──ジジッ、ジーッ……。
戦場へ状況説明ディスクは、もったいぶるようにノイズを鳴らしながら、灼滅者たちの前のモニタに天野川・カノン(高校生エクスブレイン・dn0180)の姿を映し出した。
いつものように『仁左衛門』の中央に座っていたカノンが、ぴょん、と立ち上がる。
「みんなありがとーっ!沖縄の軍勢の撃退に成功するなんてすごいよー!」
カノンは身振り手振りでひとしきり感激を現してから、こほん! と『言って』席へと戻った。
「今回の勝利で、アッシュ・ランチャーを灼滅するチャンスが見えてきたよ!」
統合元老院クリスタル・ミラビリスの元老であるアッシュ・ランチャーを灼滅する事ができれば、謎に包まれたノーライフキングの本拠地への侵攻も可能となるかもしれない。
だけどね、とカノンは続ける。
「敵の軍勢はまだ強大なの。半端な覚悟で反攻作戦を行うのはできないし──ノーライフキングと協力してる、ご当地怪人の移動拠点、ご当地戦艦『スイミングコンドル2世』が、艦隊に合流しちゃったの」
座っている『仁左衛門』についたテレビやモニタに、矢継ぎ早に映像が流れていく。
「アッシュ・ランチャーのいる艦艇は、疑似的に迷宮になってるから、アッシュ・ランチャーを灼滅しないと破壊できないよ。しかも、艦艇内部にはノーライフキングたちをはじめとした強力な戦力がいるから……攻略は、とっても難しいかも。でもねっ」
モニタには、今回の沖縄での戦いの様子が映し出された。
「ここで取り逃せば、また今回みたいな事件を起こすかもしれない。全力でっ、ここで灼滅するべきだよっ!」
移動型血液採取寝台につながれた青白い手が、赤く染まる勢いで、カノンは両の手をぐっと握りしめて灼滅者たちにアピールした。
「あっ、予知っていえばね。スイミングコンドル2世が、闇堕ち後行方不明になってた、椎那・紗里亜(言の葉の森・d02051)ちゃんを捕えてることもわかったよ。なんとね、彼女は予知能力を得てるみたいなの」
カノンたちエクスブレインとは異なる予知能力を、闇堕ちの際に得ているという。その予知能力をノーライフキングが悪用しているようだ。
「敵に予知能力があると、すごい脅威になるから……できれば、紗里亜ちゃんの救出、か、灼滅もお願いしたいの」
今回の依頼は、かなり厳しい戦いになりそうだ。気を引き締める灼滅者たちの前から、カラカラと音を立ててカノンの仁左衛門がフレームアウトしていく。
その後ろには、プロジェクタに投影された戦況図だ。
「アッシュ・ランチャー艦隊は、体制を整えてゆっくり撤退しようとしているみたい。でもこれだけの大きな艦隊はすぐには動き出せないよ。今すぐみんなで追撃すれば、艦隊に大規模な襲撃を欠けることができるよ」
こちらから攻撃をしなければ、相手は戦闘を行わずに撤退していくと予知されているが、アッシュ・ランチャーと艦隊が健在である限り、似たような軍事行動が再び行われるのは間違いない。
「アッシュ・ランチャーはノーライフキングの首魁、『統合元老院クリスタル・ミラビリス』の一体だよ。似たような軍事行動を防ぐだけじゃなくて、もしかしたら、所在不明のノーライフキングの本拠地の情報も得られるかもしれないの」
興奮気味の説明は続く。アッシュ・ランチャー艦隊へ、ボート型のほかに、たくさんの人型のアイコンがすすす、と動いていく。
「漁船やボートも借りてるんだけど、敵艦隊までの主な移動手段は、最終的には灼滅者の肉体による強行突破をお願いすることになると思う。ボートだと、戦艦の攻撃で沈んじゃうから……。漁船やボートの操作方法のマニュアルのデータは送ってあるから、できるだけボート類で近づいて、撃沈されたら灼滅者のみで敵艦に潜入して内部の制圧を行ってねっ」
