いつか見た、君との夕焼けは。

    作者:一文字

    ●永劫こそ我が渇望
     その日、少女は静かに息を引き取った。
     まるで眠るような表情。若干青みがかかった頬を撫でると、まだ熱が残っていた。物心ついた時からいつも幸福を与えてくれた、あの温もりが。
     何故彼女が病で逝かねばならなかったのだろう。何故……彼女だったのだろう。
     繰り返される無意味な自問。答えを見出だせるはずのない思索。
     しかし少年は1つの真理を得ることとなる。
    「……彼女が、生き返れば……」
     彼の瞳に闇が宿ったのは、それと同時。
     胸の奥から湧き上がるドス黒い衝動。絶対的な力と引き換えに、全てを闇に捧げる禁忌の行為。
     それを受け入れた先に何が待つのか――闇と同化し始めた彼は直感的に悟っていた。それでも止める訳にはいかない。
     例え人を捨てようとも構わない。例え神を冒涜しようとも構わない。ただ、彼女だけは……あの温もりだけは取り戻さねばならない。
     次第に漆黒へと染まる心。じわじわと正気が歪んでいく中、視界の端で何かが輝く。
     それは安物の指輪。幼かった頃、縁日の日に買ったもの。眩い夕日の下、いつも遊んでいたあの丘で付けてあげた約束の証。いつまでも一緒にいようと誓い合って。
     少年はゆっくりと瞳を閉じ、思いを馳せる。
     目を覚ました君は……覚えてくれているのだろうか。あの日の夕焼けを。

    ●終焉こそ我が使命
    「虚しいものですね。その先に求めているものがあるはずないのに……」
     五十嵐・姫子(高校生エクスブレイン・dn0001)は沈痛な面持ちで呟く。
     同情の余地はある。もし彼の立場に置かれたら、同じことをしていたかもしれないが……許す訳にはいかない。
    「私達には私達の使命があります。為すべきことを履き違えてはいけませんよね」
     己を叱咤し、姫子は気持ちを切り替える。そして説明を開始した。
    「男性の名は東堂・秋五さん。彼はノーライフキングに闇堕ちしかけています。その力で幼馴染の女性――神鳥・棗さんを蘇らせた後、ある小高い丘に向かいました」
     恐らくかつて指輪を渡したという丘に行ったのだろう。2人で夕日を見るために。
    「まだ彼は人間としての人格を残しています。説得すれば闇堕ちから救い出せる可能性があります」
     しかし事態はそう簡単なことではない。何せ敵はノーライフキング。完全に堕ちていないとはいえ、非常に危険な相手だ。加えて、少年は闇に身を任せようとしている。少女の命を蘇らせるために。
    「意固地になっている秋五さんを闇から引き戻すことは難しいかもしれません。学園に連れて来れれば最良ですが、もし彼が完全なダークネスと化すならば……命を絶って下さい」
     静寂に包まれる教室。その中で姫子は一つ間を置いてから、相手の詳細を語り出す。
    「何度も申し上げた通り、相手は強大な力を持っています。細心の注意を払って下さい」
     未だ生物的な肉体を捨てるには至っておらず、攻撃自体は滞り無く通る。この機会を逃す訳にはいかない。
     主な攻撃方法は影業。サイキックも然ることながら、ノーライフキングなだけあって身体能力も爆発的に向上している。
    「また、敵は1人ではありません。幼馴染の女性もアンデットとして襲い掛かってくるでしょう。こちらはもう救うことは叶いません。残念ですが、灼滅して下さい」
     こちらも少年同様、不完全であると想定される。それでも1対1は避け、複数人で挑んだ方が無難だろう。しかしその際に要注意事項が1つ。
    「説得前に棗さんを倒すと、秋五さんは怒りと悲しみに嘆き、闇堕ちを促進する恐れがあります。戦闘中に完全体になることはないものの、その際は潔く救出を諦めて下さい」
     少年の逆鱗に触れてでも、先に横槍を排除するか。それとも少女の攻撃に耐え続け、少年を説得した後に灼滅するか。これは皆さんでお決め下さい、と姫子はまとめた。
    「きっと皆さんにとって色々な意味で辛い戦いになるでしょう。それでも決して挫けないで下さい。私はここで皆さんの帰りを待っています。……行ってらっしゃい」


