巨大スサノオ体内戦~倒せ! 五色の侵入者

    作者:三ノ木咲紀

     白い壁のようにも見えるほど巨大な巨大スサノオの脚に、無数の拳が撃ち込まれた。
    「食らえ、炸裂拳!」
     黄色いカンフー着に身を包んだアンブレイカブルが止めの一撃を放つと、白い壁に大きな穴が穿たれた。
     直後、巨大スサノオの悲し気な慟哭が響く。
     静かに一礼したアンブレイカブルに、弟子と思われる四体のアンブレイカブルが拍手を送った。
    「さすがです、黄竜様!」
    「この拳はアタワルパ様に鍛えられたものじゃ。その恩義を返すためにも、この巨大スサノオの力を手に入れねばな」
     巨大スサノオを見上げる黄竜に倣い、四体の弟子達も巨大スサノオを見上げる。
     ナミダ姫が灼滅されたことにより暴走したスサノオ大神の力より生まれた巨大スサノオは、時折悲し気に慟哭するだけで攻撃を仕掛けてはこない。
     このまま放置しておけば、数か月後には力を失い消滅してしまう。
     巨大スサノオを見上げていた弟子は、血気盛んな目で黄竜を見た。
    「こんなでけぇ力、俺達のアタワルパ師が手に入れればよぉ、ヴァンパイア勢力内でもでけぇ顔できんじゃね? もちろん、俺達もな!」
    「アタワルパ師は私達孫弟子にとっても偉大なお方。必ずや力を手に入れ、喜んでいただきましょう!」
    「赤牛、青虎」
     黄竜は感動したように、赤と青のカンフー着の弟子を見た。
    「巨大スサノオの中枢を破壊すれば、この力は私たちのものね」
    「邪魔が入る前に、はよいこや!」
    「白鳥、黒鼠」
     白色と黒色の同着姿の弟子に頷いた黄竜は、目を見交わすと円陣を組んだ。
    「ゆくぞ! 我らが師のために、スサノオの力を手に入れるのだ!」
    「「「「アタワルパ師のために!!!」」」」
     気合を入れた五人は、巨大スサノオの体を攻撃しながら中枢へと向かっていった。


    「群馬密林の戦い、お疲れさまや。ナミダ姫を灼滅するやなんて、うち予想もしてへんかったで!」
     驚いた様子のくるみは、ふと眉をひそめると灼滅者達を見渡した。
    「ナミダ姫を灼滅したことで、群馬密林でスサノオ大神の力が暴走しとるみたいやな。この暴走した力から、15体の巨大スサノオが出現してもうたんや」
     巨大スサノオは全長100メートル近い巨体だが、悲しそうに慟哭するだけでその場から移動することも攻撃することもない。
     このまま放置しても数か月後には力を失い消滅してしまうが、このスサノオの力を奪うためにほかのダークネスが動き出しているのだ。
     ダークネス達は巨大スサノオの中枢に侵入し、これを破壊することで力を奪おうとしている。
    「皆には、ダークネスが侵入した経路から巨大スサノオの内部に侵入して、先行するダークネスを撃破して欲しいんや」
     先行して侵入したダークネスは五体。
     アタワルパの弟子一体と、その弟子が四体が巨大スサノオの体内を破壊しながら中枢へと向かっている。
     この後を追うことは難しくないが、当然気づかれるので奇襲などは行えない。
     真正面から戦いを挑み、撃破するしかない。
     巨大スサノオの力は、三回ほど黄竜にスサノオの力が流れ込むことがあるため、注意が必要だ。
     黄竜のポジションはクラッシャー。
     ストリートファイターとバトルオーラのサイキックとシャウトを使う。
     赤牛と青虎はクラッシャー。
     ストリートファイターに似たサイキックとシャウトを使う。
     白鳥と黒鼠はディフェンダー。
     バトルオーラに似たサイキックとシャウトを使う。
    「スサノオの力を他のダークネスに奪われたら、妙なことに使われてまうかも知れへん。そうなる前に、スサノオの力を大地へ還したってや!」
     くるみはにかっと笑うと、頭を下げた。


    参加者
    羽柴・陽桜(ねがいうた・d01490)
    今井・紅葉(蜜色金糸雀・d01605)
    各務・樹(カンパニュラ・d02313)
    狩野・翡翠(翠の一撃・d03021)
    木元・明莉(楽天日和・d14267)
    エアン・エルフォード(ウィンダミア・d14788)
    山田・透流(自称雷神の生まれ変わり・d17836)
    居木・久良(ロケットハート・d18214)

