朱雀門高校攻略戦~変わり果てた姿

    作者:天木一

    「ヴァンパイア勢力が動き出すという情報を、ルイス・フロイスから得られたよ」
     集まった灼滅者に向けて能登・誠一郎(大学生エクスブレイン・dn0103)が新たに得た事件の情報を開示する。
    「爵位級ヴァンパイアに従うデモノイドロードの一体、ロード・クロムが朱雀門高校の生徒全てをデモノイド化するという、とんでもない暴挙に出たって話しなんだ」
     朱雀門高校に留まり、ルイス・フロイスのスパイを行っていた生徒の一人が、命からがら逃げ出して手に入れた情報なのだという。
    「朱雀門高校の組織はロード・クロムが掌握しているとなっていたけど、重要な部分にはルイス・フロイスのシンパが入っていて、今までロード・クロムの情報収集を妨害していたみたいなんだ」
     その妨害によって、武蔵坂学園がノーライフキングと決戦を行った『胎蔵界戦争』の時期を察知する事ができず、武蔵坂学園を攻撃する絶好の機会を逃していたのだという。
    「それらの事からロード・クロムは、『朱雀門内部にルイス・フロイスのスパイがいる』と考えたみたいでね。その解決案として自分に忠実な生徒も含め、全校生徒をデモノイド化しようと思い立ったみたいだね」
     誰がスパイなのかと探すより、全て纏めて始末してしまえばいいと考えたのだろう。
    「このままだとデモノイド化に成功した者は敵の戦力となってしまうんだ」
     どれ程の数がデモノイド化に成功したのか分からないが、敵の戦力が増す事は間違いない。
    「みんなにはデモノイド化した者たちの調整が終わる前に灼滅してもらいたいんだ」
     調整中のデモノイドは動く事が出来ず戦力とならない。容易く倒す事が出来るだろう。
    「朱雀門高校には元々居た警備のデモノイドが存在するから妨害してくると思う。だけどデモノイドも調整中デモノイドも何処に居るのかは分からないんだ。だからみんなが校舎のどこを捜索するかを決めて行動してほしい」
     予知ではなく伝わった情報のみでの突入作戦となる為、現地で自分の足で探さなくてはならない。
    「それと朱雀門高校にはロード・クロムが居る可能性もあるよ。だけど予知した訳じゃないから絶対に居るとは言えないんだ。もし居るなら灼滅したいところだけど、時間が取られ過ぎると爵位級ヴァンパイアの軍勢が増援に現れる可能性もあるんだよ」
     迅速に行動しなくては、調整中デモノイドの撃破も覚束無い。ロード・クロムを見つけても不利と見れば逃げられる可能性もある。
    「それらも含めてどう動くのか、よく相談して決めてほしい」
     1チームでは出来る事は限られている。他チームとの連携が出来れば成功率が上がるだろう。
    「こんな派手な真似をして戦力を増強しようとするなんて、ロード・クロムも追い込まれているのかもしれないね。今回はこちらが攻め手となって敵勢力に大打撃を与えるチャンスだよ、みんなで協力して作戦を成功させよう!」
     誠一郎の言葉に灼滅者達は深く頷き、顔を合わせて作戦を練り始めた。


    参加者
    神夜・明日等(火撃のアスラ・d01914)
    アイナー・フライハイト(フェルシュング・d08384)
    黎明寺・空凛(此花咲耶・d12208)
    壱越・双調(倭建命・d14063)
    木元・明莉(楽天日和・d14267)
    居木・久良(ロケットハート・d18214)
    ルフィア・エリアル(廻り廻る・d23671)
    アリス・ロビンソン(百囀り・d26070)

