男子も女子も、ミニスカ巫女服にされる!?

    作者:芦原クロ

     古びた神社へ、皇・銀静(陰月・d03673)は灼滅者たちを連れて来た。
     それを迎えたのは、巫女服を着た一般人の男性だ。
     しかも巫女服はミニスカの為、ふとましくすね毛たっぷりの足がモロ見えである。
     他にも数人、巫女服をまとった一般人が居るが、全員ミニスカだ。
    「ミニスカ巫女を求める酉でも来るかもと思いましたが……これは……」
     言葉を失くしている銀静と灼滅者たちに、人型サイズのニワトリが近づいて来た。
    「これは、一体……?」
     銀静がなんとか声を出し、ニワトリに問う。
     するとニワトリは、神社の周囲に咲きほこる桜の木々を見るように促した。
    『桜には巫女服が似合うと思いませんか? そして今年はニワトリの年……つまり! ニワトリの私が! 好き放題しても良い年! 男子も女子もミニスカ巫女、最高だっ!』
     なんだ、ただの変態か……と、灼滅者たちの目が遠くなった。

    『さあ、貴方もミニスカ巫女に変えてあげますよ!』
     銀静に迫る、ニワトリ。
     あっという間に、銀静の服はミニスカ巫女の服に変わってしまった。
    「足元が何かすーすーします……って!?」
     ミニスカ巫女になった銀静は、あまりのショックで絶叫しそうになる。
    「大丈夫ですよ、すぐ慣れますから」
     さきほどの一般人の男性が、ミニスカ巫女服のままで爽やかに笑う。
     そういう趣味は無いハズの一般人男性が、その姿を受け入れている様子からして、なにかが有る。
    「……何かこのままでも良い気分になってきました。……!? ぼくはなにをいっているのでしょうか」
     灼滅者たちに呼び掛けられ、我に返る銀静。
     そして思い出したのは、先ほどの一般人男性が言っていた「すぐ慣れる」という言葉。
     これはかなり厄介な能力を持っている、都市伝説だ。
    「キュアで戻りますか……!? ああ、何かまた……この服が一番、自分に似合う気がしてきました……」
     銀静は自分が体験した情報を、灼滅者たちになんとか伝えきった。


    参加者
    アリシア・ウィンストン(美し過ぎる魔法少女・d00199)
    皇・銀静(陰月・d03673)
    フェイ・ユン(侠華・d29900)
    旭日・色才(虚飾・d29929)
    切羽・村正(唯一つ残った刀・d29963)
    エリザベート・ベルンシュタイン(勇気の魔女ヘクセヘルド・d30945)
    牧原・みんと(象牙の塔の戒律眼鏡・d31313)
    禰宜・汐音(中学生エクソシスト・d37029)

    ■リプレイ


    「なにがしてぇんだあのニワトリ……焼いて食っちまうか」
     ミニスカに興味が無い切羽・村正(唯一つ残った刀・d29963)が、やる気無さげに呟く。
    「ヒーローにとってコスチュームは何より大事なもの……その誇りを忘れたりしないわ! 勇気の魔女へクセヘルド、ここに参上!」
     スレイヤーカードを解放し、魔法少女風のヒーローに変身する、エリザベート・ベルンシュタイン(勇気の魔女ヘクセヘルド・d30945)。
    「ミニスカ巫女か……」
     既に自前のミニスカ巫女衣装を着ている、アリシア・ウィンストン(美し過ぎる魔法少女・d00199)は、なにやら複雑そうな表情をしている。
    (「なんだか長い間戦うと、空気に酔わされ染まっちゃいそうなので速やかに……その前にツッコミは全力でやらないと、ですね」)
     サウンドシャッターを展開し、ツッコミ役に徹しようとする、牧原・みんと(象牙の塔の戒律眼鏡・d31313)。
    「……ぐ……なんでこんな所に来てしまったんですか僕は……」
     ミニスカ巫女服になっていた皇・銀静(陰月・d03673)は、絶叫をあげてキュアをする。
     魂の叫び、すなわちシャウトだ。
    「銀静兄様はいつも心に苦くて辛い物を押し込んでいましたから……ああして他の事で忘れられるのはきっと……癒しになってくれるのです」
     慌てている銀静を見て、嬉しい気持ちになっている、禰宜・汐音(中学生エクソシスト・d37029)。
    「うっわぁ……変態だ……変態の鶏だ……」
     男子も女子もミニスカの巫女服にしている都市伝説に、ドン引き状態のフェイ・ユン(侠華・d29900)。
    (「ふっ……翼を有するが飛翔を禁忌とされた存在か……その天に宿りし真紅の冠が指し示す未来とはいったい……」)
     旭日・色才(虚飾・d29929)が、都市伝説を一瞥する。
    「いや、俺たちが気にすることではないか。己の天下年と言わんばかりの禽に引導を渡してやろう!」
     色才がそう言い放った瞬間、服がミニスカートの巫女服に変わった。


