混戦の群馬密林~戦火は交わるか

作者:泰月


 ――群馬密林。
 比喩でも何でもなくダークネスのせいで発生していたそこを、灼滅者達は繰り返し探索してきた。
 そしてついに、有力な情報が得られたのだ。
「群馬密林の地下に、アガルタの口の入り口がある事と、アフリカンパンサーが、ドーター・マリアに接触しようと配下を送り込んでいた事が判ったわ」
 夏月・柊子(大学生エクスブレイン・dn0090)は、探索していた灼滅者達の活躍で、六六六人衆とご当地怪人の戦闘が発生したとも伝えた。
 戦いの結果は、ご当地怪人の敗北――そして殺害。
「結果、群馬密林では、アフリカンパンサー率いるご当地怪人と、ドーター・マリア率いる六六六人衆が、一触即発の睨み合いになったみたい……なんだけど」
 すわ戦闘か、と言う状況だが、このまま両者の間に戦火が上がる事はない。
 その戦いを仲裁する為に、ナミダ姫が密林入りするからだ。
「ナミダ姫の目的通りにスサノオによる調停が為されれば、ドーター・マリアはスサノオの傘下入り。ナミダ姫とアフリカンパンサーは、協力関係を強くしてしまうわ」
 つまり、スサノオの戦力増強。
 武蔵坂学園としては、阻止したい話だ。
「幸い、スサノオより先に状況に介入する事が出来るわ」
 ご当地怪人と六六六人衆は互いに睨み合っている状態である為、130名程度の戦力であれば、気づかれずに近づく事が可能だ。
 とは言え、正面から戦争に介入できる程の戦力ではない。
「双方の戦端を開かせるよう工作したり、全面戦闘が発生したら激化させる。スサノオが戦闘を仲裁できない状況をいかに作り上げるかが、肝になる筈よ」
 もう1つ、と柊子が続けたのは、費やせる時間の話だ。
「皆が戦場に近づいてから、ナミダ姫率いるスサノオの軍勢が到着するまでの時間は、12分程度と予想されているわ」
 スサノオが進行してくる方向は、判っているので、スサノオの軍勢を足止めして到着を遅れさせる事も可能であろう。それでも、時間が有限である事には変わりないが。
「最低限、双方の戦力を減らす事が出来れば、作戦は成功と言えるわ。でも上手くやれれば、スサノオとの決戦で大きなアドバンテージを得られるかもしれないわ」
 ドーター・マリアがスサノオの傘下に加わらない。
 アフリカンパンサーとナミダ姫の関係が悪化する。
 そう言った状況を生み出せれば、こちらの有利に繋がる筈だ。
 作戦と状況次第では、アフリカンパンサーやドーター・マリアを灼滅する事も不可能ではないだろう。
 なお、敵の軍勢はそれぞれ、ドーター・マリアは群馬密林の六六六人衆。
 アフリカンパンサーは配下のご当地怪人達。
 ナミダ姫は、壬生狼組をはじめとしたスサノオの軍勢だ。
「1つ気になるのが、アフリカンパンサーは、ドーター・マリアとの戦いに消極的みたいなのよ。それが何故かは、掴めなかったけれど」
 アガルタの口の事もある。
 両者に何か関係があるのなら、この戦いはそれを知る機会になり得るかもしれない。


参加者
近江谷・由衛(貝砂の器・d02564)
刻野・渡里(大学生殺人鬼・d02814)
神凪・陽和(天照・d02848)
槌屋・康也(荒野の獣は内に在り・d02877)
神凪・朔夜(月読・d02935)
柳瀬・高明(スパロウホーク・d04232)
咬山・千尋(夜を征く者・d07814)
オリヴィア・ローゼンタール(蹴撃のクルースニク・d37448)

■リプレイ

●機を伺う
「こんなに早く見つかるなんてね。僥倖……とは言えないけど」
「あれでは、突破できませんね」
 木陰に身を隠し、迷彩服姿の神凪・朔夜(月読・d02935)と神凪・陽和(天照・d02848)が声を潜めて呟く。
 これまでの密林探索のお陰で、ドーター・マリアを見つけるのは、さほど難しい事ではなかった。だが、六六六人衆の大将に近づくのは、容易ではない。
 だから灼滅者達は距離を取って潜み、待った。
 ご当地怪人との間に戦端が開かれるのを。

