巨大スサノオ体内戦~然れば盗人を戒めよ

    作者:六堂ぱるな

    ●無情なる侵攻
     悲しげな咆哮が響き渡る。群馬の密林には見上げるようなスサノオが何体も現れていた。
     それが哭きはしても攻撃してこないことを確認して、気合を入れ直す者がいる。作務衣にエプロン、頭部は蓋つきのお重、となればご当地怪人であろう。
    「よいな、皆のもの。このスサノオは何もしてこない。最短の時間で中枢へ向かうのだ」
    「「「「了解です、高崎ます重怪人様!」」」」
     傅くは頭部がペナントの怪人が4体、ペナントには『高崎』という刺繍が見て取れた。
     突進するペナント怪人たちが、白い炎でできた体に穴をあけて進む。力の塊であるスサノオに筋肉組織や臓器は存在しない。怪人たちのパンチやキックが白炎の体を穿っていく。
    「進め、進め!!」
     頭がお重の怪人自身も前へ出て、誰よりも重い攻撃で巨大スサノオの奥へと進みだした。
     彼らの行動原理など一つしかない。すなわち。
    「全てはグローバルジャスティス様の為に!」

    ●送別の戦
     激しい戦いの結果、群馬密林には15体の巨大スサノオが出現した。スサノオ大神の力が暴走したためらしい、と告げた埜楼・玄乃(高校生エクスブレイン・dn0167)が首を振る。
    「全長は100メートル近い巨体だ。だが哭くばかりで攻撃はおろか移動もしない。放っておいても数カ月後には消滅すると思われた、が」
     そうはいかなくなった。
     スサノオの力を奪うべく、ダークネスが動き出したからだ。
    「彼らは巨大スサノオの体内へ侵入し、中枢を破壊して力を奪おうとしている。諸兄らにはこれを阻止して貰いたい」
     侵入したダークネスを撃破し、巨大スサノオの中枢を破壊してかの力をダークネスが利用できないようにする。それが依頼だった。
    「追跡は簡単だ。難点は、彼らが切り開いた跡を追うことになるため奇襲が行えない」
     渋面で玄乃が唸った。しかも敵の数は少なくない。
     彼女が予知した敵は高崎ます重怪人と、彼の配下である高崎ペナント怪人4体だ。
     ちなみにます重というのは、絶滅が危惧される高崎市のご当地グルメらしい。
     高崎ます重怪人はご当地ヒーローと同じサイキックの他、一部怪談蝋燭に似たサイキックも使う。配下の高崎ペナント怪人は他のペナント怪人と大差のない技しかないが、回復技があるので注意が必要だろう。
     布陣は高崎ます重怪人がクラッシャー、ペナント怪人の2体がディフェンダー、残る2体がジャマーだと説明して、玄乃は資料を閉じた。
    「ナミダ姫の灼滅は思わぬ大戦果だった。暴走してはいるがスサノオの力は地の力、ダークネスのものにするのでなく地へ返すべきだろう」
     よろしく頼む、という彼女の言葉を背に、灼滅者たちは席を立ったのだった。


    参加者
    勿忘・みをき(誓言の杭・d00125)
    風宮・壱(ブザービーター・d00909)
    無堂・理央(鉄砕拳姫・d01858)
    堀瀬・朱那(空色の欠片・d03561)
    志賀野・友衛(大学生人狼・d03990)
    敷島・雷歌(炎熱の護剣・d04073)
    秦・明彦(白き狼・d33618)
    矢崎・愛梨(高校生人狼・d34160)

