結果にならないと良いな」
     一つ頷いた梨乃は、再び鳴った個人の携帯電話を受けて歩き出した。
     花見会場に着いた梨乃は、手を振る柚葉に手を振り返すとレジャーシートに腰をかけた。
    「場所取りをしていたのだが、逆ナンした上に場所移動とはな。……まあ、こちらの方が豪勢だからいいか」
    「あ、お友達ですか? よろしくお願いします!」
     すっかり打ち解けた様子の桜井青年が、紙コップを三人に手渡す。
     満開の桜の下、お花見が始まった。


     桜の花が揺れる芝生の上で、柚葉は重箱を広げた。
    「折角ですので、少し豪華にしてきました」
     桜柄の風呂敷に包まれていた重箱には、色とりどりのお弁当が詰まっていた。
      唐揚げに卵焼きに豚角煮。
     主食はサンドイッチに焼きそば、おにぎり。
     デザートにお団子や栗きんとんまで用意してあり、飲み物もジュースやお茶、紅茶やコーヒーなど色んな種類がある。
     多種多様なおかずを詰めたお弁当に葵は思わず感嘆の声を上げた。
    「素晴らしいお弁当ですね。この後に出すのは、少し恥ずかしいような……」
    「葵さんお手製のお花見お弁当も、食べたいです」
     わくわくしながら覗き込む陽桜に照れながら、葵は重箱の蓋を開いた。
     中には、稲荷寿司と煮しめが入っていた。
     稲荷寿司は油揚げの口を上に向け、桜でんぶが振ってある。
     春らしい色合いの稲荷寿司に、陽桜は手を叩いた。
    「わ、桜! お揃いですね!」
     陽桜が出した桜の紅茶と桜のシフォンケーキに目を丸くした桜井青年は、感心したように呟いた。
    「すごいなぁ。皆手作りかい?」
    「桜井さんがご用意したお弁当は、どんなのなの?」
     好奇心に目を輝かせる杏子に、桜井青年はお弁当を一折り差し出した。
    「普通の、某有名店のお花見弁当だよ。良かったら食べてよ」
    「いただきますなの! あたし、三色団子と桜餅も用意したのっ。皆で、食べようっ」
     花見にぴったりな色合いの三色団子と桜餅に、誰ともなく手を合わせた。
    「「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」」
     お弁当を心行くまで堪能していた夕月は、ふと桜の花を見上げると、コンビニのお菓子に手を伸ばした。
    「ふふー、ティン、桜綺麗だねぇ」
     霊犬の背中を撫でながら桜を見上げる夕月に頷いた茉莉は、桜風に吹かれながら美味しいお弁当を味わった。
     手作りのお弁当のお裾分けをいただきながら、白雛はコンビニ弁当に舌鼓を打っていた。
     最近はお高い物より安っぽい食べ物に嵌り気味の白雛は、ぱくぱくと美味しそうに市販の物を口にしていく。
     そんな様子を思わず見ていた桜井青年と目が合った白雛は、お箸でコンビニ唐揚げを差し出した。
    「……食べますの?」
    「い、いただきます」
     恭しく唐揚げを受け取った桜井青年は、照れながら後ろを振り返った。
    「いやぁ、楽しいっすね、先ぱ……」
     振り返った視線の先には、見知らぬ花見客。
     ふと真顔になった桜井青年は、スマホに目を落とした。
    「そういえば、さっきの登録の名前、何処かで見たような……」
    「会社の同僚なのだから、当然だろう?」
     お茶を飲みながら首を傾げる梨乃に、桜井青年は続けた。
    「でも名前が戦車アニメの……」
    「休みの日にまで業務の話か? 桜井さんの会社は戦車の部品を作っているとか?」
    「そんなことはないけど……」
     うまく誤魔化す梨乃を援護するように、陽桜は立ち上がった。
    「あたし、宴会芸します!」
     用意した手品セットを手にした陽桜は、歌いながら手を差し出した。
     指先から花がたくさん湧き出し、春風に乗って周囲を華やかに彩っていった。
     舞い上がり、舞い落ちる花々は、霊犬のあまおとが器用にキャッチしていく。
     歌う陽桜に合わせて、突然タンバリンが掻き鳴らされた。
     一心不乱に掻き鳴らす白雛のタンバリンに驚いた陽桜は、足をもつれさせて転びそうになる。
    「危ない!」
     咄嗟に支えた葵の手にバランスを取り戻した陽桜は、最後まで歌いきるとぺこりと頭を下げた。
     沸き上がる拍手に嬉しそうな陽桜へ、白雛は申し訳なさそうに軽く頭を下げた。
    「驚かせてしまいましたね。これがお花見の作法と聞いたのですが……」
    「その通りなのです!」
     元気に頷く陽桜に、杏子は桜井青年へ手を差し出した。
    「桜井さんも、歌を歌おうよ! もやもやした気持ち、歌って発散させるの!」
    「一つ過疎の歌を歌いましょうか? 過疎の村にも桜は咲いて~♪」
     楽しそうに歌い始めた忍の過疎の歌に、白雛はタンバリンで合いの手を打った。


