●教室にて
灼滅者たちを出迎えた倉科・葉月(大学生エクスブレイン・dn0020)は、メンバーが揃ったことを確認した上で説明を開始した。
「六六六人衆が武蔵坂学園との共闘を目論見、接触してきました」
接触してきたのは狐雅原・あきら(戦神アポリア・d00502)。今は、六六六人衆第七十一位・戦神アポリアを名乗っている。
また、今回の呼びかけは戦神アポリアの独断ではなく、ミスター宍戸及び六六六人衆上層部の意向に従っており、灼滅者が共闘を決断すれば同盟が締結される可能性は高いようだ。
「呼びかけは、次のようなものでした」
――武蔵坂学園が六六六人衆に対してサイキック・リベレイターを使用した事を確認した。もし、灼滅者が六六六人衆を滅ぼそうとするのならば全面戦争になり、人間社会に莫大な被害が出てしまうだろう。
しかし、六六六人衆と人類は共存できるはず。六六六人衆のプロデューサーであるミスター宍戸は人間であるし、六六六人衆は人間社会の支配に興味はないのだから。
また、六六六人衆は、その名の通り非常に数が少ないダークネス。序列争いにより一定以上の数になることはない。
それが、共存可能な理由。支配する気もなければ頭数も足りないのだ。
もちろん、六六六人衆は生きるために一般人を殺戮する必要はある。これは、肉食動物と草食動物の関係のような自然の摂理。そのため、ある程度武蔵坂学園の意向に従う用意がある。
例えば、犯罪者に限る、老人に限る、外国人に限る、無職者に限る……など、武蔵坂学園が受け入れられる条件を提示してもらえれば、その範囲内で行うという歩み寄りが可能だ。
もし、共存を望むなら、こちらが指定する場所に六六六人衆が殺戮しても良い人間のサンプルを連れてきてもらいたい。それをもって、同名の締結を……。
「……これが、呼びかけの概要となります」
一箇所だけではそのチームの独断であり、武蔵坂の相違ではない可能性が高いと考えたのだろう。受け取り場所は多数用意されており、それぞれに十名の一般人を連れてくることを望んでいる。
「戦神アポリアは引き渡しの場所の過半数において十名の一般人が受け渡されたならば、他の引き渡し場所で戦闘が発生したとしても、武蔵坂学園は同盟の意志があるものとして、次の交渉に入ると言ってきています」
逆に、過半数の場所で引き渡しが行われなかった場合、今回の同盟提案は取り下げるようだ。
「情緒的に、この提案を受け入れることは難しいとは思います。しかし…………一定の真実は含まれており、検討の余地はあるのかもしれません」
葉月は軽く瞳を伏せていく。
「どう扱うかは、灼滅者の皆さんにおまかせします。受け入れるのなら……十名の一般人を連れて引き渡し場所へ。受け入れないのならば戦争は不可避となるため、敵戦力を削るためにも引き渡し場所の六六六人衆の撃破をお願いします」
最後に……と、葉月は引き渡し場所に来る六六六人衆についての説明を行った。
引き渡し場所に来る六六六人衆は捨て駒らしく、六六六人衆としては戦闘力が低い。八人の灼滅者の力で灼滅することも可能だろう。もちろん、強力なダークネスであることに違いはないため、注意を怠ってはならないが。
名をスカイ。黒のトレンチコートを着込み黒の帽子をかぶっている大柄な男。
得物としてガンナイフを携えており、それを用いて足を切り裂く黒死斬、追尾するホーミングバレット、防具ごと切り裂くティアーズリッパーの他、意図的に跳弾を発生させる事により相手の急所に撃ち込み連続するダメージを与える……といった技も用いてくる。
「最後に引き渡し場所になりますが……この雑木林を抜けた先にある工場跡地になりますね」
説明は以上と、葉月は地図など必要なものを手渡しながら締めくくる。
「全て、皆さんに託します。どうか、後悔のない選択を。何よりも無事に帰ってきてくださいね? 約束ですよ?」
参加者 | |
