決戦アッシュ・ランチャー~次なる手に掛けるのは

    作者:幾夜緋琉

    ●決戦アッシュ・ランチャー~次なる手に掛けるのは
     アッシュ・ランチャーによる、沖縄本島上陸作戦を、無事に迎撃し終えた灼滅者達。
     一般人兵士達の後処理などを行っていた灼滅者達に、不意に届けられたのは……エクスブレインからの、最新の予知情報を元にした、灼滅者達に対する、続く依頼に関しての説明。
    「皆さん、取り急ぎになりますが、沖縄に攻め寄せた軍勢の撃退、ありがとうございます」
    「この勝利により、アッシュ・ランチャーを灼滅するチャンスを得る事が出来ました。統合元老院クリスタル・ミラビリスの元老である、アッシュ・ランチャーを灼滅する事が出来れば、謎に包まれたノーライフキングの本拠地への侵攻も可能になるかもしれません」
    「……ですが、敵軍の戦力は未だ強大です。生半可な覚悟では、反攻作戦を行う事は出来ません。更に、ノーライフキングと協力体制にある、ご当地怪人の移動拠点、ご当地戦艦『スイミングコンドル2世』が、艦隊に合流した様なのです」
    「又、アッシュ・ランチャーが座乗する艦艇は擬似的に迷宮化されており、アッシュ・ランチャーを灼滅しない限り破壊する事が出来ませんし、内部にはノーライフキングをはじめとした強力な戦力がある為に、攻略する事は非常に難しいと思います」
    「……ですが、ここでアッシュ・ランチャーを取り逃せば、今回の様な事件を再び起こしかねません。是が非でも、ここで彼を灼滅するべきなのです」
    「尚、スイミングコンドル2世には、闇堕ち後、行方不明になっていた椎那・紗里亜(言の葉の森・d02051)が囚われている事も予知されています。彼女は闇堕ち時に特殊な力を得てしまった様で……エクスブレインとは違う予知能力を獲得しています。その能力こそが、ノーライフキングにより悪用されている様なのです」
    「……未来予知能力を敵が得る事は非常な脅威になります。可能ならば、彼女の救出、或いは灼滅もお願いしたいと思います」
     そして、姫子は更に。
    「アッシュ・ランチャー艦隊は、艦隊を再編しゆっくりと撤退しようと動き出しています。しかし、これだけ大規模な艦隊が簡単に動き出せる筈も無く、今すぐ追撃すれば、艦隊に大規模な襲撃を掛ける事が可能です」
    「逆にこちらから攻撃をしなければ、戦闘を行なうこと無く相手は撤退していきます。しかしアッシュ・ランチャーと艦隊が健在である限り、似たような軍事行動が再び行われるのは間違いありません。それを防ぐ為にも、ここでアッシュ・ランチャーを灼滅しておきたい所です」
    「又、ノーライフキングの首魁『統合元老院クリスタル・ミラビリス』の一体である、アッシュ・ランチャーを灼滅する事が出来れば、所在不明のノーライフキングの本拠地の情報を得る事が出来るかもしれません」
    「尚、敵艦隊までの移動手段ですが……漁船やボートなども徴用してはいますが、最終的には灼滅者の肉体による強行突破となるでしょう。戦艦の砲撃でも、灼滅者はダメージを受けることはありませんが、漁船やボートが耐えられる筈もありません」
    「漁船やボートの操縦方法のマニュアルは用意しておきますので、可能な限り漁船やボートで接近し、撃沈された後は灼滅者の皆さんのみで、敵艦へと潜入し、内部制圧を行って欲しいと思います」
    「最初から泳いで近づく事も出来ますが、漁船、ボートが利用できればより迅速に敵艦へと接近する事が出来ますからね」
     更に、姫子は。
    「敵艦に取りついた後について、更に説明をさせて頂きますね」
    「アッシュ・ランチャーは『撤退可能となった艦艇』に移乗し、戦域からの撤退を画策しています。この撤退を阻止する為には、艦隊の外側、撤退準備の整っている艦艇を優先的に制圧していく必要があります」
    「そして艦艇には、人甲兵やアンデッド兵だけでなく、多くの一般兵が乗船していますので、人甲兵とアンデッドを殲滅した後、ESPなどを利用して一般兵に言う事を聞かせて、他の艦艇の退避を邪魔する様に移動させれば、アッシュ・ランチャーの撤退を防ぐ事が出来る筈です」
    「当然、撤退が不可能となれば、アッシュ・ランチャーは艦隊の人甲兵やアンデッドを呼び集め、自分を守らせようとします。アンデッドや人甲兵は、救命ボートの様なもので移動したり、或いは、海中を泳いだり歩いたりして集結してくる様です。集結する戦力は、アンデッド1000体弱に、人甲兵が300体程度ですが、この戦力が集結すれば、打ち破るのは困難になります。なので、アッシュ・ランチャーを撃破する為には、この増援を阻止する事が重要です」
    「そこまで作戦が進めば、アッシュ・ランチャーの座乗する鑑定に乗り込み、アッシュ・ランチャーへ決戦を挑むことが可能です。アッシュ・ランチャーはノーライフキングの首魁の一員である為に、非常に強力で、親衛隊とも言える強力な人甲兵の護衛もいる為に、撃破するには相応の戦力が必要です」
    「更に、後方から増援の人甲兵やアンデッドが押し寄せれば、撃破失敗の可能性もあり得るでしょう……撤退を阻止する、増援を阻止する、アッシュ・ランチャー及び、護衛と戦うという3つの作戦を同時に成功させなければ、アッシュ・ランチャーを灼滅する事は出来ません」
     と、姫子は。
    「ちなみに、アッシュ・ランチャーを助けに来ている、スイミングコンドル2世ですが……最初から、スイミングコンドル2世にアッシュ・ランチャーを避難させた場合、灼滅者がスイミングコンドル号に押し寄せてくる為、スイミングコンドル2世が制圧されてしまうという『沙里亜』の予知があった為、アメリカンコンドルは『アッシュ・ランチャー艦隊と灼滅者が戦って混乱した所』で介入する作戦を行おうとしています」
    「もし、何も対策しなければ、アッシュ・ランチャーと決戦中に、アメリカンコンドルとご当地怪人の軍勢によって横槍を入れられて、アッシュ・ランチャーを奪われてしまうでしょう」
    「これを阻止する為には、スイミングコンドル2世への攻撃も同時に行わなければなりません」
    「スイミングコンドル2世の他赤いでは、条件さえ整えば、アメリカンコンドルの灼滅の可能性もあります。また、スイミングコンドル2世のスーパーコンピューターに接続され、予知を行う為の装置として利用されている『椎那・紗里亜』の救出、あるいは灼滅も目的の一つとなるでしょう」
     そして、姫子は。
    「今回の敵は強力ですが、この状況はチャンスでもあると思います。上手くいけば、ノーライフキングを追い詰める事が出来ると思いますので、どうか健闘の程を……お願いします」
     と言い……映像は停止した。