    ■リプレイ

    ●哭くもの
     巨大なスサノオが咆哮する。それをナミダ姫を失った悲嘆とみるのは感傷だろうか。
     巨大なスサノオをよじ登りながら、勿忘・みをき(誓言の杭・d00125)がもの思わしげに呟いた。
    「一時は天下を取れそうなほど勢力を伸ばしていたスサノオの末路ですか。敵ながら――なんだかその有様は儚いものですね」
     兄の姿をしたビハインドと共に、続いて登っている風宮・壱(ブザービーター・d00909)の手を握って引きあげる。
    「トップを倒して一件落着、ってわけにはさすがにいかなかったか」
     敷島・雷歌(炎熱の護剣・d04073)が眉間にしわをよせてぼやいた。愛用の斬艦刀・富嶽を担いだ彼の傍らには、彼の父の姿を模した紫電がいる。
    「悪用される前に還してやるとしようぜ」
     雷歌に頷きながらも、堀瀬・朱那(空色の欠片・d03561)は溜息をついた。
    「もしあたし達がその力を手に出来るなら……地に返す、なんて言えたかな。ちょっと考えちゃう」
     スサノオの大きさはナミダ姫が残した力の大きさでもある。学園には人の数だけ色々な考えがある。学園としての選択がどうなるかは一人の考えでは図れない。
    「俺は中枢ここで壊してしまうのがいいと思うよ」
     すっぱりと言ったのは壱だった。彼の頭の上できなこがくあーっと欠伸をしている。魅惑の虎縞ぽよぽよボディは翼で支えるには重たそうだ。
    「誰かが力求めるの絶たないとサイキックハーツを巡る戦いは終わらないだろうし。これはその一つになるんじゃないかな」
    「ナミダ姫が死して残した力、他の組織に利用されない為にもキッチリ片付けないとね」
     既にスサノオの体内に敵――ご当地怪人とその配下がいる。白い炎でできた体を身軽に上りながらの無堂・理央(鉄砕拳姫・d01858)の言葉に、秦・明彦(白き狼・d33618)も同意した。
    「彼女の力を奪おうとする墓泥棒を見逃す程、俺は優しくない。いずれ戦う相手だ、ここで確実に灼滅する」
     ナミダ姫の目的が調停者として全勢力の上に立つことだった以上、武蔵坂学園と戦う事は不可避。灼滅も当然の結末だったと明彦は思う。だが死んだ後は静かに眠らせるのが、殺した側のせめてもの礼儀だろう。
    (「力の残滓を奪いに来るような無礼な連中は、今後の戦いに備えて間引いておこう」)
     それは武人としての気遣いでもあった。
    「とりあえず相手を倒さないことには、ですね」
     矢崎・愛梨(高校生人狼・d34160)が苦笑しながら、細い肢体をスサノオの横腹にあいた穴へ引き上げた。穴は大きく、平均身長の高いチームの誰も届かないほど高さもある。
     この奥の敵、その先の中枢を想って志賀野・友衛(大学生人狼・d03990)は唇を噛んだ。決意がぴんと立った耳や尻尾を小刻みに震わせている。
    (「……まだ、全てが終わった訳じゃない」)
     そのためにも、まずは力を奪いに来ているご当地怪人たちを倒さなくてはならない。

    ●掠め取らんとする者たち
    「スサノオの中に入れるなんてね。これ触った感じどうなんだろ、柔らかいのかな?」
     ぼんやりと明るい穴の中、壱は興味津々で穴の壁に手を伸ばした。穴が掘れる程度の強度はあるが、手で触れると硬さは感じない不可解な感覚だ。
    「本当に明るいしそこまで暑くねえな……焼きます重か、提案してみるか……?」
     白い炎と敵の情報が脳内でうっかりコラボした雷歌が首を傾げる。
     きなこが一行に先行して追跡が始まった。なるべく静かに進み、相手の察知を遅らせられれば儲けものだ。