    「ちょ、色才……おま……」
     いの一番に巫女服にされた色才を見て、村正が我慢出来ずに笑い出す。
     都市伝説の変な能力に驚いていたフェイだったが、仲の良い村正やエリザベートが笑っているのに気づき、次第に笑みが浮かぶ。
    「村正と色才のミニスカ巫女服姿を見たかったのよ」
    「俺もかよ! 俺は普通に、さっさと終わらせるつもりだぜ」
     エリザベートが本音を零すと、村正は武器を構え、都市伝説に攻撃をしようとする。
     特に警戒していなかった為、村正の服は一瞬で、ミニスカートの巫女服に変わる。
     違和感に気づくも、村正は攻撃の手を止めない。
    『痛い痛い……これだから男子は困りますね。ミニスカ巫女になれば、大人しくなるでしょう』
     都市伝説は、村正に目をつけてしまった。
    「なるほど、確かに衣装としては神社らしくはありますね。桜にもよく合う。実にグッド」
     みんとは頷いてから、巫女服になってしまった色才と村正へ眼差しを投げる。
    「けれどもその、脛毛はちょっと見苦しいというか神社っぽくないですね。のーぐっど。というかなぜ男性ばかり? 意図的に選んでるんですかそこのから揚げ」
     都市伝説に向かって言葉を投げる、みんと。
     すね毛の処理はしていないが、普通よりも薄いことで、逆に目立ってしまった村正の足。哀れ、村正。
    『平等にしていますよ! 近くに居た者から順番に、ミニスカ巫女に変えてあげます!』
     都市伝説が叫び、前衛陣から順番に、お次は後衛陣の服装を変えてゆく。
    「巫女服もまた立派な儀礼服ですよね。それなら纏わせて頂きます、ね」
     あっさりとミニスカ巫女服を受け入れてしまう、汐音。
    『おや? 1人足りない』
    「萌えとして研究してみたい気もするが、男女構わずなのはのぅ……」
     アリシアは箒で空を飛び、上空で安全を保っていた。
    『ミニスカ巫女服とホウキの組み合わせ……いいですね!』
     ニワトリはアリシアを見上げ、歓喜している。
     ダメだこの変態ニワトリ、早くなんとかしないと……的な空気に包まれるが、ミニスカ巫女服にされて動けない者が数名。
    「うわっ、なにこれ!? コスプレみたい……スカートも短すぎない?」
     フェイは頬をほんのりと赤く染め、スカートをおさえている。
    「エリザちゃんは……」
    「み、ミニスカ巫女服魔女っ娘ヒーロー……アリじゃないかな……?」
     フェイがエリザベートに、心配そうな眼差しを向けるが、もう既に受け入れ態勢のエリザベート。
    「似合ってると嬉しいのですが……」
     服装が変わっても気にせず、くるりと回って見せる汐音は、無邪気で愛らしい。
    「男がそんな物着て様になる訳ないでしょうがっ! 大体ですねぇ……何でミニスカなんですかっ! 巫女というのは本来神聖な業務な筈で……」
     素早くキュアで服を元に戻した銀静が、ワンブレスで主張する。
     そしてまたもや感じる、違和感。
     足元の涼しさに、目線を下げたそこには、露出した自分の足。
    「うがぁぁあああっ!?」
     銀静、大パニック。
     そこに現れる、天使こと、汐音。
    「銀静兄様……一緒ですね?」
     お揃いのミニスカ巫女服姿になれたことが、とても嬉しく、輝かんばかりの無邪気な笑顔を見せる汐音に、銀静は自分へのキュアをためらう。
     汐音の露出した足に目がゆく、銀静。
     健全な男子だから、仕方が無い。
    「大体君なんでそんなに楽しそうなんですかっ、何で僕こんな依頼にきたんでしょうかねぇ!?」
     汐音のことをちゃんと理解している為、強くは言えない、銀静。
    「もうどうでもいいから放置でもいいんじゃないでしょうか!? というか帰っていいですか!? でも来た以上は帰れないじゃないですか!」
     頭を抱えそうになった銀静が、はっと気づく。
     そうだ、倒してしまえば良いのだ。
    「こうなったら粉砕してやりましょう!!」
     禍々しい覇気を放つ魔剣「Durandal MardyLord」で都市伝説を斬ろうとした瞬間、巫女服姿にされた一般人の、澄み切った瞳に気づく。
     あまりにも澄み切った瞳に怯んでしまった銀静は結局、攻撃が出来なかった。


