戦神アポリアの提案~生態ピラミッド

    作者:のらむ

    ● 
    「六六六人衆と武蔵坂の共闘を試みる為、とあるダークネスが武蔵坂学園に接触してきました……何ともいえない、提案を持って」
     神埼・ウィラ(インドア派エクスブレイン・dn0206)は重々しい口調で教室に集められた灼滅者達にそう告げると、赤いファイルを開いた。
    「接触してきたのは、先日の暗殺武闘大会で闇堕ちし、ハンドレッドナンバーとなった狐雅原・あきら(戦神アポリア・d00502)さんです。今は六六六人衆序列第七一位、『戦神アポリア』と名乗っています」
     今回の呼びかけはアポリアの独断ではなく、ミスター宍戸及び六六六人衆上層部の意向に従っており、この提案を受け入れれば六六六人衆との同盟関係は高確率で提携されるだろうとウィラは言う。
    「さて、その呼びかけの内容ですが……ここからは普段よりも、私個人の感情や意見を排して喋らせてもらいます」
     そう言ってファイルをめくったウィラは、淡々と説明に入った。以下が、その内容である。

     六六六人衆は、武蔵坂のサイキックリベレイター使用を確認した。このまま全面戦争に入れば、人間社会に甚大な被害が出ることは避けられない。
     しかし六六六人衆は人類と共存できる。そもそも六六六人衆は、人間社会の支配に一切興味が無いのだから。
     六六六人衆は序列を巡って互いに殺し合う、一定以上の数にならない非常に数が少ないダークネスである。これは六六六人衆にしかない特徴であり、同時に六六六人衆が唯一人類と共存が可能であるという根拠になるだろう。
     六六六人衆は人が睡眠、食事を取り娯楽を楽しむ様に、人を殺す必要がある。
     しかしこれは肉食動物が草食動物を狩るような自然の摂理の範囲であり、武蔵坂の意向にある程度従う用意もある。
     一定の人数を確保できれば、殺す人間については武蔵坂が指定した範囲でのみ行う事で、お互い歩み寄りたい。
     犯罪者、老人、外国人、無職者……など。武蔵坂が納得できる条件を考えて欲しい。
     共存を望む場合。こちらが指定する場所に、『六六六人衆が殺しても良い人間のサンプル』を連れてきてほしい。それを持って、同盟の締結としたい。

    「……以上です。戦神アポリアは一般人の受取場所に、先程の人間サンプルを10名連れてくるよう、連絡をしてきました」
     受取場所は多数用意されており、それぞれについて10名のサンプルを望んでいるらしい。
    「一箇所だけでは、チームの独断で武蔵坂の総意ではない可能性が高いとでも考えたのでしょう。多数ある受取場所の『過半数』において10名のサンプルが受け渡されれば、他の場所で戦闘があろうと本格的な交渉に入ると言っています」
     そうでなければ、この同盟提案は取り下げられる。この選択は、非常に重く重要なものとなるだろう。
    「この提案には一定の真実が含まれており、理性のみで考えれば検討する余地があるものと言えるでしょう。その上でどうするかは、皆さんに任せます。受け入れるなら、10人のサンプルを連れて引き渡し場所に。そうでなければ、全面戦争は避けられない為、引き渡し場所の六六六人衆を灼滅して下さい」
     そう言って資料をめくったウィラは、集合場所に現れる六六六人衆についての説明に入る。
    「引き渡し場所に来るのは、はっきり言って捨て駒です。リベレイターの影響を受けてなお、この場のメンバーのみで灼滅が可能です。可能ではありますが、強敵には違いないので、戦うなら油断して大怪我しないようにして下さい」
     このチームの引き渡し場所は、打ち捨てられてからそれなりの年月が経ったとある廃病院。引き渡しの時間は深夜2時で、六六六人衆は廃病院のロビーに待機している。
    「六六六人衆の名は、ジェス。神父の様な格好をしたこの男は、温和な性格をしておりいつも穏やかな笑みを浮かべていますが、得物であるチェーンソーで人を解体する時も、全く変わらない笑顔を浮かべているそうです」
     ジェスはチェーンソーによる斬撃の他、遠距離を攻撃する為の魔術や、自らの傷を癒やす聖水等を用いて戦闘を行うらしい。
    「……先程も言った通り、どうするかは皆さんにお任せします。同盟を組むも、組まないも……同盟を組んで他のダークネス組織を滅ぼした後、裏切って六六六人衆を滅ぼすも……以上です。どうか、悔いの無い様に」