    ■リプレイ

    ●朱雀門高校
     気配を消すように息を潜めた灼滅者達が、校舎の裏側にあるグラウンドが確認できる位置で待機している。ちらほらと同じく機を窺っている他チームの仲間達が居るのも視界に入った。
    「色々あったけど朱雀門高校ともこれで決着としたいわね」
     道が少し違えば自分達と同じはずだったかもしれない相手を思い、神夜・明日等(火撃のアスラ・d01914)はこれ以上犠牲は出させないと決意を強くする。
    「孵れない卵……最悪、だわ」
     デモノイドを無理矢理生み出す理不尽な術に、アリス・ロビンソン(百囀り・d26070)は嫌悪と怒りを覚え、何としてもここで止めようと強い意志を宿す。
    (「反乱分子を探す手間さえ惜しい、か」)
     命を雑に扱うやり口に、冷静な表情を見せながらアイナー・フライハイト(フェルシュング・d08384)の心に怒りが渦巻く。それを表面上は抑えじっと時を待つ。
    「地図と違う箇所が幾つもあるな……まあ敵も防諜くらいはするか」
     事前に用意しておいたマップデータと比較して増改築されているのを確認し、木元・明莉(楽天日和・d14267)は眉を寄せてマップを参考にするのを危険と諦めた。
     暫くすると校舎正面側から激しい戦闘音が聴こえ始め、火の手が上がる。それに合わせてこちらも動き出し、塀を乗り越えてグラウンドへと侵入を果たす。ガラスの砕ける音や、金属がぶつかり合う音が離れた位置から響く中、静かにグラウンドを横断する。
    「携帯も繋がりません、無線は妨害されているようです」
    「残念ですが、他のチームも上手くやっていると信じてこちらも行動しましょう」
     黎明寺・空凛(此花咲耶・d12208)が無線機や電波の類が繋がらない事を確認して仕舞い込み、顔を合わせ首を振った壱越・双調(倭建命・d14063)が校舎を見上げる。
    「全部人形にしてしまえば邪魔も入らない……か。なかなかに過激……というよりヤケか、これは」
     仰々しい口調でルフィア・エリアル(廻り廻る・d23671)が騒ぎの起こっている学園を見渡す。普段ならば生徒が見られるはずの場所に、人の気配すら無かった。
    「ただ、この混乱、利用させてもらおう」
     好機と人気の無いグラウンドを横切って一番高い15m程の校舎の傍に辿り着いた。
     灼滅者達は頷き合い傍に寄る、校舎には入らず外側から壁を蹴り凹凸を掴んで屋上から突入する作戦を立てていた。
    「みんなで絶対無事に帰らないとね」
     大切な人を思い浮かべながら左手首に付けたブレスレットに触って気合いを入れた居木・久良(ロケットハート・d18214)は、仲間と頷き合い一斉に行動を開始した。
     灼滅者達は高い身体能力を用いて校舎外壁を勢い良くよじ登っていく。1階、2階と10mを超えた当たり、あと少しと見上げる屋上から、巨体が飛び降りてきた。それは膨れ上がった青い肉を持つ異形の怪物デモノイド、それも次々と屋上から飛び出し、ざっと見て10体程のデモノイド部隊が迎撃に動き出していた。