最初から泳いでいけないこともないんだけどね、とカノンは続ける。いけないこともないが、ボート類を可能な限り利用した方が、迅速に敵艦に近づけるのは間違いない。
「接近後の作戦を説明するね」
カノンはまず、アッシュ・ランチャーを模したアイコンを点滅させた。
アッシュ・ランチャーは『撤退可能となった艦艇』に移乗して、戦域からの撤退を画策している。この撤退を阻止する為には、艦隊の外側、撤退準備が整っている艦艇を優先して制圧していく必要がある。
「艦艇には、人甲兵やアンデッド兵だけじゃなくて、多くの一般兵が乗ってるよ。人甲兵やアンデッドを殲滅した後、ESP等をうまく使って一般兵にお願いを聞いてもらって、他の艦艇の退避を邪魔するように移動させれば、アッシュ・ランチャーの撤退を防ぐ事ができるかも!」
予知によれば、撤退が不可能となれば、アッシュ・ランチャーは艦隊の人甲兵やアンデッドを呼び集めて、自分を守らせようとするらしい。アンデッドや人甲兵は、救命ボートのようなもので移動したり、或いは、海中を泳いだり歩いたりして集結してくる。
画面上に、大量の軍勢マークが現れ、アッシュ・ランチャーを目指して進んでいく。
そこに集結する戦力は、アンデッド1000体弱に、人甲兵が300体程度。
この戦力が集結すれば、打ち破るのは困難になるだろう。
「アッシュ・ランチャーの撃破には、増援を止めるのも大事だよ」
軍勢マークから伸びた矢印に、次々とバツマークがついていく。
「ここまで作戦が進めば、アッシュ・ランチャーが座乗する艦艇に乗りこんで、アッシュ・ランチャーに決戦を挑めるよ」
アッシュ・ランチャーは、ノーライフキングの首魁の一員である為、非常に強力で、親衛隊ともいえる強力な人甲兵の護衛もいるため、撃破するには相応の戦力が必要──さらに、後方から増援の人甲兵やアンデッドが押し寄せれば、撃破に失敗する可能性もありえるだろう。
撤退を阻止する、増援を阻止する、アッシュ・ランチャー及び護衛と戦う。
「3つの作戦を同時に成功させなければ、アッシュ・ランチャーを灼滅する事はできない、っていうことだね」
一気に説明を終えたカノンは、すぐそばの冷蔵庫をごそごそとあさり、ミネラルウォーターを少し口にして息をついた。
ここからは追加情報だよ、と言いながら、カノンは手元のタブレットをカメラに近づける。そこにうつるのは、スイミングコンドル2世。
「最初から、スイミングコンドル2世にアッシュ・ランチャーを避難させる作戦をわたしたちが取った場合、灼滅者がスイミングコンドル号に押し寄せてきて、スイミングコンドル2世が制圧されてしまう、っていう『紗里亜』ちゃんの予知があるから、アメリカンコンドルは『アッシュ・ランチャー艦隊と灼滅者が戦って混乱した所』で介入する作戦を行おうとしているよ」
この介入に何も対策をしなければ、アッシュ・ランチャーとの決戦中に、アメリカンコンドルとご当地怪人の軍勢によって横槍を入れられて、アッシュ・ランチャーを奪われる可能性がある。
つまり、スイミングコンドル2世への攻撃も同時に行って阻止をしなくてはならない。
「スイミングコンドル2世の戦いは、条件さえ整えば、アメリカンコンドルを灼滅できるかもしれないよ。それに、『椎那・紗里亜』ちゃんは、スイミングコンドル2世のスーパーコンピューターに接続されて、予知を行う為の装置にされてる。だから、彼女の救出、あるいは灼滅も目的になるよ」