     感覚的には中枢の手前辺り。少し曲がった穴の先で、ペナント怪人たちとます重怪人が掘り進めているのをきなこが見つけた。同時に敵もきなこに気付く。
    「むっ、どこの勢力だ?!」
    「灼滅者だ! 備えよ同胞たち!」
     今や群馬密林は各勢力が入り乱れる場、怪人たちも警戒していた。速度を落とさずに駆けこんだ友衛は狼のものと化した腕で、ます重怪人を庇ったペナント怪人に一撃をくわえた。銀の爪がペナント怪人の肩から胸を裂く。
    「その力、今は渡す訳にはいかない」
    「うわっ!」
    「にいさん、俺に合わせて確実に削って下さい」
     勢いに押されたペナント怪人に殴りかかりながら、みをきは美しい花で目元を隠したビハインドに声をかけた。頷いた彼が回りこみ、ペナント怪人の背に斬りつける。
     色あせた紺の作務衣に目に刺さるような黄色のエプロンをしたます重怪人が、香ばしい匂いのタレを弾幕状に放ちながら叫んだ。
    「貴様らに何の権利があって邪魔をする?!」
    「ナミダ姫を灼滅したのは俺達だ。故に俺達以外の勢力がナミダ姫の遺産に手を出す事は許さん!」
     紫電にタレから庇われた明彦が冷たく宣言して朱塗りの槍を繰り出す。刺突は螺旋を描いて怪人の胸を狙ったが、代わりに飛び込んできたペナント怪人の肩を貫いた。そいつがお返しとばかりに雷歌にキックを繰り出す。
    「ならば奪うまで!」
    「あ、そういやお前らガイオウガの時も力奪っただろ! 今度はやらせねえぞ、というかガイアパワーだけじゃ不満か!? ご当地に謝れご当地に!」
     正面から食らいながらも吠えた雷歌が横面にシールドを叩きつけた。同時に紫電が挟撃の刺突を食らわせる。よろけたところへ鮮やかな身ごなしで光る壁を蹴った朱那が、横あいから頭を蹴り飛ばした。
     勢い余って吹っ飛ぶペナント怪人を見送り、壱が赤い飾緒の軍刀を掲げる。巻き起こる柔らかな風は粘度の高いタレを落として前衛たちの傷を塞いだ。
    「きなこ、敷島センパイを頼むね」
     タレの匂いにふんふんと鼻を鳴らしながらも、きなこが尻尾の鈴を光らせる。傷が嵩み始めたペナント怪人に愛梨は足元から影を疾らせた。鋭く尖った影が怪人の腹を抉ると同時に、彼女を後方にいたペナント怪人たちの放った炎が襲う。
     みをきが愛梨の前に飛び出して炎弾を引き受ける一方、ペナント怪人の懐に飛び込んだ理央が雷を孕んだ拳撃をアッパーで食らわせた。一瞬がくんと怪人の膝が崩れる。

