「わたくしを露出狂と呼ぶのは構いませんけれど」
聞こえてきた一人称に思わず足を止めた黒岩・いちご(ないしょのアーティスト・d10643)がいや構って下さいよとツッコミかけ敢えて足を止め、物陰から声の方を覗き込むにとどめた。
「どうやら何かもめてるみたいですね」
肌を見せるのは好きですし興奮しますからねぇと続いた言葉はとりあえず聞かなかったことにして様子を見れば声の主はですがと続ける。
「わたくしにも譲れないことはありますわ。先程、これをなんと仰いました?」
背中しか見えない声の主が取り出したのはいちごが見る限りじゃがいも餅に見えた、だが。
「え? いも団子だろ?」
困惑を帯びた別の声へ先に聞こえた声がそれですわと言い。
「このじゃがいも餅をいも団子などという愚挙……」
「っ、いけません」
不穏な雰囲気の中、背中しか見えない少女の身体が異形へとかわり始めたのを見たいちごは慌てて飛び出し。
「思い知らせてやるもっ」
「と、わぁぁぁ」
「な、もちゃぁぁぁ?!」
会話相手へ襲いかかろうとしたところを止めるはずがアスファルトの出っ張りに足を取られたいちごはバランスを崩してご当地怪人を押し倒したのだった。
「で、オイラはどこからツッコめばいいの?」
一通り話を聞いた鳥井・和馬(中学生ファイアブラッド・dn0046)は半眼でいちごに尋ねた。
「いえ、私もわざとじゃないんですよ。その、押し倒したご当地怪人じゃがいもモッチアさんも話したらわかってくれましたし」
どちらかというとツッコミどころが増えただけのような気がするが、敢えてそこを堪えて話を整理すると、出会った少女が闇もちぃしてしまったので何とかしたいと言うことらしい。
「闇もちぃしかけの一般人なのか完全にダークネスになっているのかはエクスブレインさんもいませんし、私ではわかりませんが――」
闇もちぃしかけで踏みとどまっており、灼滅者の素質があるのであれば、闇もちぃからの救出を。そうでない時は、灼滅を。
「じゃがいも餅をいも団子と間違えた相手に襲いかかるところでしたからね」
たまたまいちごがいつものようにアクシデントを引き起こしたおかげで犠牲者が出ずうやむやになったが根本的な解決には至ってもいないのだ。
「ご当地怪人の方は、押し倒したお詫びがしたいからこの辺りにいて欲しいと言ってあるので接触自体は私が見かけたところに行けば良いと思います」
「へー、けどそれって『お詫びにわたくしを見てもっちぃ』とか言われたりしないよね?」
自分から露出狂だの見られると興奮するとか言っていた相手である。和馬がジト目でいちごを見つつ質問しても無理はない。
「それで、接触した後は説得してから――」
「ちょ、オイラの質問スルー?!」
いちごが視線をそらしつつ説明を続けようとした、つまりそう言うことである。闇もちぃした一般人を救出するには戦ってKOする必要がある為、どのみち戦闘は避けられないが、闇もちぃ仕掛けの場合は人の意識に呼びかけることで戦闘力を削ぐことができ、説得への反応で助けられるか否かの指針にはなる。
「説得しておいて損はないと言うことですね。あ、説得のとっかかりになるかと思ってじゃがいも餅も用意しておきましたよ」
尚、今から現場に赴くなら明かりを用意する必要はないともいちごは言う。
「人よけは、襲いかかられるところだった人が戻ってくるとは思いませんが」
念のため用意していっても良いだろう。
「戦いになればご当地怪人はご当地ヒーローのサイキックを使ってくると思います」
この他に身体から生えた巨大なじゃがいも餅を武器として使ってくる可能性があるとのこと。形状からして考えられるのは、リングスラッシャーの様に射出して攻撃してくるのではないかともいちごは話す。
