服を溶かす、スケベ少年

    作者:芦原クロ

     昼間の、とある商店街。
     どこからともなく、突然現れた少年が、巨乳の女性に向かって指先から水を飛ばした。
     水は女性の胸元に連続して掛かり、とっさのことに驚いて声も出せずにいた女性が、ようやく悲鳴をあげた。
     なんと、女性の胸元は服が溶けている。
     大衆の目に素肌をさらすことになり、女性は心に深い傷を負った。

    「……と、いう内容で、ラジオウェーブのラジオ放送が確認された。このまま放っておけば、ラジオ電波から生まれた都市伝説の手により、ラジオ放送と同様の事件が発生するだろう。心に深い傷を負ったなら、最悪のパターンは自害……か」
     神崎・ヤマト(高校生エクスブレイン・dn0002)は深刻な表情で、重々しく告げる。
     ラジオウェーブのものと思われるラジオ電波の影響により、都市伝説が発生する前に、その情報を得ることが可能になったエクスブレイン。
     そしてダークネスでは無いものの、都市伝説はバベルの鎖の効果を持つ為、警察や一般人では対応が出来ないのが現状だ。
    「このエロガ……少年は、自分がしたことが、どれほど相手の心に傷を与えるかは分かっていないようだ。なにが、とは言わないが、でかい女子が商店街を歩いていると出現するようだ。人払いは、しておいたほうが良いだろうな」
     殺界形成か百物語が無難だろうと、伝える。
    「都市伝説が指から放つ水に当たると、5センチほど服だけが溶ける。布でも水着でもワラでも金属でも溶ける。連続して同じ場所に当てられると、肌が完全に露出するので注意が必要だ。溶けた部分は、サイキックで戻ることは無いだろう」
     酷だが、服を犠牲にしなければならない。
    「この情報は予知では無く、ラジオ放送の情報から類推される能力だ。低確率だとは思うが、予測を上回る能力を持っている可能性が有る。……女子を狙いまくるのなら、男子の肌が露出した場合、都市伝説は大きな傷を受けるかもな」
     言い終えると、ヤマトはキメポーズを見せる。
    「心に傷を負うということが、どれだけのものか……分からせてやるのも良いだろう。これは灼滅者にしか出来ない、討伐だ!」


    参加者
    墨沢・由希奈(墨染直路・d01252)
    銀・ゆのか(銀屋の若女将・d04387)
    緋薙・桐香(針入り水晶・d06788)
    黒岩・いちご(ないしょのアーティスト・d10643)
    メラニィ・メランコリィ(クリーミィドリーミィ・d19890)
    刑部・みさき(蒼星の夜凪を揺蕩うマーメイド・d20440)
    黒崎・奏(黒の旋律・d20980)
    癒月・空煌(医者を志す幼き子供・d33265)

    ■リプレイ


    「私はまだ幼い方ですので、囮役は周りの方々に任せておきますね」
     素早く後方へ下がる、黒崎・奏(黒の旋律・d20980)。
    「百物語……夏に降る雪は、死した生命の輝き」
     癒月・空煌(医者を志す幼き子供・d33265)は話した怪談で周囲の雑霊をざわめかせ、一般人が近づかない場所を作る。
    「私のせいではありませんからね?」
     似たような都市伝説に縁の有る黒岩・いちご(ないしょのアーティスト・d10643)は開口一番、周りに言い聞かせる。
     刑部・みさき(蒼星の夜凪を揺蕩うマーメイド・d20440)は墨沢・由希奈(墨染直路・d01252)の裾をくいくいっと軽く引く。
    「だいじょうぶ」「?」と書いたスケッチブックを見せ、不安がっているみさきは、Eカップ。
     どうやら、いちごの偶然という名の、ラッキースケベを警戒しているようだ。
    (「いちごくんは悪くないよ? 分かってるよ? でも、何か“持ってる”気はするよね……」)
     みさきの頭を撫でながら、恋人のいちごに視線を向ける由希奈はD~Eカップ。
    「とりあえず、いちごさんの素肌は私が守ります」
     頼もしい言葉を放つ、緋薙・桐香(針入り水晶・d06788)。バストは90のFカップ。
    「年相応の欲でしたら……可愛らしい物なのですけどね。でも都市伝説とあらば……やっつけて懲らしめないといけません」
     拳をぎゅっと握る、銀・ゆのか(銀屋の若女将・d04387)は、93のGカップ。
    『おっぱいでかいおねーさんがいっぱいだ!』
     突如現れた、都市伝説の少年。
    「悪い男の子にはお仕置きですよぉ~」
     Hカップのメラニィ・メランコリィ(クリーミィドリーミィ・d19890)が、言い終えた直後、胸元に水が掛かった。