    ■リプレイ

     悲しそうな慟哭に、スサノオの力へ手を添えた羽柴・陽桜(ねがいうた・d01490)はぽつりと呟いた。
    「ナミダ姫を喪って、悲しいですか?」
     陽桜の問いに答えるように、慟哭が尾を引くように長く響く。
     ごめんなさい、あなた達の大切なひとを奪ってしまって。とは口にしない。
    (「今回に限らず今までもそうだったし、これからもそうだ。だから謝らない」)
     黙って見上げる陽桜の隣で、木元・明莉(楽天日和・d14267)は思わず感嘆の声を上げた。
     純白の炎のような体躯は時折真珠色にも輝き、なめらかな巨体は微動だにしない。
    「こんな時に場違いかもしれないけど……綺麗だ」
    「ナミダ姫も、ずいぶん面倒な遺産を残したのね……。まあ彼女を失ったスサノオたちの気持ちは分からなくもないけど」
     興味津々にスサノオの体を触っていた今井・紅葉(蜜色金糸雀・d01605)は、現在も体内を掘り進んでいるであろうアンブレイカブルを思った。
     白い壁が延々続くばかりでここから開口部が見える気配がない。
    「このままほっといちゃいけないね。邪魔な者を片付けて、還るべき所へ還らせよう」
    「そうだね。それにしても、スサノオさんの身体のなかに入るだなんて経験がまさかできるだなんて……考えたこともなかった」
     樹と共に巨体を見上げていた山田・透流(自称雷神の生まれ変わり・d17836)もまた、感嘆の声を上げた。
     悲しげな慟哭を聞いていた透流は、手を伸ばすとスサノオの力に触れた。
    「アンブレイカブルさんがスサノオさんの力を奪おうとしているんだったら、逆に私たちがスサノオさんの力を奪うことってできないのかな? スサノオさんのお肉を食べるとかして」
     触れた手に力を込めた透流は、スサノオの力のひとかけらを手に取ると口に含んだ。
     無味無臭のかけらが喉を滑り落ちていく。
     透流は自分に何らかの変化があるか注意深く観察したが、力を得られたような気配も、変化が起きる様子もない。
     透流が小さくため息をついたとき、先行していた各務・樹(カンパニュラ・d02313)が空飛ぶ箒で駆け付けた。
    「この先で、侵入口が見つかったわ。もうだいぶ掘り進んでいるみたい」
     樹の言葉に、透流は仲間を見渡した。
    「急ぎましょう。ダークネスさんたちが力をつけたら、私たち灼滅者の命がまた危なくなる。そんなことになっちゃう前に、力をなんとかしてダークネスさんたちを灼滅しなくっちゃ……」
     手を握り締めた透流は、先導する樹の箒を追って駆け出した。


