●新たな朝の新たな戦い
沖縄県での防衛戦を終えた灼滅者たちの前に、最新の予知情報をもとにした依頼説明ディスクが運び込まれた。
再生されたのは、倉科・葉月(大学生エクスブレイン・dn0020)の声だ。
「皆さん、お疲れ様でした。皆さんのおかげで、無事沖縄に押し寄せた軍勢の撃退に成功しました」
この成功により、アッシュ・ランチャーを灼滅するチャンスを得た。
「統合元老院クリスタル・ミラビリスの元老であるアッシュ・ランチャーを灼滅する事ができれば、謎に包まれているノーライフキングの本拠地へといたる事ができるかもしれません」
しかし、敵軍の戦力は未だ強大。生半可な覚悟で反攻作戦を行う事はできないだろう。更に、ノーライフキングと協力体勢にあるご当地怪人の移動拠点、ご当地戦艦スイミングコンドル2世が艦隊に合流したようだ。
「アッシュ・ランチャーが座乗する艦隊は擬似的に迷宮化されているため、アッシュ・ランチャーを灼滅しない限り破壊する事はできません。内部にはノーライフキングをはじめとした強力な戦力があるので、攻略は困難なものとなるでしょう」
だが、ここでアッシュ・ランチャーを取り逃がせば、今回のような事件を再び起こす危険性もある。
困難はあれど、この機会にアッシュ・ランチャーを灼滅してしまうべきだろう。
「それから……スイミングコンドル2世には、闇落ち後、行方不明になっていた椎那・紗里亜さんが囚われていることも予知されています」
椎那・紗里亜(言の葉の森・d02051)は闇落ち時にエクスブレインとは違う予知能力という特殊な力を獲得している。その能力をノーライフキングにより悪用されているようだ。
「私が言うのもなんですが……未来予知能力を敵が得るのは非常な脅威となります。ですので、可能ならば彼女の救出、あるいは。……灼滅も、お願いしたいんです」
一瞬だけ躊躇うような声音を交え、説明は続いていく。
「アッシュ・ランチャー艦隊は、艦隊を再編してゆっくり撤退しようと動き出しています。しかし、これだけ大規模な艦隊が簡単に動き出せるはずもなく、今すぐ追撃すれば艦隊に大規模な襲撃をかけることが可能となっています」
こちらから攻撃をしなければ、相手は戦闘を行うことなく撤退していく。また、アッシュ・ランチャーと艦隊が健在である限り、似たような軍事行動が試みられるのは間違いない。
それを防ぐためにも、説明を重ねることになるがアッシュ・ランチャーを灼滅しておく必要がある。
「それから、こちらも先程説明しましたが、ノーライフキングの首魁たる統合元老院クリスタル・ミラビリスの一体であるアッシュ・ランチャーを灼滅することができれば、所在不明のノーライフキングの本拠地の情報を得ることができるかもしれません」
敵艦隊への移動手段は、漁船やボートなどを徴用している。しかし、それらはあくまでサポート。最終的には、灼滅者の肉体による強行突破となるだろう。
戦艦の砲撃でも灼滅者はダメージを受けないが、漁船やボートが耐えられるはずがないからだ。
「漁船やボートの操作方法マニュアルは用意してあります。ですので可能な限り漁船やボートで接近し、撃沈された後は灼滅者のみで敵艦に潜入して内部制圧を行って下さい」
もちろん、最初から泳いで向かうこともできる。しかし、漁船やボートを利用したほうがより迅速に敵艦に接近することができるだろう。
「アッシュ・ランチャーは撤退可能となった艦艇に移乗して、戦域からの撤退を画策しています。この撤退を阻止するため、艦隊の外側、撤退準備が整っている艦艇を優先して制圧していく必要があります」
艦艇には人甲兵やアンデッド兵だけでなく、多くの一般人が乗船している。そのため、人甲兵とアンデッド兵を殲滅した後、ESPなどを利用して一般兵に言う事を聞かせ、他の艦艇の退避を邪魔するように移動させれば、アッシュ・ランチャーの撤退を防ぐことができるだろう。
「撤退が不可能となれば、アッシュ・ランチャーは艦隊の人甲兵やアンデッドを呼び集めて、自分を守らせようとします。アンデッド兵や人甲兵は救命ボートのようなもので移動したり、海中を泳いだり歩いたりして集結してくるようです」