闇堕ちした『椎那・紗里亜』の姿を最後にうつして、カノンはタブレットを手元に戻す。
そして、まっすぐに灼滅者達を見つめた。
「敵は、すっごい強いのがとっても沢山いて、厳しい戦いになるよ──その分チャンスでもあるよっ。うまくいけばノーライフキングを追い詰めることもできるから、みんな、頑張って、でも無事に帰ってき……」
激励の言葉が終わる前に、ディスクの映像は静かに途切れた。
参加者 | |
---|---|
歌枕・めろ(迦陵頻伽・d03254) |
辰峯・飛鳥(紅の剣士・d04715) |
巳葦・智寛(蒼の射手・d20556) |
午傍・猛(黄の闘士・d25499) |
未崎・巧(緑の疾走者・d29742) |
篠崎・伊織(鬼太鼓・d36261) |
ロードゼンヘンド・クロイツナヘッシュ(赤紅・d36355) |
神無日・隅也(多くを語らぬ異端者・d37654) |
●混乱の開戦
アッシュ・ランチャーの撤退阻止部隊と同時に船を出発させた、8人の灼滅者たちは、戦闘領域の外周で待機していた。
次はアッシュ・ランチャーの座上艦を捕捉次第、動き出す予定だ。
息をのみ状況を待つ中、辰峯・飛鳥(紅の剣士・d04715)、巳葦・智寛(蒼の射手・d20556)は静かに闘志を燃やしていた。
(「沖縄を戦ったみんながつくってくれた絶好のチャンス、無駄にするわけにはいかない」)
(「アッシュ・ランチャー、貴様の命運もここで終わりだ。生かしてなど帰さん。有象無象と共に海の藻屑になるが良い」)
飛鳥は、同僚である智寛たちがつくりだした今回のチャンスを、絶対に逃してはいけないと決意を固めた。しかも智寛にとっては、ノーライフキングは強い恨みを持つ復讐の対象だ。同僚たちのために、成功させねばならない作戦だった。
「ねえ、様子が変だよ」
双眼鏡を覗き込んでいた歌枕・めろ(迦陵頻伽・d03254)が、不安げに言った。
その直後、海面を揺らす号砲があたりに響き渡った!
激しく揺れ続けるボートの上で耐えきった後、灼滅者たちは砲撃の方向──アッシュ・ランチャー撤退阻止班の作戦位置をみやった。すると、1つの艦が別の艦へ体当たりをしかけていくではないか。
「何が起こってるの!?」
「うーん、うちの持ち込んだ無線は、やっぱり通じないねぇ」
飛鳥の疑念に、困ったような篠崎・伊織(鬼太鼓・d36261)の声。無言で別の無線機を操作しつづけていた神無日・隅也(多くを語らぬ異端者・d37654)も首を振った。
位置についた時から他チームとの連携のため無線機での通信を試みていたが、妨害が入っているのか一向に通じないのだ。
混乱の中、2つの戦艦が衝突した。ひと際激しい衝撃が、海面に展開していた灼滅者たちのボートを揺らす。
ゆっくりと耐衝撃体制を解いたロードゼンヘンド・クロイツナヘッシュ(赤紅・d36355)が、あたりを見回しながら言う。
「まともな連携は厳しいかもしれないね」
「ああ……だが、ここでどれだけ敵を減らせるかが、勝敗を、左右する……」
「それもそうだねぇ。じゃー、始めましょーかっ」
隅也の言葉に、伊織はのんびりとした口調で答え、斜めに着けた鬼の面に手をかけた。そのまま、手を滑らせ顔を覆い隠す。
「そうね!みんな、準備はいい?」
答えながら飛鳥がスレイヤーカードを構えた。彼女の同僚たち3人も同じようにスレイヤーカードを手に取る。
「無論だ」
「おうさ!」
「オッケ~!」
智寛、午傍・猛(黄の闘士・d25499)、未崎・巧(緑の疾走者・d29742)が応答し、4人がそろってスレイヤーカードを掲げ、「装着!」と叫ぶ!