     空飛ぶ箒を降りて歩く樹は、延々続く壁を見上げて呟いた。
    「ナミダ姫は灼滅される前もそうだけれど、そうされてからも厄介ごとを残してくれたわね」
    「大きな力は様々なものを呼び寄せるからな。まあ、俺達もその中の一つなんだろうけど」
     頷きながら答えたエアン・エルフォード(ウィンダミア・d14788)に、居木・久良(ロケットハート・d18214)は首を振った。
    「難しいことを考えるのは好きじゃないんだ。たまには無心に力一杯戦える相手と戦いたい」
     そう言ったエアンは、曲がり角から飛んでくるオーラキャノンをひらりと避けた。
    「今回の相手はちょうどいい」
     同時に駆け出したエアンを先頭に角を曲がり、敵の前に展開した灼滅者達は、広場のような空間を思わず見上げた。
    「やっぱり来よったな、灼滅者めが!」
     黒い道着姿の黒鼠が、オーラキャノンの構えを解きながら指をさした。
     迎撃準備を整える五色の戦士達に、紅葉はため息をついた。
    「アンブレカブルも、よくわからないやつが多いのね……。いい年なのに戦隊もの、恥ずかしくないの?」
    「我らは戦隊者ではない! 我らは五行の求道者である!」
    「くぅっ! さすがだぜ師匠!」
     本当に戦隊ものを知らないのであろう。黄竜が胸を張る後ろで、赤牛がグッと手を握る。
     そっと目を逸らした青虎は、気を取り直したように灼滅者達に向き合った。
    「引け、灼滅者! スサノオの力は我らの物だ!」
    「そちらも思うところは色々有るでしょうけど、阻ませて頂きます」
     静かに宣言した狩野・翡翠(翠の一撃・d03021)は、静かに拳を握り締めた。
    「貴方の魂に優しき眠りの旅を……」
     解除コードと共に巨大な鬼の形に変化した拳を握り締めると、地を蹴り一気に青虎へ躍りかかった。
     服の裾を気にしつつも兎のように跳んだ翡翠の巨大な鬼の拳が、青虎に向けて振り下ろされる。
     その直前、黒鼠が割って入った。
    「アニキ!」
     青虎を庇って踊り出した黒鼠の腕に、鬼神変が突き刺さる。
     睨みあうことしばし。反動をつけて後ろにジャンプした翡翠にオーラが迫った。
    「食らいなさい!」
     距離を取る翡翠を読んでいたかのように、白鳥のオーラキャノンが翡翠を狙って真っすぐに飛んだ。
    「させるかよ!」
     防御の姿勢を取れずに直撃を覚悟した翡翠の前に、久良が割って入った。
     狙い違わず炸裂するオーラキャノンを受け止めた久良は、構えを取る白鳥ににやりと笑った。
    「やるなお前」
    「そっちこそね!」
     にやりと笑い合う二人は、一歩下がると改めて武器を構えた。
     ダメージを受けた黒鼠に、明莉は雫石を構え強く床を蹴った。
     裂ぱくの気合と共に放たれる螺穿槍が、狙い違わず黒鼠の胸に螺旋状の穴を穿つ。
     飛び出した明莉に、巨大な拳が迫った。
    「鋼鉄拳!」
     巨大な拳が迫った瞬間、明莉は壁に叩きつけられた。
     黄竜が放つ鋼鉄拳に思わず息を呑んだ明莉は、口の端から流れる血を拭いながら立ち上がった。
    「アンブレイカブルとまた戦えるのは、素直に嬉しいね」
    「ほう? わが拳を受けてなおそのような口を利けるか」
     おかしそうに眉を上げる黄竜に、明莉はにやりと笑った。
    「俺にとっては、力だけを求めるお前たちは憧れの存在で、倒すべき好敵手」
     痛みを堪えながら構えた明莉は、黄竜を挑発するように手招きした。
    「何も考えず、心行くまで死合いたい」
    「いいだろう! お前への引導は、この私が渡そう!」
     明莉に向けて無数の拳を突き出した青虎の前に、陽桜の霊犬・あまおとが飛び出した。
     無数の拳を受けたあまおとは、辛そうな声を上げながらもなんとか態勢を立て直して主の傍へと着地する。
     あまおとへ労いの視線を送った陽桜は、拳を握り締めると黒鼠へ向けて鬼の手を振り上げた。
    「スサノオの力は、誰にも渡しません!」
     巨大な拳に吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた黒鼠をチラリと見た赤牛は、ダメージの深い明莉へ向けて拳を構えた。
    「百打拳!」
     放たれる拳を耐えた明莉の頭上に、断罪輪が現れた。
     前衛の上空で円を描いた樹の断罪輪は、巨大な方陣を描くと癒しの力で前衛を包み込む。
     樹は紅葉をチラリと見ると、声を掛けた。
    「紅葉ちゃん!」
    「任せて!」
     断罪輪を構えた紅葉は、傷が完全に癒えきらない前衛へ向けて天魔光臨陣を放った。
     癒しの光を背中に感じながら、透流はクロスグレイブの全砲門を開いた。
     聖碑文の詠唱と共に、敵を薙ぎ払う光線の乱舞が乱れ撃たれる。
    「アンブレイカブルさんには、力を渡せないんだから!」
     砲門を収めた透流に、黄竜は怒号を放った。
    「ぬかせ、小娘が! お主らも己のために力を求めているのであろう!」
    「確かに、エゴと言えばそうかもね。でも、力を渡す訳にはいかないので」
     言った直後、エアンの背中から羽のように白い帯が伸びた。
     狙い違わず放たれる攻撃が、ダメージの蓄積した黒鼠を引き裂いていく。
    「遠慮なく、戦わせてもらうよ」
     冷徹に宣言するエアンに、黄竜の笑い声が響いた。