集結する戦力は、アンデッド千体弱に、人甲兵が三百体ほど。この戦力が集結すれば、打ち破るのは困難になる。
そのため、アッシュ・ランチャーを撃破するためには、この増援を阻止することが重要となる。
「ここまで作戦が進めば、アッシュ・ランチャーが座乗する艦艇に乗り込み、アッシュ・ランチャーに決戦を挑むことが可能となります」
アッシュ・ランチャーはノーライフキングの首魁の一員であるため、非常に強力。親衛隊とも言える強力な人甲兵の護衛もいるため、撃破するには相応の戦力が必要となる。
さらに、後方から造園の人甲兵やアンデッドが押し寄せれば、撃破に失敗する可能性もありえるだろう。
撤退を阻止する、造園を阻止する、アッシュ・ランチャー及び護衛と戦うという三つの作戦を同時に成功させなければ、アッシュ・ランチャーを灼滅することはできない。
「また、最初からアッシュ・ランチャーをスイミングコンドル2世に避難させた場合、灼滅者がスイミングコンドル2世に押し寄せてくるため、スイミングコンドル2世が制圧されてしまうという紗里亜さんの予知があったようです。そのため、アメリカンコンドルはアッシュ・ランチャー艦隊と灼滅者が戦って混乱したところで介入する作戦を行おうとしているようです」
もし、何も対策をしなければアッシュ・ランチャーとの決戦中に、アメリカンコンドルとご当地怪人の軍勢によって横槍を入れられてしまい、アッシュ・ランチャーを奪われてしまうだろう。
阻止するためには、スイミングコンドル2世への攻撃も同時に行わなければならない。
「スイミングコンドル2世との戦いでは、条件さえ整えばアメリカンコンドル灼滅の可能性もあります」
また、スイミングコンドル2世のスーパーコンピュータに接続され、予知を行うための装置として利用されている椎那・紗里亜の救出あるいは灼滅も目的の一つとなるだろう。
「以上で説明は終了となります」
呼吸を整える様子を感じさせた後、まっすぐな声音が聞こえてきた。
「この状況は、アッシュ・ランチャーを灼滅しノーライフキングを追い詰める好機でもあります。強大な相手ですが、皆さんならば、きっと……。そして、何よりも無事に帰ってきてくださいね? 約束ですよ?」
参加者 | |
---|---|
華宮・紅緋(クリムゾンハートビート・d01389) |
黒乃・璃羽(ただそこに在る影・d03447) |
椎葉・武流(ファイアフォージャー・d08137) |
神無月・佐祐理(硝子の森・d23696) |
四刻・悠花(高校生ダンピール・d24781) |
大夏・彩(皆の笑顔を護れるならば・d25988) |
冬城・雪歩(大学生ストリートファイター・d27623) |
ニアラ・ラヴクラフト(宇宙的恐怖・d35780) |
●戦いの前の静けさは
朝焼け色に染まる空、波音だけが聞こえる静かな世界。光が満ち始めてなお闇に染まる海原を、ニアラ・ラヴクラフト(宇宙的恐怖・d35780)は黒髪ロングな女子高生風ビハインドの隣人と共に力を用いて歩いていく。
「決戦か。灼滅の波が兵の波を呑み。兵の波が闇の海を孕む。良質な戦場が整った。故に我は既知千万を屠るが為、微弱な感情を揮うのみ。恐怖よりも憤怒が勝るとは。在り得ぬ。有り得ぬ。将軍暗殺不可能を嗤うべく。屍王は獲物と見做せ」
視線を向ける先、海を夜に止めている闇の群れ。そのどこかに事件の首謀者、アッシュ・ランチャーは潜んでいるのだろう。
もっとも、ニアラが七人の仲間と共に担った役目に、アッシュ・ランチャーの討伐は含まれない。
望遠鏡を覗き込み、波間の動きを探っていく。
無数の影が近づけば、拒絶するかのような砲弾が出迎えていくのが見て取れた。合間を縫うようにその影たちが進む中、遅れる形で砲撃のない場所を進む船影が見て取れる。
おそらくそれは、元々アッシュ・ランチャーの艦艇近くにいたアンデッドたちなのだろう。
「……」
ニアラは隣人を引き連れ、同道する仲間たちがいる方角へと踵を返す。
増援を食い止めるため、砲弾なき場所を航行している船影へと向かうのだ!
