決戦アッシュ・ランチャー~戦火は足音のごとくに

    作者:空白革命

     これは、現地に持ち込まれた依頼説明ディスクの映像である。
     画面の中で、大爆寺・ニトロ(大学生エクスブレイン・dn0028)はグッと親指を立てた。
    『みんな、前回の作戦では沖縄に攻め込んできた軍勢を見事に迎撃できたな! 統合元老院クリスタル・ミラビリスの元老であるアッシュ・ランチャーを灼滅できれば、今まで謎に包まれてきたノーライフキングの本拠地への侵攻もできるかもしれない!』
     しかし、と顔をしかめるニトロ。
    『敵軍はまだ強大な戦力を残したままだ。ハンパな反攻作戦はできない。それに、ご当地戦艦スイミングコンドル2世が敵の艦隊に合流してご当地怪人戦力も加わってやがる。
     アッシュ・ランチャーの艦艇に至っては擬似的に迷宮化されてて、アッシュ・ランチャーを灼滅しないかぎり破壊ができないときた。勿論中身はノーライフキング勢を据えためちゃくちゃ攻略の難しい拠点だ。
     けどここでアッシュ・ランチャーを逃がすわけにはいかないよな。市民の虐殺作戦再び、なんて冗談じゃねえ。
     なにがなんでも、アッシュ・ランチャーをぶっ飛ばさねえとな!』
     この解説に加えて、ご当地戦艦スイミングコンドル2世に闇堕ち後行方不明になっていた、椎那・紗里亜(言の葉の森・d02051)がとらわれていることや、彼女が闇堕ちによってエクスブレインとは異なる予知能力を獲得しノーライフキングに悪用されていること、可能なら救出か灼滅を頼みたいという旨が説明された。

    『さて、ここからが肝心だが……アッシュ・ランチャー艦艇は艦隊を編成してゆっくり撤退しようとしている。
     けど大規模を統率しているから動きは遅くなる。今すぐ追撃すれば大規模な襲撃が可能だ。
     追撃の必要性だとかアッシュ・ランチャーの重要性は、さっき話した通りだ。と言うわけで……襲撃する前提で説明するぞ。
     敵艦隊への移動手段として漁船やボートを用意してるが、最終的には灼滅者パワーでの強行突破になる。なんつっても、戦艦の砲撃だろうが機関銃の雨だろうが関係ないからな』
     流れとしては、船である程度まで近づき、物理的に破壊されるであろう船を捨てて敵艦の内部制圧へうつるというものだ。
    『一方でアッシュ・ランチャーは撤退可能になった艦艇に移乗して戦域からの撤退を画策してる。
     だからこっちは艦隊の外側にあたる、撤退準備が整っている艦艇を優先して制圧することになるだろう。
     艦艇には人甲兵やアンデッド兵だけじゃなく一般兵もいるから、アンデッドたちを撃破した後にESPを使って撤退運動を邪魔することができる。
     撤退ができないとなればアッシュ・ランチャーは周辺艦艇からアンデッド兵を集めて自己の守りを固めるだろうから、このアンデッド兵集結を阻止する必要が出るはずだ。
     と、ここまで進めばアッシュ・ランチャーの艦艇に乗り込んで決戦を挑める。
     非常に強力なダークネスで、親衛隊の強力な人甲兵もいるから相応の戦力が必要になるだろうな』
     おさらいすると。
     第一段階――外側の艦艇に乗り込んでアンデッド兵たちを撃破、軍の撤退を阻止。
     第二段階――船などで移動するアンデッド兵たちを倒して集結を阻止。
     第三段階――アッシュ・ランチャーとの決戦。
     ということになる。

    『ちょっと複雑になるが、敵側の増援にあたるスイミングコンドル2世について説明しとこう。
     スイミングコンドル2世にアッシュ・ランチャーを退避させると押し寄せた灼滅者に制圧されるという『紗里亜』の予知があったことで、ご当地怪人アメリカンコンドルは『アッシュ・ランチャー艦隊と灼滅者が戦って混乱した所』で介入する作戦を行おうとしている』
     もし、何も対策しなければ、アッシュ・ランチャーと決戦中に、アメリカンコンドルとご当地怪人の軍勢によって横槍を入れられて、アッシュ・ランチャーを奪われてしまうだろう。
     これを阻止する為には、スイミングコンドル2世への攻撃も同時に行わなければならない。
     スイミングコンドル2世の戦いでは、条件さえ整えば、アメリカンコンドルの灼滅の可能性も出てくるのだ。
    『とらわれている椎那・紗里亜はスイミングコンドル2世のスーパーコンピューターに接続され、知を行う為の装置として利用されている。救出か灼滅が求められている』