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天峰・結城(皆の保安官・d02939) |
皇・銀静(陰月・d03673) |
九条・泰河(祭祀の炎華・d03676) |
禰宜・剣(銀雷閃・d09551) |
三影・紅葉(あやしい中学生・d37366) |
四軒家・綴(二十四時間ヘルメット着用・d37571) |
●月明かりの届かぬ闇色小道
星々の輝きに満ちる空の下。雑木林に抱かれるようにして、その廃工場は長い眠りについていた。
管理する者も解体される予定もないのだろう。壁のヒビが、門のサビが、生い茂る蔦が、ここが自然に任せ滅びゆく場所であることを教えてくれていた。
三影・紅葉(あやしい中学生・d37366)を先頭に、灼滅者たちはその内側に足を踏み入れる。
闇と静寂に満たされた世界の中、門と建物の間に積まれている廃材の前で何かが動いた。
その何かが武蔵坂学園との交渉にやって来た六六六人衆の使徒・スカイであると判断し、紅葉は片手を上げていく。
「よろしくな」
「ああ、よろしく頼みますぜ、武蔵坂のあんちゃん。ところで……」
月明かりの下に黒づくめな姿を晒したスカイが睨みつけてきた。
九条・泰河(祭祀の炎華・d03676)は互いに踏み込まなければ格闘戦へは持ち込めないだろう位置で立ち止まり、おどけた調子で自分の頭を軽く小突いていく。
「サンプルはもう少しで来るんだよ。ちょっと僕ら早く来すぎたかな」
「……」
口を閉ざしたまま、スカイがこの場にいる四名の灼滅者たちを見回してきた。
全員と視線を交わした後、静かな息を吐き出していく。
「そういうことなら、待たせてもらいますぜ」
スカイが再び廃材に背を預けた。
距離は詰めず、天峰・結城(皆の保安官・d02939)は問いかける。
「サンプルが来るまでの時間、聞きたい事がある」
「そいつはナシですぜ、武蔵坂の旦那」
視線の先、帽子を目深に被り直していくさまが見える。
「今は旦那たちの言葉を信用して待っていますが、担保がありません。聞きたい事だけ聞いて反故にされる、なんてことになるのは勘弁ですぜ」
「なら、あなた自身の事を教えてくれないかしら。雑談として」
一歩、禰宜・剣(銀雷閃・d09551)が踏み込んだ。
「それなら、あんたの危惧してる事態にはならないわよね?」
「……違いない」
スカイは動かず、ただ口元に小さな笑みを浮かべていく。
変わらぬ表情で剣は問いかけた。
「あんたは今回の同盟とやらをどう思ってるの? 正直とんでもない展開と言えるわよね」
「喜ばしいことだとは思いますぜ。他はどうだか知りませんし、交渉役を担わされた事に対して思う所がないわけじゃありませんが」
「そう。なら……」
新たな質問をしようとして、剣は考え込む。ミスター宍戸のことを聞くのは雑談の域を越えるだろうか……と。
中々結論を出せないままでいるものの、スカイの様子に変化はない。この雑談においては受け身に徹するつもりなのだろう。
しばしの後、剣は現段階では越えるだろうと結論づけた。同様のことを尋ねようとしていた泰河も口を閉ざしている。
結城と紅葉も、今の段階では質問するべきではないだろうと沈黙を保った。
木々のざわめきが世界を満たす、涼し気な風が門と廃工場の間を巡っていく。
自然と調和しはじめた人工物の中に新たな音が聞こえたのは、それから十分にも一時間にも思える時間を過ごした後。
錆びついた金属が奏でる耳障りな音色と共に、皇・銀静(陰月・d03673)と四軒家・綴(二十四時間ヘルメット着用・d37571)が姿を現した。
二人は虚ろな表情を浮かべている九人の一般人を引き連れて、廃工場の敷地内へと入ってくる。
仲間たちの近くで立ち止まると共に、銀静が気のない表情のまま頭を下げた。
「遅れてすみません」
「……」
