罪深き者に罰を

    作者:聖山葵

    「実は、とある噂を耳にしたんです」
     君達の前で切り出した黒岩・いちご(ないしょのアーティスト・d10643)曰く、廃墟となりうち捨てられた温水プールに出るのだという、ラッキースケベしそうになると天罰を下す神様が。
    「天罰を下す、ですか」
    「はい、プールが運営されていた頃、滑って近くにいた女の人を押し倒しそうになった男性が装飾として飾られていた男性の像の下敷きになって大怪我をしたそうで」
     この場に居合わせた倉槌・緋那(大学生ダンピール・dn0005)の呟きに頷いたいちごは言う、調べてみたところそれが元になった都市伝説が出現しているようなんですと。
    「もう廃墟ですから今のところ人気はありませんが、放置すれば廃墟マニアや肝試しに足を踏み入れた人が犠牲になるかも知れません」
    「充分に考えられることですね」
     つまり、その都市伝説を討伐したいと言うことなのだろう。
    「件の都市伝説との接触は元になった像のある付近で、その……ラッキースケベを起こそうとすれば、フリだけでも出現して断罪しようと襲ってくると思います」
     出現時間が限定されている訳でもないので、明るい時間帯に討伐に赴けば明かりは不要。人よけについては不安があるなら考えても良いかもしれない。
    「攻撃手段は確認出来てませんけど、戦闘になればマテリアルロッドのサイキックに似た攻撃をしかけてくるのではと私は推測しています」
     元になった像が片手に杖を持っているからと言うのと神罰と言うと雷のイメージというのが推測の理由らしいが、何にせよ囮としてラッキー何とかをするつもりなら覚悟しておくべきだろう。エクスブレインの演算では無いことも相まって他に何らかの攻撃手段や特殊な能力を持っていても不思議はないのだから。
    「こう、頭上から水を降らす、とかですかね?」
    「服が濡れるとなると、着替えを用意しておかないと行けないかも知れませんね」
     幸いにもと言うとおかしいが、現地はプールの廃墟だ。更衣室だった場所も当然あり、万が一の場合着替えさえ持ち込んでいればそちらで着替えてから帰ることも出来るだろう。
    「私一人でどうにかなるとは思えませんので」
     力を貸して頂けると助かりますといちごは君達に協力を求めたのだった。


    参加者
    墨沢・由希奈(墨染直路・d01252)
    曹・華琳(武蔵坂の永遠の十七歳・d03934)
    秋風・紅葉(女子大生は大人の魅力・d03937)
    銀・ゆのか(銀屋の若女将・d04387)
    緋薙・桐香(針入り水晶・d06788)
    黒岩・いちご(ないしょのアーティスト・d10643)
    刑部・みさき(蒼星の夜凪を揺蕩うマーメイド・d20440)
    非道岩・りんご(間隙に注ぐ紅月・d37335)