    参加者
    叢雲・宗嗣(黒い狼・d01779)
    月村・アヅマ(風刃・d13869)
    クリミネル・イェーガー(肉体言語で語るオンナ・d14977)
    レオン・ヴァーミリオン(鉛の亡霊・d24267)
    獅子鳳・天摩(幻夜の銃声・d25098)
    雲・丹(きらきらこめっとそらをゆく・d27195)
    荒谷・耀(一耀・d31795)
    十全・了(赤と黒の夢・d37421)

    ■リプレイ


    「おや、来ましたか……」
     深夜2時。埃だらけの長椅子に腰かけていた六六六人衆ジェスは、複数の足音に気が付き、立ち上がる。
    「……おっと。これはつまり、そういう事でしょうか」
     姿を表したのは、8人の灼滅者のみ。要求した一般人のサンプルの姿は無い。それに気づいた時点でジェスは、得物である白いチェーンソーに手を掛けた。
    「へろう。深夜出勤ごくろーさんっと。まぁお察しの通り、今回のは断る。君ら、適当に投げられた『餌』で満足できないだろう?」
     レオン・ヴァーミリオン(鉛の亡霊・d24267)がそう告げると、ジェスは心底残念そうな表情を浮かべる。
    「ウチらは別にそんな偉い存在でもないし……何にしても666さんの要求は飲めんよぉ」
    「やはり……あ、私の名前はジェスといいます。短いお付き合いになるでしょうが、どうぞよろしくお願いいたします」
     ハッキリ断る雲・丹(きらきらこめっとそらをゆく・d27195)に、穏やかな笑顔で頭を下げるジェス。
    「いや、別によろしくはしないけど。野放しにして人に手を出させるわけにはいかないからね。戦わせてもらうよ」
    「そうですか……まあ、仕方のない事です」
     十全・了(赤と黒の夢・d37421)の言葉に、ジェスは得物であるチェーンソーのエンジンを駆動させて応える。
    「お前ら六六六人衆が約定を守るなんぞ考えられん。ロクでもない集まりだって事は、闇堕ちした自分の事で良く分かっているさ」
     信用の無い相手と交渉などそもそも出来ないと、叢雲・宗嗣(黒い狼・d01779)は断じる。
    「六六六人衆ももちろんそうだが、『宍戸』という人間も信用できない。それで『殺していいサンプル10人よこせ』とかアホかと」
    「ふうむ、なるほど……」
     帽子をかぶり直しつつ、吐き捨てる様に言う月村・アヅマ(風刃・d13869)に、ジェスは渋い顔を向けた。
    「信用できる出来ない以前に、オタクらって殺す方法シチュエーションから対象に至るまで、すごくこだわりある人多いじゃない。今後はずっとバナナばっか食ってろみたいな事言われて納得するんすか?」
    「まあ、まだ許容出来る範囲なんじゃないでしょうか。というかあなた達、交渉じゃなくて私を殺しに来たんでしょう? どちらでもいいじゃないですか」
     獅子鳳・天摩(幻夜の銃声・d25098)の問いに応えたジェスは、チェーンソーの刃を灼滅者達に向ける。
    「そうですね。殺……やる事は同じですしね。……じゃあもう始めませんか? いえ始めましょう」
     荒谷・耀(一耀・d31795)は隠しきれていない殺意を滲ませ、静かに刀を構えた。
    「それでは皆さん、少し痛いですが死んで下さいね」
     それが当然の事であるように言い。ジェスの凶刃が灼滅者達に放たれた。