    「祭霊光は、信頼する仲間の色才や村正に優先して使うよ!」
    「おっと、俺にキュアは不要だ……必要としているものにやってくれ」
     エリザベートの申し出を、色才はミニスカートをひらめかせ、チラリズムという名のサービスをしながら断る。
     色んな意味で、つらい光景である。
    「ふっ、俺とお前でナンバーワンの巫女ユニットとなろうか……! 村正!」
    「ああ! お前とならなれるぜ!」
     巫女服姿が自分に良く似合うとばかりに、色才と村正が仲良く声を掛け合っている。
     村正は可愛らしいポーズをキメ、ノリノリだ。
     ミニスカには興味の無い村正だが、実家の関係から、和装の巫女服をかなり気に入っているのだ。
     その為、馴染むのは誰よりも早かった。
    「ふっ、俺の可愛さ、セクシーさに魅了されるなよ?」
    「可愛さなら俺だって負けてないぜ! どっちが可愛いか、教えてくれ!」
     両手でハート型を作る、色才と村正。
     村正は他の仲間たちにガチで尋ねるほど、重度になっている。
    「可愛いのはボクだよ! フェイはどう思う?」
    「エリザちゃんも村正くんも色才くんも可愛いよ!」
     エリザベートの問いに、フェイが頷いて答える。
    「見て見てー! どう? ボクも似合うでしょ? 一緒に写真撮ろう写真!」
     フェイはすっかり馴染んでしまい、エリザベートと愛らしいポーズを考えて実行したり、笑顔でくっつき合っていたりと、天国を満喫中。
     それらすべてを写真におさめていたフェイは、名案が浮かんだ様子で村正と色才を見る。
    「村正くんと色才くんも入れて記念撮影をしようよ!」
     スカートの裾をつまんで遊びながら、フェイは2人に声を掛けた。
    「ああ……己の可憐さが怖い……っ! つくづく罪な存在だ……この可憐さと可愛さを是が非でも残すべきだ」
    「俺のミニスカ巫女服姿を永久保存したいから、ガンガン撮ってくれ!」
     色才も村正も、ノリノリである。
     ウィンクを飛ばしたり、遠近法による小顔アピールをしたり、可愛さを存分に発揮する、村正。
     そんな村正を、カメラが撮って撮って撮りまくる。
     更に、色才と村正とエリザとフェイの4人で、記念撮影をいくつも撮っている。
    「リバイブメロディでキュアは行いますが、再度されたらまた違う服になるのでしょうか? 違う姿になるなら色々と着るのも楽しいかもしれませんね……♪」
    「君は何を言ってますか……」
     嬉しそうな汐音に、銀静はそう返すが、それも良いかもと思い直してしまう。
     ミニスカ巫女服が似合っているのだから、違う服でも良いだろうと、すっかり重度になっている。
    「本当に嫌がってる方には、こまめにキュアを掛けて戻しますね」
     にこやかに笑う汐音は、銀静の状態を理解していない。
    「私ですか? 勿論、桜に巫女服、眼鏡、大学女子と属性てんこ盛りで似合わないはずが無いじゃないですか」
     その姿を受け入れてしまっているみんとに、汐音がキュアを掛けた。
    「……はっ、私とした事が眼鏡第一にしないとは……おのれ」
     我に返ったみんとが怒る先は、そこだった。
     前衛陣にキュアが掛かり、元に戻った村正だったが、ニワトリは全力で、再びミニスカ巫女服に変えてしまった。
    「エリザ、お前は巫女服なんかに屈しないんだろう! そうだろう!」
    「ミニスカ巫女服なんかに、絶対負けたりしないッ」
     色才の呼び掛けで我に返り、エリザベートが意気込む。
    「フェイ! 无名はミニスカにならないのか!」
    「无名が? ならないと思うけどな……って、まさかそんな!」
     続く色才の呼び掛けに、フェイが振り向いて驚く。
     ビハインドの无名も、ミニスカ巫女服を着ていたのだ。
     良く見れば、みんとのビハインド知識の鎧や、色才のウイングキャット、クロサンドラの鈴までミニスカ巫女服を着ている。
    『ふう、ちょっと疲れましたね』
     ニワトリが手を休めた瞬間を、銀静は見逃さない。
    「高威力サイキックで猛攻……この戦術使うか極めて疑問ですけどねっ! もういっそのこと巫女服の種別でどういう宗派とか系列とかもう解説でもしましょうかっ!」
     やけくそ状態で銀静は知識を披露しながら、愛用している魔槍「Durindana MardyLord」に捻りを加え、敵を突く。
    「斬影刃でまず防御を崩しますね」
     連携した汐音が素早く影を伸ばし、鋭い刃に変わった影で敵を斬る。
    「一気にやっつけてやる! 行くよ、色才、村正、フェイ!」
    「ふっ……俺もクロサンドラの鈴も守護者となり、苛烈な撃手などを守護ってやろう。クロサンドラの鈴は狙撃者がいればそこに光輝の輪を放て」
     凛と錫の音を響かせ、智神の錫杖で敵を殴り、魔力を流し込むエリザベートと同時に、真横からシールドで敵を殴る色才。
     村正が攻撃しようと突撃するが、村正だけが執拗に、ミニスカ巫女服の姿にされる。
    「村正くん任せて! 仇はとるよ!」
     フェイは連携し、炎をまとった蹴りを浴びせ、无名は霊撃を放ち、敵にダメージを与えた。
    「巫女は巫女でも種類がある、妾達は己の中に潜む邪を祓う巫女でのぅ」
     空を飛んでいたままのアリシアが、詠唱を始める。
    「これが神罰じゃ!!」
     上空から魔法の矢で敵を射抜く、アリシア。
    「貴方は巫女服にならないのですか? 他人に押し付けるだけ、は不公平」
     みんとがツッコミと共に、トドメの一撃を食らわせる。
    『うう……私の、ミニスカ巫女の花園が消えて、しま……う……』
     都市伝説のニワトリは、完全に消滅した。