    ■リプレイ

    ●この時点で既に
    「温水プールでラッキースケベか」
     葉の色を秋色に変えた木々をバックに反芻する曹・華琳(武蔵坂の永遠の十七歳・d03934)はおもむろに視線を前方に見える廃墟へと向ける。これまでその手のとらぶるに無縁であったらしいが、興味があるのか同じ単語をもう一度口にし。
    「ラッキースケベを罰する都市伝説……」
     一応討伐対象になってる存在のことを口の端にのせた墨沢・由希奈(墨染直路・d01252)はここではない何処かへ思いを馳せる。
    「放置していいんじゃ……」
     恋人である黒岩・いちご(ないしょのアーティスト・d10643)とのアクシデントに始まり、どんどん過激になってディフォルメした由希奈自身がフリップボードを使いモザイク処理された何かを必死に隠しているシーンまで思い浮かべてから真顔に戻ってボソッと零す。
    (「……だよね、倒す必要ないんじゃないかなー?」)
     たまたま聞こえていたのか、由希奈の声に心の中で同意しつつ秋風・紅葉(女子大生は大人の魅力・d03937)は前方を行くいちごの背中を眺めてから周囲を見回すと、まあ今回は囮なんてしなくても現れそうだよね、とため息をついた。隣を歩く倉槌・緋那(大学生ダンピール・dn0005)は囮の片割れであるが、それはさておき。
    (「天罰、ちょっと位なら降りてもいいかな……」)
     紅葉の様に都市伝説の放置へいきなり至らないまでも刑部・みさき(蒼星の夜凪を揺蕩うマーメイド・d20440)もまたいちごによってもたらされる被害には不満があったようだ。
    「もはや一種のサイキックではないかと思えるくらい、いちごちゃんの周りではとらぶる……ラッキースケベというんですっけ? ……は発動をしていますしねぇ……」
    「あらあら。まあ、わたくしとしてはラッキーでなくても歓迎ですけれども……♪」
     銀・ゆのか(銀屋の若女将・d04387)が何処か遠くへ視線をやる一方、非道岩・りんご(間隙に注ぐ紅月・d37335)はどちらかと言えば少数派であり。
    (「最近のいちごさんの発見を見るに、実はノリツッコミ体質なのでは? まさか自分も倒されたいとか?」)
     もう一人のいちご限定でらきすけバッチコイ勢こと緋薙・桐香(針入り水晶・d06788)は桐香で別のことを考え込んでいた。
    「なんでしょうねぇ、この雰囲気は……」
     不穏さの欠片でも感じたのか、いちごは居心地悪そうに後方を気にし。
    「……今回私無事に帰れるでしょうか……?」
    「それはフラグと言う物ではないですか?」
     独言に横から指摘が返ってきて、いちごは一瞬動きを止め。
    「そ、そうですね。えっと、すみません付き合って頂いて。皆さん相手だと悪い予感するので」
     同意しつつ感謝の言葉を口にすれば、緋那はいいえと頭を振る。
    「ふむ。しかし、全員女子……なのか?」
     そんな二人の背を見つめる華琳は未だに唯一の男子の性別に気づかず。
    「え、ええと、打ち合わせ通り救出準備をしましょうか」
    「そうだね。引き離したり、着替えを用意したり……」
     恋人の隣に自分以外の女子が居るからか、どことなく威圧めいたオーラを漂わせる仲間に気圧されつつもゆのかが提案すれば、由希奈は少し低めのトーンで応じ、やがて一行は廃墟の中へ。作戦は開始されるのだった。