 そうして灼滅者達の思惑通りに戦火が上がると、戦力差で劣る六六六人衆が敗退しアガルタの口へと撤退し始めた。
 標的のドーター・マリアは、その流れの中心。撤退する配下を支援している。
「まだ多いな。近づけても、撤退中の六六六人衆を巻き込まずにはいられなくなる」
 刻野・渡里(大学生殺人鬼・d02814)の判断に、異論は上がらない。
「じゃ、今の内にちょっと食っとく」
 槌屋・康也(荒野の獣は内に在り・d02877)が何かを取り出す。カパッと蓋が開くと、出汁の香りが広がった。
「他のチームとも話がついたぜ……って、またそれ食ってるのか」
「高兄も食うか? 皆の分もあるぞ?」
 丁度そこに戻ってきた柳瀬・高明(スパロウホーク・d04232)に康也が勧めたのは、都内某所でよく見るおでんの缶だ。また、と言われる程度には常備しているらしい。
「この蒸し暑い密林の中より、外に出てから貰った方が美味そうだ」
 冬なのに夏みたいな暑さ。
 そんな密林の異様さにうんざりしそうな気分を抱えつつ、咬山・千尋(夜を征く者・d07814)は、敵に向けた双眼鏡から目を離さずに返した。
「俺も後にしとくぜ。――ドーター・マリアも撤退しようとした所で、一斉に仕掛ける手筈になった」
 高明の報告に、全員の視線が鋭さを増す。約1名、おでんを咥えて。
 程なくして、撤退してくる六六六人衆の波は途切れた。
 ドーター・マリアの周囲に残ったのは、揃いの学ラン姿が9人。
「あの学ラン達、逃げる様子がないですね。護衛役、でしょうか」
「そうじゃない? あれは倒すしかなさそうね」
 オリヴィア・ローゼンタール(蹴撃のクルースニク・d37448)の言葉に、近江谷・由衛(貝砂の器・d02564)も同じ方を見て返した。
 恐らくは精鋭。だが、そこさえ突破すれば、ドーター・マリアに刃が届き得る。
 密林の木々が動いて路を開け、飛び出す灼滅者達。
「灼滅者――! いつの間に、こんなとこまで!」
「こっちからも来やがった!」
 他の2チームも同時に動き出していた。3方向からの襲撃に、学ラン達も3手に別れて迎撃にかかる。
(「さて、この状況でどう動くか。見せて貰いましょうか」)
 戦いの音を断つ力を広げながら、由衛が学ラン達の向こうに佇むセーラー服姿の少女に視線を向けた次の瞬間。
 その姿が消えた。

●戦火交わる
「気をつけて。いきなり来るわよ、ドーター・マリア!」
 珍しく語気を強めて、由衛が警告の声を上げる。
 灼滅者と学ラン達がぶつかるより早く、学ラン達の頭上を跳び越えた褐色の少女の両腕が、巨大な斧を振り下ろした。
 赤黒い刃から放たれた衝撃と紅いオーラのようなものが、周囲の地面や木の根を切り裂いて広がり、灼滅者達を襲う。
「……」
 学ラン達に無言で頷くと、ドーター・マリアは別の方向――他の2チームの片方の方へと向かっていく。
「待ちなさい! あなたには聞きたいことがあります!」
「行かせっかよ、灼滅者!」
 それを追おうと、オリヴィアはシスター服の裾を翻し飛び出す。その進路を塞ぐ形で学ラン達が飛び出した。仕方なくそれを蹴り飛ばして、一旦距離を取る。
「全員を纏めて相手にするつもりか。けど、そう簡単に行かせると思ったのか?」
「そっちこそ、届くと思ってんのかよ!」
 千尋の掌から放たれたオーラの弾丸を、別の学ランの体に阻まれた。
 攻撃を阻んだ学ラン達は斧と鉈を構え、灼滅者達へと突き進む。
 ガキンッ、と鈍い金属音が2つ響いた。
 学ランの片方が振り下ろした鉈は、獣化した康也の腕が握り締め。もう1人の斧は、陽和の腕に装着された機械とぶつかり、火花を散らす。
 2人に届くよう、朔夜は癒しの力を持つ風を招いて吹き渡らせる。
「仲間をかばってくたばってなかったか!」
「生憎、そんな柔な女じゃないですよ」
 学ランに言い返す陽和の腕の機械から、杭が放たれる。打突の瞬間に飛び散った魔力の残滓が、星屑の様に煌いた。
「この状況……貴様らの狙いは、アガルタの口か」
「さあな? ガゼル、任せた。かがめ、康也!」
「高兄!」
 もう1人の槍を持つ学ランにライドキャリバー・ガゼルをけしかけて、高明は無骨な黒い銃砲を構えて地を蹴った。
 敵の腕に銀の爪を突き立てていた康也が屈むと、頭上を砲身が通り過ぎる。鈍い音を立てて、斧使いの学ランが吹っ飛ばされた。
「サフィア、頼むぞ」
 霊犬サフィアが魂を癒す視線を向けるよう促し、渡里は鱗状の光が集まった光輪を吹っ飛ばされた斧使いへと放った。