●増援阻止
ニアラからの報告を受け、モーターボートの速度を上げて船影へと向かう中。冷たい風を全身で浴びながら、椎葉・武流(ファイアフォージャー・d08137)がひとりごちた。
「俺、今回の任務が終わったら、今年のGWは沖縄の海でクルージングしてきたぜって自慢するんだ……」
「……まあ、確かに間違ってはいませんけど……」
傍らで、四刻・悠花(高校生ダンピール・d24781)は自分の体を抱きしめた。
作戦として海に潜る機会があるかもしれないからと持ってきた、二年前の水着。役になったことは良いのだけれど……。
「……」
成長のない証を突きつけられ、どことなく視線は遠い場所。大きな揺れに合わせて盛大なため息を吐き出した後、ぎゅっと格闘用の棒を握りしめていく。
「……いろいろまとめて、絶対に許しません! さあ、始めましょう!」
様々な感情を棒の先端へと注ぎ込み、前方の船影へと突きつける。
轟音響く雷を、船影へと降り注がせた。
眩い光によってあらわになる、アンデッド三体と人甲兵一体を乗せた小さなボート。人甲兵が一瞬だけ周囲を伺うかのような仕草を見せた後、大きく弧を描くようにして踵を返してきた。
余波を浴びたのだろう。他にも二隻、旋回を始めていく。
悠花は一旦その他の二隻から視線を外し、最初に見えたボートに強い視線を向けながら光の輪を展開した。
「まずは、あの船をお相手しましょう」
「ボートの操作は任せて下さい!」
拠点を可能な限り保っていくと、黒乃・璃羽(ただそこに在る影・d03447)が操舵し、ボートが右へ、左へと蛇行し始める。
直後、ボートの側面を削ぐような弾丸がいくつもいくつも降り注いだ。
人甲兵の機関銃による物だと判断しつつ、神無月・佐祐理(硝子の森・d23696)は唱えていく。
「Das Adlerauge!!」
鳥の翼と双つの魚尾を持つ異形……サイレンとも呼ばれる姿に代わりながら、口元を自嘲気味に持ち上げた。
「この姿で、人波にしか泳げないというのも、我ながら使えないサイレンですねー」
軽口をたたきながらも矢印型の不思議な標識を掲げ、進行を促す光を放つ。
光に誘われたか、アンデッドたちのボートが速度を上げて近づいてくる。
距離と速度を計算しつつ、佐祐理は武流を担ぎ上げた。
「さぁ行きますよ! それー!」
「おう!」
ぶん投げられ、アンデッドたちのボートへと向かっていく武流。
撃ち落とされることのないように、大夏・彩(皆の笑顔を護れるならば・d25988)は炎を吹き上がらせる。
「またあんな事は繰り返させないよ。その為にも、あなたたちを合流させたりはしない!」
機関銃の弾丸を焼き払いながら進む炎がアンデッドたちを、ボートをも焦がし始める中、華宮・紅緋(クリムゾンハートビート・d01389)は全景を確認。
ボートに武装は少ない上、互いに動き続けている中……ボートの上が戦場になっている状態で使えそうなものはない。ただ、人甲兵の腕に装着されている機関銃は懸念材料だろうと思われた。
「……華宮紅緋、これより灼滅を開始します」
まずは自分たちが乗るボートへの被害を減らしておこうと、機関銃を中心に狙いを定め紫がかった深い赤のオーラを放つ。
機関銃を打ち据えられた人甲兵が若干よろめく中、ライフル片手に抵抗を始めていくアンデッドたち。
旋回を終え、己等へと向かい始めてきた二隻の船。
冬城・雪歩(大学生ストリートファイター・d27623)は一瞥した後、左右へと視線を走らせていく。
役目を同じくする他のチームが、元々アッシュ・ランチャーの艦艇近くにいたアンデッドたちに襲撃を仕掛けていた。結果、大半の戦力を惹きつける事ができている。
「……ボクたちも頑張らなきゃね。決戦してる仲間の足を引っ張らないように」
気合を入れ、防衛領域を広げていく。
この状況を保つため。
可能ならばさらなる戦場へ向かうために……!