    参加者
    大浦・政義(夕凪・d00167)
    円・影華(影繰り・d00873)
    古樽・茉莉(中学生エクソシスト・d02219)
    銀夜目・右九兵衛(ミッドナイトアイ・d02632)
    メルヴィ・ハルメトヤ(照光のプリズム・d03032)
    葛葉・ゆう(碧色・d07079)
    月日・九十三(時を欺く観測者・d08976)
    モーガン・イードナー(灰炎・d09370)

    ■リプレイ

    ●偽りの魂を抱いて
     少年と少女は静かに……只々静かに佇んでいた。
     一体どれほどそうしているのだろう。夕日を眺める2人は時の流れに取り残されたようにも思えた。
     しかし森を抜けて現れた8人の来訪者により、時計の針は再動する。
    「綺麗な夕日、だな。いい場所じゃねぇか、ココ」
     月日・九十三(時を欺く観測者・d08976)の声でようやく気づいたのか、少年は振り返る。その瞳は闇に濁っていた。
    「お前が東堂・秋五か」
    「んで、そっちの女の子が神鳥・棗ちゃんやんな?」
     続いてやってきたモーガン・イードナー(灰炎・d09370)と銀夜目・右九兵衛(ミッドナイトアイ・d02632)に秋五は目を細める。
    「……誰だ、お前ら」
     答えたのは、円・影華(影繰り・d00873)。
    「そちらの方とは存分にお話出来ましたか? 尤も……棗さんがマトモに話せる状態かは分かりませんが」
     秋五は全てを悟ったような表情を浮かべた。
     口振りからして大概のことはバレているのだろう。己が宿した力も、隣の少女が如何なる存在であるかも。
     その合間、古樽・茉莉(中学生エクソシスト・d02219)は棗を一瞥する。肉体の腐敗は目立たないとはいえ、生者とは程遠いその姿に思わず唇を噛んだ。
    「東堂さん、その方の命が偽りと……本当はもう分かっていますよね……?」
     秋五は何も語らない。ジッと彼を見つめる茉莉の後ろから、今度は葛葉・ゆう(碧色・d07079)が諭すように告げる。
    「ボク達はキミを止めに来たんだ。その力はとても危険で、いつか多くの人を苦しめることになるよ」
    「最愛の人を生き返らせたいと思う気持ちは分かります。しかし……今の貴方の姿を見て、神鳥さんは何を思うでしょうか?」
     悲しむんじゃないんですか、と大浦・政義(夕凪・d00167)は言葉を続ける。
    「……ふぅ」
     彼らの言い分に対して、秋五は溜息を吐く。そこで今まで黙っていたメルヴィ・ハルメトヤ(照光のプリズム・d03032)が一歩前に進み出た。
    「あ、あのっ……秋五さんには学園に来て欲しいのです。そしたらきっと――
     刹那、彼女の真横を漆黒の刃が通り抜けた。
     目を見開くメルヴィ。そんな彼女に秋五が地を這うような声で問う。
    「棗はどうなる」
    「……お辛いでしょうが」
    「じゃあ、いい」
     再度刃が放たれ、メルヴィの体を切り裂く。悲鳴を上げて吹き飛ぶ彼女を横目に、秋五は一行に言い放った。
    「危険な力? 偽りの命? ……御託はいいだろ、かかって来いよ。お前らが棗を奪おうとしてる……俺にはそれで十分だッ」
     術者の感情に応えるように秋五の影が蠢く。灼滅者の想いはまだ届かない。
    「仕方ないですね……何とか説得出来ればいいんですが」
    「やれることをやればいい。ただ、決して迷うな」
    「……はい」
     モーガンの忠告に政義だけではなく、皆が大きく頷いた。
     今はただ、この想いを伝えよう。
     生ける屍となった少女のため。そして……愛に狂った少年のために。