    ●いつものアレ
    「現場に2人で先行し……ラッキースケベっていったいどうやればいいんでしょう……?」
     と、考えた時が囮の誰かには確かに存在した。ただ、廃墟は崩れた建物の一部が足下に転がっていたりして、早速躓いたいちごはそのままなら背後から緋那に抱きつき胸を鷲掴みにしている筈だった。
    「っ」
     殺気を感じて咄嗟に身を捻ることができたのは灼滅者だからこそか。視界を青白く光が染めると共に至近距離で轟音が発せられ。
    「今のが、天罰なのでしょうね」
    「えっぷ」
     声に釣られて身体を起こしつつ顔を上げれば、ぱふんと真っ暗な空間で柔らかく温かい物へいちごの顔は埋まる。それが何で有るのかをすぐ察したのは、色々やらかした経験の賜だと思う。女の子の下着、中身入り。状況的にそれが誰なのかは考える必要すらなく。
    「あの、わざとじゃないんですよ……?」
     痛みすら感じる程の沈黙を破り、顔をそれから離し、罪人は恐る恐る問いかけた。
    「あらあら、羨ましいですわね」
     とか呟いた外野のりんごの声など聞こえてなかったに違いない。
    「来ます」
     そして、返ってきたのは怒声でも悲鳴でも罵声でもなく、短い警告。
    「な」
    「天罰ッ」
     視界を覆っていた闇が退き、明るさの戻ってきた世界でいちごが見たのは、自分へ迫る意思で出来た杖。
    「都市伝説を誘き出すためにはラッキースケベが必要である。つまりいちごさんの近くにいない方が良い」
     紅葉の出した結論を裏付けるかの様な事態に激おこの推定都市伝説は容赦なく罪人へ襲いかかっていた。
    「ね、念のため、下着はチェックしておこうかな?」
     にもかかわらず、紅葉はちらっと自分の下着を確認していたりするが、無理もないというか、何というか。
    「それは必要なのか?」
    「だって、いちごくんの前だと下手に隠しても……」
     尋ねるらきすけ初心者の華琳へ由希奈はどことなく決まり悪げに視線を逸らし。
    「ちょ、ちょっと、皆さ――」
     約一名が執拗に狙われている中でのガールズトークに逃げ回る誰かが思わず声を上げるが、襲われてる誰かが結局とらぶったのは紛れもない事実である。だから、些少追い回されても仕方ないのかも知れなかった。ただ、逃げ回っているのは、はぷにんぐを巻き起こす人物でもあるのだ。
    「うわっ、たっ、と……あ」
     最初に、いや緋那の次に犠牲になったのは、『あぶない』とか『うしろ』とスケッチブックに書いた文字で警告をしていたみさきだった。
    「きゃ……!?」
     バランスを崩し支えを求めた誰かの手、その指先がみさきのブラウスのボタンを引っかけてもぎ取り、開いてしまった胸元へ空をクロールで泳ぐかの様に突き出されたもう一方の手が入り込み、胸を直に鷲掴みにしたのだ。しかもそれで勢いは止まらず、加害者の上半身が被害者の胸へ覆い被さる形でみさきを押し倒した。
    (「なんでいつもこうなんですか!?」)
     心の中でみさきは叫ぶが、接触テレパスによって聞いているのは加害者だけであり。
    「すみません……痛っ、痛っっ?!」
     その加害者も涙目のみさきにスケッチブックで殴られ、答えるどころではなく。
    「とりあえず、スカート履く?」
     由希奈は誰かが都市伝説の杖を回避する時にスカートをずり降ろされていた緋那に用意していたそれを差し出し。
    「そうですね。先にあちらをどうにかするべきかと思いましたが……」
     厚意を受け入れつつ緋那の見た先は都市伝説に加えみさきからも狙われる誰か。密着しているみさきに当たるのを恐れてか都市伝説の攻撃が若干遠慮がちになっているのは、怪我の功名か。
    (「サイテーですっ!」)
    「わぁっ」
     それでも最後はみさきがいちごを突き飛ばし、倒れ込んだ先は華琳の足と足の間。
    「痛た……あ」
     顔を上げれば当然そこには華琳のスカートの中があり。
    「こんなこともあろうかと水着にしてきてよかった」
     平然としているのは、事実水着を内に着込んでいたのと罪人の性別を知らないからだろう。
    「す、すみま……すぐ、退、うわっ」
     慌てて移動しようとしてついた手が滑り咄嗟に出た左手がスカートを掴んで引きづり降ろすところまではもはや鉄板。
    「女の子に興味があるのかな……でも大丈夫だよ」
     だが、水着のある華琳には平然としつつ自分から服を脱ぐ余裕まであった。
    「興味ないわけないですけど、それとこれとは……って、危な、あっ」
     天罰を下そうと攻撃を繰り出す都市伝説から庇おうとした誰かの指が競泳水着の肩の部分に引っかかり勢いで引き剥がすまでは。
    「……嗚呼、やっぱりとらぶる連鎖しちゃうのですね~!?」
     水着を剥かれ茫然自失に陥った華琳を見て何とも言えない気持ちになりつつもゆのかは救助に向かい。
    「さて……?」
     何やら俯き思案していたらしい桐香は顔を上げ、ようやく気づく。周りが安定のとらぶるゾーンになっていることに。
    「おのれぇぇぇぇ!」
     そして都市伝説は激怒した。未遂で天罰与えるはずが、幾度も完遂させちゃっているのだもの。