「最後に、見られるなら熱心に見てくれるので見てくれる相手は男性の方が好ましいらしいですよ」
「ちょっ?! ねぇ、それわざわざ付け加える必要あったの?!」
「それはさておき、ご協力よろしくお願いしますね」
言外に犠牲になってねとでも言われたと思ったのか騒ぐ和馬を見なかったことにして、いちごは君達に頭を下げるのだった。
参加者 | |
---|---|
墨沢・由希奈(墨染直路・d01252) |
銀・ゆのか(銀屋の若女将・d04387) |
綾瀬・一美(蒼翼の歌い手・d04463) |
緋薙・桐香(針入り水晶・d06788) |
黒岩・いちご(ないしょのアーティスト・d10643) |
ミラ・グリンネル(お餅大好き・d24113) |
一条・京(爽涼雅遊・d27844) |
明王岩・りんご(ガールズビーアンビシャス・d37646) |
●フラグ注意報
「えっと……これで、りんごちゃん何人目だっけ? 8人?」
きっと墨沢・由希奈(墨染直路・d01252)は誰かの反応を求めていたのではないと思う。
「同じ顔の人が……3人通り越して8人……」
だがきっちり聞いていた銀・ゆのか(銀屋の若女将・d04387)は複雑な顔をし、視線の先にいたのは、明王岩・りんご(ガールズビーアンビシャス・d37646)。二人の数える内の中の一人だった。
「救出できたら、りんごシリーズだけで依頼受けられちゃうよ……」
「全員揃ったら、相手に危険なフラグ? が立ちそうです……こう、イケナイ意味で」
遠い目をする由希奈と、乾いた笑いを漏らすゆのか。二人の中ではまだ見ぬご当地怪人は知り合いそっくりなのだろう。
「妹と同じ顔の露出狂……まさか露出趣味を皆さんに勧めてきたりとかないですよね……?」
いや、唯一の目撃者である黒岩・いちご(ないしょのアーティスト・d10643)がこれでもかとフラグを立てている内容を聞く限り、間違ってはいないのだろうが。
「と言うか、さ。もうこの時点で勧めてくる流れしか見えないんだけど」
とは、半眼になった鳥井・和馬(中学生ファイアブラッド・dn0046)の言。
「もっちあーもっちあー! 同じお餅仲間として放っては置けないデス!」
「ここ最近、もっちあな事件に巻き込まれて何かと被害に会うこと多いんですよね……」
被害の後に疑問符を付け綾瀬・一美(蒼翼の歌い手・d04463)が漏らしたのは、元モッチアなミラ・グリンネル(お餅大好き・d24113)を聞いていたからか。
「今回はそんな事故に対処すべく秘策を思いつきました。私もりんごさんに変装して行けばきっと上手くいく!」
とも言うが、その変装が髪を青いリボンでポニーテールに纏めた今の格好なのだろう。
「ということで『青岩りんご』です!」
正体がばれてしまうのでそう得意げに言うわけにもいかず、一美当人は存在しないそっくりさんのふりを続け。
「……ハッ!?」
周囲の行動など気にもとめず何か考えていた緋薙・桐香(針入り水晶・d06788)は、突然顔を上げた。
(「まさか、いちごさんは無意識に、潜在意識で考えていたからこのモッチアに遭遇……いえ、引き寄せた?つまり、いちごさんは女の子の裸が見たい! 見せつけられたい!」)
声に出したならいちごはきっとツッコミを入れたと思う。
「私と和馬さんで囮には十分ですし、殺界形成して皆さんは巻き込まれないように――」
だが、先頭に立って道案内しつつ仲間に話しかけていた人が心の中など読める筈もなく。
「もう、いちごさんったら……言ってくださればいつでも脱ぎますのに、私」
「……って、ちょっと、何で自分から脱ぐんですか?!」