 今回の戦いには、時間制限がある。灼滅者達は、最大限に攻撃を重視し、学ラン達を攻め立てていく。
「中々、すぐ終わらせるとはいかないか」
「まあ、柔な護衛などいないでしょうよ」
 癒しの力を持つ光輪を分裂させて仲間の盾に飛ばす朔夜に返して、陽和は風の加護を受けた靴に摩擦の炎を纏わせて鉈の学ランを蹴り飛ばした。
「また来るみたいよ、彼女」
 炎に焼かれる学ランを一見無造作に――巨大な十字架をその重さと慣性を活かして――殴り倒しつつ、由衛は再度の警告の声を上げる。
 斧を構える褐色の少女が来る方向は、先にこちらに攻撃して向かっていったのとは別方向だ。本気で、3チーム纏めて相手するつもりなのか。
「いいぜ、来いよ。どんな攻撃だろうが、また耐えてやらぁ!」
 気勢を上げる康也の前で、ドーター・マリアは跳ぶと同時に斧を振り上げると、一気に振り下ろす。
 再び放たれた衝撃とオーラが、また周囲の地面を砕きつつ灼滅者を襲いかかる。
 その半分近くを、両手を広げた康也が1人で押さえ込むのを黙って見届けると、ドーター・マリアは再び体の向きを変えた。
 その瞬間。
「二度目を、手を拱いて見てるとでも?」
 千尋の手にした細身の短槍の穂先から、死の気配にも似た鋭く冷たい氷が放たれる。
「そこまで俺らが読んでねえと思ったか!」
 してやったりと言う顔で、氷を阻む槍学ラン。
「そう思った?」
 千尋が浮かべた笑みを見て、阻ませる狙いだと学ランが気づいた時には既に遅し。
「――狩らせて貰います」
 両手足に紅い稲妻の様な光を纏ったオリヴィアの一撃が、学ランの凍った体を容赦なく打ち砕いた。
「こいつら……!」
「次にぶっ飛ばされるのは、てめーか? もう1人か?」
 怒りに顔を紅潮させる学ランが振り下ろした斧を避けずに受け止めた康也は、引かずに巨大な鋏を振り回す。鋏の刃が敵を斬り裂き、その血肉を喰らう。
「そろそろ、道を開けて貰おうか」
 鋏の喰らう分では足りない分はサフィアに任せて、渡里は鋼糸を操り、学ランの傷口を広げるように絡み付けていく。
 全身を切り刻まれた学ランは、グラリと倒れ、そのまま消えていった。
 これで、道は開けたも同然。
「待て、貴様、ら。行かせる――」
 それでも行かせまいとする学ランの眼前に、無骨な黒い砲口がピタリと向けられる。
「邪魔だ」
 普段の陽気でひょうきんな高明とは似つかない、冷酷な視線と言葉。
 それ以上に冷たい光が、3人目の学ランを無慈悲に撃ち抜いた。