至近距離からの機関銃を迸る炎のようなオーラでかき消して、武流は人甲兵との距離を詰める。
手のひらを押し付けオーラを叩き込んだ直後、右から銃撃が聞こえて飛び退いた。
視線を向ければ、別の船に乗る人甲兵。
その人甲兵が腕を伸ばせば、同道していた四体のアンデッドたちが一斉に武流へと銃口を向けてくる。
「おっと!」
すかさずボートの端へと退いて、右へ、左へと跳び回り始めた。
時には空中ジャンプで閃光の如きビームを避けながら、目の前の人甲兵へ視線を送り続けていく。
「統制が取れてるっつーかなんつーか……だが」
四発目のビームを避けると共に跳躍し、今いるボートの人甲兵に肉薄。
直接逆十字を描き記し、その巨体をよろめかせた。
「アンデッドは早々に片付けた、後はお前をぶっ倒せば」
語り終える前に、鋭き影がその人甲兵の体を両断した。
影の担い手たるニアラはすぐさま視線を外し、先程武流を狙っていたアンデッドたちがいる船へ向かって海の上を歩き始めていく。
「……」
道中、牽制するかのような銃撃が降り注いだ。
合間を縫うように進む中、隣人が後を追いかける。
一方、武流は反対側……近づいてきたもう一隻に向かって跳躍。
飛び移って行くさまを見届けた上で、雪歩は背後へと視線を送っていく。
灼滅者たちよりも後に出発したアンデッドたちもまた、仲間たちに押しとどめられているのだろう。現状、包囲を抜けアッシュ・ランチャーがいると思しき艦艇に近づいてくる影はない。
多くのチームが増援阻止に動いてくれたお陰だろうと、雪歩は前方へと視線を戻した。
「……来る」
瞳を細め、甲板の左へと移動し防衛領域を展開。
視線の先、左側の船に乗るアンデッドがビームを放つ。
雪歩は一歩も動かず、真正面からビームを受け止め、霧散させた。
「余波は……なし。これなら、もう少し……」
視線を落とす先、焦げた柵。削れた側面、穴の空いた床。
全てを避ける事はできず傷ついて、後何発受けられるか分からない灼滅者たちのボート。ぼちぼち、離脱して戦う算段も必要だろう。
隣に立つ悠花へと視線を向け、言葉は交わさず頷きあう。
再び視線を前方へと戻し、悠花は右側の船に棒を突きつけた。
「ボートが壊れても問題のないように、可能な限り数を減らしておきましょう」
幾つもの光輪を差し向けて、船に立つ人甲兵を切り裂いていく。
負けじとばかりに持ち上げられた機関銃を、紫を帯びた深赤のオーラがふっ飛ばした。
「おいたはもう、させませんよ」
クスクスと笑いながら、ガーネットのぶどうの房に葡萄の葉と蔦に見立てた銀細工が施されている指輪に魔力を込めていく。
揺れ動くボートの上、常に人甲兵へ狙いを定めつつけていく……。
一体、また一体と人甲兵を、アンデッドたちを討ち倒すにつれて、静けさを取り戻していく朝の海。
右側の船を壊滅させた段階で、璃羽はボートを操りながら眉を潜めた。
「……物量に押されるかもとも思いましたが……増援の気配はありませんね。皆さんが抑えていてくれているのか、少しずつ、この場所の戦いが収束に向かっているような!」
左の船に乗る人甲兵の機関銃がきらめいた時、急ブレーキ。
船体がきしむ中、船頭を数多の弾丸が削り取っていく。
追撃は許さぬと、彩が船全体を押さえ込むかのような結界を構築。展開し力を注ぐ中、船頭へと視線を向けていく。
「そろそろ限界、かな」
「……はい、そうですね。皆さん、離脱の準備をお願いします」
頷き船のスピードを緩めていく璃羽。
一人、また一人と、各々の方法で船の外へと飛び出していく仲間たち。
璃羽もまた、船を見つめながら柵に足をかけていく。
ギリギリまで惹きつけると、人甲兵を睨みつけていく。
瞳の中、三体のアンデッドがライフルの銃口を向けてきた。
その指先がトリガーを押し込んだ時、璃羽もまた水の中へと飛び込んでいく。
一呼吸遅れて、甲板から船底までを撃ち抜かれた。