     ここまで説明をしてから、ニトロはぐっと拳を握った。
    「敵はデカいが得るものもデカい! ノーライフキングを追い詰めるチャンスってわけだ! 頼んだぜ、みんな!」


    参加者
    城・漣香(焔心リプルス・d03598)
    乃董・梟(夜響愛歌・d10966)
    白金・ジュン(魔法少女少年・d11361)
    リアナ・ディミニ(不変のオラトリオ・d18549)
    明鶴・一羽(朱に染めし鶴一羽・d25116)
    エリノア・テルメッツ(串刺し嬢・d26318)
    癒月・空煌(医者を志す幼き子供・d33265)
    立花・環(グリーンティアーズ・d34526)

    ■リプレイ

    ●そのもの、人にあって人にあらず
     潮風を切り裂き走る船。船首に立つはリアナ・ディミニ(不変のオラトリオ・d18549)。
    「漁船に乗り込む機会なんてそうありませんから、少しばかり貴重な体験ではあるのですが」
     隣で咳払いする明鶴・一羽(朱に染めし鶴一羽・d25116)。眼鏡を親指と中指でかぶせるように掴んだ。
    「こんな状況では、素直には楽しめませんね」
     頭上を三壱〇ミリの速射砲が通り抜け、漫画やアニメでしか見たことの無いようなあの四角くて穴が八つくらいついてて空にバスバスミサイルうつやつ(HHQ10という)がめっちゃ火を噴いていた。
     まずもって漁船で対抗する相手ではないし、なんなら生身で立ち向かったら死ぬやつなのだが……。
    「相手になりましょう」
    「『さぁ、鮮血の結末を』」
     眼鏡を外した一羽が雪の結晶を巨大な卵殻状に展開。
     その上にかぶせるようにリアナが影業のカーテンを広げていく。
     常人なら百人ほどまとめて殺せそうな弾幕が吹き払われ、リアナたちが無傷のまま弾幕を突破していく。
    「私たちの役目はアッシュ・ランチャーの撤退阻止。逃げ出す艦艇を中から潰して障害物に変えてやればいいのよね」
     エリノア・テルメッツ(串刺し嬢・d26318)はスレイヤーカードをピンと指で弾くと、きらめく光に包まれた。
    「『慄け咎人、今宵はお前が串刺しよ』!」
     光の中から飛び出してきた槍を握ると、冷気を纏わせたまま投擲。
     空をうねって漁船を狙ったミサイルを上空で爆発させる。
     爆炎と煙を突き抜け、鑑定のひとつへ体当たりをしかける漁船。
     この距離ともなれば漁船など紙切れ同然。早速爆発と沈没を始める漁船の上を、城・漣香(焔心リプルス・d03598)と乃董・梟(夜響愛歌・d10966)が高い方へと走っていく。
     都合良く斜めのジャンプ台と化した船のデッキを走り抜け、幅跳びからのダブルジャンプ。
     二人は同時に軍艦のデッキへと飛び乗ると、小銃を向ける兵士たちに手を翳した。
    「お邪魔しマース!」
    「でもって動くなっ」
     丸腰かつ普段着の子供が飛び込んできたことに一旦困惑しつつも、丸腰の彼らに臆することはないとばかりに銃撃を開始。
    「――って、聞いちゃいないよね!」
    「そんじゃま、シリアスにがんばりますか」
     漣香と梟はそれぞれ兵士の弾幕をロール移動で回避すると、素早く相手の側面に詰め寄って手刀を叩き込んでく。
     崩れ落ちる兵士たちをよそに、仲間たちが上がってくるための縄ばしごを投げる漣香。
    「お前たち、動くな! その場で伏せて両手を頭の――」
    「こっちの台詞です!」
     縄ばしごを高速でよじ登ってきた白金・ジュン(魔法少女少年・d11361)が即座に王者の風を発動。
     ショックに口をぱくぱくさせた兵士たちは、それこそ制圧された兵士そのものの様子で腹ばいになって両手を頭の後ろに組み始めた。
     プラスチック結束バンドでキュキュッとやるジュン。
    「ここでアッシュ・ランチャーを取り逃せば虐殺作戦が再び行なわれる……。絶対に失敗できない作戦になりましたね。できることを、精一杯やりましょう!」
    「もちろんだよっ――力を貸して、ヴィヴィ!」
     癒月・空煌(医者を志す幼き子供・d33265)が死神めいた少女が描かれたスレイヤーカードを翳すと、彼女(この際性別はおいといて)は見目麗しい死神少女のよそおいへと変身した。
     同じくカードを翳して変身した立花・環(グリーンティアーズ・d34526)が、侵入に対応して展開してきたアンデッドと一般人の混成部隊をにらみ付けた。
    「胸焼けしそうなメインディッシュはよそに任せて、うちらは派手に暴れますか」
     海から激しくジャンプしてきたマグロランチャーをキャッチして、環はビッと相手に向ける。
     同じく影業から変じた鎌を向ける空煌。
    「一般兵の人たちは大人しくしててです! これは、ヒトが至れる戦いじゃないのです!」