●第5位
 ほぼ時を同じくして、他の2チームも突破口を開いていた。
「……はぁ」
 三方から攻め寄せる灼滅者達。その視線の先で、ドーター・マリアは小さく溜息をついて両手で斧を構え直した。
「今度こそ、聞かせて貰いますよ!」
 はぐらかされて焦れていたか、オリヴィアが両の手足に纏った紅い稲妻を思わせる速度で、その眼前へと飛び込んだ。
「十の戒めにマリア……六六六人衆とは、いったい何なんですか! キリスト教と何の関わりがあるのですかっ!」
 問いと共にオリヴィアがぶつけた重たい一撃が、バベルの鎖の薄い点を捉えてドーター・マリアに突き刺さる。
「っ……勝手に気にしてな」
 嫌悪を露わに憮然と返したドーター・マリアは、オリヴィアから視線を外して無造作に斧を振り上げた。
「機嫌悪そうじゃないか」
「ま、この状況じゃ無理もない」
 千尋の煌きを纏った蹴りは斧の柄から伸びる鎖で絡めて流し、渡里の放った光輪は、他の灼滅者達の攻撃諸共、斧の一薙ぎで打ち払らわれる。
 だが、幾つかの攻撃はドーター・マリアに届いていた。その衝撃に怯む事無く、ドーター・マリアは斧から紅い光が立ち昇らせる。
(「アレは……拙いですね」)
 その光に、これまでの地面ごと数人薙ぎ払う攻撃とは違う質を、陽和は感じ取った。体力も気力も、根こそぎ奪う一撃が来ると。
 護衛との戦いを早く終わらせた代償に、全員少なからず消耗している。自分も含めて、アレは恐らく耐えられまい。
 そう判断して、その上で飛び出した。
「陽和! 無茶するな!」
「朔夜。上手く狙ってね」
 背中から掛かった朔夜の声にそう返して、止まらず駆ける。
 摩擦の炎を纏った蹴りがドーター・マリアに当たった直後、湾曲した赤黒い刃が陽和の上に振り下ろされた。
「――っ!」
 粉々に斬り砕かれ巻き上げられた木々や岩が、鮮血に染まる。紅い瓦礫が降り注ぎ、半ば埋まる形で倒れた陽和は、動かない。
 ヒュッ。朔夜が無言で放った、太陽の持つ輪と同じ光輪が風を切る音を鳴らし、褐色の肌に浅くだが傷を刻む。
「てめー……やってくれやがったなぁ!」
 激高を隠さず、康也が意思持つ帯を矢の様に撃ち出す。
 それを後ろに跳んで避けたドーター・マリアが着地に着いた足を、死角に飛び込んだ高明が黒鋼の刃で斬り付けた。
「くっ」
 1人が倒れても、灼滅者の数は優に20を越える。その攻撃全てを避け切る事は、元第5位のドーター・マリアと言えど不可能だった。
 次第にドーター・マリアの纏う制服が切り裂かれていく。
「この……っ」
 飛来した氷を斧で叩き落とすと、ドーター・マリアは足元の地面に手を付いた。その手が淡い輝きを放つと、色黒の肌に刻まれた傷が癒えていく。
 だが。結果、攻撃が緩んだこの瞬間を灼滅者達は見逃しはしなかった。
「姉にしてくれた分の礼は、させて貰うよ」
 静かな怒りを込めて。五行の色を持つ布帯を、朔夜が矢の様に撃ち出す。
 それを跳んで避けたドーター・マリア。その着地の瞬間を狙って、由衛が十字架の砲口を向けていた。
「しまっ――!」
 放たれた冷たい砲弾を何とか避けたドーター・マリアだが、体勢を崩す。
「その力、加護のようなもののようですね。打ち消します!」
 ――パリッ、バチンッ。
 紅い稲妻を纏ったオリヴィアの拳が、真っ直ぐにドーター・マリアを打ち抜いた。
「かふっ……んの」
 四方八方からの灼滅者達の追撃の半分ほどは、ドーター・マリアが振り回した斧に遮られる。だが、逆に言えば半分は届いた。
「……っ」
 距離を取ったドーター・マリアが、膝をついた。
 眉根を寄せて灼滅者達を睨みつけつつ、地面に手を付いて傷を癒す力を行使するが、増えた傷に対して明らかに間に合っていなかった。
「このまま、ケリつけさせて貰うぜ。お前とアフリカンパンサーに、どんな因縁があるんだか知らねえけど。これ以上厄介になんのは、見過ごせねえよ」
 この勢いなら、程なくしてドーター・マリアを灼滅出来る。
 その確信を持って、高明が冷酷に告げる。
「急いだ方が良さそうだ。軍勢が近づいてきてる――ありゃ、ご当地か」
 近づく気配に気づいて、渡里が声を上げる。
「……ドーター・マリアに、まだ隠し玉がないとも限らないわ。最後まで、全力を尽くしましょう」
 いつもの気怠さを潜めた声で告げて、由衛が巨大な十字架を構え直す。
 そして灼滅者達が一斉に飛び出そうと――した次の瞬間、ガサガサッと派手な木擦れの音を立てて、密林の中から飛び出した影が、灼滅者達を跳び越えた。