    ●戦闘描写は家出中
    「あんっ」
     艶っぽい声を上げたのはスリットから手を突っ込まれお尻を掴まれたりんごだった。
    「すみ――」
    「ふふふ……やはりいちごさんはこうでなくては」
    「って、なんで喜んでるんですかっ?!」
     誰か確認するよりも早く、反射的に謝ろうとした加害者は思わず仰け反るが、被害者は止まらない。
    「私での囮を望んでいらしたのではなくて?」
     問いかけながら罪人の太ももに手を伸ばしたりんごは加害者の生足をさすり。
    「あら?」
    「ちょっ、そ、そこは」
    「はいそこ、くっつきすぎだよ!」
     りんごの指先が腿を遡って何か、そう、いちごのすとぅるう゛ぇりぃをかすめたところで由希奈が二人を引き剥がす。
    「わ」
     ただ、必用以上に力がこもっていたのか、いちごは勢い余ってつんのめり。
    「いちごさん危ないっ!」
    「んぷっ」
     罪人は倒れ込むより早く桐香に捕まった。とっさに掴まれた胸に加害者の顔を埋めさせ、回した腕でがっちりホールドされてるいちごを見るとやはり加害者ってどっちだったっけって気になってしまうのは、きっと仕方ないことだと思う。
    「は、離して……ください……」
    「ぬぅぅぅ……」
     桐香の腕の中で被捕獲者はもがき、都市伝説は怒髪天を突き。
    「天ば」
    「待ちなさい! これはラッキースケベではありません!」
     繰り出される断罪に桐香は声を張り上げた。
    「ぬっ?!」
    「何故ならこれは私が望んでいた結果であり引き寄せた運命! それが実現した所で、それはラッキーでもなんでもない、普通のスケベなのです!」
    「んんぅ」
     たぶん腕の中の人にも言い分はあっただろうが、桐香は胸を押しつけ尚も言葉を続ける。
    「それを罰する資格はいかな都市伝説とは言え、ないはず!」
     真剣に訴え、顔を見つめるが、都市伝説の表情に変化はなく。
    「……ダメ? 通りません?」
    「天罰ッ!」
    「きゃー?!」
     めんどくさくなったのか、両方加害者と断じたのか都市伝説は二人を石杖でぶっ飛ばし。
    「って、桐香さんが飛ばされてきたー! 大変、介抱しなきゃ!」
     放物線を描いて落下してきた桐香を見た紅葉は慌てて駆け寄るも、気づかなかった。桐香の影に隠れて吹っ飛んできているもう一人に。
    「きゃあ」
     気づいた時には衝撃が襲い。
    「いちごさんまで飛んできた! なんでナチュラルにスカートとパンツ脱がすの!」
    「紅葉さん、しばらく見ない間に、いちご色に染められていたなんて……もう抜け出せないのでは……?」
    「もう桐香さんもそんな目で見ないでー!」
     すぐに自分の惨状に気づいて軽く加害者を睨んだところで至近距離から向けられる桐香の視線にあたふたし出すが。
    「ごめんなさい、また……あっ」
    「また?」
     悪いことをしたら謝罪する、それ自体は間違っていないのだろう。だが、明らかな失言は紅葉を正気に返らせた。
    「あれれ? おかしいな? 今回が『初めて』なんだよ?」
     目を細めた紅葉に視線で射すくめられた失言者は後ずさりし。
    「ひゃんっ!?」
    「え、わぁっ?!」
     背中にぶつかった何者かを転ばせると、頭は袴風スカート中へ。流れる様な動きを目撃しても何故そうなったとツッコミたくなるような光景だった。
    「急に暗い……って、前にもこんな事あったようなっ」
    「ま、またですかぁっ!? ってもぞもぞしないで、変なところにまた当たっ……ひぁ!?」
     スカートの中なので何があったかは不明だが、悲鳴をあげたゆのかが突然スカートの中の珍客の身体を両足で挟み込む。
    「あぅう、由希奈さん助けて……いちごちゃんがこっちにも……ふぁ!?」
    「う、裏切り者ぉぉっ!?」
     助けを求める人がビクビク振るえつつもきっちり両足で恋人を捕まえているのだから、由希奈の非難も無理はないだろう。
    「何やら賑やかだな」
     ちらりとアクシデントが連鎖する方を気にしつつも華琳は向けた無敵斬艦刀の切っ先を都市伝説から逸らさない。だれかのとらぶるがやたら目立つ形になってはいるものの、一応復帰した面々によって戦闘は行われているのだ。
    「記憶を飛ばす方法を後でスマホで調べなきゃ……」
    「記憶、飛ぶといいですわね」
     うん、一部別のことに囚われていたり、そんな紅葉に良い笑顔を向けていたりしたとしても、戦ってるはずなのだ。
    「すみません、退きます、退き、わあああっ」
     スカートから出ようと後ろも見ず下がり本日の災厄がまたバランス崩して上体を泳がせていたとしても。
    「きゃあぁぁ!」
     あがる悲鳴は由希奈のモノ。何というか、女性陣コンプリートである。
    「いちごくぅぅぅんっ!?」
    「お、怒ってます、よね……?」
    「大変ですねぇ。ここはわたくしが代わって差し上げた方が――」
     いちごは恐る恐る恋人に尋ねるが人前で思い切りブラウスの前をブラのフロントホックごとちぎられた上、押し倒され顎を股間にのせたまま上目遣いで見られて起こらないのは、遠回しに自分がその役やりたいと主張するりんごと紅葉へ良い笑顔を向けていた桐香ぐらいではなかろうか。
    「……いい、か、げんにっ、してぇぇぇぇっ!」
    「天罰ぅ!」
     二人分の怒声に罪深き誰かの悲鳴が廃墟へ木霊した。
    「ではアリカさん行きますわよ! いちごさんを退治……え、違いますの?」
     犠牲者と都市伝説による二人がかりの断罪を見て罪人のビハインドであるアリカに呼びかけた桐香はハタハタ手を振る味方を見てきょとんとし。
    「ええ、違いますとも。都市伝説を倒しておみ足を……ではなく、先程の続きを」
    「なるほど」
     訂正と見せかけて欲望一直線発言をするりんごに桐香がポンと手を打つ。
    「いずれにしてもあのままにはして置けませんね」
     幸いにも都市伝説は罪人への天罰に忙しく無防備かつこれまでの戦闘であちこち傷ついている。
    「そうと決まれば……ふふっ、いい悲鳴を聞かせてね?」
     不意をつかれた都市伝説は桐香達の集中攻撃によってそのままあっさりと倒されたのだった。