    ●闇の戦争
     想像できようか。
     何十もの軍艦や、何百という兵士や、機関銃やミサイルや凶悪な爆弾ですらまるで動かせはしない世界の存在を。
     少年少女が闇の力で武器をとり、直接にぶつかり合って世界の未来を守ろうとしているこの現状を。
     感じるだろうか。恐ろしいアンデッド兵たちに立ち塞がる少年少女の背中には、何億人もの人々の命がかかっていることを。
    「「射撃開始!」」
     機関銃やミサイルランチャーを構えるアンデッド兵たち。
     常人を一瞬で薙ぎ払ってしまいそうな射撃を前に、一羽と漣香が同時に手を翳した。
    「スクトゥム! 阻め!」
    「壁約ヨロシク!」
     どこからともなく現われた霊犬スクトゥムとビハインド・泰流がそれぞれ霊気の壁を展開。弾幕や爆発を自らの力と身体で払っていく。
     そうして生まれた爆発を突き抜けて、漣香と一羽は同時に拳を引き絞った。
    「邪魔するな」
    「もっかい死んどけ!」
     一羽によるいてつくオーラと、漣香の練り固めた影業のグローブがそれぞれアンデッド兵の顔面に直撃。
     吹き飛ぶアンデッドを受け止めるようにして後続が転倒――した所に、環がマグロランチャーをデスペラード撃ちした。
     光線やら粘液やら抹茶の香りの何かやらが連続で叩き込まれ、謎の爆発を起こして砕け散るアンデッド兵。
    「こんな雑魚ども、ちゃっちゃと片付けちゃいましょう」
    「これでもそのへんの眷属の何倍も強いと思うんだけど……まあ、そうね」
     槍へ螺旋状の冷気を纏わせていくエリノア。
     どこかなまめかしく穂先を指でなぞると、下段薙ぎのフォームでアンデッド兵たちを一斉に転倒させる。
    「この戦いの中じゃ、雑魚も同然よね」
     舌打ちしたアンデッドがコンバットナイフを抜いた。
     果物ナイフや出刃包丁が爪楊枝かなにかに見えるほど巨大で無骨なナイフである。人の首くらい一発で切断するだろう。
    「カッ――!」
     環やエリノアの弾幕をきわめて低姿勢の突撃によってかいくぐってくる。
     それを、リアナは鎖状に連なった影技のカミソリで受け止めた。
    「そこを通していただきます!」
     レース状の黒いリボンを放つ空煌。
     飛び退いて回避するアンデッド……だが、それこそが二人の狙いだった。
     カッと目を光らせた二人は影業で巨大なフォークをそれぞれ生成。先端を螺旋状に捻って槍に変えると、アンデッドめがけて投擲した。
     二本の槍に貫かれ、アンデッドがはじけ飛ぶ。
     最後の意地か、ここは通さぬとばかりにアンデッドがライフルを構えて立ち塞がった。
     構わず突撃するジュン。
    「マジピュア――」
     放たれるライフル弾。
     軽やかなステップアンドスピンで回避するジュン。
    「リボンストーム!」
     そして放った魔法のリボンがアンデッドの手からライフルを弾き上げた。
    「今です」
    「オーケー、オレってば今回マジだからさ」
     高速ステップで距離を詰めた梟が、目にもとまらぬ連撃を叩き込んでからアンデッドの背後でピタリと止まった。
     いつのまにか手にしていた糸を指でピンと弾く。
    「遠慮はしない。死になおせアンデッド」
     アンデッドはまるで糸の切れた人形のように、その場に崩れ落ちた。