●母娘
(「間に合うか――?」)
 猛獣の様な勢いで頭上を跳び越えた影に反応し、千尋が飛び出した。
 右腕から青い寄生体が現れ、手にした曲刀に纏わり付いていく。
 ガキッ!
 巨大な青い刃を食い止めたのは、それ以上に巨大な骨杖。
「アフリカンパンサー!? 軍勢はまだ……まさか、単騎ですか?」
 その正体を目の当たりにして、朔夜が驚いた声を上げる。
 軍勢よりも単騎の方が、密林で早く動けるのは明白。1人先行してきたのなら、アフリカンパンサーだけこの場に現れた説明も付く。
 だが――アフリカンパンサーが? 六六六人衆の為に?
「……判らないわね。そこまでする理由」
「助けに来たよ、ボクの娘マリア!」
「……助けに来て欲しいとは言っていない」
 いつも通りの無表情で淡々と由衛に答えたわけではないだろうが、疑問は当人達の会話であっさりと氷解した。
「親子って話は本当だったのか。闇堕ちして六六六人衆になったのか? それとも人として、アフリカンパンサーから生まれたのか? あと、この森、お前らの能力か?」
 新たな疑問に、渡里が2人に問いかける。
「答える必要なんかないよ!」
「……わかっている!」
 渡里の求める答えは得られなかったが、その様子はまさに母娘だ。ドーター・マリアなど、親に世話を焼かれ不貞腐れる娘のそれだ。
 だが、そんな両者はダークネスで、ここは戦場だ。アフリカンパンサーの骨杖が青い刃ごと千尋を弾き飛ばす。
「ちっ……これ以上、仲間をやらせるかよ!」
 康也が飛び出した直後、巨大な骨杖と紅い光が、立て続けに灼滅者を薙ぎ払った。
 轟音が響き、衝撃が密林の木々を震わせる。
 もうもうと巻き上がった土煙が収まった時、その中で立ち上がれた灼滅者の数は半数くらいになっていた。
「ガゼルは……消えちまったか。康也、もう無理すんな!」
 ボロボロの身体で立とうとする弟分を抱えて退がりながら、高明は無骨な黒い銃砲を向けて――だが、引鉄に掛かった指は、すぐに動かなかった。
 彼だけではない。誰もが、迷いを抱き始めていた。
 届きそうだった勝利が遥かに遠ざかったのは、認めざるを得ない。

「ここが潮時か……増援に追いつかれる前に撤退だ。急げ!」
 突破口が見つからないまま時間が過ぎていく中、他のチームの中で濡羽の長髪を持つ細身の娘が悔しそうにそう告げた。
「答えを聞けなかったのは残念ですが……仕方ありませんね」
 こちらも少し悔しそうに小さな溜息を吐いて、オリヴィアが首肯する。
 出来るだけの事はやった。
 後は、スサノオ側の成果次第――そちらの結末を灼滅者達が知るのは、追撃もなく無事に密林を抜け出してからだった。

作者:泰月 重傷:神凪・陽和(天照・d02848) 
死亡:なし
闇堕ち:なし
種類:
公開:2017年12月8日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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