    「あらぁ~……これは見事に溶けちゃいましたねぇ」
     マイペースなメラニィは慌てず騒がず、自分の服の溶けた部分を見下ろす。
     桃色の下着が、ほんの少し見えてしまっている。
    「女の子にこんな恥ずかしい格好させるなんてぇ~、もぉ、悪い子にはお仕置きですよぉ~?」
    『お仕置きなんて怖くないよーだ』
     少年は水を飛ばし続け、メラニィの胸の周りが完全に露出する。
    「捕まえて、おっぱいに埋めたりしますよぉ」
    『お、おっぱいに……う、埋め……!?』
     メラニィの言葉に、少年はそこまで望んではいなかったのか、真っ赤になって慌てふためく。
    「キュアで服は直らないみたいですし、隠しましょうか」
     心優しい男の娘の空煌が心配し、メラニィに上着を貸そうとするが、何故かつまづき、バランスを崩してメラニィの巨乳に顔を埋めてしまう。
     いちごだけでは無く、空煌もラッキースケベ体質だったのだ。
    「ご、ごめんなさいっ」
     赤面し、慌てて離れようとした空煌の背中に、水が当たる。
     少年のほうへ振り向き、勢い良く起き上がった空煌は、自分の手に柔らかな感触を感じた。
     おそるおそる見てみると、メラニィの豊満な胸を揉んでしまっている。
    「……あん、揉み揉みしたらダメですよぉ~♪」
     メラニィは怒ることも無く、気持ち良さそうに吐息を零してから、ゆるい物言いで楽しそうに言う。
     必死で謝る空煌とは対照的に、メラニィはむしろなんでも来いという雰囲気を出している。
    「私の胸ってそんな大きくないよね? ともかく、速攻で片付ければ被害は最小限……!」
     自分なら対象外だろうと、フラグを立ててしまった由希奈は、隙の大きな攻撃を繰り出す。
     少年はぎりぎりでかわし、水を連続で当てる。
    「やだっ、反撃来たっ!?」
     ダイダロスベルトを伸ばしている状態の為、かばうことも出来ず、由希奈の胸が露わになってしまった。
     恋人の胸を見えないよう、いちごは慌てて隠しにゆく。
     慌て過ぎたせいで、自分の手で由希奈の胸を覆う、いちご。
    「……とりあえず、隠してくれたのは嬉しいけど、その、手が……ゃっ♪」
     いちごの指が動くと、由希奈は甘い声をあげる。
    「こう手が動いてると身体が反応……ひゃぁんっ! このままでもいいけど……って、もう一発来てる!」
     今度はいちご目掛けて、水が発射された。
    「いちごくん、逃げてっ!」
     由希奈はいちごを突き飛ばしてかばい、水をその身に受け、広範囲にわたって肌を露出することになってしまった。
    (「弱体化するんですよね。ならすぐ終わるかな……今の内に大人しくなってください……」)
     簡単に考え、わりと油断気味の、みさき。
     マジックミサイルを発動しようとするが、飛んで来た水が見え、とっさに大切なスケッチブックをかばう。
    「ひゃ……!? あぅ、ひあぁ……!?」
     スケッチブックは濡れずに済んだが、みさきの胸はぽろり。
     顔を赤く染め、か細い悲鳴をあげて涙目状態でおろおろしてしまう、みさき。
    (「……吹き飛ばされた先にも別の誰かがいてとらぶる連鎖するんでしょう?」)
    「きゃ……んっ!?」
     飛ばされたいちごは、その考え通り、みさきの大きな胸の谷間へと顔が埋まる。
     前が見えない為、いちごの手はみさきの胸をまさぐり、揉んだり撫でたりしてしまう。
    (「なんでですか! いつもこうじゃないですか!?」)
     接触テレパスで言葉を伝えてから、みさきはいちごを思いっきり、突き飛ばした。