    ●君への想い、愛への妄執
    「きゃっ!」
     影刃が茉莉を襲う。しかし彼女の表情にあるのは怒りではなく、悲しみ。
    「失った命は取り戻せません……。でも、だからこそ、棗さんとの思い出を穢しちゃいけないです……」
    「その通りです。思い出を大切にしながら前を向いて生きていかなきゃいけないんですよ、貴方は!」
     抱えて進め、と2人は告げる。だがその言葉は茉莉と政義が放った塵殺領域とホーミングバレットごと暗い影に飲まれて沈んだ。
     直後、ゆうの対戦車ライフルのような銃が轟音を立てる。それに合わせて2体のライドキャリバーも機関銃を乱射。
    「大切な人失ったこと、ボクは無いけど、これだけは分かる。こんなんじゃ……ホントの笑顔にはなれないよ!」
    「……黙ってろ」
     素手でバスターライフルの一撃を受け止め、無数の弾丸を影で叩き落とす秋五。一瞬の隙を突こうと、モーガンが跳びかかる。
     もう1人の敵が横から狙っていることも知らずに。
    「イードナーさん!」
    「――っ!」
     影華の声で事態に気づいたがもう遅い。死者の手がモーガンに迫る。
     しかしその一撃は割り込んできた右九兵衛によって防がれた。
    「あかんよ、棗ちゃん。君の手は人様殴るためにあるもんやない」
     棗を引き剥がし、背中を押して秋五の許へ返す。
    「秋五くん、もう止めさせよ。キミに優しい温もりを与えてくれた手で、彼女に人殺しさせるつもりか?」
     棗を抱き止めた秋五の視線が落ちる。その先には指輪があった。
    「その指輪への誓い、こんな形で実現されて……神鳥さんは喜んでいるのですか?」
    「……っ、うるさい!」
     ヒーリングライトで茉莉を癒していた影華の言葉に秋五は初めて声を荒げる。
     彼の頭上から鋭い光条が降り注いだのはその時。
    「ぐっ……!」
    「メルもいっぱい、大事な人を失くしたの。だから気持ちはちょっと分かるのです」
     祈るように両手を組んでサイキックを放ち続けながら、メルヴィは語りかける。
    「でもやっぱりダメ。だってこんなの、誰も幸せじゃないの……」
     目を潤ませるメルヴィを下げながら、モーガンは秋五と棗を交互に見る。
    「秋五、彼女はお前に微笑んでくれたのか? 温かい言葉をかけてくれたのか? 棗だけじゃない……もう、自分を苦しめるな」
    「黙れって……言ってんだろォ!」
     秋五の怒号が丘に響き渡る。
    「そうさ、こいつの死はチャラに出来ない。でもこいつだけは忘れたくないんだ。だったら……掬い取るしかないだろ、俺が! 棗の命が零れ落ちるのを黙って見てられるか!」
    「こんのっ……根性なしがァ!」
     秋五の頬に九十三の拳が突き刺さった。
     更に九十三は倒れた秋五の胸ぐらを掴む。
    「それは彼女を覚えててやる自信がないお前の理屈だろ! 怖いからって残像に縋り付いてんな! このまま闇に堕ちれば全部無くしちまうぜ。彼女への想いも、約束も!」
    「…………」
    「そうしたら本当に彼女は死んじまうんだぞ! お前が殺すんだ! とっくに気づいてんだろ。何とか言えよ、東堂・秋五ォ!」
    「……分かってるよ、お前らが正しいことくらい。あぁ正論だよ。だからってなァ!」
     秋五は九十三の腹に蹴りを入れ、すかさず立ち上がる。そして守るように棗を自分の背後に促してから……少年は、吼えた。
    「俺は、棗を愛してる! 15のガキの安っぽい言葉だと思うな。大切なんだよ、こいつがッ。失くせないんだ、この温もりだけは!」
     闇に覆われかけても、愛に疾走する少年の咆哮。しかしそれは心の何処かで燻る正気の悲鳴でもあった。
    「それを聞けて、安心しました……」
     痛む体を起こしながら、茉莉が呟く。
     彼は全て理解しているのだ。自分が犯した過ちすらも。
     ただ、不器用な少年は真っ暗な道をひたすらに駆け抜け、迷ってしまっただけ。
     ならば進むべき道を正してあげよう。ほんの、ちょっとだけ。