綴は何も語らぬまま、スカイの動きを注視し続けていく。
二人と九人の一般人を確認する素振りを見せたスカイは廃材から背を離し、帽子を目深に被り直し……。
●血の色をした交渉劇
歩みよってくるスカイを横目に、結城は二人をねぎらった。
「お疲れ様でした。では、今しばらくお願いします」
「ああ」
銀静は後方へと下がっていく結城を見送り、他の仲間たちへの最終確認も行っていく。
反対の意志がないことを把握した上で、改めてスカイへと向き直った。
「初めましてですね。用意させて頂いたサンプルは此方。犯罪組織のトップや確実に殺人は行っているが法で裁けずにいる悪徳経営者……そういった性質を持つ方々となっています」
「……一人足りないようですが」
睨まれ、臆さず見つめ返していく。
「十人目ですか? 既に貴方達の手元に居ますよ。名前はミスター宍戸。貴方達の裏で糸を引いて多くの殺戮ゲームを行っている主催者ですね。まずミスター宍戸の死を以て僕らとの同盟の締結とさせていただきます」
淀むことなく語り続けた。
「彼も一般人であり多くの殺人に関わっている。立派なサンプルですね。あくまで連れて来た九人に拘るなら此処で話は終了です」
「随分と頓知がきいてるとは思うけど、どうする?」
言葉の終わりに、泰河が返答を促していく。
「反対するなら貴方達ごのみのやり方だけどね。でも、サンプルとして一般人を指定したのはお兄さん達だよね?」
僅かな時間を置き、スカイは深い息を吐き出した。
「……あっしもサンプルを受け取って連れて来いとしか言われていないんですよ。仮にもし武蔵坂の旦那方が、宍戸の旦那をここに連れて来て、殺せとあっしに強いたんなら、おっしゃるように殺していたかも知れません。ですが……」
小さく頭を振っていく。
「ここに連れて来られなかった以上、そうはなりません。もっとも……」
帽子を軽く押さえながら、顔を上げた。
「考え自体は承りました。宍戸の旦那のことも鑑みて、先程の条件に加えて『ダークネス組織と協力関係にある一般人は殺害を許可する』という意思として受け取りますぜ」
「それならやっぱり、ミスター宍戸を殺すってことかな?」
「……」
泰河が見つめる中、スカイは小さく肩をすくめていく。
「確かに『ダークネスが殺害しても構わない人間のカテゴリー』は示してもらいましたぜ。ですが、該当する全員を殺すわけじゃあないですよ。宍戸の旦那のような『ダークネス組織と協力関係にある一般人』は殺しても灼滅者は関知しない、とは示して貰いましたが、そういう一般人を全て殺せという殺人依頼をしたおつもりもないでしょう」
武蔵坂学園側からの同盟条件として、宍戸の殺害要求があったことは一応伝えさせてもらうが、とスカイは銀静を見て続けた。そこに篭められた否定的なニュアンスに、綴が間を置かず口を挟む。
「それほどまでに、宍戸は重要なポジションなのか? ……それだけの強者……というわけでもないだろう?」
スカイは頷いていく。
「そもそもですが……宍戸の旦那を殺しちまえば、一般人と灼滅者とダークネスの共存という未来を語る者がいなくなり、この交渉の意味が消えてしまいます。それはお互いにとって本末転倒というものでしょう」
「それが宍戸が無事な理由……ね」
念を押すかのような剣の呟きを、スカイが無言で肯定。
その上で九人の引き渡しを要求してきた。
綴は銀静らに視線を送る。
頭数は足りないにせよ『サンプルを示して貰う』という役目自体は果たされたと認識しているらしく、スカイから戦いを挑んで来る様子は無い。
灼滅者たちにとっては望む結果ではない。
答えはすでに決まっていると、銀静が身構えた。
泰河も少しずつ包囲するように動いていたけれど、判断は保留しているのか仲間たちの反応を待っている様子。
同様に、結城も剣も判断を待っている。
残る紅葉に視線を送りながら、綴もライドキャリバーのマシンスネコスリーを呼び出して――。