たちまち、揃いの規格、色違いのフルメタルアーマーが4人の身を包んだ。
「D.D.D.(トライデルタ)、状況開始!」
●不動の防衛ライン
めろは再び双眼鏡を構えて、あたりを見回した。
「敵の本隊が列を成して、すごい速度で最前線に向かっていくよ」
智寛は他チームの様子を観察する。
「何チームかは、最前線側へ追撃に回ったようだな、飛鳥、どうする」
「わたしたちはこれ以上前に行かないように、敵陣に突撃しましょう!」
「横っ腹を叩いて暴れてやるってわけだな!」
猛は両の拳を胸の前でガツンとぶつけた。想定していない状況、大軍相手でも、士気は上々だ。
「飛鳥ちゃんの言う通り、このまま進んで、敵を見つけ次第撃破していけばいいのね」
双眼鏡でとらえた甲板上のアンデッドに向けて、めろがブルージャスティスを打ち込むと、彼女の狙い通り、戦艦の一つが灼滅者たちの方向へ舵をむけてきた。
飛鳥は重心を落として構え、近寄ってくる敵を見据える。
「来るわよ!」
「ゾンビ兵だろうがロボット兵だろうがどっからでもかかって来い!」
「アンデッドと人甲兵だ」
「智寛、細けーよ!」
「そうだぜ! とにかく派手に暴れてやろうじゃねぇか!」
軽口をたたき合いながら、猛、智寛、巧は、甲板へ向けて飛び出していったリーダーの飛鳥へ続いた。
他にも攻撃の届きそうな戦艦がいくつかあった、が。
大軍相手とはいえ、迎撃にあたっているチーム数は十分に見えた。そう易々と防衛網を破られることはなさそうだと、ロードゼンヘンドは思う。隅也も同意見のようで、短いながらもはっきりとした口調で告げる。
「……各個撃破」
「そうだな! 我らも続くとしよう!」
「伊織ちゃん、違うひとみたい」
先ほどの伊織の口調からは想像できなかった、赤鬼の凛々しい様子に、めろは飴色の瞳を細めて微笑む。表情は違えど、奥にひそむは同じく闘志だ。4人もまた、トライデルタの面々の後を追ってボートを飛び出した。
甲板上ではクロスグレイブを抱えた人甲兵1体と、ガトリングガンを構えたアンデッド1体が待ち構えていた。
その向こう、別の戦艦の上に、さらに人甲兵1体とアンデッド2体の姿が見える。進軍を邪魔する灼滅者たちを倒す助力だろうか、こちらにむけて橋を渡そうとしている様子が見えた。
援軍が来る前に人甲兵だけでも倒さなければ厳しいだろう。ためらっている時間などない。
ソニックビートで牽制しながらディフェンダーのめろが踊り出て、続いて揃いの装甲に身を包んだ猛と飛鳥が続き、ロードゼンヘンドのイエローサインが前衛3人を包み、追うように伊織のオーラキャノンが着弾する。
静かに予言者の瞳を発動させる智寛の後ろから、テンションの高い掛け声と共に。
「いつものように目いっぱいジャミングかけてやるぜ! 俺たちを捉えられるかっての!」
巧の白炎蜃気楼がさらに前衛を強化する。
(「敵……は、前衛1、中衛1……」)
先に倒すべきは人甲兵。隅也は冷静に、ホーミングバレットを人甲兵へ放った。
●ひとりのこらず
3メートルの巨体を誇る人甲兵は、見かけ通りかなりタフだった。橋がかかるまでの時間稼ぎだろう、アンデッドはジャマ―としてバレットストームを駆使して妨害を行ってくる。
式部が早めの回復を、巧が継続して前衛を、深い傷を負ったものはロードゼンヘンドがラビリンスアーマーと、手厚い回復心掛けているゆえにこちらの前衛は崩れないが、あと1分もすれば増援が来るだろう。
気合を入れシャウトで自己回復を行うめろに、ロードゼンヘンドから鼓舞と共にラビリンスアーマーがかかる。
「もう少しだね、頑張っておくれ」
人甲兵はクロスグレイブを振り回し、戦闘力を誇示するように十字架戦闘術で飛鳥を襲う。
だがその一撃にひるむことなく。
「いくら装甲が厚くたって!」
彼女は飛び上がり、人甲兵のみぞおちにあたる部分へ抗雷撃を叩き込んだ。
「吹っ飛びやがれ!」
続く猛もロケットスマッシュで飛び上がりながらの一撃。衝撃が甲板を揺らす。
「凍てつけ。そして砕け散れ」
「追い込みだぜっ、装甲展開! さて、こいつに耐えられっかな?」
智寛と攻撃に転じた巧の連携で、フリージングデスと幻狼銀爪撃が人甲兵の装甲にヒビが勢いよく走り、そして。
──ドォォオオン!