    「一凶、披露仕る」
     チェーンソー片手に暴れまわるジェスの隙を見定め、宗嗣は片腕を狼の如く変化させて背後に回る。
     突き立てられた鋭い大爪が、ジェスの背をガリガリと引き裂いた。
     振り返り、宗嗣に狙いを定めたジェスだったが、その側方から丹が迫る。
    「色んな人は居るし、色んな罪とか弱さとかはある。けどそれをウチや666さんが殺してええ理由にしたらあかんやないのん?」
    「……?」
    『OI TELOC IPAM FARZM IRGIL』。丹の言葉に重なる良く分からない言葉にジェスが首を傾げた直後、その横腹に丹の蹴りが突き刺さる。
    「アイタタ……厳しいですね。私たちは相当貴方達に擦り寄ったつもりなのですが。まあ、無理と言うなら燃えて下さいな」
     ジェスが魔術を詠唱し、虚空から放たれた白炎が丹に迫る。
    「その炎に当たる訳にはいかんなぁ」
     それに対し丹は氷の刃を撃ち放ち、白炎と共に消滅。そして丹は『IALPOR FISIS BALZIZRAS IAIDA』。『火刑という至高の処刑』の意を持つ十字架を構え、ジェスに再び接近する。
    「666さんのエゴも独善も、ウチらは絶対認めへんよぉ」
     そして放たれた重打がジェスの胴体に直撃し、身体が大きく吹き飛ばされる。
     立ち上がりかけたジェスに、レオンは死角から飛びかかる。
    「というか、君らだってこんな条件こっちが飲むと思ってなかっただろ?」
     銀朱の薄刃が脚を斬り、ジェスはやや硬い笑顔を浮かべた。
    「いやあ、そうでもないですよ。だって貴方達が支配する世界って、ちょっと面白そうじゃありません?」
    「あなた達の判断基準って本当にそんなのばっかりだよね……まあいいや」
     了はどうにか眠気を抑えつつ、ダイダロスベルトを展開。仲間の傷を素早く癒やしていく。
    「つまらないよりも面白い方が良い……って、神も仰ってますし」
    「それって何処の神様? ……まあ神を信じるも信じないも、種としての本能に従うのも自由だよね。僕達もそうさせてもらうよ」
     了は言い、縛霊手に己の霊力を込めてジェスに接近。
    「一応僅かに神父な部分もあるんだな。見た目だけかと思ってた」
     差し込むように放たれたアヅマの蹴りがジェスの片脚を蹴り砕き、ジェスは思わず膝を付く。
    「ッ……!!」
    「おっと。そう易々とは当たらないよ」
     咄嗟にジェスが放った白い雷を身を逸らして避け、了は縛霊手をジェスの胸元に叩きつける。
     同時に放たれた霊力の網がジェスを捕らえ、その動きを大きく封じた。
    「隙が増えましたね。これで、もっと殺しやすくなります」
     網を振り払うジェスに、耀は広がる影を放ち、全身を飲み込み精神を蝕んだ。
    「グァッ……!! さ、流石ダークネス殺しのプロフェッショナル、ですね……」
     影から解放され、大きく息を吸うジェス。その前に、天摩が進みでる。
    「まあ特に否定はしないっすけど。ところでアンタ何位? ほんとに神父だったの? それとも油断させるための衣装?」
    「ふふ、唐突な質問責めですね……私は今も昔も神父ですよ」
    「で、序列は?」
    「……最近はアンブレイカブルも序列に割り込んできてますからねぇ……」
    「答えたくない程度の所までは下がってると。成程」
    「うるさいですね。解体しちゃいますよ?」
     天摩目掛け振り下ろされたチェーンソー。天摩はその一撃を剣の先で逸らし避けると、悪魔の紋が刻まれた拳銃、『トリニティダークカスタム』を構え反撃に出る。
    「解体されちゃうのは勘弁っすね。ところでアンタは『殺してもいいやつ』として差し出されたんすよ。どんな気持ち?」
     禍々しい銃身に影を宿し、天摩がジェスに問いかける。
    「下っ端の悲しい定めですね。まあ私はそこまで死ぬのは怖くないですし、適材適所って事で良いんじゃないでしょうか」
    「端材である自覚はしてるんすね。まあそれなら、大人しく倒されて下さいっす」
     そう言って天摩は銃身をジェスのこめかみに叩きつけ、その精神からトラウマを引き摺り出す。
    「止めて下さいよ、結構メンタル弱いんですから……あの、怖くないっていっても、別に死にたい訳じゃないですからね?」
     引きつった笑顔を浮かべながら、ジェスは再びチェーンソーを構えた。