    参加者
    古海・真琴(占術魔少女・d00740)
    最上川・耕平(若き昇竜・d00987)
    日輪・かなめ(第三代 水鏡流巫式継承者・d02441)
    鴻上・巧(氷焔相剋のフェネクス・d02823)
    天峰・結城(皆の保安官・d02939)
    栗橋・綾奈(退魔拳士・d05751)
    海川・凛音(小さな鍵・d14050)
    榎本・彗樹(自然派・d32627)

    ■リプレイ

    ●憤る者
     アッシュ・ランチャーとの決戦の時。
     灼滅者達は、アッシュ・ランチャー艦隊及び、アッシュ・ランチャーを倒すが為、ボートに乗り込み、出航する。
    「実質、無免許だがやってみるよ。事故起こしたらすまん。まあ、事故起こしても俺達は無傷なんだろうが、多分」
     と、受け取った操舵マニュアルをこの短時間の間に必死に読み込んだ榎本・彗樹(自然派・d32627)の言葉に、栗橋・綾奈(退魔拳士・d05751)が。
    「そうですね。ですが、アッシュ・ランチャー艦隊に近づかない事には、何も始まりませんし……彗樹さんには負担を掛けてしまい、申し訳ありません」
    「いやいや、そこは気にしないでいいよ」
     微笑む彗樹……ボートのエンジンを掛けて、海の上を進む。
     ……船が進むと共に、次第に見えてくる大艦隊。
     アッシュ・ランチャーに、スイミングコンドル2世、そして、椎那・紗里亜の乗り込む大艦隊は、既に撤退に向けて少しずつ、少しずつ動き始めている。
     そして、そんな大艦隊の周りには、人甲兵やアンデッド兵だけでなく、多くの一般兵達が集まりつつある。
     ……明らかに、こちらの人数よりも多い大軍勢が集結すれば、撤退を防ぐ事は難しいだろう。
    「全滅させるのは難しいにしても、なるべくならリング……もとい、アッシュ船に乗せたくはありませんし、出来る限りの事はやってみますか!」
    「そうですね。アッシュ・ランチャーの灼滅、そして椎那さんの救出も、どちらも成功させましょう。その為に、海上で敵を食い止めねばなりませんね。全ての敵を、それが出来なくても一体でも多くの敵を足止めし、他の仲間の行動を助けなければいけません」
     と古海・真琴(占術魔少女・d00740)、海川・凛音(小さな鍵・d14050)に、日輪・かなめ(第三代 水鏡流巫式継承者・d02441)も。
    「そうなのです! 全て出来るかは解りませんけれど、出来る限り最善になれるよう、この拳で頑張るのです!!」
     と拳を握りしめる。
     そして、周りに居る仲間達の船に合図を出しながら、更に船へと近づいていく灼滅者達。
     数班が、そのままアッシュ・ランチャーに近い前線の艦艇群へとスピードを上げる。
     鴻上・巧(氷焔相剋のフェネクス・d02823)が。
    「よし、僕達は間に割り込み、後ろの艦艇郡を止めるとしよう」
     というと、最上川・耕平(若き昇竜・d00987)と天峰・結城(皆の保安官・d02939)が。
    「そうだね。さぁ、後半戦開始だね」
    「ええ……出来る限りの最善になる様、頑張りましょう」
     と頷き合い、いざ、アッシュランチャー艦隊と、増援本隊の間へと近づいていった。