    ●収拾つくの、これ?
    (「ごめん、あれは私でも無理……」)
     なんとかなりませんかと緋那に預けていた服に着替えたみさきから接触テレパスで言われ、由希奈が胸中で謝り倒しつつ応じたのは、決着がついてから暫く後のこと。
    「しかし、いちごさんが男とは……」
     きっとすとるぅべりぃとかぼかした表現をしていなければ華琳ももっと早く気づけたかも知れない。
    「まあ、こういうラッキースケベ体質はよくあることと許してあげるよ。いや、それ以前の話かも知れないけど」
    「……ぐす」
     肩をすくめた華琳が見るのは、ズタボロになった姿でひたすらみさきに謝るいちご。謝るいちごに大してみさきは未だ泣き止まず、スケッチブックには「や」と一文字書かれているのみ。これでは華琳が許したから万事OKとは行かないだろう。
    「……お宿の手配、します? いつもので……」
     このままでは埒があかないと見たのか、ゆのかは謝り続けるいちごの脇にしゃがみ込んで耳打ちし。
    「え」
    「いちご君、ちょっといい?」
     顔を上げた罪人が見たのは問い詰めるべくスタンバってた紅葉の笑顔。
    「事態の収拾、出来るのでしょうか?」
     預かっていた着替えを返し身軽になった緋那は順番待ちしているセクハラバッチ来い勢二名まで視界に入れて首を傾げた。少なくとももう一波乱二波乱あってもおかしくなく、ツッコミどころだらけの状況はツッコミ役がひたすら詫びていたり詰問モードで機能不全なためか、もう暫く放置されたままで有りそうだった。

    作者:聖山葵 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2017年11月20日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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