    ●遭遇
    『グォオオオッ!』
    『ギィギギァアア!』
     壁を蹴るようにデモノイド達が加速して上から迫る。
    「お出迎えが出て来たわね」
     明日等がベルトを矢のように放つと、その隣をウイングキャットのリンフォースが上昇してベルトの刺さった相手の顔に肉球を叩き込んだ。
    「向かって来るなら、手加減はしないわよ」
     続けてアリスも仲間を援護しようと、光輪を投げて先頭の敵の胸を斬り裂く。
    「屋上の迎撃部隊のようですね、前に出ます」
     空凛は空気を蹴るようにして間合いを詰め、敵を蹴って上げ仰け反らせる。そこへ霊犬の絆は爪を立てて壁を駆け上り、銜えた刀で足首を斬りつけて敵の注意を引いた。
    「援護は任せてください、どんな怪我も治してみせます」
     応援するように双調が黄色い注意のサインを仲間達に与えて耐性を高めた。
    「こんなところにも一部隊置いてあったとはね」
     久良は大型リボルバーを腰だめに構え、ファニングして連射して敵の出鼻を挫くように先制攻撃する。
    「ふ、お前たちの悪巧みは全てお見通しだ。今こそ因縁に決着を付けよう」
     適当に意味深な台詞を吐きながらルフィアは槍を怯んだ敵の胴にねじ込み、螺旋に回転を掛けて深く突き刺す。
    「あちらも、考えることは同じ、か」
     すぐさまアイナーは壁を駆け上げり、死角に回り込みながら刀を振り抜いて足を斬り裂いた。
    「一般人が犠牲になる度に思う。あの時の選択が違っていれば、と」
     回り込もうとした敵に明莉が壁を伝って向かうと、敵の腕が刃と化して首を狙ってくる。手を放し壁を駆けてそれを掻い潜ると、拳に雷を帯びさせて腹に叩き込んだ。
    「でも、それは結果論だ。『ここ』が間に合えば『どこか』が間に合わない。だから、今やるべき事を全力でやりきるだけだ」
     そのまま拳に体重を込めて押し込み内臓まで傷つけて敵を吹き飛ばした。
    『グァォオオオ!』
     数体の怪物の口から一斉に体液が放たれ、浴びせられた絆の身体が酸で腐食していく。
    『グォォ!』
     横から腕を刃にした怪物が迫って来る。
    「そちらから向かって来るなら、手間ば省ける」
     アイナーは刀を壁に突き刺して足場にすると、槍を手にして敵の胸を貫く。
    「落下する前に貫いてあげるわ」
     続けて明日等は壁を蹴り上げり石槍で壁を引っかけながら敵へと接近すると、石槍を捻じりながら突き入れる。穂先が胴を捉え血が噴き出し、力を失った怪物が落下していく。
    『ガァアア!』
    「私が先にお相手します」
     怪物が腕を振り回し拳を叩き込むと、割り込んだ空凛は輝く剣で敵の拳を受け止めた。
    「こっちはこっちで今できることを全力でやらないとね」
     スニーカー内臓のロケット噴射で僅かな間宙を浮いた久良は、敵を踏み台にするように蹴りつけて落下させる。
    「空中戦か、どれほど動けるか見せてみらおう」
     槍を壁に突き立てて足場にすると、ルフィアはロッドを手にして魔力を込める。跳躍して敵の顔に叩き込んで頭を吹っ飛ばすと、怪物の体を蹴って壁に舞い戻る。
    「こんな場所で戦闘になるとは、ですが拓けている場所ならこちらも遣り易い」
     窓に足を引っかけて体を固定した双調は、月の如き弓を引いて絆に向けて矢を放ちその傷を瞬時に癒してしまう。
    『グォオオオ!』
    「体も大きければ声も大きい、と。まるで獣だな」
     獣のように叫びながら敵が巨大な拳を振り下ろしてくる。それに対して明莉は己の腕を鬼の如く異形化させて拳を放ち、拳と拳がぶつかり合い明莉の拳から血が流れ骨にひびが入る、怪物の拳からは皮膚を突き破り骨が突き出ていた。
    「人をこんな怪物に変えてしまうなんて、最悪だわ」
     やがて学園の生徒全てがこうなってしまうのかと、アリスは暗い気持ちになりながらも帯を明莉の拳に巻き付け血を止め固定した。
    『ウォオオオオッ』
     怪物は壁に腕を突き刺して落下を止め、猿のように腕の力で強引に体を引っ張り上げて襲い来る。
    「この状況じゃ遠距離からの方が楽そうね」
     排水管を掴んだ明日等は、片手で槍を振り氷柱を撃ち出して腹を貫く。だが敵は口から体液を吐きながらも明日等の足を掴む。
    「その手を放してください」
     空凛は星のように輝く帯を放ち敵の腕を射抜いた。すると握力が弱まり明日等は蹴って抜け出す。その衝撃で敵の体が宙に浮いた。
    「どれほど膂力があろうとも宙に浮けば何も出来まい、的当てだ」
     刺したままの槍の上に着地したルフィアは、すぐさまベルトを撃ち出し敵の首を刺し貫く。そのままじたばたしながら巨体が落ちて衝撃に首に大穴が空いた。
    『ガアアアアッ』
     両腕を刃として敵が挟み込むように怪物が突っ込んで来る。
    「困っている誰かを守るために、悪いけど倒させてもらうよ」
     久良の手にした巨大なハンマーから蒸気が噴き出し、ロケット噴射で加速して敵の懐に入ると、同時に両腕の刃を肩に受ける。だが勢いを止めずにフルスイングで心臓を叩き潰し、巨体が吹き飛んで地上でぐしゃりと潰れた。
    『オォオオオオオ!』
     怪物達が腕を砲に変え一斉に光線を放った。十字砲火が灼滅者達を焼き傷口から侵食していく。
    「こんな怪物が大量に増えては大変な事になりそうですね」
     そうはさせないと双調の元から涼やかな風が吹き抜け、仲間達の汚染された傷を綺麗に塞いでいく。
    「自分に不要なものは消していって、命を好き勝手にもてあそぶなんて許せない……」
     続けてギターを爪弾き力強く勇気をもたらす曲に乗せ、アリスが歌い仲間達の心と体を癒した。
    「こんな場所では、自慢の力も存分に振るえまい」
     壁を蹴りアイナーは敵の剛腕を掻い潜って槍を振るい太腿を深く斬りつけた。バランスを崩した敵は窓枠を掴んでミシミシいわせながら踏みとどまる。
    「そんな巨体じゃあ支えきれないだろ」
     明莉が風の刃を放って、窓を掴んでいる敵の指を曲がったサッシごと切り裂いた。手が離れ落下していくところへ更に風の刃を叩き込み、顔を真っ二つに断ち切った。