かくして桐香はおもむろに服を脱ぎだし、漸く事態に気づいたいちごは叫んだ。
「ハッ、この半脱ぎエロスが真に求めるモノだと……!?」
だが、伝えたいことは伝わらなかったらしい。
「半脱ぎエロスなんていりません!」
「えっ、違う?」
「……というか私は裸の方が……ではなく!」
「え、違……やっぱり全裸が好きですのね! 私脱ぎます!」
一瞬きょとんとしたもののいちごが墓穴を掘ったせいで桐香が脱衣を再開し。
「あ、別にもっちあな子でも、他の子でも、写真のヌードモデル頼むのはいいけど、ちゃんと許可を取ってからね?」
さりげなくいちごに釘を刺した由希奈もちらりと一瞥してから一条・京(爽涼雅遊・d27844)は苦笑する。
(「別に見せるの自体は時と場所と相手を選べば……と思うのは異端かなぁ」)
少なくとも桐香の方は問題に思ってないから脱ぎだしているのであろうし、問題があるとすれば別の一点。もちろん、由希奈の言う許可も大切だが、それ以外であり。
「えーっと、一応ここオイラもいるんだけど?」
「そう、ちゃんとTPOわきまえなきゃよね」
気まずそうに視線を逸らすもう一人の自称男子を見て、自分の言葉に頷いた。
「さぁ! 遠慮なく私の裸を……」
もっとも、京とて件のご当地怪人に会う前に露出について考えることになるとは思わなかっただろうが、現実は嬉々として服を脱ぐ仲間が存在し。
「というか、暑い季節で脱ぎたくなるのは判りますがっ、人前ではめっ、ですっ……脱ぐなら脱衣所で、お風呂に入る時ですっ!」
「人前で露出とかダ――」
ゆのからしい温泉女将のちょっとずれたツッコミに援護されて何とか静止しようとした時だった。
「あら、露出もちぃ? あ」
騒ぎを聞きつけてひょっこりとご当地怪人が顔を出したのは。
●露出狂との遭遇
「って目標が見つかりましたわね……チッ!」
舌打ちした桐香が服を脱ぐ手を止め。
「ホワッ?」
ミラが思わず声を上げて目を疑う。
「最近のリンゴそっくりさんは何が起きているのでショウ?」
聞かれても私には何とも。
「本当にりんごさんに似ているね」
「でも、どっちかというと受け身というか……脱がされる方に見えるんだけど」
「ナルホド」
「って、わたしは違うよ、露出狂じゃないからね!」
ポツリと続けた言葉で感心した様にミラに見られ京が慌てて頭を振る一方。
「一つ疑問に思ったんだけど……熱心に見てくれるなら、百合の子でもいいのかな?」
由希奈も横目でちらりと京を見て。
「約束を守って下さいましたもちぃ?」
顔を覚えていたのだろう、いちごを見つけたご当地怪人は顔に喜色を浮かべ羽織っていた服を取っ払う。
「あちらが闇もちぃさんですか」
りんごも微笑むと脱ぎ捨てられた服を拾って濡らした。頭より体が先に動くタチなのだ。
「しかし露出度の高いだけの芋リンゴなんて黒リンゴの下位互換デスネ! んっ? なんかリンゴが2人に見えマス? 分身の術デス?」
そして、二人が同時に視界に入ったミラは、ご当地怪人とりんごの間を視線で往復させる。
「しかし、凄い格好ですねぇ。見えてはいけない場所だけをかろうじて身体から生えたジャガイモ餅が隠していると言うのは」
「ハッ、まさかいちごさんが真に求めていたのは、ああいうギリギリの」
「違いますから! と言うか、貴方も折角じゃがいも餅もあるんですから落ち着いて」
発見者からすれば身内に似た顔の相手なのだ。
「妹の裸なら別に気にしませんけど、そっくりでも別人ですし気になりますよっ! ましてや他のみんなのなんてっ?!」
「えーと」
気が動転しているのか、完全に自爆発言する誰かに和馬の目が遠くを見た。