    ●地に還さんとする者たち
     朱那の立ち回りで庇い手のペナント怪人たちはみるみる機動力を失った。後方にいる仲間の回復支援を受けられないことも響き、次いで体力も削られていく。
     低い姿勢から跳ね上がるような理央の回し蹴りが炎を噴き上げ、ます重怪人とペナント怪人たちをもれなく焼いた。怯んだところへ雷歌が挑発的に殴りつける。
    「なんだかんだ言って結局他人の力に頼るのか? そんなだからうな重とかに知名度で負けるんじゃねえの?」
    「言ってはならんことを!」
    「ほらほら、鬼さんこちらってな!」
     怒り狂ったます重怪人が雷歌を追うのを横目に、愛梨はロケット噴射で一気に加速したハンマーをペナント怪人たちの足元に叩きつけた。
    「できれば、まとめて一気に倒せれば楽なんだけど」
     衝撃でペナント怪人たちが呻きよろけてたたらを踏む。激しい音が収まるより早く、みをきはペナント怪人の胸板に注射器を突き立てた。もがく怪人をビハインドの剣圧が噴き上げる毒風が呑み込む。
    「ぐはッ……」
    「おお、同胞!」
     もう一体が仲間を回復させるより早く、半身の構えから音もなく懐に踏み込んだ明彦の拳が叩きこまれた。
    「そこだ!」
     後方に位置どるペナント怪人がその一瞬、明彦めがけて炎弾を放つ。避けきれないかに見えた火線上にみをきが滑りこみ、息を詰まらせながらも引き受けた。もう一体が友衛を狙った飛び蹴りは、紫電がなんとか身を捻じ込んで堪えきれずに消えていく。
     傷が嵩んでいた二体は相次いで倒れ、庇い手を失ったます重怪人が声を荒げた。
    「おのれ、同胞を!」
     素早く跳び退った友衛が、構えた槍の穂先から氷弾を撃ちこむ。自身のダイダロスベルトでみをきの傷を癒しながら、壱も挑発を忘れなかった。
    「食文化が無くなるのは俺も残念だと思うよ。でもさ、仕方ないよなあ。やっぱ今の時代インス○映えしないと」
    「よくそんな残酷なことが言えるな?!」
     お世辞にも見栄えが良くはない怪人が地団駄を踏む。もちろん壱の目的は注意をひくことでます重をディスることではない。実際、鈴を光らせて仲間の傷を癒すきなこはそわそわとタレの匂いに誘われかけている。
     その時、突然ます重怪人がびくりと体を震わせた。全身の傷が塞がっていく。
    「おお……これがスサノオの力!?」
    「ます重怪人さまのご当地愛がスサノオの力を導いた!」
     後方のペナント怪人たちが意味のわからない解釈で盛り上がった。
    「……これか」
     理央はその瞬間をつぶさに見た。ブレイクできるものならと思っていたが傷の回復は妨げられない。まとう戦人の闘気を奮い立たせ、一瞬で死角へ回りこむと重いフックを叩きこむ。
     調子を取り戻した怪人の放った炎弾から壱を庇い、みをきは眉をひそめた。スサノオの力は恐らく回復だけではない。形勢は覆らないが油断は禁物だ。
    「確実に追い詰めましょう」
    「オッケー、堅実にいくヨ!」
     明るい声をあげた朱那がくるくると回した槍を構え、怪人の顔面に氷弾を突き立てる。ばきばきと音をたて、氷の呪いが怪人の体表を蝕んだ。
    「お重だったらウナギよ!」
     挑発まじりに愛梨が放った影は鋭利に尖り、怒りに目がくらんだます重怪人の顔面を切り裂いた。

    ●戦の帰結
     スサノオの力が流れこんだこと、それに灼滅者の挑発。結果としてます重怪人は逃亡することは勿論、後を配下に任せて先行することもしなかった。
    「焼きます重実現……」
     焦げたタレの匂いが香ばしい。スリップで増えた炎に包まれているます重怪人を眺めて雷歌が呟き、当然のごとく怪人がキレた。
    「そこへなおれ!」
     びきりと怪人の筋肉が膨れあがる。再びスサノオの力が流れこんだようだ。
     投げ飛ばそうと掴みかかる怪人を、みをきの赤い逆十字のオーラが引き裂いた。
    「スサノオの力は地の力。元あるべき場所に還す為にも此処で倒れて頂きます」
     背にみをきのビハインドの刀が突き立つが、ます重怪人は構わず雷歌を掴んで投げ飛ばした。肋骨が折れる音を聞きながら跳ね起きた雷歌が、渾身の力で富嶽を振り上げる。
    「まだだ!」
     ざっくりと左肩から腹まで斬り裂かれた怪人がよろめく。畏れをまとった友衛のもう一つの銀爪――妖の槍がます重怪人の背から胸まで貫いた。
     黒鉄の棍が翻る。演武のごとく棍を携えた明彦が踏み込み、腕の延長のように伸びた棍は怪人の鳩尾をしたたか突いた。白い炎の壁に叩きつけられ、声もなく怪人が喘いだ次の瞬間、流しこまれた魔力は内側から怪人を痛めつける。
    「ぐ、グローバル、ジャスティスさまに……栄光、あれ」
     派手な爆発を起こした高崎ます重怪人は、木端微塵に吹っ飛んだ。
     ます重怪人が倒れた後は早かった。残されたペナント怪人たちは粘ったたが、これほどの戦力差では手も足も出ない。
     愛梨の影が大きく膨れあがり、ぱくりと口をあけて片方のペナント怪人を呑みこんだ。悲鳴は影の向こうで響き、吐き出された怪人が動かなくなる。
     素早く距離を詰めた朱那の刀が炎の尾を引いて回転し、残されたペナント怪人の腹を裂いて身を焼いた。駆け寄る壱の踵も炎を噴き上げる。
    「よっ、と!」
     回し蹴りときなこの肉球ぱんちが怪人の胸と背を同時に打つ。体が燃え上がるさなか、ペナント怪人は踏み込んでくる理央を視認した。
    「おのれ!」
     至近距離で放たれるキックであろうと、見切る眼力こそインファイターの所以。
     紙一重、スウェーで躱した理央の拳は脇腹を抉るような一撃を叩きこんだ。くの字に折れ曲がったペナント怪人が壁に激突して、派手な爆発を巻き起こす。
     それが戦いの終わりとなった。
    「高崎ます重……別の形で会いたかった」
     辺りにまだ漂うタレの残り香の中、みをきがしめやかに呟いた。