増援を待つことなく、1体目の人甲兵は爆散した!
「やったわ! みんな、さすがね!」
「気を抜くな飛鳥、状況は継続している。残り敵戦力、半壊1、人甲兵1、アンデッド2」
追加の敵はバスターライフルと無敵斬艦刀を担いだ人甲兵、WOKシールドとそれぞれ異なるナイフを構えたアンデッド2体。
接敵時より敵は増えているものの、ロードゼンヘンドと巧が積み重ねた味方の強化エフェクトがある。
灼滅者たちが全員で死力を尽くせば、ひとり残らず灼滅できる数だ。
(「敵が増えただと……いや、こんな実践の機会は、またとない」)
増援の気迫にプレッシャーを感じつつも、隅也の心は高揚していた。これほど大きな、しかもどのような敵と遭遇するかわからない戦いは早々ない。戦況に合わせられるようサイキックを選び、迷わぬように使用状況の判断基準も決めてきた。
前衛は複数。七不思議の怪談のサイキックを準備する。広範囲にばらまいた毒が、敵の体力を奪うだろう。
「手負いの撃破は我に任せよ、お主らは新手に専念するのだ」
最初から支援をしていたジャマ―のアンデッドは虫の息だ。オーラキャノンを打ち込みながら、伊織がそう宣言した。
「お願いね、伊織ちゃん。めろは斬影刃で装甲を削る……ねっ」
めろの足元から立ち上った影業が、人甲兵へのびるが、巨体に見合わぬ機敏な動きが影を避ける。
「焼き尽くせ!レーヴァテイン!」
「沈没しても恨みっこなしだぜ! そらよ!」
飛鳥の攻撃は人甲兵の装甲を燃やしたが、猛の大震撃の衝撃派は大地を踏みしめて耐えられてしまう。
「ガトリングモードに移行。制圧射撃を開始する」
ジャマーである智寛がバレットストームで前衛を威圧する。アンデッドは大きくたじろいだが、人甲兵は僅かにひるむ。
「大技は命中率が足りてないようだな」
「地道に足止めをかけていくかい、雑魚を優先するかい? どちらでもボクは支えるよ」
智寛の分析に、ロードゼンヘンドが応える。その言葉に隅也はしばし考えこんだ。
「自分が……捕縛する」
スナイパーの命中率ならば。隅也は人甲兵の捕縛を狙い、イカロスウイングを使う。ダイダロスベルトから広がった翼が敵前衛を絡み取とった。
「俺も人甲兵の足止めに回ろう。巧、余裕を作ってジャマ―の支援と援護射撃を」
「オッケ~!」
軽い調子で答えながら、巧は白炎蜃気楼を智寛たちの周りへと立ち上らせた。
●終戦
20分も戦っていただろうか。集中的に攻撃を浴びる前衛に癒しきれない傷が蓄積し、支援をする仲間にも焦りの色がみえてきたころ。アッシュ・ランチャーの艦に向け動き続けていた戦艦が、突然動きを止めた。
目の前のアンデッドも呆然としたように、動きを止める。
「成功した……ようだな」
アンデッドたちの戦艦が動きを止めたということは、おそらくアッシュ・ランチャーが灼滅されたということ。
智寛は暗い復讐心が満ちた喜びに、装甲の下で暗く笑う。
「……一時はどうなるかと思ったよ~」
赤鬼の面をずらして、ほっと嘆息しながら伊織は微笑む。
「烏合の衆になっちゃったけど、アンデッドの皆さんには死んで……灼滅されてもらわないとね」
やれやれ、と肩をすくめながら、ロードゼンヘンドは楽しそうに口角を上げた。
かくしてアッシュ・ランチャーとの決戦は幕を下ろした……が、増援阻止チームの戦いは、もう少しだけ続いたのであった。
作者:東加佳鈴己 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2017年5月18日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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