    「灼滅者も随分強くなりましたよねぇ……だけど1人位死んでくれても良いんじゃないですか? 数的に」
    「馬鹿言うな。アンタらにくれてやる命なんか1つも無い」
     ジェスが再び放つ滅茶苦茶な斬撃の嵐。片腕を斬られた宗嗣がジェスに言い返すと、短刀『無銘蒼・禍月』を構える。
    「我儘ですねぇ……あなた達だって人間から生まれたダークネスを殺さなきゃそのままで生きていられない癖に」
    「だから自分達とは変わらないって? 冗談は顔だけにしてくれ」
     ジェスの懐に潜り込み宗嗣が振るう蒼い刃。それはジェスの急所を的確に斬り、その防御力も削り取っていく。
    「アンタらとオレらが同盟だなんて、最初から無理だと気づくべきだったな」
     そう言って一旦ジェスと距離を話した宗嗣は、超長尺刀『大神殺し』を構える。同時にジェスは、黒い聖水を撒き自らの傷を癒やしていた。
     構えた刀の刀身を非物質化させ、宗嗣はジェスを見据える。狙うのはその肉体ではなく、魂である。
    「……ここだ」
     横薙ぎに振るわれた一撃。それはジェスの魂の一部を砕き、大きな苦痛を与えた。
    「これは、中々味わった事の無い痛みですね……」
    「今日限りで味わう機会も無くなるっすから、今の内に堪能しといた方がいいっすよ」
     ジェスの眼前まで接近した天摩は腹に銃身を叩きつけ、引き金を引く。放たれた3発の銃弾が、ジェスを撃ち抜いた。
    「一応言っておくが、逃しはしないからな? この建物の構造は、既に把握してる」
     アヅマはジェスに告げ、片腕を鬼の如く異形化させる。
    「そうですよね……皆さん凄い殺す気満々ですもんね……けど本当に死にそうな時はそこをなんとか」
    「いや、無理だから」
     鬼の豪腕に蒼い炎を纏わせ、アヅマはジェスに突撃する。
     突き出された拳がジェスの全身を強く打ち付け、ジェスの身体は壁まで一瞬にして吹き飛ばされ、叩きつけられた。
    「じゃあ、せめて道連れであなたが死んでくださいよ」
     壁を蹴り、力強い跳躍でアヅマに飛びかかるジェス。一瞬にして放たれた斬撃が、アヅマの肩を抉った。
    「……いや、それも御免被る。アンタは死ぬのが怖くないかもしれないけど、こっちはそうでも無いんだよ」
     鮮血が流れ出す肩を軽く抑えつつそう応え、アヅマは呪装棍【天津甕星】を構えた。
     くるくると軽快に棍を回し、一気に魔力を収束させていく。
    「アンタは死んだら神様が迎えてくれるんだろ? だったら1人で死んでくれ」
     ジェスの鳩尾目掛けて放たれる打突。同時に流し込まれた魔力が爆発を引き起こし、ジェスの内臓が吹き飛んだ。
    「ッ……!! 今のは、結構効きましたよ……!!」
     口から血を滲ませながら、ジェスの手から白い雷が放たれ。灼滅者達の身体を次々と撃ち抜いていく。
    「結構追い詰めてるみたいだね。どうにか最後まで保たせられるといいけど」
     了はすぐさま縛霊手から霊力を撃ちだし、仲間たちの傷を癒やしていく。
    「確かにもう少しでころせそうですね。怖くないならさっさと諦めて死んで欲しいんですけど」
     耀は血反吐を吐くジェスを殺気しか感じられない両目で一瞥し、足元の影を操っていく。
    「君に関しては、最初見た段階からヤバイとは思ってましたよ、なんか目がイッてましたし……そこまで邪険にしなくてもいいんじゃな……グッ!!」
    「喧しいから黙って下さい、それから死んで下さい。速やかに死んで結果的に黙るという形でも大丈夫ですから」
     耀が伸ばした影の触手がジェスの首に絡みつき、千切れんばかりの勢いでギリギリと締め上げていく。
    「グ……! ち、ちょっと! いくら私が人当たりが良い人殺しといっても限度がありますよ!! あと怖いですよ!!」
     ジェスの手から放たれる白炎。自身に降りかかり身を焦がすそれを、耀は涼しい顔で受けきった。
    「限度ですか。私のあなた達に対する殺意には特に上限は設けていませんが……まあどうでもいいですね。死んで下さい」
    「えぇ……?」