    「面白いぞ灼滅者! 勝った方がスサノオの力を手に入れる。それで良いな!」
     目を輝かせる黄竜が、久良へ向けて拳を振り上げた。
     雷を帯びた拳を受けた久良は、左肩のワッペンを触って気合を入れると黄竜へ笑みを返した。
    「もちろん。どちらが強いかだけ。そういうのは嫌いじゃない」
     ムーントリッパーを起動させた久良は、炎を纏った靴で飛ぶように身を翻すと黒鼠へ向けて放った。
     真っすぐで力いっぱいの蹴りを横腹に受けた黒鼠は、返す拳で久良を殴りつけた。
     互いに吹き飛んだ黒鼠に、癒しのオーラが放たれた。
    「馬鹿ね! まずは自分を癒しなさいよ!」
     白鳥の声に、黒鼠は口の端を拭いながら立ち上がった。
    「ええとこ見せたいさかいな!」
    「馬鹿ね……」
     呆れながらも口の端に笑みを浮かべる白鳥に、紅葉はそっと目を逸らした。
    「あれ……。ドラマでもやってるのかしら……?」
    「赤に青に黄色に白に黒だなんて……アンブレイカブルさんじゃなくって、まるでご当地怪人さんたちみたいって思ってたけど、どうなのかな? よく分からない」
     困惑した表情で首を振る透流の耳に、雄叫びが響いた。
     微妙な空気の白鳥と黒鼠の空気を断ち切るように、赤牛が猛突進を仕掛けた。
    「うおお! てめぇらぶっ潰す!」
     一足飛びに駆け寄り、雷の拳を振り上げた赤牛の攻撃を避けたエアンは、ゆらりと身を低くすると一気に駆け出した。
     黒鼠の死角に潜り込み振るわれたマテリアルロッドが、黒鼠を直撃し黒い霧へと返す。
    「戦術ミスは、命とりだよ」
     冷徹に言い切ったエアンに、青虎は無数の拳を放った。
    「弟弟子の敵!」
     拳を受け、壁に叩きつけられたエアンにチラリと視線を送った明莉は、蒼布槍を解き放つと白鳥へ向けて放った。
     同時に動いた紅葉は、護符揃えを構えると五星結界符を放った。
    「邪魔者は片付けて、早く大地へと還らせるの!」
     決意の声に動きを一瞬止めた敵陣に、翡翠はウロボロスブレイドを放った。
     生き物のようにうねりながら加速をつけて敵陣を斬りつける鞭剣を収めた翡翠は、ぼんやりと輝くスサノオの力を見上げた。
     彼らは、この力を手に入れて何をしようというのだろうか。単純にパワーアップをしようとしているのか、それとも何らかの計画があるのか。
     傷を押さえる黄竜達に、翡翠は問いかけた。
    「貴方達はこの力で、何を願うのですか?」
    「知れたこと。アンブレイカブル勢力の再興を成し遂げるのよ!」
     狂気を帯びた目で怒鳴る黄竜に、翡翠は更に問いかけた。
    「では、貴方達の師なら何に使うと思います?」
    「アタワルパ様ならば必ずや再び立ち上がり、我が勢力を再興するであろう!」
    「そうですか」
     どうやら、黄竜達は純粋にアンブレイカブルの再興を願っているらしい。
     黄竜の回答に、翡翠はひとつ頷いた。
     翡翠が黄竜達の気を引いている隙に、樹は久良とエアンに駆け寄った。
     二人の傷の状態を確認した樹は、陽桜へ声を掛けた。
    「陽桜ちゃん!」
    「はい!」
     頷きながら放たれた陽桜の縁珠がエアンを包み込み、傷を癒していく。
     同時に放った樹のダイダロスベルトが、包帯のように久良を包み込む。
     久良は何とか立ち上がったが、殺傷ダメージの累積がひどい。
     久良の様子を見た透流は、駆け出すとディフェンダーポジションへと移った。
    「居木さん、交代しよう!」
    「悪い。頼むわ」
     透流がディフェンダーポジションに立ったのを確認し、自分はスナイパーに移動しようとした時、白鳥が動いた。
    「待ちなさい! あなたは私が倒すわ!」
    「させないわ!」
     白鳥の攻撃を受け止めた透流は、間近に迫った白鳥を睨みつけた。
    「ダークネスさんに、仲間は倒させないんだから」
    「ぬかせ!」
     吠えた赤牛は、透流へ向けて拳を振り上げた。