――身構えた直後、紅葉が構えを解いた。
綴がマシンスネコスリーに制止を促しながら見守る中、紅葉はスカイに歩みよっていく。
「もう少し聞きたいことがあるんだけど、良いだろうか?」
「良いですぜ。九人を引き渡してからにして欲しくはありますが……まあ、それも保険というものでしょう」
表情を緩め、頷くスカイ。
紅葉も口元だけで笑みを形作った後、仲間たちへと視線を向けた。
スカイはそれなりに語ってくれている。まだ、引き出せる情報もあるはずだ……と。
九人を手元に残せた以上、仕掛けるチャンスは残っているはず。
泰河が構えを解き、結城と剣がならっていく。銀静と綴も警戒の念は強めたまま、一歩分だけ下がってくれた。
攻撃の意志はないことを示した上で、紅葉は改めてスカイへと向き直っていく。
「まず、この同盟提案の発案者は誰なのか教えて欲しい」
「宍戸の旦那のはずですぜ」
「そうか。続いて別の質問になるが、戦神アポリアは武蔵坂と戦いたくないのかはわかるか?」
「わかりません。この交渉に必要な情報はもらいましたし、あっし自身が元々知っていることもありますが、流石に細かい情報となると……」
「……」
スカイをはじめとした交渉役は捨て駒だと聞いている。言葉通り、先程語られた通りの情報しか持ち合わせていないのだろう。
今はそう結論づけ、紅葉はさらに深く切り込んでいく。
「また別の質問になるが……多くの種族を取りまとめる新たな組織を構築することをミスター宍戸が進めて六六六人衆が変わったことについてどう思う?」
「それに関しては、あっしは意見を持ちません。意見を通せるほどの力がなく、今はまだ考えても意味がないからです。ただ……」
スカイは一瞬だけ間を置き、トレンチコートの襟元を整えた。
「……そうですね。こいつは説明しときましょう。あっしが把握してる宍戸の旦那の目的や、今までの歴史。そして、描かれるだろうこれからの未来を」
ミスター宍戸の目的は『灼滅者とダークネスと一般人が共に歩む未来』。
ダークネスが支配するよりも、より人間に近い灼滅者が世界を支配した方が人間社会が活性化し人口も増え、文化も発展する。結果、ダークネスの数も増え、ダークネスがより楽しく暮らせる世界になるのだから。
「こいつには根拠があります」
ダークネスの分割統治が始まる前の世界人口は、七億人程度。
現在の人口はその十倍。
二百万年かけて七億人までしか増えなかった人類が、ダークネスが支配した後の四百年程で七十億人にまで増えたのだ。
もしもダークネス組織が全て滅びれば、支配者を失った世界は混迷を極め、百年以内に人口が半減する悲劇に見舞われるだろう、とスカイは主張する。
「それはどうかと思うけどなあ」
「まあ、あっしらの見解ということで。確かに、ダークネスは多くの人間を苦しめておりました。けれど、それ以上の人間が文化的で豊かな暮らしを送ることができるようにもしてきたんですぜ。それは評価して欲しい……そうも考えておりますね」
スカイが口を閉ざし、灼滅者たちに視線を送ってくる。
スカイ自身の語っていることは誰かの受け売りかもしれないが、ノーライフキングの本拠地、胎蔵界で情報を得ている灼滅者達は、彼の言が一概に否定できるものではないことを既に知っていた。
木々のざわめきが遠く聞こえる中、泰河は仲間たちへと目配せした。
概ね似た心境だったからだろう。
スカイはため息を吐き、再び口を開いていく。
「今回の提案は、責任ある人間の組織……たとえばアメリカ合衆国大統領やロシア連邦大統領、中華人民共和国主席などが代々同意してきた内容に近いものになっているそうですぜ」
●伝えること、伝えさせること
木々のざわめき、軋む門。風が人々の吐息を運ぶ中、灼滅者たちは沈黙したまま動けない。
各々が浮かべている表情は、はたしてどんな色をしていただろう?