大きな音と波を立て、ボートは沈む深く、深く。
波にさらわれてしまぬよう、佐祐理は船に向かって泳ぎ始めた。
「ここから本領発揮、だと良かったんだけど……」
潜水し、アンデッドたちの目をかいくぐるようにして船を目指していく。
接近するまでの時間を稼ぐためか、それとも、接近するまでに倒しておかんという勢いか……いち早く甲板に到達していたニアラは、鞭剣を振り回しながら敵陣の間を駆け回る。
「最早、此の場の大勢は決した。貴様らも、早々に送ってやろう」
「ラストスパート、行くぜ!」
同様に飛び移ってきた武流もまた炎を吹き上がらせ、アンデッドたちを包み込んでいく。
勢いすらも力に変えて、その歪んだ命を焼き焦がす……。
●海原に朝の輝きを
不利な状況下でもなお抵抗しようとしていたアンデッドたちが、不意に動きを止めていく。
アンデッドたちがキョロキョロと周囲を見回す中、雪歩が船右側の水面から顔を出した。
「動きを制限しているうちに、みんな、続いて」
「はい、アンデッドたちはお願いします」
頷きアンデッドを、そして呪縛を弾いた人甲兵を巻き込む形で攻撃を仕掛けていく仲間を横目に、紅緋は甲板を駆ける音もなく。
柵を蹴り人甲兵の背後へと回り込み、拳を硬く握りしめた。
一撃、二撃と拳を刻み、装甲を拳の形に凹ませていく。
振り向く気配を感じた瞬間に身をかがめ、人甲兵の振り向きに合わせて左側へと離脱した。
さなかには悠花の放つ炎が、一体のアンデッドを沈黙させていく。
「……随分と弱っているみたいですね」
「もう、アンデッドたちは余波で十分なのでしょう」
頷く素振りを見せながら、紅緋は腕を肥大化させていく。
再び背後に回り込み、後頭部を強打。
人甲兵がよろめく中、たゆたう水面で佐祐理は交通標識を掲げ仲間たちに力を与えていく。
受け取りながら、彩は人甲兵との距離を詰めた。
迎え撃つかのように機関銃が持ち上げられた時、霊犬のシロが銃口の前に躍り出る。
斬魔刀を閃かせ、弾丸を弾いていくシロ。数発足を頬を掠めたけれど、大きなダメージにはなっていない。
「よくやった、シロ! それじゃ……」
安堵の息を吐いた後、人甲兵に狙いを定めながら腰を落とす。
燃え盛る炎の如きオーラを手元に溜め、発射。
人甲兵の胸元を打ち据えて、一歩、二歩と退かせていく。
すかさずシロが飛び込んで、斬魔刀で切り裂いた。
音もなく、黒い風が吹く。
璃羽が大鎌を横に薙いだ時、一体のアンデッドをふっ飛ばしながら人甲兵の切れ込みへと入り込んでいく。
呻くように、人甲兵は膝をついた。
「……止めを」
「ああ」
見下ろしながら、彩は影に力を注ぐ。
人甲兵が機関銃を持ち上げる中、シロが斬魔刀で切り飛ばす中……暗き影で、人甲兵を包み込んだ。
彩が静かに見つめる中、人甲兵は動きを止める。
程なくして残されていたアンデッドも倒れ伏し……。
……静寂が訪れた。
増援へ向かっていた船の動きが止まり、甲板に立つアンデッドたちが混乱する様子を見せていく。
アッシュ・ランチャーの灼滅に成功したのだろう。
もっとも、まだまだ敵は残っている。
灼滅者たちはもっとも状態の良い船に飛び移り、残るアンデッドたちの討伐へと赴いた。
朝日に満ちる海原に、闇の色は似合わない。全ての闇を払い去り、世界に生命の喝采を……!
作者:飛翔優 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2017年5月18日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 7/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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