     戦闘は続いた。
     敵の攻撃は単純だか火力が高く、殺傷ダメージは累積していく。
     だが火力と命中率に勝る灼滅者達の攻撃は確実に敵を追い詰め、黄竜をも追い込んでいくに至った。

    「灼滅者が! 許さぬ!」
     追い込まれた黄竜の周囲に、白い光が集まった。
     怒りと共に拳に集まる力を確認した明莉は、素早く仲間へ注意を促した。
    「皆! 攻撃が来るぞ!」
     明莉の声が響いた直後。巨大な拳が明莉を襲った。
     何とか直撃を避けたものの、いなしきれないダメージに明莉は意識を失った。
    「明莉!」
     即座に駆け出したエアンは、明莉を後方へ投げた。
     黄竜を注意深く観察していた翡翠は、無敵斬艦刀の刹那を振りかぶると軽やかに跳ね上がった。
    「スサノオの力を得たようですが、ここで倒します!」
     破壊力重視の強力な一撃が、黄竜を袈裟懸けに切り裂く。
     満身創痍の久良は、翡翠の攻撃に一瞬怯んだ黄竜に向けて真っ直ぐにハンマーを振り上げた。
    「思い切り行く!!」
     裂ぱくの気合と共に振り下ろされるモーニング・グロウの一撃を受けた黄竜は、竜の咆哮を上げた。
    「効かぬわ!」
     気合と共に傷を癒した黄竜に、エアンは目を見開いた。
     スサノオの力を得たからか、攻撃と回復をほぼ同時にやってのけている。
    「これが……」
     驚き、瞠目したエアンだったが、こんな攻撃がそう多く続くはずもない。
    「さすがに強い……が、まだ終わってないよ」
     避難を終えたエアンは、マテリアルロッドを振り上げると強烈な一撃を叩き込んだ。
     同時に駆け出した陽桜の縁珠が、黄竜を切り裂いていく。
    「スサノオの力は、あたし達の手で大地へと還します!」
     力を込めた陽桜の攻撃を受けた黄竜の拳に、再び力が集まり始める。
    「これが、スサノオの力か!」
     初回の攻撃を観察していた紅葉は、次に来る攻撃を悟り仲間を振り返った。
    「攻撃、来るわ!」
     紅葉の声に、樹は素早くダイダロスベルトを放った。
     癒しの帯が透流を包み込むと同時に、透流に向けて雷を帯びた拳が放たれる。
     攻撃を受けた透流は、何とか堪えるとダイダロスベルトを放った。
    「絶対、灼滅してみせる!」
    「ここで、終わらせるわ!」
     攻撃によりできた隙を突き、紅葉のオーラキャノンが黄竜を穿つ。
     大ダメージを受け、よろりとよろけた黄竜に、紅葉は裁きの雷を湛えた断罪輪を構えた。
    「帰りなさい! 還るべきところへ!」
     解き放たれたジャッジメントレイを受けた黄竜は、黄色い光の礫となって消えていった。


     スサノオの力の中枢へ辿り着いた灼滅者達は、輝く光の玉を前に息を呑んだ。
     これを手に入れれば、強大な力を手にすることができるだろう。だが。
    「スサノオの……ガイオウガの力。大地の力は大地に還すべきだな」
     明莉の声に、全員が頷く。
     久良は一歩歩み出ると、中枢へ軽く一礼した。
    「申し訳ないけど壊させてもらう」
     殲術道具を手にした灼滅者達の一斉攻撃が、中枢を破壊する。
     光が失われると同時に、遠くで慟哭が響く。
    「急ごう。ここが、どうなるか分からない」
     エアンの声に駆け出し、何とか脱出した明莉は、消えゆくスサノオの力に呟いた。
    「ガイオウガはソウルボードを一元化した存在だった。なら、ソウルボードも自然の一部なのかもしれない」
     その声に、陽桜はそっと指を組んだ。
    (「願わくば、還した力が学園にいるガイオウガの尾に繋がりますように」)
     祈りを捧げる陽桜の肩を叩いて歩き出した久良は、ゆっくりと溶けていくスサノオの力を振り返ると、何も言わずに立ち去った。

    作者:三ノ木咲紀 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2017年12月27日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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