     お弁当を食べ終わり、宴も終わりに近づいたころ。
     桜井青年はふと、最新機種のスマホを弄び始めた。
    「チームの皆……来てくれなかったな」
     負の感情を沸き上がらせ始めた桜井青年に、柚葉は問いかけた。
    「桜井さんは今日、楽しかったですか?」
    「楽しかったよ! すごく楽しかった! ここにチームの皆がいてくれたら、もっと楽しかっただろうなって思うと……」
     押さえようもなく沸き上がる負の感情に俯いた桜井青年に、茉莉は手を差し伸べた。
    「桜井さん。少し離れた場所で、別の角度から桜の花を眺めてみませんか?」
     茉莉の手を黙って取って立ち上がった桜井青年を、陽桜は人の少ない場所へと先導した。
     人の少ない広場に差し掛かった時、桜井青年は茉莉の手を振り払った。
    「ダメだ。やっぱり、我慢できない! 僕は迷惑を掛けたチームの皆に花見を楽しんで貰いたいんだ! 僕だけ楽しくて、それじゃダメなんだ!」
     がむしゃらに繰り出した体験談が、音波となって広範囲に広がった。
     偶然近くを通りかかった花見客へと放たれた音波から庇った忍とビハインドのうつし世はゆめは、驚いて腰を抜かす花見客に手を差し伸べた。
    「こっちです。大丈夫、危なくないですから」
    「すみません、ちょっと知り合いがお酒に酔って暴れてしまって。危ないですので……申し訳ないです」
     花見客を安全圏へ移動させた夕月を追うように、サウンドシャッターが展開される。
     桜井青年を包囲する灼滅者達に、桜井青年は問いかけた。
    「君たちは……」
    「桜井さん、お花見満足できた? 寂しくなくなった?」
    「楽しかったよ! 本当に、こんなに楽しいお花見なんて、生まれて初めてだ! でも、違うんだ。うまく言えないけど……」
     混乱して頭を振る桜井青年に、杏子は切なそうな微笑みを浮かべた。
    「ひとりって寂しいね。……連絡の行き違い、勘違い、すれ違い、いろんな理由があってもね。楽しみにして、思い描いてたおしゃべり。それが出来ないなんて、周りに当たっちゃう程つらいから」
    「……」
    「お花見の場所、すっごく良かったです。お弁当やいろんな小物の準備、ぜんぶちゃんとしていて。桜井さんがこのお花見を成功させようとした頑張りは、すごいって思います」
    「でも僕は……僕はまた失敗したんだ!」
     周囲に溢れ出した猛毒が、励まし褒める陽桜へ向けて放たれる。
     前衛を包み込む毒霧を晴らすように、氷の砲弾が放たれた。
    「さぁ……ええと、とりあえず断罪の時間ですの!」
     いつもより少し戸惑い気味な白雛が、白黒の炎を纏わせたクロスグレイブを手に高らかに宣言する。
     凍りついた桜井青年に追い打ちをかけるように、氷の砲弾が放たれた。
     さくら・くるすの照準から目を離した陽桜は、主を庇ったあまおとの頭をそっと撫でる。
     氷の檻から逃れようとうめく桜井青年に、切なそうに眉をひそめた。
    「このお花見で、悲しい気持ちと寂しい気持ち、少しでも晴れたらいいのですが」
     氷から逃れ、ぐらりとよろけた桜井青年に、茉莉は妖の槍を繰り出した。
    「事情はどうあれ、一般人に危害を加えるのは、見過ごせません!」
     強烈な一撃を受け、ぐらりとよろけた桜井青年に、マジックミサイルが突き刺さる。
     腹を押さえてうめく桜井青年に、梨乃は語り掛けた。
    「来年の花見は、社会人として成長しているといいな。……ミケ!」
     主の声と同時に、ウイングキャットのミケが猫魔法を放つ。
     桜井青年が膝をついた隙に、柚葉は語りに力を込めた。
    「癒しの言の葉を、あなたに……」
     七不思議の言霊が、失敗談を受けた前衛を癒して毒を消し去る。
     我を失ったように地面を見つめてブツブツ呟く桜井青年を、柚葉は切なそうに見た。
    「ラジオウエーブの放送による都市伝説、ですか……。エクスブレインの予知に比べて、どうも詳細がわかりませんね」
    「みなさんとお花見を楽しみにしていた都市伝説さん、ですか。一緒にお花見を楽しんであげて、苦しませずに灼滅するのがいいのでしょうか」
     茉莉の声に、杏子は息を大きく吸い込んだ。
     美しい歌声が響き渡る。
     桜井青年が募らせていた一人の寂しさを人一倍感じ、共感していた杏子の歌に、桜井青年は顔を上げた。
     杏子の辛い過去。差し伸べきれなかった手。それでもみんなに会いたくて。
     自我を失い暴走していた桜井青年は、顔を上げると大粒の涙を零した。
    「俺……失敗したけど、おかげで……皆に会えたんだな……」
     涙が膝に落ち、桜井青年を癒して消える。
     泣き続ける桜井青年に、杏子は静かに語り掛けた。
    「桜井さん……楽しい気持ちに、なってもらえた?」
    「ああ……。すごく。楽しかったよ」
    「だったら、いいな……」
     動きを止めた桜井青年に、柚葉は魔導書を構えた。
    「大いなる魔力よ、今ここに集え!」
     都市伝説のサイキックを否定する魔力の光線が、桜井青年を貫く。
     よろめいた桜井青年に、ねこさんの肉球パンチが迫る。
     同時に飛び出したケーキの肉球パンチが、連撃のように桜井青年に突き刺さった。
     そこへ、氷の礫が放たれた。
    「せめて、安らかに」
     茉莉が放つ妖冷弾が、桜井青年を氷の柱に閉じ込める。
     氷に閉じ込められた桜井青年は、遠くに見える桜並木に目を細めた。
    「ああ……いい、お花見だったなあ……」
     氷が砕け、桜井青年が消える。
     桜井青年がいた場所に立った茉莉は、そっと手を合わせ黙祷を捧げた。

     郊外にあるお花見スポット。
     今年もまたたくさんの花見客が、楽しいひと時を過ごしているという。

    作者:三ノ木咲紀 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2017年4月8日
    難度:普通
    参加:6人
    結果:成功!
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