    ●負けられぬ戦い
    『ゴォオアアアッ!』
     怪物達が好き勝手に壁を駆けて暴風のように腕の刃を四方から振るう。それを庇いに入った空凛と絆がその身で傷つきながら受け止める。
    「あと少し、このまま押し切りましょう」
     空凛は帯で盾を作り、敵の攻撃を致命傷にならぬよう受け、絆は刃に弾かれ地上へと落下しクルクル回転して着地した。
    「ちょうどいいわね、纏めて吹き飛ばしてあげるわ」
     槍を壁に突き刺して足場を固定した明日等は、もう片方の手でライフルを構え円盤状の光線を放って敵4体を弾き飛ばした。
    「人としての心が無いのであれば、せめて長く苦しまない内に」
     その内の一体に向けアイナーは槍を投げつけ、螺旋を描き猛スピードで飛ぶ槍が胸を捉え、怪物は地面へと落下し串刺しとなった。
    『オオオオアアァッ』
     怪物が酸を放つと、リンフォースは魔法を放ちながら受け止める。
    「こちらもそろそろ攻めに転じましょうか」
     そこへ双調はオーラを顔にぶつけて怯ませる。それでも敵は闇雲に酸を飛ばし周辺を溶かす。
    「校舎が滅茶苦茶だね、そんな事を気にする頭も残ってないのかな」
     明莉は咄嗟に掴んでいた壁を離して液体を躱し、足に雷を纏わせて脇腹を蹴りつけ吹き飛ばした。
    『ウゥゥオオオオオッ!』
     怪物は足をめり込ませ壁に垂直に立ち、壁に足跡を作りながら怪物が明莉に迫り分厚い刃を薙ぎ払った。
    「これ以上、なにも奪わせないわ」
     その前にアリスは帯を巻き付けて鎧と化し、一撃の威力を緩和し刃が骨に達するのを食い止めた。
    「明日を笑い合うために、どんな困難も命懸けでやり遂げないとね」
     掴んでいた壁を離し、久良はリボルバーを構えると、目にも留まらぬファニングで次々と弾丸を撃って胸に幾つも穴を空けた。
    『ガアアアアッ』
     痛みに怪物は暴れ体液を撒き散らし周囲を溶かしていく。
    「そう怒るな、すぐに纏めてあの世に送ってやろう」
     ルフィアは槍にぶら下がりながら攻撃を避け、引き抜いた槍で敵の腹を貫き壁に死骸を突き立てた。
    『グラァアアアッ』
     片手で壁を穿ち、体を固定すると怪物は砲と化した腕を向け光線が奔る。
    「当たりませんよ」
     攻撃を避けようと壁を蹴って宙へ飛んだ双調は、一瞬で矢を放ち敵の右目を撃ち抜いた。
    「真っ直ぐ前を向いて勇気を持って進む。そう決めてるんだ、邪魔はさせないよ」
     久良は体を軋ませるほどハンマーを全開で噴射させて勢いをつけ、真っ赤になったハンマーを叩きつけた。すると爆発するように敵の体が膨れ上がり四散した。
    『ォオオオッ』
    「まだ武器はある」
     頭上から怪物が落ちながら刃で襲い掛かると、アイナーも飛び降り壁に突き立てた刀に掴まり、引き抜くと同時に薙いで敵の胴を斬り裂いた。
    「これで終わらせてあげるわ」
     その上に跳んだ明日等が真っ直ぐに槍を突き下し、敵の頭を砕いた。
    『ブルァアア!』
     怪物のなりふり構わず掴み掛かり、空凛の足に手を掛けた。
    「落ちるのはあなただけです!」
     伸ばした帯を窓枠に引っかけて落下を防いだ空凛は、更に帯を長くして先端が敵の腕を貫いた。
    「あなたも理不尽の犠牲者なのかもしれない。でもその力を暴力にしか使えないなら、壊すわ」
     アリスは光輪を放ち円を描くように飛んだ輪が敵の背後から首に食い込んだ。
    『ウァアアアア』
     どれだけ傷つこうとも、デモノイドは命じられたままに戦い続ける。顔を傾けながら刃を振り下ろす。
    「逃げる頭もないか、いい音がしそうだな」
     ルフィアはロッドを振り抜いてその刃を砕き頭を打ち抜いた。
    『ガアアァ!』
    「最後の一体、と」
     向かって来る敵に合わせ、銀色の大刀を抜いた明莉は壁を蹴り真正面から刃を振り下ろす。敵の刃は明莉の肋骨を抉る。その刃が骨を断つ前に、明莉の大刀は真っ二つに怪物の体を両断していた。