    ●唸る声は
     そして……灼滅者達は、アンデッドと人甲兵が多く居る、増援本隊とアッシュ・ランチャー乗り込む本艦の間へと向かう。
     ……前、後ろに多くの艦隊、軍勢が居る状況。
     下手に上空からの観察は、この状況下ではかなり危険な行為であると予測される。
    「……仕方ないですね。ペンタクルス。私の背中を任せるから、宜しくお願いね」
    『にゃ!』
     力強く頷く真琴のウイングキャット、ペンタクルス。そして耕平がウイングキャットのピオニーの頭を撫でつつ。
    「そうですね……取りあえず、周りの皆さんと協力して、立ちはだかってくる一般人を、まずは無力化するとしましょうか」
     と。
     ……周りの敵陣の状況を、綾奈、凛音が双眼鏡を使い、周囲の状況を周囲に周知。
     勿論、海上だけでなく、水面下に敵が居る可能性がある故、結城が船から飛び降りて、海の中から敵が来ないのも併せて確認していく。
     ……そして、敵の索敵を行いつつも、真琴がパニックテレパス、綾奈と彗樹が魂鎮めの風を使う事で、一般人を次々と無力化していく。
     一般人が無力化した後に、次々とやってくるのは、人甲兵とアンデッド達。
     他班と共に、敵増援を堰き止める様に。
    「悪いけど、ここから先は通行止めだよ」
    「そうだな。アンデッドと人甲兵の皆にはお帰り願おうか」
     と、耕平が交通標識を掲げ、彗樹も日本刀を構えながら対峙すると、それに人甲兵とアンデッドは声も無く、ただただ前へと進軍し、攻撃。
     元々正気を持って居るのか、という疑問はありながらも、ただただ攻撃してくる姿は……ある意味狂気の沙汰。
     そんなアンデッドの猛攻を、耕平、凛音、そしてペンタクルスのディフェンダー三人がしっかりと防衛陣を築き、対峙する。
     様々な攻撃が、確実に三人の体力を削りとっていく。
     それにすぐに、ピオニーがリングが光るで、綾奈が集気法を使い、回復。
     更にペンタクルス自身もリングが光る、耕平がイエローサインで耐性を付与し、そして凛音もシャウトで自己回復。
     ……どうにか体力を維持し、対する灼滅者の攻撃。
     まずは真琴がワイドガードで、仲間達にBS耐性を付与する一方、結城と彗樹が鏖殺領域と、神薙刃で攻撃。
     更にクラッシャーのかなめと巧が動く。
     人甲兵をターゲットにして。
    「隙有りィ!! 必殺!徹甲爆砕拳ッ! ……なのですッ!」
     と、かなめが鬼神変で殴り掛かると、巧も。
    「そこですね」
     と、オーラキャノンを放ち、人甲兵一匹を、確実に仕留める。
     ……とは言え、まだまだ敵の数は多数。
     周りの仲間達も、自分の前の敵を倒すことで精一杯……救いの手を求める事も難しいだろう。
    「己の前の相手を倒す事に集中せざるをえませんね」
    「ええ……油断すれば、押しきられかねません。絶対に、背後へと通さない様にしなければ……」
     巧に頷く凛音、そして結城が。
    「……大丈夫です。私達が負ければ、アッシュランチャー討伐が失敗に終わってしまいます。絶対に、ここで止めなければ……!」
     と唇を噛みしめ、そして更に鏖殺領域を周囲に展開。
     流石に敵数が多く、思ったような効果までは得られないが……多少体力を削り取る。
     そして、真琴が更にフォースブレイクを使い攻撃するいっぽう、彗樹が斬影刃で攻撃。
     ……そして、敵陣の攻撃をディフェンダー三人が確実に防衛し、そして自己回復。
    「もう少しの辛抱だ。気合い入れ直していくよ」
     と、再度防衛陣にイエローサインで耐性を追加付与していくと、ペンタクルスとピオニーのリングが光る、凛音のシャウトの自己回復で戦線維持。
     そして綾奈も癒しの矢で回復補助していく。
     そんな防衛をする三人に対し、攻撃だけに集中するかなめ、巧。
    「確実に潰す」