     若干引いているジェスを無視し、耀は日本刀『暁』を構え、ジェスの急所を見定める。
    「それじゃあ、ころしますね」
     グサリ、と。耀が突き出した刀の刃がジェスの喉笛を貫き、貫通させた。
    「……!!」
     余りにも膨大な殺意の賜物か。その一撃は想像以上にジェスに大きなダメージを加え。刃を引き抜いたジェスはよろよろと後ろへ退がった。
    「あと少し……このまま押し切るんよぉ!」
     生命維持薬のカプセルで肉体を強化させた丹。ジェスの急所を正確に槍で貫き、動きをジワジワと鈍らせていた。
    「いやいや、これはこれは……灼滅者というのは、中々恐ろしいものですねぇ」
     喉を押さえ、掠れた笑い声を上げるジェス。レオンはその鼻先に、日本刀を突きつけた。
    「死ぬ前に一応聞いておこうか。君ら、もしオレらがサンプルを連れてきてたら、何処に持っていく気だったんだ? 是非教えてもらいたいもんだね」
    「ハハ……まあ、正直君達灼滅者の事は嫌いじゃないけどね。だけど同盟組まないんでしょう? だったら教えられないなぁ」
    「そうかい」
     軽く薙ぎ払われた刃。それはジェスのチェーンソーごと、左腕を斬りつけた。
    「同盟ね……支配者になる気はねぇけど共存共栄のために生贄よこせとか、そんなニート生活は流石に容認できんってよ」
    「中々度し難いねぇ……だけど、これ以上の条件を出せるダークネス組織は後にも先にも無いんじゃないかな? 多分。これを飲めないなら……まあ、君らは全部を殺す気か。それはそれで面白そうだね」
    「……どうやら、もう死ぬ覚悟は出来たみたいだな?」
     レオンは対人外用振動突撃剣『解体者エドガー』を構え、瀕死のジェスにトドメを刺さんと対峙する。
    「まあ、もう勝ても逃げもしないだろうし……道連れは諦めてないけどね」
     ジェスはチェーンソーのエンジンを勢い良く吹かせ、大きく振りかぶる。
    「生憎、君の神様なんかに捧げる様な生贄は持ち合わせてないんでね」
     レオンが言い放った直後、ジェスの斬撃が灼滅者達に放たれた。
     しかし灼滅者達はその斬撃を避け、あるいは受け切ると、ジェスに一斉に攻撃を叩き込んだ。
     アヅマの鬼の拳が脳天を打ち、
     クリミネル・イェーガー(肉体言語で語るオンナ・d14977)がよろめくジェスの頭を掴み壁へ投げ飛ばす。
     丹が氷の刃を放ち腹を貫くと、
     宗嗣が大太刀の一撃で深い傷を刻む。
     了が霊力の網で全身を絡め取り、
     耀が刀で心臓を滅多刺しにした。
     天摩が影を宿した打撃を顎先に叩き込むと、
     レオンは『解体者エドガー』を構えてジェスに突撃する。
    「全力で捨て駒だろうけど、ご苦労さん神父様」
    「……!!」
     ジェスは咄嗟にチェーンソーで防御の構えを取る。
     しかしレオンが振り上げた刃がチェーンソーを両断。流れるように剣を振り下ろし、ジェスの身体もまた断ち切った。
    「フフ……これも弱者の定め……ですかね。影ながら応援していますよ、灼滅者……何にせよ君達は、これからの世界に面白い影響を与えてくれそうだ……」
     刎ね飛ばされた上半身がゴトリと床に落ちると同時に、ジェスの全身が煙の様に掻き消えた。
    「……。あばよ、地獄で会おう」
     ジェスが死んだ事を確認し、レオンは小さく呟いた。

     戦神アポリアの同盟提案の拒否、並びに六六六人衆ジェスの灼滅、完了。

    作者:のらむ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2017年7月11日
    難度:やや難
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
     あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
     シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
    ページトップへ