    (「なんともスケベな少年の都市伝説なのでしょう。迷惑極まりないですね。しっかりと退治しておきましょうか」)
     奏は距離を保ちつつ、少年の水に当たらないよう常に警戒している。
    「どうか、服を溶かされても挫けないで下さいね、しっかりと代わりの服は用意しておきましたので」
     仲間たちにエールを送る、奏。
    「皆の服がどんどんやられちゃってるので……」
     ゆのかは空煌の後ろに回り、目を隠す。
     そう言っているゆのかの服も溶けており、下着をつけていない肌が露わになっている。
     それはつまり、空煌の背に、ゆのかの胸が直に当たっているということだ。
    「……自分も溶かされたから盾にしてるわけではないですよ、ええ……!」
     いくつかの溶けた部分を気にし、ちらちらと視線を送っているゆのかに、飛んで来たいちごが激突。
    「わ、わ、はわわ」
     ゆのかの胸に顔が挟まってしまった空煌と、着物の裾の中に入ってしまった、いちご。
    「ど、どさくさ紛れにその、ふにふにしない、で……ひゃぅ!?」
     空煌もいちごも、なにが起きたのか分からず、手探りで確かめようとし、2人の手つきにゆのかがビクンっと身を震わせる。
    「いちごちゃん、そこはダメ……! にゃ!? 肌着も一緒に溶かされそうだから、今回は下着つけてないからぁっ」
     いけない所に触れられ、ゆのかの息が熱く弾む。
    「あうう、見ているこっちが恥ずかしくなりそうです……」
     奏は、いけない光景に頬を染め、無表情で呟く。
    (「だから、なんでそうなるんですか!?」)
     接近したみさきが接触テレパスで言葉を伝え、いちごを引きずり出してから、突き飛ばす。
    「す、すみませんー!?」
     飛んでゆきながら謝り、いちごは思案する。
    (「由希奈さん、みさきさん、ゆのかさんと……メラニィさん、桐香さんで下手したら5連鎖もありうる……? まさかそんな……」)
     さすがに無いだろうと考え、しっかりフラグを立てている。
    「何かいちごさんが吹っ飛んできましたねぇ。私の方に真っ直ぐ、勢い良くぅ……胸に飛び込んできましたよぉ、顔からぁ」
     メラニィはのんびりとした口調で、実況する。
    「しっかりキャッチしてあげますねぇ、危ないですからぁ。私のおっぱいにいちごさんの顔が埋まりますけどぉ……いちごさんは可愛いので無問題ですよぉ」
     いちごを胸に埋めた状態で、ぎゅうっと抱き締める、メラニィ。
     息が上手く出来ず、両手を動かしたいちごは結局、メラニィの胸を揉みしだくことになる。
    (「素肌は女の武器。それを容易に晒させるなんて……TPOを考えた一撃の破壊力こそが至高だというのに……」)
     考えながら桐香が2人を見ていると、メラニィが視線に気づく。
    「……あ。あなたもいちごさん抱っこしたいですかぁ? ではどーぞぉ♪」
     メラニィが軽々と、桐香のもとへいちごをパス。
     水を全力で避けまくっていた桐香は、まだ服はどこも溶けていない。
    「……私の服溶かして満足してくれればいいんですけど。上半身なら溶けていいです」
     下半身は流石に危ないので、そこだけは注意しようと決めているいちごに、水が掛かりそうになる。
    「ハッ!? いちごさんが標的に! 危ない!」
     桐香は自分より身長の低いいちごを抱きかかえ、その場から離れる。
    「いちごさん! 大丈夫ですか!? ……ふぅ、どこも溶けていない様ですわね」
     服を確認し、ほっと安堵の息を吐く、桐香。
    「……? いちごさん、どこ見て……? ……って私の服が溶けて!?」
     自分の服の胸元が溶けていることに、桐香はようやく気づいた。
     いちごのビハインド、アリカも服が溶けている。
    「あの、そんなに直視されると恥ず……ちょ、アリカさん!?」
    「アリカさんも服溶かされて、桐香さんの背中にくっついて隠してますね……」