     と巧がフォースブレイクで攻撃する一方、かなめが。
    「水鏡流が発勁の奥義!! 天地神明ッ!!」
     と接近し、双掌打で気を叩き込む、フォースブレイク。
     人甲兵を更に一体倒し、次なるターゲットを、多くなりつつあるアンデッドにシフト。
    『ウウウ……』
     と、唸り声を上げながら接近してくるアンデッドの集団。
     そんなアンデッド集団には、主に範囲攻撃を使い、全体的に体力を削った後に、かなめ、巧がしっかりとトドメを刺していく。
     ……時間が経つと共に、周りの仲間達も、確実に敵陣を仕留めているのを横目で確認。
     ただ、まだまだ敵陣の数は多い。
    「……本当、敵の数が多い……何とか敵陣を堰き止める事は出来ている様ですが……」
    「そうですね……アッシュ・ランチャー討伐チームが、上手く言っているのか解りませんが……でも、私達の役目は、ここで敵陣を堰き止めること。諦めない様にしましょう」
     と、真琴が仲間達を鼓舞するように励ましていく。
     勿論、そんな灼滅者達の攻撃に対し、人甲兵、アンデッドはどうにか進軍しようと……。
    「だから、通さないって言ってるだろ?」
     と、耕平が呟く通り、灼滅者達は絶対に、その場から先へと通さない様に対峙し続ける。
     ……勿論、自分達の後ろには、更に最前線に立つ仲間達がいる。
     そして彼らも、敵陣をアッシュ・ランチャーの元へ通さない様に、必死に対峙している。
     二つの包囲網で、敵を通さず攻撃。
    「あーたたたた…ほぁた!! 絶招「驟雨」なのですッ!!」
     と、かなめが閃光百裂拳で敵を討ち倒すと、更に巧も。
    「爆ぜろ……」
     とフォースブレイクで攻撃。
     ……いつ終わるともしれない、敵陣の猛攻を、ひたすらに耐え続けて行く。
     そして……戦闘開始から、約20分程が経過した頃。
    「結構、きついですね……ですが……」
     と、巧が終わらぬ戦いに、額に汗をしながら、軽く唇を噛みしめた……その時。
    「……?」
     結城がその動きの変わりように気づく。
     今迄、アッシュ・ランチャーに向けて前へ前へ、と進軍していたアンデッドと人甲兵の軍勢。
     その動きが……突如として止まる事に、綾奈、
    「そうですね……アッシュ・ランチャーの攻略に、なんとか成功した様ですね」
     と頷く。
     そして、往生際悪く、一部攻撃を継続するアンデッド達。
    「彼らは逃げないのですか……」
    「その様ですね……後は、彼らを倒さなければなりませんね」
     結城に頷く凛音。
     そして耕平も。
    「撤退していく敵が不審な行動を取らない様に、目視出来なくなるまでは絶対に守りきってやる。絶対に、上陸なんてさせるものか」
     と気合いを入れ、残るアンデッド達の全討伐へ向けて更に交通標識を握りしめる。
     ……流石に残るアンデッドを全滅させるのは、これまた大仕事だろう。
     でも、アンデッド達をこのまま放置しておく訳にはいかない訳で。
    「そうなのですッ! 沖縄の人、そして、一般人の人達を傷付ける貴方達を、絶対に許す訳には行かないのですッ!!」
     と拳を握りしめながら、かなめが。
    「水鏡流……、天津荒風ぇ!!」
     とレガリアスサイクロンで、残るアンデッド達へ攻撃開始。
     そして、他の仲間達も、逃げぬ敵陣を全て仕留めるが為、威声を上げて、残る敵陣の討伐を続けて行くのである。

    作者:幾夜緋琉 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2017年5月18日
    難度:やや難
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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