「みんなのなんて? ああ、みんなのなんて大歓迎。つまり一緒に露出したい私の同好の士を集めて下さったもちぃね」
「「え゛」」
変な方に話が転がって幾人かが顔を引きつらせるが、嬉々として脱ぎかけてる人がいるのだ、説得力なんて無いだろう。
「どなたから脱ぎますもちぃ?」
身体から生えたじゃがいも餅は身体の一部。実質全裸のジャガイモモッチアは女性陣を見回し。
「露出させるなら時と場合をわきまえてね」
「大丈夫、わきまえてますもちぃわ。露出の素晴らしさを伝えるのは、先に目覚めたわたくしの義務も」
「異議あり、ですわ」
一美の説得に頭を振り口にした言葉を遮ったのは、片手に濡れた服を持つりんご。
「確かに裸の堪能も悪くないですが即ヌードは勿体ないですわ。露出ならばまずは濡れ透けの美を目一杯堪能してから、じっくりと薄皮を剥くように……ほら、服が濡れて貼り付いたから脱ぐという理由付けも出来ますし、初心者もいきなり脱ぐよりも抵抗することなく脱げると。そして、肌に至る過程も悦しまないと♪」
「な、初心者だからワンクッションおくですもちぃ? 眼から鱗ですもちぃ」
「明王岩ちゃん?!」
「明王岩さん?!」
助けるかと思えば自分の欲望を経由させようとしただけの意義に幾人かが目を剥くもそう言う人なので仕方ない。
「そうですねぇ、百聞は一見にしかずとも言いますし――」
「ってちょと、まっ……だからって実演されなくてもっ……わ、わ、わぅ、だ、だめぇっ……!」
しかも、誰かの暴走は終わらず、近くに居たゆのかを捕まえると濡らした上で着物の帯に手をかけ。
「なるほど、勉強になりますもちぃ」
「闇もちぃなんてしてもいいことないですよ、それよりみんなでいいことしましょう」
それでもめげずに一美が説得に行くのは、変装故にいぢれるチャンスがあれば他の方をいぢりたい気分だからなのか、それともモッチアの気が実演の方に逸れたのを好機と見たのか。笑顔で近寄るなりご当地怪人の身体に指を這わせ。
「良いこと、つまりみんなで露出ですもちぃね?」
「ほら、体は嘘をつけ……はわ?」
なりきるのは良い、めげずに説得しようとしたのも良い、だが。
「はわわ~らめぇぇ~」
「確かに身体は嘘をつけないみたいですもちぃねぇ」
くすくす笑いつつご当地怪人は一美の身体をまさぐり服を脱がせて行く。
「うん、選手交代といこうかな」
「あら、次はあなたですもちぃ?」
勝負はついたとばかりに京が進み出れば、ジャガイモモッチアは首を傾げ。
「はわぁ、酷」
「酷い目に遭いましたねぇ」
ほうほうの態で抜け出した誰かの肩に手を置いたのは、りんご。受難の時はまだ終わらないらしく。
「はい、あーん」
「あーん」
一方で、ご当地怪人の方はご当地品に弱いモッチアの性かあっさり懐柔されて京にジャガイモ餅を食べさせられてるところだった。
●結局のところ
「無闇やたらに襲うのはだーめ! それで芋餅が嫌いになっては本末転倒じゃない」
食べ終えれば、すぐさま説得に移り。
「あの様子なら説得を聞いてくれそうですわね、いちごさん」
これに続こうかとする桐香の胸から鷲掴みにしていた手をどけ、いちごは服を着て下さいと言った。
「こう、足下が濡れてると滑りやすいですし、注意しませんと」
「滑ってハプニングやってから言っても遅いと思うけど」
ジト目で誰かに見られた加害者の足下はバターや水でぬかるんでおり。
「えっ、お餅のお礼って……ちょっと、だ、抱き着かないでー。みんなの前で脱がされるのは、帯回さないでー」
「あ」
だれかが足下を見やる間に話の風向きが変わったらしい。
「危な」
顔を上げたいちごが見たのは、帯を引っ張られて回された京が平衡感覚を失いよろける姿で。
「危なかったですね」