ただ一人全てを把握することができるスカイは、淡々と語り続けていく。
「この程度の妥協ができなければ、世界の支配者になることなどできないでしょう。旦那らは、武蔵坂の灼滅者の中でも世界の支配者となる資格がある御仁だと思いますぜ」
それは本心か、それともおだてているだけか。
判断には多少の時間がかかる。それがわかっているのか、スカイが結城に水を向けてきた。
「ところで、旦那は聞きたいことがあるって言ってましたよね」
「……ああ」
「今なら答えますぜ。旦那たちには、それだけのことをする価値がある」
「……」
結城は仲間たちへと視線を送る。
一拍置き、剣が頷いた。
不本意ではあるけれど……今は情報を届けること、届けさせることを優先するべきではないか……そんな空気が漂っていく。
様々な表情を浮かべながら、一人、また一人と矛を納めた。最後に綴が腕を下ろし、スカイにサンプルのもとへ来るよう促していく。
安堵の息を吐いたスカイがサンプルのもとへと移動する中、改めて結城が問いかけた。
「新しく生まれた六六六人衆が人を殺した場合はどうするつもりなのでしょうか?」
「流石に、手の届かぬ範囲は面倒見きれんでしょう。人間が犯罪を未然に防ぐことができないのと同様に。ただ、把握次第管理下に置くことになるでしょうし、話の進み方次第じゃ処罰もありえるんじゃないでしょうかね」
同盟締結後に詰めていく内容になるのだろう。
「では、次の質問です。六六六衆がどの程度の周期で人を殺すのでしょうか」
「個人差もありますし、好む殺し方によっても頻度は異なるでしょうし、一般化はできないと思いますぜ」
仮に周期を纏めるとしても、やはり同盟締結後の話になるのだろう。
「では、最後になりますが……アポリアと同程度の力量の存在がどのていど活動しているのか、わかりますか?」
「……そうですねぇ」
スカイが自嘲を含んだ笑みを浮かべていく。
「あっしにとってはたくさんいますぜ。類まれなる幸運に恵まれたとしても決して勝てない相手……一定以上の力量を持った相手は全てそういう位置付けになりますから。そして、あっしはまだまだひよっこ。一晩では語り尽くせないほどの人数になりますし、それを武蔵坂の旦那たちが求めてるとは思いません。……と、これで終わりでいいですかい?」
九人を縛るロープを掴んだスカイが視線を送ってきた。
紅葉は仲間たちに確認を取った上で、小さく頷き返していく。
「ああ、そうだな」
「それじゃ、あっしはこれで……」
小さく頭を下げた後、スカイは九人のサンプルを引き連れ歩き始めた。
門へ到達すると共に立ち止まり、肩越しに視線を送ってくる。
「今すぐには難しいかもしれませんが、然るべき時には、旦那たちが中心となって新たな灼滅者組織を作り上げ、世界を支配してくれることを期待してますぜ」
反応を待たずに背を向け立ち去っていくさまを、銀静は見つめていく。
銀静が、そしてこの場所に集まった灼滅者たちが何を考えていたのか。表情は夜闇に隠され伺えない。
ただ、剣は工場に背を向けて……。
「さ、帰りましょう。今日の事を、あいつから聞いた情報を伝えるためにも」
「……ああ……そうだな……」
綴が頷き、先陣を切る形で歩き出した。
一人、また一人と立ち去る中、綴は人知れずため息を吐き出していく。
「……やっぱり嫌じゃなぁ……こーゆーんは……」
呟きは、誰かの耳に届くことなく風に散らされ消えていく。
雑木林は月明かりを遮った。それはまるで、思考を重ねる灼滅者たちを優しい闇に抱いてくれているかのようで……。
作者:飛翔優 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2017年7月11日
難度:やや難
参加:6人
結果:成功!
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得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 7
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