     ややあって、船室の壁が吹き飛んだ。
     爆弾によってでも、なにかの事故でもない。
     壁を破って現われる、巨大なシルエット。彼の拳によるものだ。
     アンデッド専用強化兵装・通称『人甲兵』。
    「本チャンいきますか」
    「悠長に戦う暇はない。最速で潰す」
     オーラと影業をそれぞれ展開する漣香と一羽。彼らを庇うように飛び出した泰流とスクトゥムが、自らの霊力をまるごと乗せて殴りかかる。
     対して人甲兵は両腕をガシャンと鳴らして構えると、二人めがけてダブルパンチを叩き込んできた。
     接触と同時に炸薬破裂がおき、拳が高速でせり出す。激しい衝撃にスクトゥムたちが吹き飛び、背後の壁を突き破って落ちていった。
     彼らは襲いかかったのではない。全力で漣香たちを防御しにいったのだ。
    「おい」
    「やべえな!」
     漣香と一羽も咄嗟に防御。
     人甲兵の拳がロケットミサイルさながらに飛び出し、二人に接触した途端に爆発したのだ。
     先程の穴を抜けて吹き飛ぶ二人。しかし落ちていくことはなく、デッキをごろごろと転がるだけで済んでいた。
     なぜならば、環が展開したダイダロスベルトに受け止められていたからだ。
    「もうちょい粘ってくださいね」
     環がなんやかんやしてリバイブをメロディすると、爆発の傷が和らいでいく。
    「この調子ならいい具合に攻略できますよ」
     環は深く息を吐きながら、周囲の光景をみやった。
     自分たちとは別に撤退阻止作戦に参加した四つのチームたち。
     彼らも順調に艦艇を制圧しているようで、一部では既に制圧完了の合図が上がっていた。
    「各チームのパワーもパフォーマンスも充分。隙らしい隙もなし。けど……」
     制圧していない艦艇を見ると、まだまだ数があった。
    「最低限のチーム数では、ちょっとリソース不足かもですね」

     人甲兵との戦いはクライマックスを迎えていた。
     とはいっても、もとからじっくり戦うつもりのない敵である。環風に言えばちゃっちゃと撃破してちゃっちゃと制圧したいのだ。
     ゆえに、姿勢も攻め寄りである。
    「そらっ」
     梟のハイキックが人甲兵の装甲にめり込む。
     腕のマシンガンが放たれるも、足をフックにした跳躍で回避。背後に回って膝蹴りを叩き込む。
     べっこりとへこんだ装甲。
     しかし深追いはせずにすぐさま離脱。
     梟を掴もうと身を乗り出した人甲兵の足下から影業の巨獣が現わればっくりと飲み込んだ。
     だがこれでやられてくれるほどの敵ではない。
     リアナは腕から延長するように影業の巨爪を纏うと、獣もろともぶった切った。
     ばちばちと何かをスパークさせながらよろめく人甲兵。
    「そろそろですね」
    「決めます、マジピュアリボンスラッシュ!」
     ジュンがリボンを鋭利な槍に変え、人甲兵の損傷部分にねじ込んだ。
    「トドメは……」
     同じく槍を握り込み、人甲兵の腹を貫かんばかりに突っ込むエリノア。
     柄をがっちりと握り込んで相手を固定すると、エリノアはジュンに向けて片眉を上げて見せた。
    「ゆずるわ」
    「どうもっ」
     エリノアが槍ごしに流し込んだ冷気が人甲兵に広がり、装甲の上をしもがはっていく。
     ジュンはここぞとばかりに拳を装甲の内側にねじ込むと、自らも冷気を打ち込んだ。
    「マジピュア・フリーズバレット!」
     膨張した内部金属が外側の金属を押し、やがては激しい爆発を起こして人甲兵はばらばらに砕け散った。
     おりた前髪を指ですっとかきあげるエリノア。
    「制圧完了。知らせを出しましょ」