「ご、ごめん、いちごさん。受け止めてくれてありがとう」
受け止めたいちごに礼を言いつつも、京はでもねと続ける。
「あんまり見ないでほしいから、ごめん、放り投げるね」
「えっ、ちょ、わぁ」
言葉を理解する間も与えられず襟を掴まれたいちごは宙に舞い。
「って、いちごく」
飛んできたいちごを胸で受け止めつつも支えきれず、もつれる様に倒れ込む由希奈。
「あの、そういうのは、後で……」
「すみません、毎度毎度……」
「何かぬるぬるしてるのが手に……あぶら、じゃなくて、ばたー、なのですっ……?」
顔を真っ赤にしつつ視線を逸らした由希奈の胸から手をどけつついちごが謝る一方で、何処かからは驚きの声が上がり。
「これはどういう状況なんデス? 何で皆半裸なんデス? 芋リンゴも脱いでるじゃないデスカ!」
混乱したミラは問う。ちゃっかりたまたま近くにいたゆのかにスキンシップしつつであるような気がするのはきっと気のせいだと思いたい。
「一応、説得してる筈なんだけど。って言うか、何やってるのミラ姉ちゃん?!」
「わ、ひゃ、わぅ、そこ、手を潜り込ませたら、くすぐった……きゃあ!?」
説明を放り投げた和馬がツッコんだのと、油に滑ったゆのかが転倒したのはほぼ同時。
「え、ちょ、わぁっ」
注意がミラに向いていた和馬は転倒に巻き込まれ。
「何だかこちらも楽しそうですもちぃねぇ」
手の空いたご当地怪人はこのタイミングで到来す。
「そっちはお取り込み中みたいですからまずは――」
「っ、こうなったら接近戦デス! 花園で鍛えたテクニック見せてやるデス!」
言外にあなたからだと言われたミラは迎撃の構えを見せ。
「隙ありですもちぃ」
あっさり服の中に手を突っ込まれた。
「んっ、このリンゴ、下着脱がすの上手過ぎデス!」
「露出狂の嗜みですもちぃ」
「揉むのはダメデス! こんな所まで似なくてモ……下着の中に手を入れるのはダメ……ヤーッ!」
文字数の都合か、単にこのモッチアがあれだっただけか。
「鳥井さんも、目、目は瞑ってください~!?」
「っぷ」
お子様には見せづらい光景に突入して焦ったゆのかが身体を押しつけることで誰かの視界を塞ぎ。
「貴女が大切にしなければならないこと、それは、肌を見せるということ」
女の武器であり、誇りだと桐香はいちごに自分の肌しか見えない様立ちつつ怪人へと語りかけ。
「そんなに粗末に扱ってはいけませんわ」
そのまま窘める、が。
「なんかベタベタするデスヨ! タレ!? タレデス!? 美味しく頂かれちゃうデス? どさくさに紛れてミラのもっちあ食べようとしてる誰デスカ!? やんっ!」
「はわっ、ごめんなさい。誰か助、あっ」
見えてない人には、いっそういかがわしい展開になってませんかね、これ。
「わっ、あれ、この小ささは」
「はわ、いちごさん、今、胸小さいとか思いましたね」
弾き出された一美を受け止めていちごが再び墓穴を掘ったがそれはそれ。
「粗末に扱ってもと言われてももちぃ」
「と言うかね、裸をみせてお詫びというのも……好きな人の前だけでいいのよ」
この間も説得は続き、困惑気味のモッチアに今度は京が語りかければ、怪人の口から「あ」と声が漏れ。
「わたくしとしたことが露出を広めることに気をとられ、男性に肌を見られるという主目的が疎かに」
「そ、それは疎かでいいんじゃないかな?」
「と言うか、男性の方はあちらの方だけですもちぃ?」
「ちょ、オイラ男ーっ!」
さりげなく男性に見られてなかった誰かが声を上げた。
「あら、それは失礼しましたもちぃ、でしたら私の肌を」
「え゛」
藪蛇になったのは言うまでもない。
「あ、聞きたかったんだけど。熱心に見てくれるなら、百合の子でもいいの?」