     羽交い絞めするように、アリカは桐香に密着している。
    「あの、隠そうとしている目的は分かるんですが、そんな羽交い絞めされると私の自由が……!」
     露わになった胸を隠せず、桐香は豊満な胸を突き出すような体勢になってしまう。
     いちごは恥ずかしそうに視線を逸らす。
    「いやぁ……いちごさん、見て……違う、見ないで!! 嬉しいけど恥ずかしい!!」
     複雑な気持ちに、さいなまれながら、身悶える桐香。
     何故か足を滑らせ、桐香の胸を揉んでしまう、いちご。
     2人はバランスを崩して倒れ、もつれ合い、桐香の下半身にいちごの顔面が挟まるという、ハプニングが発生する。
     フラグを完全に回収した、いちごだった。
    『あと3人!』
     ハプニングに思考がフリーズしていた桐香は、いちごを庇いきれなかった。
     いちごと空煌に水は当たり、奏はぎりぎりで避けた。
    『お……おっぱいが、ない!?』
     少年は、男の娘2人を見て驚く。
     奏に避けられたのも重なって相当なショックを受け、力を使い果たし、体が透けてゆく。
    「Erzahlen Sie Schrei?」
     外国の言葉で「悲鳴を聞かせて?」という意味を持つ解除コードを唱える、桐香。
    (「こういった都市伝説は居なくならないですね。はぁ……まあ、溶かせる能力は使えそうですし、七不思議として回収はしますけど」)
     空煌が射出した帯で、敵を貫く。
    「やったことの責任ぐらいは取るのが社会だよ!」
     片腕を異形巨大化させ、由希奈は敵を叩き潰す。
    「お覚悟……えっちなことは、大人になってから、です~っ! めっ!」
     連携したゆのかが、二つの鈴飾りがついた激鈴の大籠手で敵を殴り、放射した霊力の網で敵を縛る。
    「……真面目に戦闘しましょう」
    「さて、お仕置きの時間ですわね? 八つ当たりを込めた必殺の一撃で仕留めますわ!」
     ミニスカ姿のまま華麗に蹴り技を叩き込む、いちごと、それに合わせて攻撃を繰り出す、桐香。
    「影よ、鋭き刃となりて敵を切り刻んで下さい!」
     奏は足元から伸ばした影の形状を変え、敵を切り裂く。
    「うぅぅ~……!!」
     顔を赤らめ、涙目のみさきは、八つ当たり気味に魔法の矢を射ち込む。
    「お尻ペンペンしちゃったりしますよぉ」
     影を宿した武器で敵の尻を殴る、メラニィ。
     消滅寸前の都市伝説を、空煌が吸収した。


    「怪我された方は居ませんか?」
     仲間たちを心配して空煌が眼差しを送ると、服が溶けたままの女性陣が視界に入る。
     桐香だけは、風になびいた髪で隠され、見られることは無かった。
    「ふう、何とか終わりましたか」
    「お約束とはいえ……とほほ」
     胸元を隠す、桐香といちご。
     みさきは涙目のまま、「おすし」と書かれたスケッチブックを掲げ、いちごに服と心の賠償請求をしている。
    「浴衣を全員分用意してきましたので……とりあえず、お着換えしましょう」
     ゆのかは持って来た浴衣を、仲間たちに配る。
    「そうですね、先ずは着替えですね」
     奏も用意した服を出し、お好みで選ぶよう伝える。
    「ふ、服もらうね……とりあえず、見えない所で着替えてくるっ」
     由希奈は隠れて着替えられる場所を見つけ、急いで向かう。
    「浴衣もいいですねぇ~」
     メラニィが浴衣を着ると、大きな胸の谷間が、良く見える。
     足を滑らせたいちごが、そこに顔を埋めることになったのは、お約束。

    作者:芦原クロ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2017年7月2日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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