    ●刹那に君の温もりを
     要因を並べるとしたら2つだろう。
     1つは、東堂・秋五という途轍もない頑固者が心の底から神鳥・棗を愛していたこと。
     もう1つは、灼滅者達が彼を本気で闇から引き戻そうとしたこと。
     たった2つの……この上なく大切な要因。故に効果はすぐに表れた。

    「がはっ……!」
     政義の放った光条を浴び、秋五は膝を付く。そこに機関銃の雨が襲いかかり……影華の斬影刃とゆうのバスターライフルが直撃した。
     打って変わって地を転がる秋五。弱体化は誰の目から見ても明らかだと言うのに、少年は尚も立ち上がる。
    「何意固地になってるのさ! もう止めようよ!」
     ゆうは得物を下ろし、悲痛な声を上げる。彼女を止めたのは政義と影華。
    「やらせてあげましょう。あの人は今、どうしても意地を張らなきゃいけないんです」
    「でも……」
    「大丈夫ですよ。きっと、全部分かってるはずですから……」
     その証拠に先程から棗が一切動きを見せていない。恐らく主である秋五がそう命じたのだろう。彼女の手をこれ以上血で汚さないために。
     あそこに立っているのは、ダークネスでなければ、闇堕ちしかけの一般人でもない。
     微かに残る闇とそれよりもずっと大きな意地を抱えた、ただの1人の少年。
     秋五が飛ばした弱々しい影を右九兵衛は両手で受け止める。
    「人を捨てようとしてまで誰かを想えるなんて、カッコえぇよホンマに。でももう無理せんでえぇから……後生やから戻って来るんや」
     直後、モーガンが秋五に肉薄する。更に後ろには契約の指輪を構えた茉莉とマテリアルロッドを手にしたメルヴィ。
    「歯を食いしばれ。今から闇を引き剥がしてやる」
     気合一閃。魔法弾と雷が奔る中、炎の剣が秋五の闇を焼き尽くした。

     仰向けに倒れる秋五。彼は改めて最愛の人を目にし、顔を歪める。
    「ゴメン……。俺、お前に何もしてやれなかったッ……」
     結局、自分のワガママに付き合わせていただけ。それが堪らなく辛かった。
     しかし茉莉は首を横に振る。
    「そんなこと、ないです……。きっと神鳥さんは……東堂さんといられるだけで十分幸せだったと思います……」
    「それにしてやれることならまだあるだろ」
    「やれる、こと……?」
     引っ張るように秋五を起こした九十三は棗に歩み寄る。九十三の代わりに説明するのは右九兵衛。
    「今から棗ちゃん楽にしたる。辛いなら目を背けてえぇから」
    「……いや」
    「そか。なら棗ちゃんが倒れんようしっかり抱きしめたって」
     九十三はゆっくりと手を振り上げる。死者に最期の言葉をかけながら。
    「今、終わらせてやる。ゆっくり眠れよ……アイツの胸で」
     そして必殺の一撃が振り下ろされた。
     秋五はボロボロの腕で彼女を引き寄せ……その体が光となって消えるまで抱きしめていた。