     中枢は近い。一行はもう一つの目的、スサノオの力を地に返すため、白い炎でできた体を掘り始めた。手を動かしながら朱那が友衛に話しかける。
    「スサノオに話しかけてみるんよネ? 幻獣種は、あたしにとっても縁のない話じゃないンだよネ。手伝える事があれば、するヨ」
    「ありがとう」
     何もないとは言い切れない試みだが、仲間の誰もが異を唱えなかった。それが友衛は嬉しかった。

    ●声は届かず
     白い炎の最奥で一行は攻撃の手を止めた。恐らくはここが中枢。巨大な体を維持しているところであり、破壊されることで力はほどけ、地へ還るだろう。
     仲間に見守られて進み出た友衛は、そっと語りかけた。
    「止められなくて、何もできなくてすまない……」
     ここで何かを知ることが、受けとめることができるなら、力と共にナミダ姫の遺志を継ぎたいとさえ思う。
    「たとえ力が無くとも、まだ私は手を取り合える道を諦めはしない」
     彼女が堪える目いっぱいの涙や揺れる声を、きなこを抱えたみをきと並んで壱は見守っていた。彼女の想いの結果を見届けたい。
     少し不安そうな表情で愛梨は黙って見守っている。
    「私が貴方達と共に在りたいと伝えてきた想いや言葉は、決して嘘ではなかったから。それをいつか信じて貰える様になる為に、私は貴方達を信じ続けよう」
     友衛が語りかけている間も雷歌と紫電、理央は油断なく警戒していた。異常は周辺ではなく友衛本人に起きるかもしれないので、明彦は彼女を注視する。

     彼女の想いや言葉が伝われば、或いは何かがあったのかもしれない。
     しかしここはただでも巨大なスサノオの体の、それも中枢。耳目に届くことはなく。

     応えのない白い炎の中枢を、一行は破壊した。
     手応えはあったが、穴が崩壊したり白い炎が消える様子はない。この巨体だ、スサノオの力が地に返るには思ったより時間がかかるのだろう。
     暖をとろうと首にしがみつくきなこを支えながら、みをきが足元を確かめ呟いた。
    「……足元の感覚も変わりませんね。避難するのに支障はなさそうです」
    「ホントだ。でも急いだほうがよさそうだね」
     壱の言葉の通り、いつ何が起きても不思議はない。
    「早いとこ出て学園へ戻るとしようぜ」
    「届いたかわからないんはザンネンだけど、行こ」
    「……そうだな」
     雷歌と朱那に促された友衛も踵を返す。耳がぺたりと寝て尻尾もしおれた彼女に声をかけたかったけれど、実のところ内気な愛梨には、何と言っていいかわからなかった。

     巨大なスサノオの力は地へと返ろうとしている。誰かに奪わせることをよしとしなかった灼滅者の選択は、どのような道を拓いていくのだろう。
     新しい年の訪れは、間近だ。

    作者:六堂ぱるな 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2017年12月27日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 5
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