「微妙ですもちぃねぇ。女性の方は温泉とか更衣室で合法的に肌をさらせるますので、こうスリルがないというか……はっ」
やがて誰かの犠牲で満足したのか威圧感が薄れたご当地怪人は由希奈の質問に答えた所でがばっと顔を上げ。
「危ないところでしたもちぃ。こんな巧妙な策で身体を手に入れる邪魔をしようとは」
「ErzahlenSieSchrei?」
ダークネスが出てきたと見て取った桐香はカードの封印を解くと、名を呼ぶ。
「始めましょうか、アリカさん」
誰かにお仕置きしたがっているいちごのビハインドの名を。
「っ、力がもちゃべ」
モッチアも身構えるが、放たれる一撃を受け止めようとして力負けし。
「リベンジを兼ねてこのまま畳みかけマース」
「え、ちょ」
「めっ、です」
「待、もちゃぁぁ」
好機と見た面々が一斉攻撃を開始。
「ちょ、ちょっと敵味方とも胸触ったり服ひっぺがしたりはダメェ!?」
どさくさに紛れて見方も襲われていたのは気のせいだと思いたい。
「う、く……」
「色々ありましたが、全裸って『悦しむどころじゃない』時もありますわ。是非後で実演したいので元に戻って下さいな……ね?」
ズタボロになった怪人へりんごは微笑みかけると守護光壁【decretum】を叩き付け。
「じゃがいも、もちぃ……」
傾いだ怪人は人の姿へ戻りながら倒れ込んだのだった。
●そして
「りんごシリーズでしたか……」
桐香が視線を落とせば、横たわる少女が一人。
「ところで今回は何岩りんごなんでしょう? 三瀬田岩とか?」
おそらくは続いて口を開いたいちごが発端だったのだと思う。
「名字……ジャガ岩……矢賀岩さん、だったり?」
「じゃがいも……めーくいん……女王岩さん、とか? ……ないわねー、というか、なぜこんな連想に……?」
桐香に続いて苗字当てクイズに参加したゆのかは自身に首を傾げ。
「今回のりんごさんは芋だけに衣喪岩とか? 服を失うだけに」
「私は、『じゃがいも=ジャガー=虎岩』で虎岩を推しマース」
京が脱げたままの服を見れば、ミラも芋由来の苗字を口にし。
「私は馬鈴薯から一字取った『鈴岩』で?」
「苗字あてもいいけど、さ、その前に服着たり着せてあげた方が良いと思うんだけど」
由希奈も答えたところで一応そっぽを向いていた和馬がボソッと漏らし。
「十王岩とか……荒々しい『獸王』っぽく聞こえるかしら?」
指摘を聞き流したりんごはクイズに参加しつつ少女に近づいた。
「んっ……」
少女が軽く呻いて目を開けたのは丁度この時。
「そうそう、いちごさんの妹ってわたくし達とそっくりなんですよ。ですから裸のわたくしと裸のりんごさんが並ぶと……」
「えっ」
そのままりんごが抱き起こせば、誰かが声を上げる。
「あら」
「……ほら、皆戸惑って……言ったとおり『悦しむどころじゃない』でしょ、ね♪」
目を見開く少女の傍らでりんごはくすくす笑みを漏らした。
「や、抱き起こすより服着せてあげなくて良いの?」
とか困惑の理由を誰かが口にしてもスルーされたに違いない。
「痛っ、ええと、ところでお名前は?」
「あら、失礼しました。わたくしは御田岩・りんご(みたいわ・りんご)と言いますわ」
アリカに叩かれて我に返ったいちごへ隠すべき所も隠さず、少女は挨拶し。事件は幕を閉じたのだった。
作者:聖山葵 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2017年6月29日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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