    ●英断
     勇敢な将校とはなにか?
     一人で千人なぎ倒す怪力も、何隻もの軍艦を動かす軍事力も、あることの前では無価値になる。
     それが、『決断するべき時に決断する』という点である。
    「提案があります」
     ちょいっと手を上げた環が、手をそのまま外へ向けて言った。
    「このままだと制圧が間に合わないかも……というか、間に合いません。アッシュ・ランチャーが撤退するだけの穴が残ってしまいます」
    「……『アレ』をやるしかなさそうね」
     エリノアが腕組みのまま顎をあげた。
     渋々、といった様子だ。
    「この艦艇を使って他艦を砲撃。最悪体当たりで足止めするのよ」
    「いや、ちょちょちょ、やばいでしょ。死ぬでしょ。オレらはともかく、あっちのさ……!」
     王者の風で鎮圧した一般人の兵士たちを指さす梟。
     なあ、と振り返ると一羽が(非戦闘状態に入ったために)かけていた眼鏡をスッと外していた。しかしフレームを握る手は強い。呵責を感じる仕草だった。
    「私は賛成です。他の艦艇に移るのに、最初からぶつけて移るつもりでしたし……沈めるならともかく、航行不能にさえすれば充分ですから」
     リアナはそう言って、船員を脅しつけて砲撃の準備を始めさせた。
    「マジで? マジでやるの!? 漣香くんは……」
    「やりたくないけど、今回はやるしかない。オレがこんなこと言うのもナンだけど……」
     漣香は頭をがりがりとやって言った。
    「今アッシュ・ランチャーを逃がしたら、何千人って人が命を落とすかもしんない。こんどはデカい爆弾を放り込んでくるかも。それだけは、マジで阻止しないとダメだろ……」
     ノーライフキングは狡猾だ。中でも強力なアッシュ・ランチャーがこの作戦から逃げ切れば、今度はどんな手をうってくるかわかったものではない。
     その危険にさらされる市民たちを考えて、漣香は強く拳を握っていた。
     ふと見れば、ジュンも唇を噛んで決意を固めている。
     いざとなれば闇堕ちも、と考えてはいたが……この作戦なら(一般兵の身の安全はともかく)大量のアンデッドが生まれることも味方に死者が出ることもない。
     空煌が船のシステムを管理しているらしい兵士を引っ張ってきて、こくんと頷いた。
    「船を操作できるようにシステムを変えさせました。救命ボートも出しています。急ぎましょう」

     砲撃が始まった。
     敵軍は驚いたことだろう。少年少女が乗り込んでいったと思ったら、その船が自分たちに向けて砲撃してくるのだ。
     アッシュ・ランチャーを乗せた船とその周辺艦艇は反撃をしながらも撤退を進めていく。
     飛び交う砲弾とミサイル。
     爆発が繰り返され、船が激しい揺れと傾きに襲われる。
     手近ななにかにつかまり、誰かが叫んだ。
    「魚雷を全部だ! 叩き込め!」
     やがて敵艦が傾き、無数の脱出ボートを残して沈んでいく。
    「あれで訓練された兵士だ。脱出も心得ているはず」
    「本当なら、誰も死なせたくなんて無いですものね」
     大きな揺れの中で聞こえた誰かの言葉。
    「見て、あの船……砲弾を弾いてる!」
     通常攻撃を受け付けない船。
     それはまさしく、アッシュ・ランチャーの乗る疑似迷宮化された船である。
     だれかが。
     否。
     全員が叫んだ。
    「「突撃!」」
     船そのものがぶつかり、激しい衝撃が船全体を襲った。
     自らを壁とすることでアッシュ・ランチャーの船を、見事に足止めしてみせたのだ。
     沈み行く船から脱出しながら、灼滅者たちは後を託したのだった。

     アッシュ・ランチャーとの決戦へ、つづく。

    作者:空白革命 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2017年5月18日
    難度:やや難
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 20/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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