    「巫女服に眼鏡、ある意味黄金のコンビネーションだと思いません?」
     眼鏡の中央を指でくいっと上げる、みんと。
    「俺もお前たちも、そう皆……危うい可憐さを持ってしまっているのだ……」
     色才はカッコイイポーズを、ビシっとキメて見せる。
    「神に仕えるとなるとこれは少々違うかのぅ……」
     魔法少女の服に戻り、回復の必要は有るかどうか仲間たちを見回す、アリシア。
    「……」
     残っている今までの記憶や、カメラのデータを見て、仲間たちに背を向け、そっと涙を流す村正。
    「とりあえず他の子のフォローに! ボクも割と恥ずかしかったけど! けど! ……それで、この写真どうしよ?」
     フェイはフォローにゆこうとしたが、村正から近寄りがたい雰囲気を感じ、そっとしておくことにした。
    「いっぱい撮れたね! 村正と色才のミニスカ巫女服姿……ダメ、笑っちゃう!」
     エリザベートは写真を見て、お腹を抱えて笑い出す。
    「ううううう……本当に……本当に疲れました……汐音! もう今日は帰りますよっ!!」
     残った記憶に一度崩れ落ちるが、げっそりしながらもなんとか立ち上がり、進みだす銀静。
    「ありがとうございます。何時もと違う姿……楽しませて頂きました。私には中々出来ない事、でしたから」
     都市伝説が消えた辺りに向けて礼を言い、汐音はその心にしっかりと銀静の巫女服姿を刻みながら、帰路についた。

    作者:芦原クロ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2017年4月25日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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