    ●この夕焼けの下で
     棗の墓を作ってやりたい――それが秋五の願いだった。
     誰よりも強く賛成したのは茉莉。それにメルヴィも加わり、墓作りを開始。
     そして完成したのは……ちょっと不恰好で小さなお墓。
    「す、すみません……」
    「なんで謝んだよ」
    「カッコつかないかなぁ、って……メルも思ったの……」
     秋五は縮こまってしまった茉莉とメルヴィに苦笑してから、乱暴に頭を撫で回し始めた。
    「バーカ、感謝してるよ」
    「や、止めて下さいよー……」
    「あーうー、グラグラしないでなのー」
    「ハハハッ。……でもまぁ、本当にありがとな」
     微笑む秋五を見上げながら、2人は思う。恐らくこれが彼の本当の姿なのだろう、と。
     そのやり取りに気づいた右九兵衛を先頭に皆が近づいてくる。
    「おー、完成したんやね」
    「ちょっと不恰好だけど気にしちゃダメだよね!」
    「そういうことは言ったらマズイと思いますよ……」
     影華にたしなめられ、口を手で覆うゆう。しかし製作者2名にはバッチリ聞こえており、絶賛凹み中。
     そんな中、政義が早速手を合わせる。
    「どうか、安らかに……」
     一行もまたそれに倣う。神鳥・棗の冥福を祈って。
    「秋五さん」
    「ん?」
    「……えっとね。夕焼け、とっても綺麗ですね」
    「……あぁ、そうだな」
     優しい静寂が流れる。しばしそれを感じてから、モーガンが1枚の紙を秋五に握らせた。
    「これは……?」
    「学園への地図だ。そこに着いたら俺を訪ねるといい。もちろん無理にとは言わんが……来てくれると、正直嬉しい」
    「怖い面で可愛いこと言うんだな、あんた」
    「……顔はどうしようもない」
    「不貞腐れんなよ。分かった。気が向いたらな」
     その答えに頷いてから、モーガンは早々に丘を去る。今は1人にしてやれ、というモーガンの意図を察した一行もすぐに後を追う。
    「粋な計らいやんか、色男」
    「敢えて言わずとはニクいねぇ」
    「茶化すな」
     ニシシといやらしく笑う右九兵衛と九十三を振り払うモーガン。その3人に背後の茉莉と影華は少し呆れ顔。
    「元気ですね……皆さんは……」
    「いや、特別元気なのは2人だけだと思いますよ。イードナーさんは被害者です」
    「……ぐすっ」
     その時、最後尾から涙声が聞こえる。振り返ると、メルヴィがポロポロと泣いていた。
    「秋五さん、無理して笑って……好きな人のお墓を前に……あんなの、可哀想ですよ……」
    「それでも私達が泣いてはいけません」
     そう告げたのは政義。彼はメルヴィの視線を受けながら続けた。
    「せめてこの約束の場所で流せる涙は……東堂さんだけのモノにしてあげましょう」
     ハッとしたようにメルヴィは目元をゴシゴシと拭う。そして必死に涙を堪える彼女の背を押しながら、政義達も森を抜けていった。

     一方、秋五は未だ夕日を眺めていた。
    「……なぁ、棗。俺さ、学園に行ってみるよ。あいつら必死だったからさ。見ず知らずの俺達を救おうって張り切って……ホント、信じらんねぇよな……」
     真正面からぶつかって恥ずかしいこと叫んだ俺の言えたことじゃないか、と自嘲気味に笑う。
    「だからちょっとお別れだ。安心しろって、墓参りには来るよ。それに……今日はずっとここにいるからさ」
     そう語りかける秋五の手のひらには安物の指輪が握られていた。あの約束の証が。
     鼻の奥が湿っぽい。思えばずっと耐えてきたのだ。棗が亡くなった瞬間から。もう……我慢の限界だった。
     泣き虫と笑われても構わない。ただ、今だけは君のために泣かせてくれ。
     いつか見た、君との思い出に満ちた、この夕焼けの下で。
    「……ぁぁぁぁぁああああああああ! 棗ぇぇぇぇェェェェッ!」
     指輪に落ちた涙が夕日を浴びていつまでも輝いていた。

    作者:一文字 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2012年11月4日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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