    ●勝利
     疲労した灼滅者達は屋上に上がり、一先ず傷の手当てをする。
    「時間を取られてしまいましたね」
    「他のチームはどうなっているのでしょうか」
     空凛が敵が多く思ったよりも時間が掛かってしまったと少し静かになった周辺を探り、双調も屋上から窓が割れ煙の上がる校舎を見渡す。すると場違いなチャイムの音が響いた。
    『こちら放送室、平・和守だ。皆、聞こえるか? 放送室の制圧、並びに通信機器の電波を妨害していた装置の停止に成功した。そしてたった今、ロード・クロムと交戦していたチームより、ロード・クロムを灼滅したとの報せが入った。繰り返す。ロード・クロムは灼滅された』
     それは戦いの完全勝利の報告。他のチームもそれぞれの役割を果たし、最高の結果を導き出したのだ。
    「終わったか、作戦成功のようだな」
     繋がるようになった携帯も確認したアイナーは緊張を解き、戦闘音のしなくなった校舎を見下ろした。
    「予想外の戦闘だったけど、敵の迎撃部隊を潰せたんだから、結果的には良かったんじゃないかな」
     放っておけば他の戦場への援軍となっただろうと、明莉はそれぞれのチームがベストを尽くした結果だと満足そうに笑みを浮かべた。
    「やはり冷静に事を起こさなくてはな、ヤケになったら負けだ」
     肩を竦めルフィアは、追い込まれて博打を打った必然の負けだと敵の行動を揶揄する。
    「私達も同じ結末にならないようにしないと」
     明日等は一つ道を間違えば、このような結末になってしまう可能性があるのだと戒める。
    「これ以上デモノイドにされて苦しむ人が減るといいね」
     久良はデモノイド化されてしまった人々を想い、今回の作戦が上手くいった事を喜ぶ。「ごめんね」
     アリスは校舎の中で培養されていたデモノイド達を想い、静かに冥福を祈った。
     灼滅者達は一休みすると、他の仲間達と合流しようと屋上から校舎の中へと歩き出す。
     道を誤った朱雀門高校は学び舎の面影は無く、僅かな間に廃墟のように変わり果てた姿となっていた。

    作者:天木一 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2017年7月4日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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